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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002平成14年6月21日 |
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002平成14年6月21日 |
第1部 構造改革の推進と我が国経済社会の活性化
この1年、政府は「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(平成13年6月26日閣議決定)」(以下、「基本方針」という)を起点として広範な構造改革を推進するとともに、景気・雇用情勢に適切に対応してきた。こうした取組みにより悪化傾向を続ける経済と財政のトレンドに、一定の歯止めをかけることに成功した。
改革第2段階においては、これまでの1年を上回るさらに困難な諸課題に、官民挙げて取り組んでいくことが求められている。本方針は改革第2段階における「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」を明らかにするもの(いわば「基本方針第2弾」)である。
政府は、昨年6月、構造改革の基本戦略である「基本方針」を決定した。その内容は、経済社会の活性化を目指した「7つの改革プログラム」、社会資本整備・社会保障制度・地方行財政の構造改革など広範かつ抜本的なものである。「基本方針」は「改革なくして成長なし」、「民間でできることは民間に、地方でできることは地方に」の考え方の下、長期にわたり低迷を続ける経済、金融機関の不良債権問題、大幅な財政赤字と膨張する政府債務など、経済財政全般の諸問題を構造改革を推進することによって克服することを目指す方針を示した。
政府は、構造改革を推進する中で、昨年9月の米国同時多発テロ事件等による景気の悪化、我が国経済のデフレの進行、失業率上昇などを受けて、同10月には、雇用・中小企業等に係るセーフティネットの充実を中心とした「改革先行プログラム」を、また、同12月には構造改革を更に加速するとともに、デフレスパイラルを回避するため「緊急対応プログラム」をそれぞれ決定し、着実に実施している。また、本年2月には、デフレ状況が続く中で、不良債権処理の促進、金融システムの安定など金融面での対応を内容とする「早急に取り組むべきデフレ対応策」をとりまとめた。
経済財政諮問会議は、本年初より、「改革と展望」が示す持続可能で活力ある経済社会の構築を目指して、@経済・産業の再生に向けた「経済活性化戦略」、A転機を迎えている経済社会の活力を引き出す「税制改革の基本方針」、B歳出を厳しく抑制し「負担に値する小さな政府」を目指す「歳出構造の改革」及びC15年度財政運営について審議してきた。 |
第2部 経済活性化戦略
(産業競争力低下の原因)
(経済活性化に向けて取るべき戦略)
(日本の経済社会の何が変わるか)
(1) 人間力戦略
(2) 技術力戦略
東アジア諸国の産業競争力が向上する中で、これまでの製造業の強みを活かしながら、スリムな経営体質に変え、競争力のある分野を選択し、資源を集中する。特に、企業の浮沈は経営者の能力次第で決まる。経営者には高い経営能力や倫理観、企業文化の構築が求められる。
(4) 産業発掘戦略
(5) 地域力戦略
(6) グローバル戦略
経済活性化戦略においては、政策の実施主体・実施時期をできるだけ具体的に明示したところであり、経済財政諮問会議は、今後、IT戦略本部、総合科学技術会議、総合規制改革会議等関係本部会議等とも連携し、関係府省における経済活性化戦略の具体的推進状況等についてフォローアップを行う。 |
第3部 税制改革の基本方針
少子化・高齢化、IT革命、激化する国際競争の中で、日本経済が活力を取り戻し、国内に質の高い雇用を確保していくためには、経済・社会の基盤である税制を幅広く見直していくことが不可欠である。
(1) 低迷する日本経済と税制改革
構造改革がめざすのは、「人」を重視する国である。これまで、税制をはじめとする諸制度は、均一化された家族やライフスタイルを前提としがちであった。個人が選択するライフスタイルが多様化する中、一人ひとりの多彩な個性と能力が尊重されるよう、税制もまた変革を迫られている。
それぞれの地域が魅力的になることで、人々の生活は豊かになる。最近の地方分権の努力は、地域の個性と自律性を再生しようとするものだが、財政面では、まだ国への依存度が高い。地方自治体が権限と財源、責任をもち、住民の参加と選択の下、自らの力で財政運営を行うようになって、名実ともに地方分権が確立する。
日本の人口は2007年から減少に転じ、急速に高齢化が進む。しかし、財政や社会保障制度はそれに対応しきれておらず、人々は確かな生活設計を描けずにいる。更に、国・地方政府が巨額の財政赤字を抱える中で、財政の現状を放置すると、日本の財政の持続性に対する危機から、長期金利の上昇による投資の抑制などの経済のダウンサイド・リスクが高まる。徹底した歳出面の改革とあわせ、長期に持続可能な財政構造と社会保障制度を構築することによって、将来に安心感をもてる社会を創らなければならない。
以上の大きな変化を考えると、いま、包括的かつ抜本的な税制改革が求められている。これからの経済社会にふさわしい経済の活力を支える新しい税のデザインを行う時期を迎えている。
(2) 税制の現状認識
(1) 目指すべき経済社会の姿
(2) 税制の3原則
税制改革の検討は、次のような視点に立って行うこととする。
(1) 第1に、日本経済の活力の回復を最重視する。課税ベースを広くし税率を低く抑えることを基本とすることで、企業や個人の活力を支える。また、法人に対する課税においては、国際的視野にたって検討し、競争力を強化するための改革を行う。
(2) 第2に、多様なライフスタイルの下で、国民一人一人が個性と能力を十分に発揮する。男女共同参画社会の実現が重要な課題であり、仕事と育児の両立のための環境整備を進めるとともに、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に中立的な社会制度の構築を進める。
(3) 第3に、歳出改革と一体として進める。税制改革は徹底した歳出削減とともに行い、簡素で効率的な政府をつくる。「改革と展望」に基づき、財政収支を中期的に改善していく。
(4) 第4に、社会保障制度改革と整合性をとって進める。社会保障負担と税負担を総合的にとらえた改革を行い、持続可能な財政構造と社会保障制度を構築する。今後、高齢化が進展するにつれて国民負担率は上昇することが見込まれるが、国民に提供するサービスとそれに見合う国民負担のバランスを再検討しつつ、可能な限り国民負担率の上昇の抑制をめざし、世代間の受益と負担の公平を図る。
(5) 第5に、地方行財政制度の改革と一体として進める。地方分権を推進するために、地方の行財政と税制の本格的な改革を行う。歳出・歳入の両面で、国の関与を最小限に抑え、地方自治体が権限と責任をもつことを目指す。
(6) 第6に、すべての人・企業が公正に負担すると同時に、真に必要な場合には、低所得層等に配慮する。
(1) <はじめに>で述べた理念に基づく今次税制改革は、2003年度に着手し、"広く薄く"等の理念の下、本格的かつ構造的な税制改革に取り組むとの考え方に立ち、可能なものから順次実施し、「改革と展望」の期間内(〜2006年度)に完了させることを目指す。なお、時限的な政策税制を行う場合も、税制改革全体との整合性を保つことが重要である。
(2) また、現在の厳しい財政状況をふまえて、税制改革は「改革と展望」に基づき、財政規律を重視しながら行うこととし、税制改革の財源は、原則として国債には依存しない。
(3) 「改革と展望」の期間内に、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する。
(4) 「改革と展望」に基づき、2010年代初頭に国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化させることを目指す。
「めざすべき経済社会の姿」を実現するために、今後の税制改革及びそれに関連する検討項目は以下のとおり。
(1) 持続的な経済成長を実現するために
(2) 多様なライフスタイルのために
(3) 長期にわたる安心の確保のために
(4) 地方の自立と活力のために
(5) 負担に対する国民の理解のために |
第4部 歳出の主要分野における構造改革
社会資本整備については、「基本方針」に基づき、事業の重点化、硬直性の打破、効率性・透明性の向上などに向けた改革を進めてきた。また、こうした取組みを反映した14年度予算を策定した。さらに「改革展望」では、中長期の持続的経済成長、持続可能な財政と整合的な公共投資のあり方を示した。
(1) 国から地方へ、官から民へ
(2) 公共投資の実効ある重点化、効率化
(実効ある効率化の実現)
(3) 既存プロジェクトの見直し
(4) 公共事業関係計画のあり方の見直し
(1) 社会保障制度改革の現状
(2) 社会保障給付費の増大と国民負担率
(4) 健康寿命の増進と社会保障制度の改革
(1) 地方行財政改革については、これを強力かつ一体的に推進する必要がある。先ず、国の関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大する。地方分権改革推進会議の調査審議も踏まえつつ、福祉、教育、社会資本などを含めた国庫補助負担事業の廃止・縮減について、内閣総理大臣の主導の下、各大臣が責任を持って検討し、年内を目途に結論を出す。
(2) これを踏まえ、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革工程を含む改革案を、今後一年以内を目途にとりまとめる。
(3) 改革の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化が不可欠であり、市町村合併へのさらに積極的な取組みを促進する。
道路等の「特定財源」については、長期計画や今次税制改革と一体的に、そのあり方を見直し、可能なものは平成15年度から具体化する。なお、特定財源制度は受益と負担の関係に基づくものであるが、これら諸税の税率については、これらの税が有する種々の環境改善効果などにも十分配慮し、決定する。
(3) 公的部門の効率化
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第5部 経済財政の姿と15年度経済財政運営の基本的考え方
(2) 中期的な経済財政の姿
(3) 構造改革の推進と今後の検討について
経済財政諮問会議は、今後、教育・人材・雇用を中心とする「人間力戦略」、地方行財政改革及び社会保障制度改革について、関係機関との連携を図りつつ、その基本方針を審議していく。また、主要歳出分野の構造改革や15年度の財政運営のあり方についても引き続き検討を行っていく。
(1) 当面の景気動向と平成14年度及び15年度経済
15年度については、政府部門の支出は厳しく抑制される一方、世界経済が好調に推移することが期待され、また、14年度後半からの企業収益の回復を受けて、設備投資も緩やかな増勢に向かうことが期待される。このように、15年度の我が国経済は全般的には回復過程にあると期待されるものの、ぜい弱な側面を有していることから、経済動向を十分注視していく必要がある。
(2) 歳出改革の加速
(3) 重点的に推進すべき分野・効率化の考え方
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