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改革加速のための総合対応策


平成14年10月30日




目  次


I. 金融・産業の再生

1.不良債権処理の加速策
 (1) 新しい金融システムの枠組み
 (2) 新しい金融行政の枠組み
2.産業・企業再生への早期対応
 (1) 整理回収機構(RCC)への不良債権売却の促進等
 (2) 産業再編・事業の早期再生
 (3) 創業・新規開業の支援等

II. 経済活性化に向けた構造改革加速策

1.持続的な経済社会の活性化のための税制改革の推進
 (1) 法人課税
 (2) 相続税・贈与税
 (3) 土地税制
 (4) 住宅税制
 (5) 金融・証券税制
 (6) 中小企業税制
2.資産デフレの克服にも寄与する証券・不動産市場の活性化
 (1) 証券市場の構造改革の推進
 (2) 金融・証券税制(再掲)
 (3) 不動産流動化の促進
 (4) 土地税制(再掲)
3.民間投資・消費を誘発する都市再生の促進
 (1) 都市再生緊急整備地域の指定及び事業の支援
 (2) 都市再生プロジェクト等の活用
4.潜在需要を喚起する規制改革の加速
 (1) 構造改革特区の早期具体化・充実
 (2) 公的関与の強い分野を中心とした規制改革

III. セーフティ・ネットの拡充

1.雇用対策の推進
 (1) 不良債権処理の加速への対応
 (2) 新たな雇用の創出
 (3) 民間による労働力需給調整の活性化・多様な就業形態への対応
 (4) 雇用保険制度の見直し
 (5) 離職者に対する対応
 (6)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)
2.中小企業対策の推進
 (1) 中小企業貸出に対する十分な配慮
 (2) セーフティ・ネット貸付・保証の拡充
 (3) 下請中小企業者に対する配慮
 (4)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)
3.不良債権の集中的な処理が行われる間における政策金融の活用



改革加速のための総合対応策


 今般、政府は、最近における金融・経済情勢の不確実性の高まりを踏まえ、不良債権処理を加速することにより、金融仲介機能の速やかな回復を図るとともに、資源の新たな成長分野への円滑な移行を可能にし、金融及び産業の早期再生を図るための取組を強化することとした。
 政府は、「金融システム改革」、「税制改革」、「規制改革」及び「歳出改革」の四本柱の構造改革を加速し、日本経済を再生するための政策強化を行い、デフレを克服しながら、民需主導の自律的な経済成長の実現を目指す。取組を進めるに当たっては、不良債権処理を加速する過程における影響に対応し、地方公共団体の主体的な施策も活かしながら、雇用や中小企業のセーフティ・ネットには、万全を期す。

 このため、政府は、下記の施策を早急に具体化し、平成14年度予算の執行、平成15年度予算編成等と一体的かつ整合的に実施するとともに、雇用・中小企業のセーフティ・ネットの一層の活用・強化を図るため、今後の税収動向を踏まえて、引き続き必要な措置について検討する。今後とも、金融・経済情勢に応じて、大胆かつ柔軟な政策運営を行うこととする。

 デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を実施する。本日の日本銀行の措置は、こうした取組の一環として決定されたものである。


I .金融・産業の再生

1.不良債権処理の加速策

 我が国の金融システムと金融行政に対する信頼を回復し、世界から評価される金融市場を作るためには、まず、主要行の不良債権問題を解決する必要がある。平成16年度には、主要行の不良債権比率を現状の半分程度に低下させ、問題の正常化を図るとともに、より強固な金融システムの構築を目指す。このため、主要行の資産査定の厳格化、自己資本の充実、ガバナンスの強化などの点について、以下に示す方針で行政を強化する。

(1)新しい金融システムの枠組み
 「『金融再生プログラム』 1.新しい金融システムの枠組み」中、以下の項目を参照。[†]
 ・ 安心できる金融システムの構築
 ・ 平成16年度に向けた不良債権問題の終結
(2)新しい金融行政の枠組み
 「『金融再生プログラム』 3.新しい金融行政の枠組み 4.今後の対応」中、以下の項目を参照。
 ・ 資産査定の厳格化
 ・ 自己資本の充実
 ・ ガバナンスの強化
 ・ 今後の対応


2.産業・企業再生への早期対応 

 産業構造改革を更に進め、我が国企業の国際競争力を高めるため、不良債権処理を加速する過程において、経営資源を散逸させないよう、産業再編により過剰供給構造を是正するとともに、有効な経営資源を過剰な債務から早急に切り離すため、事業の早期再生を図る。また、創業・新規開業を促す環境整備を行うほか、産学官の研究開発等を一層活性化することにより、新規事業や新たな雇用機会を創出する。

(1)整理回収機構(RCC)への不良債権売却の促進等
 「『金融再生プログラム』 2.新しい企業再生の枠組み (2)RCCの一層の活用と企業再生」を参照。
(2)産業再編・事業の早期再生
 金融機関の不良債権処理の加速化に併せ、産業・金融一体となった対応を進めるため、企業・産業の再生を政府として強力に推進する。

@ 「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置
 政府は、不良債権処理を加速し、産業再生と雇用対策を一体的に推進するため、既存の「産業構造改革・雇用対策本部」を抜本的に改組し、内閣総理大臣を本部長とする「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」を設置する。同本部は、過剰債務問題、過剰供給構造等に対応するため、産業再編や早期再生に関わる「基本指針」を策定し、企業・産業の再生を強力に推進する。

A 「産業再生機構(仮称)」の創設

  • 企業再生に取り組むための新たな機構(産業再生機構(仮称))を預金保険機構の下に整理回収機構(RCC)と並んで創設する。同機構は、「基本指針」に従い、金融機関において「要管理先」等に分類されている企業のうち、メインバンク・企業間で再建計画が合意されつつある等により当該機構が再生可能と判断する企業の債権を、企業の再生を念頭に置いた適正な時価で、原則として非メインの金融機関から買い取る。再建計画及び買取価格等の適正性を担保するため、機構内に有識者からなる「産業再生委員会(仮称)」を設ける。
  • 機構は、再生企業への追加融資や出資、信託、保証機能等を備える金融機関(株式会社形態かつ存続期間を設定)とする。機構の設立及び運営は、金融界や産業界に相当規模の専門家の派遣を要請するなど、可能な限り民間部門の人的・資金的な支援を得て行うとともに、政府として、関係省庁からの出向や機構の資金調達に対する政府保証の付与など、所要の人的・財政的支援を行う。
  • 機構とメインバンクで企業の債権の相当部分を保有し、強力に企業のリストラ・経営再建を推進する。企業再生策の作成は、メインバンクの情報、ノウハウ、資金(つなぎ資金、ニューマネー)、人材を最大限活用する。機構は、政府全体の協力を得て、業界内での再編なくして再生不能と考えられる企業について、機構内に集積された情報を踏まえ、「基本指針」に従い、産業の再編も視野に入れた企業の再生策を樹立・実行する。政策金融機関の出融資も活用する。

B 産業再生法の抜本改正
 産業活力再生特別措置法(産業再生法)の抜本改正を行い、「基本指針」を踏まえて、事業再構築、共同事業再編、経営資源再生等の取組に対し、所要の支援措置を講ずる。これにより、個別企業の事業再構築に加え、企業の壁を越えた業界再編、活用可能な経営資源の早期再生を加速する。

C 日本政策投資銀行による事業再生・産業再編に係る支援機能の充実

  • 企業再生ファンドへの出資制度の拡充、再建企業の資産を買収・承継する第三者企業に対する融資制度の充実等を行う。
  • 金融市場の活性化を図り、適切な資金の供給がなされるよう、ローン担保証券(CLO)を含むクレジット・デリバティブの活用など、金融上の仕組みの整備に対する支援を行う。

D 産業・企業再生に資する司法機能の充実

  • 会社更生法等の改正(臨時国会)
    −更生計画案の可決要件の緩和、同計画案の決議における書面投票方式の導入、更生計画に基づく弁済期間の短縮など、手続の迅速化・合理化等を図る。
    −民事再生法についても、再生計画案の決議における書面投票方式の導入など、手続の合理化の観点から改正を行う。
  • 民事訴訟法、民事執行法等の改正
     計画審理の推進、証拠収集手続の拡充など、民事訴訟の充実・迅速化、抵当権の実効性の向上、不動産執行妨害への対策など、民事執行制度の改善等に向けた措置を講ずることにより、不良債権の処理、産業・企業再生の円滑化を図る。

E 産業・企業再生に向けた日本銀行に対する期待
 「『金融再生プログラム』 2.新しい企業再生の枠組み(3)企業再生のための環境整備(エ)株式の価格変動リスクへの対処」を参照。

(3)創業・新規開業の支援等
 裾野の広い創業・新規開業を促す環境整備を行うほか、産学官の研究開発等を一層活性化することにより、新規事業や新たな雇用機会を創出する。また、政策金融を活用し、新たな事業分野を創造する中小企業者を支援する。
  • 会社設立に係る最低資本金の特例等(新事業創出促進法の改正(臨時国会))。
  • 中小企業等投資事業有限責任組合による投資対象の拡大等(中小企業等投資事業有限責任組合法の改正(臨時国会))。
  • 企業組合における組合員資格要件の緩和(中小企業等協同組合法の改正(臨時国会))。
  • 独創的な技術、アイディア等により新たな事業分野を創造する中小企業者に対する無担保融資制度を創設する(商工中金)。
  • 産学官連携による研究開発・事業化等の推進
     総合科学技術会議は、本年6月、「産学官連携の基本的考え方と推進方策」を決定し、産学官連携の形態別(技術移転、大学発ベンチャー等)、分野別(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)の課題と具体的方策、地域科学技術の振興、産学官連携の観点から見た大学改革、人材交流の活性化等の基本的考え方を明らかにした。同推進方策に基づき、産学官連携のための基盤形成・環境整備、企業化につながる研究開発、研究成果の円滑な移転・実用化・事業化の支援などの取組を積極的に推進する。
  • 「動け!日本」緊急産学官プロジェクトの推進
     技術革新や経営革新を通じて企業の生産性を高め、経済を活性化する観点から、 「動け!日本」緊急産学官プロジェクトを推進する。


II.経済活性化に向けた構造改革加速策

1.持続的な経済社会の活性化のための税制改革の推進

 持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向けて、抜本的な改革に取り組む。現下の経済情勢を踏まえ、1兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させる。公正かつ簡素でわかりやすい税制を目指し、多年度税収中立の枠組みの下で、全体を一括の法律案として次期通常国会に提出すべく、諸項目のうち、減税に関しては、以下の項目について検討を進める。

(1)法人課税
 経済のエンジンは企業の積極的な活動である。法人関係では研究開発やIT投資に対する減税等を実施する。法人税率の取扱いについては、マクロ経済の状況、国際的視野、税体系のあり方も勘案しつつ、引き続き検討する。
(2)相続税・贈与税
 高齢化の進展等を踏まえ、住宅資産を含め、高齢者の保有する資産の次世代への移転の円滑化に資するため、相続税・贈与税の一体化を行う。併せて、相続税の最高税率の引下げを行う。
(3)住宅税制
 住宅取得(リフォームを含む)に係る贈与税の特例を拡大するなど、住宅投資に係る税制上の優遇措置を検討する。
(4)土地税制
 都市再生等、土地の有効利用の促進に資するため、土地税制の見直しを行う。
(5)金融・証券税制
 株式に係る課税の簡素化や貯蓄から投資への改革のための金融・証券税制の大胆な見直しを行う。
(6)中小企業税制
 活力ある中小企業の経営基盤を強化するため、中小企業税制の見直しを行う。


2.資産デフレの克服にも寄与する証券・不動産市場の活性化

 低迷する証券・不動産市場の動向が、一般物価の下落の一因となっている。かかる観点から、資産デフレの克服にも寄与する証券市場・不動産市場の活性化を図るための環境整備を行う。

(1)証券市場の構造改革の推進
 誰もが投資しやすい市場の整備、投資家の信頼が得られる市場の確立等を目指す「証券市場の改革促進プログラム(平成14年8月6日)」について、実施可能なものから迅速かつ着実に実施する。
  • 幅広い投資家の市場参加を促進するため、最低資本金の引下げや販売代理店制度の導入によって、証券会社を通じた販売チャネルの拡充等を行う。
  • 市場の公正性・透明性を確保するため、公認会計士制度の在り方の見直し(人数の拡大と質の向上等)などにより、会計・監査の充実・強化を図る。また、有価証券報告書における「リスク情報」開示や上場企業の四半期開示など、各種ディスクロージャーを充実する。
  • 市場の安定性・効率性を向上させるため、適格機関投資家の範囲拡大により、私募債市場を整備する等の施策を講ずる。また、現在住宅金融公庫において行われている住宅ローン債権の証券化を推進し、住宅ローンの資産担保証券の円滑な流通を図る。
  • 厚みのある市場を整備するとともに、金融市場の活性化を図るため、日本政策投資銀行は、民間金融機関と連携して証券化の手法を活用する。
(2)金融・証券税制(再掲)
(3)不動産流動化の促進
 不動産証券化の推進など、新たな市場の整備や既存ストックの有効利用促進に資する諸施策により、不動産市場の活性化を図る。
  • 不動産証券化の推進
    −不動産証券化商品(J-REIT等)に関する普及・啓発活動を積極的に実施する。
    −J-REITに関するインデックス、データベース等の整備を促進することにより、投資家への情報提供を充実する。
  • マンションの建替え実施の円滑化を図るため、建替え決議の要件の合理化等を行う(建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正(臨時国会))。
  • 既存オフィスビルの住宅への転用を促進するため、住宅に係る採光に関する規制の合理化(建築基準法に基づく告示の整備)、改修工事の設計施工指針の作成・普及を行うとともに、ファミリー向けの都市型賃貸住宅へ転用する際の助成措置の普及を促進する。
  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく既存住宅に係る性能表示制度の普及推進のため、今秋中に、既存住宅の評価を行う住宅性能評価機関の第一次指定を行うとともに、制度の積極的なPRに努める。
(4)土地税制(再掲)


3.民間投資・消費を誘発する都市再生の促進

 都市再生に向けた諸施策を推進することにより、民間の資金やノウハウ等を活用し、新たな民間投資や消費を喚起するとともに、資産市場の活性化を通じて不良債権問題の解消を促す。

(1)都市再生緊急整備地域の指定及び事業の支援
 都市再生特別措置法に基づき、全国で44ヶ所の都市再生緊急整備地域を指定(民間事業投資額は約7兆円、生産誘発効果等を含めた経済波及効果額は約20兆円との試算)。今後、指定地域の追加について検討するほか、指定地域について、都市計画特例措置及び金融措置の活用、必要な公共施設等の整備など、民間都市開発投資の促進に向けた緊急かつ重点的な支援を行う。
  • 民間都市開発推進機構による都市再生支援業務の積極的な実施。
  • 住宅金融公庫による都市居住再生融資及び市街地再開発等融資の重点的な実施。
  • 日本政策投資銀行の都市再生関連融資の拡充。
  • 地籍調査の重点的な実施による民間都市開発の円滑化。
  • 都市基盤整備公団の土地有効利用事業の重点的な実施。
(2)都市再生プロジェクト等の活用
 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002(平成14年6月25日閣議決定)」を踏まえつつ、都市再生プロジェクト等を活用し、各種の都市基盤整備を重点的に進めることにより、都市の国際競争力と魅力の向上を図り、都市における民間投資や消費を誘発する。
  • 都市計画道路の緊急整備を行うため、「完了期間宣言路線」の追加公表を含め、完了・供用時期を明示し、供用を早める取組の倍増を目指し、これを重点的に支援する。また、優良な民間都市開発を支える都市計画道路を、事業認可区間の弾力化等により、機動的・重点的に整備する。
  • 以下のような都市再生プロジェクトを推進する。
    −羽田空港の再拡張・国際定期便の就航、成田高速鉄道等の整備、高規格コンテナターミナルの整備等国際物流拠点の形成。
    −環状道路の緊急整備。
    −災害時に大きな被害が想定される密集市街地の整備、電線類の地中化の推進。
    −鉄道駅(一日当たり平均利用者数5,000人以上)の段差解消率を2005年度までに60%(2000年度の約2倍)とし、本年度改正した高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)に基づき、100%の特別特定建築物(新・増改築工事に関わる部分の床面積が2,000m2以上のもの)に対して、利用円滑化基準への適合を義務づけた上、各種の支援措置を講ずることにより、バリアフリー化を積極的に推進する。
    −水辺都市再生の推進。
  • 「全国」を対象にして、「地域経済・社会」の活性化等を図るため、「全国都市再生のための緊急措置〜稚内から石垣まで〜」を活用し、民間投資を促進する全国の都市再生の取組を支援する。


4.潜在需要を喚起する規制改革の加速

 民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することにより、経済を活性化する。このため、構造改革特区の推進を始め、規制改革を強力かつ迅速に進める。併せて、事後監視・救済型社会への転換を図るため、競争政策、司法制度等の環境を整備する。

(1)構造改革特区の早期具体化・充実
 「構造改革特区推進のためのプログラム(平成14年10月11日)」を受け、特区推進の基本方針、申請・認定等の手続、特区において実施できる規制の特例措置(93項目)等を内容とする「構造改革特別区域法(仮称)」の早期成立を目指す(臨時国会)。また、特区の取組を充実するため、地方公共団体、民間事業者等からの提案を二次募集する(平成15年1月15日まで)。
(2)公的関与の強い分野を中心とした規制改革
 総合規制改革会議「第二次答申(平成14年12月)」に向け、公的関与の強い分野(医療、福祉、教育、農業等)における取組を始め、更なる規制改革に関し、検討を進める。また、国・地方が行っている公的サービスのアウトソーシング等を進める。
  • 総合規制改革会議「第二次答申」に向け、「中間とりまとめ−経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革−(平成14年7月23日)」の内容について、更に議論を深める。
  • 「構造改革特区推進のためのプログラム」において、全国レベルで実施することとされた項目(111項目)については、「第二次答申」に向けた検討で対応し、それぞれ定められた時期までに措置する。
  • 公的サービスへの民間参入に資することから、行政組織等の減量、効率化等を一層推進する。
  • 産学連携を円滑化し、大学発ベンチャーの創造を加速化するため、以下のような規制改革を行う。
    −大学設置認可の弾力化・大学設置基準の緩和(学校教育法の改正(臨時国会)等)。
    −国有施設使用要件の柔軟化(構造改革特別区域法(仮称)による研究交流促進法の特例(臨時国会))。
    −地方公共団体から国立大学等への寄附を可能とする(地方財政再建促進特別措置法施行令の改正)。
  • 大学等から民間企業への技術移転の迅速化を図るため、科学技術振興事業団が実施する委託開発事業に係る認可等の手続きを廃止する(独立行政法人科学技術振興機構法案(臨時国会))。


III.セーフティ・ネットの拡充

1.雇用対策の推進

 不良債権処理を加速する過程における影響に対応し、雇用面での取組を推進するほか、労働市場の構造改革を進め、市場のニーズに対応したミスマッチの解消に努める。その際、民間活力を活かしつつ、失業の実態と転職可能性に応じきめ細かく対応する。

(1)不良債権処理の加速への対応
 不良債権処理の加速に伴い、離職を余儀なくされる者に対する体系的な再就職支援等を行う。また、中央・地方レベルで、関係省庁等が参加する対策会議を開催する。
  • 再就職支援のための助成措置等の創設・見直し
    −不良債権処理就業支援特別奨励金(仮称)を創設し、直接又はトライアル雇用を通じた就職等に対する支援を行う(緊急雇用創出特別基金の活用)。
    −労働移動支援助成金等の支給要件の緩和、雇用調整助成金の適用の特例措置を実施する。
  • ハローワーク等におけるキャリア・コンサルティング、職員等による出張相談等を実施する。また、離職予定者に在職中から無料の職業訓練を実施する。
(2)新たな雇用の創出
 地方公共団体による緊急かつ臨時的な雇用(新公共サービス雇用)を創出するとともに、民間企業による中高年齢者等の新たな雇用機会を創出する。
  • 緊急地域雇用創出特別交付金事業の効果的活用を図る。不良債権処理の影響を受ける離職者への配慮、推奨事業例の見直し、運用の改善を行う。  定住に資する緑の雇用事業を活用する。
  • 地域中高年雇用受皿事業特別奨励金(仮称)を創設し、新たに設立した会社が、再就職を希望する中高年齢者を受け入れて、公共に貢献する事業を実施した場合に支援を行う(緊急雇用創出特別基金の活用)。
  • 新規・成長分野(医療・福祉関連分野等15分野)の事業主が中高年齢の非自発的離職者等を前倒しして雇用する場合等に助成を行う新規・成長分野雇用創出特別奨励金を積極的に活用する。
  • 高年齢者が共同出資して会社等を設立する場合に助成を行う高年齢者共同就業機会創出助成金について、年齢要件の緩和を行う。
(3)民間による労働力需給調整の活性化・多様な就業形態への対応
 民間の活力等を活かし、労働力需給の迅速、円滑、的確な調整を行う。また、労働者が主体的に選択できる多様な働き方の可能性を拡大するとともに、働き方に応じた適正な労働条件を確保し、円滑な紛争解決を図る。
  • 職業紹介事業について、有料職業紹介事業に係る手数料規制や兼業禁止規制の緩和、無料職業紹介事業に係る届出制の範囲の拡大、地方公共団体における無料職業紹介事業の実施について検討し、措置する。
  • 労働者派遣事業について、対象業務の拡大(物の製造業務への拡大)、原則1年とされている派遣期間の延長について検討し、措置する。
  • 有期労働契約について、原則1年とされている契約期間の上限の延長、3年の契約が認められている専門職の範囲の拡大について検討し、措置する。
  • 裁量労働制について、適用対象事業場又は業務の拡大及び運用に係る手続の簡素化について検討し、措置する。
  • ハローワークの求人について、インターネットによる求人企業名等の公開を行う。
  • 民間教育訓練機関等における座学と企業における実習をセットにした実践的な職業訓練や開業に向けた職業訓練を実施する。
(4)雇用保険制度の見直し
 マクロ経済の観点からは景気への自動安定化機能を有している雇用保険制度について、将来にわたりセーフティ・ネットとしての安定的運営を確保するため、早期再就職の促進、多様な働き方への対応、再就職の困難な状況に対応した給付の重点化を中心とした制度の見直しを行う。
(5)離職者に対する対応
 意図せず離職し経済的に困難な状況にある者に対し、きめ細かい対応を講ずる。
  • 離職者支援資金の貸付条件の緩和
     自営廃業者、雇用保険の給付期間が終了した失業者等に対し、生活資金を貸し付ける離職者支援資金について、償還期間の延長等貸付条件の緩和を行う。
  • 奨学金制度の充実
     保護者の失職等家計の急変により緊急に奨学貸与の必要が生じた場合に利用できる緊急採用奨学金制度を積極的に活用する。
  • 住宅ローン返済困難者対策の実施
     失業等により、住宅金融公庫等のローン返済が困難となっている者に対し、返済条件の変更を行う制度を着実に実施する。
(6)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)


2.中小企業対策の推進

 創造力、柔軟性、意欲に富んだ中小企業者の事業再生等を積極的に支援するため、地方公共団体の協力も得つつ、金融面での施策を強化する。

(1)中小企業貸出に対する十分な配慮
 「『金融再生プログラム』 1.新しい金融システムの枠組み(2)中小企業貸出に対する十分な配慮」を参照。
(2)セーフティ・ネット貸付・保証の拡充

@ 政策金融の活用
 政策金融を活用することにより、やる気と能力のある中小企業者への資金供給を円滑化し、中小企業のセーフティ・ネットに万全を期す。

  • 貸し渋り無担保融資制度の限度額を引き上げる(商工中金)。
  • 私的整理ガイドラインに沿って整理を行う者を事業再生支援融資制度(DIPファイナンス)の対象事業者に追加する(中小公庫・商工中金・沖縄公庫)。
  • 貸付債権がRCCに譲渡された中小企業者のうち、再生可能な者に対し融資を行う制度を創設する(中小公庫・商工中金・沖縄公庫)。中小公庫、商工中金、信用保証協会連合会、預金保険機構、RCC、金融庁、経済産業省等による再生可能な中小企業に対するファイナンス確保のための協議会を設置する。
  • 「産業再生機構(仮称)」を活用した企業再生についても、適切な措置を講ずる。
  • 小規模事業者の融資に係る第三者保証人要件を緩和する(国民生活公庫・沖縄公庫)。
  • 「貸し渋り・貸し剥し特別相談窓口」の設置(中小公庫・国民生活公庫・商工中金・沖縄公庫)。

A 信用保証の拡充
 信用保証協会によるセーフティ・ネット保証の拡充等を行うことにより、やる気と能力のある中小企業者への資金供給を円滑化する。

  • 新たに以下の中小企業者を信用保証制度の対象に追加し、セーフティ・ネット保証の拡充を行う(中小企業信用保険法の改正(臨時国会))。
    −金融機関の相当程度の経営合理化(支店の削減等)に伴って借入れが減少している中小企業者。
    −貸付債権がRCCに譲渡された中小企業者のうち再生可能な者。
  • 「産業再生機構(仮称)」を活用した企業再生についても、適切な措置を講ずる(再掲)。
  • 法的再建手続に入り、再生計画が認可された中小企業者等に対する事業再生保証制度(DIP保証)の創設(中小企業信用保険法の改正(臨時国会))。
  • 譲渡禁止特約解除の推進、手続の簡素化や制度の弾力的な運用により、売掛債権担保融資制度の一層の普及を図る。
  • 中小・中堅建設業者に対する資金供給の円滑化を図るため、下請セーフティネット債務保証事業の拡充等を行う。
(3)下請中小企業者に対する配慮
 厳しい金融経済情勢の下、親事業者等に対し、下請代金支払遅延等防止法の遵守を徹底すること等により、下請中小企業者の取引の適正化を図る。
(4)「産業再生・雇用対策戦略本部(仮称)」の設置(再掲)


3.不良債権の集中的な処理が行われる間における政策金融の活用

 政策金融については、不良債権の集中的な処理が行われる間においては、中小企業金融等金融の円滑化に万全を期すため、市場本来の機能が最大限発揮されるよう適切な配慮を行った上で、セーフティ・ネットの整備、企業再生、金融機能の再生・発展等に政策金融を積極的に活用する。この観点を含め、その在り方について、経済財政諮問会議において、「政策金融の抜本的改革に関する基本方針」に沿って、引き続き検討を進め、年内に結論を得る。


[†] 本文中、「金融再生プログラム」とあるのは、平成14年10月30日に、金融庁においてとりまとめ、公表した「金融再生プログラム −主要行の不良債権問題解決を通じた経済再生−」を指す。以下同じ。