茂木経済再生担当大臣記者会見要旨


令和元年6月5日(水)18:31~18:44
於:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.冒頭要旨

それでは、未来投資会議について報告いたします。まず、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」案について、原田環境大臣、河野外務大臣、さらに世耕経産大臣も含めて3閣僚から御報告いただきました。

続いて、今月にも取りまとめる予定の成長戦略実行計画案について、杉本公正取引委員会委員長にも御参加いただき、議論を行いました。

実行計画案でありますが、大きく3つのポイント。第一に、Society5.0の実現についてです。デジタル市場のルール整備を進めるとともに、モビリティについて「自家用有償」制度の法改正を図る。

第二に、全世代型社会保障への改革について。人生100年時代を見据え、70歳までの就業機会の確保に向けた法制度を整える。また、生活習慣病などの疾病予防や介護予防を強化するため、交付金制度の抜本強化を図る。

 第三に、人口減少の下においても、地域の暮らしを支えるインフラを維持するため、独占禁止法の特例法制を設け、乗合バスや地域銀行の維持を図る。
この3点について、原案を示して議論をしたところであります。

 総理からは、成長戦略こそ、アベノミクスのエンジン。第4次産業革命とも呼ぶべき急激な変革の時代にあって、人や資金が柔軟に動けるよう、これまでの発想に囚われない大胆な政策をスピーディーに実行に移していかなければならないというお話がありました。私に対しては、本日の議論も踏まえ、成長戦略実行計画案の早期閣議決定を目指し、調整を進めるよう御指示がありました。

私からは以上です。


2.質疑応答

(問)成長戦略実行計画案の第1章の基本的考え方で、付加価値の創出による労働生産性上昇の実現と謳われているわけですが、今大臣がおっしゃった3本柱を通じていかに生産性向上につなげていくか、ご決意・お考えをお聞かせください。

(答)ご覧いただいたように、具体的な表も示しながらどうやってマークアップ率を上げていくかを議論しているわけですけれども、ご指摘の第1章は、日本経済の現状と成長戦略の大きな方向性を示したものであります。この中には、当然政府の政策に関することは入っておりますが、それ以外にも企業経営に関すること、さらには労働問題に関することなどを幅広く取り上げ、現状を分析した上で、問題点・課題を明らかにしていると考えております。将来にわたって、成長戦略を考える一つの基準となるべき基本的考え方を第1章において示しております。
これに対し、第2章以下は、ご覧いただいているように政府が今年度取り組む具体策について、記しているところでありますが、これらの部分は、未来投資会議において、これまで、テーマごとにかなり議論を重ねてきておりまして、個々の論点ごとに議論して詰めてきたものの言ってみれば結論を示しております。この部分は、今年度、特に、次期通常国会に向けて取り組むものを中心に明記したところであります。

(問)先ほど総理の話にも成長戦略はアベノミクスのエンジンであるとありましたが、昨年までに作ってこられた成長戦略がエンジンとしてどのくらい成果を発揮していたのか、課題として残ったのはどういう点か、というのと、それを踏まえて、今回の実行計画案で工夫をされたり、新たに取り組んだことがあれば教えてください。

(答)アベノミクスはスタートして6年半になりますが、日本経済の状況は間違いなく改善しております。経済のパイ・規模は550兆円で過去最大となっております。さらに雇用情勢を見てみても、有効求人倍率は1.63倍と、45年ぶりの高い水準を示しているところであります。企業収益におきましても過去最高レベルといった状態であります。
さらにこれは大都市にとどまらず、地方においてもインバウンド需要であったり、様々な形で地域への波及が見られます。大都市から地方へ、そして企業から個人へ、そういった形でアベノミクスの成果は広がっていると考えております。同時に潜在成長率の引き上げていったり、企業が稼げる力、マークアップ率を取っていくなど更なる取り組みが必要な部分もあります。
同時にこれから高齢化や人口減少社会に入っていく中で、長寿社会を見据えながら、65歳定年というこれまでの、若いうちに教育を受け、それから就労して、そして老後を迎えるといった単線型の人生ではない、複線型と言いますか、様々な形で人生の再設計が可能になるような、制度設計が必要ということで全世代型社会保障改革をまさに進めているところであります。人口減少、これは確かに一つの問題ではありますけれど、人口減少で経済が衰退するという考え方ではなくて、人口減少下だからこそ、例えば第四次産業革命の新たな技術革新、こういったものが現場に取り入れやすい、また、取り入れていく必要がある。それを成長戦略に生かすこともできる。同時に人口減少下、特に地方でありますけれども、基盤となるようなインフラを残していかなければならない。交通インフラ、そして金融インフラ、こういったものを維持するにはどうしたらいいか。独禁法の適用除外、新たな法制度、こういったものを含めて踏み込んだ提案をしているところであります。

(問)細かいのですが、柱の一つの70歳までの雇用の確保の点で、年金の支給開始年齢の選択制のところを幅を持たせたいというところが書かれていますけれども、非常に重要な観点と思いつつ、選択制であるという点はあまり知られていないというか、使われていないようですけれども、この点についての大臣の認識をお聞かせください。

(答)支給開始年齢を遅らせることはしませんけれども、自分で選べる幅を広げていくということであります。ここについて、この問題だけではないですけれども、さまざまな新しい政策を打ち出しておりますから、国民の皆様によく理解していただき、それぞれの立場の人が自分が様々のことが選択できる、仕事もそうでありますが、制度についても選択できるといった形を取っていきたいと思っております。高齢者の働き方は、たとえば労働者の側から見ても、企業の側から見ても、今回7つのパターンを示しているわけですけれども、様々な選択肢をお互いが持てる、その中でベストなものを選んでいくという形を取っていければと思います。

(問)今お話に上がりました年金の件につながりますが、まず70歳までの定年延長だったり、定年の廃止も入っていて、今後企業に対し義務化されることも検討に入っていると思いますが、個人にとって、身体的な問題ではなく、意欲の問題で働きたくないという人もいると思いますが、不利な状況になりかねないということもあると思いますが、いかがでしょうか。

(答)文章を読んでいただきますと、そうでないことは明らかだと思います。継続雇用年齢の延長の在り方としては、これまで65歳までのときの3つのパターンに加えて、4つのパターンを示しております。それを個人、例えば高齢者の人も若い時とは健康状態であったり置かれている状況が違うわけですから、個々人に合った形の働き方を選べるようにしていくことが重要だと考えております。そのうえで、新しい制度でありますから、どこまで定着していくか、見極めなければならない、こういう段階から、2段階の取組という形にしております。

(問)全世代型社会保障のところで、「生活習慣の改善・早期予防や生活習慣病関連の医療需要や伸び行く介護需要への効果が得られることも期待される」と書いてあります。以前、3月20日に議論されたときには、「介護需要の適正化が図られれば」と記載されていましたが、適正化というと、抑制あるいは削減されるということの示唆があったと思いますが、「効果が得られる」という言葉の意味を教えていただけますでしょうか。

(答)書いてあるとおりです。個々の言葉について解釈する必要が無いくらい明確に書いてあります。書いてあることで解釈してください。

(問)成長戦略の名前についてお伺いしたいのですが、昨年までは未来投資戦略という名前で、今日の資料ではまだ「成長戦略実行計画案」となっておりますが、名称は変わるんでしょうか。

(答)それも含めてですが、あまり私はこだわっていません。どう決めるのかも考えてみますが、こだわりは無いです。


(以上)