西村経済再生担当大臣記者会見要旨


令和元年10月3日(木)17:58~18:06
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室

1.冒頭発言

 本日、未来投資会議を開催いたしました。新たな分野への投資促進及び第4次産業革命時代の規制改革について議論を行いました。
 議論の結果は、次の通りであります。

 第一に、新たな分野への投資促進についてであります。アベノミクスの成果として、企業が有する現預金が50兆円増加し、240兆円となっている中で、これを活かして、新たな分野の研究開発など長期的視点に立った投資にいかにして回していくかと、これが、我が国の将来の命運を左右するということであります。

 やる気のある既存企業がスタートアップ企業をM&Aする際や共同研究を行いやすくするため、支援策やルールづくりなど環境整備を図っていきます。新興国企業との連携も促進していきたいと思います。
 これらの取組によって、独自の新製品・新サービスの開発を促し、マークアップ率の向上を図っていきたいと考えております。総理からは、私を中心に、関係閣僚の協力をお願いしたい、との御指示がありました。

 中小企業についてでありますけれども、大企業との取引構造のさらなる分析を深めて、ともに成長できる取引ルールのあり方を示していきたいと考えております。
 全世代型社会保障改革においても、厚生年金の適用拡大などを進めるため、中小企業の生産性向上支援策の整備が不可欠であります。総理からは、菅原経済産業大臣を中心に検討を進めるよう指示がございました。

 これらについては、総理から、年末に中間報告をとりまとめ、来年の夏までに新たな実行計画を閣議決定したい、その御指示がありました。

 大きな二点目として、第4次産業革命時代の規制改革についてであります。AIによるビッグデータ分析の進展などにより、画一的な方法によらない規制制度を構築できる可能性が広がっています。
 このため、モビリティ、金融、建築の3分野を中心に、中長期的な観点から、将来の規制像のあり方の検討を開始することにいたします。

 総理からは、本会議に専門の会合を設置し、私を中心に麻生金融担当大臣、赤羽国土交通大臣が協力して、検討を進めるよう御指示があったところであります。

 全体として、新しい時代の技術を活用しながら構造改革を進めていくという民間議員の強い意志の感じられるご提案、ご発言が全体として印象に残っております。今申し上げた240兆円もの現預金、いわゆる内部留保のうちの現預金の部分が、投資に回っていくように、人材開発に回っていくように、しっかり環境を作っていきたいと思いますし、新たな時代の規制改革の在り方をしっかり考えていきたいと思います。

 私からは以上です。


2.質疑応答

(問)今回未来投資会議の大きなテーマの一つが、大企業のなかにたまった現預金、内部留保を新しい分野の投資に回してもらうということだと思いますが、大臣としては具体的にどのような施策からまず取り組んでいくべきだとお考えでしょうか。

(答)ぜひ現預金を活用していただいて、新たな分野の研究開発であったり、あるいは設備投資であったり、人材への投資であったり、あるいは中小企業との取引の適正化のなかで調達価格のアップであったり、長期的な視点でぜひそうした投資に取り組んでいただきたい、そうしたことにぜひ資金を回していただきたいと考えております。
 そのために、いくつか事例を申し上げたいと思いますけれども、例えば意欲のあるやる気のある既存の企業がスタートアップ企業をM&Aする場合であったり、ベンチャー企業と共同研究する場合、こういった場合、民間議員からも今日ご提案がありましたけれども、税制を活用したり、そうした支援策、あるいは例えばオープンイノベーションで共同して何か開発していく場合のルール作り、こうしたことについて環境整備を図っていきたいと思いますし、大学の活用についてもご意見がございました。大学をうまく活用しながら、産官学、あるいは産学オープンイノベーションを進めていくと、そういう環境整備を作っていきたいと思いますし、そうした際に、アジアを中心とした新興国企業との連携もぜひ促進していきたいと考えております。
 いずれにしましても、具体的な政策は今後議論を深めていきたいと考えております。

(問)企業のなかに現預金だったり内部留保がたまっている原因としては、各企業売り上げが上がってきているということがあると思うのですが、それ以外に何かありましたら教えてください。

(答)大きな背景の一つは、デフレの時代が長く続いたということだと思います。デフレの時は通貨を持つほうが価値があります。物の値段が下がっていきますので、通貨が相対的に価値が上がるということですから、そのデフレのマインドのなかで、現預金を持ち続けることの方が有利だというそういうデフレマインドがまだ残っているのだろうと思います。
 我々2%のインフレ目標のもとで緩やかな物価上昇が続いてきております。そうしたなかで、ぜひ未来に向かって企業が新しい技術に、あるいはベンチャー企業との協働に、あるいは人材に、ぜひ大いに投資をしてもらって、そしてそのなかで日本の未来を切り開いていければと思いますので、その環境をしっかり作っていきたいと思います。


(以上)