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「第2次答申−経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革−」
の決定・公表に当たって


1 はじめに

 我が国は、1990年代以降、長期経済停滞に陥っており、雇用状況は傾向的に悪化しているが、他方、財政政策・金融政策の有効に機能する余地が狭まってきているという深刻な状況にある。この背後には、1980年代までの高度成長期に確立した様々な制度・慣行が、その後大きく変化した経済社会環境に、もはや対応し難いものとなっていることが大きな要因として挙げられる。こうした状況を打開するため、現在強力に進められている構造改革の柱の一つとして、新規需要・雇用の創出、豊かな国民生活を実現する「規制改革」に対する期待が、今まで以上に高まってきている。
 例えば、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(平成14年6月25日閣議決定)においては、「規制改革を通じた民業拡大」が経済活性化戦略の基本思想とされており、また、「改革加速のための総合対応策」(平成14年10月30日経済財政諮問会議決定)においても規制改革が構造改革を加速する四本柱の一つに位置付けられている。このように、生活者・消費者の多様な選択肢が確保された豊かな経済社会システムの構築と、中長期的に持続可能な経済成長との双方を実現するためには、政府として、規制改革をより一層積極的に推進していくことが何よりも重要である。
 このような背景の下、総合規制改革会議(以下「当会議」という。)は、総理からの諮問に応え、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、今年度は、「経済の活性化」を統一テーマとして積極的な調査審議を積み重ねてきた。具体的には、当会議として、4月15日の会合以来、全委員による会議を計13回、ワーキンググループを計134回開催し、多くの関係団体、関係府省等からのヒアリング等を行ってきた。
 本答申は、今年度の当会議のこうした調査審議の積み重ねの結果を、「経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革」として、とりまとめたものであり、本日これを、内閣総理大臣に答申するものである。

2 「規制改革特区」など「分野横断的」・「省庁横断的」手法の導入 

 本答申を行うに当たって、これまで、当会議が取り組んできた幾つかの特徴的な点に触れたい。
 まず、検討の視点・手法についてである。具体的には、分野ごと・事業ごとの検討という従来の視点・手法にとどまらず、当会議としては、年度当初、@新しい事業の創出、A民間参入・移管拡大による官製市場の見直し、B活性化に資するビジネス・生活インフラ整備、C事後チェックルールの整備及びD「規制改革特区」の実現という五つの「分野横断的・省庁横断的テーマ」を設けた。そして、それぞれのテーマにかかわる制度・施策を分野横断的に比較検討することにより、一層の規制改革を推進するための議論を進め、7月24日に「中間とりまとめ」の決定・公表を行った。これらのテーマについては、本答申においては「第1章」で、その内容を掲載している。
 このうち、特に「規制改革特区」については、「中間とりまとめ」を受けた形で速やかに内閣総理大臣を本部長とする「構造改革特区推進本部」が設置されるなど、政府一体となった取組が本格化した。最終的には、その基本理念や制度設計等に関する当会議の提言内容が原則全て反映され、いわば当会議が「生みの親」となった形で、先般の「構造改革特別区域法」の成立をみたところである。
 さらに、構造改革特区については、来年4月からの法の完全施行のための準備と併行して、現在、来年1月半ばを締切りとする「第2次提案募集」が行われているところである。今後とも、当会議としては、本制度の一層の充実を図るため、構造改革特区推進本部等に対し、引き続き積極的な協力・支援を行っていくこととしたい。その結果、構造改革特区制度が、これまで以上に、規制改革の「突破口」として全国規模の改革を加速させ、我が国全体の経済活性化と国民生活の向上を強力に牽引することを期待したい。

3 株式会社参入を含む「官製市場の民間への全面開放」の必要性

 また、昨年度に重点的に取り組んだ、医療、福祉、人材、教育などの「生活者向けサービス分野(社会的分野)」や、産業活動に直接関係の深い「経済的分野」については、「中間とりまとめ」における分野横断的な検討の成果に基づき、主として年度の後半から、個別の分野別・事業別の精力的・集中的な調査審議を行い、検討の深堀りを行ってきた。この成果については、本答申において、「第2章」にまとめて掲載している。
 特に、当会議は、株式会社の参入が原則禁止されている医療、福祉、教育、農業の4分野など公的関与の強い事業分野を「官製市場」と呼び、それらの分野における株式会社参入や、国・地方公共団体と民間との役割分担などについて、「中間とりまとめ」までは横断的テーマの下で、その後は各事業分野ごとに、議論を重ねてきた。このうち、福祉、農業の両分野については、前述の構造改革特区制度の中で「特区に限った株式会社参入」が実現するとともに、教育分野については、「特に大学院レベルの社会人のための職業実務教育等の分野について、その在り方を検討すべき」とされ、15年度中に結論を得ることとして前進をみたところであるが、措置がなされていない医療分野を含め、全ての分野において、民間開放のスピードは、大変遅いものと言わざるを得ない。
 当会議としては、こうした「官製市場」を本来の健全な市場経済に移行させ、我が国に潜在する巨大な需要と雇用を掘り起こすため、今までの部分的・限定的な措置に止まらず、上記4分野における株式会社参入の解禁・推進を目指し、引き続き、様々な角度から積極的な議論を進めていく所存である。
 さらに、行政手続や、行政による不透明な解釈、基準認証等については、一つ一つは細かな規制であっても、全体として、民間事業活動を円滑に進めていく上で障害となるものである。今回、77の項目について、具体的な改善を図ったが、引き続き、事業活動を細かく規定している規制の改革に努めていく必要がある。

4 今後の規制改革の推進に当たって
−経済財政諮問会議との更なる連携強化−

 さらに、本年度、当会議は調査審議を進めていく過程で、節目節目に、宮内議長や石原規制改革担当大臣が出席して、経済財政諮問会議との意見交換を行った。経済財政諮問会議と当会議とのこのような連携は、改革を一歩でも早く、深く進めていく上で、極めて意義深いものであることから、今後とも更なる連携強化を積極的に進めていく必要がある。この点については、先の第37回経済財政諮問会議において、規制改革をより強力に推進するために、以下の3点を内容とする「新たなイニシアティブ」を検討開始することの必要性に関し、出席者の間で、概ねの合意がなされた。
@経済財政諮問会議の協力の下、規制改革について、半年ごとに目標を設定し、それを3か月ごとに評価していくシステムの導入
A「官製市場(医療、福祉、教育、農業など)の民間企業への全面開放」を中心に、現行の「規制改革推進3か年計画」の終了時である平成15年度末までに、実現を図るためのアクションプランの策定
B関係省庁に対する勧告権の総合規制改革会議への付与や成果主義の導入による、現在の規制改革推進体制の抜本的強化
 これらについては、来年早々に経済財政諮問会議において再度審議されることになっている。引き続き同会議との密接な連携を図りつつ、構造改革特区を活用しながら、上述の4分野における株式会社参入などの「官製市場の民間への全面開放」の問題を筆頭に、規制改革をさらに加速させてまいりたい。

5 おわりに

 最後になるが、当会議としては政府に対し、本答申で示した規制改革に関する施策内容を一刻も早く、かつ的確・確実に実現するよう、切に要請する次第である。今後とも、国民及び関係各界の一層のご支援とご協力をお願いしたい。