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3 活性化に資するビジネス・生活インフラ整備

1 公益事業関係

【問題意識】

 我が国産業の競争力向上のためには、国民生活及び産業活動の基盤となるいわゆる「公益事業分野」において、料金の低廉化及びサービスの多様化・質的向上による消費者選択の拡大を図り、高コスト構造を是正することが重要である。
 公益事業分野の中でも、巨額の初期設備投資を必要とする電気通信事業、電気事業、ガス事業、運輸事業といった分野(以下「ネットワーク事業分野」という。)では、サービス提供に不可欠な設備(いわゆる「エッセンシャルファシリティ」)が既存事業者によって所有される等自然独占性がある程度残らざるを得ない側面がある。
 このため、エッセンシャルファシリティの公平かつ公正な利用に関する条件等競争ルールを整備し、業種を超えた参入を含めた新規参入を促進するとともに、その遵守状況の監視機能を確立し、事前規制から事後規制への移行を促進することが重要である。
 下記事項のうちIT関連の規制改革については、当会議での議論を踏まえIT戦略本部において、積極的に検討し結論を得ることを期待したい。

【具体的施策】

(1)市場参入の促進及び競争ルールの整備

@ 既存事業者間を含めた競争を促進するための参入規制等の見直し
 ネットワーク事業分野においては、「競争的産業における需給調整の視点からの参入・設備規制については、原則として、10年以内のできるだけ早い時期に廃止の方向で検討する」とされた臨時行政改革推進審議会(第3次行革審)の第3次答申(平成4年6月19日)、「需給調整規制については、撤廃の方向で見直す」とされた「規制緩和推進3か年計画」(平成10年3月31日閣議決定)等に基づき、新規参入を制限する需給調整規制の廃止が進められてきた。

 電気通信事業分野では、現在、新規参入を一層促進する観点から、一種・二種の事業区分の廃止、参入規制の大幅な緩和(許可制の廃止)等について検討が行われているが、全般的に規制水準を引き下げる方向で抜本的に制度を見直していくべきである。その際は、法益に照らし合わせ、事業者の自由な創意工夫を阻害することのないよう、事前規制については適切な範囲で必要最小限のものとすべきである。【平成14年度中に検討・結論】
 また、平成11年7月に、NTTを持株会社の下に、地域通信事業を行う東・西NTT、長距離国際事業を行うNTTコム、移動体通信事業を行うNTTドコモという形にする再編成が行われたが、NTT関係の各事業会社が独立した経営体として相互に競争を行うよう注視すべきである。

 電気事業分野では、「規制改革推進3か年計画(改定)」に記載されているように、以下の事項について検討し、結論を得るべきである。
 小売自由化範囲の拡大については、需要家が供給者に関する選択肢を確保し得る環境整備を進めつつ、高圧(受電電圧6kV以上の需要家:中小ビル・工場向け)までの自由化を行うとともに、家庭用などの全面自由化に向けたスケジュールを明示し、早急に取り組むべきである。
 また、既存事業者間の相互参入を促進し、市場自由化メリットの広範な享受及び事業者の自由な事業展開を実現する観点から、連系送電線を中心とした基幹送電線について、全国的視野からの整備の必要性を踏まえつつ、既存電気事業者に限定されない主体による送電線の整備ルールや整備計画の作成などが行われる仕組みを整備すべきである。
 さらに、自家発電設備を所有する事業者が近隣へ電力を供給する場合、特定電気事業や特定供給の場合を除いて、現状では自ら送電線を引いて供給することはできず、電力会社に託送料を支払い電力会社の送電線を使って供給せざるを得ないが、国民経済的観点にも配慮しながら、原則として自由な送電線建設を認めるべきである。その際、送電線建設を認めることで自由化部門では不必要となる特定供給に対する許可規制の在り方や、新規参入事業者が建設したネットワークのオープンアクセスについても併せて検討すべきである。【平成14年度中に検討・結論】<「エネルギー」1に関連記述あり>

 ガス事業分野では、大口需要家に対する小売等一定範囲で新規参入が認められているが、今後とも活発な参入が促進されるべく、小売自由化範囲の拡大スケジュールを明確にして、早期にこれを実施するとともに、家庭用を含む小規模需要の自由化の実現性についても検討すべきである。【平成14年度中に検討・結論】<「エネルギー」2に関連記述あり>

 国内航空、鉄道、海運、タクシー等の運輸分野については、「規制緩和推進3か年計画」(平成10年3月31日閣議決定)において需給調整規制の廃止が決定され、各分野において規制緩和が行われたが、今後とも、以下の事項を含め、活発な参入を促進すべきである。【平成14年度以降逐次実施】

(ア)港湾運送事業に係る規制【平成15年度中に結論、以降速やかに措置】
 主要9港以外の地方港については、需給調整規制を廃止し免許制を許可制にする規制緩和について、平成15年度中に所定の結論を得て、以降速やかに措置を講ずるべきである。「運輸」1に再掲>

(イ)タクシー事業における緊急調整措置の見直し【逐次実施】
 タクシー事業については平成14年2月に需給調整規制が廃止されたが、同時に一定の条件下では需給調整措置を採ることができる緊急調整措置が設けられた。これに関連し当初は140箇所が特別監視地域に指定された。さらに、今年度に入って、沖縄には実際に緊急調整措置が発動され、特別監視地域も212箇所に激増している。特別監視地域が当初より多く、さらに、今年度激増している原因には、その指定要件のうちの実車率の低下率が過去5年間平均対比で「流し地域」では10%超であるのに、「非流し地域(流し比率の著しく低い地域)」では2%超と著しく低く設定されていることもある。緊急調整措置の発動地域が拡大すれば需給調整規制を廃止した趣旨を根底から損ねる危険性があり、その発動は厳に必要性があるケースに限定されなくてはならない。したがって、当会議の第1次答申でも指摘したように、特に、非流し地域における実車率の低下率の数値引き上げを含めて、安易な需給調整規制の復活という事態に至らないよう、制度の不断の見直しを行うべきである。「運輸」7(1)に再掲>

A 有限希少な公共財の公平な配分
 飛行場施設や電波など公共資源については、行政により、免許・許可等の形で一種の利用権が割り当てられているが、競争を促進する観点から、公平かつ透明な制度を実現することが必要である。

 電気通信事業分野では、最適な周波数再配分方策について、既存免許人への対応などの具体化を図るため、オークション方式など外国で行われている割当の実施状況の問題点を含め調査した上で、公平性、透明性、迅速性、周波数利用の効率性等の観点から、検討を行うべきである。【平成14年度検討、平成15年度結論】

 国内航空事業では、平成17年に混雑空港発着枠の再配分が行われるが、その際には、客観性及び透明性の確保や支配的事業者とその他の事業者との競争条件に十分配慮した上で、基準を明確かつ具体的に設定すべきである。【平成14年度以降検討】

B 新規参入者を一定程度育成するための措置
 ネットワーク事業分野においては、支配的事業者に対し自然独占性が残る非競争的分野と競争的分野との区分経理を義務付ける等の競争環境整備が重要である。特に、競争導入の初期段階では、既存事業者と新規参入者との間に、設備、人材等あらゆる面において大きな差があることから、新規参入者を一定程度育成する措置を、非対称規制を含めて、検討することが必要である。

 電気事業分野については、非競争分野から競争分野への内部補助防止のため会計を明確に区分経理するとともに、内部補助防止のための有効な措置を検討すべきである。【平成14年度中に検討・結論】

 国内航空事業分野では、新規参入者の開設した路線に係るその割安な料金を標的にして、競合する路線・時間帯の特定便に係る料金値下げが既存航空事業者によって行われ、公正な競争が阻害されているのではないかとの指摘があるが、独占禁止法(昭和22年法律第69号)違反行為への厳正な対応等、適切な対応を図るべきである。
 また、事業運営上不可欠な搭乗受付カウンター、旅客搭乗橋等の空港施設についても、既存事業者が使用しているスペースを新規参入者が公平に使用できるよう、新規参入者の要望を踏まえ、既存事業者に協力を要請すべきである。【平成14年度以降逐次実施】

C 業種を超えた参入の促進【平成14年度から検討・措置】
 個別事業分野における既存の設備を有効活用する形で、電気事業者、ガス事業者、電気通信事業者による業種を超えた参入が進展している。このような参入は、ネットワーク事業分野における競争を促進する上で、望ましいものであり、参入を促進する観点から、その公平性の確保を図るべきである。
 今後、こうした業種を超えた参入が活発化すると考えられるが、事業所管省庁は、他分野における市場支配力等を背景とした反競争的行為が行われることがないよう、参入等に当たって適切な担保措置を講ずべきである。また、問題となる行為が見られた場合には、事業所管省庁及び公正取引委員会は、積極的にこれを是正・排除すべきである。

D 卸市場の整備
 自然独占性が残るネットワーク事業分野において、サービスベースの競争を促進する観点から、多様な事業者が、需要家の要請に応じて、柔軟にサービスが提供できるよう、事業者間で取引を行うことができる市場の創設が必要である。

 電気通信事業分野では、移動体通信事業における再販事業者の参入を促進するためガイドラインが策定されているが、制度の透明性・予見性を一層高める観点から、引き続き、当該ガイドラインの見直しを行うべきである。【平成14年度以降逐次実施】

 電気事業分野では、全国規模の取引が行われる卸電力市場の整備を検討すべきである。【平成14年度中に検討・結論】

 ガス事業分野では、小売市場の競争を促進する観点から、新規参入者や中小事業者が必要な天然ガスを容易に確保できるよう、現在の託送制度と同様の制度を卸売分野においても導入すべきである。【平成14年度中に検討・結論】

E インフラ整備の促進【実際上の必要性が生じた場合に検討】
 インフラ整備を通じて競争を促進する観点から、電気通信事業分野における光ファイバ網などの通信ネットワーク、電気事業分野における連系送電線などの送電ネットワーク、ガス事業分野における導管ネットワークの整備に際して必要となる工事や土地利用等に係る各種規制について、高コストの原因となっていないか、過剰規制となっていないか等について点検を行い、インフラ整備を抑制している規制があれば、これを緩和する等の措置を講ずるべきである。
 また、コージェネ等の分散電源に係る熱導管ネットワークの普及促進のため、熱供給事業法の対象外の小規模(21ギガジュール/hr未満)の熱供給導管についてもエネルギー政策等の観点から公共財的性格が法令上位置付けられれば、義務占用に準じた道路占用を認めることを検討すべきである。

(2)エッセンシャルファシリティの開放

@ 提供義務
 エッセンシャルファシリティは、サービス提供事業者にとって利用せざるを得ない不可欠な設備であることから、その新規参入を促進する上では、合理的な理由がある場合を除き提供を義務付ける等、その公平な利用を保証することが必要である。

 電気通信事業分野では、全電気通信事業者に対し接続を義務付けるとともに、東・西NTTの地域通信網及び一定シェアを有する携帯電話会社の設備について、接続約款策定・認可または届出・公表を義務付ける接続ルールが整備されている。

 電気事業分野の託送制度について、既存事業者及び新規参入者双方の利用上の公平性の確保のための制度整備について検討すべきである。【平成14年度中に検討・結論】<「エネルギー」1に関連記述あり>

 ガス事業分野では、託送制度の対象は大手都市ガス4事業者に限定されているが、自由化が進展するガス市場において競争が真に機能するよう、早期に、託送制度の適用対象を他の一般ガス事業者、さらには他のガス供給用の導管を保有する事業者にも拡大すべきである。【平成14年度中に検討・結論】<「エネルギー」2に関連記述あり>

A 会計分離、情報遮断の徹底等
 エッセンシャルファシリティの公正かつ公平な利用を確保する観点から、厳格な会計分離、情報遮断等を確実に担保するとともに、当該事業者の競争部門とその他の事業者が同等の条件で利用できているかどうかチェックすることができる仕組みを設けることが不可欠である。その担保方策としては、こうした行為規制による対応を基本とするが、仮にこうした対応によっても、十分な担保がなされない場合は、既存事業者を競争部門と非競争部門に分離する等の構造的措置を検討することが必要である。

 電気通信事業分野では、東・西NTTに対し、接続会計の整理・公表、情報提供努力を義務付けるとともに、情報提供等に関する不利な取扱い等を禁止している。

 電気事業分野について、「規制改革推進3か年計画(改定)」に記載されているように、以下のような事項について検討し、結論を得るべきである。
 電力系統の運用への影響を考慮する必要があるとの指摘等を踏まえつつ、中立性、公平性、透明性の担保措置を講ずるべきである。
 具体的には、

(ア)電力系統の運用ルールの見直し(既存事業者とは異なる中立的な主体によるルール設定及び公平・中立な電力系統運用が行われるといった海外における方策も踏まえた制度、新規参入者が安心して技術情報を電力系統の運用者に公開できる仕組み、新規参入者に対する電力系統に関する技術情報などの公開、送電線の空き容量が適時確認できるシステム)
(イ)一層厳格な会計分離の徹底
(ウ)既存電気事業者の送電部門と他部門の情報遮断の確実な担保
を行うべきである。【平成14年度中に検討・結論】

 ガス事業分野では、託送制度の対象となる事業者の導管部門とその他の部門との間で、一層厳格な会計分離の徹底を行うとともに、厳格な情報遮断の仕組みを整備すべきである。【平成14年度中に検討・結論】

B エッセンシャルファシリティの利用料金等【平成14年度から検討・結論】
 エッセンシャルファシリティを独占的に所有する事業者が、エッセンシャルファシリティを開放する場合の利用料金については、以下のとおりとする。エッセンシャルファシリティの利用料金のうち従量部分は、限界費用に基づくことを原則とすべきである。特に、混雑がある場合には、既得権を不当に重んじることなく、エッセンシャルファシリティの社会的に見て最も価値のある使い方を図るため、混雑料金あるいは入札で、エッセンシャルファシリティの使用料を決めることを原則とすべきである。
 エッセンシャルファシリティについては、厳格な分離会計に基づき、その利用料金の適正性を行政がチェックできる制度とともに、その料金の適正な水準を担保する仕組みを設けることが必要である。

 電気事業分野において、自由化範囲を拡大する際に、いわゆる同時同量の原則を高圧分野以下の需要家を含めて要求することとした場合には、メーターの設置コスト等が膨大となり、それ自体が新規参入者に対する参入障壁となる可能性もある。したがって、「規制改革推進3か年計画(改定)」に記載されているように、以下のような事項について検討し、結論を得るべきである。
 同時同量の確保の方法について、電力系統全体では同時同量が守られる必要がある等の技術的な要素も踏まえつつ、より柔軟な制度への見直しを行うべきである。

(3)有効な競争監視体制の構築

 ネットワーク事業分野では、これまでも各事業所管省庁と公正取引委員会によりガイドラインが策定されるとともに、競争状況の監視、紛争処理等が行われてきたが、一部の分野では、このような対応に関して、未然防止策が不十分である、紛争処理体制及び権限が不十分である、紛争処理に長期間を要する、専門的知識が欠如している等の不満が新規参入者から出されている。
 ネットワーク事業分野において公正競争を確保するためには、特定事業者の有するエッセンシャルファシリティの公平な利用を始めとした競争ルールが個別事業法やガイドライン等により明確に定められるとともに、市場の特性、法制度及び技術に関する専門的知識を背景として、公正・透明かつ迅速な競争ルールの遵守状況の監視及び紛争処理がなされることが重要である。
 また、証券等に係る競争監視体制の在り方については、中立性及び監視機能の強化等の観点を踏まえつつ、議論が行われることが望まれる。

@ ガイドラインの適時適切な見直し等【平成14年度以降逐次実施】
 上記(1)及び(2)の提言を踏まえ、個別事業法において競争ルールに関する所要の規定を整備していくとともに、法運用に関する事業者の予測可能性を高め、紛争、法令違反を未然に防止する観点から、競争の進展状況や紛争事案等を踏まえ、具体的事例を示した既存の個別事業分野におけるガイドラインを適時適切に見直していくべきである。

A 専門分野におけるエンフォースメントの強化

ア 証券取引分野における市場監視機能の強化等【平成15年度中に検討・結論】
 我が国経済の再生・発展にとって、市場機能を中核とした金融システムを確立していくことが喫緊の課題となっており、その際、一般投資家を含め、市場参加者の裾野を広げていくことが重要であるが、現状は、証券市場について国民の十分な信頼を得られているとは言いにくい状況にある。また、金融・証券取引の分野におけるルールは事前型から事後型へシフトしつつあり、事後型ルールに対する法益が増大している。そこで、一般投資者の市場に対する信頼感を醸成するためには、ルールの一層の整備が必要であるとともに、ルールに違反した者にきちんとペナルティを課せられることが最低限必要であり、また、法益の増大にかんがみると、そのペナルティも強化される必要がある。これらの点を踏まえ、証券取引分野においても、証券市場監視を強化する観点からのエンフォースメント手段の強化・拡充及び複線化、並びに罰則規定の見直し等が必要である。また、資本市場の健全性と公正性をより一層確保できるよう、市場の監視取締体制について、十分な人員及び予算を確保することが必要である。また、行政上の制裁措置等や、不公正取引、ディスクロージャー等に係る資本市場の監視取締に必要な規則の制定については、市場により近い証券取引等監視委員会が一層重要な役割を果たすことが肝要であり、そうした方向性に沿って、更なる独立性向上の必要性も含め、市場の監視取締体制の在り方について検討を行い、結論を得るべきである。「競争政策」3(1)に再掲>

イ 電気通信事業分野におけるエンフォースメントの強化【平成14年度から逐次措置】
 電気通信分野においては、平成13年に電気通信事業紛争処理委員会が設置され、紛争処理については一定の迅速性を持った対応がなされているところであるが、引き続き、市場参加者のより一層の信頼を得るべく、市場環境の変化に即応した競争ルールの見直しを図るとともに、情報収集、監視、紛争処理、制裁措置といったエンフォースメントの強化に一体的な取組を図るべきである。「競争政策」3(2)@に再掲>

ウ エネルギー分野における競争監視機能の強化【平成14年度中に措置】
 電気事業分野においては、昨年度当会議が提言した市場監視及び紛争処理のための監視機関に高度のチェック機能を付与すべきである。また、ガス事業分野においても、市場の公正な運営を監視するための機関の設計を検討すべきである。「競争政策」3(2)A「エネルギー」1に関連記述あり>

B 専門的機関の機能・権限【平成14年度中に検討・結論】
 ネットワーク事業分野における専門的機関については、迅速な紛争処理、競争監視の実効性確保、競争ルール策定との連携を実現する観点から、その整備に当たり、以下のような機能・権限を付与することについて検討すべきである。
 ア 斡旋、仲裁などの事業者間の紛争処理機能
 イ 情報遮断、会計分離等を含む競争ルールの遵守状況等の監視及び調査権限
 ウ 監視、紛争処理の成果を競争ルール策定に適切に反映するための勧告権限

C 公正取引委員会の機能強化
 公正取引委員会の競争監視機能は、市場が正常に機能することを担保するために極めて重要であるが、その専門性、事案処理の迅速性等についての不満がネットワーク事業分野の新規参入者から出されている。市場開放が進められている当該分野において公正競争を確保する観点から、公正取引委員会の審査体制及び機能を強化し、独禁法違反被疑事実に関する処理の迅速化を図るべきである。【平成14年度中に検討・措置】<「競争政策」2(1)に関連記述あり>
 また、公正取引委員会の位置付けについて、規制当局からの独立性及び中立性等の観点からよりふさわしい体制に移行することを検討すべきである。【平成14年度以降検討】

D 専門的機関と公正取引委員会の関係について【平成14年度以降逐次実施】
 実効性ある競争監視及び公正・透明かつ迅速な紛争処理を確保する観点からは、競争の基本ルールである独占禁止法を所管する公正取引委員会と、各事業法を所管する事業所管省庁又は専門的機関が、それぞれの法律に基づき、競争ルールの遵守状況の監視、紛争処理を行うことができるようにし、両者の競合緊張関係の下で、適切な処理が行われることが重要である。
 このような関係の中で、競争の進展状況や紛争事案等を踏まえ、迅速かつ柔軟にルールの見直しが行われ、それが監視や紛争処理に活用されるよう、公正取引委員会、事業所管省庁、専門的機関の間で、適時適切に情報交換が行われる等、実効性ある連携が図られるべきである。「競争政策」3(2)Bに関連記述あり>

2 司法サービスに関するインフラ整備

【問題意識】

 司法サービスに関するインフラ整備については、従来から指摘されている法曹人口の抜本的拡充が急務である。法科大学院に進まない者の資格取得も十分なものとなるよう配慮しつつ、法曹人口が計画的かつ早期に拡大するように制度設計する必要がある。
 また、司法制度改革推進本部における検討は、幅広に論点を網羅するとともに、法曹や関係機関の特定の利害を反映することなく、着実に進める必要がある。

【具体的施策】<「法務」1に再掲>

(1)法曹人口の更なる拡大【引き続き実施】

 司法試験合格者数を年間3,000人とするため、平成16年にはその達成を目指すべきとされている1,500人程度への増員以降、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22年頃にその達成を目指すべきとされている3,000人程度への増員に向けて計画的かつ早期の実施をすべきである。
 また、実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、平成22年頃までに3,000人程度に増員されても、これが上限を意味するものではないので、この点を踏まえて、その後のあるべき法曹人口について更なる研究・検討を行うべきである。

(2)法科大学院非修了者への司法試験受験資格の確保【平成14年度中に措置、以降も逐次実施】

 平成18年度より実施される新司法試験においては、法科大学院を修了していない予備試験合格者であっても、法科大学院修了者と全く同じ条件で新司法試験を受験することができることが確保されるべきである。
 さらに、予備試験の実施に際しては、法科大学院修了者と同様の素養があることを判断するためのものであるという本来の趣旨が確保される必要があり、したがって、新司法試験の合格率において予備試験合格者と法科大学院修了者との間で可能な限り差異が生じないようにすべき等との観点を踏まえつつ、両者の公平性が保たれるように予備試験の方法や合格者数等について見直しを行っていくべきである。

(3)専門分野(知的財産権、国際企業法務、医療等)に通じた法律家の養成【平成14年度中に措置、以降も逐次実施】

 法科大学院の設置基準について、弁護士等の実務家が専任教員を兼務することが認められるべきであり、また、必要修得単位93単位の中には、有用な実定法以外の科目が含まれているべきである。こうした観点から、専門分野に通じた法律家を養成するため必要な場合には、必要専任教員数や必要修得単位数の引き下げも含めて対応策を検討し、適切な措置を採るべきである。
 また、法科大学院の設置基準については、各法科大学院の判断で公認会計士、医師等の専門家を入学選抜試験で優遇することを可能とする基準とすべきである。
 また、法学以外に専門を持たない法学部卒業者に関して必要に応じて法科大学院以外の大学院の科目の単位を取得するような指導も行いつつ、法学部出身者でない法学既修者に対しても、法学以外の学問を一定以上修得している法学部卒業者と同様に、2年での修了を積極的に認めるような運用がなされるようにするための措置を検討すべきである。
 さらに、法科大学院への入学者選抜に際しては、同一の大学法人が設置する大学の学部卒業者が優遇されたり、法学部又は法学科出身者の割合が過大になることのないよう、第三者評価による情報公開などを通じた実効的な措置を講ずるべきである。

(4)法科大学院の設立等【平成14年度中に措置】

 法科大学院の設立に関する制度設計については、必要な質を担保する客観的条件を満たす場合には設立を認めることとすべきであり、設立後は、市場の評価を通じた教育の質の改善ができるように、行政は正しく十分な情報公開を担保する措置を採るべきである。

(5)司法修習の給費制の見直し【平成15年度中に検討・結論】

 司法修習に関しては、法科大学院設立による実務教育の実施を踏まえれば、給費制については、法科大学院を含めた法曹養成制度全体を視野に入れつつ、その廃止を含め見直すべきであり、また、修習期間が1年に短縮されること等に伴い内容についても見直しを行うべきである。

(6)弁護士法第72条の見直し【遅くとも平成15年度末までに措置】

 弁護士法(昭和24年法律第205号)第72条について、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め検討した上で、その規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保することとし、所要の措置を講ずるべきである。
 なお、法律サービスの質的向上のためには、その担い手の増加を通じた競争の活性化が重要であるところ、非弁護士の法律事務の取扱等を禁止する弁護士法第72条については、非弁護士の法律事務の取扱可能範囲を拡大させる観点から、例えば、以下のような指摘も行われており、上記の検討はこれらの指摘があることも認識しつつ行われるべきである。
@弁護士法第72条ただし書において、弁護士法で別に定める場合を例外としているが、司法書士法(昭和25年法律第197号)など他の法律で例外が定められていることを踏まえ、これを改めるべき
A法廷外法律事務について、弁護士以外の専門家(隣接法律専門職種に限定しない)が行えるようにすべき、少なくとも、会社がグループ内の他の会社の法律事務を有償で受託できるようにすることを含めて消費者保護の必要性が薄い対事業所向けの法律サービスについては直ちに弁護士法第72条の例外とすべき
B会社から権限を付与された社員が、当該会社の訴訟代理人となれるようにすべき
C弁理士の訴訟代理権について、弁護士との共同との条件を撤廃すべき
 なお、税理士、司法書士についても、法改正がなされ、隣接法律専門職種の業務に一定の法律業務が追加付与されたところであるが、規制改革委員会の第2次見解及び司法制度改革審議会の意見等を踏まえ、更なる業務拡大が可能かどうかの観点から、引き続き、これらの法律の改正後の状況について注視していくべきである。

(7)弁護士業に係る規制緩和【次期通常国会に法案提出】

 国際化時代の法的需要に対応するためにも、弁護士と外国法事務弁護士等との提携・協働を推進することは必須である。その見地から、共同事業についての目的制限の撤廃等による自由化を実施すべきであり、外国法事務弁護士による雇用禁止規定については、これを撤廃すべきという指摘等があることも踏まえて見直しを実施すべきである。また、これらの実施の際に弊害防止措置を設けるとしても、必要最小限のものとする必要がある。
 また、司法制度改革審議会意見では、弁護士法第30条第1項に規定する公務就任の制限及び同条第3項に規定する営業等の許可制については、届出制に移行することにより自由化すべきであるとしており、早期に所定の措置を講ずるべきである。

3 都心高度化

【問題意識】

 都心高度化に関連して、建築物等が従うべき各種の基準については、建築基準法(昭和25年法律第201号)、消防法(昭和23年法律第186号)等にそれぞれ異なる立法目的から異なる内容の規定が設けられている。そのうち、例えば、防耐火関係の規定については、消防法が、火災を予防、警戒、鎮圧(消防活動)することを目的とし、建築基準法が、火災による建築物の倒壊の防止、火災時における安全な避難の確保等を目的としているとされている。
 このように、同一対象物に係る規定が複数の法律に存在する場合には、技術水準の動向、社会的ニーズの変化、法律間の相互関係等を総合的に勘案しながら、常にその合理性を検証し、規定内容の見直しを行うことが必要である。なお、見直しを行う際には、それぞれの規定の具体的な目的及び必要性について説明責任が果たせるようにするという観点が重要であることは言うまでもない。

【具体的施策】

(1)重畳的規制の整理・合理化等

@ 重畳的規制の整理・合理化【平成14年度検討開始、逐次実施】
 排煙設備は、人命を守り火災により発生した煙を排出するための設備であるが、消防法(昭和23年法律第186号)の規定が消火活動上の支障とならないようにすることを目的としている一方、建築基準法の規定は避難上支障とならないようにすることを目的としている。沿革的には、当初は消防法のみに規定があったものであるが、次第に建築基準法の規定が整備されてきたため、現在の運用では、両法が適用される場合でも、概ね建築基準法の基準で設定すればよいとされている。今後とも、このような例においては、関連する規定を所管する省庁間で十分連携を取り合い、法令改正等により必要が生じた場合には、統一的な運用を行うために必要な手続を所管省庁間で定め、外部に公表すべきである。
 さらに、建築基準法においては、スプリンクラー設備が設置されている場合に防火区画や内装不燃化の緩和ができるとされ、消防法においては、逆に防火区画された小区画室についてはスプリンクラー設備の設置が免除されている。このように、代替的な内容の規定相互間においては今後とも、技術水準の向上等を踏まえつつ、必要が生じた場合には、整理・合理化を推進すべきである。「住宅・土地、公共工事」3(1)に再掲>

A 消防法・建築基準法の性能規定化等による合理化【平成14年度検討開始、逐次実施】
 建築基準法については、平成12年から、具体的な材料・寸法等を規定する方式(いわゆる仕様規定)に加え、構造及び防火材料、耐火建築物の主要構造部等については、一定の性能を満たせば多様な材料・構造方法等を採用できる方式(いわゆる性能規定)が選択肢として追加されたところである。関連する消防法についても、建築基準法の性能規定化との整合性を確保するとともに、消防法に規定する消防用設備や消火活動上必要な施設について、できる限り性能規定化を図るべきである。
また、建築基準法においても、消防法の性能規定化に伴い必要となる性能規定の整理・合理化を行うべきである。「住宅・土地、公共工事」3(2)に再掲>

B 加圧防排煙システムに係る手続の見直し
 建築基準法上、避難上の安全を確保するための排煙設備のうち加圧防排煙システムについては、同システムが個別の建築物の形状等を基に避難上の安全性を検証し、給気排煙設備を制御しなければならない高度なシステムであるため、個別に大臣認定を受けなければならないこととされている。同システムは適切に計画、管理がなされれば安全性の高いシステムであり、現在、主として高層ビルにおいて採用されてきている。また、避難階段附室と非常用エレベーターロビーは、平成12年の建築基準法改正前には兼用でき、導入事例も多かったが、改正後には兼用は認められなくなった。
 今後、加圧防排煙システムについては、大臣認定によらず、建築主事等による建築確認により採用することができるよう技術的可否を含め検討すべきである。その際、排煙設備は一般空調用の換気ファン(排気ファン)を兼用できるよう検討すべきである。【平成14年度検討開始、平成16年度結論】
 また、加圧防排煙システムを採用する際に、避難階段附室と非常用エレベーターロビーを兼用できるよう、消防法の性能規定化の中で検討するとともに、その結果を踏まえて、建築基準法においても附室とロビーの兼用を検討すべきである。【逐次検討】<「住宅・土地、公共工事」3(3)に再掲>

C 消防・建築関係の指導の適正化【平成14年度中措置】
 超高層建築物等について、火災等の災害時に人命救助等を容易にするため、地方公共団体の消防担当部局が、ヘリコプターの緊急離発着場等の設置を求めるなど、法令上義務付けられた水準を超えることを求める指導を行う場合がある。
 また、建築確認の際に、特定行政庁や指定確認検査機関が、性能規定化以前に行われていた防災評定や構造評定(高さ45m超60m以下の建築物について)を求めるなど、従前の取扱いに基づくことを求める指導もあるとの指摘がある。
 このような指導の性格は、本来、任意の協力を求めるものであり、強制力を伴うものではない旨、通知により地方公共団体等に周知が図られてきたところであるが、改めて、同趣旨を周知徹底すべきである。「住宅・土地、公共工事」2(4)に再掲>

(2)道路空間と建築物の立体的利用の推進【平成14年度検討開始、平成15年度以降結論】

 建築基準法上、道路内に建築物を建築することは原則として禁止されており、例外的には、地盤面下の建築物、公益上必要な建築物、地区計画の区域内の自動車のみの交通の用に供する道路等の上空又は路面下に設けられる建築物、公共用歩廊、渡り廊下、高度利用地区等内の自動車のみの交通の用に供する道路の上空に設けられる建築物、高架の道路の路面下に設けられる建築物、自動車のみの交通の用に供する道路に設けられる休憩所等が建築可能である。しかしながら、都心の高度利用のニーズに応えていくためには、今後より一層の道路空間と建築物の立体的な利用が求められる。
 このため、適正かつ合理的な土地利用が図られ、避難、消火、延焼防止、さらに採光、通風等良好な市街地環境の形成等の観点から支障がなく、かつ、道路構造の保全、安全で円滑な道路交通の確保等道路管理上の支障がない場合においては、都市計画上の位置付けを明確にすること等により道路空間と建築物の立体的利用を図ることについて検討すべきである。「住宅・土地、公共工事」1(3)に再掲>

(3)航空関係規制の合理化

@ 航空法による建築物等の高さ制限の合理化【平成14年度検討開始、平成15年度中目途に一定の結論】
 空港に隣接する地域の建築物等については、建築基準法のほか、航空機の運航の安全性を確保する観点から、航空法(昭和27年法律第231号)に基づき、空港からの距離等に応じた高さ規制(いわゆる「制限表面」規制)が行われている。
特に、都心部に隣接している主要空港の規制については、昭和30年代に定められたまま、その後見直しが行われていないため、高度利用を実現するための制約となってきている。
 したがって、我が国の各空港が置かれている気象・地形などの自然的・地理的条件、稠密な市街地や船舶の輻輳する港湾等と近接しているといった立地条件や航空機の運航実態を踏まえた運航の安全性の確保と環境面の配慮の必要性を十分に考慮に入れて、最近の我が国の就航機材の実情、諸外国の類似例等を踏まえ専門的・技術的観点から現行の制限表面の合理性について再検証を行い、都心の高度利用のニーズも踏まえ、制限表面の見直しを検討すべきである。「住宅・土地、公共工事」1(4)に再掲>

A 航空障害灯に係る規制の合理化【平成14年度検討開始、平成15年度結論】
 地表又は水面から60m以上の高さの建築物等については、航空機の安全な運航を確保する観点から、航空法に基づき航空障害灯を設置することが義務付けられている。本制度については、昭和35年に現在の枠組みが確立されたが、その後、建築技術の進歩等により、高層建築物等が著しく増加するとともに、都市開発の進展に伴う高層建築物の群立化も進んできており、航空障害灯の規制をめぐる環境は昭和35年当時とは大きく変化してきている。このような中、平成12年及び13年には、航空障害灯の設置基準は相当程度緩和されており、この点は評価できる。
 しかしながら、都心の高度利用の更なる進展に対応するとともに、ライトアップ等の都市美観との調和による都市景観の向上に資するため、航空機の運航の安全を確保した上で、航空障害灯の規制について個数、光度、点滅周期等の規制を必要最小限化する、あるいは建物のライトアップで代替可能とする等の措置を含めて検討を行い、更なる緩和を行うべきである。「住宅・土地、公共工事」1(5)に再掲>