3 金融
【問題意識】
規制改革を通じて、民間企業・個人の潜在力を最大限引き出し、我が国の経済・社会の活性化に繋げていくことが求められている。金融分野においては、「日本版金融ビッグバン」以降多くの改革が行われてきたが、それらの成果も踏まえた上で、更に成長産業・成長企業への資金供給が円滑になされるような施策を講じることが重要である。この場合、間接金融分野においては「事前規制から事後監視へ」という監督行政の転換、競争原理の導入により、金融サービスの利用者の利便性が向上し、それがひいては金融機関経営の健全性確保にも繋がっていくものと考えられる。また、資本市場分野では、証券市場の構造改革を通じて、間接金融から直接金融への流れを間断なく進めていくことが重要である。
【具体的施策】
1 金融サービス業の発展のための基盤整備
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(1)信託業法における受託財産制限の緩和【平成15年度中に検討・結論、順次措置】
- 信託業法(大正11年法律第65号)では、受託財産の範囲は、金銭、有価証券、金銭債権、動産、土地及びその定着物、地上権及び土地の賃借権に限られている。
しかしながら、産業構造の変化が進む中、特許権、著作権等の知的財産権の経済的重要性が高まっており、これらを信託業法上の受託可能財産に含めることで、信託のより広範な活用が期待できる。
したがって、特許権、著作権等の知的財産権を信託業法の信託の対象となる財産権に追加することについて検討を行い、結論を得るべきである。
(2)信託業規制の見直し(信託会社の一般事業法人への解禁)【平成15年度中に検討】
- 信託業法上は、一般事業法人も免許を取得すれば信託会社を設立して信託業務を営むことが可能となっている。しかし、免許基準、信託会社の健全性基準、ディスクロージャー等の規定は未整備な状態にあり、このため、実際には金融機関の信託業務の兼営等に関する法律の下で金融機関のみが信託業務を兼営する形となっており、現在、信託業法に基づく信託会社は存在していない。
他方において、現下の状況では信託会社設立へのニーズも一部に強く存在している。
したがって、信託会社の参入基準や行為規制を整備し、信託会社を解禁することについて検討すべきである。また、信託銀行は金融機関及び商工中金に信託代理店を出すことが認められているが、信託会社についてもこれを認めることについて検討すべきである。
(3)普通銀行による普通社債の発行解禁に伴う商品性改善【平成15年度中に検討】
- 普通銀行による普通社債の発行は平成11年に解禁されたものの、長信銀等が発行する金融債と普通社債との間には商品性の違いが存在する。例えば、普通銀行による普通社債については、長期信用銀行等が発行する金融債と異なり売出発行が認められていない。しかし、普通社債の商品性の改善を進めることは、個人金融資産の運用多様化に繋がると考える。
したがって、銀行社債と金融債の発行制度のイコールフィッティングの観点も踏まえつつ、銀行社債の商品性改善について検討を行うべきである。
(4)銀行子会社によるネットワーク上のプリペイド事業の解禁及び銀行における電子マネー業務等の取扱いの明確化【平成15年度中に検討・結論】
- 前払式証票の規制等に関する法律(平成元年法律第92号)に規定するプリペイドカードの発行・販売業務は、銀行子会社の業務範囲として定められている。一方、IT技術の進展等に伴い、証票又は電磁的方法により金額情報を記録した媒体が存在しないネットワーク上のプリペイドカード事業が出現しているが、現行法制下では銀行子会社はネットワーク上の商品売買代金等の資金決済を行うことができない。しかし、本事業は銀行振込業務やクレジットカード業務と同質の業務であり、金融関連業務として認められてしかるべきものと考えられる。
また、銀行業務の付随業務には、オフラインデビット、電子マネーが列挙されていないが、これらは預金の受入れを業とする銀行業務と類似する業務であると考えられる。
したがって、銀行子会社によるネットワーク上でのプリペイド事業を金融関連業務の対象とすることについて検討を行い、結論を得るべきである。また、オフラインデビット、電子マネー業務を銀行法上の付随業務とすることについて検討を行い、結論を得るべきである。
(5)保険会社の再編や機能分化を可能とする規制改革
@ 保険会社の子会社等が行う「保険業に係る業務の代理又は事務の代行」との兼営可能業務の拡大【平成15年度中に検討・結論】
保険業法施行規則(平成8年大蔵省令第5号)第56条の2第2項においては「保険業に係る業務の代理又は事務の代行」を始めとする金融関連業務が列挙されているが、保険金の支払事務業務といった「保険業に係る業務の代理又は事務の代行業務(同項第1号)」を行う保険会社の子会社等は、保険会社の他業制限の趣旨やグループとしてのリスク管理の観点から、「保険募集(同第2号)、「保険事故等の調査(同第3号)」、「保険募集を行う者の教育(同第4号)」、「法第98条第1項に規定する保険会社の附随業務(同第5号)」以外の業務の兼営を認められていないため、子会社等を小規模な単位に分けている等の非効率が生じている。
したがって、本業との関連性・親近性や本業の遂行にリスクや支障を及ぼすおそれがないかということを個々に検証した上で、「保険業に係る業務の代理又は事務の代行」を行う保険会社の子会社等が、「危険及び損害の防止・軽減又は損害規模等の評価のための調査・分析・助言業務(同8号)」、「健康・福祉・医療に関する調査・分析・助言(同9号)」、「保険事故の報告取次、保険契約の相談(同11号)」、「自動車修理業者などの斡旋・紹介(同12号)」といった業務についても同一の会社で営むことが可能となるよう、保険会社の子会社等が行う「保険業に係る業務の代理又は事務の代行」との兼営可能な業務範囲の拡大について検討し、結論を得るべきである。
A 従属業務子会社の収入依存度規制における収入依存先の拡大【平成15年度中に検討】
従属業務を営む保険会社の子会社は、親保険会社とその子会社からの収入の額の合計額が、総収入額の50%以上でなければならないとされている。
しかしながら、企業グループ経営において連結中心の考え方となりつつある現在において、収入依存先をこのように限定することは経営の効率向上の観点からは望ましくない。
また、保険会社の販売チャネル(保険募集人)には、保険会社の職員である保険募集人と保険会社の職員でない保険代理店の両形態が存在しているが、前者は収入依存先となり、後者は収入依存先となっていない。
一方で、保険業法(平成7年法律第105号)上、福利厚生、物品購入、印刷、製本等の従属業務を営む会社については、保険会社の他業禁止の趣旨やグループとしてのリスク管理の観点から、親会社と実質的一体性を持つものに限って子会社とすることが認められているものである。
したがって、従属業務子会社の収入依存度規制における収入依存先については、親会社との実質的一体性に留意しながら、子法人等及び関連法人等にまで拡大することとともに、保険代理店についてもこれに加えることについて検討すべきである。
B 保険契約移転時における移転単位の見直し【平成14年度中に検討開始、平成15年度中に結論】
保険業法第135条においては保険会社が他の保険会社との契約により、保険契約を他の保険会社に移転する場合には、責任準備金の算出基礎が同一である保険契約、すなわち生命保険については予定利率や予定死亡率等を同じくするもの、損害保険については予定損害率等を同じくするものの全部を包括して行わなければならないとされている。
このことは、現在のほとんど全ての保険会社がその事業について全国展開し、かつ商品やサービス等について多様かつフルラインアップ展開をしている中で、例えば企業向け専門保険会社と家計向け専門保険会社といった顧客の特性に応じた分社化や、地域別の保険会社に再編することを不可能としているほか、保険会社が経営破綻した場合においては、破綻保険会社の保有契約の部分的な移転を求めるスポンサー(救済会社)の要望に応えることができないため、結果的に破綻処理が進まない弊害も起こり得るとの指摘がある。
また、責任準備金の算出基礎が同一である保険契約について、一部移転を認める場合、保険契約者間(移転する契約者と移転しない契約者)の公平と保険契約者の保護、保険会社の業務の健全な運営の確保のためには、責任準備金の公平な分割が求められる。一方、責任準備金の分割について、現行における移転の要件とされている株主総会・総代会の決議、異議申立等、所要の手続を参考とすることによって、保険契約者間の公平と保険契約者の保護、保険会社の業務の健全な運営の確保が担保されるとの意見がある。
したがって、責任準備金の算出基礎が同一である保険契約の全部を包括して移転しなければならないとされている保険契約移転について、責任準備金の公平な分割に留意しつつ、その一部での移転を可能とすることについて検討を行い、結論を得るべきである。
C 保険募集人等の委託の在り方についての見直し【平成15年度中に検討・結論】
現行の保険募集制度において保険募集人や保険代理店は、保険会社からの直接の委託を受けた者であって、その所属保険会社のために保険契約の締結の代理又は媒介を行う者とされている。したがって、例えば保険会社の各店舗が行っている管轄地域の営業推進や代理店管理といった、いわば保険会社における販社的な業務を、大型の保険代理店等(総代理店)に外部委託することで保険会社の業務の効率化を図ろうとした場合、総代理店が管理する保険代理店は、それら販社的業務を受託した総代理店を介した復代理による保険募集の委託契約を結ぶことができない。これについては、総代理店を介した復代理による保険募集に係る委託契約を認めることで、総代理店の傘下にある代理店に対する選任・管理責任の明確化や保険会社の機能を分化させ販社的業務の外部委託による効率化が図れるとの指摘がある。
一方、これまで保険会社が直接行っていた代理店との保険募集に係る委託契約を代理店の管理等の業務と併せて外部委託できることとするためには、保険募集に関する業務の適切な実施や保険契約者の保護が確保されることが必要である。
したがって、保険募集に関する所属保険会社の責任や総代理店が行うことのできる業務範囲、保険募集に関する業務の適切な実施や保険契約者保護の方策等を明確にした上で、保険募集人等の委託の在り方についての見直しを行うべきである。
(6)損害保険に関する契約者保護制度の見直し【平成15年度中に検討】
- 現行の保険業法で規定されている契約者保護制度は、保険会社が破綻した場合に、責任準備金(保険金等の支払のために積み立てられる準備金)を一定割合まで補償し、保険契約の継続を確保することにより保険契約者の保護を図るものであり、生命保険と損害保険とで同じ仕組みを採用している。
しかしながら、生命保険とは異なり保険期間が1年である契約が主であり、また、被保険者の加齢や病歴による再加入の問題が発生する可能性は少ない損害保険の自動車保険等については、保険契約の継続よりもむしろ保険金の支払を確保することを重視し、例えば、保険会社の破綻後の一定期間、保険金の100%支払を保証することとする方が優れているとの指摘がある。
一方で、損害保険会社は医療・介護等の再加入に困難性がある長期の保険や貯蓄性のある保険についても取り扱っており、こうした保険については、その特性及び契約者の保護に配慮し、現行の契約者保護の仕組みを維持する必要があるとの指摘がある。
また、制度の見直しに当たっては、全体として契約者保護を後退させないようにするとともに、資金援助の負担者にも配慮した検討を行う必要がある。
したがって、損害保険の特性にも留意しつつ、保険契約者保護というセーフティネットの趣旨を踏まえた上で、損害保険に関する契約者保護制度の見直しについて検討すべきである。
2 資産流動化の促進のための制度整備
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(1)資産流動化計画書の記載、業務開始届出に係る添付書類に関する弾力化・簡略化【平成15年度中に検討】
- 資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)では、投資家保護の観点から、資産流動化計画への詳細な記載や業務開始届出書への必要書類の添付を求めている。
資産流動化計画の内容の記載については、詳細な規定が設けられている。「特定社債の内容」として、将来発行される特定社債の利率を記載することが求められており、かかる事項を未確定のままにすることはできない。このため、実務上は、届出時に仮の数字を一旦記載し、その後変更のための手続を行うという煩雑な作業を行わざるを得ない。
業務開始届出に係る添付書類については、開発により特定資産を取得する場合、当該開発に係る契約又はその予約契約の添付が求められており、実務上、請負契約書とされている。業務開始届出は土地の引渡前に行われることもあり、その時点で将来締結する予定の契約について、契約相手及び契約内容を定めることは実務上困難である場合がある。しかし、例えば、特定資産の取得が担保できる場合は、その契約の種類に関わらず、業務開始届出に係る添付書類とすることができる。
また、特定目的会社(SPC:special purpose company)が資産の流動化に係る業務を行う場合、業務開始届出書を始め、定款、資産流動化計画、特定資産の譲受契約等、多くの書類を提出しなければならない。そして、提出後の変更については厳格な運用がなされているため、弁護士等を通じた届出前の照会が増えている。
以上のような状況の中で、今後、資産流動化を促進していくためには、こうした手続の簡素化を投資家保護に配慮しながら進めることが、重要である。
したがって、資産流動化計画書、業務開始届出に係る添付書類について、上記の観点に立って弾力化・簡略化を図ることについて、検討すべきである。また、届出実務が迅速かつ円滑に行われるよう、必要な具体的措置の検討をすべきである。
(2)特定目的会社の借入先の拡大【平成15年度中に検討】
- 資産の流動化に関する法律では、特定目的会社の借入先は、銀行及び有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として定められる適格機関投資家に制限されている。これに関して、「各府省等における規制改革に関する内外からの意見・要望等に係る対応状況」(平成14年6月)では、「特定社債等と異なり証券取引法上の投資者保護措置が及ばないものであり、借入制限は必要」とされている。しかし、貸金業者等で、一定水準以上の判断能力を有する者については、これを適格機関投資家に含め、又は適格機関投資家と同様に扱うことを認めても、弊害はないものと考えられる。
したがって、特定目的会社の借入先を拡大することを検討すべきである。
(3)貸金業者からの債権譲受に伴う書面交付義務の緩和【平成15年度中に検討】
- 貸金業の規制等に関する法律(昭和58年法律第32号)第24条第2項では、貸金債権の譲渡時に債権譲受人に対して同法第17条の規定を準用し、当該債権の債務者に対して契約内容を明らかにする書面を交付しなければならないと規定している。この書面交付義務は、債務者に対して債権譲渡の都度契約内容を明示することにより、契約内容をめぐるトラブルを防止し、債務者の保護を図るという観点から、制定以来債権者に課されているものである。
一方、「規制改革推進3か年計画(改定)」では、貸金業に係る規制に関する実態調査を平成14年度中に実施する旨、定めている。複数の調査項目のうち、特に本件について検討を求めるのは、債権流動化を促進するために必要な措置であると考えるためである。
したがって、実態調査の結果を踏まえて、貸金業者からの債権譲受に伴う書面交付義務の緩和の可能性について検討を行うべきである。
(4)自己競落による競落の仕組みの検討【平成15年度検討】
- 自己競落会社の競落対象物件は、親銀行の貸出金等に係る担保物件、すなわち当該物件の競落により親銀行に配当が見込まれる物件に限定されている。また、従来、自己競落会社は親銀行の100%出資でなければならないとされていたが、独禁法11条ガイドライン及び銀行関係事務ガイドラインの改正により、本規定は削除された。
しかし、不良債権処理を進めるためには、この規制の趣旨を明確にしたうえで、自己競落会社の競落についての選択肢の充実を検討することが考えられる。
したがって、銀行の他業禁止規定や自己競落会社が担保不動産を取得するのは親銀行が債権を回収するために真に必要な場合であって競落人が他に見出せない場合に限定されるとの規制の趣旨を踏まえたうえで、不動産市場への影響も十分勘案しつつ、銀行等の財務の健全性確保の観点等に留意して、競落対象物件の範囲を親会社に配当の見込まれるものだけでなく、子会社・関係会社に配当の見込まれるものにも拡大することを検討すべきである。また、出資条件の緩和については、独禁法11条ガイドライン及び銀行関係事務ガイドラインの改正を受けて、自己競落会社に対して当該親銀行の親会社(持株会社)やグループ会社の出資も認めることについて、所管官庁の解釈を明確化すべきである。
(5)倒産法制の整備【平成15年度中に検討・結論】
- 賃料債権の処分等についての効力を制限している規定の在り方や、適正価格により不動産等の資産を売却した際の否認制度の在り方などについて、「破産法等の見直しに関する中間試案」に対する意見等を踏まえた検討を行い、結論を得るべきである。
(6)エスクロー制度の導入【平成15年度検討】
- 金融資産及び不動産の売買市場が拡大する中で、市場参加者も多様化しつつある。市場参加者の裾野を拡大し、資産流動化を一層促進するために、諸外国における制度を参考としつつ、我が国においてもエスクローの仕組みを制度として導入すべきであるとの指摘がある。一方、現行法の下でも当事者が契約によりエスクローの仕組みを採用することは禁止されておらず、不動産についてはニーズがないとの意見もある。
したがって、我が国におけるエスクローへのニーズの存否についてその実態を調査し、制度的な手当ての必要性を検討すべきである。
3 証券市場の基盤整備
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(1)発行登録制度の利用適格会社の拡大【平成14年度中に検討・結論】
- 発行登録制度とは、発行証券の種類、発行予定期間、発行予定額等を記載した発行登録書を提出しておけば、実際に募集や売出しをする時には、発行条件等のみを記載した発行登録追補書類を提出するだけで、証券を投資家に取得させたり売付けたりすることを可能ならしめる制度である。
この制度を利用できる会社は、有価証券届出書の参照方式が認められる会社の要件を概ね準用しており、継続開示要件(有価証券報告書を1年間継続して提出していること)及び周知性要件(企業情報が既に公衆に広範に提供されていること)の双方を満たしている必要があるが、後者の具体的要件は、上場又は店頭登録企業であって、かつ3年間の平均時価総額が250億円以上である企業等となっている。
企業における機動的な資金調達に資する本制度については、投資家保護上のディスクロージャー制度の趣旨を十分に踏まえる必要があるが、現下の経済情勢や企業組織の再編等の動きにかんがみれば、政策的観点から、一定の場合において利用適格会社の拡大が図られる必要があると考える。
したがって、発行登録制度の利用適格会社の拡大に当たっては、投資家保護上のディスクロージャー制度の趣旨を十分に踏まえた上で、
| @ | 現在、発行登録制度の利用が認められていない未上場・未登録の外国会社について、未上場・未登録の内国会社同様にその利用を認めること |
| A | 株式移転前は発行登録制度の利用が認められていた会社が、株式移転後に新設された持株会社の完全子会社となった場合、新設持株会社についても利用適格を認めること
について検討し、結論を得るべきである。 |
(2)社債の発行登録制度の見直し
@ 社債の発行登録制度における発行登録の効力停止期間の短縮【平成14年度中に措置】
発行登録制度は投資家が継続開示情報を参照することを前提としており、発行登録をした者(発行登録者)が新しい参照情報を提出した場合、効力停止期間が発生する。これに対して、投資家はこの期間中に投資判断を行うこととなるが、例えば、新たに有価証券報告書が出された場合、4日間の効力停止期間が熟慮期間として投資家に与えられる。
一方、EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork:証券取引法に基づく有価証券届出書等の開示書類に関する電子開示システム)を通じれば、提出の翌日から投資家は誰でもインターネット上で情報を得ることが可能となっている。
したがって、こうした情報技術の発展を考慮し、効力停止期間を短縮することについて、具体的な短縮期間を含めて検討を行い、措置すべきである。
A 訂正発行登録書の提出基準の緩和【平成15年度中に検討・結論】
発行登録者が新しい参照書類を提出した、発行予定総額を減額した等の場合、訂正発行登録書の提出が必要となる。この際、発行登録の効力は停止されるが、これは投資家に熟慮期間を与えるために設けられている。しかし、例えば「取引先金融機関の名称変更」等、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼすとは考えにくい事項については、提出基準を緩和することが可能であると考える。
したがって、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼすとは考えにくい事項について、訂正発行登録書の提出基準を緩和すべきである。
(3)適格機関投資家の範囲の拡大【平成14年度中に検討・結論】
- 現在、適格機関投資家は銀行等の金融機関や一部の事業会社に限定されている。投資勧誘に際して適格機関投資家を対象とする場合、有価証券届出書等の提出を行わずに多数の者を相手方とすることができる(いわゆる「プロ私募」)が、適格機関投資家の範囲は限定列挙されており、例えば、ベンチャーキャピタル、ベンチャーファンド、投資経験のある富裕個人層等は含まれていない。
しかし、私募市場における投資家層の裾野を拡大することは、アーリーステージにある企業の資金調達の環境を整備することに繋がる。
したがって、適格機関投資家の範囲を拡大し、ベンチャーキャピタル、ベンチャーファンド、投資経験のある富裕個人層を含めることについて検討を行い、結論を得るべきである。
(4)証券会社・投資顧問会社・投資信託委託会社の最低資本金の引下げ【平成15年度中に措置】
- 現在、証券会社、投資信託委託業者、認可投資顧問業者には、公益又は投資者保護のため必要かつ適当な額として、最低資本金として1億円以上が必要とされているが、これを引き下げることにより、業者間の競争が一層促進され、投資家のニーズを踏まえた商品・サービスの多様化が進むことが期待できる。
したがって、顧客資産の分別管理の徹底、投資者保護基金の設立、投資信託委託業者等の顧客からの金銭等の預託受入禁止など、投資家保護の枠組みの整備が整っていることも踏まえ、証券会社、投資信託委託業者、認可投資顧問業者の最低資本金の引下げを行うべきである。
(5)証券会社の販売代理店制度(仮称)の導入【次期通常国会に法案提出】
- 現在、証券会社については、代理店方式による事業活動は認められていないが、証券会社の販売チャネル機能を拡充することにより、多様な投資家の幅広い市場参加が促進されることが期待できる。
したがって、証券会社と顧客の間を仲介する「証券代理店制度(仮称)」について、登録制等の導入、所属証券会社の損害賠償の責任明確化など、法令遵守の確保、投資家保護に十分配慮した上で、導入を図るべきである。
(6)取引所のグローバルな展開への対応【次期通常国会に法案提出】
- 情報通信技術の発達に伴って金融取引のグローバル化が進み、これを受けて国際的な規模で取引所間の合従連衡の動きが強まる中、我が国の取引所市場の流動性の向上と国際競争力の強化が喫緊の課題となっている。
したがって、取引所取引における海外の証券業者の支店設置義務を見直し、不公正取引の防止に配意しつつ、海外の証券業者が、国内に支店を設置することなく我が国の取引所市場に直接発注することを可能とする制度を整備すべきである。
また、現行の一律の5%超の株式保有禁止規定を見直し、取引所の公正性・中立性・信頼性の確保に配慮しつつ、持株会社や親子会社形態による証券取引所相互間や、証券取引所と証券先物・金融先物取引所といった間での提携を可能とすべきである。
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