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10 住宅・土地、公共工事

【問題意識】

 我が国の都市は、世界の諸都市との本格的な競争時代を迎えている中で、貧しい都市空間、長時間通勤、交通渋滞等の問題を依然として抱えている。これらの問題の多くは都市に係る規制に起因している。こうした規制については、近年、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)の制定や都市計画法(昭和43年法律第100号)、建築基準法など関連法令の改正等により着実に規制改革の実を挙げつつあるが、今後とも更に都市再生を推進していくためには、都市に係る規制を不断に見直さねばならない。その一環として以下の改革が早急に必要である。
 まず、平面過密・立体過疎の都市構造から脱却し、都心高度化・高度利用を推進することである。居住用建物への容積率規制などは、都心の住宅の価格や家賃を高くしていることも考えられる。この結果、都心部から溢れた住宅は郊外に立地し、長時間通勤を余儀なくさせている。都心の住宅供給を大幅に増大させ、職住近接した多機能で高度利用された街をつくることにより、魅力に溢れ、国際競争力のある都市を構築していくべきである。職住近接は、増加しつつある共働き世帯にとっても都市居住の利便性を高めることになる。また、快適に通勤できる乗客の総数を大幅に増やすために、鉄道料金規制に時差料金導入のインセンティブを付与して時差通勤を促し通勤混雑を緩和させることは有効な方策である。これは、オフィスビルの容積率規制の要因の一つを取り除くことに資するとも考えられる。
 さらに、都心高度化・高度利用を実現するためには、都市基盤整備、再開発の更なる促進も重要であり、都市計画道路等整備促進のための土地収用手続の積極的活用、道路空間と建築物の立体的利用の推進等が必要である。
 合理的な都市の構築のためには、技術の進歩に応じて法規制の仕方や手続を見直す必要がある。現在の建築物や土地利用に係る規制の中には、立法時から相当の期間が経過し時代の変遷の中で見直しが求められるものが少なくない。加圧防排煙システムに係る規制、駐車場出入口規定や都市公園に係る技術的基準といった規制については、法本来の趣旨・目的に沿う形で規制の性能規定化等の見直し、弾力化等を図っていくべきである。また、大規模小売店舗の立地に係る手続など事業実施に伴う諸手続についても合理化を図る必要がある。
 さらに、経済活性化に向けた構造改革を加速する方策として不動産市場の活性化が強く求められる中で、不動産市場が円滑に機能するための基盤づくりを推進していくことが必要である。特に、不動産競売制度については、担保不動産の処理が迅速かつ公平に実施され、債権回収が円滑に行われるようその実効性を確保する必要がある。しかしながら、現在の制度の下では、担保不動産が占有され執行妨害が行われるという事態も生じている。執行妨害対策としては、民法(明治29年法律第89号)上の短期賃貸借保護制度の廃止とともに、民事執行法(昭和54年法律第4号)上も@競売物件について競売参加者の内覧機会を確保することA正当な権原を有することを占有者側に挙証させることB最低売却価額制度を廃止することが必要である。これらの対策のうち、例えば、短期賃貸借保護制度の廃止のみを行い、最低売却価額制度等が存続する場合には、これまで執行妨害を行ってきた者がこれら存続する制度を今まで以上に悪用するおそれもあり、不動産競売制度に係る実効性を確保するための対策は一体のものとして行う必要がある。
 我が国経済が大都市に立地する第3次産業を中心に国際競争力を持つべき時代に入った今、これらの改革で我が国の都市を再生させることにより、全国の経済発展の基盤を形成するものである。

【具体的施策】

1 都心高度化・高度利用の推進

(1)土地収用法(昭和26年法律第219号)の積極的活用と都市交通基盤等の整備【平成14年度以降逐次実施】

 都市計画道路等の公共事業の施行に当たっては、予算や実施体制等を総合的に勘案して適切な事業計画を定めるとともに、適切な時期に収用手続に移行することが重要である。
 このためには、都市計画事業を含め、事業の進行管理の適正化の観点から、「用地取得率が80%となった時又は用地幅杭の打設から3年を経た時のいずれか早い時期までに土地収用手続に移行すべき」というルールが守られることが極めて重要である。したがって、当面の措置として、当該ルールについて事業主体(現場の用地担当職員を含む。)及び住民に周知徹底がなされるようにすべきである。また、事業の進行管理に関する説明責任を果たさせる観点から、インターネット等を活用して用地取得の進捗状況、事業の見通し、事業期間延長の場合の理由や対応策等を公表するよう、事業主体に対し周知徹底すべきである。さらに、民間の補償コンサルタント、代替地情報提供システム及び補償金仲裁制度の積極的活用を図るべきである。
 また、国際的水準の都市づくりを実現するためには、整備が進んでいない都市計画道路について、整備目標を定めた上で、その早期達成に努めることが重要である。このような観点から、完了期間宣言路線といった取組を拡大して、完了・供用時期を明示し、供用を早める取組を強化すべきである。

(2)都心部における混合用途地域の創設の検討等

 職住近接の需要が高いにもかかわらず、我が国の大都市の都心居住者数は著しく少なく、都心に勤める多くの人々は、長時間通勤を余儀なくされてきた。
 職住近接を飛躍的に増やすために、これまで以上に都心居住を進め、都心部において複合的な用途を積極的に促進していく必要がある。これは、都心におけるライフスタイルの選択肢を増やすとともに、魅力ある都市の形成を通じて、その国際競争力を高めていくことにも資する。
 このため、都心部の職住近接が求められる地域において、複合的な用途を促進するため、都市再生特別地区や用途別容積型地区計画等の積極的な活用を推進すべきである。【平成14年度以降逐次実施】
 さらに、従来、容積率制限の目的はインフラに対する負荷の制限と良好な市街地環境の維持とされてきているが、中期的には、都心部における容積率制限の目的はインフラに対する負荷の制限とし、良好な市街地環境の維持は形態制限により担保する方向を目指すことをはじめ、用途地域制度などの目的やそれを実現するための手法に関する基本的な検討をすべきである。その際には、都心部における複合的な用途を積極的に誘導する「混合用途地域」の創設等についても検討すべきである。【平成15年度以降検討】
 また、オフィス等の住宅への転用を促進するため、住宅に係る採光に関する規定の合理化を図るべきである。【平成14年度措置】

(3)道路空間と建築物の立体的利用の推進【平成14年度検討開始、平成15年度以降結論】

 建築基準法上、道路内に建築物を建築することは原則として禁止されており、例外的には、地盤面下の建築物、公益上必要な建築物、地区計画の区域内の自動車のみの交通の用に供する道路等の上空又は路面下に設けられる建築物、公共用歩廊、渡り廊下、高度利用地区等内の自動車のみの交通の用に供する道路の上空に設けられる建築物、高架の道路の路面下に設けられる建築物、自動車のみの交通の用に供する道路に設けられる休憩所等が建築可能である。しかしながら、都心の高度利用のニーズに応えていくためには、今後より一層の道路空間と建築物の立体的な利用が求められる。
 このため、適正かつ合理的な土地利用が図られ、避難、消火、延焼防止、さらに採光、通風等良好な市街地環境の形成等の観点から支障がなく、かつ、道路構造の保全、安全で円滑な道路交通の確保等道路管理上の支障がない場合においては、都市計画上の位置付けを明確にすること等により道路空間と建築物の立体的利用を図ることについて検討すべきである。

(4)航空法による建築物等の高さ制限の合理化【平成14年度検討開始、平成15年度中目途に一定の結論】

 空港に隣接する地域の建築物等については、建築基準法のほか、航空機の運航の安全性を確保する観点から、航空法に基づき、空港からの距離等に応じた高さ規制(いわゆる「制限表面」規制)が行われている。
 特に、都心部に隣接している主要空港の規制については、昭和30年代に定められたまま、その後見直しが行われていないため、高度利用を実現するための制約となってきている。
 したがって、我が国の各空港が置かれている気象・地形などの自然的・地理的条件、稠密な市街地や船舶の輻輳する港湾等と近接しているといった立地条件や航空機の運航実態を踏まえた運航の安全性の確保と環境面の配慮の必要性を十分に考慮に入れて、最近の我が国の就航機材の実情、諸外国の類似例等を踏まえ専門的・技術的観点から現行の制限表面の合理性について再検証を行い、都心の高度利用のニーズも踏まえ、制限表面の見直しを検討すべきである。

(5)航空障害灯に係る規制の合理化【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 地表又は水面から60m以上の高さの建築物等については、航空機の安全な運航を確保する観点から、航空法に基づき航空障害灯を設置することが義務付けられている。本制度については、昭和35年に現在の枠組みが確立されたが、その後、建築技術の進歩等により、高層建築物等が著しく増加するとともに、都市開発の進展に伴う高層建築物の群立化も進んできており、航空障害灯の規制をめぐる環境は昭和35年当時とは大きく変化してきている。このような中、平成12年及び13年には、航空障害灯の設置基準は相当程度緩和されており、この点は評価できる。
 しかしながら、都心の高度利用の更なる進展に対応するとともに、ライトアップ等の都市美観との調和による都市景観の向上に資するため、航空機の運航の安全を確保した上で、航空障害灯の規制について個数、光度、点滅周期等の規制を必要最小限化する、あるいは建物のライトアップで代替可能とする等の措置を含めて検討を行い、更なる緩和を行うべきである。

(6)重要無線通信電波伝搬障害対策の見直し【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 電波法(昭和25年法律第131号)上、高さ31m超(10階建て相当以上)の建築物については、重要無線通信の電波伝搬障害対策が必要となる場合があるが、建築物の高層化が進展する中でその対策が増加することも懸念される。また、電波伝搬障害対策は、中継アンテナの設置等事後的な方法が中心となっている。
 したがって、今後、都市の高度利用が更に進展する中で、重要無線通信の無線局の免許人と建築主の間の電波伝搬障害に係る協議に際しての基本的な考え方、協議からあっせんへの手続の流れ、これら当事者相互間の情報提供の在り方等を含め協議等の手続の円滑化について検討すべきである。

(7)エレベーターの避難時利用の推進【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 建築物のエレベーターについては、現在、火災時には避難階へ走行後休止、地震時には最寄階へ走行後休止等の運用がなされており、エレベーターを避難手段として利用することは、法令上制限はないが事実上困難である。一方、高さ31m以上の建築物に設置が義務付けられている非常用エレベーターは、火災時における消防隊の消火活動、救助活動等に使用する目的で設置されており、基本的には避難手段として利用することはできない。
 今後、都市においてますます建築物の高層化が進展するとともに、高齢化が進んでいく中で、車椅子利用者などの身体障害者や高齢者等の被災時における安全かつ迅速な避難を確保するため、エレベーター(エレベーター周辺の待機場所等を含む。)の安全性に十分配慮した上で、エレベーターの身体障害者、高齢者等の避難手段としての利用についてソフト面(避難方法等)を含め検討すべきである。

(8)空港の事業評価の情報開示【平成14年度以降逐次実施】

 空港整備事業の実施に当たっては、事業の新規採択時の評価、採択後一定期間を経過した場合等の再評価、事業実施後の事後評価を行うこととされており、適切な事業評価が事業の各段階において行われることとなっている。また、これらの評価結果についてはインターネット等を通じ公表されており、空港整備事業の透明性の向上が着実に図られている。
 一方、こうした事業評価制度の導入前に着手された空港整備事業については、新規採択時の評価は実施されていないので、空港整備事業の透明性をより一層高めるとともに、都市の利便性や競争力の向上に資する都市部の空港に対する国民の理解の向上を図るため、事業に要した費用、加えて主要空港については便益を分かりやすい形で公表していくべきである。

(9)民間委託等の推進による駐車違反の取締り業務の効率化【平成15年度中に結論】<「民間参入の拡大による官製市場の見直し」(1)Gの一部再掲>

 都市における交通渋滞を緩和し、効率的な経済活動を実現するためには、違法駐車問題の解決が重要である。都心部における駐車違反対応を効率化するため、当該業務の民間委託を推進することが必要である。現在の制度においては、民間委託は、違法駐車車両の警告等に限られているが、今後、現場における駐車違反対応業務の民間委託を幅広く行うことができるように、広く国民の意見を踏まえながら、駐車違反に関する法制度の在り方を含めて検討すべきである。

2 新たな時代の要請に対応した手続等の見直し

(1)市街地再開発事業の推進方策の検討【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 都市再開発法(昭和44年法律第38号)では、第一種市街地再開発事業の組合を設立する際、施行地区内の権利者数及び地積の3分の2以上の同意が必要とされている。しかし、再開発事業を進める過程において、例えば、市街地再開発組合設立前に権利を譲渡し転出する者がいるため、再開発事業実現への熟度が実質的に高まるにもかかわらず、権利者数上の同意率が低下するケースもある。
 組合は、土地の所有者等からなる自治的組織であり、その運営が民主的になされることが担保されていることから、その強制的な設立が認められていることを踏まえて、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新に資する等の公共性を有する市街地再開発事業において、特に地権者が多数存在する事業について組合を含めた民間主体がより円滑に進める方策としては、いかなるものが考えられるかということについて検討すべきである。

(2)建築確認・検査業務と仮使用手続の見直し

 建築物は、竣工した時点で建築基準関係規定に適合していることの検査を受け、検査済証の交付を受けた後でなければ使用することはできないが、検査を受けるためには内装まですべて完成してなければならない。しかしながら、建築物の中には、テナントが同時には決まらず、テナントが決まった部分から順次内装工事を行わなければならないことから、完了検査を受けることができない場合もある。このような場合に建築物の円滑かつ有効な利用を図るため、建築物の一部の使用を可能にする仮使用承認制度について、内装工事の完成した部分から承認の対象部分を順次追加していく方式の一層の活用が図られるべきである。また、建築物の仮使用承認制度について、安全上、防火上及び避難上支障がないと判断できる場合のハード面の状況やソフト面の対策の類型化等を通じて承認基準を明確化することや標準事務処理期間を設定すること等によって、手続の迅速化を図るべきである。【平成15年度措置】
 また、不動産証券化が進展する中で、照明設備や防災設備等は設置しているが天井パネルが設置されていない場合等において、未完成の部分以外の部分が有する耐震性能等について評価し、情報提供するニーズが生じていることから、内装等が未完成の状態の建築物について、建築主等の依頼に応じて、信頼できる民間機関が、耐震性能等を評価し、情報提供する方法について検討すべきである。【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

(3)大規模小売店舗立地法手続の合理化【平成14年度中措置】

 大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号。以下「大店立地法」という。)は、大規模小売店舗の新設等に伴う駐車場の確保、騒音対策、廃棄物の処理等に関する設置者の適正な配慮を確保することにより、周辺地域の生活環境の保持を図るため、制定されたものである。
 しかしながら、都市計画決定を伴う事業や環境アセスメント手続が必要な事業等については、事前に関係行政庁と綿密な協議を行い、また住民説明会等を経て事業に着手することから、大店立地法の審査内容、手続の相当部分についてそれらの手続と重複する場合がある。
 したがって、都市計画手続や環境アセスメント手続等他の法律、条例に基づき大店立地法と同様の審査、手続が事前になされている事業については、大店立地法の審査の簡素化、省略化、迅速化を図るよう、大店立地法を運用する都道府県知事等に要請し、徹底すべきである。

(4)消防・建築関係の指導の適正化【平成14年度中措置】

 超高層建築物等について、火災等の災害時に人命救助等を容易にするため、地方公共団体の消防担当部局が、ヘリコプターの緊急離発着場等の設置を求めるなど、法令上義務付けられた水準を超えることを求める指導を行う場合がある。
 また、建築確認の際に、特定行政庁や指定確認検査機関が、性能規定化以前に行われていた防災評定や構造評定(高さ45m超60m以下の建築物について)を求めるなど、従前の取扱いに基づくことを求める指導もあるとの指摘がある。
 このような指導の性格は、本来、任意の協力を求めるものであり、強制力を伴うものではない旨、通知により地方公共団体等に周知が図られてきたところであるが、改めて、同趣旨を周知徹底すべきである。

3 性能規定化等の推進

(1)重畳的規制の整理・合理化【平成14年度検討開始、逐次実施】

 排煙設備は、人命を守り火災により発生した煙を排出するための設備であるが、消防法の規定が消火活動上の支障とならないようにすることを目的としている一方、建築基準法の規定は避難上支障とならないようにすることを目的としている。沿革的には、当初は消防法のみに規定があったものであるが、次第に建築基準法の規定が整備されてきたため、現在の運用では、両法が適用される場合でも、概ね建築基準法の基準で設定すればよいとされている。今後とも、このような例においては、関連する規定を所管する省庁間で十分連携を取り合い、法令改正等により必要が生じた場合には、統一的な運用を行うために必要な手続を所管省庁間で定め、外部に公表すべきである。
 さらに、建築基準法においては、スプリンクラー設備が設置されている場合に防火区画や内装不燃化の緩和ができるとされ、消防法においては、逆に防火区画された小区画室についてはスプリンクラー設備の設置が免除されている。このように、代替的な内容の規定相互間においては今後とも、技術水準の向上等を踏まえつつ、必要が生じた場合には、整理・合理化を推進すべきである。

(2)消防法・建築基準法の性能規定化等による合理化【平成14年度検討開始、逐次実施】

 建築基準法については、平成12年から、具体的な材料・寸法等を規定する方式(いわゆる仕様規定)に加え、構造及び防火材料、耐火建築物の主要構造部等については、一定の性能を満たせば多様な材料・構造方法等を採用できる方式(いわゆる性能規定)が選択肢として追加されたところである。関連する消防法についても、建築基準法の性能規定化との整合性を確保するとともに、消防法に規定する消防用設備や消火活動上必要な施設について、できる限り性能規定化を図るべきである。
 また、建築基準法においても、消防法の性能規定化に伴い必要となる性能規定の整理・合理化を行うべきである。

(3)加圧防排煙システムに係る手続の見直し

 建築基準法上、避難上の安全を確保するための排煙設備のうち加圧防排煙システムについては、同システムが個別の建築物の形状等を基に避難上の安全性を検証し、給気排煙設備を制御しなければならない高度なシステムであるため、個別に大臣認定を受けなければならないこととされている。同システムは適切に計画、管理がなされれば安全性の高いシステムであり、現在、主として高層ビルにおいて採用されてきている。また、避難階段附室と非常用エレベーターロビーは、平成12年の建築基準法改正前には兼用でき、導入事例も多かったが、改正後には兼用は認められなくなった。
 今後、加圧防排煙システムについては、大臣認定によらず、建築主事等による建築確認により採用することができるよう技術的可否を含め検討すべきである。その際、排煙設備は一般空調用の換気ファン(排気ファン)を兼用できるよう検討すべきである。【平成14年度検討開始、平成16年度結論】
 また、加圧防排煙システムを採用する際に、避難階段附室と非常用エレベーターロビーを兼用できるよう、消防法の性能規定化の中で検討するとともに、その結果を踏まえて、建築基準法においても附室とロビーの兼用を検討すべきである。【逐次検討】

(4)駐車場出入口規定の弾力化【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 一定規模以上の大規模な路外駐車場の設置に当たっては、駐車場法施行令(昭和32年政令第340号)第7条の規定により、円滑かつ安全な道路交通の確保の観点から、その出入口を交差点の側端から5m以内に設置することはできず、また、出口と入口は10m以上離すこととされている。しかしながら、大規模な開発事業等にあっては、路外駐車場の出入口を交差点内に設ける、出入口を同一の場所に設ける等により、安全かつ円滑な道路交通の確保が図られる場合がある。
 したがって、安全かつ円滑な道路交通が確保されると認められる場合には、同法施行令の駐車場の出入口に関する規定について柔軟な対応が可能となるよう規定の弾力化を検討すべきである。

(5)都市公園の技術的基準等の柔軟化【平成14年度検討開始、平成15年度措置】

 都市公園法(昭和31年法律第79号)及び同法施行令(昭和31年政令第290号)においては、都市公園の配置及び規模の基準、公園施設の設置基準、占用に関する制限等に関する規定の中で技術的基準が置かれている。これらの技術的基準により都市公園の系統的、合理的な整備が図られるとともに、都市公園が適切に保存されその機能が発揮されてきたところである。
 しかしながら、これらの技術的基準は、主として良好な住宅市街地等形成のため設けられたものであり、市街地によっては全国一律の基準が必ずしも妥当とは言えない状況も出てきている。都市公園の整備水準の向上等を踏まえ、地域の実情に応じた公園の整備・管理を一層促進していく観点から、これらの技術的基準についてより弾力的な運用を可能としていく必要がある。
 したがって、今後は、地域の自然的、歴史的特性等の下、多様な市街地が形成されている状況に柔軟に対応できるよう、都市公園の設置基準や公園施設及び占用物件について、弾力化を図るべきである。

4 不動産市場の整備

(1)不動産取引価額情報の開示【平成14年度検討開始、平成15年度結論】

 不動産取引をめぐる不透明性、不確実性を払拭し、投資家が信頼の置ける不動産市場、不動産証券化市場を形成し、不動産の流動化を推進していく上で、不動産の取引価額情報を把握、開示していくことは必要不可欠である。しかしながら、現在、不動産の取引価額情報を把握、開示し国民が広く一般的にこれを知ることは困難な状況にあり、そのための制度的な枠組みも存在しない。平成11年の土地政策審議会のとりまとめにおいては、取引価格等は個人の基本的な人権に関わる情報ではなく、その開示について適切な方法を講ずることとされているが、その後の情報開示の取組に大きな進展は見られない。
 このため、不動産取引価額情報の把握、開示に向けて、売買事例の把握と提供の在り方等について、国土交通省を中心として法務省等関係省庁は連携して検討していくべきである。

(2)資産流動化の促進のための制度整備

<「金融」2に前掲>