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12 環境

【問題意識】

 人間活動の拡大と多様化、緑地の減少などにより、人工排熱や二酸化炭素などの排出が増加し、日常生活においても気温の上昇が感じられるようになった。これは、ここ100年で、地球全体の年平均気温が約0.6℃、日本の大都市で2〜3℃上昇していることからも明らかである。こうした気温の上昇は、都市におけるヒートアイランド現象、地球規模での地球温暖化といった環境問題として指摘されている。
 ヒートアイランド現象は、都市化の進展に伴い、コンクリートやアスファルト等の地表面被覆の増加と緑地の減少とともに、空調機器や自動車からの排熱が増加することにより、都市部の気温が郊外に比較して高くなるものである。これにより、夏季には、熱帯夜の増加や昼間の高温化とそれに伴う熱中症等の健康影響が、また冬季には、都市域の高温化により発生する上昇気流が逆転層に遮られて生じる混合層(ダストドーム)の形成が指摘されており、都市特有の「熱大気汚染」と言える。また、この現象は、大都市に限られたものではなく、高温域の分布が周辺部にも拡大するとともに、中小都市においても見られるようになってきている。
 ヒートアイランド現象は、要因となる地表面被覆と人工排熱、さらには都市構造や地形・気象条件などが相互に影響しあうなどメカニズムが複雑であり、未解明な部分が多い。このため、関係各省や地方公共団体で採られている対策は、省エネルギー機器の採用や緑の確保などにとどまっている現状にある。しかしながら、このままヒートアイランド現象の完全な解明を待ってから本格的な対策を講ずるのでは、ヒートアイランド現象による健康及び生活環境上の影響を拡大させるだけでなく、実施可能な対策を限定させる結果となるおそれがある。こうしたことから、今後、ヒートアイランド対策を進めるに当たっては、更なるメカニズムの解明や対策効果について調査研究を進めることはもとより、予防的見地に立って、早期に、人工排熱の低減、人工化された地表面被覆の改善、都市形態の改善など個々の対策を総合的かつ計画的に実施していくことが必要である。さらに、ヒートアイランド現象は、排熱等の状況、海陸風の流れ、市街地の広がりや河川・緑地の配置等の地理的な条件で、その発生メカニズムも地域によって異なることから、関係地方公共団体が連携し対策を講ずるとともに、国においても調査研究の面や財政面などにおいて必要な支援を図ることが必要である。
 また、地球温暖化問題については、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすものであり、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、まさに人類の生存基盤に関わる重要な環境問題と言える。こうした温室効果ガスの排出を抑制するため、平成9年に京都議定書が採択され、我が国は二酸化炭素を含む6種類の温室効果ガスについて6%削減が義務付けられた。この我が国の6%の削減約束を達成していくためには、一次エネルギー供給の約83%を占める化石燃料の供給構造を、二酸化炭素の排出の少ない環境調和型のものへ転換することが極めて重要である。しかしながら、エネルギー分野での自由化の進展、エネルギー供給のより一層の効率化要請の中、安価な石炭燃料への依存が高まりつつあり、二酸化炭素排出量の増加の一因となっていることも否定できない。
 こうしたことから、石炭燃料等の使用増加が見込まれる発電において燃料転換を実現するための一つの重要な方策として、二酸化炭素排出量の少ない天然ガス火力発電所への転換を促進することが重要である。かかる観点から、「規制改革の推進に関する第1次答申」に盛り込まれたガスパイプラインの建設促進の条件整備に関する検討を引き続き進めるだけでなく、天然ガス火力発電所への早期の代替を促進すべく、環境アセスメント手続の簡略化等についても検討を進める必要がある。
 さらに、我が国において、現在、廃棄物の排出量の高水準での推移、不法投棄の増大等廃棄物をめぐる様々な問題が指摘されている。これらの問題に対応するため、近年、数次にわたる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)の改正及びリサイクルの推進に係る諸法の制定等の対応が図られている。今後は、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)の趣旨を踏まえ、これらの法制度の適切な実施と相まって、大量生産・大量消費・大量廃棄型の従来の社会の在り方を見直し、物質循環を確保することにより、循環型社会の実現を図ることが必要である。
 このため、廃棄物の適正な処理体制の確保を前提として、まず国民、事業者、地方公共団体及び国の適切な責任分担の下、リデュース・リユース・リサイクルの3Rを促進することが重要である。
 また、リサイクル市場の形成促進を図るため、現行の廃棄物処理法の厳格な規制(許可)がリサイクルを阻害しているという指摘もあり、リサイクル名目での不適正処理が多発していること、バーゼル条約や欧州における立法例の趣旨等も踏まえつつ、制度の在り方を検討する必要がある。とりわけ、リサイクルの拡大のためには、廃棄物の広域的な流通を前提とした制度の対応が必要であり、そのための廃棄物処理・リサイクルに関する規制の仕組みの合理化を図るべきである。

【具体的施策】

1 都市のヒートアイランド現象の解消

(1)ヒートアイランド現象のメカニズム等に係る調査研究の推進等【平成15年度中に措置】

 ヒートアイランド対策の更なる推進のため、各原因間の関連性、寄与度などの発生メカニズムに関する調査・分析を一層推進するとともに、その進捗状況に応じて、省エネルギー機器の採用や保水性舗装、土地利用・都市構造の誘導など様々な対策を講じた場合の効果に関する評価手法を検討すべきである。その際には、国、地方公共団体、大学及び研究機関の間で調査研究に係る連携が重要であり、その成果の集積、関係者間の相互利用の促進を図るべきである。
 さらに、地方公共団体においてその地理的特性等を踏まえた効果的なヒートアイランド対策が推進されるよう、地域の地形や気象その他大気熱環境に関連するデータの地図化、個別の対策効果を評価するためのシミュレーションモデルなど、地方公共団体が自ら行えるよう簡易な手法を開発するなど支援策を講ずるべきである。

(2)ヒートアイランド対策の推進

@ 都市形態の改善

 既にヒートアイランド現象が顕著である地域について、熱源が集中している高密な市街地の冷房等の排熱を地下管路を循環する水を用いて河川・海等に排出する都市排熱処理システムについて、その効果や温排水の排出による環境などへの影響を考慮しながら、当該事業の実施の可能性を早急に検討すべきである。【遅くとも平成15年度中に措置(検討・結論)】

 緑地や水面の存在やそこから発生する空気の流れは、都市の暑熱を緩和し、ヒートアイランド現象の緩和に有効であることが指摘されている。緑地や水面からの風の通り道を確保する観点から、例えば都市内における緑化、水面等のオープンスペースのネットワーク化や市街地の形状への配慮等、都市政策における対応について検討すべきである。とりわけ、冷温域や風の通り道に配慮した市街地の形状等の在り方について検討し、ヒートアイランド対策の観点から配慮が必要と思われる事項については、その対応の在り方を地方公共団体に対して示すべきである。さらに、ヒートアイランド現象が広域的な問題であることが認められる場合は、地方公共団体間の連携を図ることを示すべきである。【平成15年度中に着手、逐次実施】

 大都市圏における自然環境を保全・創出・再生することは、ヒートアイランド現象の緩和に資することから、地方公共団体との連携の下、近郊緑地保全区域の指定や大都市圏における都市環境インフラのグランドデザインの策定に取り組むなど、都市における緑地の積極的な確保を推進すべきである。【平成15年度中に措置】

A 人工排熱の削減【逐次実施】
 空調システム、電気機器、自動車などの人間活動から排出される人工排熱を削減するため、当該エネルギー消費機器等の高効率化、建物の断熱・緑化、未利用エネルギー・自然エネルギーの利用といった対策の導入を促進すべきである。

B 人工化された地表面被覆の改善【逐次実施】
 建物やアスファルト舗装などによって地表面が覆われることによる蒸発散作用の減少や地表面の高温化を防ぐため、公園・緑地の整備、街路空間の緑化等による緑の確保、屋上・壁面緑化、水面の設置などの対策の導入を促進すべきである。

(3)ヒートアイランド対策関係府省連絡会議における関係府省の連携の強化【平成14年度中に措置】

 平成14年9月に設置されたヒートアイランド対策関係府省連絡会議(環境省、国土交通省、経済産業省、都市再生本部事務局がメンバー、以下「連絡会議」という。)において、対策効果の検証結果が速やかに対策に結びつくよう関係府省間の役割分担を明確化するとともに、各種対策が相互に連携し、体系立って実施されるよう総合的な推進体制を早急に構築すべきである。

(4)ヒートアイランド対策に係る大綱の策定等【平成15年度中に措置、その後随時見直しを実施】

 連絡会議において、上記@、A、Bを盛り込んだヒートアイランド対策に係る大綱を策定すべきである。なお、大綱の内容としては、単なる対策の列挙ではなく、基本方針を明示し、可能なものについて目標及び目標達成年次を設定するとともに、ヒートアイランド現象のメカニズムが解明されなくても早期に講ずるべき施策、社会経済活動や都市形態を持続可能なものに変革するという観点から中長期的に実施すべき対策を体系的かつ計画的にまとめたものとすべきである。また、対策の進捗状況等の検証を実施するとともに、今後、更にヒートアイランド現象のメカニズムの解明、技術開発や対策手法の高度化が進むことが予想されることから、必要に応じ、大綱に盛り込まれた施策等を柔軟に見直すべきである。

2 地球温暖化対策推進のための天然ガス火力発電所に係る環境アセスメントの見直し
 天然ガス火力発電所への代替は地球温暖化対策として有効であること及び多くの点で天然ガス火力発電所は環境負荷が小さいことから、天然ガス火力発電所建設の場合及び土地の改変を伴わずより環境負荷の少ない火力発電所を建設する場合に、環境影響評価の標準項目について省略することが可能となる条件及び標準手法が簡略化可能となる条件について検討すべきである。【平成15年度中に着手、逐次検討】
 また、天然ガス火力発電所に係る環境影響評価のうち、二酸化窒素濃度の予測に係る調査の基本的な手法として、文献その他の資料、現地調査による情報の収集・整理及び解析から適当なものを選定することとなっている。さらに、窒素酸化物の拡散の特性を踏まえ、適切かつ効果的な期間が調査に求められる。しかしながら、文献その他の資料の整備が進んでいない上、年間を通じて窒素酸化物の拡散状況が異なることから、現地調査を一年程度行わざるを得ない。
 したがって、今後事例の積み重ねの中で、窒素酸化物や気象に係るデータの蓄積を進め、事業者が利用しやすいような当該データの整備・提供を図るとともに、気象条件や地理的条件、発電所の煙突の高さ、ばい煙排出速度等を加味した事業者が利用しやすい技術手法に関する知見の集積や提供を進めるべきである。【平成15年度中に着手、逐次実施】

3 リサイクル市場の形成促進、廃棄物の適正処理対策の推進

(1)効率的な廃棄物処理・リサイクルを促進する観点から、廃棄物処理法の規制の仕組みの合理化を図るため、以下の措置を講ずるべきである。【平成15年度中に措置】

@広域的な廃棄物処理・リサイクルを促進するため、環境大臣の指定に基づき地方公共団体ごとの廃棄物処理業の許可を不要とする広域指定制度の積極的な拡充を図るべきである。また、主に既存の製造施設におけるリサイクルを促進するため、廃棄物処理業及び廃棄物処理施設に係る許可を不要とする再生利用認定制度の認定対象範囲の拡大を検討するとともに、可能なものから順次指定していくべきである。
A一般廃棄物、産業廃棄物の区分にかかわらず、物の性状に応じた効率的な処理・リサイクルを促進する観点から、同様の性状を有する一定の廃棄物の処理施設の設置の許可取得手続の合理化を行うべきである。

(2)上記ア、イの措置の結果等をかんがみ、必要に応じ、更なるリサイクルの拡大及び廃棄物の適正処理の確保のため、廃棄物処理・リサイクルの推進に係る諸制度全般について引き続き検討を行うべきである。【逐次検討】