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「国際平和協力懇談会」
報告書



平成14年12月18日
国際平和協力懇談会



「国際平和協力懇談会」報告書
目  次

第 I 部 国際平和協力の理念と枠組み

  1. 国際平和協力の動向
    (1)国際社会における平和とは何か
    (2)国際平和協力の活動の枠組み
    (3)国際平和協力の国際的動向

  2. 我が国の国際平和協力の基本的な考え方
    (1)我が国の国際社会とのかかわりと今後のあり方
    (2)我が国の国際平和協力活動の問題点と今後のあり方
    (3)平和構築分野におけるODAの役割
第 II 部 我が国の国際平和協力の現状と課題
  1. 日本の国際平和協力の取り組みの現状
    【総論─平和の定着と国づくりの内容】
    (1)平和の定着について
    (2)国づくりについて
    【各論─各分野における日本の取り組みの現状】
    (1)平和の定着
    (2) 国づくり

  2. 我が国の国際平和協力の今後の課題
    (1)国際平和協力法(PKO法)の課題
    (2)文民警察協力における課題
    (3)緊急人道援助と本格的復興支援までのギャップ
    (4)ODAを活用した平和構築の課題
    (5)人材の養成研修派遣における課題
    (6)安全確保(補償問題を含む)の課題
    (7)NGOとの連携に関する課題
第 III 部 国際平和協力の改善強化のための方策─提言─
  1. 国際平和協力の推進体制を整備充実する。
  2. 文民専門家文民警察を積極的に派遣する。
  3. より柔軟な国際平和協力の実施に向けて早急に法整備を行う。
  4. より幅広い平和協力活動に取り組む。
  5. 国際平和協力分野においてODAを一層活用する。
  6. 緊急人道支援から本格的復興支援までのギャップを埋める。
  7. 専門的な人材の養成研修派遣体制を整備する。
  8. 国際平和協力関係者の包括的なキャリアプランを確立する。
  9. 安全対策を確立し、補償制度を整備する。
  10. NGOへの支援を促進する。
  11. 国民の理解を深め、参加を促進する。

国際平和協力懇談会の報告書


【序】

 小泉内閣総理大臣は、2002年5月1日にシドニーにおいて政策演説を行い、「紛争に苦しむ国々に対して、我が国としても平和の定着や国づくりのための協力を強化し、国際協力の柱とするために必要な検討を行う」旨述べた。これを受けて、国際平和協力の理念、我が国の役割、必要な体制の整備及び施策等について幅広く検討を行うため、2002年5月28日、16人の有識者で構成する「国際平和協力懇談会」の開催が決定された(懇談会の委員の構成は別紙参照)。本懇談会は、同年6月12日以降、6回の会合を開催するとともに、NGOの代表者との意見交換会やカンボジア文民警察OBとの意見交換会を開催し、広く関係者から意見を聴取しながら検討を行い、今般報告を取りまとめた。
 政府においては、今後この報告の提言を十分踏まえて国際平和協力のための政策を鋭意立案することを切望する。また、本報告書を契機として国際社会の平和や安全保障、我が国の国際協力のあり方等について広範な国民的議論が行われ、それにより我が国が国際社会のより有力な一員として国際平和協力に向けて重要な役割を果たしていくことを心から期待するものである。


第 I 部 国際平和協力の理念と枠組み

1. 国際平和協力の動向

(1)国際社会における平和とは何か
  1.  人類にとって平和とは永遠の課題である。冷戦が終わり、米ソ両国の全面核戦争という恐怖は消滅したが、これで世界すべてが平和になったわけではない。たしかに欧米諸国や日本などがお互いに戦争を行うという可能性はほとんどなくなったが、すべての国が戦争を起こさないわけでもない。イラクによるクウェート侵略の例にみられるように、一つの国家が他国の併合を企てるという事例は現に存在するし、朝鮮半島、南アジア、中東、アフリカなど世界各地でいまだに国家間戦争の可能性は存在する。その意味で、世界は、国家間に戦争がないという意味での「平和」すら十分には達成されてないといえよう。
  2.  しかし、冷戦後の世界を観察するとき、国家間に戦争がないという状態のみを「平和」として希求することが不十分であることは明白である。冷戦後の世界で起こった悲惨な事態のほとんどは、内戦あるいは内戦に類する武力紛争によって引き起こされたからである。旧ユーゴスラビア、ソマリア、ルワンダ、コンゴ民主共和国、パレスチナ、アフガニスタンなどでの紛争である。国内に存在するさまざまな民族対立、宗教対立、社会対立などが、大規模な暴力の連鎖を引き起こしている。しかも国民国家建設を目指す民族自決のための内戦のみが起こっているわけではない。9 ・11テロに象徴されるように、いまや大規模暴力は国境の壁を超えて引き起こされる。現代の国際社会において、国家間の戦争を防止するだけでは、平和の探求として不十分である。国家間であれ国内であれ、大規模な暴力を引き起こさない条件をどうやって作るか、内戦、虐殺、テロなどの脅威のない世界をどのようにして作るかという課題への取り組みこそが、現代における平和探求には不可欠である。
  3.  いうまでもなく、このような平和の探求は人類普遍の課題である。しかし、グローバル化の進む世界において、このような平和の探求は、日本にとって国益と国の存亡がかかった死活的課題でもある。国家間戦争を主に考えればよい時代においては、自らの防衛をどのように達成するかが、基本的な安全保障政策でありえた。第2次大戦後の日本についていえば、自衛力、日米同盟、国際社会との連帯のバランスをどのように考えるかが、安全保障政策の基本であり、それさえ実現されれば、ほぼ問題はなくなるとも考えられた。しかし、現在の国際社会において、自らの国の安全のみを考える安全保障政策は十分ではありえない。もとより、現在の世界において、このような伝統的安全保障政策が不要になったわけではない。しかし、いまやそれだけでは十分ではないのである。
  4.  かくして「新しい国際平和協力」とでも称すべき活動が、国の基本的活動として取り上げられなければならない。国際社会から大規模暴力の発生を防止し、発生したものについてはその損害を最小化し、そして再発を防ぐ努力を傾注しなければならない。なぜなら、これらの大規模暴力、内戦、虐殺、テロなどは 、決して、日本から遠い、関係の薄い地域でのみ発生するわけではないからである。日本人の頻繁に訪れるニューヨーク、バリ島、モスクワなどが大規模テロに襲われたことは記憶に新しい。さらにまた、遠い地域の大規模暴力が日本に関係ないわけではない。グローバル化の進んだ現代の世界では、脅威の伝播がきわめて迅速容易になった。遠方で起こったことが、いつ何時、日本に飛び火しないとも言えない。自らの国境内の安全のためにも、世界的な活動が要請されているのである。
(2)国際平和協力の活動の枠組み
  1.  現在の国際社会における平和探求の試み、すなわち国際平和協力の活動とは概念的にはどのように捉えられるであろうか。一つの分類の試みは、紛争の発生前から紛争終結後にいたる時系列的な事態の推移に即して、取られるべき活動を整理してみるというものである。
  2.  紛争の発生以前に行われる活動は、一般的に紛争予防(予防外交)といってよいであろう。そもそも紛争を未然に防ぐことが最善の国際平和協力の活動であり、その意味で紛争予防(予防外交)は重視されなければならない。紛争発生が懸念される地域において、紛争発生の条件を除去するような社会経済政策の実行、あるいはさまざまな外交努力による調停や仲介工作などが、この紛争予防(予防外交)に該当する。
  3.  不幸にして武力紛争が起こり、しかも当事者間での停戦など解決が実現しない場合は、国際社会は、「平和執行」というべき活動を行う場合がありうる。いずれかの当事者を侵略者と断定したうえで介入する場合もあれば、中立的な立場でとにかく武力紛争の終結を武力を使ってでも実現するという場合もある。ボスニアやコソヴォにおける事例が、このような平和執行に該当するであろう。
  4.  その後の段階として、停戦が実現した後に行われるのが「平和維持」である。国際連合が、長い間行ってきたのがこの「平和維持」であった。伝統的にいえば、当事者間の停戦合意と平和維持活動の「中立性(impartiality)」がこの活動の特徴であった。国家間紛争であれば、停戦合意ののちの平和維持に当事者間で合意があり、平和維持をする側が中立であることは、いわば当然であった。しかし、内戦・虐殺・テロが頻発する時代における平和維持活動では、徐々にこのような伝統的原則は保持しがたくなっていった。このような事態で、誰が当事者であるかの認定も困難になりつつある。
  5.  単に停戦を維持するというだけでなく、脆弱な停戦をより強固な平和の枠組みに移行させるようにし、また、内戦などによって荒廃し、秩序の低下した社会を暴力のない社会に復帰させようとする活動も必要になってくる。平和を定着させ、ふたたび国づくりに向かわせようという活動である。これを「平和構築」と呼ぶことができよう。この活動は、たんに平和を「維持」するだけでなく、ふたたび武力紛争を再開させないような政治的・経済的・社会的条件を生み出そうとする活動である。このような平和構築の試みがひとまず成果をあげれば、その後は、とりあえずは「平時」という前提のもとでの「復興開発支援」が行われるということになるのであろう。
  6.  もちろん、このような紛争予防(予防外交)→平和執行→平和維持→平和構築→復興開発支援という一連の活動は、それぞれオーバーラップして行われる場合も多いし、また、平和の達成は各段階ですべて失敗に終わる可能性もあり、その場合は、ある部分が繰り返されざるをえない場合も出てくる。しかし、現在の国際平和協力分野の活動をいくつかの段階に分類するとすれば、この一連の活動分類が有用であろう。
  7.  そしてこの中で、冷戦後の国際社会においてとりわけ強調されるべきは「平和構築」の部分である。国家間紛争以上に内戦・虐殺・テロなどの事態によって踏みにじられた「平和」を回復するためには、たんに侵略者を制圧しただけではすまない。つまり平和執行だけではその後の安定が確保されない。また、平和維持を行ったといっても、たんに当事者を引き離し、武装解除したとしても、そもそも当事者がはっきりしない流動的状況では、誰と誰の間の平和を維持すればすむかどうかもはっきりしない。そのような状況で、平和を定着させるためには、当事者の主体性を維持しつつ、相当程度、当該社会に入り込んで社会変革を行わなければならない。いわば「国づくり」にまで踏み込んだ平和構築が必要とされているのである。
  8.  そのような「国づくり」に踏み込んだ活動であっても、かつては国際社会ではどちらかといえば、監視・監督型の行政援助にとどまる場合が多かった。直接、国づくりを担当するのではなく、国づくりを担当する当該国の人々の活動が正しい方向に向かっているかどうかをモニターし、うまくいっていないとすれば、これに助言を与えるという方針であった。しかし、国連カンボジア暫定機構(UNTAC)を始めとするそれ以後の平和構築活動においては、国際社会の行う活動は「執行型行政援助」とでも呼びうるような自らが国づくりの前面にでるような活動になっていった。たとえば文民警察にしても、現地の警察を監視・監督するだけでなく、ある部分については自ら警察活動を執行する必要がでてきたのである。
  9.  「平和構築」が平和の定着と国づくりの両者をになったものである以上、その機能はきわめて包括的なものとならざるをえない。難民・国内避難民支援や基礎インフラの復旧などの人道・復旧支援から、国内治安の維持、選挙の管理・監視、武装解除・動員解除・元兵士の社会復帰支援(いわゆるDDR(Disarmament,Demobilization and Reintegration))、対人地雷の除去など、いわば平和の定着をねらった活動とともに、国づくりのための信頼醸成、政治的・経済的・社会的制度づくりにまで踏み込まなければならない。行政組織、民主的な政治制度、公正で効果的な警察・司法制度など政治的枠組み、経済・金融制度の整備、経済インフラの整備など経済的枠組み、基礎的社会インフラの整備、教育・職業訓練制度の整備、メディア支援、継続的な対人地雷の除去などの社会的枠組みなどの包括的な国づくり支援が含まれる。
  10.  このような包括的で「執行型行政援助」を伴う「平和構築」の試みがあってこそ、これに引き続く本格的な「復興開発援助」が可能になってくるのである。
    《表1参照》

《表1》平和構築の概念と具体的内容

  1. 平和構築の概念
      平和構築=平和の定着+国づくり

  2. 平和構築の具体的内容
     (1)「平和の定着」=紛争の再発防止を目的とする支援
      (イ)和平プロセスの促進
    ・外交調停や紛争当事者との対話
    ・選挙支援
      (ロ)人道・復旧支援(人々の平和な生活の回復)
    ・難民・国内避難民支援
    ・基礎インフラの復旧
      (ハ)国内の安定・治安の確保
    ・国内治安制度の構築
    ・対人地雷の除去
    ・DDR(武装解除・動員解除、元兵士の社会復帰支援)

     (2)国づくり
      (イ)政治的枠組みの構築(ガバナンス)
    ・民主的な政治制度(選挙制度を含む)の整備
    ・行政組織の整備
    ・警察・司法制度の整備(文民警察への支援を含む)
      (ロ)経済的枠組みの構築(経済基盤整備)
    ・経済・金融制度の整備
    ・経済インフラの整備(道路、港湾、橋梁、通信施設等)
      (ハ)社会的枠組みの構築(社会基盤整備)
    ・基礎的社会インフラの整備(保健医療、教育、上下水道等の施設整備)
    ・教育・職業訓練制度の整備
    ・人権・ジェンダー平等の確保
    ・メディアの支援


(3)国際平和協力の国際的動向

  1.  冷戦終了後、宗教的、民族的要因に根ざした紛争、特に国内紛争が頻発 している。中でも、国家の基本的な機能が崩壊又は脆弱化している国・地域(いわゆる破綻国家(failed states))に対する支援の必要性が広く国際社会において認識されてきている。
  2.  このような問題の恒久的な解決に向けて、国連や各国が国際平和協力の取り組みを行ってきている。この取り組みは、いわゆる軍事部門から、緊急人道支援や復興支援といった経済協力分野、さらには行政分野まで極めて多岐にわたっている。ここでは、ブラヒミ報告(注1)を受けた国連での議論や各国の取り組みを踏まえ、特筆すべき動向として、(イ)国際平和協力の「多様化」、(ロ)「迅速、柔軟かつギャップのない」国際平和協力の実施、及び(ハ)国際平和協力に向けた「人材養成・訓練の強化」について説明する。
(イ)国際平和協力の「多様化」
  1.  第一に、国際平和協力の分野の多様化が挙げられる。近年、警察、司法、行政といった分野へと国際平和協力が多様化してきており、これらの分野での文民専門家の重要性が高まっている。例えば、国連平和維持活動(PKO)では、従来からの停戦や軍の撤退の監視などの任務に加え、選挙、文民警察、人権、難民帰還支援から行政事務、復興開発まで多様な活動が任務に加えられており、これに伴って警察官や政務官などの文民の果たす役割が増大している。(注2)
  2.  このような文民専門家の中でも、安全の確保が不可欠であることを踏まえ、特に文民警察や司法関係者(含む矯正官)といった国内治安関係者による助言・指導が重要になっている(例1)
  3.  第二に、国際の平和と安全に向けた国連の主要な活動としての国連PKOの重要性に変わりはないが、近年、それ以外の多国間のより幅の広い平和活動(いわゆる「多国籍軍」)の果たす役割が大きくなってきている(例2)。また、国連PKOやいわゆる多国籍軍の役割分担も、様々な地域紛争の経験を経て徐々に明らかになってきている(例3)。このようないわゆる多国籍軍の役割の増大という潮流を受け、多くの国々が国連PKOに加えていわゆる多国籍軍へ積極的に協力するようになってきている(例4)
(ロ)「迅速、柔軟かつギャップのない」国際平和協力の実施
  1.  事態が未だ流動的な紛争終結前後の時点から、「迅速」かつ「柔軟」に支援を行うことの重要性が、国際的に認識されてきている(例5)。各国も、それぞれの援助実施機関や予算制度を活用し、「迅速かつ柔軟な」支援を行うようになってきている(例6)
  2.  また、紛争後の地域に対する難民・国内避難民支援等の緊急人道支援と、それに続くべき復興・開発支援との間のギャップの問題がしばしば指摘されている。最近では、このような問題に向けた取り組みも始まっている。こうしたギャップが生じる理由としては、(i)緊急人道支援が、迅速性をもって被災民に直接支援を行うことを目的としているのに対し、復興・開発支援は被援助国の自助努力を促しつつ実施する必要があることから、計画策定、実施に相応の期間を要すること、(ii)紛争発生直後に行われる緊急人道支援は国際社会の関心を集めやすく、それ故資金も集まりやすいのに対し、復興・開発支援はより息の長いプロセスであり、資金もより多くを必要とすることからドナーの対応も鈍くなることが挙げられる。さらに、(iii)こうした活動には国連関連機関が重要な役割を果たしているが、緊急人道支援が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)といった人道支援機関により担われているのに対し、復興・開発支援は国連開発計画(UNDP)や世銀など開発機関が担っており、相互の調整・連携が不十分であったことも一因とされている。
  3.  このような問題意識を踏まえ、近年、UNHCR、世銀、UNDP等の間の連携が抜本的に強化された結果、コソヴォ、東チモール、アフガニスタンでは問題が改善されてきているとの指摘もある。
(ハ)国際平和協力に向けた「人材養成・訓練の強化」
  1.  国際社会は、このように、ますます「多様」で「迅速、柔軟かつギャップのない」協力を求められるようになってきている。各国は、人材養成・訓練への取り組みを強化してきている。
  2.  国際平和協力に向けた人材養成・研修機関は、各国の歴史や行政機構を踏まえ、軍から援助実施機関の施設まで様々な形態をとっている。近年の旧ユーゴスラビアやアフガニスタンといった複雑な歴史、文化を擁する地域での支援の経験と反省を踏まえ、政治、安全状況(地雷対策、人質になった際の対応他)等につき事前に十分研修を行った上で、人材を現地に派遣することが重要であるとの認識が高まっている。また、現地で軍・警察関係者、文民専門家、NGO関係者が共同で活動する場面が増えていることから、協力関係に関する研修も強化されてきている(例7)
  3.  このような国際平和協力の分野の人材育成について、自国民に加え、紛争が多発している途上国の関係者を対象とすることは信頼醸成の観点からも有意義であり、海外の多くの人材養成・研修機関は、途上国からの研修生を積極的に受け入れている(注3)

(注1)アナン国連事務総長は、国連平和維持活動(PKO)を中心とする国連平和活動の現状を包括的に見直し、改善のための勧告を得るため、2000年3月にブラヒミ元アルジェリア外相を委員長とする国連平和活動検討パネルを設置。同パネルは同年8月に、国際社会の機動的な対応(@緊急展開(rapid deployment)及び待機制度(stand by arrangements system)の拡充・強化)やA国連の機能強化(国連本部のPKO支援能力の強化)等につき約60の勧告を含む報告書を発表。
(注2)文民専門家が国連PKOで果たす役割の中には、いわゆる破綻国家の「国の枠組み造り」に向けた技術指導がある。これは一般の途上国に対しては通常、開発協力として政府開発援助(ODA)を通じて行われているものである。このように、PKOと開発協力が互いに一体となって実施されるようになってきたことも、近年の国際平和協力の特徴として挙げられる。
(例1)ブラヒミ報告では、国連PKOにおける「法の支配」及び人権擁護に必要な専門家の積極的活用が勧告されている。これを受け、国連PKO文民警察部に文民警察顧問を補完する司法専門家(検事、判事、矯正官)からなるユニットが設立された他、文民警察オン・コール・リストも策定されつつある。
(例2)東チモールでは、99年8月の住民投票直後の騒乱を受け、平和と安全を回復するため東チモール多国籍軍(INTERFET)が派遣され、その後、国連PKOである国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)が引き継いだ。また、アフガニスタンでもカブール周辺の治安確保のため国際治安支援部隊(ISAF)が派遣されている。
(例3)ブラヒミ報告でも、「国連PKO要員は、和平合意の約束に背いたり、その他暴力によって合意を損なおうとするものに対しては、強力なROE(武器使用基準:様々な状況における武器使用の形態を取りまとめたもの)を以て、自身、他の要員及び任務を守ることが出来なければならない。」としつつも、「国連は戦いは行わない。強制行動が必要な場合は、これまでも一貫して、安保理の承認の下で意思を有する国々からなる多国籍軍に委ねられてきた。」と明記されている。
(例4)ドイツは、国連カンボジア暫定機構(UNTAC)に日本とともに部隊要員を初めて海外派遣した。しかし、10年を経て、現在同国が海外派遣(10地域)している約9200名の部隊要員の中で、国連PKOへの派遣数は数十名(グルジアでの国連PKO等)に止まり、大半は、上記ISAF、コソヴォのKFOR,ボスニアのSFOR等のいわゆる多国籍軍に派遣されている。この背景には、いわゆる多国籍軍への参加を可能とする国内の法的枠組みに加え、国内的な理解・意識の変化があったことも挙げられる。
(例5)ブラヒミ報告でも、国連PKOミッションが迅速かつ効果的に派遣されることが重要との指摘を行っている。これを受け、現在国連では、停戦監視型では30日以内、複合型では90日以内にPKOを展開するとの目標の下、国連待機制度の拡充や戦略備蓄など体制の整備を進めている。
(例6)ドイツの技術協力公社(GTZ)は、独政府が資本を全て有する「有限会社」として会計上独立した立場を有している。GTZは、独政府から援助実施を委託される「独政府としての顔」を有するとともに、国際機関からの受注獲得に向けて競争する「企業としての顔」も有している。このように、アフガニスタンのロヤ・ジェルガ選挙の支援においては、UNDPより選挙支援に関する受注を獲得し(=「企業としての顔」)、国際社会で「独政府としての顔」として大きなインパクトを与えた。また、イギリスでは、近年、紛争関連活動を柔軟に行うことを目的に、それぞれアフリカと他の地域を対象とする2つの「紛争基金(Conflict Pools)」を立ち上げ、外務省、国際開発省(DFID)、国防省の共通の資金源としている。
(例7)スウェーデンの国際平和協力分野の研修機関(SWEDINT)では、軍関係者、警察関係者、NGO間の協力関係につき、研修を行う機会を設けている。また、ドイツ外務省も、本年4月、平和活動に従事する文民専門家の人材を対象として、主として、(i)人材登録制度の整備、(ii)訓練コースの運営、(iii)理論的・学術的分析を行う「国際平和派遣センター」を立ち上げたところである。
(注3)同様の観点から、2002年6月のカナナスキス・サミットにおいて、G8首脳間で採択されたG8アフリカ行動計画に、アフリカのPKO能力向上のための支援を行うことが明記された。現在、その具体的な支援策につき検討がなされているところである。


2.我が国の国際平和協力の基本的な考え方

(1)我が国の国際社会とのかかわりと今後のあり方
  1.  我が国は、第二次世界大戦後、直接武力紛争に巻き込まれることのない比較的恵まれた国際的環境の中に置かれてきた。しかし、この環境は、日本国民が意識的に構想し、自らの努力によって達成してきたというよりは、米国による庇護という外的条件による部分が大きかったといえよう。その結果、国民の一部では享受する平和を当然のごとくみなし、それを唱えさえすれば平和が到来するという幻想さえ生まれてきたのだった。国際連合については、それを美化し、理想化し、安全保障面ではやや過大な期待によってそれを捉える傾向が国内に芽生えたのであり、また、その逆に国際連合の実情をゆがめ過小評価したりすることもあり、その活動を阻害する国際政治の制約要因については、十分で正確な認識があったとはいえない。
  2.  メディアを通じて世界各国の人々が地球的規模の問題に関する情報を共有し、民主的な議論を交わすための土台をつくることは、紛争の予防や平和を構築する上で極めて重要である。その意味で、日本のメディアの報道が国内ニュースとともに、より広範かつ分析的な国際報道にも力を入れ、国民の国際情勢に関する正確な理解を更に促進することが求められている。
  3.  戦後採択された憲法と国連への加盟は、悲惨な戦争体験とあいまって、国民の間に根強い平和主義を育ててきたといえるが、そうした理想と理念がどのようにすればアジアと世界において実現されうるのかという方法論や政策的議論については、著しく貧弱なものがあった。この際、我々は憲法の前文を流れる積極的な平和主義や国際主義を思い起こす必要があると同時に、国際平和に寄与しようとする国民の願望が、ともすると抽象的・観念的なものになりがちであったことを踏まえ、それを現実のものとする意欲を新たにし、工夫をこらすために、国民的な議論を展開すべきであろう。
  4.  日本は、米国に次ぐ世界第二の経済力を持つ国として、またアジアにおいて民主主義を掲げる先進国として、積極的な国際的役割を果たし、また国際的寄与において少なからざるものがあった。その一端として、政府開発援助(ODA)を積極的に活用し、長期的かつ広範な国益を増進し、国際社会の安定にも貢献してきたことも事実である。しかし、ODAの内容、政策目標、使途、効率などについては、改善の余地が残されている。より広範な国民的支持と理解を得、より効果的なODAの運用を図るためには、さらに努力すべき点が多い。例えば、技術協力を中心として、専門家を含む人材の活用の面で、他の先進国に比べて出遅れの観が否めない。また、1990年代以来、飛躍的に増加した内戦や民族紛争に関して、その予防や解決、再発防止と和平定着をめざす重要性が指摘されているが、我が国の参加ぶりをどのように強化するかについて考えるべき点が多い。
  5.  我が国の国民の一部、とりわけ青年層には、この国に現在存在する制約を乗り越え、積極的に国際協力の現場において寄与することによって、自分の理想と抱負を活かそうとする強い意欲が感じ取られる。しかし、現存の制度や仕組みが障害になっており、各々の熱意が十分に活かされていないきらいがある。NGO活動は次第に活発となり、その国際的な行動はめだってきてはいるが、欧米先進国に比較すると、日本のNGOは組織としても脆弱であり、人材の厚みにおいても見劣りがするのは否定できない。こうした結果、我が国の大きな経済力に比較した場合、国際的な存在感、政策の明確さ、日本人の顔の見える人的貢献といった側面での遅れが指摘される。
  6.  欧米各国においては、より広範で多面的な国際平和活動への関心の深まりと実践が近年みられるようになっている。従来の仕組みにとらわれず、弾力的、横断的かつ包括的に、政府と民間がともに携えて、また軍、警察、文民部門が有機的に連携しながら、多面的な国際協力に取り組む姿勢が見られる。コソヴォ、東チモール、アフガニスタンをめぐる国際協力がその例である。我が国はこのように拡大する諸外国の活動との落差を縮めるべく、一層の努力が緊急に望まれる。国民の中に感じ取られる漠然とした国際平和活動への意欲と関心を、より具体的な目標を定め、それに向かって集中できるようにしなければならない。その前提として、国際社会との関わり方についての厚みのある国民的な合意を形成することが、急務である。
  7.  政治指導者、言論人、教育界、企業、地方自治体などを含む各界の人々が、我が国のおかれた国際的な地位、果たすべき役割と責務、寄せられた期待と能力の限界などについて、より明確なイメージを結び、それを拡大させていくことが、焦眉の急である。この報告書は、そのような問題意識によって貫かれている。
(2)我が国の国際平和協力活動の問題点と今後のあり方
  1.  冷戦終結までの日本の安全保障政策には、本報告のいう国際平和協力に向けた活動の多くは含まれていなかった。国連PKOへの参加要請がなかったわけではないが、本格的な国連PKOへの参加は冷戦後をまたなければならなかった。もちろん、戦後日本の行った政府開発援助(ODA)は、各地域の経済発展を促すという効果を通じて間接的には「予防外交」的側面をもったことは事実であろう。しかし、それも明示的に意識された国際平和協力の活動であったわけではない。
  2.  したがって、日本が国際平和協力の活動に大きく踏み込むことになったのは、1990年代のことであったといってよい。国際社会の平和に貢献することなくして、日本の国際的立場を維持することは難しいとの判断がその背景にはあった。その結果、これまで参加した平和維持活動において、日本は、着実にその任務を果たしてきたといってよいであろう。その意味で、1990年代以来の日本の国際平和協力の活動には、積極的に評価しうる面がある。
  3.  しかし、これまで日本の行ってきた国際平和協力分野での活動には、現在の国際社会における平和探求の必要性という観点からみて不十分な面が多い。以下、本報告では、その詳細が検討されるわけだが、概括的にいえば、二つの問題がある。
  4.  第一は、これまでの日本の国際平和協力分野での活動は、伝統的な国連PKOの枠組みに大きく拘束されている。国際平和協力活動の中でいえば、一方では「平和執行」に関してほとんど何もしないという選択をしている。他方、「平和維持」も伝統的な平和維持活動の条件が整った場合にしか参加しないという傾向がある。この両者のいずれもが、日本の法制度および憲法解釈にからむ微妙な問題を含むことは事実であるが、実態として、国際社会が必要としている国際平和協力の活動の中のきわめて限られたものしかしないという特徴が生まれている。
  5.  第二には、現在最も必要とされている「平和構築」の分野における参加体制が整っていないという問題がある。伝統的平和維持活動を念頭においてさまざまな準備がなされ、しかも一部の国の主張や国内世論に配慮して、日本の行う活動に制約を設ける規定が多く導入されたため、平和構築のために行う活動についての規定が存在しなかったり、柔軟性を著しく奪うような規定になっている場合がある。これらの法的制約は、今後日本が国際平和協力分野の活動を活発化させようとすれば、いずれも再検討を要することになる。
  6.  このような法的制約に加えて、制度的な面での問題も存在する。国際社会における平和の達成が、日本の安全保障と死活的に結びつきを深めつつある現在、国際平和協力分野の活動を担う制度は著しく弱体であるといわざるをえない。そもそも平和構築のための執行型行政援助に全面的に協力するとすれば、それは自衛隊のみにできる活動ではない。中央省庁、警察、地方自治体、医療機関、研究機関、NGOなどさまざまな人材を広く集め、適切に訓練・研修を与えたうえで、日本としての統一的な意思のもと実行する活動であることが望ましい。しかし、そのための中央省庁における統一的意思決定や人材管理の中核となるシステムは、現在は存在しないし、各種人材に対し国際平和協力活動に適切な訓練を施すメカニズムも整っていない。
  7.  国際紛争のあり方がグローバル化し、地球上の遠く離れた地域における平和定着と国づくりまでが、日本の死活的国益にかかわる時代になりつつある。いまや国際平和協力活動を、国の行うべき基本業務の一つであると位置づけ、これにふさわしい体制を作っていかなければならない。そのための国際平和協力活動全体についての意識改革がなされるべきであることに加え、法制度の整備、意思決定組織の見直し、訓練・研修体制の確立が求められている。
(3)平和構築分野におけるODAの役割
  1.  日本のODAは、基本的に紛争からは時間的にも、地理的にも遠い、平時、平和地域を前提に計画され、実施されてきた。学校、病院の建設、AV機器、胃カメラやCTなどの無償供与、専門家の派遣や研修などの技術協力、ダムや道路建設への有償資金協力などいずれもそうである。そうした平時、平和地域を前提とした援助のニーズは、依然として高い。しかし、地域紛争が多発した冷戦後の国際社会は、ODAにも、その役割の見直しを求めることになった。それは日本のODAについても例外ではない。役割の変化を求める見方は二つある。
  2.  一つは、人的被害、難民の発生など人道上の問題に加え、紛争が、途上国の経済発展を促すはずのさまざまな援助の成果を著しく損ない、環境も破壊しているという見方である。とすれば、紛争の予防に、ODAが何をなし得るかが考えられなければならない。そのためには、紛争がどのように発生するかについてのより具体的な分析が欠かせない。もう一つは、これまで行われてきたODAが、実は、途上国の貧富の格差を拡大し、社会的不公正を露呈し、人々の不満を募らせ、紛争の一因となってきたのではないかとの見方である。この立場に立つと、開発援助は、貧困人口の削減と様々な格差の是正にこそ、重点をおかなければならないということになる。
  3.  いずれにせよ、二つの見方に見られるような冷戦後の国際社会の援助議論の変化を受けて、ODAは、紛争の予防、紛争の早期終結、紛争後の緊急人道援助、復興支援に、より積極的なかかわりあいを持つべきと考えられるようになった。言い換えれば、紛争の解決、緩和には、軍事的、あるいはPKOなどの政治的なアプローチだけでは不十分であり、ODAを含めたより包括的なアプローチこそが重要だと考えられるようになった。1996年にカナダ政府は、こうした平和構築の概念を提唱した。
  4.  1999年のケルンサミット、2000年の沖縄サミットでは、紛争予防における、ODAの役割の重要性について首脳間の意見が一致した。紛争予防には、平和と安定が必要であり、それには、経済成長と持続可能な開発が不可欠とされ、援助の主要な担い手である各国は、開発援助で積極的な役割を果たすことが期待されるとしていた。特に、(i)開発援助戦略における紛争予防に関する考慮の促進、(ii)紛争を予防するための迅速な行動の確保のための支援の重視、(iii)紛争後の段階における緊急人道支援から開発援助への円滑な移行の確保(いわゆるギャップの問題)の三分野でのイニシアティブが求められた。
  5.  (i)では、貧困削減の重視、良き統治(グッドガバナンス)、法の支配などの促進、教育、保健分野への技術協力の強化が、開発援助を行うに当たっては特に重要であること、(ii)では、難民支援にあたっては柔軟で迅速さが特に求められ、それには地域機関、国連機関などとの効率的な協力が必要であること、(iii)では、円滑な移行のために、UNHCR、世界銀行など国連諸機関、地域機関、NGOを含む多様な主体による継続的で協調に基づく努力の重要性が指摘された。
  6.  1999年8月に発表された日本政府のODA中期政策では、以上のような国際社会の動向を受けて、「紛争と開発」と題し次の諸点を強調した。紛争予防のための貧困や弱者への対応、いわゆる「良き統治」の実現の重視、難民支援では周辺国への支援、難民や元兵士等の再定住及び社会復帰の支援の積極的実施などが掲げられた。
  7.  このように、日本も平和構築の観点からODAに取り組んでは来たが、U−2−(3)および(4)で述べるように、課題はいくつも残されている。

第 II 部 我が国の国際平和協力の現状と課題

1.日本の国際平和協力の取り組みの現状

【総論−平和の定着と国づくりの内容】
  1.  冷戦終了後、宗教的、民族的要因に根ざした紛争、特に国内紛争が頻発している。このような紛争を恒久的に解決するためには、従来の意味での人道・復興支援だけでは不十分であり、国際社会が一致して、「平和の定着と国づくり」に対し、機動的かつ間隙のない形での支援を行うことが重要である。
  2.  このような「平和の定着と国づくり」に向けた協力とは、紛争終結前後の国・地域が自立するまでの支援に関する包括的なアプローチである。その内容・重点は対象となる地域の背景・ニーズによって若干異なるが、一般的に、以下のような整理が可能であろう。
(1)平和の定着について
  1.  地域紛争の恒久的な解決のためには、紛争の完全な終結に向けた迅速な行動と、紛争の終結した地域を紛争に後戻りさせない、紛争の再発防止を目的とする「平和の定着」のための努力が必要である。川口外務大臣も、2002年5月のアフガニスタン訪問などの機会に、「平和の定着」の重要性を強調した。また、スリランカなどの地域で「平和の定着」に向けた支援への取り組みが本格化したところである。
  2.  「平和の定着」のための協力としては、第一に、紛争当事者間の戦闘状態の終了、即ち、停戦をより確固たる和平へと導いていく外交調停や紛争当事者との対話を通じた「和平プロセスの促進」のための支援が挙げられる。また、和平プロセスの最終段階においては、正統政府の樹立に向けた選挙が行われることが多く、これが円滑に行われるように支援を行っている。
  3.  第二に、紛争当事者間の停戦・和平が確保されるだけではなく、「国内の安定・治安の確保」も同様に重要である。このような協力としては、まず、国連PKOや多国間の平和活動(いわゆる「多国籍軍」)による国内の安定・治安の確保や国内治安制度の構築、対人地雷・不発弾処理が挙げられる。また、社会復帰を果たせない武器を有する元兵士が、国内治安の撹乱要因となりうることから、いわゆるDDR分野の支援も重要である。このような取り組みを通じた国内の安定・治安の確保は、後に続く復興の促進にとっても不可欠の基盤となるものである。
  4.  さらに、第三に人々が実際に「平和の配当」を実感するためには、「人々の平和な生活の回復」、即ち、難民・国内避難民の帰還・再定住支援、基礎インフラの復旧などの人道・復旧支援を通じて人々の生活基盤を回復するための支援が必要である。人々がこのように「平和の配当」を実感し、平和の果実を味わうようにすることが、「和平プロセス」を下支えし加速することになる。
(2)国づくりについて
  1.  近年、国際社会は東チモールやアフガニスタンのように、紛争の結果、経済基盤のみならず、政治・社会制度といった国の基本的枠組みそのものが破壊され、現地政府がないか、或いはその統治能力が極めて脆弱化した状況(いわゆる破綻国家)に、しばしば直面する。このような状況においては、「平和の定着」に加え、政治・経済、教育、メディア、人権・ジェンダーなど多岐にわたる分野で、当事者の主体性を維持しつつ、国の基本的枠組みの構築、即ち、「国づくり」に向けた支援を行うことも重要である。
【各論−各分野における日本の取り組みの現状】
  1.  我が国においては、これまで、国連PKOに対する協力や人道・復旧のためのODA協力を通じてできる限りの対応を行ってきた。「平和の定着と国づくり」は比較的新しい課題であり、一部の欧米諸国に比べて後発であることは否めない。近年のコソヴォ、東チモール、アフガニスタンといった個々のケースを踏まえ、日本は、徐々に体制を整えてきたというのが実状である。
  2.  上記の整理に従い、「平和の定着と国づくり」の各分野における「日本の取り組みの現状」につき、コソヴォ、東チモール、アフガニスタン3地域を中心に述べる。
(1)平和の定着

(イ)和平プロセスの促進
  1.  国際社会は日本に対し、紛争当事者との対話を通じた和平プロセスの促進について、これまで以上に積極的な役割を期待するようになっている。また、和平プロセスの最終段階として、正統政府の樹立に向けて実施される選挙を支援することを通じて、民主主義を確立し、永続的に平和な国家を樹立することに貢献しうることが多い。
  2.  スリランカにおいては、政府とタミル過激派との間で約20年に亘り戦いが行われたが、本年ようやく両者間で停戦合意が成立し、より実効的で包括的な和平に向けた交渉が開始された。その後、スリランカから日本に対し今後の和平プロセスへの積極的な関与が要請された。これを受け、日本政府は、明石康元国連事務次長を日本政府代表に任命した。
  3.  選挙支援としては、日本は、国際平和協力法や外務省設置法に基づく選挙監視・管理要員派遣、選挙関連資金・機材の提供、専門家派遣等を行ってきている。例えば、カンボジア、コソヴォ、東チモール、モザンビークへは、議会選挙、大統領選挙などといった選挙へ国際平和協力法に基づき数次にわたり選挙監視要員を派遣した。また、本年6月のアフガニスタン緊急ロヤ・ジェルガ構成員選出プロセスへも、国際監視団の一員として日本人を派遣した。また、資金・機材協力についても、例えば、アフガニスタン、東チモールで選挙支援を行ったUNDPに対し、資金拠出を行うなどの協力を行ってきている。
(ロ)国内の安定・治安の確保
  1.  紛争終了後、国連PKOが、紛争当事者の間に立って停戦や軍の撤退等の監視を行うことにより、事態の沈静化や紛争の再発防止を図ることがある。また、このような従来からの任務に加え、冷戦後の「複合型」PKOの中には、文民警察部門を有するものも多い。
  2.  また、近年、戦闘が終了したが未だ情勢が不安定な状況においては、国連PKOと並んで、アフガニスタンの首都カブール周辺に派遣されている国際治安支援部隊(ISAF)のような、いわゆる多国籍軍の活動が重要な役割を担うようになってきている。
  3.  しかし、現地の警察・司法制度が構築されなければ、継続的な治安の維持は図れない。また、帰還した人々が、一日も早く安全な生活を営むことができ、中・長期的な復興に取り組むことができるようになるには、地雷・不発弾処理やDDR分野での対応も必要である。
  4.  日本の国連PKOへの協力としては、国際平和協力法の成立以降、これまで8つのPKOに参加してきた(注4)。現在、東チモールのPKOに自衛隊施設部隊等690名を、ゴラン高原のPKOに自衛隊輸送部隊等45名を派遣している。また、文民警察の派遣は、国連カンボジア暫定機構(UNTAC)に続き、1999年の東チモール住民投票の際に文民警察を3名派遣している。近年、国際平和協力法を2度にわたり改正し、より広範囲の分野における効果的な協力を可能とする体制を整えている。
  5.  いわゆる多国籍軍への日本の協力としては、東チモール多国籍軍(INTERFET)への途上国の参加促進のために多国籍軍信託基金へ拠出を行った例がある。しかし、このような資金拠出は、ODAでは対応できない。また、通常予算をあらかじめ組んでいないため、政策的意義が高いと判断される案件であっても、補正予算等がタイミング良く組まれなければ実施できない(注5)。また、いわゆる多国籍軍を始め軍事部門が主に使用する施設や資機材についても、ODA大綱の「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」との原則を踏まえ、ODAを通じた支援は行っていない(例8)。さらに、いわゆる多国籍軍への人的協力についても、国際平和協力法で規定する協力対象は「国際連合の統括の下に行われる活動」とされているため、自衛隊の部隊・要員派遣を行うための一般的な根拠法はない。ただし、アフガニスタン関連では、テロ対策特措法を成立させて、自衛隊艦船及び航空機によるインド洋等での米英軍への補給・輸送を行っている。
  6.  日本は、従来、警察・司法分野における関連施設・機材の供与に当たり、人権抑圧(特に個人の身体に対する侵害)につながる恐れのあるものについては、極めて抑制的に対応してきた。しかし、「良き統治」の促進にもつながることから、アフガニスタンにおいては、警察無線通信機器等への支援に向けた準備を進めている。
  7.  地雷・不発弾処理については、日本はこれまで、地雷除去活動や犠牲者支援を行うUNDP、国連児童基金(UNICEF)等の国際機関やNGOを通じた資金支援を行うとともに(例9)、対人地雷無償等を通じ二国間支援も進めてきた。ただし、軍事部門が関与している活動については、ODAにはなじまないため、今後、機動的な支援が実施できるような方策を検討する必要がある。また、人的協力については、人材が極めて限られているとの事情もあり、これまでは不十分であったが、最近は、アフガニスタン地雷対策センター(MACA)へ日本人職員を派遣したり、自衛隊OBが作ったNGOがカンボジアなどで不発弾処理を行うなどの新しい動きも見られる。
  8.  DDRの分野では、日本は、「動員解除」及び「元兵士の社会復帰支援」について、雇用機会の提供に向けた資金協力を行っている。例えば、コソヴォ、東チモール、シエラ・レオーネでは国際機関やNGOを通じた支援(例:IOMによる元コソヴォ解放軍(KLA)兵士の社会再統合計画)を進めてきている。さらに、アフガニスタンでは、動員解除の構想段階から日本が主導することを目的に、帰還兵の登録、職業訓練及び職業紹介を柱とする包括的な計画「平和のための登録(Register for Peace)」構想を提唱し、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)と協力し、登録や職業訓練といった試験的プログラムを開始している。
  9.  しかし、「武装解除」については、軍事部門が関与している活動はODAにはなじまないため、今後、機動的な支援が実施できるような方策を検討する必要がある。ただし、国連PKOの下で当事者の合意に基づき「武装解除」が行われる場合には、国際平和協力法に基づいて協力することが可能である。(監視員による武装解除の履行の監視はもともと可能であったが、国際平和協力法の改正による本体業務の凍結解除によって、部隊としての対応も法的に対応可能となった。)
(ハ)人々の平和な生活の回復(人道・復旧支援)
  1.  人々が「平和の配当」を日々実感するためには、まず、紛争の犠牲者である難民・国内避難民を支援し、帰還・再定住させ、さらに、紛争で破壊された住宅・電気・水道等の基礎インフラを復旧することが重要である。
  2.  難民・国内避難民支援については、日本は、主に、UNHCR、WFP、UNICEF、赤十字国際委員会(ICRC)等の国際援助機関を通じた資金協力を行ってきている。この分野で柔軟かつ迅速な活動を行っているNGOへの資金協力も積極的に行っている(例10)
  3.  また、人的協力としては、国際平和協力法に基づき自衛隊部隊が医療・防疫活動、生活関連物資の輸送等の人道的救援活動を行った実績が、過去3件(ルワンダ難民、東チモール避難民及びアフガニスタン難民の支援)ある。
  4.  基礎インフラの復旧については、日本は、これまでも、緊急無償資金協力等を活用して、UNHCR、UNICEF、UNDP等の国際援助機関やNGOを通じた支援を行ってきた。これに加え、最近、現地の復旧・復興ニーズに機動的に対応するため、専門的知見を有する援助要員を派遣して、短期的な復興計画を策定しつつ、緊急性の高い施設の修復を行う緊急支援調査を実施している(例11)。また、東チモールでの自衛隊施設部隊の橋梁・道路等の維持修理といった活動も、同国の基礎インフラの復旧整備に貢献しうるものである。
(2)国づくり
  1.  紛争の結果として国の基盤そのものが破壊された国・地域では、民主的な政治制度や財政・金融等の経済的制度の構築が重要である。
  2.  これに加え、こうした国・地域では、「国の枠組み」が出来上がるまでの間、国連PKOは、既述の伝統的な任務に加えて、選挙、文民警察から行政事務や復興・開発まで多くの分野を扱い、カンボジアやコソヴォ、東チモールのように、暫定統治を行いながら、国づくりの支援を行うようにもなってきた。
  3.  また、国づくりに向けては、政治的、経済的枠組みの構築に加え、国づくりの基本となる人造りに貢献する教育や、人々の間の「情報格差」を解消する「文明間の架け橋」として重要なメディア、さらには人権、ジェンダー平等といった分野での枠組み作りが求められている。(注6)
(イ)政治的、経済的枠組みの構築
  1.  日本は、国づくりを担う政府関係者等を対象に、財政・金融、各種法律整備、農林水産、教育、保健と多岐にわたる分野で技術協力(研修員受入、専門家派遣)を行い、行政能力の強化に貢献してきている。
  2.  また、近年、紛争後に成立した新政権の存続を確保するため、国際社会が連帯して当該国の公務員給与等の経常経費を支援するケースが出てきている。日本も一定の基準を満たす場合には、例外的に無償資金協力による経常経費支援を行うこととした。
  3.  さらに、日本は、国連PKOによる活動に対して、国際平和協力法に基づく自衛隊部隊等の派遣に加え、過去10名強の政務官の派遣や各種資金協力を行っている。
(ロ)教育制度の構築、メディア支援、人権・ジェンダー平等の確保
  1.  日本は、教育分野では、NGOや国際機関に依存しないしっかりとした公教育システムの再建が重要であるとの認識の下に、教育行政システムの構築、学校の教育環境の改善、教員養成システムの再建、高等教育の復興等教育分野の枠組み造りを目指した各種支援を進めている。例えば、アフガニスタンでは、教育省に教育計画に関して助言を行う専門家を派遣したり、同国の女性教員を日本の大学に受入れて研修を行う等の支援を行うこととしている。また、UNICEFが主導する「Back to School」計画を積極的に支援している。東チモールでは、UNDPを通じて東チモール大学工学部の再建に協力することとしている。
  2.  メディアについては、紛争を経た地域における民主的な国づくりを進める上で、自由な放送メディアの存在は不可欠であるため、コソヴォではUNDPによる公共放送局設立計画へ資金協力を行い、東チモールでも、UNTAETを通じて携帯ラジオを東チモール全域に配布した。また、アフガニスタンでは、緊急ロヤ・ジェルガをアフガン全土に生放送したほか、アフガニスタンの放送関係者を研修生として受け入れたり、カブール・テレビ局に放送機材や番組を供与する等、種々の支援を行っている(注7)
  3.  人権・ジェンダー平等の確保に向けても、日本は、特にアフガニスタンにおいては、タリバン政権下の女性の立場を踏まえ、UNIFEM(国連婦人開発基金)によるアフガニスタン難民・避難民女性に対する職業技能訓練、各種セミナー、所得創出事業等を「人間の安全保障基金」を通じて支援している他、女性支援関係者等の研修員受入を予定している。

(注4)日本が参加した8つの国連PKOは、第2次国連アンゴラ監視団(UNAVEMU)、国連カンボジア暫定機構(UNTAC)、国連モザンビーク活動(ONUMOZ)、国連エル・サルヴァドル監視団(ONUSAL)、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)、国連東チモール・ミッション(UNAMET)、国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)、国連東チモール支援団(UNMISET)である。
(注5)INTERFETについては、偶々当時編成された補正予算に計上する形で、途上国の参加を促進するための資金拠出ができたが、アフガニスタンにおけるISAFに関する支援案件に対しては、日本政府は、資金協力を行っていない。
(例8)アフガニスタンでは、もともと民間用のカブール空港がISAFやアフガン国軍によって使用されているが、現在の解釈では、純粋に民生目的の旅客用の施設(例えばターミナル・ビル)などは支援可能だが、軍用施設と共用されている部分(例えば滑走路の整備、除雪車の供与等)は支援できないという実情がある。
(例9)カンボジアではUNDPを通じてカンボジア地雷対策センター(CMAC)へ、アフガニスタンでは地雷除去関連機材整備を行うUNDPへ、モザンビークでは地雷除去活動を行うUNDPを通じて支援を行った。コソヴォでは地雷除去及び地雷回避教育を行う「難民を助ける会」(日本のNGO)を通じて支援を行った。
(例10)2000年度より、日本政府は、申請後短期間で緊急活動資金を日本のNGOへ供与する「NGO緊急活動支援無償」を設けている(本支援無償は、2002年度より「日本NGO支援無償資金協力」の中の支援形態の1つとして統合)。また、2000年8月に設立された政府・財界・NGOからなるジャパン・プラットフォームへも、2001年8月及び2002年9月に、その活動資金として無償資金を供与している。アフガニスタン難民支援においては、ジャパン・プラットフォームの枠組みの下で活動する日本のNGOが迅速に対応出来たとの評価も得ている。
(例11)東チモールでは、道路、水供給システム等の基礎インフラの整備、アフガニスタンでは保健・医療施設修復、学校施設復旧の他、道路、水供給システム、灌漑等の基礎インフラ整備等を実施した。
(注6)2000年に開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言は、21世紀の国際社会の目標として,平和と安全、開発と貧困、環境、人権と良き統治、アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、2015年までに達成すべくミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)を一つの共通の枠組みとしてまとめた。極度の貧困と飢餓の撲滅、普遍的初等教育の達成、ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上、幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、環境の持続可能性の確保、開発のためのグローバル・パートナーシップの推進、の8つの目標を含むMDGsは、紛争後の平和構築と国づくりを進めている国々にも適用される。
(注7)日本政府以外でも、NHKは、アジア太平洋の国や地域の放送機関で構成するABU(アジア太平洋放送連合)における国際的なネットワーク化を推進したり、JICAと協力して海外の放送局等への支援を目的とした専門家の派遣や研修生の受入を40年以上にわたって実施しており、受け入れた研修生は平成13年度末までに133カ国、2607人に上っている。


2.我が国の国際平和協力の今後の課題

 1の「我が国の国際平和協力の取り組みの現状」を踏まえ、今後我が国が、国際協力の柱として国際平和協力を推進するための課題は次のとおりである。

(1)国際平和協力法(PKO法)の課題

(イ)国際平和協力法の制定の経緯
  1.  湾岸戦争終結後、約1年半を経た1992年6月、国際平和協力法が成立した。激しい国会論戦を経た末のことであった。これにより、自衛隊や、警察が海外で国際平和協力業務に従事する法的根拠が確立した。しかし、湾岸戦争時において国際社会から批判された、人的貢献の不足を解決するという目的と、憲法九条を遵守するという二つの目的をみたそうとしたために、いくつかの矛盾を抱えていた。そのうち、既に解決をみたものもあるが、国際平和協力法の今後を考えるうえで、この10年間に明らかになった、法律上の諸問題を振り返る必要がある。一言でいえば、国際平和協力の現場は、国際平和協力法が想定したよりも、広範な協力を必要としているということである。
(ロ)本体業務の凍結について
  1.  当初から、法律の運用の点で、わかりにくさがあった。国際平和協力法には賛成だが、法律が認めた活動の全てを直ちに行うことには、国内の理解が得られないとの慎重な意見にも配慮し、自衛隊の部隊単位での、監視、巡回活動、武器の搬入等の検査など本体業務への参加が、凍結された。したがって、日本のPKO活動の実態は、自衛隊の部隊単位では、道路や車両の補修、食糧の輸送などいわゆる後方支援に限定されてきた。この点については、より積極的にPKO活動に日本が参加すべきだと主張する人々の間で、凍結を解除すべきだとの強い意見が聞かれた。
  2.  2001年秋の臨時国会で、凍結が解除されたことで、日本の自衛隊はより広範な活動を部隊単位で行うことができるようになった。もっとも、従来より、停戦監視等を個人が行うことは可能であり、1992 年の国連カンボジア暫定機構(UNTAC)にも、自衛隊員は個人単位で停戦監視に参加している。また、本体業務とは直接の関係はないが、警察も、カンボジアでは、法が予定した現地警察行政への助言、指導、監視というよりは、法が規定していない警察執行業務に従事せざるをえなくなったことは付け加えておかねばならない。そして、この警察活動において、岡山県警の高田警視が殉職した。
(ハ)武器の使用について
  1.  国際平和協力法に対する、成立当初から指摘されたもう一つの問題は、憲法九条との整合性をはかるために、武器の使用は、我が国要員を防護する場合に限り、しかも、自己の判断でしか認めていなかったことであった。軍事組織として行動する自衛隊が、個人の判断でしか、武器の使用を許されないとなれば、使用が不可避な状況にあって、現場は混乱する。この点は、1998年6月に、法改正が行われ、部隊指揮官の判断で、武器の使用が可能となった。
  2.  しかし、国連PKOは、世界各国の軍隊を中心とした複合的な組織により行われている。我が国要員の防護のためにのみ武器の使用が認められるとなれば、他国の平和維持隊員に危険が迫った場合には、使用ができないという不合理な状況になる。こうした指摘を受け、2001年12月には、「自己の管理下」にある国連職員やNGO職員などに危機が迫っている場合にも、武器使用が可能となった。
(ニ)残された課題(PKO参加五原則)について
  1.  このように、10年間の間に、現場の活動内容に合わせて法律改正が行われてきたが、残された大きな課題がなお二つある。一つは、いわゆるPKO参加五原則である。
  2.  第一に、紛争当事者間(国とは限らず)の停戦合意、第二は、PKO及び日本の参加に対する紛争当事者及び活動領域における主権国の同意、第三はPKO自身の中立的立場の厳守(いずれも第三条第一項)、第四は第一から第三までのいずれかの原則が満たされない状況が生じた場合の、要員、部隊の撤収(第六条)、第五は、必要最小限の武器の使用(第二十四条)である。
  3.  カンボジアPKOのように、和平会議が行われ、当事者間の停戦合意があり、日本の参加について当事者の同意があり、尚、且つ、PKOの活動の中立性が厳守されるという国際平和協力法が想定した状況は、常にあてはまるとは限らない。
  4.  2002年春に、ようやく、約700名に上る自衛隊員がPKO活動に参加した東チモールの場合は、紛争終結直後の1999年10月に国連PKO、即ち国連東チモール暫定統治機構(UNTAET)が設置され、自衛隊を含む日本の国際平和協力業務が行える余地はあった。しかし、インドネシアからの独立派が勝利を収め、一方の当事者であるインドネシアとの併合派は敗走しており、第一の原則である停戦合意の前提となる両当事者が存在しているかどうかを認定することは容易ではなかった。もっとも、東チモールから西チモールに流入した難民に対する物資の輸送は、国際平和協力法の人道的国際救援活動として1999年11月から2000年1月にかけて行われた。
  5.  また、UNTAET設置前に紛争解決のため(独立派を支持)派遣された、オーストラリアと旧宗主国であったポルトガル主体のINTERFETは、いわゆる多国籍軍であり、そもそも国際平和協力法の対象外であった。東チモールの例に見られるように、冷戦後の紛争の形態は、国際平和協力法制定時に前提としたよりも、はるかに複雑になっている。日本が1996年以来、派遣している、ゴラン高原PKO活動のような、古典的で、単純明快なPKO活動は少ない。したがって、PKO参加五原則をはじめ現行法を前提にした場合には、国際平和協力の活動の初動時において、日本が協力できる範囲は限られてしまうといわざるを得ない。
  6.  ドイツ、フランス、イタリア、いずれも、参加しうる国連PKOの範囲について、日本のように法律により厳格に規定してはいない。《次頁表2参照》ただし、ドイツの場合は、武器を携行した連邦部隊の海外派遣は、政府の決定を受け、連邦議会の単純多数決による承認が必要とされる。イタリアも同様だが、フランスは、議会の承認は必要とされない。ここから明らかなことは、諸外国よりも、日本の規定は格段に厳しいということである。こうした日本の事情は、戦後日本の平和思想の特徴から説明されうるものであるが、我が国が21世紀において、国際平和により大きな寄与をしていく上で問題になりうる。
  7.  国際平和協力法は、既に述べたように、国連平和維持活動、国際的な選挙監視活動、人道的な国際救援活動の三つからなる。このうち、第三の人道的救援活動については、医師やレスキュー隊員の登録制度が発足しているが (人道救援専門家グループ(Humnitarian Relief Experts))、後述するギャップのところでも触れるように、ほとんど実績がない。1994年のルワンダ内戦の際に自衛隊の医務官を派遣した例、前述の1999年の東チモールから西チモールへの難民救済のための物資輸送で、航空自衛隊を派遣した例、及び昨年10月にパキスタンのアフガニスタン難民へ航空自衛隊機が生活関連物資を輸送した例の、何れも自衛隊部隊による3件だけである。なぜ、実績が乏しいのであろうか。国際平和協力法に基づく人道救援活動は、PKO参加五原則を満たした上で、実施計画について閣議決定を得なければならず、時間がかかるということが大きな理由である。国際的な人道的支援が、以上のように法律そのものの制約によって実施できないという奇妙な状況が生まれている。また、自衛隊部隊以外の文民専門家派遣の実績がないことの理由としては、このような専門家への後方支援体制が十分構築されていないことや文民専門家の安全確保の問題などが挙げられると思われる。

《表2》ドイツ、フランス、イタリアの国連PKOへの参加手続き

(1)ドイツのPKO参加制度
 PKO参加にあたっての法的基盤は独基本法第24条第2項(相互集団安全保障制度への加入)、同第87a条第2項(独連邦軍の出動)、及び94年7月12日の独連邦憲法裁判所判決である。同判決では、「独連邦軍は、基本法上、国連安保理決議履行のためNATO等の行動の枠内で行われる活動への参加、及び国連により組織される平和活動(強制措置をとる場合も含む)への参加が認められている」とした上で、「派遣に当たっては連邦議会による事前の承認が必要である」と判示した。
 個別の派遣にあたっては、欧州の平和と安全に直接寄与する等の観点から派遣を決定する傾向がある。現在国連PKOとしては、グルジア、クウェート、シエラ・レオーネ等に約30名の要員を派遣しているのみであるが、これ以外に、ボスニア、コソヴォ等のいわゆる多国籍軍の活動には相当数の部隊を派遣している。
 
(2)フランスのPKO参加制度
 PKO参加にあたって明確な根拠法は存在しない。参加にあたっては、国益、戦略上のプライオリティーに基づく総合的な政策判断に基づいて外務省が国防省と相談して決定し、閣議決定も必要とされない。
 現在、西サハラ等アフリカ地域、レバノン、ボスニア、コソヴォ等フランスと比較的関係の深い地域を中心に要員を派遣している。
 
(3)イタリアのPKO参加制度
 PKO参加に関する根拠法はない。但し、部隊の域外派遣に関しては、派遣の閣議決定を法案として議会に提出し、60日以内に承認される必要がある(事後でも可。また、これまで所要経費等修正がなされた例はあるが、派遣自体が否決されたことはない)。
 同国は、PKOへの派遣人数、予算等に関し、第一線にあるとの自負を有しており、バルカン、アフリカの角、中東等イタリアとして重点をおく地域を中心に要員を派遣している。なお、国連PKOとそれ以外の活動を明確に区別するとの考え方はない。


(ホ)残された課題(文民警察の派遣)について

  1.  国際平和協力法の運用面での実質的な課題は、警察のPKO活動へのより積極的な参加を、どのように実現するかであろう。2000年の沖縄サミットのG8宮崎イニシアティブでは、PKO活動における文民警察の重要性が、現地の文民警察の法秩序維持能力の発展を助けるという意味で、特に指摘された。国連PKOの展開の初期においては、軍事部門が主導的役割を担うとしても、復興段階に進むにつれ、現地の治安維持に警察の果たす役割が大きくなってくる。G8の宮崎イニシアティブは、そうした要請を反映したものといえる。他方、日本の警察の国連PKOへの参加は、カンボジア以降では、1999年8月に、東チモールにおいて国連監視下で行われた、独立の可否を問うた住民投票のみであり、残念ながら消極的姿勢が際立っている。そうした背景には、いくつかの要因がある。
  2.  第一に、カンボジア後遺症である。既に述べたカンボジアPKOでは、より危険度が高いと思われる地域に、少人数で派遣され、国際平和協力法の想定外の警察執行業務に従事せざるを得なかった。加えて、犠牲者の発生及び、事前説明とは異なる業務に従事せざるを得なかったことへの不十分な説明が、警察のPKO関連部局への不信感を招いた。
  3.  第二に、国際平和協力法や警察法に警察庁の国際協力の役割が規定されていないことである。国内の治安維持を目的とした警察が国連PKOに参加するための法的根拠は必ずしも明確ではない。こうした、法律上の未整備状況(自衛隊法にも、国際平和協力法への参加は、雑則に記述されているに過ぎない)は、国連PKOに警察が組織として積極的に参加する意欲を減退させている。警察の国際協力は、長い間、捜査協力であり、犯罪取締り協力に留まってきた。
  4.  第三に、自治体警察の職員が、国連PKOに参加する場合の身分の問題である。参加の職員は、自治体警察を退職し、国家公務員として国際平和協力隊に所属して、国連PKO活動に従事する。ところが、高田警視のように、殉職者は自治体警察に戻ることができない。参加を余儀なくされ、犠牲となった場合には、法律上の問題が思いがけない余波をもたらす。
  5.  第四に、第二とも関連して、日本の警察の国連PKOに関する協力範囲の限界である。日本の警察協力の能力と、国連の文民警察への期待値との間には、距離がある。少なくとも、当事者の警察はそう考えている。たとえば銃は、規制が厳しく、一般人の入手が困難な日本と異なり、途上国、とりわけPKOが展開される地域においては、自由に売買されているケースが多い。そうした地域に、比較的に安全な日本国内での警察活動の経験しかない警察官(銃はニューナンブを携行)が、助言、指導をどれほど効果的に行えるかというのである。このように、組織としての警察の国連PKOへの参加意欲は、現状では、高いとは言えないが、個々の警察官をみると、決して消極的というわけではない。危険な目に遭いながらもカンボジアのPKO活動に参加し、国際協力の意義を確認した要員が、東チモールでも活動している。こうした参加意欲をもつ個々の職員が、参加しやすい環境を法的にも、また組織としても、早急に整備する必要があろう。
(2)文民警察協力における課題

(イ)文民警察協力の必要性
  1.  紛争後の国づくりを支援するためには、文民警察や司法関係者による警察・司法制度を構築することが重要である。
  2.  特に、日本の警察制度や行政制度に対しては、例えば、地域社会と密着した交番制度、政治的勢力への乱用を防ぐための公安委員会制度、鑑識技術や110番通報システムなどが国際的に高い評価を得ている。海外の関係者からは、この面で日本が文民警察や司法関係者を派遣して助言・指導を行ったり、アジア地域の警察・司法関係者を日本に受け入れて研修訓練を実施することへの期待は高い。
  3. しかし、上記(1)−(ホ)に述べた背景から、日本は文民警察のPKO参加に慎重であり、今後、国際的な動向を踏まえ文民警察の積極的な派遣のあり方を検討する必要がある。
(ロ)文民警察協力の制度上の問題点
  1.  国際平和協力法に基づく文民警察のPKOへの派遣には、いわゆるPKO参加五原則をみたすことが求められている。この原則がみたされない状況になった場合は、要員は撤収することとなる。このため、派遣に際しては撤収の判断基準とそれに基づく審査・決定の具体的手続を予め決めておくとともに、国連との調整を行う責任者を明確にし、撤収を想定した独自の撤収手段を確保しておく必要がある。
  2.  また、国際平和協力法に規定されている文民警察要員の派遣には、その任務が「警察行政事務に関する助言もしくは指導、又は同業務の監視」とされており、派遣先国において公権力を行使することは現行制度上できない(法第3条3号チ)。しかし、前述のとおりUNTACの場合には、現地警察が組織的に機能しておらず、選挙関連の各種警戒警備活動、夜間検問等の治安業務等が求められることがあった。このため、我が国の警察官の実務能力を踏まえて、それに相応しい業務を行うことができるように国際平和協力法や警察法を改正し、新たな業務を付加する必要がある。また、具体的な運用においては、国連が求める具体的な業務内容を事前に、派遣される文民警察に周知徹底し、事前に国連側と条件を十分に調整した上で派遣することが望ましい。
(ハ)文民警察の実施上の問題
  1.  国際平和協力法により派遣される要員は、要員の身分に応じて、内閣府国際平和協力本部又は防衛庁での事前研修が課され、派遣要員として必要な知識を修得することとされている。しかし、カンボジアPKOへの派遣に際しては、現地が安全であることを前提としていたため、具体的な安全対策のための研修や、防弾チョッキ、防弾車両、ヘルメット、衛星通信設備等の装備が必ずしも十分ではなかった。また、現地の治安状況が悪化しても、文民警察からUNTAC本部及び総理府PKO事務局の責任者まで情報が届かず、追加的な装備・機材の配備が適切に行われなかった等の指摘がある。このため、今後、文民警察の派遣に当たっては、国連や自衛隊等の協力を得て、安全対策のための研修の実施、地域の環境や情勢に応じた適切な装備・機材を迅速に配備することが必要である。
  2.  また、警察・司法制度構築のための協力はODAの対象と考えられるが、従来公権力の行使に関係する場合は、公権力の乱用によって個人の人権侵害に繋がる可能性があるとして、抑制的な取扱がなされてきた。しかし、今後は、個々具体の案件ごとに、被援助国の人権保障に対する取り組み状況や、司法・治安機関の活動状況等を踏まえ、人権侵害に繋がる可能性が低いと考えられる場合には、ODAによる支援を可能とするよう柔軟に対応することが求められる。
(3)緊急人道援助と本格的復興支援までのギャップ

(イ)ギャップの意味
  1.  紛争直後(場合によっては、紛争中においても)に緊急人道援助が行われ、本格的な復興期を迎えるまで、理想的には、それぞれの段階が、次の段階に円滑に移行する必要がある。しかし、実際には、段階ごとの援助の連携が不十分で、結果的に復興に支障をきたしていることも少なくない。これをギャップと呼ぶ。もっとも、これは、日本の援助のみに見られる傾向ではなく、1−2―(3)平和構築分野のODAの役割で紹介したように、援助機関、援助国全体の問題である。
(ロ)ギャップを少なくするための留意点
  1.  以下は、日本の関係者が援助を行うにあたって、ギャップを少なくするための留意点である。中には、必ずしも時間軸からみたギャップ以外の内容も含まれている。
  2.  第一は、被援助国、被災民の援助依存傾向である。緊急時においては、全世界から食糧はじめ、医療、給水などの無償協力が行われるために、被災民の側に、援助に依存する体質が生まれやすい。緊急時から事態が落ち着くにつれ、国づくりである復興段階に進むが、こうした無償援助への依存意識は、自立という点で、障害となる。
  3.  第二は、第一とは逆に、援助する側の問題である。緊急時には、各国、NGOなど各組織とも、こぞって被災地に急行する。洪水的といってもよい。9・11以降、アフガンに援助が集中し、その結果、貧困問題が一向に解決しないアフリカが置き去りにされていることは、そうした典型的な事例であろう。こうした、単発的で洪水的な援助は、時間的概念のなかで国家の再興まで視野にいれた平和構築援助にとって、マイナスである。しかも、NGOの中には、他の紛争の発生の報を聞いて、そこに駆けつけようとし、現在の地を撤収するという傾向もみられる。
  4.  第三は、第二とも関連するが、資金の問題である。紛争直後の緊急時には、国際的な関心も高く、また、援助国の国内的な理解も得やすい。したがって、援助のための資金を集めることは、援助国や、NGOなど援助団体にとっても、比較的容易である。しかし、平時の援助に移行するにつれ、資金が枯渇し、撤退を余儀なくされるという例もないわけではない。
  5.  第四は、調整機関の引継ぎの問題である。最近の紛争は大量の難民を伴う。難民を管轄しているUNHCRは、紛争が沈静化するにつれ、当該国の政府に難民を引き継ぐ。しかし、現地の行政組織が未整備なために、必ずしも引継ぎは円滑に行われていないといわれる。この問題を解決するには、現地政府の行政能力の速やかな向上を目指すことがなによりだが、人材が払底している状況では、甚だ困難というのが実状である。
  6.  第五は、難民支援が招く矛盾である。被災した難民が手厚い無償援助を受けているのに、キャンプが開設された隣接地域の住民は貧困なままに留め置かれている。こうした矛盾に加え、難民の大量流入により隣接地域の環境が破壊されるという問題も生じている。
(ハ)ギャップを埋める方策について
  1.  緊急時の人道援助と復興期の開発援助のギャップを埋める第一の方策は、国連諸機関はじめ援助組織間の有機的な連携であり、そのための情報共有であろう。既に、そうした観点から、1999年1月には、国連諸機関や国際開発金融機関、援助各国、NGOが、国際社会の現状に柔軟且つ的確に対応するための方策を協議した。この面からの努力は続いている。
  2.  第二の方策は、援助各国の努力である。この点から、日本政府がなすべきことは多い。ひとつは、既に、U−(2)−1の国際平和協力法の問題点でも触れているが、国際平和協力法で規定されている文民専門家による人道援助は、PKO参加五原則の適用や要員派遣手続きに時間を要すること、専門家への後方支援体制が十分構築されていないことなどを理由に、実施されたことがない。もし、この法律に基づく、日本の紛争地域での人道援助が行われるようになれば、より円滑に、給水、道路の整備など復興支援につなげることができる。
  3.  もうひとつは、第一と同様に、法律上の問題である。国際協力事業団(JICA)の緊急援助隊法による緊急援助隊の人命救助(消防)、医療(医師、看護婦)などの支援は、自然災害による被災民救済を前提としている(国会答弁)。そのために、アフガニスタンは勿論、東チモールなど、紛争起因の被災民、被災地救援はできない。冷戦後多発してきた紛争には、緊急援助隊は使えないということである。数多くの実績が積み重ねられてきた緊急援助だが、こうした法律の解釈により、日本もその必要性に賛意を示している平和構築の協力の幅を、自ら縮めている。前述の国際平和協力法の人道援助が、発動された実績がほとんどないということと合わせ考えると、紛争に起因する被災民の人道支援には、現在のところ、ほとんど協力の可能性がないということになる。速やかな政策判断の変更が求められる。
  4.  残るひとつは、体制の問題である。Tで触れているように、平和構築に関連する日本政府の組織は多岐にわたっている。平和構築が、緊急時から、平時の援助まで、円滑に、有機的な連携を伴って行われるためには、日本国内でも、現在のように拡散された体制になっている。例えば、開発援助は外務省の経済協力局とJICAが、国際平和協力法に基づく人道援助は、内閣府国際平和協力本部と外務省総合外交政策局国際平和協力室が、緊急援助隊法に基づく緊急援助は、外務省経済協力局国際緊急援助室とJICAが行っており、極めて複雑である《次頁表3参照》。このような体制を、司令塔のある統合された体制に移行する必要があろう。
  5.  もっとも、まったく日本政府がギャップの問題の解決に、取り組んでこなかったわけではない。前述した第三の問題点、すなわち、資金が乏しく、NGOが早期に現地で活動を行えなかったり、反対に早期の撤収を余儀なくされたりしてきたことに関連する。2000年夏に発足したジャパン・プラットフォームは、このような問題を解決しようと、外務省が資金を拠出し、日本経団連が物資を供与し、NGOが現地での活動を行うことにしている。より長期的な視野に立った緊急援助を行えるという意味で、それぞれのセクターが得意な分野を生かしており、新たな日本の援助体制といってよい。しかしながら、意思決定方法などについて検討すべき課題も残されている。

《表3》日本政府の国際平和協力体制

国際平和協力法(PKO法)
国連PKOへの参加
人道救援活動
選挙監視活動(※1)
*内閣府(国際平和協力本部事務局)
*外務省(総合外交政策局)
*防衛庁(運用局)
*海上保安庁(総務部)
*警察庁(国際部)
 
国際緊急援助隊法(JDR法)
*15府省庁(※2)
*JICA(国際緊急援助隊事務局)
 
ODA(政府開発援助)
無償資金協力
*外務省(経済協力局、(国際人道機関を通じた支援は国際社会協力部も))
技術協力(13府省庁(※3)、JICA)

(※1)国際平和協力法による派遣は、@国連等の国際機関又はOSCE等の地域的機関からの派遣要請に基づき、かつA紛争関連である場合に限る。それ以外の場合(派遣先国からの要請である場合や、紛争起因ではない場合)は、外務省設置法に基づき外務省が派遣。
(※2)外務省に加え、内閣府、警察庁、防衛庁、総務省、消防庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、資源エネルギー庁、国土交通省、気象庁、海上保安庁、環境省
(※3)外務省に加え、内閣府、金融庁、警察庁、総務省、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

(4)ODAを活用した平和構築の課題

  1.  被災者、難民等への救援のような緊急時の援助(前述のように、国際平和協力法の政府現行解釈では、緊急援助隊法による支援は自然災害のみが対象)から、橋や道路の補修、建設のような復興支援に至るまで、日本のODAが提供できるメニューは数多い。そのいくつかの項目を、時系列的に並べると、緊急時では、難民支援、対人地雷除去など、復興初期では、元兵士の社会復帰支援、道路、橋などの基礎インフラ整備、医療、人権擁護、選挙支援など、復興中期では、教育、民主化、経済・社会サービスの整備など、開発期では、産業振興、港湾、空港など経済インフラへの支援があげられる。最後の港湾、空港などについては、有償資金協力の利用も考えられるであろう。
  2.  このような支援について、日本は既にJICAを中心に、個別に実績を重ねてきた。しかし、問題は残されている。第一に必要なことは、関係者の意識の向上である。こうした援助を個別的に行ってきた関係者が、平和構築の観点から、当該プロジェクトを改めて見直すことが必要である。たとえば、紛争の原因の除去乃至停戦合意を本格的な平和につなげるため、関係住民の生活を向上し、平和の配当を通じて政治的なメッセージを伝えることについて、当該プロジェクトがどの程度資するのか等が確認されなければならない。
  3.  第二に、緊急人道支援と復興・開発支援とのギャップの問題である。緊急人道支援が、迅速性をもって被災民に直接支援を行うことを目的としているのに対し、復興・開発支援は被援助国の自助努力を促しつつ実施する必要があることから、計画策定、実施に相応の期間を要すること、また、紛争発生直後に行われる緊急人道支援は国際社会の関心を集めやすく、それ故資金も集まりやすいのに対し、復興・開発支援はより息の長いプロセスであり、資金もより多くを必要とすることからドナーの対応も鈍くなる。支援に当たっては、こうしたギャップの問題に留意する必要がある。
  4.  第三に、これらの各援助を、国別援助計画などで、有機的に関連づけることである。各国、国際機関との調整が必要だが、少なくとも、日本国内でのそれは欠かせない。でなければ、重複や、無駄が生じてしまう。日本国内の平時を前提とする技術協力でも、JICAが担当するのは技術協力全体の約半分であり、残りは、各省庁に振り分けられる。その結果、重複による非効率も散見される。こうした状況から推測されることは、平和構築のODAメニューも、総合的な視野に欠け、個々別々に行われているのではないかということである。早急な検証が必要である。
  5.  第四に、開発援助の平和配慮である。第一でも触れたが、各国の支援が復興段階に移行するにつれて所得格差を拡大し、ひいては、紛争の原因とならないように、援助関係者は留意しなければならない。ODAが政府間の援助であるために、相手国政府のガバナンスが特に重要視される。途上国によっては、援助物資が、最貧層に届く前に時間が必要以上にかかったり、紛争地域に集中して他の地域の住民の反感や嫉妬を生み微妙な政治的バランスが失われてしまう例、物資自身が減っているといった例もあると聞く。どの程度、一般の人々が、ODAにより利益を享受しているかが検証されなければならない。
  6.  第五は、紛争直後に行う技術協力の問題である。既に述べたように、紛争に起因する被害には、JDR法に基づく、緊急援助隊は派遣できない。派遣できるのは、自然災害に起因する被害救済のためのみである。しかし、次のような技術協力は、紛争による難民が収容されているキャンプの周辺や地域で、紛争終結直後の当事国や地域には小規模だが行ってきた。例えば、1999年には、マケドニアに医療関係者2名を短期専門家として派遣し、その後復興支援のニーズを把握するための調査を実施した(調査は技術協力に含まれる)。2000年には、同様に東チモールでも、開発調査の一環として、道路、路肩側溝工事、水供給分野で導水管の補修、漏水対策、地図作成等を行ってきた。しかし、いずれの緊急時の援助も、平時を前提に作られた国際協力事業団法に基づき、小規模に行われてきたにすぎない。もし、平和構築に日本政府が本格的に取り組もうとするのなら、緊急援助隊の派遣基準の見直しに加え、より本格的な技術協力実施のために、新たな枠組みを考える必要がある。
  7.  第六は、安全対策である。ODAに従事する関係者のみならず、平和構築の過程に参加する全関係者に対して、危険の回避を目的とした収集された情報が、迅速に、伝達される仕組みが必要であろう。また、ODA関係者は、軍や国連PKO部隊、警察などの協力を得て、直接的に安全を確保しなければならないが、同時に援助機関それぞれが、個々の職員の安全意識の向上と、この分野に専門的知識を有する職員を配置する必要がある。
(5)人材の養成・研修・派遣における課題

(イ)国際平和協力のための人材の現状
  1.  国際平和協力の活動範囲は紛争予防から、紛争後の緊急・人道援助、復興・開発支援まで広範囲におよぶため、人材が求められる分野は多岐に及んでいる。この中には、平和維持活動、難民・国内避難民支援、人命救助、食料援助、医療・教育支援、対人地雷除去・犠牲者支援、武装解除・動員解除・元兵士の社会復帰支援(いわゆるDDR)、基礎インフラ整備、経済・社会基盤の整備、選挙支援、人権擁護、ジェンダーの平等、民主化支援、行政制度や警察・司法制度の整備などが含まれる。
  2.  平和構築に日本が効果的に取り組んでいくためには、十分な専門知識と経験を有する人材を、それぞれの段階において派遣することが重要である。しかしながら、わが国においては、国際平和協力に従事する人材が不足しているのが現状であり、人材の養成と研修が緊急な課題である。加えて、これら人材が迅速に派遣されるための制度が十分に整備されていないこともあり、人材派遣制度の見直しと改善も必要とされている。
(ロ)国際平和協力の人材養成・研修
  1.  国際平和協力に求められる人材は、専門的な知識と経験に加え、紛争予防段階や紛争後の復旧・復興過程において効果的に活動できる資質と能力も持ち合わせていなければならない。活動内容によって違いはあるが、政策提言、援助計画やプロジェクトの立案、プロジェクトの実施と管理などに関する能力の他、一般的な交渉技術に加えて多言語・多文化コミュニケーション能力や安全管理に関する知識と遂行能力も必要とされる。これらは、現地政府や他の援助国・機関などを含むさまざまなパートナーとの協議や調整に積極的に参加するためにも欠かせないものばかりである。
  2.  国内には、政府の管理下および国際機関やNGOが運営する研修施設が存在するが、日本が今後、より積極的に各地での国際平和協力活動に派遣する人員を育成していくためには十分とはいえない。将来のニーズを見据えた上で、現行の研修プログラムを見直し、必要な改善を行うことが急務である。一方、海外にある国際平和協力関連の研修機関は、さまざまな研修に意欲的に取り組んでいるが、これらは日本の国民や組織に十分活用されていない。国内と海外の研修機関の連携を強化することにより、国際平和協力の人材養成・研修の強化・拡充を図ることが可能であろう。研修体制の中で特に重視すべきなのは、実務経験を積むための研修制度を整備することである。
  3.  また、多くの大学・大学院が、国際平和協力を含めた国際協力の場で働く人材を養成するという目的を掲げながらも、必ずしも十分な成果を上げていないのも現状である。小・中・高等学校の課程を通して、国際問題に関わる動機付けの機会を増やすことが大事であり、国際理解教育や開発教育の更なる充実が期待される。
(ハ)国際平和協力の人材派遣
  1.  関連分野の人材に関しては、複数の人材データベースは存在するものの、必要に応じて迅速に人材派遣をするために十分に機能しているとは言いがたい。例えば、緊急援助医療関連の人材についても、登録者は多いが実際にこれまで緊急事態が発生した時には、派遣に必要な人数を確保することは容易ではないのが現状である。これらの問題も含め、国際平和協力の人材派遣に関する人材情報や登録制度の整備が急務である。
  2.  また、派遣に柔軟に対応できる制度が組織内に十分に整備されていないため、派遣者当人の帰国後のキャリアや再雇用などに関する不安が制約要因となる場合がある。組織の側からは、派遣者が不在の間の人材補充や財政的な負担といった業務体制上の対応が困難であるなどの問題が指摘されている。国際平和協力での人材派遣を促進するには、国内の雇用にまつわる環境の改善も重要な課題である。
(6)安全確保(補償問題を含む)の課題

(イ)安全確保の必要性
  1.  前述のとおり、カンボジアPKOでは、高田警視及び国連ボランティアに従事していた中田氏が殉職し、その他文民警察要員4人が負傷した。文民警察や選挙監視要員、国連ボランティアは、大きなグループで行動せず、小チームで現場に配置されるため、安全の問題についてPKO本部との間のコミュニケーションの確保が問題となる。しかし、カンボジアでは、辺境地域に配置された文民警察官を巡る治安状況が時々刻々と変化し、文民警察要員から、事態の変化について本部に連絡したが、通信手段の不備や複雑な連絡網のために情報が適切に本部まで伝わらず、適切な対策が講じられなかったという問題が指摘されている。
  2.  また、カンボジアでは医療体制が不備であったため、衛生状態の悪い遠隔地に派遣された隊員は、マラリア等の風土病や健康の維持について常に不安を抱いていた。このため、飲料水、浄水器、保存食品、殺虫剤等を自己調達し、盲腸の手術をテント内で行ったり、急病人をヘリコプターや船でプノンペンまで搬送した等の様々な苦労を強いられた。このようにPKOへの参加に当たっては、治安に対する対応だけでなく、派遣要員の健康を維持するための生活環境の確保や熱帯病や交通事故等の不測の事態に適切に対応するため、事前の情報収集や衛生管理、医療体制の整備などの安全対策が必要である。
  3.  さらに、難民支援においては、難民キャンプ内での襲撃、強盗、強姦の発生が報告されており、部族間のトラブル、周辺住民の感情面に対する措置や配慮が必要となる。国内紛争や国内での緊張状態においては、反政府勢力の結束の程度が弱い場合や規律や命令が末端まで行き届かない場合には、武装解除が宣言された後も、村落レベルや幹線道路沿いで反政府又は民族主義的武装集団による攻撃に注意する必要がある。
  4.  上記のとおり、国連PKOに参加する場合には、様々な危険があり、これに対して安全確保のための対策を講じる必要があるが、こうした紛争に苦しむ国や地域で支援活動を行う際に危険を全く排除するということは現実的ではない。欧米各国やNGO等は、必要な安全配慮義務は履行した上で、国際社会における平和を実現するために相対的に危険の高い地域においても積極的な取り組みを行っている。一方、日本人は、これまで国内の治安が比較的安定しており、直接武力紛争に巻き込まれる経験がなかったことから、安全に対する意識が過敏となり、危険度の基準の設定や支援活動の決定を行う際に、諸外国に比べて過度に高いハードルを課す場合があるのではないか。その結果、日本は国際平和への人的貢献に消極的であるといった印象を国際社会に与えてしまうおそれがある。したがって、今後は、政府やJICA等が適切な情報提供を含む安全管理・危機管理体制の整備に万全を期すことは当然であるが、その上で現場における派遣要員が地域の状況に応じて各自の自己責任に基づいて的確に判断し、行動することが可能となるような考え方を基本とすべきである。
  5.  こうしたことを踏まえ、JICAでは、国・地域の状況を踏まえ安全対策措置に定める五段階の危険度に照らして分類し、専門家の派遣の可否や派遣中の専門家や在外事務所の職員の避難の必要性を決定する方式を改善したところである。今後、国際平和協力への専門家の派遣に当たっては、危険度基準等の安全管理の規定上の枠組みの見直しや相対的に危険の高い地域での支援活動において危険を排除し、安全を高めるための安全管理・危機管理体制の整備が必要である。
(ロ)安全管理体制の整備
  1.  国際平和協力要員に関する安全管理は、紛争予防から、紛争後の緊急・人道援助、復興・開発支援まで全ての段階で必要とされる。急速に変化しうる治安状況に適切に対応するためには、常に正確な最新情報を確保することが重要であり、情報収集と分析機能の向上が図られるべきである。
  2.  これに関しては、他の援助国・機関との情報交換と協力強化も重要な課題である。そして、危険の性質や度合いにもとづき、危険回避措置を含む、安全管理体制を強化することが求められている。現地政府や軍・警察、日本側の現地の責任者およびそれぞれの援助要員、そして東京本部側の責任範囲や役割、権限などを明確化した上で、安全管理内容の関係者への周知を徹底することが重要である。また、護身・危険回避などの安全確保の知識と技術を個々の援助要員が備えることも大事であり、このための研修の整備が必要である。我が国の協力の枠組みの中で派遣される要員は多様であり、その中には国家公務員・地方公務員、JICAなどの政府実施機関職員や専門家の他、NGOや民間の出身者も含まれる。従って、それらの人員の様々に異なる立場を念頭に置いた安全管理体制の整備が必要とされている。
(ハ)補償制度の整備
  1.  国家公務員法及び地方公務員法は、生命または身体に対する高度な危険が予測される特殊な職種については、50%を上限とした加算制度がある。国連PKO活動や緊急援助隊に、国家公務員、地方公務員が参加する場合には、こうした加算制度が適用される。しかし、平和構築における技術協力や、平時のODAに従事した者の補償制度は未整備である。こうした格差を是正する方策と、特に労災保険の適用もないNGOの要員に対する適切な補償制度が考えられなければならない。
  2.  また、PKOに派遣される文民警察官は、本来地方公務員である都道府県の警察官であるが、国際平和協力隊の隊員として国家公務員に位置付けられることとなる。しかし、事故にあった場合、国家公務員の身分であるために十分な賞じゅつ金が支給されないという問題があり、この面での改善を早急に図ることが必要である。
(7)NGOとの連携に関する課題

(イ)日本のNGOの概要
  1.  現在、国際協力活動に取り組んでいるNGO(非政府組織)は、全国に400以上あるとされている。日本のNGOは、欧米の主要なNGOに比べると歴史も浅く、その人的、財政的基盤は脆弱であり、国際社会におけるプレゼンスはまだ低いことは否定できないが、近年きめ細かく、地道な支援活動が次第に評価されるようになっている。また、その活動内容は、従来は援助物資の送付や難民などへの緊急人道支援活動が中心であったが、今日では医療、保健衛生、教育、社会開発、開発援助に関する研究やネットワークの構築など専門性が高まるとともに、活動が多様化している。
(ロ)日本政府による支援
  1.  NGOの役割が高まる中で、日本政府は、平成元年度に「NGO事業補助金」と「草の根無償資金協力」を創設したほか、国際協力事業団(JICA)も「開発パートナー事業」等を創設した。しかし、これらは、従来の開発援助型NGOの支援を目的としたものが多く、手続きに時間を要したり、人件費や事務経費は対象外であった。このため、外務省では、平成12年にNGO,経済界、政府が対等の立場で構成する「ジャパン・プラットフォーム」を新たに設立し、平成13年度から、NGO緊急活動支援無償予算により、国際緊急援助の初動段階を支援するためのプール資金を「ジャパン・プラットフォーム」に拠出することとした。この資金を活用して、アフガニスタンへの迅速な対応が行われ、その貢献が高く評価されている。
  2.  しかし、欧米のNGOは、政府から多くの資金を受けているものがあるのに対し、日本のNGOは寄付等の自己資金も含め、財政基盤が著しく脆弱であり、今後日本のNGOの活動が更に充実するよう政府の支援のあり方を検討することが必要である。
(ハ)NGOの人材育成への支援
  1.  NGOの活動が専門的になるにつれて、NGO活動への直接的な支援だけでなく、その人材育成や能力向上を図るための政府の支援が求められる。外務省では、平成11年にNGO事業補助金の一環として「NGO海外研修支援制度」を創設したり、平成12年度に国連に設立した「人間の安全保障基金」からの拠出を得て、UNHCRのイニシアティブにより、日本においてe‐Centreが設立された。
  2.  今後は、政府、JICA、大学・研究機関等が連携してNGOの人材育成を支援するとともに、国際緊急援助の経験を有する人材に関するデータベースを構築し、効果的に活用することが必要である。
(ニ)NGOと連携した支援体制の整備
  1.  日本のNGOは、政府やJICA等との連携、NGO同士のネットワークが必ずしも十分ではなく、また、国際機関との連携が弱く、国際的なNGOのコンソーシアムの中で日本のNGOの顔が見えにくいとの指摘もある。
  2.  今後は、「外務省・NGO定期協議会」や「JICA・NGO定期協議会」を活用して国内のネットワークを構築するとともに、ニューヨークやジュネーブ等の人道救援活動について国際的な決定がなされる場で、日本のNGOのプレゼンスを確保するための方策を検討することが必要である。

第 III 部 国際平和協力の改善・強化のための方策−提言−

 国際平和のために我が国がより積極的、包括的、弾力的な協力をすること(―平和の定着と国づくり―)は緊急の課題であり、国としての基本業務に位置付けるべきである。この方針を世界に向けて発信し、その実現のための制度の見直し及び具体的な施策の改善・充実を推進するために以下の提言を行う。

1.国際平和協力の推進体制を整備・充実する。

(1)国際平和協力は、紛争予防から「平和の定着と国づくり(平和構築)」、そして本格的な復興開発支援に至るまでの包括的なアプローチであり、これが機動的かつ間隙のない形で行われるよう、政府は、国際平和協力に関する組織体制の整備・充実を図る。
(パラグラフ38115を参照)
 
(2)国際平和協力に関わる省庁は、上記(1)の国際平和協力の実施に当たって、国際協力事業団(JICA)やNGO、民間企業、学界などとの相互理解を深め、協力を強化する。
(パラグラフ115を参照)

2.文民専門家・文民警察を積極的に派遣する。

(3)内閣府国際平和協力本部は、文民専門家のより積極的な派遣実現に向け、緊急援助隊の経験・ノウハウを活用し、同事務局における派遣要員の人選(特に、人道救援専門家グループ(HUREX)制度の活用)、研修及び医療器材・物資調達等の運用面の体制を強化する。【注@】
(パラグラフ1718113を参照)
 
(4)文民警察が行う国際平和協力業務を警察庁の責務として法律上明確に根拠づけ、国際平和協力のため、支援機能を備えた警察官隊を警察庁に附置し、派遣することを目指す。警察官隊の設置に当たっては、その要員は志願制を前提とするとともに、犯罪の増加等厳しさを加える国内の治安情勢を考慮し、また、新たな業務の性格を踏まえ所要の措置を講じる必要がある。
(パラグラフ96139を参照)
 
(5)我が国の警察官の実務能力を踏まえて、それに相応しい業務を行うことができるように国際平和協力法や警察法を改正して新たな業務を付加することを目指す。仮に、業務の付加が困難な場合には指導・助言・監視業務の範囲内での派遣の可能性について検討する。
(パラグラフ1297102を参照)
 
(6)内閣府及び警察庁等関係省庁が協力して、警察官を対象とした、語学力、現地事情、武器使用等の教育訓練の実施、装備資機材の整備・開発、生活必需品や宿舎、通信手段等の支援の充実、撤収に係る手続きの明確化及び手段の確保等を図る。なお、日本から派遣される文民警察官は、管理、能率、安全上の観点から、できるだけまとまった単位として編成されるように国連当局と調整する。
(パラグラフ24101103を参照)

3.より柔軟な国際平和協力の実施に向けて早急に法整備を行う。

(パラグラフ363792を参照)

(7)いわゆるPKO参加5原則に関し、紛争当事者が消滅し、停戦合意や受け入れ同意がそもそも意味を有さない場合には、これらの要件がみたされなくとも、例えば、国連安全保障理事会の決議をもって参加を可能とする。
(パラグラフ88889を参照、)
 
(8)国際平和協力業務において、国際基準を踏まえ、「警護任務」及び「任務遂行を実力をもって妨げる試みに対する武器使用(いわゆるBタイプ)」を可能とする。【注A】
(パラグラフ8485を参照)
 
(9)国際平和協力法第3条に規定する国際平和協力業務を、現行の限定列挙(ポジ・リスト)から、必要不可欠な禁止事項の列挙(ネガ・リスト)へ変更する。【注B】
(パラグラフ91を参照)
 
(10)国際平和協力法において、人道救援活動や選挙監視活動に参加する文民専門家については、いわゆるPKO参加5原則の適用範囲から除外する。【注C】
(パラグラフ113を参照)
 
(11)国際機関の要請に基づく紛争関連の選挙監視活動への派遣について、例えば、紛争後一定期間経過した後で行われる選挙への監視団の派遣や小規模な監視団の派遣等、一定の条件の下で外務省設置法に基づいて柔軟に派遣できるようにする。【注D】
(パラグラフ58を参照)
 
(12)国際平和協力法に基づく人道救援活動に対する文民専門家の早期派遣に向け、人道救援専門家グループ(HUREX)制度の実際の運用を早急に実現すべきである。その一方、紛争後に起こる災害であって、紛争と時間的・空間的に直接関係のないもの【注E】については、人員の安全の確保に留意しつつ、国際緊急援助隊法(JDR法)の柔軟な適用による支援の可能性を鋭意検討する。
(パラグラフ114122を参照)
 
(13)国連PKOの機動的展開を目的とする国連待機制度に関し、少なくともレベル1(一定期間で派遣可能な部隊の種類、要員数、派遣期間等につき予め意図表明を行うもの)、できればレベル2(上記事項につきより詳細な計画資料を予め提出するもの)への参加を実現する。【注F】
(パラグラフ20を参照)
 
(14)自衛隊法を改正し、国際平和協力を自衛隊の本務として位置付けるとともに、適時適切な派遣を確保するため自衛隊の中に即応性の高い部隊を準備する。
(パラグラフ7095を参照)

4.より幅広い平和協力活動に取り組む。

(パラグラフ19を参照)

(15)国際的に経験の豊富な人材を特定の地域紛争を担当する政府代表に任命することや国際機関に推薦すること等を通じ、紛争の終結、和平の実現を目指す紛争当事者との調停や仲介などの努力を一層促進する。
(パラグラフ505657を参照)
 
(16)国連決議に基づき派遣される多国間の平和活動(いわゆる「多国籍軍」)への我が国の協力(例えば、医療・通信・運輸等の後方支援)について一般的な法整備の検討を開始する。【注G】
(パラグラフ363763を参照)
 
(17)平和の定着において信頼醸成、武装解除及び治安の維持等に軍事部門が大きな役割を果たすようになっているが、こうした活動に対し、我が国がより機動的に支援することが可能となるような予算の仕組み等につき検討する。【注H】
(パラグラフ636567を参照)
 
(18)紛争後に残された兵器等の処理・処分を行う軍縮関連事業への支援について、新たな組織の立ち上げの可能性を含め、体制整備を行う。
(パラグラフ6567を参照)

5.国際平和協力分野においてODAを一層活用する。

(19)紛争予防、平和構築、復興開発支援等の各段階において、国際平和協力活動を促進するためにODAを積極的に活用する。
(パラグラフ424344を参照)
 
(20)ODAの積極的な活用に当たっては、難民・国内避難民支援、対人地雷除去、DDR、選挙支援、基礎インフラの復旧といった「平和の定着」や、行政・警察【注I】・司法分野における支援、経済・社会インフラの整備、教育・メディアの支援といった「国づくり」に重点を置くものとする。
(パラグラフ64104117を参照)
 
(21)国際平和協力分野で,他の援助国や国際機関との対話を深め、互いの比較優位を生かした形で協調することにより、効果的な支援を実施する。
(パラグラフ44112を参照)

6.緊急人道支援から本格的復興支援までのギャップを埋める。

(22)緊急人道支援から本格的復興支援までギャップのない支援を実施するため、人道機関や開発機関との間の議論等を踏まえつつ、緊急支援調査や日本NGO支援無償資金協力のスキームを一層活用する。【注J】
(パラグラフ2171119を参照)
 
(23)迅速かつ柔軟な支援を行うため、英国の紛争基金(Conflict Pools)の制度を参考としながら、より柔軟な予算制度について検討する。
(パラグラフ20を参照)

7.専門的な人材の養成・研修・派遣体制を整備する。

(パラグラフ124125を参照)

(24)JICA又は非営利組織等の事業・スキームを活用し、海外の各種の訓練・研修施設や研究機関等とも協力して、国際平和協力分野での専門的な人材養成・研修及び人材のリクルート・派遣をより包括的かつ効果的に行うため、政府・民間が一体となった有機的なメカニズムを創設する。なお、国際平和協力分野での研修は、日本人のみならず,海外の多くの国々からも積極的に研修生を受け入れ、国際社会の平和の構築の基盤になる人材育成に寄与する。
(パラグラフ7999127を参照)
 
(25)人材を迅速にリクルート・派遣するために、人材管理の中核となるシステムを確立し、人道救援専門家グループ(HUREX)制度を始めとする各種人材登録制度の活用やネットワーク化を促進するとともに、派遣事前準備、事後のフォローアップ体制の充実を図る。
(パラグラフ129を参照)
 
(26)国内の研究・研修機関に対し、海外の関係機関との連携を図りつつ、緊急性の高い国際平和協力に関する理論的・学術的分析を推進することを慫慂する。
(パラグラフ24を参照)
 
(27)国際平和協力分野における大学の機能の向上を図るため、大学教員の派遣を支援する体制を整備し、教員の海外での活動を適切に評価したり、大学自らのコンサルタント登録制度への参加を促進する。
(パラグラフ78128を参照)

8.国際平和協力関係者の包括的なキャリア・プランを確立する。

(パラグラフ130を参照))

(28)大学・大学院等での専攻分野、インターン制度や奨学金制度、現地ミッションを含む幅広い国際機関などの人材募集情報などキャリア・プラニングに関する情報提供やアドバイスの実施等の支援体制を強化する。【注K】
 
(29)国際平和協力に意欲を持つ人々が国際平和協力分野の活動に参加しやすいように、出向・休職・ボランティア休暇などの制度の普及や弾力的運用の促進を図る。
 
(30)国際機関、国際NGOや他のドナーとの連携による国内外の人事交流や連携プロジェクトによる共同チームの活動等を一層充実化することにより、国際平和協力分野で活動する要員のキャリア・アップを図る。また、 日本での国際協力活動経験者の受け皿を広げることにより,これら人材の一層の活用を促進し、国際平和協力分野でキャリア・プランを確立する。
 
(31)国際平和協力に意欲を持つ人々が、実務研修を通じて現場の業務を体験できるよう、インターンシップ制度の充実を図るとともに、こうした経験が大学・大学院の単位として認められるような制度の普及を図る。
 
(32)既存の各種研修機関リストを活用しつつ、より包括的な情報の把握に資する「国際平和協力関連研修ガイドブック」をウェッブ上で作成し、公開・維持する。

9.安全対策を確立し、補償制度を整備する。

(33)国際平和協力を行う全ての組織は、現場における情報収集・分析機能の強化を図るため、安全問題の担当者を指名・配置し、また、安全確保のためのマニュアルの整備、通信や避難のための輸送手段の確保、衛生管理・医療など支援機能の確保、危機回避のための研修の充実を図る。
(パラグラフ123136137を参照)
 
(34)地方公務員である都道府県の警察官が、警察庁に附置された警察官隊の隊員として派遣され、事故にあった場合に支給される賞じゅつ金については、都道府県警察官として支給される賞じゅつ金との均衡を考慮した水準を確保するための措置を講じる。
(パラグラフ139を参照)
 
(35)日本NGO支援無償資金協力の支援形態の一つであるNGO緊急人道支援無償等を通じ、紛争・災害等の発生直後に活動するNGO関係者の健康・安全のための支援の充実を検討する。【注L】
(パラグラフ138を参照)

10.NGOへの支援を促進する。

(36)国際平和協力に従事するNGOに対し、運営の安定化、国内外での研修やアドバイザー・トレーナーの派遣・雇用などによる専門的な人材の養成、調査研究の充実等が図られるよう政府の各種支援を強化する。
(パラグラフ142143144を参照)
 
(37)国連や国際人道救援機関等における人道救援活動に関する決定において、日本のNGOのプレゼンスが確保されるよう、政府とNGOとの対話と連携を一層推進する等、可能な方策を講じる。
(パラグラフ30145146を参照)

11.国民の理解を深め、参加を促進する。

(38)我が国の果たすべき役割と責務、国際社会から寄せられる期待等について、シンポジウムや各種のメディアによる広報を通じて国民が活発な議論を行うようにし、それにより国民各層の理解を深め、より広範で積極的な参加ができるようにする。
(パラグラフ272831を参照)
 
(39)国際平和協力分野の活動についての情報公開を一層深め、その成果と問題点を国民にわかりやすい形で伝えることにより、国民の理解と参加を促進する。
(パラグラフ128を参照)
 
(40)人道援助や平和活動、安全保障等につき、我が国が国際社会の中で果たす役割について、海外向けのメディアや国際社会の場等を通じて明確なメッセージを活発に発信する。
(パラグラフ32を参照)


【提言に関する注】

注@国際平和協力法に基づく国際的な人道救援活動は、法律上は自衛隊部隊によるものに限られている訳ではないが、文民専門家(特に医療関係者)の派遣については、ロジ支援の脆弱性等の運用上の障害により実現には至っていない。
注A昨年の法改正により自国要員以外の者についても一定の条件下(「自己の管理下の者」)で武器使用が行えるようになったが、今般凍結解除となった本体業務を実施するにあたり、特に普通科部隊を派遣するにあたっては、上記「警護任務」及び「いわゆるBタイプ武器使用」が可能となることが不可欠であるとの声が、実際にPKOに参加した部隊からも出ている。
注B国際平和協力法第3条第3号では、国際平和協力業務の内容が列挙されており(例:「・・・ヌ 医療(防疫上の措置を含む。)、ル 被災民の捜索若しくは救出又は帰還の援助・・・」)、個別の要員派遣に際しては、右国際平和協力業務の中で実施計画で規定されたもののみ実施することができる。その結果、活動中の要員に対して当初予定されていなかった業務を行うよう依頼された場合は、これを実施出来ないとして断るか、乃至は実施計画を変更(閣議決定必要)する必要がある。
注CPKO参加五原則は、本来自衛隊部隊が国連平和維持活動、人道的な国際救援活動、選挙監視活動に参加するにあたって、憲法の規定との調和を図るために策定された国際平和協力法の重要な骨格である。しかしながら、同法の現行規定は、自衛隊部隊だけではなく、武力の行使をすることがあり得ない文民にも広く適用されている。文民への五原則の適用は、「危険な地域」には派遣されることがないことの担保となっている面がある一方、我が国の人的国際貢献を制限している面がある。
注D現在、日本政府が選挙監視要員を派遣する際の根拠法は、外務省設置法と国際平和協力法の2つの法律がある。これらの2つの法律が同一の状況に適用されるべきではないとの観点から、(イ)国際平和協力法による派遣は、@国連等の国際機関又はOSCE(欧州安全保障・協力機構)等の地域的機関からの派遣要請に基づき、かつ、A紛争関連である場合に適用され、(ロ)それ以外の場合(派遣先国からの要請である場合や、紛争起因ではない場合など)は外務省設置法が適用されるという法的な整理がなされている。この結果、現地の状況が上記(ロ)に該当する際は、外務省設置法による比較的迅速な対応が可能であるのに対し、上記(イ)に該当する際は、国際平和協力法に定められる閣議決定を始めとする諸般の手続きが必要となるため、迅速な対応ができないとの指摘がある。このため、(イ)の場合であっても、外務省設置法の適用を認め、迅速に対応することが望ましい場合があると考えられる。
注E「紛争後に起こる災害であって、紛争と時間的・空間的に直接関係のないもの」とは、紛争の終結から一定の時間の経過、紛争地域から一定の距離がある等総合的に判断し、紛争の影響を直接受けていないと認められる新たな災害をいう。
注F国連は、近年PKOの迅速な展開を重視しており、各国に国連待機制度への参加を慫慂している。国連待機制度は、国連PKOの機動的な展開を可能とするために国連加盟国が一定期間内に提供可能な要員の種類、数を国連側に予め通報しておき、実際に展開が必要となった場合にはこれに基づき国連は各国に協力を要請するという制度。但し、登録国は、実際に展開する際に事務総長の要請を断ることができる。本年8月現在、74ヶ国が本件制度への参加をし(日本は未参加)、18カ国が参加の意図を表明している。
注G国際平和協力法では、協力対象としての「国際連合平和維持活動」は、「国際連合の統括の下に行われる活動」である必要があるため、いわゆる「多国籍軍」は対象とはならず、また、テロ対策特措法も9・11のテロにより生じた脅威の除去に努める外国の軍隊への協力支援などについての限時法であるため、いわゆる「多国籍軍」への協力のための部隊要員派遣についての一般的な法的根拠がない。
注H軍事部門が関与している活動に対する支援については、国際機関等に設置された信託基金等を通じた支援は可能ではあるが、ODAにはなじまない分野であり、また、予備費や補正予算で機動的な対応が困難な場合あり。また、同様に、軍事関連施設・機材の取り扱いを内容とする可能性のある案件、更には、軍縮関連案件についても、ODAを通じた対応はこれまで行ってきていない。
注I警察・司法制度の構築に際し、関連施設・機材の供与にあたっては、人権等に配慮し、従来慎重に対応してきている。
注J紛争後の地域に対する緊急人道支援とそれに続くべき開発支援との間に切れ目が生じる問題。人道支援と開発支援では実施する機関が異なり、人道支援機関(UNHCR、WFP等)は人道支援段階(1〜2年)を過ぎれば開発機関(世銀、UNDP等)に引き継いで撤退することが求められるのに対し、開発機関は計画策定に相応の期間(半年〜1年)を要することから、両者の支援の間に切れ目が生じる可能性が出てくる。このため、人道支援機関は、国際社会の関心が低下し資金が減少する中、撤退しようにも引き継ぐ機関がないため撤退できないというジレンマに陥ることとなる。
注K本件については、既に類似のものを外務省国際機関人事センターHP上で行っているが、国際平和協力関係分野についての充分な広報機能を持たせるため,システムの構築、整備並びに運用面の見直しが必要。
注L武力紛争、自然災害等の現場で支援活動を展開した実績を有する我が国のNGOに対し、武力紛争、自然災害等の被災民に対する緊急人道支援活動または被災地の復旧・復興支援として被災地の現場で実施するプロジェクトの総額80%を上限として、「NGO緊急人道支援無償」で支援。


「国際平和協力懇談会」の開催について

平成14年5月28日
内閣官房長官決裁

  1. 趣旨
     小泉内閣総理大臣が平成14年5月1日にシドニーにおいて行った講演の中で表明した「平和の定着及び国造り」のための国際協力の強化に向けて必要な検討を行うため、高い識見を有する人々の参集を求め、「国際平和協力懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催することとする。

  2. 構成
    (1)懇談会は、別紙に掲げる有識者により構成し、内閣官房長官が開催する。
    (2)内閣官房長官は、有識者の中から、懇談会の座長を依頼する。
    (3)懇談会は、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。

  3. その他
     懇談会の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する。

(別紙)

「国際平和協力懇談会」メンバー


明石 康 元国連事務次長
海老沢 勝二 日本放送協会会長
草野 厚 慶応大学総合政策学部教授
小島 明 日本経済新聞社常務取締役 論説主幹
小林 陽太郎 富士ゼロックス株式会社代表取締役会長
嶌 信彦 ジャーナリスト
志村 尚子 津田塾大学学長
田中 明彦 東京大学東洋文化研究所教授
千野 境子 産経新聞社大阪本社編集局特別記者兼論説委員
西元 徹也 元防衛庁統合幕僚会議議長
新田 勇 元大阪府警察本部長
星野 昌子 特定非営利活動法人日本NPOセンター代表理事
山崎 正和 東亜大学学長
山中 Y子 国際連合大学・北海道大学大学院国際広報メディア研究科客員教授
弓削 昭子 国連開発計画(UNDP)駐日代表
横田 洋三 中央大学法学部教授

国際平和協力懇談会開催状況


○ 第1回会合:平成14年6月12日(水)
(議題)委員自己紹介等

○ 第2回会合:平成14年7月12日(金)
(議題)・日本の「平和の定着及び国の枠組み造り」に向けた支援について
・平和維持・平和構築について(基調報告)
・意見交換

○ 第3回会合:平成14年8月2日(金)
(議題)・国際平和協力の理念及び枠組み等について(基調報告)
・米国出張報告
・意見交換

◇ NGOとの勉強会:平成14年8月21日(水)
(議題)・NGO等からの報告
・意見交換

○ 第4回会合:平成14年9月9日(月)
(議題)・平和構築協力のあり方について(基調報告)
・平和構築分野(平和定着及び国造り)におけるODAの役割について
・NGOとの勉強会についての報告
・意見交換

◇ カンボジア文民警察OBとの意見交換会:平成14年10月18日(金)
(議題)・カンボジア文民警察OBからの報告
・意見交換

○ 第5回会合:平成14年10月31日(木)
(議題)・人材の養成・派遣のあり方について(基調報告)
・欧州視察の概要及びカンボジア文民警察OBとの意見交換会についての報告
・意見交換

□ 第1回報告案の検討会:平成14年11月22日(金)
(議題)・報告案のたたき台についての意見交換

□ 第2回報告案の検討会:平成14年11月23日(土)
(議題)・報告案のたたき台についての意見交換

○ 第6回会合:平成14年12月18日(水)
(議題)・報告のとりまとめ