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「首相公選制を考える懇談会」報告書



はじめに〜本懇談会の取り組んだ課題について

本懇談会の役割

 本懇談会は、「国民の政治参加の途を広げることが極めて重要であることにかんがみ、内閣総理大臣と国民との関係の在り方について国民的な議論を提起するため」に設置されたものである。そしてより具体的には、「いわゆる首相公選制など、内閣総理大臣と国民との関係の在り方について、憲法上の問題点等を含め幅広い検討を行い、具体的な提案を行う」ことが想定されていた。本報告書は、約1年にわたるこれらの問題の検討結果をまとめたものである。
 ところで、これまでの「内閣総理大臣と国民との関係」をめぐっては、大別して2つの問題があったと考えられる。
 第一は、首相の民主的正統性の問題である。与党の党首選挙は首相選挙と同じ意味を持つにもかかわらず、しばしば派閥の論理によって党首選挙が行われ、国民とはかけ離れたところで日本の最高指導者が決定されてきた。とりわけ最大派閥がその時々の首相の支持基盤として大きな力を持つ二重権力構造が出現し、日本の政治を極めて不透明なものにした。こうした経験が重なる中で、形式的には首相は国民の代表たる国会によって指名されるが、国民のあずかり知らぬところで、あるいは国民の手の届かないところで首相が事実上決定されているという不満が国民の中に鬱積してきた。
 第二は、首相の指導力と内閣の政策統合機能の問題である。日本では首相の指導力が弱いので、大胆な政策展開ができないという不満が国民常識やマスメディアの中に根強く存在する。首相は頻繁に交代し、閣僚は1年1回入れ替えられ、内閣は全体として行政府を上から指導する体制を持っていないと言われてきた。内閣の機能強化、首相の指導力向上は橋本政権時代の行政改革の中でも議論され、ある程度の制度改革も行われたが、その成果は今のところ目に見える形で現れていない。
 右肩上がりの経済発展の時代が終わりを迎え、様々な分野で旧来の常識にとらわれない大胆な改革が叫ばれるに及んで、閉塞状況を打破するためには首相の選出方法を変えることによって強い指導力を生み出すことが必要だという意見が根強いものとなってきた。これは首長選挙で起こっている事態の延長線上にあるものとも考えられよう。同時に、この背後には、不透明な中での一部の限られた人々の間での取引といった伝統的な政党政治の在り方を嫌い、透明性と自己責任・自己統治の原理に従って政治をとらえ直したいという、国民意識の広範な変化が存在していることを見逃すべきではない。
 本懇談会は、こうした国民の不満や関心を受け、首相選出方法の改革を中心に自由な発想の下で首相と国民との関係についておよそ1年をかけて検討を重ねてきた。

制度構想の視点

 以下に述べる制度改革構想は、民意を反映させる首相の選出方法の工夫と、首相のリーダーシップの有効な発揮のための制度的仕組みという2つの観点から問題を検討、吟味した結果である。その際、現行憲法の規定にとらわれない白紙からの制度構想を提起することとした。具体的な改革案の作成においては、行政府と議会との分離を組み込みながら国民が首相指名選挙を直接行うモデル、議院内閣制の枠組みを残しながら首相の選出に対して最大限国民のより直接的な参加を可能にするモデルの2つに議論を集約し、それぞれについての制度設計を示している。また、憲法改正にかかわる部分については関係する主要な条文を指示している。
 ここで提示する2つの改革案は憲法改正を伴うものであり、その実現には長い時間とエネルギーが必要となる。その間にも政治の課題が更に複雑困難になり、首相のリーダーシップの発揮や政策統合の必要性が一層高まることが予想される。そのため、従来から指摘されてきた日本型内閣統治の弊害を是正することも避けて通ることのできない課題である。本懇談会の主たる任務は、首相選出の在り方を中心とした具体的な案をまとめることではあるが、時代の要請に即して制度や慣行を改革することの重要性にかんがみ、現行憲法下で可能な改革について別に項目を立てて言及することとした。

報告書の位置付け

 本懇談会の任務は、その設置の趣旨にもあるように、首相の選出過程に国民による参加を拡大するための具体的な道筋をいくつか示し、日本の統治機構の在り方に関する国民的論議のための良質な素材を提供することにある。この観点から、懇談会としてはあえて強引に1つの結論を導き出すことはしなかった。また、具体的な改革案については、その特徴と諸課題とを「考慮されるべき点」としてなるべく多角的、客観的に指摘するよう心懸け、今後の議論に資することとした。


T 国民が首相指名選挙を直接行う案

《趣 旨》

 この案は、国民が直接首相を選出することを可能にすることで国民の政治参加の途を広げ、選出過程における首相の国会からの独立性を導入する。併せて首相の任期を基本的に確定させてその選任が選挙期間以外に政局化することを防ぎ、また行政府の長としての首相の権限強化を図ろうとするものである。他方で、権力の濫用を防止するために首相の権限行使に際して国会等による様々の抑制を加味している。
 なお、以下の記述では国会は基本的には現行どおりの二院制であることを前提としているが、国民から直接選出される政治部門が首相・衆議院・参議院の3つとなることから招来される複雑性も考慮して、衆議院と参議院を廃止し、新たな一院制の国会を創設する案も検討に値する。

1 首相・副首相の選出方法

〈提 案〉

ア 国民が首相・副首相を直接選挙によって指名する。この場合、首相は天皇が任命し、副首相は首相が任命して天皇が認証する。

イ 首相・副首相は一対となって立候補し、国民はこの一対に対して投票する。

ウ この立候補に際しては、一定数の国会議員の推薦を条件とする。

エ 首相・副首相の選挙運動期間は数か月とし、その数か月前に推薦を行う。

オ 最初の投票において過半数の得票を得た候補者グループが存在しない場合、数週間後に上位2グループによる決選投票を行う。

〈説 明〉

(1) このような首相公選制を採用する場合、首相がいわば大統領的地位を兼ね備えるものとして、日本国及び日本国民統合の象徴である天皇との憲法上の関係については、議論があり得るところである。しかし、この点については、天皇は、日本国の元首といって差し支えないとされ(政府見解)、また対外的に元首とされているのであるから、ここでは特に元首性の明文化にこだわることなく、国民の直接選挙により指名された首相を天皇が任命することを明示することにより、このような天皇の地位に影響を与えることはないとの考え方に立った。
 これに対し、委員の中から、天皇の元首性を憲法上明確にすべきであるとして、以下の提案をする意見が強く表明された。

 公式見解としては天皇は元首であるといって差し支えないとされ、また対外的には国の象徴である天皇が元首であるとされているが、学説はいまだに区々に分かれている。このような現状の下で、国民の直接選挙により国民の総意として首相が選ばれ、一人で行政権を掌握することとなれば、首相は、実質的に大統領と首相の地位を兼ね備えることとなるから、現行どおりの任命制度を維持しても、学界及び政界を中心に、一層論議が紛糾するおそれが大である。首相公選制を採用するのであれば、憲法第1条を改正して、天皇が日本国及び日本国民統合を象徴する元首であることを明確にするとともに、衆議院議長及び参議院議長は、それぞれの院の指名に基づき、象徴元首としての天皇が任命することとし、全権委任状並びに大使及び公使の信任状については、その認証ではなく、これを発することを天皇の国事行為と定めて、元首にかかる規定を整備すべきである。

(2) 首相・副首相の立候補資格については、一定数の国会議員(例えば総数の20分の1から10分の1程度の数)の推薦を要件とすることにより、国政に精通した国会議員の評価も加味する。
 この点については、委員の中から、「3 首相の権限及び国会・裁判所との関係」の〈提案〉イ及びオでも維持されている衆議院の優越性にかんがみれば、推薦者は、参議院議員を含めないで、衆議院議員だけとすべきであるとする提案がなされた。

(3) 候補者の資質を国民が十分に精査する期間を確保するために、選挙期間はある程度長い期間を想定している。ただし、下記の不信任・再選挙の事態を考慮すると、余りに長期にすることも妥当でなかろう。また第1回目の投票を一種の予備選挙ととらえ、さらに相対的に少数の支持で当選することを防ぐために、2回投票制とする。

(4) なお、以上の案にやや類似したものとして準公選制案を考えることも可能であろう。これには大統領制型のもの(まず国会議員数より少ない規模の首相候補者選挙人を国民から選出する。そして国会議員と首相候補者選挙人が合同して首相候補者を選出し、その者を国会が指名する)と、議院内閣制型のもの(国会が首相候補者を提案し、首相候補者について国民投票を行う。その得票順位に従って国会が首相指名を行う)とがあり得る。ただし、どちらも手続が非常に複雑になること、また首相の選出基盤が国民にあるか国会にあるかが明確でないこと、さらに最後に行われる国会による首相指名の憲法上の位置付けが不明確であること、などの難点を指摘することができよう。
(関係憲法条文:第6条、第67条等)

2 首相・副首相の任期等

〈提 案〉

ア 任期は4年とし、3選を禁止する。衆議院議員総選挙を同時に行うものとする。

イ 首相が欠けたときは副首相が昇格する。この任期は前任者の残任期間とする。

ウ 副首相が欠けたときは首相が指名するが、衆議院議員の過半数の承認を得るものとする。

〈説 明〉

(1) 上記の案と同時に、任期を3年とし(ただし4選は禁止)、衆議院による首相の不信任及び衆議院の同時解散の条項を伴わない案(すなわち首相の解任については弾劾裁判で有罪とされた場合のみとする案)も検討されたが、後述するように衆議院による首相への不信任、衆議院の同時解散の規定を置いたため、任期を4年とした。

(2) 首相・副首相が同時に欠けた場合に対しては、閣僚及び衆議院議長、参議院議長等の中であらかじめ首相となるべき者の順位を定めておくことで対処する。任期は前任者の残任期間とする。
(関係憲法条文:第67条、第69条、第70条等)

3 首相の権限及び国会・裁判所との関係

〈提 案〉

ア 行政権は首相に属するものとし、首相は国民に対し直接責任を負う。

イ 首相は、大臣、副大臣、政務官等を任命することができ、行政各部について広範な人事権を持つ。閣僚は、衆議院がその3分の2以上の多数決で不信任とした場合は、その職を解かれるものとする。

ウ 首相、副首相、大臣、副大臣、政務官等と国会議員との兼職は禁止する。

エ 首相は、法案提出権及び予算案提出権を持つ。また、首相は、国会での審議に出席することができる。

オ 衆議院は、3分の2以上の多数決で首相に対する不信任を議決できる。この場合、首相・副首相の再選挙を行う。また、衆議院も同時に解散となる。

カ 首相は、最高裁判所長官を指名し、最高裁判所の他の裁判官を任命するが、その際、参議院の過半数の承認を得るものとする。

〈説 明〉

(1) 行政権が首相に属することを明記するのと同時に、立法権は国会に属することも明記する。また、国会を「国権の最高機関」とする憲法の規定は削除する。内閣の憲法上の地位も変更される。天皇に助言と承認を与えるのは内閣から首相に変更されるが、その表現は別途検討する。

(2) 法案予算案提出権と国会審議出席権に関しては、首相に拒否権を認めるものの法案提出権及び予算案提出権を認めず、また、首相が基本的に国会の審議に出席しないアメリカ型の制度と、首相が両者の提出権を持ち審議にも出席できる議院内閣制的要素を残した制度の2つを想定することができる。首相と国会の役割を峻別し、行政権と立法権の帰属と責任を明確にするという本案の趣旨に従えば、首相が国会審議から物理的により自由に行動することができ、また、特に立法機関としての国会の改革と強化を促す意味では、前者が適当であるとの意見も強く表明された。しかし、首相の強力な指導力を確保し、また、これまでの我が国での議院内閣制の伝統と経験を積極的に生かす意味では後者が適当と考えられるため、ここでは後者の制度を採用することにした。

(3) 委員の中から、首相公選制を完結的なものとする観点から、国民によるリコール制度を設けるべきであるとの提案がなされた。これには、国民が発議するものと衆議院が例えば3分の2の多数決で発議する方法とがあり得る。ただし、いずれの案についても、リコール制度が国会議員には適用されず首相にのみ適用されることにより国会との関係で首相が一方的に弱体化する懸念、リコールの手続開始から投票そして首相・副首相の再選挙に至るまで時間がかかり長期に及ぶ政治的空白が生じることなどの難点を指摘し得るであろう。そこで、リコール制度に代わるものとして、また国会と首相が激しく対立した場合の打開方法として、衆議院の特別多数による首相不信任と首相・副首相の再選挙、衆議院の同時解散の規定を置いた。

(4) 最高裁判所の人事権を首相単独のものとしないために、国会の関与を求めた。最高裁判所裁判官に対する国民審査制度は、廃止する方向で検討する。
 この案に対しては、委員の中から、最高裁判所裁判官の人事に対する政治の介入を避け、その政治的中立性を確保し続けるためには、より現行制度に近い制度を維持すべく、その人事を首相の権限とし、これに伴い国民審査制度も維持すべきことを提案する意見が強く表明された。
(関係憲法条文:第7条、第59条、第65条、第66条、第68条、第69条、第72条、第73条、第79条等)

4 首相・副首相の弾劾など

〈提 案〉

ア 衆議院は、憲法上・法律上の重大な違反又は反逆、収賄等の重大な犯罪を事由に、その3分の2以上の多数決により首相の弾劾訴追を決議することができる。副首相についても、同様とする。

イ 前項の弾劾訴追決議を受けて設置される弾劾裁判所は、同数の衆議院議員、参議院議員、最高裁判所裁判官から構成され、最高裁判所長官が裁判長を務める。総員の3分の2の賛成によって有罪と判断された場合、その首相又は副首相は失職するものとする。

〈説 明〉

(1) 首相及び副首相の弾劾については、政治的不信任と異なり、首相又は副首相個人の重大な法令違反又は犯罪を裁判する制度である趣旨を明らかにする意味でも、国会だけでなく最高裁判所の関与を求め、立法部と司法部の2部門による判定とする。 
 これに対し、委員の中から、憲法上・法律上の重大な違反といっても、その実質は、政治的性格を帯びることが多く、これに最高裁判所裁判官が関与することは相当でないし、さらに、反逆、収賄等の重大な犯罪を事由とする弾劾裁判は、首相の有する在任中不訴追の特権との関連からも、司法裁判所への刑事訴追、裁判、有罪確定に先立って行われることとなろうが、そのような時点で行われる弾劾裁判に、司法裁判所の頂点に立つ最高裁判所の裁判官が関与することは相当でないから、弾劾裁判所は、衆議院議員と参議院議員で構成すべきことを提案する意見が強く表明された。

(2) 心身の故障による職務執行不能の判定については別途検討する。例えばその判定は、政治の介入を防ぐため、最高裁判所の権限とすることが考えられるとする意見が表明された。
(関係憲法条文:新規)

5 考慮されるべき点

(1) 本案の特徴としては、首相の直接指名選挙により、統治機構の中に広く国民全体の利益を代表しようとする一部門が一定の独立性を持って存在するようになること、国民によって直接選出されることにより首相の政治的基盤と民主的正統性が確保されること、首相の在任期間の安定と業績及び責任の明確化、また官僚制に対する上からの統制の強化などが期待できること、などの諸点を指摘することができる。
 国会についても、内閣の存続への配慮から独立して法案ごとの審議が可能になるため、立法機関としての自律性が高まることが期待できる。国会議員の役割は主として立法に限定され、また閣僚との兼職も禁止されるため、国会議員をいわゆる「大臣病」から解放するという効果も期待できよう。
 首相となる政治家の類型も、派閥政治を含む与党内部の事情又は論理で推挙される政治家から、国民に政策と構想を訴える政治家に変わることが予想される。
 現行制度の下で与党内調整として行われている様々の交渉又は調整が、首相対国会の交渉として表に出る傾向が生まれ、政治過程の公開度は高くなる。

(2) 本案の課題としては、以下の諸点が指摘される。
 まず、一定数の国会議員の推薦を要件とし2回投票制を採用しても、国民が候補者の政策や首相・副首相としての能力を十分に理解し評価した上で投票するに足る客観的な情報がマスメディアをはじめ様々な媒体によって適切に提供されるかどうか、また、国民がそれを有効に活用して冷静な投票ができるかどうかなど、懸念は残ると考えられる。
 次に最も重要な問題点として、首相が属する政党が国会では少数派であるといういわゆる「分割政府」状態が生じ、首相と国会の間の政治的停滞又は膠着状態が起きかねない、という点を指摘できる。首相が政策や構想を語っても、国会が呼応しない場合も十分想定され得る。「分割政府」状態の下では、統治責任が議会と首相に分散することになり、これは与党の政治責任が不明確化することをも意味する。「分割政府」とならないにしても、与党又は国会での権力基盤が強固でない首相が選出される可能性は存在する。
 さらに、少なくとも首相を選出し内閣を支えることで求心力を保っている政党が今日より更に弱体化し、また、議員がより地元利益密着型になっていく可能性も否定できない。
 最後に、この提案の趣旨を十分に実現するためには、公選首相が官僚制を統制することを可能にする体制を整備することも必要となろう。国会にもより大きな立法責任を担う体制を整備することが求められよう。

U 議院内閣制を前提とした首相統治体制案

《趣 旨》

 この案は、我が国の国会をより一層一院制的なものに再編成して、衆議院議員総選挙を首相選出と直結させることにより首相の地位の民主的正統性を高めるとともに、総選挙から次の総選挙までの期間を「分割政府」のおそれのない、安定した「立法期」として確保することによって、政治における首相のリーダーシップの強化又はその実質的充実を図ろうとするものである。
 この構想の内容については、当懇談会の中でいろいろな議論が出されたが、首相の選出方法・国会との関係など主要な項目について大方の合意が得られたところを具体的に示すと、以下のようになる。

1 首相の選出方法

〈提 案〉

ア 憲法に政党条項を導入し、政党が首相候補者の選出について国民参加の余地を広げるよう義務付ける。

イ 衆議院議員総選挙が事実上の首相選出選挙となり、国民の政治意思の統合にふさわしいものとなるよう、選挙制度の在り方などを工夫する。

ウ 各政党は、衆議院議員総選挙に際して、首相候補者を明示するものとする。

〈説 明〉

(1) 政党条項の導入については、本来任意団体である政党というものの自主性・自律性を重んずる立場から、この提案に反対する意見も主張された。しかし、現代政治において政党が果たしている国政選挙における役割、議院内閣制における政府形成・維持機能、国会運営面における公的機能などを考えると、その位置付けを憲法上明確にしておくことは必要である。少なくとも政党助成金を受けている政党については、単に任意的・自主的な団体であることのみを主張することはできないと考えられる。

(2) 衆議院議員選挙制度の在り方についてはいろいろな案が考えられるが、その一つとして2回投票式小選挙区制の採用も十分検討に値する。ただ、小選挙区制を採った場合、多様な民意が必ずしも的確に反映されず、そのような制度は余り賛同を得られないとする反対意見が委員の中にもあるが、他方で、政権交代の可能な、しかも安定した多数を形成できる制度にすることも求められよう。
 要は、多様な民意の反映と安定多数の確保という要請のいずれを優先させるかの選択の問題であり、多様な民意をどう反映させるかという問題については、2回投票制を採り入れることによって、かなり対応することができよう。
 なお、衆議院議員総選挙の重みを考えると、選挙区間の有権者数の不均衡から生じるいわゆる一票の格差の問題については、選挙区割りの立法に当たって、これまで以上に厳しい基準で考える必要がある。 
(関係憲法条文:新規)

2 首相の任期

 議院内閣制を前提とするので、「T 国民が首相指名選挙を直接行う案」において示した案(以下「第T案」という。)とは異なって、特に首相の任期を限定する規定を設ける必要はない。

3 首相の権限と国会との関係

〈提 案〉

ア 行政権は首相に属するものとし、その権限の拡大を図るとともに、その責任を明確化する。

イ いわゆる建設的不信任決議の制度を導入するとともに、首相(内閣)信任決議手続を整備する。

ウ 安定した「立法期」を確保するという観点から、参議院の権限の見直しを図り、政府形成機能や政府批判機能などは専ら衆議院の役割とする方向で、関係する憲法条文の精査を行う。

エ 法律制定手続における内閣の役割の大きさを考え、国会関係調整大臣(仮称)を設け、国会との関係は専ら同大臣が掌理する。

オ 首相は、内閣提出の法案に関して、一定の場合に国民表決(レファレンダム)に付する権限を有するものとする。

カ 国務大臣(閣僚)には、基本的に衆議院議員が就任するものとする。

〈説 明〉

(1) 国会との関係を考えるに当たっては、まず、国会それ自体について、両院制に代えて一院制国会にするという構想も、考えられないではない。この構想は、現在の両議院が組織の上で似通ったものになっていることへの反省を踏まえ、一院制の下では立法その他の議会の議決を経るべき国政機能が迅速かつ的確に行われることを期待したものである。
 しかし、両院制が所期の機能を発揮していないのは、主として両議院組織法、特に参議院組織法の在り方に問題があるためであり、両院制それ自体の問題ではない。しかも、我が国のような人口規模を持つところで、多様な民意を反映すべきことが求められることを思えば、どのような選挙制度を採るとしても、一院のみでは酌み取ることのできない要素があることは否定することができない。したがって、一院制国会は必ずしも適合的でないと考えられる。
 そこで、ここでは、両院制の立場を維持しつつ、その在り方、特に参議院の役割を見直すことによって、首相と国会との関係を再編成する方向を示すことにした。その際、首相の地位が民主的正統性を強めることを前提とすれば、首相の地位を明確化し、首相により広い権限を与えるとともに、首相が国民全体及び国会に対する責任を負うことを明確にすることが肝要である。

(2) 建設的不信任決議や首相(内閣)信任決議手続は、安易な政権交代を阻止するとともに、政府批判や政権交代の責任を明らかにするために必要なものである。
 ここにいう建設的不信任決議の制度とは、現行ドイツ連邦共和国基本法第67条が定めているような要件を備えた手続をいい、また首相(内閣)信任決議手続とは、現行フランス共和国憲法第49条のような手続(ただし、法案一括議決と組み合わせたものを除く。)をいう。

(参照)
・ドイツ連邦共和国基本法
第67条〔建設的不信任決議案〕
(1)連邦議会は、その議員の過半数をもって連邦総理大臣の後任を選出し、連邦大統領に対して連邦総理大臣を罷免すべきことを要請することによってのみ、連邦総理大臣に対して不信任を表明することができる。連邦大統領は、その要請に応じて選挙された者を(連邦総理大臣に)任命しなければならない。
(2)その動議と選挙とのあいだには、48時間なければならない。

・フランス共和国憲法
第49条〔内閣の責任〕 首相は、閣議を経た後、国民議会に対し、そのプログラム又は場合により一般政策宣言について、内閣の責任を賭けるものとする。
2)  国民議会は、不信任決議案の議決により、内閣の責任を追及するものとする。この決議案は、国民議会議員の10分の1以上の署名を得なければ、受理することができない。その議決は、決議案の提出後48時間を経なければ、行うことができない。不信任決議案は、賛成票のみを計算するものとし、国民議会議員の多数によらなければ可決することができない。次項に定める場合を除き、議員は、同一の通常会期中は4以上の不信任決議案に署名することができず、また、同一の臨時会期中は2以上の不信任決議案に署名することができない。
3)  首相は、閣議を経た後、一の法案の採決について国民議会に対する内閣の責任を賭けることができる。この場合において、不信任決議案が続く24時間以内に提出され、前項に定める要件により議決されたのでなければ、その法案を可決したものとみなす。
4)  首相は、元老院に、一般政策宣言の承認を求めることができる。

(3) 現行制度では、参議院議員選挙が直接選挙制であり、衆参両院を併せると頻繁に国政選挙が行われ、しかも憲法上参議院は首相指名権を有することから、首相・内閣の運命は潜在的に参議院議員選挙の結果に左右される結果になっている。
 それだけでなく、参議院は、憲法上、法律制定手続において、衆議院との関係で、通例、議院内閣制諸国の上院には見られないような強い阻止権を有している。これが、参議院会派をも巻き込んだ複雑な国政運用を招く原因になっている面が強いので、より一院制型の両院制になるよう制度を改め、議院内閣制の下における首相と国会との関係をより明確にする必要がある。

(4) 国会関係調整大臣(仮称)の設置は、後述の「4 首相と与党との関係」と密接に関連する事項であって、内閣が、与党の機関を経由することなく、内閣提出の法案などの取扱いについて国会と直接協議することができるようにするためのものである。

(5) 首相の法案に関する国民表決付託権については、首相の権限を強化しすぎるとの懸念があることも事実である。しかし、民主的正統性の強まった首相の地位を前提とすると、その指導力を十分に発揮することができるとともに、国民に対する責任が明確になるという点において、むしろ首相が国民表決付託権を持つということは重要な意味を持つと考えられる。
 その場合、首相の国民表決付託権の対象とすることができる法案は、基本的人権に直接関係するものを除外するなど慎重な検討が必要である。

(6) 閣僚要件の問題については、必ずしも参議院議員又は民間人の大臣登用を排除する趣旨ではなく、参議院議員又は民間人が大臣に就任したときは、議院内閣制の趣旨からいって、必ず次の衆議院議員総選挙に立候補して、その洗礼を受けるべきことを要求する意味を持つにすぎない。
 なお、内閣組織における首相の優越的地位又はその指導性の確保という観点からすると、大臣に非国会議員を登用する途を広く採り、いわば大統領制的な運用の余地を残すことが望ましいようにも考えられ、この立場からすると、現行憲法第68条はむしろそのまま存続させるか又は現行憲法以上に議員要件を外すべきだという議論になろう。しかし、議院内閣制の趣旨からすると、既に現行憲法の規定自体決して本来的な要件を定めたものではないのであって、そうした議論は採ることができないと考える。

(7) これまでの説明から明らかなように、内閣という合議体は、従来のいわば大臣同格制的な色彩を残したものではなく、行政権の帰属する内閣総理大臣が率いる憲法上の機関として位置付けられることになる。

(8) なお、以上の措置が講じられるとすれば、首相と国会との関係については、当然に国会の対抗権力を強化することが必要である。具体的には、少数派調査権の制度化や本会議における口頭質問の活性化、法案の逐条審議の慣習化などによって、野党会派の首相・内閣に対するコントロール機能を高めることが必要だと考えられる。
(関係憲法条文:第41条、第43条、第59条、第65条、第66条、第67条、第68条、第69条、第73条等)

4 首相と与党との関係

〈提 案〉

ア 内閣と与党との関係を整理し、一元的な政策形成体制を確立する。

イ 政治任用職の増加と人事面における首相のリーダーシップの強化を図る。

ウ 党首選挙に関するルールを明確化し、幅広い国民の参加が得られるよう開放的なものとする。

〈説 明〉

(1) 首相と与党との関係については、「はじめに」でも述べた、内閣と与党との間に見られるいわゆる二重権力構造という根本的な問題がある。これを改めるためには、後述の「V 現行憲法の枠内における改革案」における様々な改革を必要とするが、特に上記の諸点は重要だと考えられる。

(2) 党首選挙ルールについては、政党の自主性・自律性に配慮しつつ、政党関連法規の在り方を見直すことを必要とするが、この点を含めて、詳しくは後述の「V 現行憲法の枠内における改革案」における説明を参照されたい。

5 考慮されるべき点

(1) まず、この案の特徴としては、何より、第T案ほどではないにしても、首相と国民との距離が縮まり、首相の民主的正統性と指導的地位を強化することによって、国政上必要なリーダーシップを首相が発揮できることを挙げることができよう。第T案と異なり、「分割政府」の心配がない点は特に重要である。
  また、この案により、先の内閣法の改正によって明文化された国民主権の原則と内閣の職権行使との積極的関係(内閣法第1条参照)をより一層明確化することにつながるという点も、現代民主政の在り方にかなう適切なものと言ってよい。

(2) その反面、この案については、以下の諸点が指摘できよう。
 まず、首相選出方法については、結局のところ、現行制度との決定的な違いはなく、むしろ単なる首相統治制の構想を示したもの又は首相のリーダーシップ強化案を打ち出したものにすぎないではないかとの印象を免れがたい。
 また、第T案ほどではないにしても、国会及び内閣関係の規定を中心に現行憲法の多くの条項に対する見直しが必要となるのみならず、これまでの政治的な慣行・慣習の大胆な見直しを同時に必要としている点も見逃すことができない。


V 現行憲法の枠内における改革案

《趣 旨》

 国民が首相に対して「我々の選んだリーダー」という一体感を持てるようにすること、首相が国政の指導者としての力を発揮できるようにすることは、日本型議院内閣制の弊害を生み出した運用上の問題点及び制度上の不足を補うことによって必ずしも不可能ではない。この観点から、以下では、制度、慣行の両面にわたって、改革の具体的な課題を提起したい。

1 制度に関する課題

(1) 政党における開かれた党首選出規程の制定

〈提 案〉

ア 政党は広く国民に開かれた党首選出手続を設け、世論を反映したリーダーの選出を行う。

イ 政党助成金の受給要件として、透明性・公開性を柱とする党首選出規程の整備などを義務付ける。

〈説 明〉

 これらの提案は、密室における政党党首の選出という悪弊を防止することをねらいとしている。政党における人事の手続に関して通則法的な規制をかけることは、政党の自由との関連で問題が生じ得る。しかし、政党は国民から政党助成金を受けている公的な団体であり、助成金を受けるための資格要件として、党首選出手続における一般党員の幅広い参加規程の整備を義務付けることなどを含め検討すべきであると思われる。

(2) 首相の権限強化

〈提 案〉

ア 首相が内閣の首長として、行政各部に対する監督権限を適切に発揮できるようにするという近年の内閣制度改革の趣旨を徹底する。

イ 各省における政治任用職を増やし、首相の人事権を明確にする。

ウ 与党の有力な政治家が正式に行政府の一員として明確な権限と責任を持ちながら政策形成に関与する体制を整備する。

〈説 明〉

 これらの提案は、首相のリーダーシップを強化するためのものである。特に政治任用の問題は、「2 慣行に関する課題」で述べる与党の行政府への一体化という課題を実現するために不可欠の前提となる。すなわち、政策形成に実質的な影響力を持つ与党議員を行政府の中に取り込むためには、その受け皿となるポストが必要である。これにより、従来の政策決定過程の不透明さ、責任の所在があいまいといった弊害を克服できる。

(3) 政官関係の新たなルールの設定

〈提 案〉

ア 政策形成における官僚に対する指示、考査は、大臣、副大臣等行政府の構成員がその権限に基づいて行う。

イ 行政府における許認可や、補助金の配付等の各種利害調整活動において中立と公正を確保するため、個々の政治家の圧力を防ぐ制度的工夫を設ける。

ウ 国会における与党議員による立法、調査活動を奨励する。

〈説 明〉

 これらの提案は、与党議員と官僚制との関係について、一面における「協働」と他面における「分離」を確保するという観点から、明確なルールを設定することをねらいとしたものである。政策形成における政治家と官僚の共同作業は大臣以下の公式の指揮監督の経路に沿って行うものとし、与党議員による非公式の関与、圧力を排除することが必要である。このルール化は、(2)の政治任用職の増加とあいまって、与党政治家による政策面での本来の指導力の発揮を可能とするはずである。
 また、行政府の役職に就かない与党議員は、立法府の一員として国会の委員会等を舞台に活動すべきであり、そうした政治家の行動パターンに対して国民的な認知を与える必要がある。

2 慣行に関する課題

(1) 与党と行政府の一体化

〈提 案〉

ア 与党の中心的な政治家はすべて閣僚となり、閣議と与党の首脳会議とが重なり合うようにする。

イ 閣僚人事は、政策的知識、官僚に対する指導力、国民・国会に対する説明能力など、大臣として必要な能力、見識を基に行い、安易な改造は行わない。

ウ 閣僚の任命に当たっては、首相の政権構想を共有し、首相と一体となって政策実現に邁進する政治家を任命し、内閣が一体となって公約実現に努力できるような体制を作る。

エ 政策の専門分野に精通している議員は、副大臣、政務官等、各省の役職に就いて大臣を補佐する。これにより、個別分野についても内閣、各省の意思決定機関と与党政策調査機関の意思決定とが重なり合うようにする。また、いわゆる与党による内閣提出法案の事前審査の必要はなくなる。

オ その他の与党議員は、国会の場において立法府の一員として法案審議に積極的に加わる。ただし、その際に、首相の下で作った与党の政策、理念を踏まえて行動する。

〈説 明〉

 以上の改革は、これまで日本の内閣を悩ませてきた政府(官邸)と与党との食い違い、対立という問題を解消するためのものである。首相がトップダウンによって各省庁や族議員の既得権を削減するような改革を提起しようとする場合、従来は政府における政策審議・調整のラインと、与党における審議・調整のラインという二元的な手続が併存してきた。これを克服するため、与党の幹部及び政策実務に影響力を持つ中堅政治家をすべて行政府に取り込み、与党の主要な政治家はすべて行政府の一員として拘束される体制を作ることが、この提案の主眼である。こうした新たな慣行を樹立するためには、政党において根本的な組織改革が必要となることは言うまでもない。

(2) 政権担当中の与党党首任期規程の停止 

〈提 案〉

 総選挙を経て指名された首相の任期途中には、政策の失敗、倫理上の問題などの事由がない限り、与党の党首選挙を行わない。

〈説 明〉
 この提案は、国民の意思によって事実上選ばれた首相を与党の内部的な規程によって変更することがないようにするというねらいを持っている。

(3)  国会審議に対する首相や閣僚の出席の在り方を見直す

〈提 案〉

ア 国会会期中にも首相や閣僚が国益のために外交やその他の活動を活発に行えるよう、国会審議への出席にかかわる従来の慣行を見直す。

イ 首相や閣僚が不在の場合、副大臣が国会審議に出席するという慣行の定着を図る。

〈説 明〉
 これまで、国会会期中に国会審議への出席が優先され、首相や閣僚が重要な国際会議に出席できないことがしばしばあった。首相や閣僚が国会において議員の質問に答え、説明責任を果たすことは民主政治の根本である。しかし、このために、国会の議事日程によって首相等が時間的にほとんど拘束され、日本の政治指導者が、例えば国際的な舞台で活躍する機会を得ないことは、国益を損なうおそれがある。
 したがって、首相や閣僚が政府を代表して活動するために国会に出席できないことを直ちに国会軽視と批判するのではなく、首相や閣僚の国益にかかわる活動と国会における説明責任の履行との両立を図るための工夫が必要であり、国会審議への出席にかかわる従来の慣行を見直すことが必要と思われる。また、首相や閣僚が審議に出席できない場合は、副大臣が政府の立場で実質的な議論を行うよう、国会審議の在り方を変えていくべきである。

(4) 選挙の性格付け―――代議士は首相の選挙人であることを明確に

〈提 案〉

ア 総選挙において、各党は、首相候補と政権構想を明確に示し、国民の選択のための素材を提供する。

イ 選ばれた議員は、自らの属する政党が国民に対して約束した政策に関して、連帯して責任を持つという政党政治の常識を確立する。

ウ 連立政権の場合は、どの政党の協力により政権を構成するかを国民に明示する。

エ 選挙区における各候補者への投票が、政権選択に直結するよう、政治家は政党の政策やリーダーとの結び付きを明確にする。また、国民の側も、国政を誰に付託するかを考えて投票するよう、自覚を深める。

オ 国会議員の選挙が国民による国政全体に関わる議論と意思表示の場となるよう、国政と地方政治の役割の明確な整理を行う。

〈説 明〉

 以上の改革は、衆議院議員総選挙を実質的な首相選出の機会として位置付け、国民による議員・政党の選択が、首相の選択に直結するような条件を整備するためのものである。これまでの日本政治においては、国会議員選挙は国政全体の在り方や適格な指導者像を論じるというよりも、地域固有の課題について論じ、地域に貢献してくれる政治家を選ぶという側面の方が強く意識されてきた。こうした弊害を改めるために、総選挙の際に代議士は首相の選挙人であることを、政治家の側も国民の側も自覚し、それぞれの行動を再検討する必要がある。この点は、政党、政治家のみの意識改革では解決しない。国民自身が国政を担う責任感を持って選挙に臨む必要があることを強調しておきたい。また、選挙後に与党内で政策をめぐる紛争が生じないよう、政党は選挙の際に、従来以上に具体的な政策を公約し、議員全体がそれに従わなければならないという感覚が必要である。

おわりに

 政治の制度設計についての議論は尽きることがない。いわゆる首相公選制についてもこれまで実に多様な提案がなされてきた。そして本報告書の制度設計についても様々な部分を変えたりして更に多様な提案を行うことは十分に可能であろう。その意味で、この報告書で示された制度設計は今後の議論に対する素材の提供という性格を免れることはできない。
 しかし、同時に、この制度設計にはこれらを構想する場合に欠かせない重要な視点が含まれている。本懇談会は相当に徹底した形でそれを提示したつもりである。また、今後の制度設計をめぐる議論においても何を重要な視点として選ぶかを明確にした議論を是非とも期待したい。
本懇談会はこれまでどの公的組織も正式に取り組んだことのない大きく、しかも困難な政治的・制度的テーマに挑戦してきた。委員の意見が容易に一致しない局面も少なくなかった。しかしながら、委員の間では現状に対する切実な危機感が共有されており、それがこの困難な作業を辛うじて可能にしたのである。
 本報告書を契機として、日本における民主主義の在り方、リーダーの決定に対する国民のかかわり方について、政治の世界と国民双方を巻き込んだ広範な議論が起こることが我々の心から切望するところである。この強い期待を表明してこの報告書の結びとしたい。