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皇室典範に関する有識者会議(第11回)議事要旨


日 時:平成17年8月31日(水)15:00〜17:00
 
場 所:総理大臣官邸小ホール
 
出席者:
皇室典範に関する有識者会議メンバー
吉川 弘之産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長
岩男 壽美子武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
奥田 碩日本経済団体連合会会長
久保 正彰東京大学名誉教授
佐々木 毅前東京大学総長
笹山 晴生東京大学名誉教授
佐藤 幸治近畿大学法科大学院長、京都大学名誉教授
園部 逸夫元最高裁判所判事
古川 貞二郎前内閣官房副長官
◎=座長
政府側
細田 博之内閣官房長官
二橋 正弘内閣官房副長官
伏屋 和彦内閣官房副長官補
風岡 典之宮内庁次長
柴田 雅人内閣総務官
千代 幹也内閣審議官
角田 素文内閣審議官
鈴木 武内閣審議官
議事概要
(1) 資料1「主要紙解説記事」及び事務局からの論点整理に対して寄せられたメール、投書の概要についての事務局からの報告をもとに、7月26日に公表した「今後の検討に向けた論点の整理」に対する国民の反応を概観し、意見交換。
メール等が少なかったのは意外であるが、この有識者会議のやり方でさらに議論を詰めよとの国民のメッセージかという気がする。
(2) 皇位継承資格について意見交換
論点整理で示した2つの方策は、両方とも、国民の中に支持する人がいるのであって、単にどちらを支持する人が多いということではなく、できるだけそれぞれの方策を分析しながら、一つの案にまとめていくべき。
「旧皇族の皇籍復帰」という方法論は別にして、そもそも、庶系を認めない中で、男系の存続が可能なのかを考えることが、論理的には筋が通っている。男系の存続の可能性を考えると、前回(第10回)の資料にあるように、確率的な計算上の数字では、誕生した子のうち男系男子だけによる継承が行き詰るということははっきりしている。
現行典範の制定時に、社会的な状況も加味した上で、皇位継承資格を持つのは嫡出子のみということになった。嫡出であるということは、国民の意識からして、今後とも維持することが適当である。この点は、論点の整理にすでに盛り込んでおり、本日の議論の前提である。
仮に旧皇族の復帰等があっても、男系による継承は、結局は先細りになって安定性に欠け、また、一般国民との区別がつき難いというような問題がある。このような点を考慮すると、女性天皇ということになる。そうなると、次のステップとしては、女性天皇で統合力、正統性、象徴としての活動などに問題があるのかどうかなどを考えることになるが、女性の場合は妊娠など男性と異なる点があることに配慮は必要としても、自分は、女性天皇に問題はないと思う。
象徴としての役割を果たしうるのは、血統に加え、個人の資質や経験の積み重ね、努力などの結果であり、男女の性別が問題であるとは思えない。体力的な条件など、男性でも女性でもいろいろな方があり、当然配慮しなければならないことはあるが、論ずべき問題の中心ではないのではないか。
女性の方が体力とか生活が違うということは論理にならない。男性の中での違いと女性の中での違いは重なっている。正統性とか統合力とかいうようなことで問題になるようなことはないのでないか。
嫡出であるということ、少子化という日本社会全体の傾向から考えると、男系男子ではいずれ行き詰まり、安定しない。歴史的には、男系男子を維持するために複数配偶にしていたのだろうと思うが、それを否定したということは社会的な合意であろう。
安定性ということになれば、女性天皇、女系天皇も視野に入れることになるが、伝統との関係についても、皇籍を離脱した方やもともと皇族でなかった方が皇族になることはきわめて異例であることを考えると、女性天皇・女系天皇はぎりぎり可能なのではなく、大いに可能なのではないか。また、将来にわたって明るい展望もある。
仮に女性天皇、女系天皇を可能とするとしても、「男系男子の維持に万策尽きたからやむを得ず」に行うというのでは、女性天皇・女系天皇になる方は例外的に即位するように受けとめられかねない。あくまでも安定的な継承という視点から考えるべき。
男系男子であることが天皇の制度の唯一の正統性の根拠だという考え方は、無理してハードルを高くし、自らの手足を縛って、正統性を自ら縛ってしまうということになるのではないか。
一般の社会に、男性には認められるが女性には認められない旧習や伝承など、日本の社会の中で続いているものがある。そういったものと皇室がこれまで男系で続いてきたことと関係があるのかどうかと思う。この会議で議論すべき、ということではないが、ああいったものはいったい何なのか、なぜ生じてきたのかと思うことがある。
この有識者会議では、皇位継承制度という国の制度を扱っているのであり、私的な分野における伝承のようなものまで議論するのはふさわしくないのではないか。
皇室典範を変えたからといって、そのために、一般の社会における伝承のようなものを変える必要が生じるというわけではないし、実際にも、あまり関係ないのではないか。
この有識者会議で重要なのは、性差別の解消や男女共同参画という観点から議論を進めるのではないということである。私的な分野における男女別扱いとは別に、あくまでも安定的な皇位継承制度をどう作るかということから考えるべき。
民法や憲法が男女平等をうたう中で、皇室典範における男性優先は、公の制度としては例外的なもの。日本には長い間男性優先の習俗があり、それが公的な制度としてはほとんど唯一典範に残っていると解釈するならば、これに価値を見出して極力残しておきたいと思う人もいるかもしれない。
天皇として何が要求され、何が守られなければならないかというような心構えについては、血筋とは別に、お育ちになる環境が重要ではないか。
現在の皇室典範では皇位の安定的な継承は難しいということになると、憲法に戻ることになるが、憲法では世襲と規定しているのみであり、男系ということは規定していない。憲法の世襲は血統という意味であり、男系も女系も入る。
天皇が日本国及び日本国民統合の象徴であると憲法に規定されているが、本来、象徴かどうかということは、社会心理的なもの。古代からの血のつながりを通じて続いてきた天皇の具体的な存在、具体的な活動を通じて、多くの国民が象徴として感じているということがポイントになってくる。したがって、単純に世論に従うというわけではないが、多くの国民がどのように感じるかということを無視して考えることはできない。このような観点からは、できるだけ複雑な要素や人為的な要素を持ち込まないで、わかりやすく安定的な制度を考えることが、象徴天皇の制度を守っていく上できわめて重要。そうなると、できれば男系男子を維持したいという気持ちもあるが、女性天皇、女系天皇を視野に入れて考えることになる。
男系男子については、理念論はともかくとして、現実的な方法論としては、特に安定性の面で劣るのではないか。ただ、いずれにしろ、安定性の面だけから議論することはできないし、また、安定性の面ということについても、皇族の範囲などの論点と密接に関係する。さらに、皇位継承順序の問題も大きい。したがって、本日の会議において、皇位継承資格についての意見を集約してから次の論点に移るのではなく、今後、皇位継承順位、皇族の範囲についての議論の結果も踏まえて、最後に全体として結論を出すこととしてはどうか。
(3) 本日は意見の集約を行わず、皇位継承順位、皇族の範囲などをあわせて、全体として判断することとなった。
  次回は、9月中に開催し、皇位継承順位について議論を行うこととなった。事務局において引き続き調整することとなった。