ものづくり懇談会議

第3回ものづくり懇談会議事要旨


1.日 時: 平成12年2月24日(木)11:30〜13:00
 
2.場 所: 内閣総理大臣官邸大客間
 
3.出席者: [別紙]
 
4.会議の模様

(1)秋草委員、前田委員、クー委員からのプレゼンテーション

@秋草委員

 本日のプレゼンテーションに使用するこのプラズマ・ディスプレイ・パネルは次世代の商品であり、世界中で頑張っているもので、日本が今リードしているもの。4項目、@競争に勝ち残るために、A複雑化する「ものづくり」、B富士通グループの取り組み例、C「ものづくり」の強化に向けた提言、についてお話ししたい。

 まず、競争に勝ち抜くためのポイントは、製造現場での問題に加え、ものづくりに関する企画や、設計の高度化、そしてプロジェクト・マネジメントの重要性が挙げられる。このうち、現場の話は、これまでも議論があり、本日は残りの点について取り上げたい。グローバルに競争できる高品質とスピードの競争力を支えるがHVT(情報技術)の活用である。

 背景として、ものづくりの複雑化がある。半導体でいうと1個当たりのゲート数は、4年で10倍に膨らんでいる。各工程の細分化が進み製品自体の複雑さは既に人間の処理できる能力を超えている。さらに、製造プロセスの複雑化により、暗黙の了解や以心伝心など「暗黙知」が通用し得ない状況になっており、ものづくりのやり方を変えていくことが必要である。

 複雑化の例をいくつか紹介すると、半導体について、今我が社が挑戦しようとしているのは、チップの配線の間隔が0.1ミクロンというもの。これは髪の毛の断面に千本の線を引くという技術である。

 また、通信技術で我々が挑戦しているのは、新聞450年分を1秒で送れる技術。これは、2〜3年の内にできると思っている。

 パソコンに入っている10p×14pのハードディスク10ギカバイトという容量は、文庫本換算で約2万冊分であり、町の本屋さんの情報量に匹敵する。この分野では日米の壮絶な戦いが繰り広げられており、我々もなんとかこの戦いの中に入っている。

 次に富士通グループの取り組みについて磁気ディスク装置を例に紹介したい。ディスク内部の読みとりのヘッドは、技術の要であり、世界中がこの技術にしのぎを削っている。吹けば飛ぶような小さな製品であるが、その製造には300工程が必要。歩留まりは、工程数の乗数になるので、仮に歩留まりが1工程当たり99.9%であれば300工程を経ると99.9%の300乗、74%になる。個々の工程での品質向上、歩留まり向上のため、1日当たり2〜3万個製品作っているが、そのうち40件の製品をサンプリングしている。300の工程から、それぞれの40ぐらいの電気特性や物理特性を収集している。これだけで約50万件ぐらいのデータ量になり、これをコンピュータを使って解析し、品質管理や設計の高度化に役立てている。これだけのボリュームは、完全に人間の能力を超え、IT活用が大前提。「経験」や「勘」といった「暗黙知」をITの活用により「形式知」に変換した一例である。

 富士通の拠点についていうと、先ほどのディスクを例にとると、1o四方のヘッドは、日本で研究開発、生産し、プリント基板は、ベトナムで、若干の加工はタイ、仕上げはフィリピンで、出荷先はアメリカ、アジアになっている。国内でも関連会社が多数つながっており、国内外において工程毎の分業体制となっている。こうした時間と空間を超えたものづくりは、情報システムが必要である。

 3年かかるような大きなプロジェクトは、いろいろな情報により、いろいろな場所で、いろいろな人が参画して進められていく。誰かが全体をマネジメントしないといけない。そのためには情報整備が必要であり、ITの活用が必要である。ものづくりのプロジェクト・マネジメントには、ITを活用した情報共有とともにトップと第一線でものづくりを担っている人達との間での情報共有が重要である。富士通ではグループ企業の全社員に社長のホームページを公開しており、毎日10万件のアクセスがある。情報を共有し早く経営者の意思を伝えることが重要。本日のこのプレゼンテーションもすぐに載せる。全従業員がパソコンを利用できることを前提にしており、会社の方針や個々の作業の目的をはっきりさせるためにインターネットを使っている。地方の工場のラインで働く一ワーカーも情報共有により、トップと同じ情報をもち、同じ方向に向かい、それにより、第一線でものづくりを担う人々が目の前の作業の意味合いを知り、自らが置かれた位置を再確認することができる。

 ものづくりの強化に向けての提言として、メカトロ税制、パソコン税制などハードウェアの優遇措置はあるが、ソフトウェアへのインセンティブが欲しい。ITの活用を前提としたものづくり体制を組む上で、ネットワークの安全性や利便性が重要になってくる。セキュリティは深刻な問題。情報通信インフラの充実を政府として一層取り組んで欲しい。

A前田委員

 結論から先に述べたい。ものづくりの社会的評価を高め、ものづくりへの自信を回復させるため、ものづくりの技能に優れ、形式知と暗黙知を融合させた企業グループを表彰するとともに、特殊な技能を有する個人を国家として表彰することを1つ提言したい。

 また、ものづくり技能に大切な人の要素、技能の要素の重要性に対する社会的な再認識を図るとともに、我が国のこれまでの全員参加型の品質管理の強みを活かしながら、スピード経営にも対処していく生産管理の手法、換言すれば暗黙知と形式知の融合に関する研究を進める必要がある。産学官協力プログラム、新しいモデルの研究を行うことを提言したい。

 日本におけるものづくりの変遷は、戦後のものづくりは、安定採用、長期雇用、終身雇用など日本型雇用体型において、QC(品質管理)サークル活動の創意工夫にて、ものづくりの革新を実践してきた。

 オイルショック以後、日本企業の競争力は低下したが、トヨタに代表されるカンバン方式やジャスト・イン・タイム方式を生み出し、ものづくりの革新を図った。このものづくりの革新は、多品種大量生産、開発時間の圧縮、取引業者の系列化などを図り、米国を圧倒する競争力を我が国にもたらした。

 米国は、1980年代の数年間、専門家を集め、日本型のビジネスモデルを研究し、蓄積した日本企業の競争力である個人技能の経験知(暗黙知)を、理論的に伝達できる知識(形式知)に落とし込んだ。コンピュータが急速に普及した米国は、この形式知を用いて、CALSやSCMなどに代表されるような、生産管理から財務・購買までを統合したシステムを構築し、IT技術の革新を実現させた。IT技術の革新は、製品開発のスピード化をもたらし、日本企業においても開発をアウトソーシングするようになった。一方で、米国企業の中には、市場から高い評価を受けているが、製造部門を持たない形式知主体の企業が数多く誕生した。頭脳だけでは存在できず、運動機能を担う肉体が必ず必要なようにアイディアを具現化できる形式知と暗黙知を有するものづくり企業が同時に存在しなければ製品にならないのである。

 アイディアを具現化するものづくり技術は、我が国の得意分野として認識されている。ものづくりの重要性が忘れられ、人材や経営資源が育成されなければ我が国の競争力は高まらない。

 我が国の多くの企業は、米国のスピード経営に対処するため、米国の業務モデルに合致して開発されたオペレーションシステムの導入を図ってきた。この米国型システムは、有能なマネージャーや技術者が、ものづくり全般を統制しているシステムであり、現場の各人が創意工夫を持ちよりながら、自立的に工程改善を図る我が国の業務モデルにはなじみにくいシステムと考える。一気に米国型のシステムを導入することは、これまで我が国を支えてきた技能・ノウハウを軽視し重大な欠陥を誘発させ形式知によるシステムと暗黙知の技能の双方を理解したプレイング・マネージャーの減少が進展する懸念がある。

 形式知とものづくりノウハウである暗黙知の融合を図らねばならない。

 政府や経済界は、米国に劣らぬよう、ここ数年、高度な技術戦略の策定に傾注しているが、我が国を支えてきた暗黙知の技能の重要性を忘れてはならない。

 ものづくりの最前線において、暗黙知を理解しつつ、形式知が何を求めているのかを理解できるプレイング・マネージャーの育成が必要である。私は、これをミニ社長と言っている。社長の哲学を末端で実現できることが必要である。

Bクー委員

 今の日本は、肺炎と糖尿病を一緒に抱えた患者に例えられる。肺炎は、資産価格の下落からくるバランスシート不況であり、みんなが借金返済に走る結果、不足する有効需要を政府が埋め合わせないと、大恐慌に向かってしまう。運悪く両方この病気を抱えてしまうと肺炎は時間的余裕がないため、こちらの方を先に治さなければならない。小渕総理はこの肺炎を治そうとして治療を進められてきており、小渕総理の政策は、功を奏し内外で高い評価を受けている。しかし、製造業の抱えている問題は糖尿病の方であり、高い賃金が払えない、円高であるという30年前からある構造的な問題で、時間をかけてじっくり対応すべき問題。マスコミではこうした問題がゴッチャになって議論されている。30年前は1ドル360円だった、これが80円になった。今日は、110円、111円にもどしてはいるが。この大きな対外不均衡をバックにした円高、依然として存在する内外価格差の問題がある。製造業は、多くの困難を技術革新で乗り越えてきた。日本は製造業が向いている。コツコツとまじめに働く職人気質と同じ問題意識を共有しやすい国民性が製造業の高度化に向いていたからだと思われる。自動車は欧米人が発明したのかもしれないが、壊れない自動車を発明したのは日本人だった。70年代、日本の車がアメリカに入ってきたときに当時の消費者はいかに驚いたか。買ったら5年間は修理をしなくていい車があるのだと。こういうところは、日本はまさに問題意識を共有して上から下まで、また、同じラインでもみんなが問題意識を共有していた強さがもろに出たのではないか。日本は技術面は依然として世界一である。 

 しかし、日本の製造業の問題は、頑張れば頑張るほど貿易黒字が増え、その結果円高になって収益が減少し、また頑張るという悪循環の繰り返しだったということだ。その結果、日本企業は最高の製品を作りながら最低のROEである。悪循環に懲りた企業は生産拠点を海外に移してしまう。利益を度外視してシェア争いにやっきになったり他にも問題があるかもしれないが、マクロ的に見れば、一度外に出た企業の多くは国内が如何にコスト高であるかということに気づいてしまい、ますます日本離れが加速した。

 おそらく、日本のROEの問題も円ドルレートとかなり関係があるのではないか。円ドルレートはかなり円高に動いている。もしも円高に動かなければ、ROEの問題も起こらなかったし、過剰設備の問題も起きていないと思う。

 対応策は、製造業が頑張ってもすぐ貿易黒字が拡大して円高になるルートを断ち切ること、日本は市場開放でこれを断ち切ることを頑張るんだという意思表示が必要。もっと前にやるべきだったが、その遅れのツケが出ている。

 発展途上の経常赤字国が貴重な外貨で必要な資材を輸入しなければならない時に、必需品でない製品に輸入規制を設けるのは当然。ところが日本は、世界最大の黒字国になっても「安全」やその他の理由で規制を残してしまった。

 日本の官僚は優秀なので貿易交渉で勝ってしまう。その結果、貿易不均衡のしわ寄せが全て円高に来て日本経済の空洞化をもたらしている。端から見ると市場開放をノーといいながら、円高になると慌てて米国に泣きついて協調介入をお願いする。兵隊は素晴らしいが、将軍がいない。みんな頑張ってしまう。どこを攻めて、どこを引くかによって円高を抑えるのか見えない。大局的な視点をもって交渉に望んで欲しい。輸出が増えても規制を減らして輸入を増やすという意思表示が必要である。

 日本企業が海外を知らないうちは良かったが、彼らが海外で低コストで仕事のやりやすい国があることを知ってしまった現在、行政も世界のベストに合わせないと国際的な企業ほど日本を離れて行く。企業は諸条件がベストのところにしか投資しない。2番目、3番目の国は見向きもされない。行政もユーザー側から見てベストのものでなければならない。

 今の状況は、国際的な優良企業はどんどん外へ出て、規制に守られている将来性のない企業ばかり国内に残る方向である。その原因を早急に取り除かなければ日本の一番得意とする製造業は外へ行き、日本の一番不得意とする分野ばかりが国内に残るという極めて残念な結果になりかねない。私は、これを悪い円高と言わせてもらっている。遅れている市場開放や規制緩和をして、そういうものは輸入に代替していく。その代わり良いところは、残させてもらうという戦略的な、まさに「将軍」の発想でやって欲しい。

(2)フリーディスカッション

○発光ダイオードは、当初は、太陽光線の下では見えなくなるぐらいの光しかでなかったものが、同じ小さな電流で7年間で3倍の明るさにした。こういう仕事をすることで、日本の中で新しい産業が振興する。こういうものは頭の中で考えてわかるものでなく、実際に作って見るとわかるもの。車の鍵の根本にダイオードを付けるとか、こんなものを売っていくだけでも大分いい仕事になる。耳掻きに付けるという応用もある。マネーゲームも大事だが、ものづくりが大事だということ。

○これまでのプレゼンテーションから、形式知も大事だが、暗黙知も大事ということ。また、日本の製造業が危ないのではないかということで、「ものづくり懇談会」がつくられたが、円高の問題は、日本のものがアメリカのものより良いことを示すものということであり、そういうことも言っておく必要がある。アメリカや日本の国力評価するスイスの評価機関によると日本の経済は14位であるが、科学技術は1位か2位。ただ、利益は円ドルレートに左右される、これは貿易黒字をベースに決まるものか。

○円ドルレートは、絶対に安定しないと思っている。日本は強い製造業を持っている一方で、市場開放や規制緩和は遅れている。そうなると日本国内の投資機会はアメリカに比べて少なくなり、日本の金利がアメリカの金利より低くなる。そこで日本の証券会社がドル債を日本で売るということになる。ドル債を買うためにドル買いになり、ドル高円安になる。高になるとメーカーは、輸出を増やす。ここにはタイムラグがあり、黒字の拡大が統計データになって表れるまでに半年から1年かかる。しかし、大きな不均衡が統計上に出ると米議会が問題視する。投資家には、ドルを買う選択とドルを買わない選択ができるが、メーカーには、ドル売り円買いをしないという選択肢はない。海外に製品を売ったらドルが手に入るが、従業員に給料を払うのは円であるからドルを売って円を買わければならない。投資家は、貿易摩擦が心配でドル安になると思って引いてしまうと一気に円高ドル安になってしまう。ここで投資家も輸出メーカーも大打撃を受けるが、又タイムラグをもって貿易不均衡が改善していくと、もう大丈夫と思って、また証券会社がドル債を売り出すという仕組み。これを断ち切らないといけない。

○単純に考えれば、円高になっても、輸出は困るが、輸入は儲かる。逆になると今度は、輸出が助かる。合計すると結局ニュートラルではないか。

○経営者は、安いなら安いなりに我慢して頑張るが、円ドルレートが上がったり下がったりすると経営が安定しない。付加価値が多いものは、少しぐらいの為替変動でも、工場を移すほどまでにはいかない。だから我々研究者としては、少しくらいの価値変動で、売れたり売れなかったりするようなものでないものを日本は持っていないといけないと思う。これがなければ困るのだというものを日本が作って売ることが大事ではないか。そういうものができるようになったときに初めて安定した工業国家になり得ると思う。

○今の日本の持っている製造業の技術やメーカーの強さは相当なものがあると思うが、形式知化になりすぎてしまったのではないか。企業でも将軍がいないとだめ。建設業では、今岡山以北の例の山陽新幹線のコンクリート剥離問題がある。当時の技術はどうだったのか見ると、トップの考えが現場に伝わったところは事故は起きていない。ロケットでも同じだったと思う。

○エンデバーは発射直前に、問題点を発見して、全部コンピュータ等を取り替えたりしてたが、日本ではどうしてそれができないのか。

○日本は、外からもらってくる技術でやるから、始めからうまくいってあたりまえという考え方。アメリカは、やってみなければわからないという発想。昨日もロケットの委員会があったが、テストをしないで飛ばしたことを問題視する意見があった。平常時の荷重よりも重くしたりして飛ばしてみて、初めて弱い点がわかる。予算も何基かは試打ち分の予算もしっかり要求することが必要。

○アメリカのロケットもここ1年で5発失敗している。H2ロケットは、国産技術で5発連続して成功している。日本の技術は良く追いついたと評価した方がよいのではないか。
 問題は、文部省と科技庁が同じ事をしてお互いの失敗を共有できないということ。日本独特である。一緒にすればよい。原子力でもそう。日本にはそういう欠点がある。

○「もんじゅ」の時もそうだったが、日本でトラブルが起きると責任を追及しようとする。アメリカでは、免責制度、つまり本当のことを言う代わりに罪を問わないやり方がある。アメリカの飛行機が落ちなくなったのはそのおかげ。

○体質改善をやるときに、臭いモノには蓋をしてしまう。労働災害が建設現場で起こったときに、原因を追及せずに役員の給与をカットし、罰を与えていた。これをやめて問題を追求した。これが品質管理の原点である。部門間の壁が崩壊するときは素晴らしい経験。営業が現場の新技術を知っているということはすばらしいこと。

○縦割りということで言わせていただければ、大蔵省が一方で米国に円高防止の協調介入をお願いするのと通産省、運輸省が対外貿易交渉でノーといっているのは矛盾しており、外から見るとみっともないのでやめて欲しい。

○統計に出ていないものが売れている。iモードはまだ1年で500万台売れているけど統計に出ない。こいうものが統計から外れているために、秋には統計を見直すということを聞いている。

○月例経済報告で議論になったが、いつまでも百貨店統計を重視するのもおかしい。情報産業の通信関係もそうだが、新たに参入して大きな消費になっているものは統計上出てこない。

○一番困るのは、サービス業の統計の取り方が難しいこと。サービス業は伸びているが、つかまえどころがない。アメリカでもサービス業の定義では困っているらしい。新しい定義ではIBMもサービス業になっているが、IBM自身は製造業だと言っている。

(なお、参考資料として委員に配布された以下のビデオテープと書物について唐津座長から紹介があった際に、以下の議論あり。)

・ビデオテープ「ETV特集−職人列伝@〜C」
 (平成12年2月7日〜10日,NHK教育テレビで放映)
・ビデオテープ「たけしの万物創世期−世界一の職人ワザ!!町工場の達人」
 (平成12年2月8日,テレビ朝日で放映)
・書籍「モノづくりと日本産業の未来」(関満博,富沢木実 編)

<唐津座長>

○本日欠席されている関委員の著作を、関委員の御厚意により出席者の皆様方に配布している。
 また、ビデオテープは、最近ものづくりに関するTV番組が放映されたので参考に配布する。これは小渕総理が番組が放送されることに気付かれ、熱心に御覧になったTV番組であり、御参考までに供するもの。

<小渕総理>

○ビデオテープのTV番組は拝見した。わかりやすい番組だったが、その中で光学機器メーカーの中村さんという方が、自社は700万円までの発注しか公的機関からは受けられないと言っている。秘書官に確認させたら、企業体の大きさによって発注額は決まっているということであった。NASAのロケットにも使われているような素晴らしい技術も持っていて、大きなものも作れる会社であるのに会社の規模だけで発注額を決めるのは如何なものかと思った。政府調達については、私が任命した省庁連携のバーチャル・エージェンシーにおいて、その電子化推進の基本的枠組みを昨年12月に決定し、その具体化に向けて内閣内政審議室を中心として関係省庁連絡会議で検討を重ねていることとしている。その場において、本問題を始め、技術力ある中小企業の入札参加が適切に図られるよう中小企業庁の協力も得て検討させることにした。結論はすぐに出るとは思わないが、高い技術があるのであれば、資本金で発注額を決めるのはどうかという素朴な疑問をもったため、処置をしたところ。

<以下、委員による議論>

○株式会社の設立基準で最低資本金を1000万円に引き上げられた途端に開業率が減っている。あの頃は、バブルの頃でそこらの魚屋まで会社化していた背景があるが、開業率が減ってしまっているので、この辺も御検討いただければ幸い。

○実績も大事、実験も大事。企業の評価もいろんな指標があって良い。

○ベンチャー企業の育成というが、ベンチャー企業は冒険している。育成する側も冒険して支援して欲しい。実績がないのがベンチャー企業なのだから、入札で実績を問われるとお手上げになる。

(3)今後のスケジュールについて唐津座長から説明

 次回の進め方は、本懇談会としてものづくりを担う方々へのメッセージやものづくりに係る今後の課題についての提言のとりまとめに向けて、まず荒ごなしの議論を行うこととしたい。その素案については、次回会合までにお配りし、次回会合で各委員の御意見をお伺いできるようにする。そもそもの素案作りについて、本懇談会でこれまでの御発言いただいたことの他に委員の皆様方で予め御意見等があれば私や事務局にお申し付けいただきたい。次回の日程については、来月中旬頃を考えているが各委員の日程を調整した上で、事務局から連絡する。

 [別 紙]    第3回ものづくり懇談会出席者  (政府側)  小渕  恵三  内閣総理大臣(主宰)   額賀 福志郎  内閣官房副長官(政務・衆)  古川 貞二郎  内閣官房副長官(事務)  (委員)  唐津   一  座長、東海大学教授  秋草  直之    富士通株式会社社長  梅原   猛    国際日本文化研究センター顧問  奥田   碩    トヨタ自動車株式会社会長  西澤  潤一    岩手県立大学長  前田 又兵衞    社団法人日本品質管理学会会長  牧野   昇    株式会社三菱総合研究所相談役  山田 眞次郎    株式会社インクス社長  リチャード・クー   株式会社野村総合研究所主席研究員