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拉致問題における今後の対応方針


平成20年10月15日
拉致問題対策本部


 平成14年9月17日、我が国と北朝鮮は、日朝平壌宣言に署名し、同宣言の精神及び基本原則に従い日朝間の諸懸案を解決し、国交正常化の早期実現に向けた努力を傾注することを確認した。しかしながら、北朝鮮は、我が国の国家主権と国民の生命・安全にかかわる拉致問題において極めて不誠実な対応をとり続けてきたのみならず、平成18年7月に弾道ミサイルを発射し、更には、我が国を含む国際社会の再三の警告にもかかわらず、核実験を実施した旨の発表を行った。
 かかる状況の中、政府は、平成18年9月29日に拉致問題対策本部を設置し、同年10月16日の同本部第一回会合において「拉致問題における今後の対応方針」を決定して、拉致問題の解決に向け政府一体となって全力で取り組んできた。しかし残念ながら、北朝鮮は、今日まで拉致問題の解決に向けた具体的な行動をとっていない。
 6年前の本日、平成14年10月15日、5名の拉致被害者が我が国に帰国を果たした。しかし、いまだ政府認定の12名をはじめ拉致被害者が北朝鮮に残されたままである。拉致事件の発生から、既に30年以上の時間が経っており、その解決のために一刻の猶予もない。
 政府は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るという基本方針の下、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないということをここに改めて確認する。その上で、すべての拉致被害者の一刻も早い生還を実現すべく、「対話と圧力」という一貫した考えの下、平成18年に決定された以下の対応方針を再確認する。北朝鮮がこうした我が国の決意を厳粛に受け止め、拉致問題を一刻も早く解決するための決断を早急に下すよう再度強く求める。
 
1.北朝鮮側に対し、すべての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるよう引き続き強く求めていく。また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しについても引き続き強く求めていく。
2.現在、政府としては、北朝鮮に対して、人道支援の凍結措置(平成16年12月28日発表)、万景峰92号の入港禁止を含む諸措置(平成18年7月5日発表)、北朝鮮のミサイル等に関連する資金の移転防止等の措置(平成18年9月19日発表)、すべての北朝鮮籍船の入港禁止やすべての品目の輸入禁止を含む諸措置(平成18年10月11日発表)等を講じているが、今後の北朝鮮側の対応等を考慮しつつ、更なる対応措置について検討する。
3.現行法制度の下での厳格な法執行を引き続き実施していく。
4.拉致問題対策本部を中心に、拉致問題に関する情報を集約・分析し、問題解決に向けた措置の検討を迅速に推し進めていくとともに、拉致問題に関する国民世論の啓発を一層強化する。
5.「特定失踪者」にかかる事案を含め、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に関する捜査・調査等を引き続き全力で推進していく。また、捜査・調査の結果、新たに拉致と認定される事案があれば、北朝鮮側に対して然るべく取り上げていく。
6.国連をはじめとする多国間の場、また、関係各国との緊密な連携を通じて、拉致問題の解決に向けた国際的な協調を更に強化していく。