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資料3

「ファミリー企業実態調査」の分析結果報告


■ ファミリー企業改革の基本認識

 道路関係四公団民営化推進委員会は、これまで問題は指摘されながらもほとんど実態が明らかにされてこなかった道路四公団のファミリー企業の解明に精力的に取り組んできた。
 「行政コスト計算書」(以下、行コス)における「子会社」「関連会社」の定義(注)では捕捉されなかった企業であっても、公団等からの発注割合が50%を超えるものについては実質的なファミリー企業と認識すべきなのではないか、という問題提起が委員会においてなされ、委員のあいだの認識も共有された。
 すでに行コス対象とされている四公団のファミリー企業と四公団等からの発注割合が50%を超える企業との社員数を合計すると、47,000人以上の規模になることが今回の調査で明らかになった。ただし回答の得られなかった企業も多数あるため、実際の社員数はさらに増えることになる。
 道路四公団本体の職員数は11,500人強である。公団本体を核として、惑星のようにとりまくファミリー企業までもを一体で考えれば、実に58,500人を超える巨大な道路公団グループが存在しているということになる。公団本体とファミリーの密接な関係性を思えば、まさに両者は一体として認識すべきものである。
 道路四公団の民営化にあたっては、このおよそ6万人の巨大な道路公団グループをどう改革すべきかという視点を持たなければならないだろう。

(注)(平成10年12月8日 日本公認会計士協会監査委員会報告第60号)を基準としている。

※ 四公団等とは、道路四公団および、「行政コスト計算書」において四公団の連結子会社・関連会社と分類された企業を指す。

■ 調査結果

 帝国データバンクによる「ファミリー企業の実態調査」では、主として、人(公団OBの受け入れ状況)と業務(公団からの受注状況)と資本(ファミリー企業同士の株式持ち合い等)の関係性に着目することによって、道路四公団ファミリーの実態を把握するよう努めた。
 今回、帝国データバンクが事前のファックス・アンケート調査(1,158社対象)の結果をふまえて、訪問調査を実施したのは595社である。訪問対象企業595社のうち、調査票を回収できたのは430社で、回答率は72%であった。

※ 内訳は、四公団の「行政コスト計算書」上の連結子会社等が136社(2001年度の「行政コスト計算書」の連結子会社等137社のうち、既に解散した1社を除く全て)と行コス対象外企業459社。ファックス・アンケート調査により、特に道路四公団との関係が濃いと思われる企業について抽出した。詳細な企業抽出条件については帝国データバンクの報告書を参照されたい。

 この報告書では、帝国データバンクが実施した実態調査をもとに、本委員会が分析したファミリー企業に関する調査結果を報告する。調査票を回収できなかった165社(うち2社はのちに遅れて回答があった)のうち、委員の要求によって各公団から得られた既存データが存在した企業については、既存データで分かる範囲の情報を最大限に補って分析した。なお、ここではすべて2001年度(平成13年度)のデータを用いた。

※ JHのOB名簿「道友会会員名簿」(2000年11月版)により、JHから2,500人が700社に天下っている事実が判明している。同様に、首都高から530人が307社に、また阪高から277人が146社に、本四から146人が94社に天下っていることが各公団のOB名簿(2001年度版)により確認されている。

■ 訪問調査により判明した天下り総数は1,858人

 訪問調査の対象595社のうち、四公団OBの天下りに関するデータをまったく入手できなかった企業は119社であった。この119社を除く476社について分析したところ、役職員含めて1,858人にのぼる四公団等のOBが376社に天下っていることが判明した。うち286社(OB受け入れ企業全体の76%)には役員として789人の四公団等のOBが天下っている。さらに、177社(役員としてOBを受け入れた企業のうち62%)については179人の四公団OBが代表権をもつ役員に就いている。

公団OB天下り先の76%は役員としてOBを受入れ

■ 公団OBの受け入れと受注の関係

1、 OBの天下りをベースに公団との受発注関係を見た場合

 四公団等からのOBを受け入れている376社のうち、2002年度(H13年度)に四公団および関連企業(帝国データバンクによる実態調査で訪問対象企業とされた企業を指す)から業務を受注した企業は360社であった。四公団等からのOB天下り先企業の受注率は95.7%にのぼる。

公団OBを受け入れた企業の受注率は96%

2、 公団との受発注関係をベースにOBの天下りを見た場合

 2002年度(H13年度)に四公団等から業務の受注があったのは438社で、なおかつ四公団等からのOBを受け入れていたのは360社であった。受注企業の82.2%がOBの天下り先となっている。

 これらのデータから、四公団等からのOB受け入れと業務の受注との間には、密接な関係があるという事実が確認された。

3、 発注割合をベースにOBの天下り状況を見た場合

 四公団等からの受注が総売上に占める割合(発注割合)を分析したところ、以下のような結果が得られた。

【売上高に占める公団からの受注額と公団OB受け入れ数の関係】

発注割合 9%未満 10%〜30% 30%〜50% 50%〜70% 70%〜100%
該当する会社数 98社
(うち3社は行コス対象企業)
97社
(うち3社は行コス対象企業)
30社
(うち4社は行コス対象企業)
59社
(うち25社は行コス対象企業)
145社
(うち98社は行コス対象企業)
うちJH系 74社 66社 24社 47社 82社
うち首都高系 10社 14社 4社 5社 31社
うち阪高系 8社 13社 2社 5社 32社
うち本四系 6社 4社 0社 2社 0社
天下りOB役職員総数 168人 188人 80人 327人 1,000人
一社あたりのOB役職員平均受入数 1.7人 1.9人 2.7人 5.5人 6.9人
天下りOB役員総数 55人 71人 45人 159人 426人
一社あたりのOB役員平均受入数 0.6人 0.7人 1.5人 2.7人 2.9人
代表権をもつ役員として天下ったOB総数 7人 13人 8人 31人 117人

※ 四公団等からの受注があった438社のうち、発注割合が不明であった企業が9社あったため、発注割合の判明した会社数の合計は429社となっている。

 四公団等からの受注額が売上げに占める割合が高ければ高いほど、その企業の公団依存度が高く、公団と濃密な関係にあると言える。上記の表は、四公団等からの受注額が売上げの多くを占めれば占めるほど、OBの受入れ人数が増加し、公団とより密接な関係になっているという実態を表している。
 この表をグラフ化すると、その傾向は一目瞭然である。

公団OBを多く受け入れるほど公団から仕事をもらえる構造

 公団からの受注が売上げの多くを占める企業ほど、OBの受け入れ人数が増加するという実態は、OBを多く受け入れた企業に対して、公団がその恩典として多くの仕事を発注するという構造が仕組まれていることを証明している。OBの受け入れ先であるこれらの企業に優先的に業務を発注していると言いかえることもできる。

 今回の調査では、売上げの半分以上を四公団等から受注している行コス対象外の企業として91社の該当企業が判明した。また、30%以上で区切るとその数はさらに35社増加する。比較的情報が明らかにされつつある行コス対象企業の影に隠れて、実質的なファミリー企業が多数存在している事実が明白になった。

■ 公団別にみるOBの受け入れと公団からの発注割合の関係

 公団別にOBの天下り数と発注割合との関係を分析すると、以下の事実が判明した。

@ JH

  • JHからのOB役職員1,212人が223社に天下っている。
  • 1,212人のうち、987人(81.4%)の天下り先は、総売上に占める四公団等からの受注額(発注割合)が20%以上の企業(135社/行コス企業83社、行コス対象外企業52社)である。そのうち50%以上の企業(109社/行コス企業80社、行コス対象外企業29社)に天下っているものは、896人(73.9%)。

A 首都高

  • 首都高からのOB役職員256人が69社に天下っている。
  • 256人のうち、200人(78.1%)の天下り先は、総売上に占める四公団等からの受注額(発注割合)が20%以上の企業(44社/行コス企業16社、行コス対象外企業28社)である。そのうち50%以上の企業(37社/行コス企業15社、行コス対象外企業22社)に天下っているものは、179人(69.9%)。

B 阪高

  • 首都高からのOB役職員196人が65社に天下っている。
  • 196人のうち、163人(83.1%)の天下り先は、総売上に占める四公団等からの受注額(発注割合)が20%以上の企業(46社/行コス企業28社、行コス対象外企業18社)である。そのうち50%以上の企業(36社/行コス企業28社、行コス対象外企業8社)に天下っているものは、145人(74.0%)。

C 本四

  • 本四からのOB役職員71人が19社に天下っている。
  • 71人のうち、54人(76.0%)の天下り先は、総売上に占める四公団等からの受注額(発注割合)が20%以上の企業(5社/行コス企業2社、行コス対象外企業3社)である。そのうち50%以上の企業(3社/行コス企業2社、行コス対象外企業1社)に天下っているものは、50人(70.4%)。

 たとえばJHの場合、OBの天下り先企業223社のうち、約半数の109社は売上高の半分以上を四公団等からの受注額に頼っている企業である。首都高、阪高OBの天下り先についても同様に、約半数は公団からの受注額が売上高の半分以上を占める公団依存度の高い企業である。
 行コスで連結対象とされた企業は、四公団等からの発注割合が売上げの多くを占めることは行政コスト計算書でもすでに明らかになっていた(「行政コスト計算書」では、売上高に占める公団との取引高が50%以上で「子会社」、30%以上で「関連会社」と判定される)。
 しかし今回の調査の結果、行コス対象外でありながらも四公団等からの発注割合が20%以上、50%以上と売上高の多くを占めるような公団依存度の高い企業が多く存在していることが明らかになった。
 たとえば、首都高の場合、行政コスト計算書上の連結子会社・関連会社・関連公益法人は全部で16社しかないが、発注割合が50%以上の企業はこれら16社の他に22社も存在している。
 つまり、実質的には行コス対象企業と何ら変わりのない性格を持つ企業であるにもかかわらず、行政コスト計算書上の「子会社・関連会社」という定義では捕捉されなかった企業が、本来の行コス対象企業の数を上回るほど存在していることになる。こうした実態は、本委員会による綿密な実態調査の結果はじめて明らかになった。
 また、いずれの公団も公団依存度の高い企業(発注割合の高い企業)にOBのほとんどが集中して天下っている事実が明らかになった。(以下のグラフ参照)OB受け入れ数の多い企業に、公団からの発注が多く偏っているとも言えるだろう。

各公団の天下りOB全体数のうち四公団等からの発注割合が20%以上の企業に天下っているOB数の割合

 上記のグラフの通り、いずれの公団OBにおいても、天下り役職員の全体数のうち8割のOBが、売上げに占める四公団等からの受注額が20%以上にのぼる企業に集中して天下っていることがわかる。
 同様に、四公団等からの発注割合が50%以上の企業に天下っている各公団OBの割合をグラフに表すと以下の通りになる。

各公団のOB数全体のうち四公団等からの発注割合が50%以上の企業に天下っているOB数の割合

 さらに、四公団等からの発注割合と代表権のある役員として天下っている各公団OBとの関係を分析すると以下の通りであった。

@ JH

 役職員にJHからのOBが天下っている企業223社のうち、総売上に占める四公団等からの受注額が50%以上の企業は109社であった。この109社の中で、代表権のある役員としてJHからのOBが就任している企業は、88社(80.7%)存在した。このことをグラフに表すと以下の通りになる。

四公団等からの受注額が売上高の半分以上を占める企業のうち8割以上はJHからのOBが代表役員として天下っている

A 首都高

 役職員に首都高からのOBが天下っている企業69社のうち、総売上に占める四公団等からの受注額が50%以上の企業は37社であった。この37社の中で、代表権のある役員にJHからのOBが就任している企業は、28社(75.6%)存在した。

B 阪高

 役職員に阪高からのOBが天下っている企業65社のうち、総売上に占める四公団等からの受注額が50%以上の企業は36社であった。この36社の中で、代表権のある役員にJHからのOBが就任している企業は、28社(77.8%)存在した。

C 本四

 役職員に本四からのOBが天下っている企業19社のうち、総売上に占める四公団等からの受注額が50%以上の企業は3社であった。この3社の中で、代表権のある役員にJHからのOBが就任している企業は、2社(66.7%)存在した。

 各公団からのOB天下り先であって、なおかつ四公団等からの発注割合が半分以上を占める企業の8割は、各公団からのOBが代表役員に就いている企業であることがわかる。
 実態調査の分析結果から、売上高の大部分を四公団等からの受注額に依存している企業に各公団のOBが集中して天下っていること、またそれらのほとんどの企業で各公団のOBが代表役員を務めていることが判明した。この傾向は、JHだけでなく四公団すべてについて共通のものであるということも確認された。
 これらのデータを総合すると、公団OBが代表権をもつ企業が集中的にOB役職員を受け入れ、四公団等から多くの業務を優先的に受注している実態が浮き彫りになる。公団OBの雇用の維持と公団関係者による利益独占のための構造が出来上がっており、こうしたファミリー企業を増殖するシステムが四公団それぞれに構築されているのである。

■ 平均報酬等にみる公団OBの優越性

 公団OBの雇用の維持と公団関係者による利益独占の実態は、OBの平均報酬等の分析結果からも明白である。
 四公団OBが役員として天下っている企業のうち、役員平均報酬(すべての役員の平均報酬)とOB役員平均報酬(四公団OBのみの平均報酬)のどちらについても回答の得られた企業は176社であった。
 この176社の役員平均報酬は1,144万円であるのに対し、OB役員の平均報酬は1,298万円であり、役員全体の平均報酬よりも1割強多くなっている。
 代表権のある役員としてOBが天下っている企業の場合はさらに顕著で、役員平均報酬1,129万円に対して、OB役員平均報酬は2割弱多い1,335万円であった。
 四公団OB役員は、その他の役員よりも報酬面で優遇されており、特にOBが代表権のある役員として天下っている企業においては、より一層の便宜が図られていると言える。

 また、職員の平均給与については、その傾向が役員報酬以上に明確に見られる。
 社員として四公団OBが天下っている企業のうち、社員の平均給与(全社員の平均給与)とOB社員の平均給与(四公団OBのみの平均給与)のどちらについても回答の得られた企業は127社あった。
 この127社の社員平均給与は568万円で、一方OB社員の平均給与は860万円であった。OB社員の平均給与は社員全体の平均給与に比べて5割増となっており、プロパー社員とOB社員との待遇に明らかな格差が確認された。

OB社員の平均給与はプロパー社員の平均給与の1.5倍

■ ファミリー企業同士の株式持ち合いの実態

 ファミリー企業同士による株式持ち合いの実態については、これまでまったく情報が公開されていなかった。1998年頃まで旧財団法人道路施設協会が保有していたファミリー企業の株式は、「都銀、地銀、生保、損保、ゼネコンなどに放出したため、各公団はまったく情報を公開する立場にいない」というのがオフィシャルな回答であった。
 この後、2000年度(平成12年度)から新たに「行政コスト計算書」の作成が義務付けられたことに伴い、議決権は持たないものの関連会社・子会社・関連公益法人という括りで137社(2001年度)の極めて簡単な決算書類の開示が行われるようにはなった。
 ところが、ファミリー企業株式の譲渡先については、新株主に迷惑がかかる∞許可を取っていない≠ニ頑なに公開を拒まれ、委員会による調査の際にも「株主名簿は、株主及び会社の債権者以外には開示義務がない(商法第263条第2項)」という理由で国民の前には非開示が続いてきた。
 こうした言動は、一般的な国民感情から大きくずれていると言わざるをえない。確かに、公団の言い分は現行商法上は誤りとは言えない。しかし、一社一社の個別企業の問題ではなく、ファミリー企業を公団グループ全体として捉えなければ真の道路公団改革はありえないことが明らかになった以上、個別企業の情報公開のレベルを超えて、すなわち商法上の情報公開(経理書類の公開)では足りず、むしろグループ全体による「大会社の監査特例法」や「証券取引法の情報公開(株主構成も公開)」の精神が適用されるべきである。
 今回、委員会の資料要求によりデータの公開が実現した結果、行コス対象企業の株主構成について、驚くべき実態が明らかになった。
 現行商法上、株主総会における普通決議全てが可能となり、会社の意思を決定することのできる過半数以上の株式を行コス対象企業のみで持ち合っている企業は、JHファミリーで63社(行コス企業中75.0%)、首都高ファミリーで2社(行コス企業中16.6%)、阪高ファミリーで22社(行コス企業中88.0%)である。
 株主総会における特別決議事項まで可能になる3分の2以上の株式を行コス対象企業のみで持ち合っている企業はJHファミリーで47社(行コス企業中55.9%)、阪高ファミリーで20社(行コス企業中80.0%)であった。
 さらに、行コス対象外企業でありながらも、公団との関係が濃密な企業の保有している株式を合計して「実質支配」とみなせる議決権掌握割合を推定すると、ファミリーによる株式持ち合い割合は軒並み80%〜100%に増加する。
 下記の表のとおり、ファミリー企業(実質的なファミリーを含む)で実質過半数を支配している会社数は、首都高ファミリーで9社(首都高行コスファミリーの75.0%)、阪高ファミリーで24社(阪高行コスファミリーの96.0%)にまで達するのである。
 特に首都高の行コスファミリーについては行コスで捕捉されない実質的なファミリーが持ち合いに参加しているところに注目すべきである。首都高行コスファミリーの場合は、行コスファミリー企業同士での持ち合いだけを見ると、ファミリーで過半数を支配している企業が2社しか存在しないように見えるが、実際には行コス対象外の実質的なファミリーが持ち合っているに過ぎず、それらの保有株式を入れるとほぼ全社がファミリー企業同士の持ち合いで支配されていることがわかる。
 「都銀、地銀、生保、損保、ゼネコンなどに放出」されたのはごくわずかであり、利益独占の批判をかわすための巧妙な目くらましであったと言わざるを得ない。

【ファミリー企業による株式の持ち合いで過半数以上を支配している行コス企業】

※ ただし公益法人は除く

持合株式数 JH行コスファミリー84社中 首都高行コスファミリー12社中 阪高行コスファミリー25社中
過半数以上 63社 2社 22社
うち2/3以上 47社 0社 20社
実質過半数支配 63社 9社 24社

※ 実質過半数支配とは、「行コス対象企業」および「行コス対象外ではあるが実質的にファミリーとみなすことのできる公団と濃密な関係にある企業」とで過半数以上の株式を持ち合っている企業。

 このようにファミリー企業は、株式を四公団OBの天下り先であるファミリー相互で持ち合うことで、道路ビジネスを公団から独占的、かつ高コストで受注し、国民の高速道路の通行料金に依存しつづけてきたのである。
 その結果上げた利益をファミリー企業内に留保し、甘い汁を吸いつづけることを可能とする構造をつくりあげた四公団本体とファミリー企業の罪は断じて許されるものではない。ファミリー企業同士なれあいの関係が生まれ、談合や不公正な受発注が慣例的に行われてきた事実は、先ごろ公正取引委員会においても勧告されたところである。

■ ファミリー企業内での業務独占

 行コス対象のファミリー企業は、必要以上に細分化された維持管理四業務(料金収受、保全点検、維持修繕、交通管理)等を独占的に受注している。その事実は、今回のファミリー企業の実態調査からも十分に確認することができた。
 ところが、行コス対象のファミリー企業は、これらの本来業務のみならず、SA・PAにおけるハイウェイショップ等の営業までもを受注しているのである。
 JH行コス対象企業89社のうち、2001年度(平成13年度)には72社(81%)が本業のほかにハイウェイショップ等を兼業している。保全点検や維持修繕の会社がハイウェイショップを営業する不自然さはもちろんのこと、行コス対象企業のうち81%が、年間の売上高で1億円以上、かつ極めて安定的というハイウェイショップ等の経営にあたっているのが現状である。
 こうした事実を鑑みると、公団から独占的に占用者として指定されている財団法人道路サービス機構や財団法人ハイウェイ交流センター等が、ファミリー企業に対して優先的に店子として入居させることで利益の配分をしているのではないかという疑念を抱かざるを得ない。
 また、JHの場合、不人気な場所という理由で2財団による直営店舗が75箇所(ハイウェイショップ・レストラン・ガスステーション)もあるが、果たしてユーザーにとって最もよい結果なのか大いに疑問である。

■ 「行政コスト計算書」対象外ファミリーの把握を

 今回の実態調査により、「行政コスト計算書」上の「子会社」「関連会社」の定義には当てはまらなかったものの、実質的に行コス対象企業と何ら変わりのない行コス外ファミリーの存在を把握することができた。
 たとえば首都高の行コス外ファミリーは、行コス対象のファミリーと全く同様の仕組みで増殖していることがわかる。
 首都高の行コス外ファミリーの典型的な例は、(株)ロードリフレ(旧(株)道路エンジニアリング)であろう。(株)デムス、(株)道路テクノサービス、(株)デックなどはすべて(株)ロードリフレを核として拡大した行コス外ファミリーである。(株)道路テクノサービスの株主は(株)ロードリフレ、(株)デック等であるし、(株)デムスの株主もやはり(株)ロードリフレだ。((株)ロードリフレ、(株)デックの株主構成については、今回の調査で回答が得られなかった)。
 また、(株)ロードリフレと(株)デックは首都高の維持修繕業務を1997年以前から受注しており競争入札がはじまった1997年以降も依然として受注しつづけている。
 こららの企業はすべて、首都高からの受注額が売上げの半分以上を占めているうえに、役員も首都高OBの天下りであり、行コスの定義からは外れたものの、ファミリー企業の典型と言っていいだろう。

 また、スバル興業系のファミリー企業は、非常に特徴的な方法で増殖を図っているので注目しておきたい。
 いわゆる一般的なファミリー企業と異なり、スバル興業(株)はJH、首都高、阪高と各公団別にそれぞれのファミリー企業を設立している。
 スバル興業(株)には、(株)東京ハイウェイ、(株)太陽道路、(株)トーハイサービス、(株)新トーハイ、(株)高速道路管理という五つの道路関係100%出資子会社がある。(株)東京ハイウェイはJH系、(株)太陽道路と(株)トーハイサービスは首都高系、(株)新トーハイと(株)高速道路管理は阪高系のファミリーで、それぞれの公団OBが役員に天下っている。 
 (株)新トーハイは阪高の料金収受業務を、(株)高速道路管理は阪高の保全点検業務を独占的に受注しており、(株)太陽道路も首都高の維持修繕業務を長期にわたって独占的に受注している。スバル興業系ファミリーは、いずれも売上げの半分以上を公団からの受注に頼っている。
 スバル興業(株)は映画館「スバル座」を経営している上場企業であるが、首都高の回数券販売の受託業務をはじめたのを皮切りに道路ビジネスに参入し、このように各公団を網羅する巨大なスバル興業系ファミリーを増殖したのである。

■ 期待するファミリー企業の整理・再編

 公団から独占的に高コストで業務を受注し、内部で利益を吸い上げながらOBの受け入れ先として増殖してきたファミリー企業の実態が明らかになった。
 さらに、行コス対象企業のみならず、行コス対象外の実質的なファミリー企業を含めて、このような公団のゆがんだ構造をつくりあげている背景には、人的関係・業務関係・資本関係におけるねじれ現象があることが判明した。
 ファミリー企業は「民間企業」であるという建前から情報公開を妨げられ、こうしたねじれ現象や公団関係者による利益独占の実態や高コスト体質といった構造的な問題がいままで隠蔽されつづけてきた。そのことによる国民の不利益は計り知れない。
 したがって、ファミリー企業間での株式の持ち合い状態の解消、道路ビジネスを独占し、天下りを多く受け入れることで受注を増やしてきた高コスト体質等は、ただちに解消されなければならない。
 そもそも市場原理のもとで「公正なる取引」が徹底して行われれば、新たなプレイヤーも加わる競争によって高コスト体質が解消されるであろう。同時に、天下りを受け入れる意味を失うファミリー企業には正しいコーポレートガバナンスがはたらき、逆に天下りを拒否しはじめる、という効果も期待できる。

 したがって公団は、徹底したコスト削減を図るためにただちに以下の措置を講じ、公正な市場競争が行われる環境を整備すべきである。

@ 新会社発足までに現在6,000億円の管理費の3割削減を確実に達成する。
A 同時に、現在ファミリー企業で独占されている道路ビジネスを広く市場に開放し、新規参入を呼び込み、競争原理をはたらかせる過程で発注原価をさらに下げていく。
B 新規参入企業の増加目標を定める。
※ 入札案件に占める新規参入企業割合の達成目標を、2003年度に2割増(2001年度比)、2004年度に4割増(2001年度比)、2005年度に5割増(2001年度比)と設定するよう、11月15日の第31回委員会において国土交通大臣に意見書を提出した。
C 新規参入を妨げる排他的入札要件を完全に撤廃する。

 上記の過程においては、おそらく余剰人員問題が発生してくるだろう。当然、新規事業等でそれらを吸収する必要性が出てくる。新会社は株主(当初は国)と利用者でもある国民に対する責任として、対策を早急に立ち上げる必要がある。そのためには密室で検討するのではなく、広く民間とのアライアンスを実現するなどして「民の知恵」を最大限に利用し、抜本改革のスピードアップを図らなければならない。

 道路四公団が民営化して新会社が発足したのちにも、公団本体の高コスト体質の元凶であったファミリー企業体制が温存されることは、民間企業であると同時に公益性も有していなければならない新会社のあるべき姿として決して許されることではない。
 こうしたファミリー企業の真相が隠されたまま、一方的に国民に強いてきた負担をこれ以上続けてはならない。


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