産業競争力会議

第6回産業競争力会議議事要旨

T.日時  平成11年8月11日(水)8:00〜9:00

U.場所  総理官邸大食堂

V.出席者 別紙

W.議事概要

1.開会
  冒頭、通産大臣から産業活力再生特別措置法の成立等につき報告。

2.政府側説明
  通商産業省 江崎 産業政策局長より、流通・サービス業の活性化、新産業・新事業の育成について資料にそって説明。

3.民間側等説明

【鈴木 イトーヨーカ堂社長】
・流通業は、個人消費の回復において重要な役割を担うもの。また、大きな雇用吸収力を有している。
・一方でメーカー・卸との連携強化、POSシステムなどの情報化等流通業としての主体的な取組も進めている。
・政府による環境整備について3点を提案。
 第1に規制の緩和。具体的には、医薬品や酒類・たばこの販売に関わる規制緩和やトラック業者の営業地域規制の規制緩和。
 第2に情報インフラの整備。 具体的には、電子商取引に関わる制度整備、通信料金への定額制の導入の早期実現。
 第3に大店法から大店立地法への移行を円滑にするための環境整備。
 その他、「フランチャイズ・チェーン・システム」普及促進のための制度整備、事業用定期借地権を活用した店作りに対する税制優遇、「差入れ保証金制度」の改善、不動産証券市場の育成。

【福武 ベネッセコーポレーション社長】
・生活福祉サービス業は高齢化社会における基幹産業。我が国の福祉サービスはこれまで行政から配給されてきたが、今こそ市場原理の導入を徹底すべき。具体的には、
@グループホームなどコミュニティケアの推進
A福祉に係る全ての原資を消費者個人に渡すバウチャーシステムの導入。
B民間企業の福祉サービスへの参入障害となる制度・規制の撤廃。具体的には介護保険施設への民間企業参入の解禁、施設整備、税制優遇措置などの社会福祉法人との競争条件の格差の是正。

【孫 ソフトバンク社長】
 ・ニューエコノミーを支える2大革命は金融革命と情報革命。金融革命に向けて、
@複数の取引所の参入による競争促進、
A株券不発行(エレクトロニクス化)を認めること、
B英語でのディスクロージャーを認めること、
C統一的決済機構の構築、
  が重要。情報革命に向けて、定額低価格の超高速インターネットサービスを実現し、  また学校へはそれを10年間無償で提供することが重要。政策としては、
@行政手続きの電子化による電子政府の実現、
A学校へのインターネット用のパソコン・カリキュラムの導入、
B電子商取引の3年間消費税0%化
 を提言したい。

【牛尾 ウシオ電機会長】
・欧米と比較すれば、我が国においてもサービス業の伸びる見込みが大。
・今後の需要拡大が見込まれるサービス産業の分野は、医療・健康・美容サービス、余暇関連産業、家事・事業・公共分野のアウトソーシングサービス、環境関連サービス、情報化関連サービス。
・サービス産業の活性化のために、
@政府公共サービスの民営化・アウトソーシングの推進と連結納税制度の早期導入。
A流動性のある労働市場の構築。具体的には新規求人における年齢差別の撤廃、派遣労働者の派遣期間の制限の撤廃。
B医療、介護・福祉、保育・育児の分野における規制緩和の推進。
Cエンジェル税制の拡充。
 が重要。

4.意見交換

【野田郵政大臣】
・通信料金の低廉化は重要。NTT、CATV事業者、ADSLなど様々な事業者が定額化を進めている。各事業者の競争により安くサービスを利用してもらえるようになるべく、郵政省としても応援したい。

【今井 新日鐵会長】
・競争力会議での議論については、6月11日の産業競争力強化対策、産業再生法、商法改正、ミレニアムプロジェクトなど着実に実行していただきお礼申し上げたい。これからもスピーディによろしくお願いしたい。

【樋口 アサヒビール名誉会長】
・流通業においては、世界の上位10社をはじめ、海外の大型店舗から進出希望が相次いでいるが、規制の問題が絡んでいる。
・養護学校でのインターネットの教育が不十分ということで、企業の卒業生受け入れが滞っているという問題が起きている。
・アメリカでは資格制度が機能している。雇用の流動性の観点から、資格制度の充実を検討すべきではないか。

【高原 ユニチャーム社長】
・エンジェル税制の拡充によりリスクマネーを呼び込める。具体的には、投資損失と他の所得との通算を認める、損失の繰り越し期限を現行3年からアメリカのように損失がゼロとなるまでとする、といった拡充をすべき。

【小池 サンリット産業社長】
・流通・サービス業は地域に密着した産業であり、資金調達を地域の金融機関に依存している。関西地域では地銀、第2地銀、信金ががたついている。早急に再編を進めるよう指導をお願いしたい。

【室伏 伊藤忠商事会長】
・ベンチャーが起こるためには、フリーでオープンな証券市場が必要。
・国立大学の教官がベンチャー企業の役員と兼職できるようにすべき。

【野中 官房長官】
・流通、介護に関連して言えば、生活協同組合については本来の使命を超えて拡充している面があるので、検討したい。

【宮下 厚生大臣】
・バウチャー制度については提言として受け止めたいが、実際にはサービスの受け手が、判断能力の乏しい高齢者であるため、通常の消費者と同じように考えると人権保護の観点から問題がある。
・(福祉施設について)、隔離された施設ではなくて、グループホームのような小規模でも市民生活の中にある身近な施設がよい。

【福武 ベネッセコーポレーション社長】
・バウチャー制度を導入した上で、必要なセイフティネットの整備を国で行うべき。

【甘利 労働大臣】
・牛尾委員のレジュメにある、30才前後を対象として第二新卒市場の立ち上げはよいアイデアと考える。日経連と一緒に勉強をしたい。
・経済のソフト化の中で、クリエイターの保護をどうするか。アメリカはしっかりやっているようだが日本の知的財産権の保護について問題はどこにあるか。

【孫 ソフトバンク社長】
・日本でも知的財産権をもっと保護するべき。特許権については審査期間が長いのが問題。著作権については侵害があったときの運用をしっかりするべき。

5.総理発言
・サービス産業の育成に当たっては、市場原理の導入により如何に民間の力を活用していくかがポイント。高齢化、情報化、環境対応のミレニアム・プロジェクトについては、制度的課題についても取り組むトータルなものとしたい。
・ミレニアム・プロジェクトの個々のプロジェクトは、3から5年程度継続して実施し、具体的成果が見込めるものに作り上げる。推進体制については、産業界等の関係者も交えた横断的な連携の仕組みを作る。
・産業競争力会議の今後の重点の置き方を、過去の負の遺産の清算から未来への道筋の議論に移す。特に中小企業・ベンチャー企業の育成の問題、技術開発の問題に配意する。
・この会議で議論していただいているものについては、順次取り急いで、できるものについては公的支援も心掛けるので、貴重な意見をお待ちしている。

6.閉会

(以上)


(別紙)
産業競争力会議第6回出席者
政府側
小渕恵三内閣総理大臣(主宰)
野中広務内閣官房長官・沖縄開発庁長官
与謝野馨通商産業大臣(議事進行)
陣内孝雄法務大臣
高村正彦外務大臣
有馬朗人文部大臣・科学技術庁長官
宮下創平厚生大臣
中川昭一農林水産大臣
川崎二郎運輸大臣・北海道開発庁長官
野田聖子郵政大臣
甘利 明労働大臣
関谷勝嗣建設大臣・国土庁長官
野田 毅自治大臣・国家公安員会委員長
柳沢伯夫金融再生委員会委員長
太田誠一総務庁長官
堺屋太一経済企画庁長官
真鍋賢二環境庁長官

産業界側
今井敬新日本製鐵株式会社会長
経済団体連合会会長
牛尾治朗ウシオ電機株式会社会長
奥田 碩トヨタ自動車株式会社会長
日本経営者団体連盟会長
金井 務 株式会社日立製作所会長
小池俊二株式会社サンリット産業社長
鈴木敏文株式会社イトーヨーカ堂社長
瀬谷博道旭硝子株式会社会長
孫 正義ソフトバンク株式会社社長
高原慶一朗ユニ・チャーム株式会社社長
濱中昭一郎日本通運株式会社会長
全国通運連盟会長
樋口廣太郎アサヒビール株式会社名誉会長
福武總一郎株式会社ベネッセコーポレーション社長
前田勝之助東レ株式会社会長
前田又兵衛前田建設工業株式会社会長
日本建設業団体連合会会長
三浦 昭三菱化学株式会社会長
日本化学工業協会会長
室伏 稔伊藤忠商事株式会社会長
日本貿易会会長
(敬称略)