産業競争力会議

第7回産業競争力会議議事要旨

T.日時  平成11年9月6日(月)17:00〜18:15

U.場所  総理官邸大食堂

V.出席者 別紙

W.議事概要

1.開会

2.政府側説明
 ミレニアム・プロジェクトについて、政府側(内閣内政審議室長)から説明。

3.産業界側説明

【高原ユニチャーム社長(経団連新産業・新事業委員会委員長)】

ベンチャー企業の育成について、企業家予備軍の育成から創業、株式公開等に至る企業成長の各段階ごとに、間断のないベンチャーインフラの整備を提言。

第1に、国民の意識改革と人材の育成。

第2に、急成長ベンチャー企業の育成と投資環境の整備。

第3に、失敗しても再度チャレンジできるよう倒産法制の見直し。

これらを公的機関による既存の保証や、出資のメカニズム等と共にパッケージとして推進。

最後に、規制改革の推進。

【小池サンリット産業社長(大阪商工会議所副会頭)】

中小・ベンチャー企業の支援及び国際化促進について提言。

第1に、中小・ベンチャー企業支援。

第2に、創業支援。

第3に、税制。

第4に、中小企業の国際化推進。

最後に、経済対策の策定、第二次補正予算の編成を速やかに進めるべき。

【金井日立製作所会長(経団連副会長・産業技術担当)】

 産業技術力の強化に向けた技術政策について提言。

第1に、ミレニアム・プロジェクト、産学官連携。
 @ミレニアム・プロジェクト


 A産学官の協力のための制度改正
 B「産業技術戦略」の策定の検討の場の設置と着手

第2に、教育改革。

【前田東レ会長】

技術開発基盤の強化についての提言。

第1に、科学技術政策推進体制の改革。

第2に、重点ナショナルプロジェクトの決定と推進。
 @大型5分野・・・情報通信、生命科学、環境エネルギー、宇宙開発
 A中型3分野・・・海洋開発、新素材・新材料、先端エンジニアリング

上記について、行革の最終の詰めとして政治のリーダーシップによる推進を提言。

4.意見交換

【前田前田建設会長】
・「過去のミレニアム」をどうするか。日本にはアメリカのスミソニアンのような(過去の技術の成果を保存する)場がない。
・優秀な企業を表彰するノーベル賞、小渕賞を作ってほしい。

【孫ソフトバンク社長】
・ミレニアムの目玉として、小学生、中学生、高校生全員にパソコンを持たせ、インターネットにつなげてほしい。ミレニアムの具体策として検討してほしい。

【秋草富士通社長】
・金井氏の発言にあった制度インフラの整備実行すべし。企業の大学への寄付、委託額は、95年から97年にかけてほとんど増えていない。一方、日本からアメリカの大学へは増えている。アメリカの大学では、企業が研究資金を出すと、州政府から同額補助が出る仕組みがある。
・実用英語の試験を会社独自にやるのをやめてTOEICを利用することにしたが、技術者の英語力強化が必要。いっそのこと大学受験での英語の試験をなくし、TOEICを利用した方が学生も勉強する。

【瀬谷旭硝子会長】
・ミレニアムは大型のテーマなので、省庁の枠を超えてとりくむことと、複数年度に拡がる予算を是非お願いしたい。

【福武ベネッセコーポレーション社長】
・ミレニアムについては、個人、生活者の視点を是非入れてほしい。ハイテクに加え、ハイタッチという観点が重要。
・電子商取引やダイレクトメールの通信料金を下げることや、個人情報の活用と保護のルール設定など、マイクロビジネスを発展させるような施策が必要。
・地域間でもっと競争が行われるよう、地域の情報が流通するようにすることが必要。寄付に関する税制の見直しも地域の活性化につながる。

【室伏伊藤忠商事会長】
・米国ではNASAや国防省のような巨額の予算をもつ委託・調査機関があり、後のベンチャー発展の基盤となった。産学官協同プロジェクトのミレニアムは、世界的な企業となるようなベンチャーを育成するインフラとして期待している。
・特にITSは自動車、道路、情報・通信産業等の多岐の分野に亘って大きなインパクトを持つ。日本がグローバルスタンダードを創り出していける分野であり、ぜひ重点として推進してほしい。

【孫ソフトバンク社長】
・アメリカでは、民間のベンチャーキャピタルが、ベンチャーに4兆円も資金を投入している。利益のために投資する好循環が生まれている。日本でも、利益をあげる観点から株式市場の市場間競争が促進されるようにお願いしたい。

【牛尾ウシオ電機会長】
・金井氏のミレニアムの問題意識賛成。アメリカ政府のプロジェクトでは、全ての国民がインターネットを利用できるようにする、など国民に分かりやすい形でメッセージを出している。ミレニアムも国民全体のテーマとすることが必要。
・一方で、アメリカではダブルドクター、トリプルドクターが増えており、エリートも育てている。
・アメリカだけでなく、ドイツの大学でも、テーマの選択を民で行い、そのテーマに国が金を出すマッチングポリシーが発達。秋草委員から日本の大学への寄付・委託が増えていないという話があったが、日本の大学でも人によっては金を集めている。何故大学全体としてだめなのか現状調査すべき。

【今井新日鐵会長】
・高原氏の提案の通り、産業再生法で実現された措置をベンチャー企業にも適用できるようにすべきである。それらの措置は、グローバルスタンダードへの適合を内容としており、いますぐとは言わないが、計画の認定を受けない企業でも広く使えるようにしてほしい。
・第二次補正に言及があったが、補正でここ数年、公共事業以外に研究開発予算をやってきて、それは評価できる。しかし、次に補正予算が出ないとつながらない。第二次補正にミレニアム・プロジェクトのための予算を盛り込み、かつ、それを複数年度にわたって使えるような措置を考えてほしい。

【高原ユニチャーム社長】
・トヨタのカナダ工場を見学した。アメリカより生産性が一割高く、関税を入れてもなお競争力がある。強さの要因は@プロダクト・イノベーション、Aプロセス・イノベーション、Bマインド・イノベーションの3つのイノベーションをやっていることである。

【孫ソフトバンク社長】
・アメリカでは「13才になったら全ての国民がインターネットを自由にさわれるような教育」を目標として掲げている。日本では小学4年生で同じことができるような教育を目標にすべき。

【小池サンリット産業社長】
・アジアでは相続税はゼロである。国際的な競争力強化および事業承継の観点から、日本の相続税についても是非検討してほしい。

【太田総務庁長官】
・秋草委員の意見に賛成で、試験は標準化したものを使ったらよい。国家公務員試験は司法試験を使ったらよい。企業側がまず手を付ければ(TOEICなどの共通の試験を導入すれば)大学側もそれを目指した教育に変えていくというインパクトを与えることになる。
・高原委員から労働、介護の分野での規制緩和の提言があった。規制改革委員会で取り上げて集中的に検討したい。

【甘利労働大臣】
・ベンチャーが成功するには、商売の種と資金がうまく結びつく必要がある。アメリカではどのようになされているのか。

【孫ソフトバンク社長】
・まずNASDAQへの道筋がはっきりしている。また、スタンフォード大学では、大学にお見合いの場があって、学生がベンチャービジネスを説明し、ベンチャーキャピタルがそれを聞いて融資する。ヤフーも大学でビジネスの説明をして資金を集めた。

【中川農水大臣】
・先端的なバイオテクノロジーで生まれる食品に対して、(安全面から、)国民の否定的な反応がある。情報も、インターネットでは秘密の保護との両立の問題がある。

【鈴木イトーヨーカ堂社長】
・バイオ食品の安全性に関する消費者への情報開示は重用であるが拙速な対応は混乱を招くおそれがある。

【陣内法務大臣】
・総理に強い指示を受け、秋の臨時国会で倒産法制の見直しの法案を提出する予定。また、分社化についても法制の検討を行っている。

【孫ソフトバンク社長】
・日本では、ハッカーが企業の情報をのぞき見をすることは違法ではない。日本はハッカー天国。法的にハッカー対策をし、罰則を厳しくしてほしい。

【樋口アサヒビール名誉会長】
・母親に対するパソコンの教育が子供に大きな影響を与えることに留意すべき。

5.総理発言

・この秋からしばらくの間が本当の正念場。今後の経済の動きをしっかりと見極め、切れ目のない経済運営を行う。
鍵は中小企業・ベンチャー企業の育成とミレニアム・プロジェクト等の技術開発。

・中小企業政策については、従来施策の単なる延長でない思い切った再編成。

・ミレニアム・プロジェクトについては、これからの施策の中心課題。
複数年度にわたる実施が可能となるように対応を図る。また、推進に当たって産業界の意見を聞く。
産学官の協力体制の確立が不可欠。制度改正が必要ならば、政府内で早急に検討。必要なら法制面の対応も図る。
教育改革については、競争的な環境をつくり若手研究者が活躍できるような思い切った改革を実施。

6.閉会

最後に、野中官房長官から、ハッカー対策について内閣に検討の場を設ける予定である旨コメント。

(以上)


(別紙)
産業競争力会議第7回出席者
政府側
小渕恵三内閣総理大臣(主宰)
野中広務内閣官房長官・沖縄開発庁長官
与謝野馨通商産業大臣(議事進行)
陣内孝雄法務大臣
宮澤喜一大蔵大臣
宮下創平厚生大臣
中川昭一農林水産大臣
野田聖子郵政大臣
甘利 明労働大臣
関谷勝嗣建設大臣・国土庁長官
太田誠一総務庁長官
真鍋賢二環境庁長官

産業界側
今井敬新日本製鐵株式会社会長
経済団体連合会会長
秋草直之富士通株式会社社長
牛尾治朗ウシオ電機株式会社会長
金井 務 株式会社日立製作所会長
小池俊二株式会社サンリット産業社長
鈴木敏文株式会社イトーヨーカ堂社長
瀬谷博道旭硝子株式会社会長
孫 正義ソフトバンク株式会社社長
高原慶一朗ユニ・チャーム株式会社社長
濱中昭一郎日本通運株式会社会長
全国通運連盟会長
樋口廣太郎アサヒビール株式会社名誉会長
福武總一郎株式会社ベネッセコーポレーション社長
前田勝之助東レ株式会社会長
前田又兵衛前田建設工業株式会社会長
日本建設業団体連合会会長
三浦 昭三菱化学株式会社会長
日本化学工業協会会長
宮津純一郎日本電信電話株式会社社長
室伏 稔伊藤忠商事株式会社会長
日本貿易会会長
(敬称略)