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青少年育成施策大綱


1 大綱策定の目的
 青少年期は、個人にとって、かけがえのない人生の一部であり、平均的にはその3分の1にも相当する期間である。人格の基礎が形成され、言わば人としての根を張り、幹や枝を伸ばし、葉をつける時期である。また、大人となるための準備期間として、その過ごし方は単に青少年期の幸せにとどまらず、人として花を咲かせ実をつけられるかどうかなど人生全体の幸せを左右するほどに重要な期間であり、年齢によって程度や内容は異なるものの、成長していく上で家族や社会の支援が欠かせない時期である。同時に、青少年は次代の担い手であり、社会にとって、大人と共に現在の社会を形成し、さらには、未来への希望を託す貴重な存在である。このため、社会は、このような青少年に対して、様々な影響を及ぼしつつ、その健全な育成のために大人とは異なる特別の配慮を行ってきている。
 今日、我が国社会は少子高齢化という人口構造の急激な変化の下、情報化、国際化、消費社会化が進行し、家庭、学校、職場、地域、情報・消費の場など青少年を取り巻く環境にも大きな影響が及んでいる。兄弟姉妹数の減少や離婚・再婚家庭の増加、未婚率の上昇など家庭は小規模化、不安定化し、また、非正規雇用や転職の増加など労働面においても多様化、流動化が進んでいる。インターネットの普及は、身近な集団での人間関係を希薄化させながらも、新たなコミュニケーションの地平をひらいている。これらの社会の変化は、ボランティアや国際貢献、起業などに取り組む若者の増加といったよい影響をもたらしている一方で、青少年の非行、不登校、ひきこもり、虐待など様々な問題を深刻化させ、新たに大きな問題として若者の社会的自立の遅れを生じさせている。
 このような社会の変化を的確にとらえ、今日的な様相を表している諸課題へ対応しつつ、21世紀を生き21世紀の我が国社会を形成する青少年を健全に育成するには、施策が青少年の実態に即し、また、「児童の権利に関する条約」等に示されている青少年の人権の尊重及び擁護の促進の観点も踏まえ、適切に推進される必要がある。青少年の育成に係る政府としての基本理念と中長期的な施策の方向性を明確に示し、保健、福祉、教育、労働、非行対策などの幅広い分野にわたる施策を総合的かつ効果的に推進するため、この青少年育成施策大綱を定める。


2 基本理念
 青少年育成施策は、以下の三点を基本理念として推進する。
 1)現在の生活の充実と将来への成長の両面を支援
 青少年が、現在の生活を充実して送るとともに、将来に向かって、挑戦と試行錯誤の過程を経つつ、自己選択、自己責任、相互支援を担い、社会とのかかわりの中で自己実現を図る、社会的に自立した個人として成長するよう支援すること。
 2)大人社会の見直しと青少年の適応の両方が必要
 大人が、青少年の問題は大人社会の問題の反映であることを踏まえ、青少年の健全な育成を図る上で望ましいものとなるよう大人社会の在り方についての見直しを行うとともに、青少年が、成長に応じて大人社会を理解し適応するという、大人と青少年双方の信頼と努力が必要であること。
 3)すべての組織及び個人の取組が必要
 青少年の健全な育成は、社会全体の責任であることを踏まえ、家庭、学校はもとより、職場、地域、民間団体等の社会を構成するすべての組織及び個人が、それぞれの役割及び責任を果たしつつ、相互に協力しながら取り組むことが必要であること。


3 重点課題
 自立、責任、連帯、寛容などの人間性を涵養し、人権尊重の精神や他者と共生していく上で何が求められ何が許されないかという規範意識を身に付けることは、社会的存在としての人間が備えるべき基本である。成長の過程でこの基本が自ずと備わるよう、青少年育成施策は配慮されなければならない。本大綱においては、青少年育成施策を、おおむね30歳未満の者を対象として各年齢期に応じて推進するが、社会的自立の遅れと不適応の増加という今日的状況にかんがみ、全年齢期を通じて今後特に重点的に取り組む課題を次のとおり設定する。
(1)社会的自立の支援
 青少年が就業し、親の保護から離れ、公共へ参画し、社会の一員として自立した生活を送ることができるよう支援するものとする。
 若者の就業を支援するため、職業相談及び職業訓練の機会を充実するとともに、インターンシップ(就業体験)の充実、実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアルシステム)の導入、地域における就労支援のためのワンストップサービスセンター(関係機関の窓口一元化、関連情報の集約化による包括的な一次相談の窓口)の整備など教育施策と雇用施策の連携を強化する。また、親からの自立を支援するため、奨学金や若年子育て家庭向け社会保障施策の充実を図る。さらに、人生設計、教育、職業選択、職業訓練、生活保障等に係る包括的な若者の自立支援方策を検討し、推進する。
 また、幼児期から社会性を育成するため、創造的な遊びの機会の提供、コミュニケーション能力の育成、ボランティア活動の振興等を行う。特に、ボランティア活動については、ドイツなどの例も参考にしつつ、多くの青少年が定期的に又は相当程度の期間にわたって活動に参加できるよう必要に応じた法的措置も含め、振興施策を推進する。
(2)特に困難を抱える青少年の支援
 非行等の社会的不適応を起こしやすい状況にあるなど、特に困難を抱える青少年に対して、その環境や条件が改善されるよう、特別の支援を行うものとする。
 医療、福祉、教育の専門家による適切な助言指導を充実するとともに、低所得・ひとり親家庭への就労支援、社会保障給付等を行う。特に、青少年が教育を通じた職業への展望をもてるよう、条件や環境に恵まれない青少年も義務教育の間に基礎的学力を習得できるよう支援する。 
 支援に当たっては、個人や個々の家庭への差別意識を生じさせないよう十分留意する。
(3)能動性を重視した青少年観への転換
 青少年の社会的自立を促進するため、保護・教育を受けるだけでなく、自分の意見をもち、自己を表現し、他者を理解し、他者に働きかけ、家庭や社会のために自ら行動する、積極的、能動的な側面を併せもつ青少年観への転換を推進するものとする。画一と受け身から自立と創造へと教育の在り方を転換するとともに、広報啓発を進めるなどにより、能動性を重視した青少年観やそれに基づく育成課題について普及を促進する。
(4)率直に語り合える社会風土の醸成
 青少年の健全な育成への取組が適切に推進されるよう、青少年の現状について、率直に語り合える社会風土を醸成するものとする。
 心身の状況、学力、生育環境、非行、社会的自立の状況等に関する青少年の実態と意識等について、的確な事実認識を広く国民の間で共有するために、調査研究や情報提供を推進する。個々の青少年の能力、環境の違いの指摘が差別につながらないよう留意するとともに、その指摘自体が差別として批判されることのない、自由な議論の環境整備に努める。


4 年齢期ごとの施策の基本的方向
 青少年育成施策は、0歳からおおむね30歳未満までの年齢層にある者の健全な育成を目的としているが、これらについては、成長段階ごとの特性と課題を踏まえて適切に実施する。施策の実施に当たっては、個人差に配慮するとともに、各年齢期の連続性を重視するものとする。
(1) 乳幼児期
 乳幼児期には、人間への基本的信頼と愛情を育てていく基礎となる、親や特定少数の人との強い情愛的きずなを形成するとともに、複数の人々との多様なかかわりを通じて認知や情緒を発達させ人格を形成していくことが重要である。これを踏まえ、乳幼児期にある子どもの健全な育成のため、以下のような施策を行う。
 1)母子の健康の確保・増進
(安全で快適な妊娠出産の確保)
 安全で快適な満足できる「いいお産」について、関係者や妊婦が共通の理解をもつことができるよう、妊産婦健康診査等様々な機会をとらえて働きかけを行うとともに、周産期医療の充実を図る。
(地域保健の充実)
 育児不安の解消や産後うつ病への対応など、妊産婦の心の健康確保のため、市町村における妊産婦健康診査、乳幼児健康診査、保健指導等の母子保健事業を推進する。
(小児医療の充実)
 子どもが地域において、いつでも安心して医療サービスを受けられるよう、小児医療の充実を図る。特に小児救急医療について、休日又は夜間の小児救急患者の受入れが可能な病院の確保や、広域を対象に小児救急患者を受け入れる小児救急医療拠点病院の整備を図るとともに、小児科医以外の医師が活用できる小児救急の外来診療の手引の作成を行う。
 また、小児医療についての診療報酬上の措置について、引き続き検討を行う。
(「食育」の推進)
 出産前からの適切な食生活を支援し、乳幼児期からの望ましい食習慣の定着を図るため、妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進する。
 2)子育て支援の充実
(男女共に子育てと就業が両立しやすい職場づくり)
 平成17年度までに、年間総実労働時間1,800時間の達成・定着を図るため、年次有給休暇の取得促進及び所定外労働の削減に重点を置いた取組を進める。
 「次世代育成支援対策推進法」に基づき、事業主による次世代育成支援対策についての行動計画の策定・実施を支援し、育児休業取得の推進、子どもの看護休暇制度の導入、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及等について、企業における自主的な取組を促進する。また、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の周知徹底や、労働者が仕事と家庭を両立させやすい職場環境の整備を普及促進する。
 過重労働になりがちな農山漁村の女性が、育児と農作業等の両立ができるよう地域のサポートシステムづくりなどの支援を行う。
(育児等退職者の再就職支援)
 育児等の理由で退職し、将来的に再就職を希望する者に対して、再就職に役立つ相談や情報提供を行うなど再就職の準備を支援する。
(待機児童ゼロ作戦)
 保育所、保育ママ、地方公共団体における様々な単独施策、幼稚園における預かり保育等を活用し、待機児童の多い都市を中心に、平成15、16年度で10万人の受入児童数の増大を図る。また、保育実施の需要が増大している都道府県及び市町村における保育の実施等の体制確保に関する計画の策定など待機児童の解消に向けた総合的な取組を促進する。
 学校の余裕教室や廃止される公立学校を保育所に転用する場合に施設整備の補助を行うなど、施設整備を推進するとともに公設民営方式の推進を図る。また、ニーズに応じた多様な保育サービスの提供を促進するため、既に規制緩和された事項について、地方公共団体に周知徹底を図る。
(子育て相談の充実)
 保育所において相談業務が円滑に実施されるよう、保育士による乳児、幼児等の保育に関する相談・助言に必要な知識及び技能の修得、維持及び向上を図る。
 育児不安についての相談指導、保育所やベビーシッター等地域の保育サービスに関する情報提供、子育てサークル等への支援を行う地域子育て支援センターの活用・充実等を促進する。
(多様な主体による子育て支援とネットワークづくり)
 保育時間や保育日数の条件を緩和し、保育所との連携又は保育所での一体的実施を通じて、保育者の居宅において少人数の3歳未満児を保育する家庭的保育の充実を図る。また、地域において育児の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置を促進する。
 希望するすべての幼稚園が預かり保育を実施できるよう諸施策を推進する。また、複数企業間の共同設置によるものを含む事業所内保育施設の設置を支援する。
 乳幼児期にある子どもの父親・母親を対象にした子育て講座の開設など家庭教育に関する学習機会・情報の提供の充実を図るとともに、子育て経験者等を活用し、孤立しがちな親等が気軽に相談し、助言・指導を受けることができる相談体制を整備する。
 NPOやボランティア団体等との連携の下、地域の子育て支援ネットワークの形成を促進する。
 「次世代育成支援対策推進法」に基づく市町村及び都道府県の行動計画の策定、「児童福祉法」に基づく市町村における子育て支援事業の実施等により、地域における子育て支援の取組を推進する。
(経済的支援)
 子育て家庭の経済的負担の軽減を図る観点から、育児休業給付を支給するとともに児童手当の支給対象年齢等の見直しを行う。
 個人所得課税において、人的控除の基本構造の見直しに際し、児童などに対して扶養控除を集中することについて、検討を深める。
 3)保育所・幼稚園等での養護・教育の充実
(サービスの第三者評価の推進)
 認可保育所のサービスの質を確保するため、サービスの第三者評価の方法等について調査研究を行い評価の客観性を高めるとともに、利用者に分かりやすいものとなるよう検証するなど、評価内容の充実に努める。
(認可外保育施設の指導監督の強化)
 認可外保育施設の届出制を導入し、運営状況等を効率的に把握することにより、認可外保育施設の質の維持・向上を図る。
(保育所と幼稚園の連携強化と一体的運営の推進、新しい体制の整備)
 保育所と幼稚園の一体的運営を促進するため、施設の共用化指針の策定、保育内容・教育内容の整合性の確保等の取組に加え、保育士と幼稚園教諭の資格の相互取得を促進する。また、施設の共用だけでなく、子どもの処遇についても、各地域のニーズに応じた柔軟な運営が可能となるよう措置する。さらに、平成18年度までに、地域のニーズに応じ、就学前の保育・教育を一体としてとらえた一貫した総合施設の設置を可能とする方策を検討する。
(保育所・幼稚園と小学校との連携推進)
 幼児期の教育と小学校以降の教育の連携・交流及び相互理解の不足を解消するため、総合的な調査研究を実施し、子どもの成長や発達の連続性を踏まえた連携・交流の機会を充実させる。
(安全教育)
 保育所、幼稚園等を通じて、子どもが危険な場所・遊び方を認識し、災害や犯罪の被害を防止するための行動の仕方を身に付けるため、安全教育を推進する。また、子ども及び保護者に対する交通安全教育を推進する。
(2)学童期
 学童期には、後の成長の基礎となる体力・運動能力を身に付け、多様な知識・経験を蓄積し、家族や仲間との相互関係の中で自分の役割や連帯感などの社会性を獲得していくことが重要である。これを踏まえ、学童期にある子どもの健全な育成のため、以下のような施策を行う。
 1)健康の確保・増進
(学校における教育・相談体制の充実)
 心の健康に関する指導、薬物乱用防止教育、発達段階に応じた性に関する指導、感染症対策、環境衛生への適切な対応、安全教育、食に関する指導等、専門家の協力も得ながら学校における健康教育の充実を図る。また、健康上の諸問題に対する取組を進めるため、スクールカウンセラーの配置の促進など健康相談体制の充実を図る。
(地域における相談)
 子どもの発育・発達や心の健康問題に関する地域における相談事業を推進する。
(小児医療の充実)
 子どもが地域において、いつでも安心して医療サービスを受けられるよう、小児医療の充実を図る。特に小児救急医療について、休日又は夜間の小児救急患者の受入れが可能な病院の確保や、広域を対象に小児救急患者を受け入れる小児救急医療拠点病院の整備を図るとともに、小児科医以外の医師が活用できる小児救急の外来診療の手引の作成を行う。
 また、小児医療についての診療報酬上の措置について、引き続き検討を行う。
(メディアを通じた広報啓発)
 ホームページ等様々なメディアを活用し、健康の確保・増進を図るための情報提供、広報啓発活動を推進する。
 2)日常生活能力の習得
(基本的生活習慣の形成)
 地域の生産・加工・流通分野や保健・医療の専門家等と連携し、食に関する学習の機会や情報の提供などによる食生活の改善や、休養・睡眠、運動、家事手伝いなど生活習慣の改善に向けた取組を学校内外において進める。また、学校における道徳教育や体験活動等を通じて規律ある生活をする態度を養う。
 学童期にある子どもの父親・母親に対して、家庭教育に関する学習機会・情報の提供の充実や相談体制の整備を図るなど、家庭教育の支援を行う。また、授業の終了後に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を提供する放課後児童クラブや地域のすべての児童に活動の場や機会を確保する事業などの放課後児童の受入体制を大都市周辺部を中心に整備し、平成16年度までに、全国15,000か所とする。
(体力の向上)
 子どもの体力の向上を図るため、指導者の資質向上、体育専科教員の配置、地域のスポーツ指導者等外部指導者の活用などにより、体育の授業を充実させる。また、特別活動、総合的な学習の時間、始業前や休み時間などを活用し、学校教育全体で創意工夫をこらした体力の向上のための取組を推進する。
 地域において、子どもがスポーツや外遊びを通じて体を動かす機会を充実させるため、学校の運動場や体育館などの学校施設の開放、運動場の芝生化、公園などの活用を推進するとともに、総合型地域スポーツクラブの育成、自然体験活動を推進する。
(コミュニケーション能力の育成)
 思いやりの心や、自分と異なる意見をもつ者や異なる立場の者とのコミュニケーション能力を育成し、自己を主張し、コントロールする力を養成するため、発表・討論などの学習や道徳教育の充実等、学校や家庭等における様々な機会の確保・充実を図る。
(規範意識の醸成)
 子どもの規範意識を醸成するため、学校において地域の人々の協力を得つつ、体験活動等を生かした道徳教育の充実を図るほか、関係機関や地域の人々と連携して行う非行防止教室等の取組を推進する。
(安全教育)
 子どもが交通事故等の事故、災害、犯罪被害などの危険から自らの身を守る能力を養うため、学校教育や地域活動等を通じて、子どもの発達段階に応じた安全教育を推進する。
(メディアを活用する能力)
 子どもが情報の有用性や役割、情報化のもたらす影響などを認識しつつ、コンピュータやインターネット等の情報手段の活用を通じて主体的に情報を取捨選択、発信できる能力(メディア・リテラシー)を身に付け、向上させるための取組を推進する。
 3)学力の習得
(教育内容の充実)
 授業が分からない児童の大幅な減少を目指し、少人数指導や習熟度別指導等の充実を図る。また、児童に学ぶ楽しさや意義を伝え、将来の職業に対する意識を身に付けさせるなどして、学習意欲の向上を図る。
 従来おおよそ10年ごとに改訂してきた学習指導要領について、社会の変化に機動的に対応するため、学力調査や教育課程に関する実践的な研究の結果等を踏まえ、不断に見直し、改善を行う。
(全国的な学力の把握・評価)
 全国的かつ総合的な学力調査の実施により児童の学習状況を把握するとともに、調査結果を詳細に分析し指導上の課題を明らかにする。分析結果は、広く国民一般に公表するとともに、必要な施策立案や各教育委員会、学校等において学習指導の改善を図るための参考とする。
 4)社会的自立につながる活動機会の保障
(集団遊びの機会の確保)
 放課後児童クラブ、児童館・学校施設・公園等を活用し、集団遊びの場の確保を目指す。このほか、地域等における自発的・創造的な遊びの機会づくりを推進する。
(ボランティアなど社会奉仕体験活動)
 子どものボランティア活動など社会奉仕体験活動の振興を図るため、学校や地域における活動に関する広報・啓発、相談・登録・あっせんなど、誰もが活動に参加できるよう基盤整備を行うとともに、活動に関するモデル事業の実施やプログラムの開発等を行い、活動に対する社会的気運の醸成を図る。
(学校での特別活動の推進)
 児童が学級活動や児童会活動等の集団活動を通して、集団や社会の一員としての自主的、実践的な態度を身に付けるため、学校における特別活動を推進する。
(地域等での多様な活動)
 子どもが自分の興味や関心に基づいて、楽しみながら、芸術文化・伝統文化体験、読書、科学技術体験、動物とのふれあい、農林漁業体験、環境活動等の自然体験活動、スポーツ等の多様な活動を自主的に行えるよう、学校・社会教育施設や地域の青少年団体、NPO等の様々な場における諸事業を支援する。
(3)思春期
 思春期には、自分らしさを確立するために模索し、社会規範や知識・能力を習得しながら大人への移行を開始することが重要である。これを踏まえ、思春期にある若者の健全な育成のため、以下のような施策を行う。
 なお、思春期にある若者の特性を踏まえ、適切な距離を保ちつつ成長を支援することや性差に応じたきめ細かな相談・支援が行われるよう配慮するものとする。
 1)健康の確保・増進
(学校における教育・相談体制の充実)
 心の健康に関する指導、薬物乱用防止教育、発達段階に応じた性に関する指導、感染症対策、環境衛生への適切な対応、安全教育、食に関する指導等、専門家の協力も得ながら学校における健康教育の充実を図る。また、健康上の諸問題に対する取組を進めるため、スクールカウンセラーの配置の促進など健康相談体制の充実を図る。
(地域における相談、医療機関での対応)
 地域において、若者の心の健康、薬物乱用防止、性、感染症対策等に関する相談の充実を図るとともに、医療機関による対応の充実を図る。特に、性に関する健全な意識を涵養し、正しい理解の普及を図るため、価値観を共有する同世代の仲間による相談・教育活動(ピア・カウンセリング、ピア・エデュケーション)の普及、妊娠について悩んでいる若者に個別に医学的、精神的、社会的な相談援助を行う場を医療機関にモデル的に設置するなど相談体制の充実を進める。
(メディアを通じた広報啓発)
 ホームページ等様々なメディアを活用し、薬物乱用防止や食生活など思春期における健康の大切さとその確保・増進に関する適切な情報提供、広報啓発活動を推進する。
(思春期特有の課題への対応)
 10代の喫煙及び飲酒をなくし、10代の人工妊娠中絶の実施率や性感染症罹患率及び女性の思春期やせ症の発生頻度の減少を実現することを目標とし、各種の取組を推進する。
 2)学力の向上
(教育内容の充実)
 授業が分からない生徒の大幅な減少を目指し、少人数指導や習熟度別指導等の充実を図る。また、生徒に学ぶ楽しさや意義を伝え、将来の職業に対する意識を身に付けさせるなどして、学習意欲の向上を図る。
 従来おおよそ10年ごとに改訂してきた学習指導要領について、社会の変化に機動的に対応するため、学力調査や教育課程に関する実践的な研究の結果等を踏まえ、不断に見直し、改善を行う。
(全国的な学力の把握・評価)
 全国的かつ総合的な学力調査の実施により生徒の学習状況を把握するとともに、調査結果を詳細に分析し指導上の課題を明らかにする。分析結果は、広く国民一般に公表するとともに、必要な施策立案や各教育委員会、学校等において学習指導の改善を図るための参考とする。
 3)就業能力・意欲の習得
(勤労観・職業観と職業に関する知識・技能の育成)
 学校、企業、地域等の関係者の連携・協力の下、総合的な学習の時間等を活用し、職場見学、職場体験、インターンシップ(就業体験)等、職業に関する体験学習のための多様なプログラムを推進するなど、各種仕事とのふれあいの機会を充実し、若者の発達段階に応じ、組織的・系統的に勤労観・職業観と職業に関する知識・技能を育成する教育(キャリア教育)を推進する。また、国、地方の各レベルで関係者によるインターンシップ(就業体験)の連絡・推進協議会を設置するなど推進体制を強化するとともに、期間の多様化、単位認定の促進等により内容を充実し、実施の拡大を図る。
(就職支援)
 若者に対し専門的なキャリア・コンサルティング(職業選択、将来の職業生活設計等に関する専門的な相談)を行う人材を学校へ派遣するとともに、公共職業安定所等に配置し、進路指導等における活用を促進する。 
 公共職業安定所に就職支援相談員(ジョブサポーター)を配置し、学校との連携の下、就職に向けた準備から職場定着までの一貫したマンツーマンの支援体制を整備する。また、公共職業安定所と学校の連携により求人開拓を推進するほか、公共職業安定所等において高等学校の進路指導担当者を対象とした実地研修等を行う。
 仕事内容や職業能力開発、企業が求める能力要件等の職業情報を若者に提供することにより、職業意識の形成や職業生活設計に即した実践的な職業能力の形成を支援する。
 4)社会生活能力の習得
(社会や経済の仕組みについての現実的理解と知識の習得)
 労働関係法規や公的年金制度の仕組みなど広く社会や経済の仕組みについての正しい理解を促進するため、社会保険事務所や学校等が連携し、体験的、問題解決的な学習、年金教育等を促進する。
(メディアを活用する能力)
 若者が情報の有用性や役割、情報化のもたらす影響などを認識しつつ、コンピュータやインターネット等の情報手段の活用を通じて主体的に情報を取捨選択、発信できる能力(メディア・リテラシー)を身に付け、向上させるための取組を推進する。
(規範意識の醸成)
 非行防止、犯罪被害防止を支援し、若者の規範意識を醸成するため、学校において地域の人々の協力を得つつ、ボランティア活動や体験活動等を生かした道徳教育の充実を図るほか、関係機関や地域の人々との連携による非行防止教室等の取組を推進する。
(安全教育)
 若者が交通事故等の事故、災害、犯罪被害などの危険から自己及び他者の身を守る能力を養うため、学校教育や地域活動等を通じた安全教育を推進する。
(ボランティア)
 学校や地域においてボランティア活動に関する広報・啓発、相談・登録・あっせんなど、誰もが活動に参加できるよう基盤整備を行うとともに、活動に関するモデル事業の実施やプログラムの開発等を行い、活動に対する社会的気運の醸成を図る。
(学校での特別活動の推進)
 生徒が学級活動や生徒会活動等の集団活動を通して、集団や社会の一員としての自主的、実践的な態度を身に付けるため、学校における特別活動を推進する。
(体力の向上)
 若者の多様なニーズにこたえ、体力の向上を図るため、指導者の資質向上などにより、体育の授業を充実させる。また、地域のスポーツ指導者等外部指導者の活用などにより、運動部活動の充実を図る。
 地域において、若者がスポーツ等を通じて体を動かす機会を充実させるため、学校の運動場や体育館などの学校施設の開放、運動場の芝生化、公園などの活用を推進するとともに、総合型地域スポーツクラブの育成と活用、自然体験活動を推進する。
(国際交流活動)
 高校生の国際理解や国際的視野の醸成を図るため、留学情報の提供、交換留学事業等の異文化体験や国際交流の機会の提供を行う。
(地域等での多様な活動)
 集団や社会の一員としての自主的、実践的な態度を身に付けるため、若者が自分の興味や関心に基づいて、世代間交流、農林漁業体験や環境活動等の自然体験活動、スポーツ等の多様な活動が行えるよう、学校・社会教育施設、福祉施設、NPOなど地域の諸団体、企業施設等の様々な場における諸事業を支援する。
 思春期にある若者の父親・母親に対して、家庭教育に関する学習機会・情報の提供の充実や相談体制の整備を図るなど、家庭教育の支援を行う。
(4)青年期
 青年期には、親の保護から抜け出し、社会の一員として自立した生活を営み、さらに、公共へ参画し、貢献していくことが重要である。これを踏まえ、青年期にある若者の健全な育成のため、以下のような施策を行う。
 1)大学教育等の充実
(教育内容の充実)
 各大学・学部の教育理念等に応じた入学者受入方針を確立し、入学後の教育との関連を十分に踏まえ、受験生の能力、適性等の多面的な評価を行うため、選抜方法の多様化、評価尺度の多元化を推進する。
 主体的に変化に対応し、将来の課題について幅広い視野から総合的な判断ができる人材、専門的素養のある人材を育成するため、教養教育の重視、専門的な職業能力の育成など、大学における教育内容の充実に向けた取組を促進する。
 学生の主体的な学習を促し、学生の卒業時における質の確保を図る観点から、少人数教育や対話型授業などの導入、履修科目登録の上限の設定、成績評価基準を明示した上でのGPA制度の実施や退学勧告との連携など厳格な成績評価の実施、教員の授業内容・方法の改善など、教育機能の充実に向けた教育方法の改善に係る大学の取組を促進する。
 大学教育の改善に資する種々の取組のうち、特色ある優れたものを選定し、社会への広範な情報提供や支援を行う。
 平成16年度から、大学の教育研究、組織運営、施設設備などの状況について文部科学大臣の認証を受けた評価機関により定期的に評価を受ける制度を導入し、評価結果の公表により大学が社会から評価を受けるとともに、評価結果を踏まえた自己改善を図る。
(学習支援サービス)
 大学院学生を活用した、学部学生などに対する助言や実験、実習、演習などの教育補助(ティーチング・アシスタント制度)や、大学の教員が学生の授業内容等に関する質問・相談等に応じるための時間(オフィスアワー)を設けるなどの授業時間外における履修上の指導など、学生に対する学習支援サービスの充実に向けた取組を促進する。
(高度な大学教育の充実)
 高度の専門性が求められる職業を担い、国際的にも活躍できる人材を養成する専門職大学院の設置を促進する。また、高度な人材育成機能も加味した国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを目指し、国公私立大学を通じ、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援する。
(生涯学習への対応)
 生涯学習機会の充実を図るため、各大学等において、就業者等に対する特別選抜や昼夜開講制の実施、夜間大学院、通信制大学・大学院及び本校以外の場所で教育を行う教室(サテライト教室)の設置、公開講座の開設、科目等履修生制度、長期履修学生制度の活用等を促進する。また、地域の多様なニーズにこたえることのできるコミュニティカレッジ機能を果たすものとして、短期大学における地域総合科学科設置を推奨する。
(専修学校の充実)
 工業、医療、商業実務を始めとする様々な分野での実践的、専門的な学習ニーズにこたえるため、専修学校教育の課題に対する調査や、新しい教育方法等の研究開発等専修学校教育の振興に係る取組を推進する。
 2)職業能力開発・就業支援の充実
(職業的自立に向けた総合的支援)
 若者の働く意欲を喚起しつつ職業的自立を促進し、今後当面3年間で、若年失業やフリーター等の増加傾向の転換を図る。このため、公共職業安定所等において実施している多様な職業や働き方、労働関係法令等就職に必要な知識や能力を付与する機会を充実する。また、若者の職業的自立を支援する新たな仕組みとして、地域の主体的取組により、その実情に応じて若者のためのワンストップサービスセンター(関係機関の窓口一元化、関連情報の集約化による包括的な一次相談の窓口)の整備を推進する。
(学校での就職指導)
 自己の能力、適性に応じた職業を主体的に選択できるよう、職業意識の形成に係る教育(キャリア教育)の実施や、学生一人一人に応じたきめ細かな就職指導や体制の充実のほか、インターンシップ(就業体験)の推進を図る。
(職業選択の指導助言)
 公共職業安定所に就職支援相談員(ジョブサポーター)を配置し、学校との連携の下、就職に向けた準備から職場定着までの一貫したマンツーマンの支援体制を整備する。また、公共職業安定所と学校の連携により求人開拓を推進する。
 若者に対し専門的なキャリア・コンサルティング(職業選択、将来の職業生活設計等に関する専門的な相談)を行う人材を学校へ派遣するとともに、公共職業安定所等に配置し、両機関の連携の下、若者(特に、フリーター、学卒未就職者、早期離職者等)に対して、興味や適性等の自己理解や動機付け、労働市場の動向等を踏まえた職業選択の支援等を行う。また、インターンシップ(就業体験)については、産業界の協力を得つつ、期間の多様化、単位認定の促進等により内容を充実し、実施の拡大を図る。
 職業意識の形成に係る教育(キャリア教育)に関する授業科目例を全大学に紹介するなどの情報提供により、大学における学生の職業観の確立や主体的に進路を選択できる能力の育成を推進する。
(能力開発)
 地方公共団体、企業、学校等関係機関との連携の下、企業内外における若者に対する能力開発の機会を充実する。特に、企業実習と教育・職業訓練を組み合わせて実施する「実務・教育連結型人材育成システム」を導入するなど、就業にかかわる基礎的な能力や実践的な職業能力を身に付ける機会を提供する。また、若者が職業生活設計に即して更なる職業能力の開発・向上を図るため、休職して職業能力開発に専念できるよう、企業における教育訓練のための休暇制度の導入を促進する。
(就職支援)
 各都道府県に設置している学生職業総合支援センター等において、専門の相談員による職業相談、情報提供、職業紹介等を実施する。また、若者を一定期間試行雇用し、その後の常用雇用への移行を図るトライアル雇用の活用や学卒早期離職者等の通年採用の普及に向けた取組を行う。
(農林漁業への就業支援)
 農林漁業に就く意欲をもつ若者の様々な希望や能力等にこたえ、相談窓口における情報提供・職業紹介、技術習得のための実践研修、就業支援のための資金の貸付等により、農林漁業内外からの若者の就業を支援する。
(起業支援)
 若者の起業を支援するため、総合的な起業支援サービス事業を推進するとともに、産業再生・創業促進型人材の重点的育成、最低資本金制度の撤廃や平成15年度のエンジェル税制(ベンチャー企業への投資を促進するため、個人投資家による株式譲渡等にかかわる課税を優遇する特例制度)改正に伴う同制度の周知、失業者が創業した場合の費用の一部助成制度など起業促進のための制度基盤の整備を行う。
(労働市場づくり)
 能力を軸とした若年労働市場の基盤を整備するため、実践的な職業能力を評価し、公証する仕組みを整備し、若者の能力開発や自己啓発の目標づくりや企業側の採用の目安としての活用を進める。
(職場定着支援)
 若者の安易な早期離職を防止し、職業生活設計に即した職業訓練や実務経験の積み重ねによる実践的な職業能力の習得を適切に支援するため、企業の人材育成に関する取組や手法について調査研究し、成果の普及啓発を行う。
 3)生活設計・人生設計の支援
(奨学金等の充実)
 教育を受ける意欲と能力のある学生が、経済的な面で心配することなく安心して学べるよう、奨学金等の支援施策の充実に努める。
(居住の支援)
 若い世帯が自立した居住生活を営むことができるよう、公共賃貸住宅制度や融資制度の活用を図る。
(職業安定機関、社会保険機関、教育機関等の連携による情報提供)
 公共職業安定所、社会保険事務所、学校等が適切に連携し、生活設計に必要な公的制度の情報提供・相談活動等の実施を促進する。
(年金等社会保障についての情報提供・意識啓発)
 ホームページ上に社会保障に関する情報を提供し広報を行うとともに、成人式の際に年金制度に関する小冊子を新成人に配布するなど、若者に対して、年金等社会保障制度の意義・役割の周知を図る。
 4)公共への参画の促進
(公的制度に関する情報提供・意識啓発)
 インターネットのホームページ等各種広報媒体や、諸活動・諸行事等を活用した情報提供・啓発活動を通じ、選挙や税、社会保障、外交、防衛等に対する若者の関心を喚起するとともに、関係機関間の連携の下、各種の手段・方法を用いて投票参加等の呼びかけを行う。
(政策形成過程への参画促進)
 各種審議会や懇談会等における委員の公募制の活用、インターネット等を活用した意見の公募、意見聴取の対象としての青少年の積極的な登用等により、青少年の政策形成過程への参画を促進する。特に、青少年育成施策や世代間合意が不可欠である分野の施策については、青少年の意見も適切に反映されるよう、各種審議会、懇談会等の委員構成について配慮する。
(社会貢献活動)
 すべての青少年がボランティア活動に参加できるよう、学校や地域においてボランティア活動に関する広報・啓発、相談・登録・あっせんなどの基盤整備を行うとともに、活動に関するモデル事業の実施やプログラムの開発等を行い、活動に対する社会的気運の醸成を図る。
 若者が幅広い国際的視野や感覚を身に付けるため、開発途上国における協力活動の機会を提供する。また、多様な文化と共に生きていく意識を向上させ、国際的な活動や地域における社会的な活動への貢献を促進するため、若者の国際交流の機会を提供する。


5 特定の状況にある青少年に関する施策の基本的方向
 様々な事情で不利な立場に置かれている青少年や特別な支援を必要とする青少年に対し、以下のような施策を行う。
(1)障害のある青少年の支援
(障害のある青少年の支援)
 障害の予防、早期発見・早期療育を推進するとともに、身近な地域で安心して生活できるよう、在宅サービスの充実等を図る。
 障害のある青少年一人一人の必要に応じてきめ細かな支援を行うため、乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画的に教育を行う。
 地域において効果的な相談支援を行う体制を整備するための指針を平成16年度までに策定し、これを踏まえて整備を推進する。
 盲・聾(ろう)・養護学校を、地域における特別支援教育のセンター的役割を果たす学校へ転換するため、制度的な検討について平成15年度中に結論を得て、必要な措置を実施する。
(LDやADHDなどの青少年の支援)
 学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、自閉症などの発達上の課題のために、二次的に生じ得る不適応を防止するため、家庭、学校等において適切に対応できるよう、幼児健康診査等を通じた早期発見に努めるほか、保健指導手引書の普及等により適切な相談・指導の実施を推進する。
 青少年が抱える課題に応じて、適切な教育的支援を行う。また、小・中学校において教育支援を行う体制を整備するための指針を平成16年度までに策定し、これを踏まえて整備を推進する。
 我が国の状況に適したADHDの診断基準、治療方法等について、精神医学的総合評価及び臨床的実証研究を行うとともに、その研究成果の活用を推進する。
(2)ひとり親家庭等の支援
(ひとり親家庭)
 ひとり親家庭が安心して子育てと就業を両立させることができるよう、児童養護施設等において子どもを一時的に預かる事業の拡充、家庭生活支援員による支援の充実など子育てや日常生活の面での支援体制整備を進める。
 母子家庭の母が、その家庭環境、適性・能力にふさわしい職業に就き、自立した生活を送ることができるよう、各種の援護措置を講ずる。
 ひとり親家庭が養育費の確保を含め経済的に安定するよう、母子福祉資金の貸付、児童扶養手当、公的年金制度による遺族年金の支給を行うとともに、養育費に関する相談体制の強化や啓発活動を促進する。
(経済的に困難な家庭)
 福祉事務所が関係機関と連携して生活に困窮する世帯の早期発見に努め、その世帯が資産等を活用しても最低限度の生活を維持できない場合に、青少年への教育支援の観点も含め、必要な保護を行うよう、取組を促進する。
 教育を受ける意欲と能力のある学生等が、経済的な面で心配することなく安心して学べるよう、奨学金等の支援施策の充実に努める。
(養護に欠ける児童)
 保護者のいない児童や保護者から適切な監護を受けられない児童等を良い環境で養育するため、指導・支援の単位の小規模化、虐待を受けた児童に対する支援の充実など、児童養護施設等における処遇の向上を図る。また、家庭的な環境の下で養育する里親制度について、制度の普及や活用の促進を図るとともに、里親の支援体制の強化に努める。
(3)少年非行対策等社会的不適応への対応
1)少年非行対策
(少年非行対策への総合的取組)
 刑法犯少年の増加や、凶悪犯少年が高水準で推移するなど、近年の少年非行の深刻な状況を踏まえ、関係省庁が連携し、少年非行対策の充実強化を図る。このため、諸制度の在り方や体制の充実強化など、少年非行対策全般について法的問題も含めた幅広い検討を進めるとともに、警察、学校、矯正施設、保護観察所、児童自立支援施設等の関係機関の協力による少年非行事例等についての継続的な調査研究、具体的な非行防止のためのモデル開発等に基づく実証的、科学的な情報の提供など、長期的、総合的な少年非行対策に取り組む。
(非行防止、多様な活動機会・場所づくり、相談活動)
 少年の非行防止のため、非行防止教室、薬物乱用防止教室等の開催のほか、地域の人々と連携し、多様な活動の機会や場所づくりのための施策を推進する。また、相談機関において相談しやすい環境を整備し、非行少年等の保護者や様々な悩みをもつ少年に対し適切な助言、支援等を行う。さらに、生活習慣や文化の異なる来日外国人少年について、地域で適切な支援が行われるよう関係機関が連携を図る。
(補導活動)
 民間ボランティアを増やす工夫や、補導活動の権限・手続などについて、条例を含め法的明確化を図るなどにより、家庭、学校、地域社会の協力を得つつ、関係機関が連携して行う街頭補導活動を強化する。また、必要な場合には、少年に対する相談等により継続的に補導を行う。特に、薬物乱用少年の継続的な補導により、早い段階での少年の立ち直りを支援する。
(関係者の連携したサポート体制の構築)
 関係機関等が少年に関する情報を共有し、連携して対応する仕組みを構築する。特に、個々の少年の問題性に応じて関係機関等が支援のためのチーム(サポートチーム)を形成する取組の一層の推進や、「学校・警察連絡協議会」、「少年補導センター」などの既存の組織の活性化を図る。
 また、行政機関相互の情報共有やサポートチームの形成促進及び活動の活性化を図るため、必要に応じた法整備などの方策の検討を行う。
(事件の捜査・処理)
 悪質な事案に厳正に対処し、罪の意識を自覚させつつ、少年の立ち直りに配意した迅速で的確な事件捜査の推進に努める。
 所要の捜査を通じて事案の全容解明に努め、家庭裁判所に適切な判断資料を提供する。また、検察官が審判に関与すべき旨の家庭裁判所の決定に基づき、適正な事実認定のために必要な協力を行う。
 事実解明を徹底し適切な支援に結びつけるため、触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)の事案について、警察機関が必要な調査を行うことができる権限を明確化するための法整備について検討する。また、少年の人権保護と捜査上の必要性を勘案し、少年事件の公開手配の在り方について検討を行う。
 このほか、軽微な少年事件について、少年の健全な育成に資する観点から、その処理の在り方を検討する。
(施設内処遇)
 少年院、少年刑務所の体制の充実を図り、非行少年に対する矯正教育を充実させる。特に、個々の少年の問題点を把握した上で、その特性や必要性に応じた処遇計画を作成するなど、処遇の個別化を推進する。
 個々の少年の状況に応じてその立ち直りに必要な処遇を選択できるようにするという観点から、触法少年についても、早期の矯正教育が必要かつ相当と認められる場合に少年院送致の保護処分を選択できるよう、「少年院法」の改正を検討する。
 児童自立支援施設においては、児童が社会へ円滑に適応できるよう、自立の支援を目的として、専門職員の配置の充実などによる指導力の強化を図り、個々の児童の状況に応じた指導を充実させる。
(更生保護、自立支援)
 保護観察処遇が困難な少年に対して、保護観察官による直接的処遇等の各種処遇を積極的に行い保護観察の実効性を高めるとともに、少年の特性や問題性による類型ごとに効果的な処遇を実施する。また、保護観察中の少年について、その遵守事項の遵守を確保し、指導を一層効果的にするための制度的措置につき検討する。
 民間ボランティア団体などとの連携や保護司の選考方法、研修の充実方策の検討も含め、保護司を始め更生保護に協力する民間ボランティアの活動に対する積極的な総合支援策を早急に実施するとともに、少年院、児童自立支援施設を出た後に家庭に戻ることが難しい少年を支援するために、更生保護施設や自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)等の充実を図る。
(立ち直り支援)
 非行少年が地域社会で立ち直り、再び非行を犯さないようにするため、多様な活動の機会や場所づくりなど、関係機関、学校、民間協力者、地域の人々等が連携しつつ多様な立ち直りの支援を行う取組を推進する。
(処遇全般の充実・多様化)
 保護観察中の少年等の社会奉仕活動や自然体験活動等への参加を、少年の特性や地域の実情に応じて活動先や活動内容の多様化を図りつつ促進するとともに、これらの実施状況や受入施設等の活動環境の整備状況を見極めつつ、保護処分の執行の過程で社会奉仕活動を命じて行わせるような仕組みを検討する。
 個々の事案の状況に応じ、加害者の処遇の過程等において、謝罪を含め被害者との関係改善に向けた加害者の取組を支援するほか、修復的司法活動の我が国への応用の可能性について検討する。
(非行少年の家族への働きかけ)
 非行少年にかかわる関係機関等における家族関係の調整や保護者の再教育(相談、指導など)のための取組を強化するとともに、その効果を検証しつつ、保護者が働きかけに応じない場合において、実効性を確保するための介入等の仕組みの是非について検討する。
 非行少年の親等が孤立し、家族が抱える問題が深刻化することを防ぐため、非行の事実に対して向き合うための手助けを行うボランティア組織への支援を行う。
(いじめ・校内暴力対策)
 学校における規範意識を培う指導、教育相談体制の充実、小・中学校における出席停止制度の適切な運用、学校と関係機関からなるサポートチーム等の地域における支援システムづくりを推進し、いじめや暴力行為を大幅に減少させる。
 また、いじめに起因する事件や校内暴力事件の早期把握、解明に努め、事件を起こした少年に対する適切な処遇を推進し、再発防止を図る。
(非行集団対策)
 暴走族を始めとする非行集団がかかわる事件の検挙、背後の暴力団等の取締り、少年の加入阻止及び構成員の離脱支援を推進し、非行集団の弱体化、解体を図る。特に、暴走族については総合的な暴走族対策を行う。
(被害者への配慮)
 被害者への配慮を行う観点から、被害者等の求めに応じて、加害少年のプライバシー、健全育成への影響や事件の性質等を考慮しつつ、適切な情報提供に努める。
2)不登校・ひきこもり、摂食障害等
(青少年の心の問題への対応)
 不登校・ひきこもり、摂食障害、性の逸脱行為等の、学童期や思春期にある青少年に多くみられる心の問題に対応するため、専門機関等における相談を充実させる。また、関係機関の連携により問題の早期発見や個別のニーズへの適切な対応の充実を図る。
(不登校・ひきこもり対策)
 不登校への早期の対応と、ひきこもりがちな青少年やその家庭への支援などを始めとする地域ぐるみのきめ細かい対応を行うため、学校復帰の支援のための地域ネットワークの整備等を推進する。
 相談業務をより適切に実施するための指針を普及させる。
(4)青少年の被害防止・保護
(児童虐待防止対策)
 児童虐待の発生を予防するため、孤立しがちな親等への家庭教育等に関する学習機会・情報の提供や相談体制の整備など、産後間もない時期からの一般の子育て支援を充実するとともに、虐待リスクのある家庭の把握及びリスクの低減のための取組を推進する。
 児童虐待を早期に発見し対応するため、対応機関の機能の強化を図るとともに、市町村において幅広い関係機関・住民等が協力する虐待防止ネットワークの形成等を促進する。また、事件捜査、街頭補導、相談活動、通報等を通じ、予防・早期発見に努める。
 虐待を受けた青少年を保護・支援し、家族再統合や家族の養育機能の強化を図るため、状況に応じた支援と治療が可能な施設等を充実させるとともに、関係機関が連携して家族に対する長期的支援ができる体制の整備等を行い在宅支援を強化する。また、虐待を受けた青少年、虐待を行った保護者に対する治療や指導法の研究、開発・普及を進める。
(青少年の福祉を害する犯罪対策)
 青少年が、児童買春、児童ポルノに係る犯罪等の被害者となることを防ぐため、学校や関係機関を通じて青少年やその保護者を始めとする社会全体に対して、性の逸脱行為・被害の現状や諸規制について広報啓発を行うとともに、関係法令に基づき、厳格な捜査及び適切な処理を行う。
 インターネット関連事業団体や映画関係団体等に対し、青少年の福祉を害する違法行為がなされないよう、関係法令の周知徹底を図るなど必要な働きかけを行う。
 被害を受けた青少年の治療や精神的負担の軽減を図り、立ち直りを支援するため、必要な体制を整備し、専門職員等による継続的な支援活動を推進するとともに、被害少年支援ネットワークの構築など関係機関等が連携して行う取組を推進する。
(その他の犯罪対策)
 地域社会において青少年を犯罪から守るため、警察・学校関係者等の連絡協議会等を活用した情報交換、関係機関や民間団体等が連携して行うパトロール活動の推進、防犯講習の実施、青少年の緊急避難場所の確保のための支援・周知等を行う。また、学校における危機管理の手引の作成、防犯や応急手当等の訓練などを行う防犯教室の開催など、学校の安全管理のための取組を継続的に推進する。
 被害を受けた青少年や保護者に対し、専門家や民間協力者による適切な助言、関係機関等が連携して行う相談、訪問活動、環境調整等の支援を行う。
(いじめによる被害対策)
 事件捜査、相談活動等を通じ、いじめによる人権侵害の予防、早期発見及び被害の救済に努めるほか、被害少年の性格等に応じたきめ細かな継続支援を行う。
(災害・事故防止対策)
 乳幼児の不慮の事故を防止するための情報提供、青少年の水難・山岳事故を防止するための情報提供を行う。また、青少年が災害や交通事故の被害に遭わないよう、各年齢期に応じた防災教育や交通安全教育を推進する。
(5)労働市場で不利な条件下にある青少年の支援
(高校中退者、若年失業者等の就労支援等)
 高校中退者や若年失業者等の学校を離れた若者が、安定した職業生活を送り、職業能力の蓄積が行えるよう、教育・雇用・産業政策の連携の下、実務・教育連結型人材育成システムを導入して一人前の職業人への育成を図る。また、就業にかかわる基礎的な能力の習得や企業等のニーズを踏まえた実践的な職業能力開発の多様な機会を提供するとともに、フリーター等に対する実務的教育の機会の提供を行う。
 未就職者等が、就職活動から職場定着までの一貫したマンツーマンのきめ細かな就職支援が受けられる体制を整備する。また、キャリア・コンサルタント(職業選択や将来の職業生活設計等に関する相談を行う人材)による相談、情報提供等を通じて、動機付け、興味適性や労働市場の動向等を踏まえた職業選択、能力開発の支援等を行う。
 学卒即本格雇用以外に学卒後就職探索期間を経て本格雇用という就業経路の複線化に対応した就職システムの整備を進める。  
(障害者の就労支援等)
 障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、雇用率制度を柱とした施策を推進することにより青少年も含めた障害者の職業生活における自立を図る。また、身近な地域で障害に応じた職業訓練が受講できるよう能力開発施策を推進する。
(非行少年の就労支援等)
 少年院や少年刑務所における処遇の一環として、就労に対する心構えを身に付けさせ、就労意欲を喚起し、各種の資格取得を奨励する。また、出院及び出所予定者、保護観察中の無職等少年などに対して、矯正施設、保護観察所、公共職業安定所等の関係機関が連携しつつ、相談や就職に関する情報提供等の就労に向けた支援を行う。また、必要に応じ就労開始後の助言等を行う。


6 支援のための環境整備施策の基本的方向
 年齢期ごとの施策や特定の状況にある青少年に関する施策を効果的に実施する環境を整備するため、以下のような施策を行う。
(1)利用しやすいサービス体制づくり
 1)専門職の養成・確保
(医療・保健関係専門職)
 小児科医師及び産科医師の確保・育成に関する調査研究を進めるとともに、すべての研修医が、小児科を必修科目として、小児の疾患に関する基本的な診療能力について研修を行う新たな臨床研修制度の運営を行う。
 保健師、助産師を含む看護職員について、離職の防止、再就業の支援、養成力の確保、資質の向上等の人材確保対策を総合的に行う。
 コミュニケーション能力に優れ、患者中心の医療を実践できる医療人を育成するため、各大学におけるカリキュラムの充実に向けた取組を促進する。
(児童福祉に関する専門職)
 保育士などの児童福祉施設職員や児童相談所の職員について、必要な職員体制の確保に努めるとともに、研修を充実させ、専門性の向上を図る。
(教員)
 教育職員免許制度を基本としつつ、養成、採用、研修の各段階を通じた体系的な施策を充実させ、使命感、得意分野、個性をもち、現場の課題に適切に対応できる力量のある教員等を確保する。特に、平成15年度から義務付けられた10年経験者研修により、個々の教員の能力等に応じた研修の実施を促進する。
(児童思春期の心理関係専門職)
 医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者等を対象に、児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修等を行う。
 矯正施設の心理関係専門職に対する各種研修、一般外来者を対象とする実務経験を充実させ、専門性の向上を図る。
(少年補導や非行少年の処遇に関する専門職)
 少年補導職員について、職員数の確保に努めるとともに、研修を充実させ、資質向上を図る。また、少年相談等の専門家を養成する。
 法務教官に対する研修用教材を作成するなど各種研修を充実させ、指導力の向上を図る。
(キャリア・コンサルタント(職業選択や将来の職業生活設計等に関する相談を行う人材)) 
 若者に対し専門的なキャリア・コンサルティング(職業選択、将来の職業生活設計等に関する専門的な相談)を行う人材の能力要件を明確化し、養成を推進する。
 2)若年・壮年世代も含めた民間協力者の確保と研修
(民間協力者の確保と研修)
 保護司、人権擁護委員(特に、子どもの人権専門委員)、児童委員に関する広報、地方公共団体等の関係機関への働きかけを積極的に行い、幅広い世代・分野からの人材の確保を図るとともに、研修を充実させる。
 また、地方公共団体が委嘱している、母子保健推進員、少年補導(委)員等の民間協力者について、その役割の広報や幅広い世代からの人材の確保を推進するとともに、研修の充実を推進する。
 里親制度に関する広報等により人材確保を推進するとともに、里親への研修や支援体制を充実させる。
(同世代又は年齢の近い世代による相談・支援)
 青少年に対しては、同世代又は年齢の近い世代による相談・支援活動が効果的であることから、専門機関・相談機関が若い世代の民間協力者等を確保し、このような活動を実施できるよう支援する。
 3)専門機関・相談機関等の充実とネットワークづくり
(専門機関・相談機関の充実)
 医療、保健、福祉、教育、労働、非行問題等の各分野の専門機関・相談機関が地域の人々等からの信頼を得るとともに、必要に応じた良いサービスを提供できるよう、情報提供、機関の特性に応じた評価、体制の充実等を推進する。
(事案に応じた専門機関・相談機関の連携)
 子育て支援、ボランティア活動促進、就労支援、犯罪被害防止、非行対策、児童虐待対策等の各種事案に応じ、対象や設置主体が異なる多種多様な専門機関・相談機関が、必要により民間協力者や地域の人々なども含め、迅速かつ適切に連携できるよう、ネットワーク形成の促進、緊急時の対応の仕組みづくりの支援、連絡会議等の開催などの取組を行う。
(包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実)
 各種の問題・悩みについて青少年やその家族の相談に応じ、多種多様な専門機関・相談機関の中の適切な機関による支援につなげるため、地方公共団体、民間団体の協力を得て、包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実を図る。
(相互支援活動の促進)
 子育て中の親、障害のある青少年やその家族、社会的不適応の状況にある青少年やその家族などの、同じ悩みや苦しみを抱える者同士が、地域活動やNPO活動等において、経験談の紹介、情報交換、共同学習などにより相互に支援し合う取組を促進する。
(2)魅力的な学校づくり
(開かれた学校づくり)
 学校が、青少年や保護者、地域の人々からの信頼を得るとともに、教育活動その他の学校運営の改善を図っていくため、学校運営の状況に関する自己評価の実施や、評価結果を含めた情報の積極的な提供を促進することに加え、外部評価の公開を視野に入れた学校評価を促進する。また、学校運営に保護者や地域の人々の意見を反映させるため、学校評議員の設置及び活用を促進する。
(多様な教育活動と選択制の推進)
 特色ある学校づくりを目指し、学校における多様な教育活動の実施を推進するとともに、選択を可能とする教育の実現を図る。
 学校外の人材や企業等の協力を求め、授業や進路指導などへの支援・補助を得て、学校教育の活性化を図る。
 年間の授業時数が各学校の裁量で弾力的に運用できることを周知するなど、学校の創意工夫を生かした教育課程編成を推進するとともに、中央教育審議会での審議を踏まえ、必要な施策を推進する。
 小・中学校間の教育環境の変化を緩和し、一貫性のある継続的な指導を行えるよう、小学校高学年における教科担任制の拡大等の、小中連携の取組を促進する。また、中学校と高等学校に相当する6年間について、一貫した教育課程や学習環境の下で学習する機会を提供できるよう、中高一貫教育校の設置を促進する。
 地域が運営に参加する新しいタイプの公立学校(コミュニティ・スクール)について、その可能性や課題等を明らかにするための実践研究を実施し、制度整備に関する検討を行う。
 地域の実情や保護者の意向等を踏まえた通学区域の弾力的運用を促進し、青少年や保護者の選択を可能とすることなどにより、学校の個性化を図る。
 公立学校の民間への包括的な管理・運営委託について、中央教育審議会で検討する。特に、高校中退者等の教育、実務・教育連結型人材育成などの特別なニーズにこたえる等の観点から、通信制、定時制等の高等学校の公設民営方式について平成15年度中に結論を得る。
(体制・機能の充実)
 教員の能力や実績を適切に評価し、これを配置や処遇へ反映させることを促進するため、平成18年度までに、全都道府県・政令指定都市の教育委員会において、新しい教員評価システムが構築されるよう取組を促進する。また、個に応じた指導の充実を図る。
 学校における相談機能の充実を図るため、教員の資質向上を図るとともに、スクールカウンセラーの配置の促進を図る。
(安全管理の徹底)
 家庭や地域の人々、関係機関等と密接に連携した学校の安全管理のための取組を継続的に推進する。学校施設の開放に当たっても、学校における児童・生徒の安全確保が図られるよう周知徹底を行う。
(3)地域社会を支えるまちづくり・むらづくり
(地域社会意識の維持・再生・創出)
 青少年を含む地域の人々相互間の関心、連帯感をはぐくむため、住民の主体的な参加による、都市計画市町村マスタープランの策定や小学校区ごとのまちづくり、住民の生涯学習をまちづくりに生かす活動など、地域社会意識をはぐくむような活動を推進する。特に、それらの活動に大人とともに青少年も参加する機会づくりに努める。
(子育てを支援する良質な住宅・居住環境の整備)
 子育て世帯がゆとりある住宅に住めるよう、融資制度の活用や良質な世帯向け住宅の供給を促進するとともに、公営住宅等において多子世帯の優先入居制度の活用を図る。
 また、都心居住の推進や、住宅・商業・福祉・教育等の多様な用途が集積したコンパクトな都市の実現などにより職住近接を推進するとともに、住宅と保育所等の子育て支援施設の一体的整備を推進する。
(安心して外出等できる環境の整備)
 妊婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して快適に外出できるよう、道路、公園、官庁施設等の公共施設や公共交通機関、建築物、信号機等のバリアフリー化を推進する。特に、道路交通に関しては、死傷事故発生割合が高い地区として指定した「あんしん歩行エリア」において、面的かつ総合的な事故抑止対策を実施する。
 また、公共施設等において乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレの整備を推進するほか、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供等を推進する。
(青少年が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり)
 道路、公園等の公共施設や共同住宅における防犯設備の整備や構造・設備の改善を推進するとともに、窓・ドア・シャッターなどの建物部品の防犯性能向上など、安全・安心な居住環境づくりを推進する。
 また、通学路やその周辺の民家、商店等の協力による青少年の緊急避難場所の確保など、地域住民が主体となって行う地域安全活動に対する支援を行う。
(青少年や家族の活動の場の整備)
 青少年が、青少年同士や家族と共に、自然とのふれあい、集団での遊び、スポーツ・レクリエーション活動等を行える場所として、都市公園、社会体育施設、総合型地域スポーツクラブ、大規模自転車道、一定地域の広域観光案内板等の整備、学校施設の開放等を推進する。
 河川や用水路などの水辺空間、森林を、青少年の遊びの場や環境学習・自然体験の場として利用できるよう保全・整備するとともに、地域ぐるみの活動を推進する。
(4)情報・消費環境の変化への対応
 1)情報・消費環境の変化に対応した知識・能力の習得支援
(メディアを活用する能力の向上)
 青少年が情報の有用性や役割、情報化のもたらす影響などを認識しつつ、コンピュータやインターネット等の情報手段の活用を通じて主体的に情報を取捨選択、発信できる能力(メディア・リテラシー)を身に付け、向上させるための取組の推進を図る。学校においては、各種の教育活動を通じて、コンピュータ等の活用方法とともに、情報モラルを身に付けさせる。
(消費者教育)
 青少年が消費者トラブルに巻き込まれることを防止するため、青少年向け消費者教育教材、悪質商法を紹介したビデオ、パンフレットを開発・作成し、全国の高等学校、消費生活センター等に配布を行うとともに、インターネットを活用して教員等に向けた教材等の情報提供を行うためのシステム開発等を行い、青少年に対する消費者教育の充実を図る。
 2)青少年を取り巻く有害環境への対応
(各種メディア等を通じた有害情報対策)
 各種メディア等を通じた有害情報に対する関係業界団体や事業者の自主規制の徹底を促進するため、各種メディアの特性を踏まえ、青少年の健全な育成に配慮した自主的な取組を講ずるよう要請を行う。また、各企業が各種メディアを活用して広告や協賛を行うに当たっては、青少年の健全な育成に配慮をするよう、経済団体等を通じて要請を行う。
 民間団体が実施する調査等の取組を支援するとともに、保護者等に対し、関係業界が行っている自主的な取組や関係業界が設けている自主規制団体に関する情報提供を行う。
 このほか、関係法令による取締りを行うとともに、参考資料の提供等により地方公共団体の取組を促進する。
(インターネット上の違法・有害情報への対応)
 青少年が安全な情報内容をインターネット上で容易に選択することができるよう、インターネットの安全な利用・提供環境の整備を推進するとともに保護者等に対する啓発活動を推進する。
 インターネット上の暴力情報、性的情報等の違法・有害情報に対処するため、フィルタリングサービス(インターネットを活用する際に、一定の有害サイト等の閲覧を制限できる仕組み)の意義や活用方法について、ホームページ等を通じた積極的な周知を図るなどにより、その普及を促進する。また、「出会い系サイト」や「自殺」「差別」等に関連したサイトを対象とするサービスの普及について検討を行い、技術開発を支援する。さらに、携帯電話等のモバイル端末におけるフィルタリング機能の実現に向けた検討を行う。
 「出会い系サイト」の利用に起因する犯罪から児童を保護するため、新たに制定された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に基づき、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手となるよう誘引する行為等の積極的な取締りを推進するとともに、国民への広報啓発や事業者への働きかけなど児童によるインターネット異性紹介事業の利用を防止するための施策を推進する。
 インターネットを通じた児童ポルノデータやわいせつなデータの送信行為に適切に対処するための刑事実体法の整備等について検討を行う。
(風俗営業、性風俗関連特殊営業の適正化)
 風俗営業に対し、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき必要な指導を行うとともに、18歳未満の青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為に対する厳正な取締りに努める。また、性風俗関連特殊営業に関し、関連法令に違反する行為に対する積極的な取締りを行う。
(酒類・たばこの未成年者に対する販売等の防止)
 未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境をなくすため、関係業界への働きかけを強化する。また、未成年者の飲用に供することを知って酒類・たばこを販売する行為などについては、所要の捜査を行うとともに、適正な処分を行う。
(5)調査研究、青少年にもわかりやすい情報提供、広報啓発活動の推進
(調査研究)
 青少年育成施策の企画・立案、実施に際して、客観的で幅広い情報を十分に活用できるように、また、的確な事実認識を広く国民の間で共有できるようにするため、心身の状況、学力、生育環境、非行、社会的自立の状況等に関する青少年の実態と意識等について、調査研究を推進する。
 特に、経年比較などに活用される全国的な基礎調査、青少年の成長に対する各種要因の影響分析に不可欠な中長期の縦断調査の充実を図る。また、青少年の健全な育成が幅広い分野にかかわることを踏まえ、学際的な調査研究の充実を図る。
 また、実施された調査研究の結果が積極的に活用されるよう多様な方法で情報提供を行うとともに、調査データの必要な再集計、再分析が迅速かつ円滑に行えるように環境整備を図る。
(青少年にもわかりやすい情報提供)
 各種の情報が、青少年に届きやすく、かつ、分かりやすいものとなるよう、ホームページやパンフレット等により青少年向けの情報提供を行う。
(広報啓発活動)
 子育て支援、体力の向上、青少年の人権尊重、非行防止や更生、防犯など、青少年の健全な育成に関する国民の理解・協力を促進するため、強調月間などの手法により、広報啓発活動を行う。また、「児童の権利に関する条約」に関する広報啓発活動を行い、正しい知識の普及を図る。
 広報啓発活動の実施に当たっては、「3 重点課題」における「能動性を重視した青少年観への転換」や「率直に語り合える社会風土の醸成」の推進の観点が盛り込まれるよう配慮する。また、対象者に適切に情報提供できるようなメディアを活用するとともに、青少年、一般市民、青少年育成関係者、民間団体、地方公共団体など幅広い各層の参加による効果的な啓発活動を目指す。


7 推進体制等
(1)関係行政機関間の連携・協力
 本大綱に基づく施策を総合的かつ効果的に推進するため、青少年育成推進本部を中心として、内閣総理大臣のリーダーシップの下に関係行政機関相互間の緊密な連携・協力を図るとともに、施策相互間の十分な調整を図る。
 また、男女共同参画、少子化社会、障害者に関する施策など関連する分野との連携にも留意しつつ、施策を推進する。
(2)地方公共団体や青少年も含めた民間団体等との連携・協力
 家庭や学校、職場、地域など社会全般に深く関係する青少年の健全な育成への取組が、国民的な理解と広がりをもったものとなるよう、地方公共団体や青少年団体、NPO等の民間団体、企業等との連携・協力の推進を図る。連携・協力に当たっては、青少年を取り巻く身近な人々や民間団体、地方公共団体の取組をまず尊重しつつ、政府としての適切な役割を果たす。
 国民的な取組を推進するための方策の一つとして、各界各層の幅広い参加を得つつ、時代の要請にこたえた青少年の健全な育成のための国民運動が展開されるよう支援する。
 また、構造改革特別区域制度の活用により、地域の実情に応じた青少年の健全な育成のための取組を促進する。
(3)国際的な連携・協力
 1)国際機関等における取組への協力
 国連等の国際機関等における青少年についての条約や行動計画等の取組に積極的に参画するとともに、相互交流等の国際協力を推進する。
 2)情報の収集・発信
 各国の青少年育成施策の現状に関する情報の収集、提供等に努めるとともに、我が国の国内施策について、諸外国に向けた情報発信を行う。
(4)情報公開と青少年も含めた国民の意見の反映
 青少年育成施策に係る情報を公開するとともに、青少年自身も含めた国民の意見の聴取を適切に行い、青少年育成施策の企画・立案、実施に当たってその反映に努める。
(5)政策評価と影響調査
 青少年育成施策の効果について評価を行うとともに、政府の他の施策が青少年の健全な育成に及ぼす影響について調査を行い、実効性ある施策の企画・立案、実施の参考にする。
(6)大綱の見直し
 本大綱については、おおむね5年を目途に見直しを行う。



用語(注)
青少年等
青少年子どもと若者の総称(0歳からおおむね30歳未満までの者)
大人青少年期を脱した者
子ども乳幼児期(義務教育年齢に達するまで)と学童期(小学生)の者
若者思春期(中学生からおおむね18歳まで)と青年期(おおむね18歳からおおむね30歳未満まで)の者
 このほか、法令等により一部の青少年を指す用語が定められているものについて、それを使用することが適切な場合には、その用語を使用している。
デュアルシステム 
 ドイツで実施されているもので、企業等での実習と職業学校等での学習を組み合わせて行う、実践的な能力開発制度
メディア・リテラシー
 1)メディアを主体的に読み解く能力、2)メディアにアクセスし、活用する能力、3)メディアを通じてコミュニケーションを創造する能力、特に情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力が相互補完しあい、有機的に結合したもの
キャリア・コンサルティング
 労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発等を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談(キャリア・コンサルタントは、このような相談を担う人材)
GPA制度
 学生の履修した授業科目ごとの成績を5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4・3・2・1・0のようにグレード・ポイントを付与し、その累積値を総単位数で除して平均を出し、その一定水準を卒業等の要件とする制度