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裁判所における手続の迅速化に関する意見募集の結果概要


 当事務局において実施した標記の意見募集(平成14年11月27日から同年12月27日まで実施)に対しては、141件の意見が寄せられた。
 本資料は、寄せられた意見の中から、裁判所における手続の迅速化に関連する部分を引用し、主要な論点ごとに整理したものである。なお、意見内容を引用するに当たっては、誤字と思われる字を修正した上、要約し又は部分引用にとどめた。また、意見内容の整理に当たっては、一通の中に複数の意見が示されている場合にはそれぞれの意見を別個に取り上げ、その内容が同一又は同旨であると認められる意見については代表的な意見を引用した上で、「(同旨○通)」と示した。


1 迅速化一般について

(現状認識、長期化の原因等について)
○ 今の裁判は時間がかかり過ぎる(同旨3通)。
○ 訴訟のイメージは、高い、遅い、不愉快。
○ 日本の裁判は長すぎ、裁判費用と労力の無駄遣い。
○ 裁判は時間がかかり、しかも弁護士費用がとてつもなく高いというのが一般感覚。
○ 裁判に時間がかかるために訴訟が抑制されているのでないか。速やかで誠意の感じられるシステムにしてほしい。
○ 3件の裁判を経験したが、裁判は遅すぎる。民事裁判は7年もかかった末に和解したし、刑事弁護人による犯罪者の無罪への誘導は許しがたい。
○ 最高裁、裁判官は、今まで余りにも裁判の迅速化に消極的であった。
○ オウム裁判を例にとると、誰のために裁判をやっているかわからない。裁判を長引かせるための弁護のように思え、加害者を救うための裁判のようだ。被害者を救う裁判をしてほしい。
○ 準備書面のやり取りが裁判の引きのばしにつながっている。
○ 民事の裁判の期日の間隔が長すぎる上、書類のやり取りに終始している。
○ 期日を重ねるだけで実質は何も進んでいない場合があった。
○ 訴訟遅延の原因は、裁判所が争点整理に時間をかけ過ぎ、証拠の追加提出にも寛容であること、判決が長すぎ作成に時間がかかること、及び法曹関係者の馴れ合いにある。
○ 担当した刑事否認事件で審理が4年に及んだ理由は、裁判官及び検察官の転勤並びに判決書作成の遅れであった。
○ 裁判官に真実と虚偽の判断力がないから、裁判が延びる。
○ 世間知らずの裁判官がおり、話術にたけた弁護士に翻弄され混乱を来している。
○ 裁判の長期化は、制度を悪用した一部の弁護士の売名ないし営業行為によるものに見える。
○ 法曹人口の極端な少なさ、裁判所・検察庁の施設が足りない現実が問題である。
○ 訴訟を経験したが、法曹関係者の不足が訴訟遅延の原因と思う。
○ 裁判官が少ないから時間がかかる。司法試験が難しすぎる。
○ 一人の判事が抱えている事件が多すぎる。
○ 最高裁は、開廷間隔が長い主な原因は弁護士の多忙としているが、地方では、裁判所の人的・物的体制の不備こそ長期化の大きな原因である。徳島でも、事件数に比較して裁判官が少なすぎ、支部の開廷日や家裁の調停室が不足している。
○ 裁判所の部屋が足りないため期日が短期間に入れられないことがある。
○ 裁判が長期化する原因は、手続が煩雑で専門家の手を患わすことになり、その人選に時間がかかることなどにある。
○ 今の刑法は、伝統的な日本人を想定して作られており、否認黙秘する被告人がのらりくらりと時間稼ぎできるようになっている。
○ 裁判長期化の是正が必要なのは、最高裁判所ではないか。相当の期間を経過していながら当事者や代理人に何の説明もないその制度も問題ではないか。
○ 最高裁の審理の長期化も問題。
○ 上級審が卑怯な差戻し判決をするのが裁判を長引かせる原因。
○ ほとんどの一審が2年以内に終わっており、2年を超える事件にはそれぞれの原因がある。そのような理由を取り除くことが必要で、数値目標を掲げる立法事実は存しない。また、かえって審理期間の短縮により拙速の問題が生じている(同旨2通)。
○ 我が国の裁判は民事も刑事も極めて短縮されているが、審理の充実を欠き拙速化しているのが実態である。
○ 迅速化のための審理の省略が進行している。迅速化法ができると、一層陳述書裁判が増加することは間違いない。
○ 裁判が遅いというイメージを植え付けているのはマスコミが注目するような一部の事件だけであり、なぜそうした裁判が長期化しているか、原因を検討すべきである。
○ 訴訟の実態を調査分析すべき。2年を超える事件はごく例外であり、証拠量が多量であるなど、それがやむを得ない事件である。
○ 実状の正確な把握がまず必要。
○ 裁判に時間がかかっている原因は、証拠の偏在や主張・立証責任の分配などの制度的脆弱さにある。
○ 法務省がいうように弁護人の対応が刑事裁判の長期化を招いているわけではない。むしろ、取調べの可視化、必要最小限の勾留、保釈の弾力的運用、証拠開示の拡充等の制度改革が迅速化には必要。

(長期化の弊害等について)
○ 無実を争う公判が満4年を迎えるが、公判が2か月に一度しか開かれず、大切な証人が行方知れずになるなどしている。ゆっくり進められるメリットより、デメリットや危険が大きいことが分かった。
○ 裁判が長期化すると担当判事がかわり、不利になることがある。
○ 中国は死刑を迅速に行う。刑の見せしめの効果を評価すべき。忘れた頃に刑罰執行を密かにやるのでは犯罪は永久に増え続ける。
○ 判決が遅いほど、犯罪者を税金で生活させる期間が長くなる。
○ 市民にとって当事者として長期にわたる裁判にかかわることは大きな負担であり、とくに冤罪当事者にとって、刑事裁判の長期化は耐え難い苦痛をもたらし、人生を破綻させる可能性が大きい。

(迅速化を図ること、迅速化の前提条件その他について)
○ 裁判迅速化のために、裁判迅速化促進法案を早急に成立させるとともに、裁判行政そのものの改善を願いたい。
○ 裁判迅速化法を考え至ったことは喜ばしい。
○ 裁判の迅速化を是非進めてほしい。
○ 司法のスピード化に賛成。
○ 迅速化はビジョンとしては理想的。受刑後の被告人の社会復帰の在り方を再考していく上でも重要。
○ 2年以内の終局という方向性に異存はないが、公平な裁判が最も大切かつ重要。
○ 迅速化には賛成だが、裁判に対する国民の信頼保持が重要。
○ 迅速性を実現しようとすると、裁判所の前の平等、公正な審理を受ける権利、裁判の公開の原則、十分な防御の準備、すべての証人への充分な尋問の要請など迅速性の要請より上位の要請と矛盾する。迅速性のみを特化して論ずることは他のより重要な権利を犠牲にするおそれが多分にある。
○ 迅速な審理自体は誰も否定するものではないが、迅速な審理は充実した審理の結果として達成されるべきものである。
○ 担当事件の経験からして、現在第一に配慮されるべきは訴訟の迅速化ではなく訴訟の充実である。
○ 迅速化を追求する余り、適正・充実がないがしろにされないか心配。適正・充実が十分担保される内容にしてほしい。名称も裁判の適正充実及び迅速化法とすべき。裁判員の負担を軽減するためなどというお為ごかしはやめてほしい。適正な裁判のために必要な時間拘束は全く負担ではない。
○ 審理期間短縮を目指すことに反対はしないが、まずそのために必要な条件の検討を行った上、制度の整備、体制の充実についても具体的な数値目標を掲げるべき。
○ 日本の裁判は諸外国に比し十分に迅速化されており、これ以上の迅速化は必要ない。安易に迅速化を進めることはむしろ有害であり、これからは審理の充実に意を用いるべき。
○ 迅速化に反対はしないが、当事者が納得できるよう、裁判の充実を図ることが先決。
○ 国民が納得がいく裁判にするには、人的物的側面の拡充とともに証拠収集・開示手続などを整備して裁判の充実を図ることこそ急務。
○ 「2年以内に裁判を終わらせる目的の迅速化法」は迅速を追求するあまり、「裁判の充実」を犠牲にし裁判制度の目的を阻害する危険がある。
○ 迅速化を図るための条件整備には賛成だが、当事者の権利利益が不当に侵害される懸念は払拭できない。
○ 裁判は迅速で充実したものでなければならず、どんなに迅速な裁判であっても、その判断が事実に反していたり、当事者の納得が得られないようでは、裁判を受ける権利が実現したとはいえない。
○ 裁判の迅速化には賛成するが、どんなに迅速になっても納得のいかない裁判や和解ばかりになったのでは司法の信頼が失われる。検証や尋問が少なくなって、書面審理化が進むのも問題。当事者の「納得」が重要である。
○ 裁判の迅速化を図るがため、真実性が犠牲にされ、拙速裁判による誤判、上訴、再審と展開され、却って時間がかかってしまう。一審裁判において、当事者の主張、意見を直接十分に聞き、証拠調べを十二分に行うことが結果的に裁判の迅速化につながるものである。
○ 一審が迅速に終わっても、控訴審、上告審に長期間を要したのでは目的を達成したことにならない。一審で十分な審理を行うべき。
○ 拙速になってしまっては窓口に立つ職員が当事者の不満のはけ口となるだけなので、裁判を受ける人が納得する形での迅速化を図ってほしい。
○ 民事訴訟では、当事者の意向や事件の性質によっては迅速化を必要以上に求めないことが肝要。事件には、当事者が時間の経過の中であきらめて納得するのを待つべき事件もある。
○ 適正で充実した審理が迅速に行われるためには、弁護士のみならず、裁判官・検察官の大幅増員などの司法の人的・物的基盤の抜本的な拡充、証拠収集方法の拡充など、諸制度の抜本的な改革が必要(同旨2通)。
○ 裁判官や職員の増強などの制度の改善を先行させるか、少なくとも、同時並行で迅速化と制度基盤の拡大を進める必要がある。
○ 民事裁判において国民の権利・利益を実現する方策が不十分で、刑事裁判においても被告人の権利を守る手続が形骸化している状況では、「2年以内」の裁判を闇雲に目指すことは裁判の拙速化を招くだけである。実効ある裁判制度改革を行う中で、同時に裁判の早期化に取り組むべきであって、以下のような裁判制度改革が必要である(同旨7通)。

  • 提訴予告によりすべての関係文書を開示させる制度を導入し、また、事件の性質に沿って挙証責任の転換を定める。
  • 刑事裁判の問題点(密室における取調べ、調書裁判、保釈制度の形骸化、証拠開示の不十分など)を改善する。
  • 集中審理を可能とするような人的、物的な組織の拡充。
  • 最高裁判所による裁判官統制を解消。
○ 長期化の原因についてさらに研究を行い、その克服の方法について討議を重ねるべき。また、裁判の公正・適正をないがしろにして当事者の納得抜きの迅速性を求めてはならない。以下のような裁判の公正・適正を図る方策を両立させるべき。
  • 法曹人口の大幅増員。特に、裁判官、検察官の数を10年間で2倍にする。
  • 民事の証拠収集手続の整備・立証責任の転換、刑事における人質司法・自白偏重密室捜査
  • 調書裁判の解消、検察官手持ち証拠の事前全面開示などの訴訟手続の抜本改革。
○ 改革審の意見書では「審理期間の半減」とされ、これを尊重するというのが内閣の合意であったのに、突然2年以内が持ち出されて戸惑いを覚えている。国民は充実した審理を行った上で人権救済というに値する正しい判決を速く出してくれる裁判所を求めている。「充実した審理・人権救済というに値する判決」と「迅速」とは両立しがたく、これを両立させるには、以下のような幾多の前提条件を充足する必要がある。
  • 日本国憲法に忠実な裁判官・書記官等を大幅に増員すること
  • 事前・全面証拠開示制度を確立すること
  • 電子式法廷速記システムを正式に導入・充実させ、速記録が即日できるようにすること
  • 法廷の数を増やす等、物的施設を拡充すること
○ 裁判の迅速化は望むところであるが、以下のような条件が整えられることが先決である。
  • 裁判員制度を労働裁判へも適用拡充すること
  • 国連社会権規約委員会が採択した日本政府に対する最終見解の第35項(判事・検事・弁護士に対するトレーニング計画の改善)を実行するとともに、社会権規約及び自由権規約を裁判に適用すること
○ 公正な裁判が早く進むことはいいことだが、迅速になっても公正な判決が出なければ司法の信頼が失墜する。まず、次の方策を採るべき。
  • 証拠開示の徹底。
  • 調書裁判、低い保釈率等に関する刑事司法の抜本的改善。
  • 裁判官の増員等人的物的組織の拡充。
  • 最高裁による裁判官統制の解消、国民の司法参加。
○ 国民の期待は承知しており、弁護士としても、事前準備が可能な限り、今後とも、審理の早期進行に当事者として努める覚悟であるが、すべての裁判について2年以内に一審を終えることを制度として目指すのであれば、拙速裁判の弊害が生じないよう、以下のような訴訟長期化の原因を解消するための制度改革が不可欠。
  • 証拠収集手続の抜本的な拡大。
  • 刑事事件における全面的な証拠開示、捜査過程の可視化、保釈の拡大。
  • 裁判官・検察官の大幅増員、裁判所・検察庁の施設拡充と職員の増員等の司法インフラの整備。
○ 前提として、裁判所職員の大増員が絶対に必要である。
○ 社会的弱者を含む一般市民の裁判を受ける権利を拡充する方策こそが必要であり、これを欠いたまま現状の裁判の実情を前提とし、更なる迅速化を進めることは裁判の形骸化をさらに進めることになり、到底認められない。
○ 法案には反対。ほとんどの訴訟は2年以内に終わっている。むしろ、早期終結ばかりに裁判官の目が行き、十分な審理がなされなくなって、当事者の不満が募っている。拙速な裁判として司法が信頼されなくなっていることこそ解決されなければならない。
○ 国民が裁判所に期待していることは、迅速な判断とともに、その判断が納得のいくものであることである。審理を急ぐあまり十分な証拠調べをしない今の状況を更に促進する方策は採るべきではない。
○ 我が国の裁判は、民事・刑事ともほとんどの事件が2年以内に判決が出されているから、わざわざこのような法律をつくる必要はない。アメリカ、ヨーロッパの裁判と比べても遅くないと聞いている。それにもかかわらず、このような法律ができると、現在でも不十分な審理しか行われていない裁判がますます形骸化し、雑なものになることは明らかである。この法案に断固反対する。
○ ほとんどの事件は2年以内に解決されており、拙速とさえ評価されている。このうえさらに迅速化を推し進める法案の実質は「裁判拙速化法案」であって、憲法が保障する裁判を受ける権利を侵害する。
○ 民事裁判において国民の権利利益を実現する方策が不十分、刑事裁判においても代用監獄のもとでの密室の取調べ、自白の強要など被告人の権利が守られていない状況下で、2年以内の裁判を目指すことは、拙速化を招き、憲法32条が実質的に保障されない。
○ 迅速化と同時に質の保障が重要である。質の低さを放置したまま迅速化のみに走ると、真実の究明を怠った手抜き裁判が横行することが必定である。
○ 券売機のような裁判、判決にならないことを願う。
○ 迅速化が「手短」になってしまわないか心配である。さらに「手抜き」につながり、えん罪を生むようであっては困る。
○ 迅速化を図るには多くの人や金が必要となるが、そこまで急ぐ理由がどこにあるのか。結論を急いだことで、判決に思いまどう現場裁判官や弁護士が増えることの方が問題である。早めることで無罪の者が有罪になるのも問題。
○ 現在の裁判は誤判が多い。裁判の迅速化の前に、まず真実の解明がなされた実績を5年ないし10年積んで誤判をなくし、裁判所の信頼の獲得をしてからにしてほしい。
○ この法案が成立すると、客観的、公正な裁判がなされなくなる恐れがある。
○ 長期刑事裁判の共通項は冤罪である。迅速化の美名のもとに、冤罪の疑いのある事件について慎重な審理を排除することがあれば、暗黒裁判のそしりを免れない。
○ 迅速化にあたっては、冤罪及びメディアによる感情論洗脳を防止しなければならない。
○ 法案には反対。迅速化の要請は財界から出てきたものであり、市井に生きる個々人から出てきたものではない。また、証拠の偏在や主張・立証責任の分配などの制度的脆弱さこそが問題である上、法曹人口の拡大が前提課題(同旨2通)。
○ 裁判迅速化法案は、提案された経過や、具体的内容・実現のテンポも明らかでなく、次期通常国会に上程するというのは乱暴である。立法にあたっては国民、法律家、学者などの多面的な検討、議論が必要であり、必要な情報、時間、機会が与えられるべき(同旨2通)。


2 審理期間の目標について

○ 原則として2年以内に判決する努力は当然。
○ ビジネス世界では納期期限は死活問題。司法においても、期限をかっちり設定する必要がある。
○ 賛成。二審、三審も2年以内に結果が出るように検討してほしい。
○ 2年でも長すぎる。一審は1年以内に判決を行うべきであり、2審はさらに短い判決ができるはず。
○ 一審2年は長すぎる。確定判決まで1年を超えないこととする。
○ 目標が低すぎる。1年以内に一審を終わらせる気構えが必要。
○ 事件の鮮明な記憶があるうちに迅速に処理すべきで、2年でも遅い。オウムの松本は事件直後に即刻判決を聞きたい位。
○ 長くても2年以内に刑を確定させるべき。
○ 一律に2年以内というのは大雑把にすぎる。重要度別に事件を3分類し、それぞれ2年、5年、10年程度を目処に裁判所が当初の段階で処理目標期間を公表し、その期間内に終結するようにする。
○ 家事審判手続きについても、当事者の人権を侵害しないよう留意しつつ迅速化を図ってほしい。
○ 反対。司法手続にかような画一的な目標を掲げるべきでない(同旨2通)。
○ 2年という数値目標の設定には反対。
○ 2年以内という目標を法律で定めることには反対。迅速化は結果としては達成され得ても、それ自身を目標とするのは筋違い。杜撰になっては裁判制度自体が信頼されなくなる。
○ 反対。ほとんどの一審は2年以内に終了しており立法事実がない。中には2年を超える事件もあるが、裁判官や法廷、和解室等、人的・物的基盤の不十分さ、証拠収集の困難に起因しており、これらの改革なくして数値目標を導入しても拙速に陥る。
○ 長期化の原因も検討しないで、ただ2年以内という法案を作るのは拙速の極みである。
○ 数値目標を入れると、仮に努力目標であっても、裁判官はこれに事実上拘束される。「拙速」につながり、弊害が大きい(同旨2通)。
○ 事案の特殊性や個性を何ら考慮せずに画一的に「2年以内」という目標を設定することは「迅速」という結果だけを求めることになり、裁判の充実化をなおざりにした拙速な裁判をもたらす危険が極めて大きい。
○ 一審を2年以内にすると粗雑な審判になりかねない。
○ それぞれの事件の内容が違うので、一律に2年以内の判決を目標とするのは一層の裁判の混乱を招く。
○ 裁判には一つひとつの形がある。個々の事件の具体的内容を省みず、2年以内という枠に縛られるならば憲法で保障された裁判を受ける権利を侵害しかねない。
○ 個々の事件の具体的内容を省みず「2年以内」という枠に縛られるならば裁判を受ける権利を侵害しかねない。
○ 事件はそれぞれ異なるので、一律に定めることは不的確である。目安としての年数であり、担当する者の意見と理由を取り入れて調整すべきである。
○ 「2年以内」という数値の根拠がどこにあるのか分からない。事案の性質によって数値目標は変わってくるはずで、複雑な事件、重要な事件では慎重な検討のため長期化がやむない場合もある。
○ 強く反対。予め期限を決めると、裁判官は自分の当初の心証に従った結論を導くような訴訟指揮を行う危険性があり、適切な事実認定ができなくなる。複雑な事件では、時間をかけた慎重な審理が行われるのは当然。
○ 反対。@長期化原因を除去せずに、審理期間を法定するだけでは迅速化は不可能。A当事者や争点の数などを捨象して一律に2年とする期間制限に合理性がない。Bほとんどの事件は1年以内に一審が終了しており、立法化の必要は乏しい。C現在進んでいる審理の拙速化を進めることになる。
○ このような画一的な数値目標の設定は、裁判官の官僚的統制の強化につながる危険が強い。
○ 仮に2年以内という期間を設定するにしても、例外とすべき事件があることを明記すべき。さもなくば、2年を超える正当な理由がある事件に対しても、不当・不適切な訴訟指揮がなされかねない。


3 迅速化の担い手の責務について

○ 国の責務として、インフラ整備の計画を作成した上で、人的インフラ、物的設備の拡充、予算の飛躍的な拡大をまず行うべき。
○ 裁判は当事者のためにだけあるわけではない。だから、裁判の当事者や弁護士が裁判の迅速化に協力するのは当然である。
○ 裁判所だけの責任でなく、検察、弁護士も裁判の迅速化に協力すべき。
○ 当事者は、公正で充実した裁判を受ける権利を有しており、権利の濫用とならない限り、迅速化の責務を負うべき理由はない。代理人・弁護人として当事者の権利を擁護することを使命とする弁護士に責務を負わせることも、当事者の権利利益の不当な制限につながるおそれがある。いずれも反対(同旨2通)。
○ 当事者の責務を定めることには反対。当事者の攻撃防御権を抑圧する危険があり、また、迅速化の責務にとらわれた裁判所が、強権的な訴訟指揮を行使する口実とすることも危惧される。
○ 弁護士会は個々の弁護士の活動に干渉できないから、反対(同旨2通)。
○ 個々の裁判所に迅速化義務を課すと裁判の独立を侵害する(同旨2通)。
○ 裁判所、当事者、代理人、弁護人、日弁連に対し、個別事件において迅速な裁判をする責務及び2年以内に一審を終わらせる責務を課すことは、適正で充実した審理を求める当事者・被告人の「裁判を受ける権利」を害するおそれがある。
○ 当事者、代理人、弁護人、裁判所、日弁連等に、迅速化の責務を負わせることは反対。
○ 当事者には適正な裁判を受ける権利があり、責務には絶対反対。また、弁護士及び弁護士会に責務を負わせるのも国民にしわ寄せがくるのは明らかであって、言語道断。
○ 当事者に裁判所における手続ができる限り期間内に終局するように努める責務を負わせることは、当事者の裁判を受ける権利を侵害するおそれがあり、反対。


4 総合的方策の実施について(個別方策の意見を含む。)

(制度面について)
○ 二審制に変更し、代わりに1回の裁判に関わる裁判官を増やす。
○ 三審制を一審制にして徹底的に審議した方がよい。
○ 事実関係は一審で終わらせ、上級審は下級審の判断の可否だけを決定する。
○ 陪審員制を導入すれば、結果として裁判は短くなると思う。
○ 証拠もはっきりしている裁判など殺人や傷害以外の窃盗等の審理は2回くらいまでにして結審すべきである。
○ 再犯で物的証拠がはっきり出ていれば、1回目と似たような犯罪であれば、殺人、傷害を除き窃盗等は1回で結審すべき。
○ 殺人、傷害の審理を優先し裁判を進める。
○ 尋問調書作成をなくす。
○ 司法取引により、主犯を迅速に厳刑に処する道を開く。
○ 処分権主義、自由心証主義の見直し。
○ 刑法そのものも変えなければならない。黙秘が通用しないようにし、少年犯罪の親の責任を定めるなど。
○ 訴訟遅延の場合は、裁判所と訴訟当事者が責任割合により、遅延損害金を支払えばいい。それが世のビジネスというもの。
○ 裁判長の命令に反して裁判遅延行為を続ける弁護人に対しては出廷を禁止し、弁護人抜きで裁判できるようにする。
○ 適正な審理は当然だが、弁護士の職権濫用行為を防止する裁判を切望する。
○ 弁護活動を適正化し、時間稼ぎの弁護をやめさせる。
○ 弁護士の無節操な主張や時間稼ぎに何らかの罰則制度を設ける。
○ 時間稼ぎ等不適格の弁護士を資格停止とする。
○ 人権保障の観点からの審理の迅速化のためには、人質司法、調書裁判の現状の改善、証拠の事前全面開示等が必要不可欠である。
○ 全面的証拠開示などの迅速化のための基盤整備を検討し、関係法律を整備することを明確に定めてほしい。
○ 証拠開示をルール化し、公費で収集した実質的に必要な証拠を法廷に出す。
○ 検察官証拠の事前全面開示
○ 特に刑事・行政事件における、検察官・行政による迅速かつ十分な証拠開示。
○ 労働裁判での証拠の偏在を直視し、提訴予告によりすべての関係文書を開示させる制度の確立や事件の性質に沿って挙証責任の転換を定める。
○ 行政書士に弁護士法72条などの適用を排除し、本人訴訟を容易にするために訴訟書類の作成、裁判所への同行、裁判所職員と本人のやり取りの通訳的役割を担当することを認める。
○ 司法書士、行政書士等の活用。
○ 裁判官、検察官の転勤による審理遅延を防止する手立てを考えるべき。
○ 民事訴訟と行政訴訟を同じ裁判所の同じ裁判官が裁くのではなく、行政訴訟の裁判は独立した一つの機関が行うべきである。その結果、行政と裁判官の癒着を防ぐ事ができ、公正な裁判と、行政訴訟の迅速化につながる。
○ 海外在住者に送達手続を行う場合など、裁判所外の要素による手続遅延の解消についても検討していただきたい。

(体制面について)
○ 迅速化法の制定に際しては、裁判の迅速とともに、審理の充実が実現されるべく、裁判所、検察庁の人的・物的基盤の充実など司法インフラを今後10年間で倍増する責務が国にあることを規定するよう求める。
○ 集中審理ができるよう裁判官の数及び法廷の数を拡充するなど、人的物的な組織整備を行う。
○ 裁判所内部の人的・物的充実が不可欠。
○ 調停室などの物的設備の増設、裁判官の増員が必須。
○ 裁判所の数も増やす。
○ 法廷の数を増やす。
○ 判事・検事・弁護士の人数を増やす必要がある。
○ 弁護士を含め法曹関係者の増員が改革の決め手である。
○ 質が低下しないように、弁護士等の増員を実現してほしい。
○ 裁判官の数を増やす。
○ 司法試験の合格者を増やして裁判官を増やす。
○ パートタイマー判事・検事等の制度の導入
○ 裁判官、書記官等を倍増する。
○ 裁判所書記官を増やす。
○ 裁判官だけでなく一般職の大幅な増員が必要。
○ 迅速化を促進させるためには裁判官を始めとした法曹人口の増加や裁判所職員の増員が不可欠である。また、迅速化促進と公正な手続きの両面を担保する技術者としての裁判所速記官の養成再開が不可欠である。
○ 集中審理の不可欠要件として、裁判所速記官制度の維持・拡充をし、電子速記システムを導入して、リアルタイムの速記作成を実現する。
○ 裁判所速記官の養成を再開し、速記官に法廷での出来事をすべて逐語的に録取させることが肝要。殊に、裁判員制度においてはその要請が大きい(同旨2通)。
○ 裁判所速記官の養成を再開し、段階的に録音反訳方式を廃止。
○ 裁判所速記官による電子速記を採用することを切望(同旨2通)。
○ 裁判員制度導入の点では迅速な調書の作成が重要であり、速記官の養成再開と大幅な増員が必要。
○ 裁判官任官者には他の仕事を10年した社会経験が必要。
○ 簡裁判事を司法試験合格者のみにする。
○ 家裁調停委員の質の向上も必要。
○ 簡裁、区検の管轄する刑事事件を拡大し、設置数を増やす。
○ 少額訴訟の適用できる金額及び簡裁の事物管轄の金額を引き上げる。
○ 裁判官を若返らせ、50歳を超えないこととする。
○ 人員不足のようであるから、社会人陪審員制度を設ければよい。また、成績優秀な陪審員には一定の試験合格を条件にして、裁判官、弁護士への道を開くことが必要でないか。

(運用面について)
○ 裁判を迅速化させるには、裁判所職員の意識改革しかない。それとある程度の競争意識も必要である。
○ 法曹関係者の生産性をいかに向上させるかという問題提起と検証が少ない。ビジネスの世界を見習うべき。
○ スムーズに審理が遂行できるよう事前の詰めとしての日程協議を充実させる必要がある。
○ 期日指定についても、原則として1月に1回は開廷する。
○ 裁判所の次回期日指定は、当該期日から2週間以内とする。
○ 準備書面については、相手方に事前検討の猶予を与えるため、弁論期日の2週間前など、事前に期限を定めて提出させる。
○ 判決言渡期日の厳守
○ 裁判官の任期制(10年)を活用し、その間は異動しないこととする。
○ 1人の判事が抱える事件を5件以内とする。
○ 裁判官や裁判所職員の出張をほぼなくす。
○ 裁判官の宅調日を廃止し、裁判官の勤務時間制を設ける。
○ 事務の効率、省力化
○ 判例を機械的に利用できるコンピュータ・システムを作る。
○ 訴訟手続の各段階において、パソコン液晶プロジェクター、ITの有効利用を提唱。
○ IT技術を活用したり、データベースを充実させ、資料作成や証拠調べにかかる時間が短縮して、裁判官・当事者の応答を早くする。
○ 法科大学院で法廷審理の迅速化に関する研究をさせる。


5 迅速化の状況についての検証について(その他の実効性担保手段)

○ 迅速化の状況についての検証は、少なくとも「裁判の『迅速化と質』の確保の状況の検証」でなければならない。
○ 迅速化の検証を最高裁が行うことは、そのような人事評価の正当性の根拠と判断資料の収集の権限を最高裁に与えることになるなど、極めて問題が大きい。
○ 最高裁による検証には大きな危惧があり反対。裁判官は件数主義に陥り、それが粗製濫造の「一丁上がり判決」の多発を生んでいるが、最高裁にチェックさせることは、この事態をさらに悪化させるだけである。
○ 最高裁の検証は、迅速に裁判をすすめることが裁判官の評価につながることを含み、当事者の権利利益が損なわれないか危惧される。
○ 最高裁が「検証」するとなると、裁判官の「ひらめ」度が格段にアップすることは明らか(同旨2通)。
○ 検証は最高裁がやるだけでなく、国民を参加させるべき。検証結果を国民に示して国民の意見を求めるとか、検証自体を検察審査会のような国民が参加できる形のものでやるなど。
○ 最高裁による検証システムには反対。検証の実施主体は、訴訟関係者と訴訟手続を利用した市民からなる第三者機関にすべきである。
○ なぜそんなに時間がかかっているかを民間に委託して調査すべき。内部にいると現状に慣れてしまっていると思う。
○ 全事件中2年以内に終わった事件の割合を各一審裁判所毎に出し、順位を付けて全裁判所に送付し、新聞にも公表する。全国県別と県内の各裁判所別に、一審裁判の訴えの件数に対して2年以内に決着した件数のパーセントを出し、高い率のところから順位をつけたリストを作る。全国県別の成績は全国の裁判所に、県内の成績は各県の全裁判所に、それぞれ一年に一度送付し、新聞にも公表する。
○ 無能な弁護士、裁判官に制裁を加え、当事者・国民の目にさらす。正当理由なく主張・証拠提出の期限を守らない代理人については制限を加え、判決言渡し期限を守れない裁判官については、裁判所が人事上の制裁を行い、それをホームページで公開すべき。

以 上