首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 文字なし
 トップ会議等一覧司法制度改革推進本部検討会ADR検討会

ADR検討会(第14回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成15年4月7日(月)13:30〜16:25

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)青山善充(座長)、安藤敬一、木佳子、龍井葉ニ、原早苗、平山善吉
、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、横尾賢一郎、綿引万里子(敬称略)
(説明者)鈴木誠(日本弁護士連合会ADRセンター委員長)
(事務局)山崎潮事務局長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官

4 議 題
(1)日本弁護士連合会からのヒアリング(主宰者としての専門家の活用)
(2)ADR等に係る規律B(手続・組織運営等に関する規律)

5 配布資料
綿引委員提出資料
資料14−1 日本弁護士連合会説明資料
資料14−2 検討事項1−7(ADR等に係る規律B)

6 議 事

冒頭、綿引委員より、提出資料について説明が行われた。

(1)日本弁護士連合会からのヒアリング(主宰者としての専門家の活用)

 主宰者としての専門家の活用について、日本弁護士連合会より、資料14−1に沿って説明が行われた後、委員と説明者との間で、次のような質疑応答がなされた。
 (○:委員、□:座長、●:説明者)

○ 司法書士に簡裁訴訟代理権を付与したことと弁護士法第72条の緩和の問題の関連について伺いたい。また、ADRの手続に関与する弁護士は、弁護士であれば誰でもよいのか。今後ADRを拡充・活性化していくための方策についてどう考えるのか。

● 一点目については、司法書士に簡裁訴訟代理権が認められたのは司法書士法の改正であり、ADRの問題としての弁護士法第72条の緩和とは別の問題である。二点目については、弁護士は法律的な知識に関しては一定レベルにあり、新たに条件を法定する必要はないのではないか。三点目については、日弁連のADRセンターで今後検証・検討し、提言させて頂きたい。

○ 手続主宰者に対する一定の関与の態様について、ADR機関は弁護士との間で、契約関係など何らかの関係にあることを要することとし、弁護士と何ら関係のないADR機関はあり得ないということか。また、ADR機関で取り扱われる案件一つ一つについて弁護士が目を通す必要があるということか、それとも、案件ごとに助言を受ける必要があるかどうかを手続主宰者が判断することができると考えているか。さらに、司法書士が「共同」や「助言」を行うことについては考えているのか。「一定の関与」という要件は、仮にADR法という形をとったときに法律の中で明記する必要があるかどうか。

● 弁護士の一定の関与によって、悪質なADRからの利用者の保護、強行法規違反の回避ができるものと考えている。また、手続主宰者に助言を求められた場合、弁護士が応えられるような体制の整備が必要であり、関与の仕方に濃淡はあってもよいが、何らかの関与は必要であると考えている。具体的な案件についても全て問題がないかを見て、ケース・バイ・ケースで「助言」するのがよいと考えている。
 弁護士以外からの助言については、日弁連として考えていない。また、「一定の関与」について、法律の中で明記すべきと考える。

○ 資料中2の@の「法的知識等に係る専門能力」を重視することと弁護士法第72条の緩和として「助言」とすることとは、どのような関係にあるのか。また、法的解決以外の解決もあり、Bの「紛争解決に係る専門能力」が重要なのではないか。さらに、ADR機関に弁護士が「顧問」として関与する場合も認めるのか。

● ADRの拡充・活性化のために「助言」という形で72条の限界を緩和したとしても、72条の立法趣旨を大きく損ねることはない。紛争解決に係る専門能力の必要性は認識しているが、手続に関与する者は、十分に法的知識等に係る専門能力を身に付けた者が担当するべきであり、紛争解決に係る専門能力だけしか持たない者が担当するとなると問題である。紛争解決に係る専門能力など必要とされる能力をどのように身に付けるかということも含めて、現在検討しているところである。弁護士が実質的にチェックできる体制が必要であり、顧問としての関与が認められるかどうかは一概には言えない。

(2)ADR等に係る規律B(手続・組織運営等に関する規律)

 ADR等に係る規律(手続・組織運営等に関する規律)について、事務局より、資料14−2に沿って説明が行われた後、討議が行われ、以下のような意見が出された。
 (○:委員、□:座長、●:事務局)

(1.利用者の選択機会の確保に関する規律)
  [論点1]ADR機関の情報提供義務
(2.手続の公正性の確保・向上に関する規律)
  [論点2−1]ADR機関の規則等の事前説明義務
  [論点2−2]ADR機関の規則制定義務

○ 市場で不適格なADR機関が淘汰される制度が望ましく、そのためには一般的な情報開示と事前説明の二段階での規律が必要である。[論点2−1]は、[論点1]が努力義務ということであれば、事務局案のように法的な義務とする方向性に賛成である。その事前説明するべき内容について、資料では「機関規則その他の重要な事項」とあるが、私法上の義務を発生させるものであり、利用者の自己責任を問う根拠になるものでもあるため、できる限り内容を明らかにしておいた方がよい。

○ [論点1]の情報提供義務については、努力義務ということに賛成である。提供するべき内容は利用者の選択に資することが必要であり、法律に例示を入れてほしい。[論点2−1]は反対ではないが、どの段階での説明義務かが分かりにくい。実務上は利用者に対して説明を行っているが、義務とすると手続が硬くなってしまうのではないか。[論点2−2]は不要である。

○ [論点2−1]は、これを損害賠償請求の根拠とするスキームはよいが、どのような情報をどの程度開示するべきか、利用者の証明責任・立証負担の問題もあるため、もう少し詰めないといけないのではないか。[論点1]の参考法令の家庭用品品質表示法、JAS法は実際に違反していることを行政側でチェックしているが、すべてにおいてそこまで求めることは困難ではないか。[論点2−2]は意見を保留したい。

○ [論点1]は賛成。[論点2−1]は法的効果を伴う義務とする場合、法的効果の内容を検討しなければ、賛成か反対か言いづらい。仮に、民法の債務不履行や不法行為と同様の法的効果しかないのであれば、敢えて規定を設ける意味は乏しい。[論点2−2]は規則制定を義務とすると、ADRの特色である多様性を失わせるおそれがある。

○ [論点1]の情報提供義務は必要である。内容につき例示があった方がよい。[論点2−1]の事前説明義務は規定するとしても、努力義務ではないか。[論点2−2]は、実際にはやっていることであるが、機関の運用の問題であり、ADR機関の多様性を阻害することになるので不要である。

○ ADRの規律事項は可能な限りなくし、実際に、いきなりADRで紛争解決ではなく、相談から利用する場合に、利用者が必要とする程度の情報を最低限努力義務として規定すればよいのではないか。

□ [論点1]のADR機関の情報提供義務は、努力義務として規定することに反対意見はなかったが、どの程度の内容とするかは引き続き議論する。[論点2−1]のADR機関の規則等の事前説明義務については、義務を課すか課さないか、また、課すとして、努力義務とするか法的義務とするか、法的義務とした場合の義務の内容はいかなるものかという点で意見が分かれた。[論点2−2]の規則制定義務については、義務としなくてもよいという意見がやや多数であった、ということでとりまとめたい。

(3.手続の円滑な進行の確保に関する規律)
  [論点3−1]調整型ADRの手続過程で得られた情報の利用制限
  [論点3−2]調整型手続と裁断型手続における主宰者の兼任禁止

○ [論点3−1]について、事業者と消費者の間の紛争において、早期解決のため、事業者が敢えて相手方の言い分を認めることもあり、情報の利用制限は必要である。その場合、@をとるとADR手続の開始に当たって煩雑な協議が必要となり、紛争の早期解決というメリットを失うことになるので、「証拠制限契約を締結する意思表示をしたものと推定」するAを支持したい。

○ [論点3−1]の情報の利用制限に関する規定を設けることは、やや時期尚早ではないか。弁護士会の仲裁センターなどで行われる実際の調停や和解交渉では、情報の利用制限は当事者間の暗黙の了解事項となっているが、義務とまでは考えていないのではないか。[論点3−2]については、執行力を得るために調停から仲裁に切り替えるということは実際にもあり、兼任を禁止することは訴訟経済の合理性という観点からも疑問である。

○ [論点3−1]については、調停人が述べた見解の証拠能力を否定して却下することは現実的ではなく、訴訟では専門家の意見が開陳され、訴訟資料として有効な役割を果たしているのが実情である。[論点3−2]については、裁判所では、訴訟継続中の案件を民事調停に付す際に、訴訟を担当していた裁判官自らが調停主任となる自庁調停を行うことがあり、ADR法でそれが禁止されると困る。

○ [論点3−1]については、一般市民には制限されるとの認識はなく、時期尚早ではないか。[論点3−2]については、実際には調停人と仲裁人が同一であるという場合があるが、調停が上手くいかなったため別の手続での紛争解決を当事者が望んでいるにもかかわらず、同一人物が出てくるのも問題である。

○ [論点3−1]については、自らに不利な情報の利用が制限されることをデフォルトとすべきことは明らかであり、現行法制上も証拠制限契約を結ぶことは可能である。当事者が積極的に、証拠制限契約について合意を結ぶことは考えられないのでデフォルト・ルールを設けておくのがよいのではないか。UNCITRALでの議論では、[論点3−1]の規定は秘密保持のための規定として重要であるとして、異論がなかった。
 [論点3−2]については、我が国の弁護士会仲裁センターでは調停人と仲裁人が同一であるということがままあるが、当事者の一方が反対している場合には調停人であった人物が仲裁人になるということはなく、また、交代する場合には当事者に十分説明して合意を得た上で交代することとなっており、当事者の合意がない場合のデフォルト・ルールを決めておくことは実務にも合っているのではないか。[論点3−2]の一番の眼目は、利用者がADRにおいて自由に意見を述べることができるようにすることである。

○ [論点3−1][論点3−2]ともに、ADR法でデフォルト・ルールを設けることは時期尚早ではないか。[論点3−1]については、調停の場で自白を契機に調停がまとまるということがある。訴訟になった場合に撤回されることもあるが、それはそのような可能性があるものとして聞いているものであり、裁判官の自由心証主義に任せればよいのではないか。裁判上の和解における自白の取扱いを裁判官の自由心証に任せていることとの整合性も必要である。[論点3−2]については、実務では当事者の同意を取り付けながら柔軟に対応しており、敢えて法律で規定するまでもないのではないか。

○ [論点3−1]の規律の発想は、自分が提出した資料を訴訟の場に出せなくなるということではなく、相手方の主張や自白を証拠として用いることはできないという限定された意味であり、ADRの過程で行った対応が、本人の意に反して訴訟で利用されることを問題とするものである。利用者の立場に立てば、Aのようなデフォルト・ルールを設けるか、又は情報の取扱いについて当事者に選択の機会を与えることが必要ではないか。[論点3−2]については、仲裁法案で、仲裁人が和解を行うには両当事者の同意が必要とされていることとの整合性が必要である。裁判官はいつでも和解できると民事訴訟法に定められているのであり、人事訴訟法の見直しの議論は本論点とは関係しないのではないか。

□ [論点3−1]については、規定を置くべきとの意見もあったが、時期尚早であるとして反対する意見も多かった。本論点は事務局でさらに詰めた上で、さらに議論することとする。[論点3−2]については、デフォルト・ルールを置く必要があるとする意見と、必要がないとする意見があった。本論点についても、事務局でさらに詰めた上で、さらに議論することとする。

(3.手続の円滑な進行の確保に関する規律)
  [論点3−3]調整型ADRの手続進行の原則を定める規定の設定

○ 法律でデフォルト・ルールが定められていることが望ましい。論拠としては、事前の合意がない場合にその空白を埋めることができること、手続運営についてデッドロックに乗り上げることの防止、ADR機関のルールの空白を埋めることができること、規則がないADR機関における今後の規則制定のモデルとなること、ADR法における調停やあっせんの手続が一般の人にイメージしやすくなること、及び一つのモデルを作ることにより手続過程のスタンダードを示すことになることである。なお、私は、ADR全般において必要だというのではなく、調停手続に関する一般法が必要であるということである。

○ 大雑把な言い方になるかもしれないが、調停がマニュアル化してしまうことを危惧している。我が国の調停は外国に比べ成熟しており、手続進行に関する規則よりも、調停技術の能力の向上が重要であり、手続についてのデフォルト・ルールは不要ではないか。

○ 調停における自由な手続進行が阻害されるおそれがあり、[論点3−3]は不要である。

□ [論点3−3]について、入れる必要がないのではないかという意見が多数であったが、入れるという意見、別途調停法を制定するという意見もあった。本論点については、中間整理までの間にもう少し議論を続けることとしたい。

(3.手続の円滑な進行の確保に関する規律)
  [論点3−4]調整型ADRの手続進行への協力義務
(4.主宰者の資質・能力の確保・向上に関する規律)
  [論点4]ADR機関の人材育成義務
(5.手続の円滑な履行の確保に関する規律)
  [論点5]義務履行の確保義務
(6.その他の規律)
  [論点6−1]ADR機関の相互協力義務
  [論点6−2]ADR機関の国の施策への協力義務
  [論点6−3]国民の義務

○ すべての論点につき、事務局案に賛成する。[論点5]は努力義務であっても、強制力を伴うように受けとめられかねず、規定を置くことには反対である。

○ 事務局案に賛成する。特に[論点5]については規定を置くことに反対である。

○ [論点4]については、常にADR機関自らが育成しなければならないという書き振りであれば、改めていただきたい。[論点6−1]については、秘密の確保を厳格にしているADR機関もあるため、秘密が漏れるおそれがあるというニュアンスを持たないように留意されたい。

○ [論点6−3]以外は、事務局案に賛成する。[論点6−3]については、ADR法が適切かは難しいが、司法制度改革の中で国民の責任が明確化されるということがあってよいのではないか。なお[論点6−1]の相互協力義務については、ADR機関間の機能に違いがあることに留意するべきである。

○ 事務局案に賛成する。[論点6−3]については、消費者が担うのは「義務」「責務」ではなく、消費者保護基本法のように「役割」とすべきではないか。

□ [論点3−4]から[論点6−3]は事務局案に賛成する意見が多数であったが、[論点4]は賛成であるが規定の仕方については留意するべきという意見があった。また、[論点6−3]は不要とする意見と、別の規定の仕方をするべきではないかという意見があった。[論点6−1]は、賛成であるとする意見もあったが、留意するべき点についての意見もあった、ということでとりまとめたい。

(6.その他の規律)
  [論点6−4]その他
(7.相談手続への適用)

○ 相談・苦情処理が消費者の入口であるため明示しておく必要があり、[論点1][論点2]は必要である。

○ ADR法では、消費者保護基本法の見直し作業との整合性を図りながら、相談に関してどこまで盛り込むのか考える必要がある。

(3)その他

 次回は4月28日(月)午後1時30分、裁判手続との制度的連携について議論を行うことになった。

(以上)