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ADR検討会(第28回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日 時:平成16年1月29日(木)10:30 〜11:48

2 場 所:永田町合同庁舎共用第四会議室

3 出席者

(委 員)
青山善充(座長)、安藤敬一、木佳子、龍井葉二、原早苗、 廣田尚久、三木浩一、山本和彦、佐成実、平山善吉、綿引万里子(敬称略)
(関係機関)
最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会
(オブザーバー)
日本行政書士会連合会、日本司法書士会連合会、日本税理士会連合会、 日本土地家屋調査士会連合会、全国社会保険労務士会連合会、日本弁理士会
(事務局)
松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官

4 議題

裁判外紛争解決手続(ADR)に関する基本的な法制について

5 配布資料

資料28―1 「総合的なADRの制度基盤の整備」に関する検討状況

6 議事

○青山座長 それでは、時間がまいりましたので、ただいまから第28回「ADR検討会」を開会いたします。
 本日はまず年末に開催されました前回の検討会以降の状況につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。小林参事官お願いいたします。

○小林参事官 それでは、資料28−1にしたがいまして、御説明をしたいと思いますが、御説明の前に日程関係の件について、お話をしたいと思います。
 昨年の末の検討会におきましては、今年の検討会の開催につきまして、可能であれば1月中旬にも開催ということでお話しをしたというふうに記憶いたしておりますが、その後、委員の方の日程の調整をさせていただいた結果、非常にそれぞれ皆様お忙しいということで、検討会の開催には至りませんでした。日程調整につきまして、委員の方のお手を煩わせたことについてお詫びをしたいと思います。
 それでは、資料28−1に基づきまして、前回以降の状況も含め、これまでの検討状況につきまして、お話しをしてまいりたいと思います。
 資料28−1は、これまでの検討状況について簡単にまとめたものでございます。非常に簡潔にまとめた関係上、やや表現ぶりが粗いところがあるかもしれませんけれども、全体としてこれまでの検討についての状況を整理したものでございます。
 まず、1にございますこれまでの検討経緯でございますが、これは皆様十分御承知のこととは思いますけれども、ほぼ2年前になりますけれども、ADR検討会を開催して、このADRの拡充・活性化についての議論を開始したわけでございます。
 ADRにつきましては、それを設置している主体あるいは調停、仲裁などの形態、あるいは扱っている紛争分野、これらが非常に多種多様にわたっているわけでございますし、また、これまで議論の蓄積がそれほどなかったということもございまして、ここにございますように、アンケート調査やあるいは各関係機関からのヒアリングなどを交えつつ、検討を進めてきたわけでございます。
 そして、2つ目の○にございますように、昨年の夏にはそれまでの議論を整理しまして、パブリック・コメントを実施したわけでございます。この時点におきましては、勿論、それぞれ各論についてはいろいろな議論がございまして、選択肢を示すという形でお示しをしたわけでございますが、基本的な内容としては、ADRの基本理念や国、地方公共団体、あるいは機関などが担うべき役割といったものを明らかにするような基本的事項、あるいはADR機関、あるいはADRの担い手が守るべきルール、共通的なルールを設定する必要があるのではないかということで一般的事項、さらに、裁判と並ぶ紛争解決の場として十分機能し得るために、ADRについて一定の特例を設ける必要があるのではないかということで、特例的事項ということで、大きく3つの柱を立てて、それぞれの論点につきまして整理をし、パブリック・コメントを実施したわけでございます。
 そして、昨年の秋以降は、再度ADR機関を含めました関係機関からヒアリングをした上で、意見集約のための議論を継続してきたということでございます。
 以上が、これまでの検討経緯でございます。
 それでは、その結果として現在、主要な論点についてどのような検討状況になっているのかというのが2でございますが、まず、ADRの拡充・活性化に対する基本的な考え方に少なからぬ差異があるということが明らかになってきたわけでございます。そこにございますように、検討会では、時効中断効の付与など、具体的な法的措置、特例措置について議論を進めてきたわけでございますが、その過程の中で、ADRの自主性・多様性を生かしながら、その適正性・信頼性の確保をどのように図っていくのかということにつきまして、やや類型的ではございますが、2つの大きな意見があるという状況にございます。
 1つは、利用者の選択・評価を通じたADRの信頼性向上に主眼を置くべきという考え方であり、もう一つは、適正なADRであることを公的に確認する制度を設けるべきではないかという考え方でございます。それぞれいろいろなバリエーションはあると思いますけれども、大きく2つの考え方が並存しているという状況でございます。
 また、パブリック・コメントにおきましても、それぞれテーマによって濃淡はございますけれども、やはり基本的にはこの検討会と同じような意見が両論として並存しているという状況でございます。
 そういった基本的な考え方の差異というものを反映しまして、具体的な措置につきましても、意見が分かれているという状況でございます。
 2つ目の○にございますように、例えば、時効中断効の付与につきましては、これは昨年末まで議論したわけでございますが、事前確認制度の採用を前提とする案と、それから前提としない案、この前提としない案につきましても、催告の特別タイプとして位置づけるというような考え方、年末の議論でいきますと、B案、B´案というのがございますし、また、廣田委員からも別の御意見をいただいているところでございます。そういった案が並存しているという状況でございます。
 また、もう一つの大きなテーマでございます、専門家の活用に関する具体案につきましても、主宰者の活用について、何らかの形で弁護士が関与するという場合には、弁護士法72条の適用を除外するというような基本的な考え方ではおおむね一致をしているかと思いますが、これについてなお、事前確認制度を採用する必要があるかどうかということにつきましては、両論があるという状況でございます。
 また、もう一つの専門家を活用する場面でございます代理人としての活用につきましては、特にニーズが高いと思われます隣接法律専門職種につきまして、専門分野の紛争におけるニーズ等を踏まえ、引き続き個別的な検討を継続して、個別法において手当てすることを検討するというような方向で進んできたわけでございますが、主宰についての議論が終了していないという状況もございまして、具体的な結論を得るにはまだなお時間を要するという状況にあるわけでございます。
 こういった検討会での検討と並行いたしまして、政府部内におきましても、このADRの拡充・活性化についていろいろな議論、検討、調整を行ってきたわけでございますが、その検討の中におきましても、できるだけ幅広いADRを法的措置の対象として考えていくということにつきましては、なかなか難しい面があるのではないかという指摘がなされております。
 1つは、法制的な問題といたしまして、対象となるADRを幅広く取れば取るほど、その幅広いADRについてだけなぜそういった措置を講じられるのかという他の制度との整合性の問題がより大きくなるということになります。
 また、その幅広いADRを対象にしていくということになりますと、現実問題としての弊害のおそれというものも完全には否定できないという問題もございます。こういった面からの指摘がなされているという状況でございます。
 こういったような状況を踏まえますと、現在、直ちに具体的な措置につきまして、制度設計ができるという状況にはないというのが現在の状況ではないかということでございます。
 また、年末までかなりいろいろなバリエーションの案も含めまして、議論を進めてきたわけでございますが、これまでのような議論の単純な延長では、なかなか具体的な制度設計というのが難しいのではないかというように考えております。
 そこで、ここからがお願いと申しますか、御提案になっていくわけでございますけれども、ADR検討会におきましては、これまでの2年間にわたる議論の蓄積というものは十分踏まえていきたいというふうには考えておりますが、昨年までの検討よりはもう少し全体の枠組みについての選択肢を広げまして、非常に期間も長きにわたっておりまして、恐縮ではございますが、もう少し時間をかけて検討をお願いできないだろうかというふうに考えている次第でございます。
 以上、現在までの経緯、現状ということでお話しを申し上げました。
 以上でございます。

○青山座長 ありがとうございました。小林参事官の方から非常に淡々と御説明されたことでございますけれども、多少繰り返しになりますが、私自身の気持ちを込めて、従来の経緯を振り返って少し発言させていただきたいと思います。
 今の御説明の結論は、要するに、ADRの枠組みについて、今までの検討よりももう少し選択肢を広げて、時間をかけて検討しようとすることを御了承いただきたいというのが今の結論でございますが、その理由はおそらく2つあると思うのです。
 まず第1は、本検討会における意見が非常に基本的な事項につきまして、まだかなり幅があると。それからパブリック・コメントの結果でも、右から左まで大きく意見の幅があるということが第1点でございます。
 これからは私の個人的な発言でございますけれども、私はこの司法制度改革推進本部の検討会では、御存じのように仲裁検討会の座長とADR検討会の座長を引き受けさせていただいたわけでありますけれども、仲裁の方は、積み重ねもありまして、1年でできるということで、それでやってほしいということで、私もそれでは仲裁の方は1年で、こちらの方は2年でということでお引き受けしたような経緯がありますが、仲裁の方は積み重ねもありまして、検討会の回数としては13回で法律ができたわけです。その段階で、私は、それならばこのADRの検討会も2年ということであれば、24〜25回の検討を進めれば何とか基本法なり何なりの形になって事務局に我々の使命をこの通りで終わりましたという形で御報告できると、平成15年の暮れくらいまでには何とかなると。16年に1回検討会を開いても、それはこういうことになりましたということで終わるのではないかという希望的な観測を持っておりました。
 ところが、この今言ったような事情でこの検討の中の意見の集約がまだ十分できていない。パブリック・コメントにも意見の幅があるということで、これをどういう形で切り開いていくかということをいろいろ考えまして、例えば同じ検討会の中でも裁判員制度を検討している部会では、これは前回もちょっとお話ししましたけれども、座長試案というものを出して、しかし、検討会の中ではあとは政治の世界に丸投げでもないのですけれども、政治の世界で決着をしてくれということで考え方をすべて示すという行き方もないわけではなかった。しかし、ADRはここで座長の試案を示して、どこかで決着することがあるかというと、そうではなくて、ここで決着せざるを得ない。ADRはまだそれほど政治的なイシューになっているわけではないということで、ここで最後まで責任を持って基本法なら基本法の法律案、要綱案を作る責任があるだろうと考えました。
 もう一つの方法は、例えばある時期まで来たら、これは民主主義の大原則ですから、ここで多数決を取るということも十分考えられた。私もそういうふうに考えたことがあります。ここは最後は多数決で決めようと。それも正道ですから、平山委員が前回おっしゃったのも、そういうことだと思うのです。私も多数決で決着するという考え方、いやもう少し意見の集約を待とうという2つの考え方といつも自分の中で葛藤していたわけでございます。
 しかし、考えてみますと、このADRという問題は、我が国に新しい制度として初めて導入するときに、90%くらいまで意見がまとまっているときに、あと10%を切り捨てる形で多数決でやるというのがどうだろうか。古い全員一致方式というのは、古い決定方式だということは私も重々承知しておりますけれども、新しい制度を発足させるためには、反対の意見の方も、これならば自分は反対だけれども、しかし、自分としては仕方がない。今回はこれで次の改正を待とうという、そういう程度のコンセンサスは得た上でしたいということで、私も座長としての強権の発動に誘惑にいつも駆られながら、いや待て、いや待てということで来たというのが実情でございます。
 それから、もう一つの原因は、この検討会やパブリック・コメントの中が十分まとまらなかったというだけではなくて、むしろ関係方面、あるいは社会一般にまだADRについてのある姿を出した場合に、それに受け入れる素地が十分できていない。それが関係方面の間に様々な法的な問題の指摘だとか、弊害を心配する御意見があることが原因であったのだろうと思います。
 経営側も労働側も消費者側も、ADRに対して一方では夢を持ちながら、しかし、他方ではまだ姿が十分わからないというものに対して非常に警戒心を持つ、これは当然のことですけれども、私としては、ある制度が日本社会なら日本社会に定着している段階を考えてみますと、まず制度が一般的によくわかるというのが第1段階。
 第2段階は、それについて共鳴、共感するというのが第2段階。
 その次は、ではそれを使ってみよう、利用してみようという第3段階。
 更にはそれに参加しようという第4段階。
 そういうことで制度は定着していると思いますが、今のこのADRは、そういうところから見ますと、まだ理解するという第1段階が日本社会全体にも、あるいは関係省庁の間にも、それから関係団体の間にも、十分理解が深まっていない。こういう段階で、この11人だけで政治的な決断をして、果たして今の段階でいいのかという疑問に駆られまして、今、事務局が言われましたように、従来の選択肢よりもちょっと広げて、もう少し時間をかけて検討していきたいというように思った次第です。
 そういたしますと、そのことは結局、当初私の頭の中には、内閣提出法案として2月上旬、中旬、3月上旬、いろいろありますが、その段階に法案を一緒に盛り込んでもらって、国会に上程するというスケジュールで今まで私は動いてきたのですが、その2月上旬、中旬という時期にこれを出すというのは断念せざるを得ない。今国会、6月末までありますから、もう少し時間をかけて検討をさせていただきたいというふうに思った次第でございます。
 私が今申しましたような考え、意見を前提として、各委員のお考えを聞かせていただきたいと思います。そういうことでよろしいかどうかということを含めて、お聞かせいただきたいと思います。この間、昨年の最後の検討会から今日に至る間に、事務局と私は何度も打合わせをいたしまして、その間、事務局には個別的に各委員に御説明をさせていただいていると思います。そういうことも含めて、今後、そういうことで進ませていただいていいかということを御発言いただきたいと思います。
 どなたからでもよろしゅうございますので、少しお考えを聞かしていただきたいと思います。

○龍井委員 まず結論を先に申し上げますと、この間の事務局の御努力、それから今お話のあった座長の、私は、英断だと思いますが、敬意を表して評価したいと思っております。このことが決して我々、参加した一員として、何か努力不足であったり、あるいは法案の日程が先にあって、何か間に合わなかったということが映るとしたら、ちょっとこれは残念なことで、そうではなくて、それだけの課題であるということを再認識したということで、是非そこは事務局の方も自信を持っていただきたいと私は思っております。
 その上で、更に選択肢を広げて継続というときの、重要なのはそこの入口の問題の出し方と、視点の共有だと思っております。
 そのときに2点目は、苦言的な話になるのですが、今日お示しをいただいたペーパー、確かに経過ペーパーでございますので、A4のペーパーが1枚というのはわからないのではないのですが、主要な論点に関する検討状況、しかも拡充・活性化に関する基本的考え方という割には論点があまりにも部分的に収斂され過ぎているのではないか。
 基本的な考え方というところでは、皆様これは共有できる論点だと思いますので、本当に基本論の入口で議論してきたような司法制度改革の中でのADRの位置づけ、役割の重要性であるとか、今、座長で4つの段階でお示しになったような、最後は担い手の育成に至るまで信頼性をどう高めるかといったそちらの論点が、私はそれがまた後段の、次回以降の議論につながっていくと思いますので、是非ここは粗々と御指摘になったように、項目だけでも付加をしていただいて、次につながるような整理は是非お願いしたいと思っております。基本的には全面的に賛成したいと思います。

○青山座長 どうもありがとうございました。どうぞ。

○綿引委員 今の状況で継続というのはやむを得ないというところは了解いたしました。ただ、選択肢を広げるという茫漠とした形でこの先の議論をお進めいただくことには、私は強く反対いたします。これから何を議論しなければいけないのかということを共通認識とできるような枠組みを作っていただきたいと思います。
 昨年来の事務局からの御説明を承っていますと、特に政府部内で法制的にみて、どういうところが問題になっているかという点についての説明を伺ってまいりますと、どうも事前認定制度を入れずに法的効果を付与するという枠組みについて、なかなか法制的な了解を得られないというところに本質的な問題があるのではないかと私は理解しました。
 もしそうであるならば、この段階で法的効果を付与するための法制を目指すのか。その場合には、事前認定制度を入れざるを得ないとすれば、どういう事前認定制度を入れるのか。もし、今、事前認定制度を入れてまで法的効果を付与するのは適切ではないとした場合には、今までここで皆さんの共通の同意が得られていたADRを活性化していこうという方向性ですとか、担い手を育成していこうという方向性ですとか、そういう基本法的な部分だけ取りあえずこの段階では法案として上程する方向にするのか。おそらくその2つの選択肢のいずれかになるのではないかと私は思います。もしそういう仕切りでよろしいのであれば、その辺を明確にしていただいた上で、ここでの議論をしてみてはどうかという気がしております。
 もう一回整理して申し上げます。基本法的な部分だけで立法の方向を目指すのか。法的効果の付与まで考えるのか。法的効果の付与を目指す場合には、どうも法制的に事前認定制度の採用というのが避けられないように伺いますので、その事前認定制度ということを入れてまで法的効果を付与することを今回目指すのか、もし、そうだとすればどういう事前認定制度にするのか、これらの論点に絞って議論してはどうかと思います。
 ここで議論して、後に生きる議論はどこなのかというところをきちっと枠組みを決めていただいて、議論させていただきたい。ただ選択肢を広げるという漠とした形での議論の続行にはならないように事務局に御努力いただきたいとお願いしたいと思います。
 以上です。

○青山座長 ほかにいかがでしょうか。

○廣田委員 先程座長が言われた第4段階というのはどういうことでしたか。

○青山座長 第1段階が、非常に理解できる。第2段階が共感をする。第3段階が利用する。更にそういう制度に自分たちも参加をする。

○廣田委員 よろしいでしょうか。私は現状認識について、今おっしゃったことも含めて、座長が言われたことはそうではないかなという感じがするのです。しかし、選択肢を広げるということの意味はどういうことかと思うのですけれども、私はどちらかというと、ずっとADRをやっていましたから、個人的には第4段階のところから論じていたことが多いのです。ただ、実際に客観的に見れば世間一般が第4段階までいっているかというと、決してそうではなくて、座長がおっしゃっているとおり、第1段階でさえ固まっていないという部分は否定できないと思います。
 そういう認識に立ってみますと、ここで議論していることは、パブリック・コメントも同じなのですが、ADRについての現状認識が非常に違います。
 それから、関わり方が違うということからも来るのでしょうけれども、将来に対する読みが違う。将来ADRがどうなるのかという読みが違うのです。その両方の違いのまま議論していますから、どこまでいっても平行線だというところが出てくるのです。将来の読みに関して言えば、これを普通にやっていれば健全に発展するだろうということと、非常な弊害が出てくるだろうというところの読みがかなり違うのです。そうしますと、一つひとつの各論に入って、その線から意見の違いが出てくるということです。
 例えば私は、第4段階からものを見ると将来のこともそれほど大きな心配をしなくても、時効中断効は端的に決めることができると思っていまして、そういう方向で全体の意見がまとまればいいなと思っていたのですが、そうではなくて、事前確認制度とか催告延長とかいう案が出てきますと、私の認識とか将来の読みから見ると、一体これはどういうことなのだろうかということで、大変な違和感があるということなのです。
 そういう観点からすると、私は時効中断くらいは欲しいなという気持は持っているのです。
 ここから先は私の口からは余り言いたくないのですが、確かに選択肢を広げるという中に、今、綿引委員がおっしゃったように、法的効果も諦めてしまえということになれば、それ自体が1つの選択肢になるわけですね。そういう意味で広げるということは私はあり得る方法かなと考えますが、そうなったときにはむしろ第4段階のところはほとんど見ないで、第1段階をいかにしてしっかり固めるかということになります。
 つまり、この法律によってどれだけADRというものはいいものですよとか、拡充・活性化が必要ですよということを国民の皆様にわかってもらうという選択肢もあると思います。私は事前確認制度だとか、催告延長だとか、実際に当事者が使いにくいもの、制度として運用しにくいものを、この際、中途半端に入れるということはいかがなものかという気持ちがありますので、綿引委員からもう一歩先に私が具体的に言うとすれば、そのこと自体を選択肢に入れる。そうすると、前向きに非常に明るい感じの法律ができるのではないか。それで国民の皆様に向けて、まず第1段階を今回の法律でやってしまう。それから第2、第3は次に期すと考える方法もあるのではないかと思います。ここまで来てこれだけ意見が、例えば時効中断などはいろんな意見が出て、これは仮に皆様の意見を一つずつ言ったらそれこそばらばらになってしまって、とてもまとまらないと思うのです。私が見れば時効中断効くらいは端的にきちんと決めたいと思っていまして、非常に残念なことだと思うのですけれども、ここをあまり固執すると先が見えないということになると思います。
 そういう意味では座長が言われたこと、あるいは事務局がお考えになったことの方向づけに関しては、私はあり得る、大らかな方向づけとしてはあってもいいと思います。

○青山座長 ほかにいがでしょうか。

○安藤委員 私も今、廣田委員の形で大賛成というようなふうに思っております。私の場合は相談、紹介、代理、この辺のところが十分に議論が尽くされていないかなと。法的効果を与えずにどこまでできるのだろうというのがまず第一番にやってみなければいけないことではないか。そうしたら、法的効果を与えるのが必要かどうかというのは後の問題になってくるわけです。いきなり法的効果の方へ、ずずずっと行ってしまったもので、ADRがちまちましたものになりかけているのではないか。もう一回スタートに戻ってやっていただければ、私が申し上げたような村道、町道、市道、公道、こういったところのものをもう一回見直す形でもって、ADRが緩やかにどういうふうにできるのか。しかも、普及が一番大事ではないかなと感じていますので、その辺りからもう一回見直しをする。
 法的効果を与えないという立場でどこまでできるのだろうというのを第一番にやっていったらどうかなと思っております。

○青山座長 どうもありがとうございました。ほかにいかかでしょうか。

○原委員 大変、この2年間、委員の皆様も事務局の方も大変な努力でお疲れ様でしたというふうに言いたいと思います。私自身はとても反省をするところがありまして、もう少し議論を消費者、利用者、そういったところに広げて、こことのコミュニケーションをもっと図ってみるべきではなかったということを感じております。今日の結論というのは、昨年の秋くらいから私自身としては感じておりまして、それがタイムリミットで間に合うのかどうかというところはわかりかねてはいたのですけれども、去年の12月の段階でおそらく今国会へ持っていくことは大変難しい。袋小路の議論に入っているというふうには感じておりまして、そこをですね、見切り発車的ではなくて議論を充実させる方向で少し検討期間を延ばされたという今日の結論は大変尊重したいというふうに思っております。
 これからの議論なのですけれども、私も整理の仕方としては、綿引委員がおっしゃられたとおりだというふうに思っておりまして、ただ、漠然と選択肢を広げるということではなくて、論点ははっきりしているというふうに思っております。
 ですから、法的効果の付与というものをどう扱うかということです。その法的効果の付与を与えるのであれば、どういう事前確認とのセットにするのかということ。それとも、法的効果の付与を外すとして、基本法的部分を充実していくのかという、ここの議論を十分してみることだと思っております。
 たとえ法的効果付与の方になっても、基本法的な部分の充実というのは、これは当然やらなればいけないことなので、この議論は春以降充実をさせていくべきだと思います。
 肝心な法的効果の付与の部分なのですが、やはりこれは消費者、利用者側から聞くと、自分たちが利用したいと思っているADRの中のごく一部のことに過ぎないという判断があって、この議論が出てたときに、すごく固まってしまったというようなところがあって、ADRというのはそんなにシビアなところなのかというところがあって、先ほど警戒心とか懸念とかという御発言もあったのですけれども、やはりそういう固まってしまったというところがあるのではないかというふうに思っておりまして、私自身は一度法的効果付与の話を離れて基本法充実というところでの議論をやっていくべきではないかという。私個人はそのように考えております。
 それは私の周囲におります消費者側の雰囲気もそのようなところにあるのではないかなというふうに思っております。
 私自身としては、ここの会議が始まる冒頭に、かなり消費者センターにたくさんのトラブルが寄せられている。これは去年の年度で80万件ですが、おそらくこの年度の終わりには100 万件を突破するだろうと思われていて、これは各地の消費者センターに寄せられるトラブルは全体の数%に過ぎないという状況にあるですので、ニーズというか、裁判によらないで紛争解決をしたいというニーズは非常に多くあると思っておりますし、それからパブリック・コメントでもあれほどたくさんの、ともかく本にできるほどの厚みがある意見が寄せられるということは、大変関心も深いと思っておりますので、是非これからの充実した議論というものを、ここで何と言うのでしょうか、議論を冷まさせるのではなくて、ここから何か議論を充実させていくという方向で、この会の結論を発表していただけたらと思っております。

○青山座長 ありがどうございます。ほかにいかがでしょうか。

○山本委員 私自身も結論的には先ほど事務局がお示しになった方向というのはやむを得ないことであろうというふうに思います。最初に龍井委員が言われたことでありますけれども、座長もお話しになったところでありますけれども、従来のADRについての議論の状況、特に制度整備という観点からの議論の状況、この検討会が始まる前の状況にかんがみれば、この2年間の議論で相当程度議論が深まってきたことは間違いないとは思いますけれども、なお、まだ現段階においては、検討会としての成案が出せないというのはやむを得ないところであり、そしてまた私自身は研究者として、従来の研究が必ずしも十分でなかったし、また、この検討会での議論においても、十分理論的な検討を深めることができなかったということについては反省しておるところでありまして、私自身も責任を感じながら、このような結論はやむを得ないものと思っております。
 今後の議論の進め方につきましては、先ほど綿引委員がおっしゃったような整理というのは、1つの整理として十分あり得るところであろうと思っております。
 ただ、その2つ、二分法と言いますか、法的効果を付与するについて、必ず事前認定制度を採らなければいけないかどうかということは、これはまだなお検討してみる余地はあるのではないか。そういう意味ではなお選択肢を広げるということになお若干の多様な意味を含ませて考えていくべきではなかろうかと思っております。
 その法的効果がない、純粋な基本法部分だけで法律を構成するということに選択肢、これはその選択肢としてあるということは私も十分理解するところでありますし、何人かの委員が言われたように、それは現段階ではそういう方向を採るべきではないということは十分理解できます。
 ただ少なくとも現段階におきましては、私自身は司法制度改革審議会の意見書で提示され、そこでの方針というのが我々の検討会に対する付託の趣旨であるというふうに私は理解しておりますけれども、やはりそこでは時効中断とか執行力というのは例示として掲げられておりますし、裁判制度との連携の強化というような、やはり、そこで審議会が念頭に置かれていたものは、そういう具体的なもの、法的な一定な効力を含むものとしての基盤整備ということをイメージされていたのではないかというふうに思います。であるからこそ、この検討会でも当初からその点を1つの中心として議論を行ってきたのだろうと思っておりますので、その点が最終的に成案が得られるかどうかはともかくとして、やはり成案を得るべく努力を続けていくというのは、少なくとも時間が残されている限りは、我々の検討会の任務であるというふうに思っております。
 それから、果たして現実的な選択肢として、法的効果がないような法律を作れるのだろうかということについて、理論的にと言いますか、やや疑問を持っております。勿論、法的効果がない法律、いわゆる基本法と言われているものがあることは私も承知をしておりますが、公害対策とか消費者保護でありますとか、知的財産とか、要するにそれは国家の基本政策にかかわるようなものについて、勿論、そういうことはあり得るのだろうと思うわけですが、先ほど座長もお話しになりましたが、果たしてADRというのがそれほどのものとして国民から理解されているものであるのかどうかということについては、やや私は疑問を持っておりまして、そういう問題について基本的な精神だけを述べるような形での法律というのが現実問題として成立し得るのかどうか。これは事務局等も法制的な観点で是非御検討をお願いしたいところでありますけれども、理論的な観点からすると、やや疑問な部分も残るわけでございまして、そうしますと、二分法でいったときに、検討会としてはそういう基本法的な部分だけで法律を作るのだということを打ち上げて、しかし、結局できませんでしたということになると、結局、この検討会で制度基盤の整備を議論しながら、残る形としては何もできないということにもなりかねないのではなかろうかということを、これは私はかなり強く懸念をしております。
 そういうようなこともありまして、勿論、最終的なところで検討会の意見がまとまるかどうかということはわかりませんが、少なくとも私は現段階においては、先程申し上げたような意味で選択肢を広げて、法的効果の問題も含めてなお議論をし、意見集約の努力を続けていくべきであろうと思っております。
 以上です。

○綿引委員 今、山本委員が言われたことについてなのですが、私も法制的に成立しないということをここで議論しても仕方がないというのは全く同感なのです。ですから、基本法部分だけで本当に法案になり得るのかということについては、そこはやはり事務局が、ここでの議論が無駄にならないためにも、そういう法案があり得るのかというところは、きちっとハンドリングしていただく必要があろうかと思います。
 一方で、私が先ほど二分法を申し上げたのは、今の議論状況から見ると、事前認定制度を入れないで法的効果を付与するという方向について、昨年秋から末までかなりここでも議論をし、何とかそういう道がないかという隘路を探ってきたのだけれども、それがなかなか共通の認識に至らないという状況に今陥ってしまっているのではないか。特に法制的な部分で事前認定制度を入れずに法的効果を付与しようという方向性がなかなか難しいという状況に客観的に立ち至っているのであれば、そうだという認識の下で議論はしなければいけないのではないかということを一番最初に申し上げたつもりなのです。山本委員が言われるように、その隘路が実は成案に結び付くのならいいのだけれども、どうも先程の事務局の御説明というのは、秋口から暮れまでの議論の結果、何とか成案を得よう、法的効果を付与する方向で、何とか成案を得ようとしたけれども、そこは何とも突破できない状況に立ち返っているということだと思います。原委員が先ほど袋小路と言われたのですけれども、袋小路に陥っているという状況になっているとすれば、そこはもう事前認定制度を入れるのが駄目なら、法的効果は諦めてもやむを得ないという議論の仕方、これがいいかどうかという議論は勿論しなくてはいけないのですけれども、そういうような枠組みを作りながら、一つ一つ固めていかないと、議論が先に進まないではないかという気がしているということなのです。

○原委員 細かいのですけれども、1点だけ確認をさせていただきたいのですけれども、お二人の議論を聞いていてなのですけれども、事前確認ではない形でのやり方というのを、いろいろ事務局は工夫して出されてきましたね。要件を立てられたというところなのですけれども、その要件を立てたところで、これは書面化しないとか、罰則を入れないとなると、そういうような要件であると、裁判所に持っていった場合、裁判所だってその要件では判断ができないと私は感じて、非常に罰則も反対だと、書面も反対だという要件の立て方になると非常にふらふらしている。それだと裁判所でも要件としては認められないというふうになってしまうから、これはアウトだなというふうに感じて非常に袋小路に入ってしまったという印象を一番最後の回には持ってしまったということなのです。
 だから、山本委員がおっしゃるように、もっと探りたいということであれば提案を持って来ていただきたいと。

○山本委員 私自身はこの検討会で繰り返し自分の意見を申し述べてきましたように、基本的に私自身は事前確認制度というものに賛成であって、やはり事前確認制度を採らなければ難しいのではないかということをずっと申し上げてきました。
 先ほど申し上げたのは、勿論、事務局が大変努力されて、あるいは三木委員、廣田委員等の御提案もあって、かなりの程度事前確認によらない制度を詰められた部分があって、私はそこに至ったところというのは、事前確認制度の側からも相互に近づいてきているのではなかったなという印象を持っておりまして、事前確認というものの具体的な組立て方も、ほとんど議論されていなかったわけなので、事前確認と言われているものの中身をいろいろあれしていくと、従来イメージされていた事前確認とは違ったようなものもできないだろうかという、何かそういうような、もう少し幅広く、従来の事前確認という、これも委員の間でイメージが食い違っているかもしれませんが、もう少し柔らかいようなものが何かできないだろうかなという選択肢もあり得るのかというようなことも含めて、もう少し広い選択肢ということを申し上げたわけですが、具体的な提案と言われると困るのですか。

○綿引委員 最初に申し上げたかったのも、事前確認制度を入れて法的効果を取り込むという枠組をもし採るとしたら、どういう事前認定制度があるのかという議論の仕方はあるだろうと私も申し上げたつもりです。ただ、事前認定制度は一切駄目だけれど、一定の法的効果を取り込もうという議論は、もう捨てなければいけないところに来ているのではないか。山本委員言われたように事前認定において活動内容に踏み込まないような認定の方法がないのかという探り方は私はあると思いますので、そこは一番最初に選択肢の1つとして申し上げたのですけれども、後は成案に何とか辿り着けるものはどこなのかというところをハンドリングしていただきながらやらないとけないというつもりで申し上げているので、今、山本委員が言われたことについては賛成です。

○木委員 そんなに意見が違っていないと認識してよろしいわけですね。道筋は2つあるけれども、そのそれぞれの中にはバリエーションがあるという意味で、同じと伺ってよろしいでしょうか。

○綿引委員 ただ、バリエーションがこれとこれという、ある程度枠を、要するに成案に行き着く可能性がある枠がどの辺なのかというのは、少し事務局の方で明確にしていただいた上で、その中でやりましょうということを申し上げているつもりです。

○廣田委員 事前確認制度に対して、それがないのに法的効果を与えることができるかという選択肢はむしろ少ないのではないかというのが綿引委員の意見だと思いますし、山本委員はそれについてももう少し幅を持たせた方がいいという意見ですが、私はその点では時間の余裕さえあれば山本委員と同じで、まだ議論して煮詰めていないところをやる必要があるとは思っていまして、そこはこれからどう進めるかという問題になると思うのです。けれども、山本委員が先ほど言われた基本法だけで法制的に成り立つのかどうかということ、もう一つは、綿引委員が言われたように、事前確認制度がないのに法的効果を与えるのは法制的に無理ではないかということ、それらの2点に間して言えば、私は、法制的にできるかどうかという陰に隠れた勢力に対する意見を背景にして、それをあまりにも先取りし過ぎているのではないかと私は思います。
 むしろここで問題になっているのは、検討会の議論自体がまだまとまっていないということであって、そのことで我々がどういう意見を出すかということをまず先にやるべきではないかと思うのです。それを先取りしてしまうと、そちらに意見が集約されていくことだけの話ですから、そういうことはこの検討会が設けられた趣旨には反していると私は思います。
 そういうことでもなおかつ、綿引委員や山本委員がおっしゃったことは現実としてはある話だということも私も理解しているつもりなので、もしそうだとすれば、綿引委員がおっしゃるようなことで事前確認制度を入れるくらいなら、もう法的効果を諦めようということになりますね。そうすると、次の段階で山本委員ところにいって、では、基本法だけで法律ができるのかという問題が議論されて、その結果、ここでそれだけでいいという結論が仮に出たとします。それだけでこういうふうにしようではないかということを我々が仮に意見をまとめて出したとしても、法制的に駄目だと言われれば、私はそこで法律を作らなければいいだけの話だと思うのです。
 ただ、ここで基本的なものだけでいいという意見がまとまればまとまるだけの意味があるのであって、そういうことを我々としては、やらなければいけないというふうに私は考えるのです。それが法制的なところでブロックされて、これは駄目だと言われれば、それはそれで仕方のないことだと思います。
 そういうことも含めて、私は今までいろいろな議論をしたことは決して無駄なことだと思いませんし、仮にそうなったところで、次を期すときに、前はどういう議論が行われたかということが当然問題になってくる、そこで生かすこともできると思うのです。
 もう一つ言えば、基本法だけでもいいのではないかと思っているのは、やはりそれだけでも大きな意味があるのです。ADRについてこれだけ国民の認識が狭いところに、あまりないところに、ADRというのはいいものだということを一応法律という形で宣言するということになれば、先ほど安藤委員がおっしゃったような道筋が、少なくとも、村道、町道くらいの所までは引けるということになるので、むしろそれを議論した上で、法制局にどれだけ説得力のあるものを持っていけるかということが課題になると思うのです。初めから先取りして諦めてしまうということはしなくていいのではないかと考えます。

○平山委員 確かにこの検討会が発足したときに、ADR基本法を目指そうというお話があったような気がいたします。それはやはりADRというのが国民に理解されていない。そのときに、廣田委員がADRというのは日本語でいい考えがあるのですよ。最後にお話ししますということもお話になったような気がします。
 基本法が法制的にという問題になると、私はよくわかりませんけれども、一つは基本法を作ろうという形で進めたので、その辺を意見を集約して、お話を聞きますと、ADRというのは非常に幅が広くて、非常に難しい問題がたくさんございますので、まず国民に理解されるということを優先して考えて、そういったような方向で結論を導くような議論をされたらどうなのかと。
 今日、事務局の方で枠組みを広げたいというお話があったわけですけれども、その辺のことになると私よくわからないのですけれども、要するに、これ以上議論を拡散してというよりも、そろそろまとめる方向で、先程どなたかが、座長試案ということもあるし、多数決という考え方もあるというお話もありましたけれども、やはりここまで議論を深めたら、それぞれの問題、それぞれの問題というのは、先ほど綿引委員が、かなりわかりやすい御説明があったわけですけれども、そういった問題を絞りながら、議論を集約するような方向でやって、ADR基本法という形で一つまとめたらどうでしょうか、そういったような気がいたします。

○青山座長 どうもありがとうございました。

○三木委員 本日はこれからの議論をどう進めていくかということを話し合う会であったわけですが、それですらこれほど議論がまとまらないと。なるほどこれを伺っていると、今までの議論の延長線上に話を進めていってもコンセンサスは得られないなということが、議論しなくとも証明されたというような気がいたします。その意味では、議論の幅を広げるなり、何か少し違ったことを考えなければ同じことの堂々巡りになるなという感を改めて強くいたしました。
 そこで私の若干の意見ですが、冒頭に何人かの方が法的効果の付与というのは、無理をしてまで導入する価値があるものなのかという趣旨のことをおっしゃいまして、私はその点は一つ考えるべきことだろうと思います。
 例えば時効中断効につきましても、これまでかなり精力的に議論をしてきたわけですが、翻って考えてみますと、時効中断効が付与されたら、それによってADRが非常に活性化していくと考えている人はほとんどいないだろうと思います。
 言葉を換えて言いますと、現在ADRが必ずしも十分に利用されているとは言えない状況の大きな原因が時効中断効の不存在にあるとはおそらく言えないのだろうと思います。それは今回議論の対象から落ちましたけれども、執行力についても同じで、執行力がないから活性化していないなのかというと、そうではないだろうと思います。ほとんどのADRにおける紛争解決は任意履行されているわけですから、これはADR活性化の決め手になるものではない。
 ではなぜ、それにもかかわらず時効中断効や執行力を含めた法的効果の付与が議論されてきたかというと、私の認識ではこれらは一つのシンボル的な要素があったのだろうと思います。それは私の理解しているところでは、UNCITRALで時効中断効や執行力というものを議論しましょうと言ったときも、それらによってADRが活性化するというよりは、ADRというものが裁判と比べてそれほど劣った制度でないということのシンボル、あるいは信頼して使っていい制度ということのシンボルとして入れましょうと。要するに、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、アナウンスメント効果を狙ったのだろうと思います。
 そうしますと、アナウンスメント効果のために無理をして、意見がこの検討会でも、あるいは外でも意見が二分されている状況で、一方を強引に追求するということには若干の無理があるのではないかという気がいたしております。
 考え方はいろいろあろうかと思いますけれども、世界のいくつかの国がADRの活性化について検討したり、立法したりしているということの背景には、これは一つには国家政策的な判断があるのだろうと思います。それはADRを活性化するという結論がまずあって、そのためには若干従来の理論や制度からは一種のジャンプがあると。ちょっとブレイクスルーを作るというようなことまでしてやろうという判断があるのだろうと思います。 それは我々の社会において、紛争が起きた場合に、それを持ち込む先が裁判所だけであるという社会や国家が望ましい姿なのか。裁判所以外に紛争解決の大きな受け皿がある社会と、無い社会というのを我々はどっちを目指すのだという政策選択が先にあって、その政策が仮に一方を採るとしたら、そのためには従来の議論の延長では実現できないことでもちょっと頑張ってやってみましょうということがなければやはりできない。
 ですから、事前確認を採らなければ時効中断効は付与できない、それはおそらく従来の議論を延長していくとそういう話になるのだと思いますけれども、そういうことでいいのか。従来の議論の延長戦上では無理なことをやろうとしているのか。そこのところを見極めなければいけない。
 仮にそのまでの政策を採ろうという意思が現状ではないということだと、これは諦めざるを得ないということなのだろうと思います。まず、我々はどういう国家政策を背景にするのかという議論が、これまで必ずしも十分ではなくて、まず法律家的な議論が先にありきという話があって、それが非法律家の委員の皆さんにも付いていけないというか、あるいは違和感がある部分があったのだろうと思います。
 したがって、そういう議論はもう一遍する必要があるのならする、そういうことは結論が出ている自明なのだというなら、その前提で話を進めていかざるを得ないのだろうと思います。
 もう一点ですが、仮に法的効果の付与というものをあきらめた場合にどうするか。基本法だけでいいのかという話がありました。基本法ができれば、それ自体意味がないと私は思っておりません。他方において、山本委員がおっしゃったように、それだけでいいのかという話は勿論あろうかと思います。私は勿論それだけでいいと思っておりませんで、先ほど言いましたように、法的効果というのは元々ADRの活性化という意味では大した意味はないわけで、本当に意味があるのはこれは皆さん既にこれまでの議論で御承知のように、国民一般にADRというものの存在が知られていないというところの広報をどうするのか。仮に知られたとしても、それを引き受けるための受け皿としてのADRが十分に育っていない。担い手をどう育成するのか。あるいは民間の自立的なADRの発展に対する阻害要因があるのかないのか、あるとすればそれをどう除いていくのか。
 それから、民間の自然な発展だけで賄えないタイプのADR、つまり行政型のADRとか政策型のADRと言われているもので欠けているものが私はいろいろあるのだと思いますけれども、そういったものをどう考えるのかといったような、いわゆる制度基盤の充実ということが大事で、むしろそれは基本法の制定と並んで、そこを議論し、何か成果を得られるように努力すべきではないかというふうに考えています。その関係において、例えばADR機関の育成に間しての何か法的措置。あるいは、広報に関しての法的措置というものもあり得るのかもしれないし、あるいは法的措置の問題ではなくて、運用の問題であったり、連携の問題であったりするとすれば、その仕組みをどう考えるのか。そのような議論もしていく必要があろうかと思っております。

○青山座長 どうもありがとうございました。

○安藤委員 平山委員が先程素晴らしいことを言われたのですが、法案提出をするに対して、ADR基本法というのでは提出できないわけですね。ローマ字を使わない。日本語でどういった形で法案を提出するのかという、その名称が出てくれば、私などはADRと言っていて、皆さんと同じADRの意識を持っているかどうかわからないのです。日本語で書いた法案の名称、昔、田中角栄が2行、3行にわたる長い名称をだいぶぶつけてきたようですけれども、そういう長い名称になっても、ここの中での仮称という形で、それに基づいてやっていることによって名称が詰まる、意識もみんな一緒になるという形が出てくるのではないかなと思うのです、最初に廣田委員が言われたようなタイトルからまずスタートしていったらどうなのかと感じます。

○廣田委員 三木委員が言われたことに私は非常に賛成です。おっしゃるとおり、政策的配慮があってからはじめて法的効果の問題が出てくる。今、順序が逆になっているのだと思います。三木委員の言葉にもう少し加えて言えば、やはり制度というものをどうするか、制度設計をどうするかというものがあってはじめて、法的効果議論というのが実りがあるものになると思うのです。それがない段階で頭の中でこれをやったものですから、そこで非常にばらばらになってきたという要素があると思うのです。
 三木委員のことにもう一つ加えて言えば、事前確認制度をつくったらADRは拡充・活性化するかというと、それは決してそうではないのです。むしろ逆に萎縮してしまう危険性がありますので、そういう意味を加えていけば、やはり事前確認制度というのは私は問題があると思っているわけです。
 しかし、政策だとか制度論というのは、このADR検討会のテーマにはなっていないですよね。テーマになっていないからそれを外したところで議論がずっと進んできたわけですけれども、もし可能であれば、基本法の中に三木委員が言われたような育成とか広報とかを含めて、制度設計をするための基礎的な必要な事項が織り込まれるのだったら織り込んでいけば、基本法だけでなくてもう一歩前進します。方向づけくらいはできるかもわからないということであれば、それをきちんとやるだけの時間は欲しいし、それを本当にきちんとやれば、我々の仕事はある程度のところまではできるのではないかと思うのです。

○青山座長 佐成委員、どうぞ。

○佐成委員 従来よりも選択肢を広げて議論をしていくという方向性については私も賛成しております。従来の議論の単純な延長では法制化は難しいということも理解しております。ただ、法的効果の付与と事前確認制度をイコールで結び付けるような考え方にはまだ少し違和感を感じております。勿論、時間の許す限りでございますけれども、山本委員や三木委員がおっしゃった事前確認を採らなくても法的付与が可能かどうかの論点についても、従来と同じような形で議論をしてもあまり生産的でないことは勿論承知しておりますが、やはりその可能性を完全に否定するのではなく、その辺りにも充分目配りしながら全体的な基本法の実現を目指していきたいと感じております。
 以上です。

○木委員 本当は今日は再スタートを確認するだけだから何も言うことはないと思っていたのですけれども、皆さんがそれぞれに反省をなさいまして、私も反省しなきゃいけないかなと思いました。ADRが理解されていないというのは、やはり皆さんの認識の中にあって、社会的にはそうなのかというふうに思いましたけれども、民間ADRの枢軸を担っている弁護士会の仲裁センターを抱えているところとしては、なかなか皆さんの信頼感が得られるまで至ってなかったことを反省しなければいけないかなというのが大きなところです。
 三木先生がおっしゃった裁判以外に紛争解決のための何らかのものが欲しいと思うかどうかという政策的な選択の問題に関しては、私は既に政策選択があるのではないかと思っています。議論して、あるということが確認されればそれでもいいというようなこともおっしゃいましたし、本当にあるのかないのかということを議論の対象にすること自体は反対ではありませんけれども、現在、裁判が紛争解決の方法としてありますけれど、例えば弁護士のところにくる相談者の中には、いきなり裁判をしたいという人はそんなに多くはいなくて、それなりに、当事者間の話合い、次に弁護士同士の話合いがあるわけです。弁護士同士の話合いが上手くいかないときにどうするかというと、その次に裁判が必ずしもあるわけではないという現状があります。それは一番どこに出てきているかというと、官庁が政策決定して法律案を作るときの姿勢に出てきていると思います。
 ADRというのは、日本ではいろいろなものがあったかもしれませんけれども、建設省にある建設工事紛争審査会というのがありますね。あれが比較的最初に動いたADR機関かなと思います。労働調停とか労働三法に基づくものは別としましてですね。その後は、昭和40年代に例えば交通事故が頻発すると、交通事故訴訟で、東京地裁の27部などはすごく活躍しましたけれども、裁判による一定のルールメイキングが終わると、その後は紛争解決のためのADRが日弁連にもできましたし、生保会社が一緒になって作った機関というのもあります。不動産の仲介業に関するトラブルが発生すると、建設省に適正取引化推進機構というのを作ってそこへ任せるという制度もできました。PL法ができたときも、いきなり裁判ではなくて、それなりのものが欲しいということでPLセンター、各種の紛争解決機関ができたと思うのです。消費者契約法制定時にもADRを活用するようにという国会での附帯決議がありました。その流れで住宅の品確法もできたわけです。
 このように主として行政ADRを中心に発達してきたかもしれませんけれども、1つの制度を作ったときには、必ずその制度にまつわる紛争というのが発生することが予測されるわけです。金融もそうなのだと思うのですけれども、それをいきなり裁判に持っていかないでそれなりの紛争解決のための受け皿を作ろうというのは常に政策としてあったことで、そういう長い歴史の中から、今回の審議会意見書の中にADRの拡充活性化というのが取り入れられたというのが私の認識です。
 ですから、議論をスタート台に戻すのもいいのですけれども、あまりマイナスまで戻ってほしくないなというのが私の考え方です。

○青山座長 どうもありがとうございました。すべての委員の型から御意見をいただきましたので、初めに事務局と私がお示ししたような形で今後の議論を続けていくということについては、大方の御賛同をいただけと思います。今後の議論のやり方として、綿引委員のように初めから2つなり3つなりの選択肢を示す議論になるのか。もうちょっと広げた議論になるのか、それは更にこれから事務局と検討させていただきますが、今日の御意見を十分に咀嚼いたしまして議論を再開させていただきたいと思っております。基本法が最終的に法律案要綱にまとまるまでは、少し道程があるかと思いますけれども、そういうことで御了承いただければと思います。
 何か事務局の方から御発言ございますでしょうか。

○小林参事官 皆様の御意見を伺いまして、あらためまして内容面の検討、それから検討会の運びにつきまして、多々反省すべき点があったというふうに責任を痛感いたしております。
 それから、選択肢を広げるという意味でございますが、広げるのはいいけれども拡散しないようにというお話もありましたが、原委員の言葉を借りれば袋小路に入っていた議論につきまして、もう少し見晴らしの良いところまで戻って、それで議論を再開したいという趣旨でございますので、決して徒に議論を拡散させたいということではございません。
 それに関連しまして、綿引委員の方から議論の枠組みをきちんと示すようにという御発言がありまして、これにつきましては本当に重く受け止めたいというふうに考えております。
 勿論、政策的な判断にいたしましても、それから法制的に可能かどうかという判断につきましても、なかなか微妙なところがございまして、なかなかそう簡単に見きわめがつくわけではございませんけれども、そこはこちらの検討会の検討に支障のないように検討会の運びにつきましても努力をしていきたいと考えております。

○古口事務局次長 青山座長始め、各委員の皆様方には約二年間にわたり、総合的なADRの制度基盤の整備のために何が必要なのか、その方策について精力的に御検討いただいてまいりました。改めて深く御礼申し上げます。
 冒頭に担当の小林参事官からも御説明申し上げたような事情によりまして、皆様にはもう少し時間をかけて検討を継続していただくことをお願いすることになりました。本当に心苦しく思うところでございますが、事務局といたしましても、是非ともこれまでの皆様の御苦労がきちんと実るような形で、かつ、できるだけ早期に成案を得ることができるように最大限努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 事情をお汲み取りいただいた上で、引き続き御助力の程よろしくお願い申し上げます。

○青山座長 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局には今日各委員から出されました御意見を十分に咀嚼、勘案していただきまして、次回以降の議論は効率的に、しかも深みのある議論が展開できるように、そういう準備を、資料の整理も含め、あるいは関係方面の調整も含め、あるいは各委員から具体的に今日の御発言の真意を更にお聞きするというようなことがあればそういうことも含め、準備を急いでいただきたいと思います。
 そういういろいろな事情を勘案しますと、事務局の方に若干の時間的な余裕がどうしても必要だというふうに思いますので、ここで次回期日をいつにしますということを今日お諮りすることはちょっと難しい状況でございます。例えば2月にできるかというと、2月にまたやるというわけにはいかないというふうに私は考えております。ですから、次回の日程をいつにして、議論を再開させていただくかということは、追って日程を伺いながら御連絡させていただくことにさせていただきたいと思います。普通でしたら次回期日はいつにいたしますということをアナウンスして検討会の議事を終わるわけですが、今日はそういう事情でございますので、そういう形で締め括りをさせていただくことを御了承いただきたいと思います。
 それでは、本日はお忙しい中を御参集いただきまして大変ありがとうございました。これをもちまして今回は終了させていただきます。