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ADR検討会(第29回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成16年4月19日(月) 13:30〜16:00

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第一会議室

3 出席者
(委 員)青山善充(座長)、安藤敬一、佐成実、木佳子、龍井葉二、原早苗、平山善吉、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、綿引万里子(敬称略)
(事務局)松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官、内堀宏達企画官

4 議 題
(1) 裁判外の紛争解決手続に関する検討の方向性
(2) 専門家の活用に関する検討の進め方
(3) 当面の開催日程

5 配布資料
資料29−1 裁判外の紛争解決手続を巡る最近の状況
資料29−2 裁判外の紛争解決手続の健全な発展
資料29−3 「民間紛争解決業務の認証制度」(仮称)の導入等に関する主要な論点
資料29−4 認証制度を採用する場合の制度骨格イメージ
資料29−5 専門家の活用に関する検討の進め方

6 議 事

 まずはじめに、座長より以下のような発言があった。

・  本日は、1月末の検討会において、その段階における意見集約を見送り、もう少し選択肢を広げて、議論を継続することとして以来、初めての検討会であり、いわば検討会として2度目のスタートとなる。
  事務局では、検討会におけるこれまでの検討結果を十分精査した上で裁判外の紛争解決手続の制度基盤の整備について、できる限り早期の法案提出に向けて鋭意検討を進めていきたいと考えていると承知している。
  検討会としては、そのような意向を踏まえ、事務局の立案作業を的確にサポートするということを念頭に置いて、着実に議論を進めていきたいと考えているので、皆様にも御協力を御願いしたい。
引き続き、事務局古口次長より挨拶の言葉があった後、裁判外の紛争解決手続に関する検討の方向性について、事務局から資料29−1から29−4に基づき説明がなされ、議論が行われた。
主なものは以下のとおりである(◎:座長、○:委員、●:事務局)。

◎ これまでの検討会でADRの拡充・活性化を図るためには法律が必要であり、基本理念規定のみならず法的措置を規定すべきであることは概ね意見が一致したものと認識している。残された意見の不一致について、あえて多数決をとらずにもう少し時間をかけて検討することにしたが、そうは言っても、検討に残された時間は残りわずかである。ADRの利用者の利便を考え方の中心としながら、これまでの議論の 蓄積を活かしつつも、過度にはそれに拘らず、現時点で各委員がベストであると考える意見を忌憚なく述べてほしい。とことん議論を重ねて最後は民主主義の原則に従いたい。これが本日から検討会がリフレッシュ・スタートするに当たっての私の考え方である。

○ 結論として資料29−3の1の(1)を支持する。1(2)以下は無用な議論であり、次回以降、議題から落とすべきである。残された時間を考えても、1(2)以下で仮に議論が進まなくなった場合、1(1)の議論には戻れない。ADRが活性化しない理由には根深く複雑な事情があり、単に時効中断効や執行力を付与すればADRが活性化するというものではない。ここで事前認定制度の導入を持ち出すのは規制法を作ろうとしているとしか思えない。また、どうして突然、議論を民間型ADRに矮小化するのかも理解できない。 私的自治を旨とする民間型ADRに行政が介入することは規制に他ならず、これでは「民間型ADR規制法」の誹りを免れ得ない。
  また、認定制度の弊害が資料に書かれていないことも問題である。パブリック・コメントでも反対意見は沢山あったはずである。ここで事前認定制度を導入することは、行政が私的自治に介入する悪しき前例になるのではないか。
  認定を受けるとなれば、労力と費用の無駄遣いとなり、ADR機関の負担も増大し、これからADRに参入していこうとする熱意が失われてしまい、ADRの衰退を招くものである。
  1(2)以降の議論は、机上の空論である。私が知る限りにおいては平成14年におけるADR事件は交通事故関係が最も多く8,000件程度あったが、その中でも時効中断効や執行力が必要と思われる事例は殆どなかった。
  民間型ADRに時効中断効や執行力を導入することは無意味である。事前認定制度に絡めるべき問題ではなく、それ自身を議論すべき問題である。

◎ 認証制度は今回、突然浮上したわけではなく、私も前々から認証制度は議論の視野に入れておく旨を表明していたところである。認証制度の導入の是非を議論することには異論はないところであり、1(1)のみを議論するという提案には座長としては与しない。この意見について他の委員からの御意見もおききしたい。

○ これまでも基本理念規定のみで良いのかということで議論してきたはずである。そもそも基本理念のみで法律が成り立つとも考えにくい。

 (他の委員からも1(1)のみを議論するという提案に反対する意見が複数あり) 

○ 座長におかれては、くれぐれも1(1)の議論に立ち戻った時に時間の余裕が残るような議事進行をお願い申し上げたい。

◎ 御意見については承った。それでは、どなたでも御意見があればどうぞ。

○ 4点ほど。@認証を受けるか否かをADR機関の選択に委ねたことは良いのだが、認証を受けないADR機関は現状のまま何もしなくても良いということで良いのか。認証を受けないADR機関についても人材育成、情報開示、健全性の観点を持つことは必要なのではないか。AADRの多様性の観点を重要視し、ADRの利用については市場側の選択に委ねるべきことが行政の監督よりも重要であることを強く認識すべきではないか。この点に関連して「認証を受けた者の義務」に紛争の種類や解決方法など、消費者が自由にADRを選択する目安となる情報を開示することも盛り込むべきではないか。B認証後の監督の内容が重くならないようにするため、第三者機関をうまく活用することはできないか。CこれまでのADRは紛争両当事者が対等であることを前提とした議論に立っていたが、実際には、紛争当事者間にも力の強弱がある場合が多い。弱者の立場に立たされがちな消費者や労働者への配慮も必要なのではないか。

○ 今回の資料では違反行為に対する罰則について触れられていないが、ADR法に罰則を設けるつもりはないのか。

● 罰則については各事項の内容を検討した上で、それに合わせて議論していきたい。

○ 基本理念規定のみでは現状と変わらない。将来を見据えれば、ADRが定着するためには何らかの仕組みが必要であり、また、利用者の不安を除去するためには任意の認証制度を採り入れるべきである。認証制度を受けないADR機関の情報開示については、基本理念等の規定で書けば良いのではないか。
  資料29−3の4.は利用者の視点に立てば、個人ではなく機関の信用性を考えて利用するかどうか決めるのだから、個人の信用性と機関の信用性の両者を併せた考え方を採るべき。5.については規制はできるだけ少なくするという配慮が必要である。6.(1)は必要な事項。(2)の「能力」は弁護士法第72条との関係で必要だが、認証要件とすると要件が厳しくなるような気がする。また、「経理的基礎」は例えば損害保険が供されていることをもって足りるのではないか。8.はもうすこし内容が詳細にならないと意見が言えない。7.と9.は事務局側の説明に異議はない。11.の認証主体については第三者機関の関与は良いが、すべてを第三者機関に任せると却って手続が複雑になるのではないか。要件を加重して執行力を与えることについては賛成する。 

○ 「マル適マーク」的なものは少なくとも利用者に安心感を与えるので、規制法ではなく促進法的なもの になっていると思う。マル適マークを導入することにより、暴力団や事件屋が排除されることだけでも利用者の安心感は深まるので、まずは、不適格事由の有無で認証を行うこととし、法的効果の付与は別個のものとする考え方もあるのではないか。

○ 現在行われているADRが萎縮しないような法律を作るべきである。一般国民に民間ADRを選択する目安を与えるとの目的を達成するような促進的なADR法とすべきであり、認証制度の賛否はその内容次第である。また、4.については(1)の考え方を支持する。直接事件を取り扱う調停人がしっかりしていなければ、機関を認証しても意味がないのではないか。この点に関しては、6.(2)の「能力や経理的基礎を有していること」はそもそも機関ではなく人に対して判断すべき事柄ではないのか。また、7.(3)の  「手続準則の遵守」についても機関が遵守するのではなく調停人が遵守するものではないのか。また、弁護士法第72条の問題を考えても、ADR機関ではなくストレートに調停人を認証制度の対象にするのが素直であろう。利用者は調停人ではなくADR機関をみて判断するというのはその通りだが、それは世間に対する普及の方法如何にもよるのではないか。いずれにせよ、行政による規制色を薄くし、抑圧的ではない基準とすべきであり、それに則して機関認証とするか個人認証とするかを考えるべきである。

○ ADRに法的効果を付与することは中長期的な視野に立てばADRの拡充・活性化に資するものであるし、審議会意見にも指摘があるところから、可能であれば付与すべきである。また、認証制度は任意なので、あくまでもADR機関が採りうる選択肢を増やすという意味合いのものとなる。とりわけ新規にADRに参入しようとする者にとって認証制度の導入は有意義だと思う。国による事前規制は避けるべきではないかという議論があるが、この認証制度は参入規制的なものではなく、裁判所、行政型ADRとのイコール・フッティングを図るための制度であるため、規制改革の趣旨にも適っている。このような制度が国際的に通用するのかという議論もあるが、このような議論は主にアメリカを念頭に置いてなされているもの であり、アメリカと日本とはADRが置かれている状況が全く違うこと、アメリカ以外については、例えばフランスでは事前に事件を送付するADR機関を予め協議で決めており、また、イギリスやオーストラリアのように、金融などの分野において行政機関が特定の機関を指定してADRを行わせている国もあることから日本だけの特異な制度ではないと考える。「マル適マーク」と法的効果の付与を2段階にわけて考える意見については理解できるが、9.(3)の法的効果を付与するに際して求められる認証のレベルはそれ程高くはないのではないかと思うし、また、認証を受けても名称独占程度の法的効果しか付与されない個人情報保護法の認定個人情報保護団体についてはその認証制度のメリットが疑問視されているとも聞いている。認証制度を導入するのであればやはり、目に見える法的効果も欲しいところである。機関認証をとるか個人認証をとるかについては、中長期的には「ADR士」などの資格制度を作ることはあり得るものの、現段階においては、ADRを行うに際して個人にいかなる能力が必要なのか等について必ずしも一致した見解があるわけではないので、個人を認証する基準を作るのは難しいのではないか。認証主体として第三者機関を関与させることについては、公平性、独立性の観点から国の関与を薄くするという側面があり、是非とも御検討いただきたい。

○ これまで認証制度に反対してきたが、認証制度を議論することまでは反対しない。認証制度については、その制度がどのようなものになるのかによって賛否を判断したい。それまでは意見を留保させていただきたい。現に活動しているADR機関が認証を受けようと思えば受けることができる程度の基準とし、幅広く認定されるものとすべきである。また、コストがそれ程かからない認証制度を目指すべきである。
  資料29−3の9(2)については、認証制度を導入するのであれば、弁護士の関与なしで行わなければ意味がないと考えている。また、資料29−2に関連して、ADRについての国民、とりわけ弁護士や企業法務の理解が不足しており、法教育の段階でADRを周知・PRしていくことが必要なのではないか。

○ ADR法の重要性は、基本理念規定が80%、1(2)以下が20%程度のものだと思う。基本的なところ、大枠のところを議論すべきである。

○ 大枠はかなり出来てきているのではないかと思う。認証制度とセットにして法的効果を付与するというスキームまで出来ている。また、本日の議論においても幾つかの問題提起がなされており、それらを解決していけば良いのではないか。個人認証か団体認証かという論点については、最終的には個人を認証すべきだとは思うが、まずは団体を認証する制度を設けるべきではないか。いずれにせよ、全体としては一定の方向性が出てきていると思う。

○ 基本理念規定だけでは国民の利便性への配慮が足りないのではないかと思う。ハードルを高くせずに法的効果を付与する仕組みを作ることが重要。

○ 国民に対してADR選択の目安を提供するとの目的は基本理念規定を作る段階でほぼクリアできるのではないか。また、法的効果の付与についても必ずしも事前確認制度に結びつけなくとも措置可能な議論である。委員の中でも規制法に反対ということで一致しているが、事前認証制度を導入することとなると促進法にはならず、規制法になってしまう。ADRの研修など事実が重要なのであって法によって変わるものではない。事実に関するデータの蓄積もなく、ADR機関の意見すらきいていないにもかかわらず、拙速に法律を作る必要はないのではないか。

 引き続き、当面の議論の進め方について座長から次回以降、認証制度の導入についてさらに具体的な議論を進めていきたい旨発言があり、関連して事務局より専門家の活用に関する検討の進め方について資料29−5に沿って説明がなされた後、議論が行われた。

○ 細かな話だが、「主宰者」という文言を法律にも用いるつもりなのか。ADRは基本的には紛争当事者  が主役であり、中を取り持つ者が「主宰」というのは違和感がある。「調停人」という文言を用いるべきだ  と考えるがいかがか。このことについては、法律にどのような言葉を用いるのかという段階になった時に  今一度議論いただきたい。 

 次回のADR検討会は、5月10日(月)午後1時半から資料29−3の論点についてさらに検討を進めていくことになった。

(以上)