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ADR検討会(第36回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成16年9月1日(水)15:00〜16:30

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)山本和彦(座長代理)、安藤敬一、佐成実、木佳子、龍井葉二、原早苗、廣田尚久、三木浩一、綿引万里子(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官、内堀宏達企画官

4 議 題
いわゆるADR法の検討状況について

5 配布資料
資料36−1 裁判外における法による紛争の解決の促進について(概要)
資料36−2 ADR法案の立案に寄せられた意見等(概要)

6 議 事
 冒頭、ADR法案の骨格、懸案となっていた執行力の付与等に関し、現在の作業状況について、事務局より資料36−1及び36−2に沿った説明が行われた後、議論を行った。(◎:座長代理、○:委員、●:事務局)

○ 本日の新聞を読んでいたら「司法制度改革推進本部はADR法案の概要をまとめた」とあったが、事実関係を教えてほしい。

● 本日の検討会資料と同様のものを昨日開催された自民党の司法制度調査会で説明し、議論いただいたところである。

○ 資料36−1のタイトル中の「法による」という文言に違和感がある。どこにかかるのかも判然とせず、落ち着きが悪い。どのような事情でこの文言が入ったのか、もう少し詳しい説明をいただきたい。また、認証審査参与員という文言がはじめて出てきたが、具体的にはどのような人達を参与員として想定しているのか。複数で構成されるものなのか、任期などはどうなるのか。

● 第一点目については、「裁判外における」で切れる。ここでいう「法による」とは、違法でないという意味であるが、ADRは当事者の自主的な努力を尊重し、自立性を重んじるべきと考える方にとっては違和感があるかも知れないことは理解できるので、「法による」の趣旨についてはきちんと説明してまいりたい。なお、他方で、ADRにおいて紛争が不透明な形で処理されることに懸念する立場の人からは、そうでないことが明確にされるので、望ましいという意見もある。
 認証審査参与員については、各方面と調整中であるが、ADR全般において経験豊富な法曹、国内外の動向に明るい法律家や、各分野における専門家などが考えられる。形式は、必ずしも合議制でなければならないとは思わないが、複数の者から意見を聞くことも考えている。身分・任期などについては、きちんと法律に位置づけがある立場にしたいと考えている。

○ 自主性を重んじるというのがADRのキーワードであり、この検討会のキーワードでもあったので、その趣旨を前文のようなところで盛り込んでもらいたい。
 また、認証審査参与員は、勧告や認証取消しにまで関与することを想定しているのか。また、分野ごとに参与員を認定するとのことであったが、そもそも分野ごとに認証されるのか。そうだとすると、どのような括り方をするのか。

● 紛争当事者の自主性については、現在、法案の目的や基本理念に書くことができないか検討中である。また、監督の際の配慮規定として規定することも考えている。
 認証審査参与員については、認証の取消しの際にも関与することを考えているが、その他については検討中である。紛争分野については、紛争関係者、紛争分野など申請者の判断で適当な切り口での括り方により、業務実施方法に定めてもらうことになる。その切り口についてこちらから限定することは考えていない。

○ 業務実施方法が変更された場合には、どのような対応となるのか。

● 業務実施方法を変更する場合には、軽微なものを除き、基本的には新たに変更の認証を受けていただくことになる。

○ 前々から申し上げているとおり、この法案には全面反対であるが、2点ほど申し上げたい。まず、第1点目として、本日示されたような概要では、問題点がぼやけてしまう。法律の形にならなければ問題点がわからない。
 第2点目として、「法による紛争」とあるが、通常そのような文言を法律では使わない。ADRは多岐的であり、法によらない解決も多く、法による解決ができないから行われるのであり、「法による」とするのは大問題である。例えば、法によらない解決をする機関は認証を受けられないのか、認証事業者は法によらない解決はしてはならないのか、法によらない紛争解決をした場合は無効になるのか。

● 「法による」については、既に総合法律支援法にもある規定であるが、実定法を判断基準としなければならないという意味ではなく、不法なものでないという趣旨である。したがって、不法でない限り問題とはならないので、委員の御懸念は当たらないと考えるが、そのような誤解が生じないように十分に説明してまいりたい。

○ 3点コメントがある。第1点目であるが、「法による」が判断基準ではないとすると、何を意味するのかわからない。判断基準の意味合いでもないのに「法による」を用いた積極的な意味を教えてほしい。また、「法による」を英訳すると、どのような表現になるのかを教えてほしい。
 また、この「法による」は、仲裁法でいう「衡平と善」という概念と対立するのではないかという誤解をどのように排除するのか。
 第2点目として、資料36−1第2の1(1)に「認証を受けた紛争解決事業者は報酬を受けてその業務を行うことができる」とあるが、これが事業者についての規定だとすると、弁護士法72条は個人を対象とするものであり、ずれが生じるのではないか。また、そもそも業務を行うことができる主体は誰なのか教えてほしい。
 第3点目として、資料36−1第2の4(1)の2)に「業務実施方法に従って手続を行うに必要な知識・能力、経理的基礎を有すること」とあるが、誰の、どのような知識や能力や経理的基礎をどのような形でチェックするのか教えてほしい。

● 第1点目の「法による」の意味合いは、不法なものではないということ以上のものを意図しているものではない。英訳は、これから勉強してまいりたい。
 第2点目の「報酬」については、手続実施者についてもこれにより手当てされるというように理解している。
 第3点目については、事業主体における知識・能力、経理的基礎を判断するものであって、役職員の構成などにより判断することを考えているが、手続実施候補者が予定されていればその候補者、予定されていなければどのようにして手続実施者を確保するかなどについても審査することになる。その具体的な要求水準についてはガイドライン等を作成してさらに明確にしていきたいと考えている。

○ そもそも国が違法なものを促進するわけはなく、「法による」と置くと、かえって国の内外で誤解が生じるのではないか。

○ 本日の事務局案でよいと思う。非認証紛争解決事業者を排除するものではないということが大前提であるが、認証により法的効果などが付与されることを示すことによって、質の高い方向に誘導されることは良いことである。ただ、認証紛争解決事業者間でやり方がまったく異なるのでは困るので、協議団体のようなものを作っておかないとうまく進まないと思う。
 また、通常は話をしている途中で、ADRに移行するが、認証紛争解決事業者であることが示されていなければ、ADRに移行するときに利用する紛争解決事業者を変更しなければならないことにもなるので、きちんと表示されるようにしてほしい。
 なお、国の責務は、「普及に寄与する」よりも、もっと強い表現にしてほしい。

● 協議団体については、そのメンバー構成はともかくとして、そういった団体ができることは期待されるところである。我々としても、ポータルサイトと連携し、情報交換の場を設けることなどを進めている。また、国の責務としては、内外のADRの動向の調査・分析、情報提供などを行うことも考えている。

○ 労働分野やBtoCへの配慮について、具体的に取り出すことは難しいとは思うが、引き続き検討してもらいたい。また、力関係に差がある場合、利用者は、離脱の自由があるとしても適切に判断できないのではないか。最近は、使用者側の方からの退職金などに関する訴えも多く、また就業規則で特定の機関を指定することも考えられ、そのようなケースで労働者の自由な意思が不当に曲げられるのではないかという懸念がある。事業者の義務として、離脱の自由などを周知することは当然必要だが、できれば、利用者がいつでも離脱できる旨などを、手続の入口で、書式のようなものを書面交付したり、掲示したりするようにしてもらいたい。
 また、費用の在り方についても、きちんとしたルールを作る必要がある。

4(1)の1)の利害関係者については、立場の弱い人が判断するのは難しいので、原則として排除するようにしてもらいたい。当事者同士が同意すればよいという考え方もあるが、余計なトラブルは避けるように措置すべきである。

○ 同様の問題は消費者分野にもあり、仲裁法でも事前合意は解除することができる。そういったものに対するきめ細やかな配慮を政省令レベルでお願いしたい。費用や、利害関係者についても、同様である。

● ADRについては手続からの離脱の自由があることや合意できなければ和解しなくともよいということは、当然のことであるとしても、一般の人々にとっては、必ずしも自明ではないと思うので、手続の中で、きちんと説明が行われるよう担保措置を考えたい。
 また、費用に関する事項は重要であり、利用申込者への説明義務を課すほか、業務実施方法に規定させることにより、著しく不当なものは排除するようにしたいと考えている。
 利害関係人の排除については業務実施方法で利害関係情報の開示などを規定させることを考えている。最初から排除するかどうかは、利害関係には幅があり一律に規律することは難しいが、いずれにせよ、どのような措置が講じられるかについては明らかになるようにしたい。

○ 報酬、費用については、著しく不合理なものでないようにするために、ガイドラインのような、何らかの具体的な目安を国が作成するつもりなのか。

● 国がガイドラインなどを作るのは難しいが、著しく不当なものが排除されるような仕組みは考えたい。

○ 主務大臣が法務大臣となった場合、この法律がスタートした後に、認証民間紛争処理に関する苦情受付窓口が法務省にできるのか。また、その受け付けた苦情は、情報公開法に基づく開示請求があった場合はどうなるのか。

● 法務省の体制については、今事務局でお答えできるような段階にはない。開示請求があった場合の扱いについては、今、この時点では明確にお答えする知見がない。苦情の取扱いについては業務実施方法に定めることも考えているので、認証民間事業者の窓口に行くこともあるだろうし、関係省庁に行くこともあるのではないか。

○ 資料では「民間型の紛争解決事業者」との記載があるが、品確法上の指定紛争処理機関や日本商事仲裁協会はどのような取扱いになるのか。また、4(1)1)、2)の書きぶりからすると、紛争対象を種別ごとに分類することを予定しているかのように見えるが、そのような理解で良いのか。また、紛争解決事業者の報酬について、これに近い条文により弁護士法第72条の例外となるということであって、明文の適用除外規定は置かないとの理解で良いのか。
 執行力についてどこにも何も触れていないが、将来課題としてもどこにも入らないのか。難しいかも知れないが、見直し規定という形で盛り込むことはできないか。

● どのようなものを認証の対象除外とするのかについては、現在、関係省庁と調整中であり、個別具体的なものに言及することは適当ではないと考えるが、基本的な考え方としては、行政型ADRに準じると考えられる機関については認証の対象から除外することになるのではないかと考える。紛争対象の種別については、業務実施方法の中で対象となる紛争の範囲を定めてもらう。縦割りの分野だけで決まるものでもないし、民事全般という形での申請も考えられるが、何らかの形で紛争分野を画してもらうことは予定している。また、報酬を受けて業務を行うことができるという規定と、弁護士以外の者が手続実施者となる場合の措置についての規定を合わせ読むことにより弁護士以外の者が報酬を受けて調停・あっせんを行ったとしても弁護士法72条の問題が生じない旨が明らかになるので、さらに直接的な文言を用いるということは考えていない。執行力については、将来の検討課題であると認識している。

◎ 推進本部事務局では、これまでのところ、ADR検討会における議論の成果が可能な限り活かされるよう、立案作業を進めていると受け止めたが、本日の検討会における意見等を十分に参考としながら、最後の詰めの作業を進めていただき、法案が提出されたら、改めて検討会での説明の機会を設定いただくようお願いしたい。

 次回のADR検討会の日時については、決まり次第、追って各委員に連絡することとなった。

(以上)