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ADR検討会(第38回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日 時
平成16年11月8日(火)13:00〜15:30

2 場 所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)青山善充(座長)、佐成実、木佳子、龍井葉二、原早苗、平山善吉、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、綿引万里子(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、古口章事務局次長、小林徹参事官、山上淳一企画官

4 議題
(1)隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権の付与に関する検討状況
(2)裁判外紛争解決手続に関する中長期的な課題(自由討議)

5 配布資料
資料38−1 隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権の付与に関する検討状況
資料38−2 裁判外紛争解決手続に関する中長期的な課題(討議用メモ)

6 議事
 はじめに、青山座長より、@司法制度改革推進本部の設置期限である11月末が約3週間後に控えておりこの第38回検討会が最後の検討会となること、A「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案」の審議状況、B残っている課題である隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権付与の問題と、裁判外紛争解決手続に関する中長期的な課題の2つのテーマについて締めくくりの議論を行い検討会としての責務を全うしたい旨の御発言があった。その後に、隣接法律専門職種に対する裁判外紛争解決手続の代理権付与に関する検討状況について事務局より資料38−1に沿って説明が行われ、質疑があった。(◎座長、○委員、●事務局)

○ 検討項目のチャートの中の「能力担保措置」の中に「研修・試験等」の記載があり、これはどの職種に適用されるかによって性格が異なってくるかもしれないので、一般論で申し上げれば、「研修」については自主的に行うものも含まれると考えるが、「試験」については、いわゆる第三者機関的なところで行われるものをイメージしてよいのか。また、それによって、試験に合格した者についてのみ代理を認めるということになれば、試験の合格者は一般的な士業資格とはまた違う意味合いを有するものと理解してよいのか。
  また、「対象となる紛争の種類」については、我々が労働関係で例示させていただいて 懸念を表明しているところであるが、特に個人型の紛争と集団型の紛争になった場合の 配慮はどのような点でなされているか。

● 「能力担保措置」に係る御質問については、基本的にはそれぞれの職種ごとに検討を行うべきものであり、また他の条件がいかなるものになるのかによって変わってくることを前提にした上で、一般論を申し上げれば、研修プラス試験ということになれば、同じ資格の中でも行われる者が限定されるという意味で別の一種の資格ができることを排除するものではない。 
  「対象となる紛争の種類」に係る御質問については、労働分野について申し上げれば、個別労働関係の代理権を考えているが、より具体的には社会保険労務士からの要望事項 に記載されている内容になってくると考えている。

○ 各隣接法律専門職種が行う業務について、この資料において要望されている事項のみとするのか、取り扱う紛争の種類を無限定に広げていってもよいこととするのかについては、個別法における検討に委ねられることとなるのか、それとも、この資料に記載されている内容をもって了解することとなるのか。

● 基本的には、対象となる業務の範囲については、それぞれ団体から要望事項として挙がってきたものであって、そのような御要望を踏まえて現在検討を行っている。これ以上、業務の範囲を広げること等について特段の検討を行っているものではないが、細部を含めて更に検討を深めていく過程において若干の細かい調整がある可能性を否定するものではない。

○ 例えば、司法書士については要望事項が一つだけ挙げられているが、仮にこの要望事項以上に広げることになったときは、個別法を所管する各省庁の判断に委ねることとなるのか。

● 各隣接法律専門職種団体において十分に議論した上でこの分野について活躍したいと考えている事項について要望をいただいたものであり、その部分について検討を行ったものである。基本的にはそのような方向性に沿って検討が進められることになると思う。

○ 司法書士について140万円より高額な民事紛争の代理を扱わせてほしいとの要望があった場合や、弁理士について著作権よりも広い範囲の紛争の代理権を認めてほしいとの要望があった場合はどうするのか。

● この要望事項はそれぞれの団体で十分に御検討いただいた上で挙がってきたものであるから、御指摘のような要望が出されることは想定していない。

◎ 例えば、社会保険労務士関係について厚生労働省が単独で法案を策定できるものではなく、関係者とも協議しつつ検討しなければならないので、ある分野のADR代理が他の分野のそれに較べて突出するような事態は想定しがたい。 

● 現在は検討の土俵と道筋を決めており、所管省庁には、基本的にこの方向性で御検討いただくということである。

○ 社会保険労務士、土地家屋調査士の検討状況の中で「可とする場合の条件等」について、弁護士の関与については共同受任が例示として挙がっているが、それ以外に弁護士が助言を行うことなども検討しているのか。

● 代理については助言という形で担保することは難しいと考えており、弁護士の関与については共同受任を前提に考えているが、共同受任の範囲については細部を現在検討中である。

◎ 個別法が出来上がる時期について目安などがあれば教えてほしい。

● 代理の問題については、専門家の活用を図っていくという意味合いにおいてADR法の趣旨と軌を一にするものである。ADR法についてはADR機関の準備や利用者への周知徹底を図るという意味で施行期間を2年半以内としていることから、それまでに準備が整うなら本件についても措置がなされることが望ましい。具体的には次期通常国会以降になると思う。 

○ 検討会自体はこれが最終回であることは承知しているが、検討会がなくなった後も、今後の判断については何らかの形で整理、公表されるのか。

● 最終的な検討結果については推進本部決定という形で取りまとめることを予定しているので、現時点の検討結果はその時点で明確にされることになる。将来課題等の扱いについても、必要があれば推進本部決定で触れられることになるものと考えている。

○ 司法制度改革審議会意見においては、弁護士法第72条の見直しも含め、個別的に検討することとされていた。そこからすれば今回の結論は非常にトーンダウンしたとの印象が否めない。
  税理士、不動産鑑定士、行政書士など検討状況に「×」がついているものについて、「将来課題とすることにつき、なお検討中」とあるが、ここでいう「将来」とは今日から後という意味なのか、それとも施行後という意味なのか、必ずしも判然とはしない。どちらなのか教えてほしい。

● 「×」については説明の便宜上用いたものであり、特段の深い意味はないことを御了知願いたい。いずれにしても、「×」を付した事項については、現時点において推進本部決定を行う際に取りまとめることが難しいものとの意味合いであって、その後、どのような取扱いとするのが適当なのかについては、現在、なお検討中である。 

◎ 確かに審議会意見では弁護士法第72条の見直しについて触れられているが、同時に「各職種ごとに実態を踏まえつつ」との文言も盛り込まれており、各職種ごとに実態を踏まえて検討した結果がこの資料であると御理解いただきたい。
  このテーマについては、これから最終的な結論を出すまでに関係省庁のみならず多方面との調整が必要とされる難しい問題であり、本日、事務局から説明があった検討状況も、様々な調整の積み重ねの上にあるものと考えている。今後、事務局が政府としての案を司法制度改革推進本部決定として取りまとめていく過程では、本日の委員からの御
  意見等も参考にしつつ取りまとめさせていただきたいということで、本件に関する議論を終えたいと考えているが、よろしいか。

○ 推進本部決定の位置づけはどのようなものか。

● 推進本部としての意思決定であり、推進本部構成員が、いわば拘束されることになる。推進本部解散後も、推進本部を構成している各省庁の間で合意した事実は残るものと考えている。 

  引き続き、事務局より資料38−2の説明が行われ、ADR検討会の議論の締めくくりとして、裁判外紛争解決手続に関する中長期的な課題について自由討議が行われた。
  

◎ それでは、討議用メモを参考に御議論いただきたいと思うが、各委員におかれてはなぜ最後の段階になってこのようなことを議論するのか、この議論の成果はどうなるのか
などということに御関心があると思うので、このことについてはじめに申し上げたい。
  本日行われた議論の内容は当然、議事録に残るものであるが、議事録だけに残すのはもったいないと考えている。これまでADRの拡充・活性化を図るために、議論の蓄積が皆無であったところから2年半もの議論を重ねてきた。そのような状態からずっと議論に御参画いただいた委員の方々の意見を私としては十分活用させてもらいたいと考え、事務局に、最後の機会に自由討議の時間を設けてほしい旨をお願い申し上げた次第である。
  私としては、本日の議論でいただいた御意見をもとにADRに関する中長期的な課題を座長レポートとして取りまとめ、今後、ADRの研究・検討に当たられる方々に向けたメッセージとして残し、ADRの更なる発展に寄与できれば幸いであると考えている。座長レポートは事前に全委員にお目通しいただき、その上で事務局を通じて公表することとしたい。このような扱いをすることについて意見があるか。

 〜 「賛成です」との声あり 〜


○ このような機会を設けていただいたことについては、大変感謝している。
  いくつか申し上げたい。まず、「国民の理解の増進」について、ADRという言葉のみならず、ADRそのもの、すなわち、裁判以外の手続があることそれ自体について国民の認知度を上げていくことが重要であると思う。国民にとってトラブルは日常茶飯事の出来事である。国民から身近な存在としてADRがあることを含め、理解の増進を図ってもらいたい。また、初めの頃の検討会で何回か申し上げたが、理解を増進するためには2つのポイントがあると考えている。
  1点目として「苦情」、「相談」、「調停」、「仲裁」、「裁定」などADRには様々な用語が用いられているが、それらの言葉の定義付けをきちんと行ってもらいたい。また、自分は現在どのような立場で物事を解決しようとしているのか、その次のステップにはどのような選択肢が用意されているのか等をしっかりと定義づけられたい。さらに、2点目として、「ADRとは自主的な紛争解決の仕組みである」ことを認識することについても、国民の理解の増進にとって重要な要素なのではないかと考える。
  「関係機関間の連携」については、行政型ADRと民間型ADRとが連携することが大切なのではないかと考えている。このような連携は、消費生活センター等を皮切りとして、行政側の動きとして既に出てきており、そのような意味においては、速やかに既存の民間ADR機関はADR法の規定に則って自らの規定を点検し、透明性を上げ、行政型ADRとの連携を図ってもらいたいと考えている。
  「担い手の育成」については、先日の参考人質疑において青山座長や日弁連松尾副会長が「これが一番のポイントである」と述べていらっしゃったが、それについては私も全くの同意見である。
  「法的効果」については、裁判では判例という形でその結果が反映・蓄積されていくが、ADRでは解決ばかりに主眼が置かれてしまい、解決の結果が公の財産になっていかないことは非常に勿体ないことだと思う。できるだけ、それらのプロセスについても公の財産になるような道筋をつけてほしい。
  また、資料に掲げられていない事項であるが、ADR機関に対する扶助の仕組みの構築、ネット取引や金融取引などの国際間におけるADRの選択・連携の仕組みについての考え方の整理、認証をとらないADR機関はどのような形で存在するのかについての考え方の整理などもよろしくお願いしたい。

○ 「国民の理解の増進」について、具体的には、最近「法教育」についての議論が非常に盛んに行われており、推進本部も関わりつつ、法務省を中心に検討が行われているところであるが、このような「法教育」については、子供の時からよく周知し、常識にしていくことが重要と考える。三権分立のような抽象的な制度論ではなく、「このようにすれば紛争が予防・解決できる」などということを強調して教えることが重要との提言もなされており、このような観点からすれば、ADRの重要性を子供の頃から教えていくことは重要であると考える。
  「担い手の育成」については、将来的にはADR士などについて検討を行うことは十分に考えられると思う。法的な能力のみならず、話し合いを促進する能力が重要であるとの認識はADR検討会でも確認された事項であり、そのことが確認されたことはADR検討会における大きな成果であったと思う。現段階においては、話し合いを促進する能力とは具体的にはいかなるものかについてコンセンサスを得ることは困難であったが、中長期的には十分に検討に値するものなのではないかと考える。
  「裁判外紛争解決手続のルール」について、将来的にはUNCITRAL調停モデル法をモデルとした法整備を進めていってよいのではないかと考える。今回は、ADRについての基本法制の整備が目的であるということで、検討会の早い時期に具体的な調停手続法の制定については検討対象外とされたが、将来的にはこのような法律を別途検討することも必要なのではないかと考える。
  立法については、そこに十分な需要の裏付けがあることが必要であるが、仲裁法の例にもあるとおり、日本が世界的な流れから立ち後れて結果的に国際的な紛争解決の舞台における存在感を薄れさせてはならないと考えており、機敏に対応する必要がある。各国のモデル法の制定状況を見ながら日本でも中長期的な視野に立って法整備を検討することが必要と考える。
  「法的効果」について、執行力の付与の問題については、時期尚早ということで今回は見送られたものの、施行後、一定の期間、認証ADR機関の実情を見据えつつ、更に検討していく必要があると考える。執行力の濫用の懸念は本当に生じるのか、執行力抜きの制度が本当に実効的に機能していくのか等々を検証しつつ、何年か先に再び、執行力の付与の当否を検討する必要があるのではないかと考える。
  また、法律扶助について、今回は主として予算上の問題から断念したものと認識しているが、これについてはパブコメでも特段の反対意見はなかったものと記憶している。適切な解決方法がADRにも存するのだとすれば、利用者の資力の有無にかかわらずADRを利用できるようにするのが国の責務である。裁判も含めた様々な紛争解決の選択肢の中から最も適切な手段を選択する権利が国民にはある。
  この点については、総合法律支援法が制定され、民事法律扶助が支援センターの役割として位置づけられ、支援センターがADR機関等とも提携して実効的な紛争解決方法を保障していく業務を取り扱うものと承知している。司法ネットが構築され、法律扶助予算の充実が図られるであろうことも踏まえ、将来的には仲裁も含め、ADR全般に関する法律扶助の拡大について再検討することが必要と考える。

○ ADR検討会における検討が司法制度改革全体にどのように寄与するのか、現在の裁判制度が有する問題点についても司法制度全体が活性化する中で、迅速化や低廉化も含めて改善されていけばよいと考える。
  「理解の推進」については、仕組みの紹介のみならず、実績や事例などがどの程度利用者に手渡されていくのかが重要と考える。もちろんそれは、認証の有無を問わずそれぞれのADR機関が努力すべきであることは当然であるが、それを社会的をサポートする何らかの手立てがあってもよいのではないか。
  「担い手の育成」については、広い意味の相談、例えば、どのような道筋が当該紛争解決にとって最も適切なのか等を利用者に教えるようなアドバイザーが必要と考える。それぞれのケースについての苦情処理体制についてのフォローアップ体制を確立することも重要である。
  また、解決事例のみならず、様々な情報を開示することが必要である。最終的には認証の有無を問わず、必要な情報については各ADR機関が自主的に開示することが大切と考える。全体として良い方向性に進むようなADR文化が形成されることを切に希望している。

○ この検討会はADRの促進をテーマとして2年6ヶ月にわたる議論を行ってきたが、時間の制約等もあって、すべての事項について議論を尽くすことができたわけではないと考えている。ADRの促進、ADR利用者の利便の向上という観点から考えれば、これまで検討会において議論されなかった問題のひとつに行政型ADRの問題がある。
  行政型ADRは政策型ADRと言い換えてもよいと思うが、諸外国の中には一定の政策目的を実現する手段として一種の行政型ADRを活用する動きもある。消費者保護、中小企業保護、在日外国人保護、インターネット上の紛争解決などについて行政型ADRが活用されている国がある。 
  例えば、紛争当事者間に構造的な力の格差が存在する消費者保護や中小企業保護に係る紛争解決について言えば、そのような分野のひとつである労働分野においては労働審判制度が創設されたところである。また、このような分野については訴訟では適切な解決ができない場合が多い。裁判所の民事調停は司法の一部であるため、どうしても公平性が要求され、弱者に加担した構造をとりにくい側面がある。
  他方、民間型ADRにおいても、紛争規模が小さいために費用対効果を考えると、難 しい側面があることも事実である。
  とりわけ、一定の政策を実現するという観点を民間ADR機関に担わせることは困難であり、そのような場合においては、行政の積極的な関与が必要になるものと考える。国家予算を紛争解決に投入することを考えれば、法律扶助のみならず、政策型ADRに対して予算を投入することも考えられる。
  税金を一部投入することによって低額な利用料で弱者たる利用者が気軽に利用できるようにすることは、紛争の泥沼化や将来生ずる紛争を未然に抑止するとの意味合いにおいても、かえって、国家全体としては予算を節約できることになる可能性も少なくないと考える。
  また、ネット上の紛争について、現在、一部の公的な援助を受けたADR機関で実証実験が行われているところであるが、利用者から徴収する利用料だけではなかなかペイすることは難しいときく。このような機関に対しても継続的に公的な資金が投入される必要があるのではないかと考える。

○ 「国民の理解の増進」について、初等教育段階から紛争解決の在り方を教育していくこ とは重要と考えている。。
  また、今回、認証制度という新たな制度が導入されることにより、紛争解決手続についても様々な制度が並立し、それぞれの制度間において競争が行われることになるだろうと考えるが、このような状況になれば、利用者の声やデータを体系的に収集するなど、今後の有益な議論に結びつけていくためのシステムを構築することが望ましいのではないか。確かにADRには機密性などの問題もあるが、利用者の生の声をできるだけ体系的に収集し、今後の制度改善に活かしていくことが重要である。
  さらに、国民ひとりひとりが自らにとって最適な解決を選択できるようにするためには、現行制度においては、弁護士や隣接法律専門職種などのアドバイスが重要な要素となるが、それらの方々がADRを含め、より広い視野で紛争解決についての知見を積み、業種等を超えた横断的な議論や情報交換ができるような場を設けることが大切と考える。
  単に行政庁間において情報を共有するだけではなく、民間においても職種を超えた紛争解決についての情報収集ができるような国民にとってアクセスしやすい場が存在することは重要である。
  また、ADRのみならず、裁判所自体が更なる改革を行うことも重要と考える。裁判所が行う司法型ADRや行政型ADR、認証ADR、非認証ADRなどの様々な種類のADRが制度間競争により切磋琢磨しながら、それぞれに質の向上を目指すような状況になることが望ましいと考える。

○ これまでに決まったことを国民に広く知らせる「広報」が重要である。特に、ADRがどのようなルールでどのように解決するのかについては、広報のポイントになるものではないかと考える。国民に対して紛争に関する基礎的な知識、倫理をたくさん知らせていくべきである。

○ この2年半の議論を振り返って感じることは、日本に未だ裁判外紛争処理の概念が根付いていないところに法案を作ろうとしたために我々は非常な苦労をしたということである。今回、ADR法ができ、はじめて裁判外紛争解決という制度が法的に認知されることとなった。今後、この法律を運用する法務省がどのように法律を運用するのかがADRの行く末を左右する非常に大切なポイントになると思う。規制にも繋がらず、健全なADRの育成に繋がるような運用を行っていただきたい。
  また、紛争解決は決して儲かる仕事ではないことをしっかりと認識しておかなければ、制度が動き出したときに大変なことになると思う。ADRに携わる方々におかれては、紛争解決は儲からないけれども、裁判と並ぶ「車の両輪」のひとつであるという認識と気概を持ってADRに取り組んでもらいたい旨よろしくお願いしたい。

○ 資料に掲げられた事項の中で一番の問題点は国民の理解がないことだと考える。国民にADRを正しく理解してもらうのには非常に時間を要することであるし、ADRが本当に良いものになるかどうかは担い手や解決手続のルールなどにもよると考える。とにかく地道にやっていくしかない。
  日本人には裁判を行うよりも話し合いで解決した方が良いという国民的感情があると思う。話し合いで解決できなかった場合、このようなADRがあるのだということを広報することが重要である。
  ADR士については一つの検討課題なのではないかと考えるが、現在においても、隣接法律専門職種や弁護士などがおり、これらの資格を持たない方々もADRに参画していけるようにするためには、やはり資格を一本化し、個別法による対応ではなく例えば、弁護士会のような組織において登録や研修を一本化するような形での資格の統一を図っていかなければ難しいのではないか。
  行政型ADRの問題については、本日、御意見が出るまでは考えていなかったことなので、今後の宿題とさせていただきたい。

○ 国民の理解の増進などの事項については私自身もADR実施者としての立場から色々と考え、行ってきたつもりであるがなかなかうまくいかない。したがって、今、改めて中長期的な課題についての意見を求められても良いアイデアが浮かんでこない。
  特に認証制度が導入されることによって、中長期的な見通しを立てることがさらに難しくなったと考える。例えば、認証ADR機関と非認証ADR機関はどのように連携していくのか等の問題については、かなりの難題なのではないかと考える。
  したがって、本日の段階で中長期的な見通しを求められても難しいので、これからの宿題ということにしていただければと思う。

○ 消費者の立場から見れば、第三者を交えた紛争解決を望む気持ちが強いのではないかと考える。それがうまく結びついていないのではないか。中長期的な課題として、紛争解決手段として裁判以外にADRが存在することをきちんと世の中に打ち出していくべきと考える。
  行政型ADRと民間型ADRとの連携については、消費者業界では大きな課題となっている。例えば、利用者が消費生活センターに相談を求めるような場合、利用者は第三者に軽いアドバイスを求めており、本格的な紛争解決を求めていないのではないかと感じることがあるが、おそらくそれは、利用者がセンターが本格的な紛争解決を行う場所であることを知らないとの事情によるものであり、紛争解決を行う場所であることがわかれば利用したいと考えるのではないかと思う。そのようなことからも、国民の側のADRに対する理解をより深めることが大切と考える。
  また、先程、国際的なところでも規格化が進んでいるというコメントが委員からあったが、国際化標準化機構(ISO)で検討が行われており、顧客満足の仕組みの中で規格化が検討され、再来年の1月に発効するとのことであるので、座長メモにもその旨を一筆入れていただければ幸いである。

◎ 私からも一委員として意見を述べたい。
  先日の国会審議において、私の意見陳述が終わった後で中継を見ていたところ、ADRを立法する立法事実はあるのか、国として行うべきことは他にあるのではないかと質問した議員がいた。その根本としてADRが十分に認知されていないことがあるのではないかと考える。
  これは先程の「果たしてADRが日本に根付いているのか」という御指摘と全く共通の基盤によるものなのではないかと思う。
  私が参考人として議員に申し上げたことは3点ある。1点目はADRの拡充・活性化を図るためには、とりわけ民間型ADRに当てはまることであると思うが、ADR機関の質の向上が最も重要であるということである。自己点検と情報開示を定期的に繰り返すことによってADRの質は徐々に向上していくのではないか考える。
  2点目として、ADR機関相互の連携を保つ姿勢が重要ということである。横の連絡を行うような事務局的な機能を各行政型ADRや民間型ADRできちんと受け止めてもらえるだろうか。もし、それができないとすれば、総合法律支援法の支援センターの中にそのような項目があるし、法務省や監督省庁が協力して横の連携を図っていくような事務局的機能を築いてもらいたいと考えている。
  3点目として、最も大切なのは人材の育成であるということ。日弁連以外にもあっせん人、調停人や仲裁人を育成する機関が必要なのではないか。また、民間団体に任せきりにするのではなく、国の予算を投入することが必要なのではないか。社会に生起する紛争をADR機関が迅速・妥当に解決することが社会に対する貢献なのではないかと考える。ADR法の第4条の国の責務の中の「その他必要な措置」に担い手の育成も含まれるのではないか。認証業務を担う法務省に努力していただきたいと考えている。
  これほどまでに検討に時間を要した理由として、ADRについて学問的な蓄積がなかったことが挙げられると思う。このような反省の上に立って、先程、山本委員、三木委員の御協力もいただき、去る10月23日に仲裁ADR法学会という学会を発足させたところである。本学会により仲裁やADRの学問的深化、国際的動向の調査や実態調査に寄与することができるのではないかと考えている。
  ADRの拡充・活性化については、ひとつの決め手のようなものがあるものではなく、 様々な総合的な政策を進めていく以外に方法はないと考えている。
  他に何か意見はございますか。 

◎ それでは特に御意見もないようなので、これで議論を終わることにしたいと思う。委員の皆様からの御意見については、本日に出されたものだけではなく、議事録における意見も拾い出しつつ、数ページ以内の座長レポートとして取りまとめたい。先程申し上げたとおり、各委員の皆様に御確認した上で、事務局を通じて公表することにしたいと考えている。

 その後、山崎事務局長、小林参事官、座長から挨拶があり、ADR検討会の議論が終了した。

(以上)