第2回配布資料一覧

資料2−6

司法制度改革審議会における審議概要(「法整備支援・弁護士の国際化」関係)
〜司法制度改革審議会議事録(抄)〜




第13回審議会(平成12年2月22日)

○中坊委員

「(関連資格者との)協働ということからいたしますと、どのようになるのかについては、一つの参考として考えなければならないし、恐らくそこを検討しようと思えば、当然に我々としては、過去経験してきたことの中で、外国法事務弁護士というのが問題になってくるわけであります。私自身もアメリカのUSTRとこの点についていろいろ交渉を重ねてきたところでありまして、いわゆる限定されたものではなしに、弁護士資格を有する者が、日本において法律事務をやることについてどうなるのかという問題があります。この点については、法律ができまして、外弁法3条におきましても、日本国内における訴訟代理権や民事執行法上の代理権は認められていないということが重要であろうと思いますし、また、外国法事務弁護士が日本弁護士と共同事業を行うのには、日本弁護士連合会への届出を必要とし、日本弁護士連合会の指導監督、懲戒権に服するということが前提になって認められておるものであります。」

集中審議(第1日)(平成12年8月7日)

○木委員
「この間、連休中にイギリスのクリフォード・チャンスに行かせていただいて、いろいろな話を聞いて、これは日本はかなわんと思いました。・・・(略)・・・例えば今、会計事務所のビッグ5と言われるのは1社で2兆円。どんどん司法の国際化、グローバル化が進む中で、日本の企業も日本の国民も、そういう広い意味で言うグローバル化されたという状況の下で、外国弁護士問題というのがありますね。あれもしばらくしたらWTOなどで論議が進み、相互参入の問題では、日本は別だということで恐らくそう頑張れないと思うんです。これだけ法人化も進んでいない日本の弁護士業界が、そう簡単に対応できると思う方がおかしいような状態に国際的にはなっていくのではないかなと思うんです。そういう意味では、日本の法曹人口が小さいから外国人弁護士をどんどん入れてくださいとは、普通、国民は言いません。そうならないように何とかしようではないかというのが普通の反応だと思います。・・・(略)・・・当座は隣接職種などの皆さんの、いろんな意味でのお役目をクッションのように、事務所の共同化とか、最近マルチ・ディスプリナリー・プロセス・オブ・ローとか、ああいう世界などは、そういうところでしのぎを削り、世界的にその指向を広げていくと思います。そういうことも考えたら、弁護士人口と外国人弁護士との関係は、将来はかなり問題になると思います。お隣の中国が数年うちに50万人にするということで一生懸命やっておられる。・・・(略)・・・確かに質も大切なんですけれども、法曹人口論というのはそういう意味でもう少し複眼的に論ずる必要がある、もう少し多元化して考える必要があるのではないかと思います。」

集中審議(第2日)(平成12年8月8日)

○石井委員
「弁護士が、隣接法律専門職種等に独占業務の一部を開放して協働化を進め、その専門性を活用し、また外国法律事務弁護士とのパートナーシップ及び雇用の見直しを行うなど、トータルとして質の高いサービスを提供することを可能にすることが重要であると思っております。・・・(略)・・・現在の経済活動の状況を鑑みると、企業はグローバルな活動を展開し、種々のリスクを回避していくために、弁護士の力が絶対に必要不可欠となっております。従来型の法廷活動や第三者的助言といったものにとどまらず、高度な専門性、国際性を有する先端分野での予防法務及び経営戦略の担い手としての役割が重要になっています。・・・(略)・・・「C積極的に外へ目を向ける意識」でありますが、これまで、我が国のいわゆる渉外事務所は、一般の企業と異なり所属弁護士を海外に留学させても、一定期間を経ると呼び戻して国内で勤務させ、海外の巨大ローファームとの国内における競争に備えるという守りの姿勢に徹する例が多く、海外に支所を設け、その国の依頼者を獲得し、欧米の巨大ローファームと対等に競争していくという姿勢が乏しいように見受けられます。このような内向きの意識が、弁護士事務所の国際化や経営基盤の強化を妨げる一つの要因となってきたように思われますし、この分野における諸外国との競争に必ずしもよい影響を及ぼさなかったように感じられます。最近では、中国や韓国といったアジア諸国から企業間取引に派生する司法分野への脅威もあると聞いています。こういったことに日本側がほとんど対策が立てられないというのが実情だと思います。」

○吉岡委員
「法律事務所の規模の拡充、態勢整備では、まず法人化、共同化を考えるべきではないかと考えます。弁護士業務の執務態勢についてみますと、現在の訴訟手続が当事者主義を基調としていることから、訴訟当事者の代理人である弁護士が迅速で充実した審理の実現のために果たすべき役割は重要だと考えます。 しかし、御承知のように、日本の場合、法律事務所は個人経営が主流で、しかも1人の弁護士がやっている事務所が非常に多いという状態から、1人の弁護士が抱える訴訟件数も多いということで、期日が入りにくいという問題も指摘されているところでございます。ひるがえって、海外の法律事務所を見ますと、非常に巨大な規模の総合事務所がたくさんございまして、1,000人を超えるような弁護士を雇用して機動的に活動している実態が、ゴールデンウイークのアメリカの視察でも、クリフォードチャンス&ロジャース法律事務所等を見学させていただきまして、その規模の大きさと充実している内容に、私も大変驚きまして、日本の事務所は太刀打ちできるような状態ではないと感じました。そういう意味からも、早急に弁護士事務所の法人化を進める必要があります。・・・(略)・・・それから、今、海外と太刀打ちできないということを申し上げたのですけれども、弁護士及び弁護士事務所の国際競争力が必要だと思います。海外の巨大なローファームと比較しますと、日本の最大規模の弁護士事務所でも100 人程度、一番大きなところで110 人と聞いておりますが、その程度でございます。そういう意味で、規制緩和が進んで、国際化・国際競争が進んでくる流れの中で競争していくということは、非常に不利な状態に置かれるのではないかと思います。そういう意味で共同化、総合化、法人化を早急に進める必要がある。同時に、海外弁護士との提携・協働あるいは海外への進出についても考える必要があるのではないかと思われます。」

○木委員
「(事務所形態の多様化について)「相互の雇用の解禁」というところが非常に大きな隘路になるだろうと私は思うのですが、この雇用という概念と今の弁護士資格みたいなものがどう関わるか。ここに「雇用の解禁」というふうに書かれましたが、・・・(略)・・・外国の巨大ローファームなり、あるいはビック5と言われるところの問題にももろに関わってくる話で、先ほど「市場」という言葉もありましたけれども、この雇用の解禁問題あるいは法人化問題は、「日本の法曹市場を外国法人に蹂躪されてもいい」、「それは嫌だ」と、突き詰めていくとその辺の議論まで及ぶ話だと思うのです。」

○石井委員
「いずれにしても弁護士を増やすと一言で言っても、ただ、やみくもに一般の弁護士さんを増やすというのが果たして今の時代に合っているのか、そういう気がしております。・・・(略)・・・とにかく今の我々企業が非常に困っているというのは、・・・(略)・・・特許・先端技術の権利問題、国際取引、この2つが本当に各企業にとって頭痛の種なわけです。したがって、これをハンドリングできるような弁護士が出てこなくては外国にも勝てないし、やっていけないということになります。・・・(略)・・・ですから、そういう意味で、私がさっき申し上げた中で、何でもいいから外国の学校へも行かせる、そのぐらいのことをやって、国際性を身につけさせるようにしなければならないと思います。これからの世の中は外国語が堪能でなければやっていけませんし、そういうことがこの審議会で余り論議されなさすぎるのではないか。そういう気がしておりますので、そこら辺のことを少し申し上げさせていただきたいと思います。今、企業が本当に困っていて、これからますます必要になってくるのが、さっき申し上げた特許関係と国際取引です。これらが最大の問題になって、日本の国力維持とかそういうことに対して非常に大きな問題になってくるのは目に見えているわけですから、これを何とか解決しなければいけないというのが1つの大きなポイントになるのではないか、そう思っております。」

第28回審議会(平成12年8月29日)

○井上委員
「外国法事務弁護士との関係のところなのですけれども、日弁連のペーパーではいろいろの問題点が指摘されていて、特に外国法事務弁護士を出先とする大きな外国の事務所に雇用されることになると、それによって支配されてしまって、独立性とか社会的責任が果たせないのではないか、そのような御趣旨だと思うのですが、本当にそうなのかどうかということが、ちょっとよく分からないのと、もう一つは、一番最後のところで、将来的な検討課題としてはそういうこともあり得ると書かれているのですが、これは結局、日本の弁護士さんがそれだけの体力と数とを備えて対抗できるようになれば考えてもいいよということなのかどうか。」

○日弁連(久保井会長)
「外国法事務弁護士の問題につきましては、・・・(略)・・・現在、実は日本の弁護士も国際業務についてすごくレベルアップしてきておりまして、東京などでは相当な数の弁護士が、しかも国際的に、アメリカとかヨーロッパの弁護士に負けないだけの力量を備えて活動している弁護士も非常に増えてきております。だから、基本的にはこれから日本の弁護士の人口を増やすことによって、日本の弁護士が国際業務に強くなっていくと。そして、日本の会社なり市民のニーズに十分応えられるようにしていくというのが日弁連の役割だと。外国のものを借りてきて間に合わせるというのは、これは私は邪道だと思っておりますので、国際的な弁護士を日弁連としてどんどん育成していきたい。そういう意味で、今の外国法事務弁護士を余り開放することについては、トータルとして慎重であるべきではないかと思っています。」

○井上委員
「恐らく実態としては、外国法事務弁護士自身が日本の法律事務をやりたいというふうには考えていなくて、むしろ日本の弁護士さんを雇って、日本のマーケットに参画したいというのが真意だと思うのです。コストの面から言ってもですね。そうであってもなぜいけないのかというのが、ちょっとまだよく分からないのです。」

○日弁連(久保井会長)
「外国の、ビジネス・オンリーとは言いませんけれども、非常に商業主義的な弁護士、渉外事務所が日本に入ってきて、日本の弁護士を使って、商業主義的な法律実務活動をどんどんやっていくことについては、日弁連の代表としては、好ましいことではないとは考えています。そこは一つの価値観の問題かも分かりません。 」

○竹下会長代理
「私は、第二次外弁問題と言われたころに関係していたのですけれども、少なくともそのころ、必ずしもほかの国もそれ程開放的ではないように受け取っていたのです。EU諸国内では非常に自由なのですけれども、EU諸国以外の国の弁護士がEU国内で業務をするということについてかなり制限的でした。アメリカでも、ニューヨークとか幾つかの州は非常に開放的なのですけれども、州によっては必ずしもそうではないという状況がありました。」

第29回審議会(平成12年9月1日)

○日弁連(川村外国弁護士及び国際法律業務委員会前委員長)
「我々の立場でございますが、弁護士業の国際化ということにつきまして、単にこの審議会で取り上げられているにとどまらず、全世界の弁護士会で現在非常に重要な問題となっている点でございます。これは1990年代になりまして、加速度的に重要な問題になってきたのでございますが、これが1995年にできましたWTOにおいて法律サービスの市場開放を巡る問題という形で取り上げられましたために、より問題の緊急性が増したものでございまして、日弁連のみならず、また、この審議会のみならず、全世界の弁護士会、あるいは弁護士会の連合会といったようなところで、この問題について非常にホットな議論を続けているところでございます。・・・(略)・・・この国際化の問題は、おおむね二つの問題に集約することができます。一つは、日本では外国法事務弁護士と呼んでおりますが、外国弁護士の扱い方の問題。もう一つ、MDPと盛んに言っておりますが、これは日本の規制緩和の3か年計画などでは、総合的法律経済関係事務所と呼ばれているものに当たるものかと思われます。要するに、異業種間、あるいは他業種、プロフェッショナルの間での共同事業という問題でございまして、弁護士会では専らMDPと呼んで、この問題を協議しているものでございます。この外国弁護士の問題でございますが、御存じのように、日本は外国法事務弁護士という制度をつくりまして、3度にわたりまして、その自由化措置も行いまして、非常に完成された制度を持っております。一部には、まだまだ後進的であるとかいう批判もございますが、それは必ずしも的を得ておりません。後ほどもう少し踏み込みますが、全世界の弁護士会の国際的協業システムというのは、大体この日弁連のシステムに統一化されつつあります。唯一の例外はフランスでございまして、フランスはそのために非常な混乱を経験しております。・・・(略)・・・そういうわけで、この外国弁護士問題というのは、国際的な場でもやや下火になっております。ホットな話題ではございません。今、最もホットな話題になっているのはMDPでございます。・・・(略)・・・アメリカでございますが、これは法務省の御報告にもございましたが、外国弁護士問題につきましては、我々に対して要求するところは非常に急でございますが、自分たちの州について申しますと、いまだに半分以下の州でしか、この制度は導入されておりませんで、ABAの影響力もこの点では非常に小さいという状況でございます。英国は比較的自由だったのでございますが、しかし、制度としては自由でございますが、入国管理のシステム、あるいは弁護士倫理といったような形で、実際には外国弁護士の活動を自由にはしておりません。英国は法務省の資料によりますと、共同経営は自由だとなっておりますが、実際には共同経営に参加する弁護士は、全部ロー・ソサエティーのメンバーでなければならない。イギリスの弁護士会のメンバーでなければならないという規定を設けることによって、有名無実にしておりまして、事実上、共同経営は不可能になっております。フランスは、独自の道を歩みまして、外国事務弁護士の制度をつくらず、外国人でもフランス人でも、フランスの司法試験を通れば全部資格を認める。そして、自由にロー・ファームをつくることができるという制度を導入したのでございますが、その結果、実際には新しく外国から弁護士が参入することを非常に困難にしたばかりでなく、フランスの弁護士の実務において、事実上フランスの伝統的なアボカの立場が非常に小さくなる。現実にどういうことかと申しますと、フランスの大きなロー・ファーム10個を取りますと、そのうちの8個までは外国のロー・ファームか会計事務所に直結するロー・ファームになっておりまして、純粋にフランスのアボカのロー・ファームは二つしか残っていないという状態になっておりまして、これは自由競争の結果そうなんだと言うべきなのか、それともフランスの法律制度の在り方にとって妥当なのかどうかという問題を提起しているところでございます。我々は率直なところ、フランスはこの弁護士の制度の国際化に失敗したと見ているところなのであります。ドイツは比較的昔から職業資格の区別が割合に自由でございまして、専門共同経営も非常に広く認められておりまして、そしてまた、アメリカ、イギリスのロー・ファームの活動も比較的早くから認めていたのでございますが、ドイツの弁護士自身が比較的早くから大ロー・ファームをつくったということで、比較的うまく共存しているところでございます。しかし、これもつぶさに見てみますと、ドイツ、イギリス、フランスはそれぞれEUの1国なのでございますが、御存じのように、EU内部ではこれは資格の相互承認制度というものを進めておりまして、相互に自由に行き来して、自由に法律の業務をすることができるようにしております。しかし、ひとたびEU域外、例えば日本の弁護士、アメリカの弁護士ということになりますと、これは各国の制度に委ねられておりますが、ドイツの場合もこれをなかなか厳しく制限しておりまして、例えば日本の弁護士がドイツに参入するということはやりにくくしております。・・・(略)・・・我々、日弁連の対応でございますが、1995年のWTOに至りますGATSの交渉の締結の際には、日本の弁護士制度の問題がなかなか一つの問題でございました。GATTで最後に残った問題はコメと弁護士だけだといって非難されたときがあったのでございますが、この際日弁連は自発的に、我々が各国を回って研究をいたしまして、そのとき外弁法の相互主義というものが、このWTOの成立に一つの障害になっているということを発見しまして、これをWTO加盟国に関する限りは撤廃するという方針を出しまして、まとまった経緯がございました。これがこの問題の1994年のGATSの最終決着に大変な役割を果たしたということを指摘しておきたいと思います。それから、このMDPの問題に少し戻りますが、このMDPは、日本では先ほど申しましたように、総合的法律経済関係事務所と呼ばれている制度でございますが、これの主たる問題は、いわゆるビッグ・ファイブと呼ばれています5大会計事務所の傘下に入った法律事務所の問題なのでございます。5大会計事務所につきましては、・・・(略)・・・要するに巨大な存在でございます。このような会計事務所と結びましたロー・ファームの影響でございますが、これは提出している資料ではございませんが、1999年11月現在の世界の弁護士数別トップ10のロー・ファームの資料がございます。それによりますと、実はクリフォード・チャンスという英国系の事務所が2,518 人を擁しまして、世界最大。2番目は、ベーカー・マッケンジーというアメリカ系の法律事務所が2,432 人を擁しまして、世界第2位なのでございますが、3番がプライス・ウォーターハウス系、4番がアーサー・アンダーセン系と、世界4大事務所の3番、4番を、今や会計事務所の経営いたします法律事務所が占めております。5番、6番は実はアメリカの法律事務所でございますが、7番には、KPMGという会計事務所、1,264 人の弁護士。8番がエバー・シェッドという、これもヨーロッパ系の会計事務所で1,010 人。9番、10番とイギリス系のロー・ファームということになりまして、これはその1年前の統計にはこのような数字はありませんでした。その1年間にこれだけ拡大いたしました。大きな勢力となっております。このこと自体が危険なことではないと思いますが、これが世界の弁護士業の在り方に大きな影響を持っている問題であるということは、数を御覧になっただけでも、そして、その成長の速度を御覧になっただけでもおわかりになると思います。それは同時に、英米系のロー・ファームの大きさと拡大についても、同様の慎重な配慮が必要だということを意味しております。私は決してそのことが個人といたしましても、悪いことだとは申しません。恐らくいいことを一杯持ち込んでおります。率直に言いまして、日本の現在の弁護士業界に外弁、立派な数多くの英米のロー・ファームが日本に拠点を開きまして事業をやりましたことが、日本の弁護士業界にすばらしい影響を及ぼした、活性化したということは率直に認めなければならないけれども、だからと言って、最初からフランスのように、我々が手放しでやっていたら、今の姿があったろうかと思わざるを得ません。ですから、これは極めてよく利くワクチンだなと。そのワクチンの使い方には注意しなければならないということを意味しているということをよく御理解願いたいと思うのでございます。」

○佐藤会長
「弁護士の国際化を積極的に推進すべきであるということは、勿論御異論のないところかと思います。具体的には、弁護士人口の大幅増員、弁護士事務所の執務体制の強化、あるいは弁護士の国際交流の推進、あるいは他の専門資格者や外国法事務弁護士等との提携、協働を進めるということによって、国際化に積極的に対応し、国際競争に耐え得る質の高い法律サービスの提供を目指すべきである。これもこれからまさにやらなければいかぬことだと理解してよろしいのではないかと思います。」

○中坊委員
「これ(弁護士と国際化/外国法事務弁護士等との関係)は非常にいろいろな外国との関係で、しかも諸外国との間の関係がありまして、非常に抽象的なのはいいけれども、やはり協働化というところまではいいけれども、例えば雇用ということはいまだに非常に大きな政治問題でして、これは法務省の方も拒否されておるんでして、何も外国の方に日本の弁護をされるということについては、やはりいまだに抵抗があるわけです。だから、国際化だから、何もかもが向こうの言うままになってよいということではないと思うんです。しかも、日本の今までの外国法事務弁護士という制度を設けて、その下にやってきて、今、世界的にも日本がえらい問題になっているということではないわけですから、それをやはり前提にしていただかないと、今おっしゃるように、私ら外国の方は正直言ってわからないのだし、そこは今のように幅を持った表現にしていただくのが適当じゃないかという気がします。」

○竹下会長代理
「必ずしも弁護士だけの問題ではなく、日本の司法全体の問題だと思いますが、国際的活動に関する問題としましては、日本の司法の国際的貢献、具体的には発展途上国の法整備支援の問題があるように思うのです。幾つかの団体からの提言にもございましたし、日本弁護士連合会も積極的に取り組んでおられるところだと思います」

第39回審議会(平成12年11月28日)

○水原委員
「アジアの法整備に対する支援というのは、単なる発展途上国に対する援助という発想だけではなくて、国際社会における法の支配を推し進めて、法的ルールに基づく経済的、社会的交流を発展させていくという意味では、比較的重要な課題であろうと思います。そして、このような課題は、法曹三者や関係省庁、経済界、学会等、官民が連携協力して積極的に推進すべきであろうと思っておりますが、これに関しましては、古くから法務省の法務総合研究所のアジ研が、国連やJICAとの連携によって犯罪防止関係の国際セミナーとして行ってきておりますけれども、最近、経済界からの協力も得て、民・商事関係の法整備支援への取り組みも行っているようですが、できればこれは関係組織からのヒアリングを行って、そして、これらの支援の在り方や充実の仕方、方法、これについて十分検討していく必要があるのではないかという気がいたします。殊に最近、東南アジア、中近東における法整備の不十分さ、それから、それぞれのノウハウを持っておりませんし、それから人材の育成も十分できていないという点を考えるならば、相当我が国における支援体制を検討していくことを提言していく必要があろうと。その点からも、十分ヒアリング等を行う必要があるのではないかという気がいたしますので、どこかで入れていただければありがたいと思います。 」

第44回審議会(平成13年1月23日)

○法務省(太田司法法制課長)
「我が国の外弁制度につきましては、当審議会においても、既に資料を提出して御説明いたしましたように、米国やEU諸国から、外弁と日本弁護士のパートナーシップや、外弁による日本弁護士雇用の解禁、職務経験要件の廃止ないし緩和などの要望が出されておりました。さらに、その後におきましても、欧州ビジネス協会(EBC)や英国、また我が国の外弁の方々で組織している外国法事務弁護士協会等からも、法務省にあてて、・・・(略)・・・資料や要望が提出されております。これらの要望におきましては、外弁による日本弁護士の雇用やパートナーシップを認めるなどして両者の提携の在り方を更に自由化することによって、日本弁護士の国際性や専門性が強化され、クライアントに対して一層良質なサービスを提供することが可能になるであろうと強く指摘されております。また、これらの要望等の中では、特定共同事業制度についても様々な問題点が指摘されております。特定共同事業とは、外弁法が定めている制度のことですが、簡単に申し上げますと、法律事務について、何らかの渉外的要素、例えば、適用する法令が外国法であるとか、当事者が外国人、あるいは外国企業であるなどの要素があるものであれば、5年以上の実務経験を有する我が国の弁護士と外国法事務弁護士とが、組合契約などの方式によりまして、それぞれの事務所としての独立性は維持しつつ、共同して事業を行うことができるというものでございます。ところが、この制度の利用状況ははかばかしくなく、現時点での外弁は全国で149 名おられますが、特定共同事業の届出数は10件であり、これを行っている外弁は20人にとどまっております。特定共同事業制度の問題点としましては、例えば、特定共同事業として扱える業務の範囲などが分かりにくく、その制度の内容が特に海外のクライアントになかなか理解してもらえないこと、また、物理的には同一場所に事務所が置かれたとしても、法律事務所としては異なる二つの事務所、つまり外弁事務所と日本の法律事務所とに所属する者の共同による法的意見書は、一つの国際法律事務所に所属する者による意見書に比べまして、クライアントから信用を得にくいことなど、外弁事務所と日本の法律事務所の分離が義務付けられている現行の規制による弊害等が挙げられております。当審議会の中間報告では、「外国法事務弁護士等に関する制度及びその運用の見直しについては、国際的議論をもにらみつつ、利用者の視点から臨機かつ十分に検討すべきである。」とされているところでございます。法務省としましては、外弁が日本の弁護士を雇用するということについては、日本の弁護士としての資格を有しない者が日本の弁護士を指揮・支配することになるため、問題が多いと考えております。しかしながら、せっかく制度が設けられた特定共同事業の使い勝手が悪いという外国からの指摘の中には、傾聴すべき点も少なくなく、何よりもその実績が思うように伸びていない状況を考えますと、外圧があるからという受け身の論理ではなく、むしろ日本の弁護士が国際社会における競争的環境においても、一層の力を付けて活躍することを促すという意味におきましても、対等の関係において成立する特定共同事業については、現行の諸規制を緩和する方向で検討が求められるものと考えております。」

○石井委員
「国際問題を取り扱う弁護士さんが非常に不足しているというのは御存じのとおりですが、先ほどのレポートを拝見しても、それに対してどうやって短期間に積極的に増やすかということについて、今一つ説明不足という感じがいたします。勿論、ロースクールができたら、そこで養成すればよいという考えは分かるのですが、もう少し短い時間で積極的に増やせないと、日本自体が海外からの圧力に抗し切れない状態になってしまうと思うのです」

○日弁連(久保井会長)
「今のところは、外国関係の渉外事務所の求人は大変なものでして、修習修了者が一つの事務所だけで1年間に10人とか、多いところは20人を一括採用するという形で、相当な規模で事務所に就職する若手の弁護士が増えておりますので、かなり急速にそういう能力を持った弁護士が増えつつあるとは思いますが、日弁連として、基本的な計画なり目標を立てて努力するということは今のところできておりません。しかし、例えば、大企業で管理職に登用する場合には、国際的な外国語の試験で600 点以上でなければ課長になれないとか、そういうことをやっているくらいですから、弁護士の外国語教育なり、外国法教育なり、ロースクールが3年も先になるんであれば、それまでに間に合うような形で考えなければいけないとは思っております。」

第46回審議会(平成13年2月2日)

○藤田委員
「日本の弁護士は、勿論数も増やさなければなりませんけれども、専門化、国際化、レベルアップということをしなければ生き残れないということが言われているわけでありまして、イギリスに行きましたときに、全世界で3,700 人の弁護士を抱えているというクリフォード・チャンスで話を聞きました。そのときに、十幾つかのセクションに分かれて専門化されていて、そこにいる日本人のソリシターの話によると、クリフォード・チャンスも日本をマーケットと想定してねらっているんだということです。もしクリフォード・チャンスが日本に入ってくれば、日本の弁護士は蹂躙されるだろうと、・・・(略)・・・言われておりました。現在、更に問題になっておりますのは、会計事務所による法律分野の支配であります。世界のビッグファイブと言われている会計事務所が、弁護士を抱えて弁護士の業界を侵食しているということです。フランスは、もうほとんど蹂躙されてしまっているというふうに言われております。そういう点から言いますと、・・・(略)・・・これに対抗するためにアメリカの巨大ローファームが数千人、あるいは1万というような数の弁護士をそろえた巨大ローファームを作って対抗しようというような動きがあるという新聞報道がございました。そういう世界の動きということを考えれば、やはり弁護士というのは相当程度のレベルアップ、専門化、国際化ということを図らなければ、外国の弁護士と太刀打ちできなくなる、フランスと同様な状況になると考えられます。会計事務所に抱え込まれてしまうのではないか。むしろ弁護士界としての問題は、そういう会計事務所との闘いにあるのではなかろうかというふうに考えているわけであります。」

○佐藤会長
「今言いました日本の弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働の在り方なんですけれども、外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用の問題などについては、もっと広い視野といいますか、国際的な問題とからめて考えなければいかぬので、そう軽々に結論を出せることではないんだろうと思いますが、さしあたり特定共同事業などについては要件を少し。」

○竹下会長代理
「私は第1次外弁研究会と言われた研究会に関与していたわけでございますけれども、私どもはそのとき提案いたしましたのは、現在の外弁法の49条2項を改正して、外国法事務弁護士が組合契約、その契約によって特定の弁護士と外国法事務弁護士とが多様な形で共同事業を行えるようにするべきではないかということであったのですね。それが、実際には、49条2項には手を付けずに、49条の2という新しい規定を設けて、そこで例外的に共同事業を認めるという方式になった。それはそれでいろいろ事情があったので、そのこと自体は構わないと思います。それから、その後、何回か共同事業の範囲を広げてきたというのはそのとおりなのですが、・・・(略)・・・やはり外国の人たちから見ますと、非常に複雑でいろいろ枠がはまっている。日本の弁護士事務所と外国法事務弁護士の事務所は別々でなければいけない。一つの事務所を共同で経営するというようなのは駄目とか、そういう点で障害が多いというところが問題になってきているように思いますので、一挙に、全く自由にしてよいかどうかは別ですけれども、やはりせっかくこういう制度をつくり、これは日本の企業のため、あるいはこのごろは個人でも簡単に外国といろいろな商取引をする時代になってきましたから、日本の国民ももっと渉外的な法律サービスを容易に受けられるようにするという必要があるのではないか。そういう意味では、もう少し利用しやすい形に改めていくという方向に検討することにしたらどうだろうかと思います。」

○吉岡委員
「アメリカで巨大事務所を見て、質問をいたしまして、個人の問題はどういうふうにしているかということを質問しましたら、企業業務がほとんどなので、個人の相談には応じないという御回答だったんです。巨大ローファームが日本に入ってきて、それで日本人の弁護士を雇用するという状況になってきてしまったときに、個人の利用ができるような弁護士事務所というのは、非常に少なくなってしまうとか。アメリカでも半分くらいあるそうですけれども、そういうことで、企業対象の法律事務所は非常に使いやすくなっても、企業対象ではない一般の国民が利用するとか、零細な企業が利用するという視点で利用のしやすさと言いますか、そこのところがなくなってくるというのは非常に困る問題だと思っております。」

第58回審議会(平成13年5月8日)

○佐藤会長
「国際化の話ですけれども、なぜ司法制度改革が必要なのかということについて、いろいろな人に聞かれるんですけれども、国の中だけで考えて、今になってどこをいじる必要があるんだというように言う人が少なからずおられるんですが、国際関係で考えて、こういうこともあれば、ああいうこともあると言うと、ああ、なるほど、そういうことですかということで、初めてよく分かっていただけることも私は経験してきました。そういうことで、国際化の視点が極めて重要だということはそのとおりだと思います。その辺の気持ちを、「国民の期待に応える司法制度」のところで、一つの項目として取り上げたんですけれども、「司法制度改革の基本理念と方向」のところでも言及させていただこうというふうに思っております。」