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裁判員制度・刑事検討会(第11回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり

1 日時
平成15年1月28日(火)14:00〜17:15

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
池田修、井上正仁、大出良知、酒巻匡、四宮啓、井康行、土屋美明、樋口建史、平良木登規男、本田守弘(敬称略)
(事務局)
大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、辻裕教参事官

4 議題
「公訴提起の在り方」について

5 配布資料
資料1 検察審査会制度について
資料2 検察審査会制度の手続の流れ(イメージ)

6 議事

 配布資料1「検察審査会制度について」(以下「たたき台」という。)に沿って、公訴提起の在り方について議論が行われた。
 議論の概要は以下のとおりである。

(1) 検察審査会の議決に対するいわゆる法的拘束力の付与
 たたき台の「1 検察審査会の議決に対するいわゆる法的拘束力の付与」に関し、主として、以下のような意見が述べられた。

ア いわゆる法的拘束力のある議決の種類について(たたき台1(1)の関係)

・ 積極的に起訴すべきという趣旨である起訴相当の議決に法的拘束力を付与するのが相当である。

イ いわゆる法的拘束力のある議決の要件に関し、検察官に対し、検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えることを必要的とすることの当否(たたき台1(2)アの関係)

・ 検察審査会が不起訴処分の理由を十分に理解した上で判断するようにするため、起訴相当の議決をする前提として、検察官の意見を必ず聴くものとすべきである。

・ 議論のために敢えて言うと、アマチュアの検察審査員がプロの検察官に言い負かされるおそれがあり、検察審査会制度の趣旨が没却されるという意見もあり得るだろう。

・ 検察官の出席説明は、プロがアマチュアを言い負かすためではなく、判断の前提として、不起訴処分の理由を十分に理解してもらうためのものである。起訴という重要な決定をする以上、慎重を期し、検察官から直接意見を聴くのが相当である。

・ 検察官の意見を聴くことにより、被疑者等の事件関係者の供述についても検察官を通じて知ることができるというメリットもあり、起訴相当の議決をするのであれば、検察官からの意見聴取を必要的として良い。

・ 起訴相当の議決に際して、慎重に検討することと、検察官からの意見聴取を必要的とすることとは、直接には結びつかないのではないか。

・ 検察官からの意見聴取の必要性は理解できる。議決の要件として、いわゆる二段階案を採るときにまで必要かという問題はあろうが、検察審査員にとっては、不起訴処分の理由について、不起訴裁定書等の記録に記載された理由だけでなく、検察官から直接十分な説明を聴いた方が分かりやすいだろう。

・ 検察官からの意見聴取には、起訴される被疑者の立場を考慮し、手続の慎重を期すという意味もある。検察官の意見は必ず聴くことにすべきだろう。

・ 検察審査会が不起訴処分の理由を理解するのに、不起訴処分裁定書を見るだけでは不十分なのか。

・ 実務上、不起訴処分裁定書の記載は簡潔なものとなっていることがあり、検察官の出席説明が必要的でなければ、検察官は、すべての事件について、検察審査会への申立てに備えて詳細な不起訴処分裁定書を作成しておかざるを得ず、結果的に事件の迅速処理に逆行することになりかねない。

・ 検察官からの意見聴取を必要的とした場合、「アマチュアがプロに言い負かされる」という懸念のほかに、何か不都合な点はあるか。

・ 特に思い当たらないが、検察審査会が必要な資料を取り寄せて見ることができるのであれば、適当な判断を下すことは可能とも思う。

・ 検察官からの意見聴取を必要的とすることに、特に問題はないのではないか。

・ 検察審査会の審理の内容は非公開とされており、素人の自由な議論が保障されることが大前提となっているから、検察官からの意見聴取が必要的となった場合でも、検察官が検察審査会に常時出席しているということにはならないようにすべきである。

ウ いわゆる法的拘束力のある議決の要件に関し、被疑者に対し、検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えることを必要的とすることの当否(たたき台1(2)アの関係)

・ 起訴という被疑者に不利益な処分が行われるのであれば、被疑者に、弁明する機会が保障されるべきである。以前、被疑者が粗暴な言動に及ぶ可能性が指摘されたが、例えば、検察審査会に、警察官の立会いを求める権限を認めることで対処できるのではないか。

・ 被疑者からの意見聴取を必要的とするのは適当でない。検察審査会制度は、検察官の不起訴処分について審査する制度であり、検察官と被疑者の関係を対抗的にとらえて、検察官の意見を聴くのならば被疑者の意見も聴くというのはおかしい。また、被疑者の弁明は、検察審査員が閲覧する不起訴記録の中に現れているし、検察審査会法37条により、検察審査会が必要と考えるときには、被疑者に出席を求めて説明を聴くことも可能であるから、被疑者からの意見聴取を必要的としなくても、被疑者の立場に十分配慮し得る。

・ 検察審査会の審査においては、被疑者と不起訴にした検察官の利害は一致しているともいえるし、被疑者が検察審査会に出席することによる弊害もあり得るので、被疑者の出席を必要的とすべきではない。

・ 検察官と被疑者の利害が一致しているとは言えず、起訴によって直接不利益を受けることになる被疑者に意見を述べる機会を与えるべきである。

・ 検察官の不起訴処分を前提とした類似の制度である付審判請求手続では、被疑者には、出席して陳述する機会が保障されているわけではない。これとの関係をどう考えるのか。

・ 付審判手続と検察審査会の手続とは性格が異なる。付審判制度の趣旨は、公権力の行使に関する逸脱行為をチェックすることである。

・ 付審判事件の被疑者も被疑者であることに変わりなく、検察審査会の審査対象となっている事件の被疑者と変わらないのではないか。公務員だから人権保障が弱くても良いという議論は疑問である。

・ 被疑者の出席を必要的とする必要はない。検察官が不起訴処分とする場合には、捜査段階で被疑者の弁解・主張を十分に聴いており、その内容を慎重に検討した上で判断している。その判断が検察審査会の審査の対象となるのであるが、被疑者の主張・弁解は記録中に記載されており、それだけでは不十分なときには被疑者を呼んで意見を聴くことも可能である。検察審査会が被疑者の意見を聴かなければ判断できないということはない。

・ 審議会意見書が「被疑者に対する適正手続にも留意しつつ」としているのは、起訴相当の議決に拘束力を付与するのであれば、その議決に至るまでの手続が慎重になされ、十分な審理をした上で議決されることが担保されなければならず、その意味で、審理の在り方をも見直してみる必要があるという趣旨によったものであり、被疑者が検察審査会に出席して意見を述べることまで当然に含意されていたわけではない。

・ 検察審査会制度の趣旨は、検察官の処分の当否を審査することであるから、検察官の出席を必要的とすることは当然であるが、被疑者にも必ず出席を求めなければならないということにはならない。被疑者の人権保障については、検察官の出席説明を必要的としたり、リーガルアドバイザーを委嘱することで配慮するということではないか。また、付審判手続と検察審査会手続とで被疑者の扱いを区別することは、被疑者の間に不当な差別を持ち込むものである。

・ 不起訴処分を受けた被疑者の地位が、検察審査会により不利益方向に変更される可能性があるのだから、検察審査会制度の趣旨が検察官の不起訴処分の審査だとしても、被疑者から意見を聴く制度とすることはおかしくない。付審判手続との関係では、両者を整合的に考えるということも一つの解決として有り得る。

・ 検察審査会制度には罪種制限がないので、地元の有力者など影響力の強い者が出席する可能性もあり、検察審査員に不当な影響が及ぶおそれがある。また、民間人には自分を守る術がないのだから、物理的危険から守るだけでなく心理的負担を負わせないように配慮すべきだろう。

・ 必要的に被疑者に出席説明の機会を与えるとなると、被疑者に出席を求める旨を通知する必要があるが、被疑者の所在が不明である場合もあり、その通知自体に困難を来すことも考えられる。

エ いわゆる法的拘束力のある議決の要件に関し、検察官に再考の機会を与え、その結果をも踏まえた上でなされた議決に法的拘束力を付与するものとすることの当否(たたき台1(2)イの関係)

・ 公訴提起は、被疑者に重い負担を課すことになるので、その判断はできるだけ慎重になされる必要があり、その観点から、たたき台のA案の二段階案を採り、検察審査会は、いったん検察官に再考の機会を与え、それでも不起訴処分が維持されたときに、その理由をも材料として、慎重に審査した上で、拘束力のある起訴相当の議決を行うのが相当である。

・ 一段階案であると起訴後に補充捜査が必要となる場合も考えられるので、それを前倒しし、あらかじめ検察官がその捜査を行うことができるよう、二段階案も十分採り得る。

・ 公訴権の行使に民意をより直截に反映させるという審議会意見からすると、たたき台のB案の一段階案が望ましい。検察官は、検察審査会への申立てがなされた段階と、意見聴取がなされる段階において、処分を再考する機会が与えられるから、それで十分ではないか。二段階案は、時間がかかりすぎるし、公訴が提起されるまでに二度の議決が必要であり、国民の負担も大きい。また、一段階目と二段階目の検察審査会の構成が変わっていることもあり、適当でない。

・ 審議会意見は、検察審査会制度に関し、被疑者に対する適正手続の保障にも留意すべきことを指摘している。二段階案は、国民の司法参加の拡充の要請と、被疑者に対する適正手続の保障とのバランスをより良くとることができ、適切である。

・ 二段階案を採っても、一度目の起訴相当の議決を受けて、検察官が起訴すれば、民意が反映されたことになる。検察官が不起訴を維持した場合にも、検察審査会が再度起訴相当の議決をすれば、これも起訴されるので民意が反映される。したがって、一段階でなければ民意が反映されないということにはならない。

・ 起訴が慎重になされることに異存はないが、手続が複雑になれば慎重になるということには必ずしもならない。検察審査会の審査を充実させることが肝要であり、それは、検察官からの必要的意見聴取やリーガルアドバイザーの委嘱で担保できるのではないか。

・ 民意を直截に反映するためには一段階案が望ましいかもしれないが、起訴によって被告人に大きな負担がかかることを考慮すると、更に慎重な制度とすることも一つの考えであり、二段階案とすることもやむを得ないかと思う。

・ 直截に民意を反映させるということでは一段階案が優れている。検察官からの意見聴取を必要的とするのであれば、一段階案で良いのではないか。

・ 訴訟追行はできるだけ検察官が行うべきと考えるのであれば、事件をいったん検察官に戻して起訴をうながすことも有り得る。また、起訴方向の捜査の必要性を考慮すると、いったん検察官に戻して捜査をさせるのが合理的だろう。

・ 二段階案を採ると時間がかかるという指摘があったが、検察官の再考の期間は無制限でなく一定の期間内に制限されるだろう。二度の審査を要することになり、検察審査員となる国民の負担が増えるという指摘もあったが、一人の人間を起訴するという重大な決定をする以上、やむを得ないのではないか。

・ 現行法を前提とすると、検察審査会が同一の人員構成であるのは三か月間だけなので、一段階目と二段階目とで構成が変わることは十分あり得るだろう。しかし、検察審査会は、会議体として意思表明をする機関であり、構成が変わっても会議体としての同一性は保たれていると解される。また、現行法では、裁判官の交替の場合と異なり、公判手続の更新のような手続は定められておらず、制度としても、一つの事件の審査途中に検察審査会の構成が変わってもよいとしているのではないか。

・ 審査の結論が拘束力を持つためには二度審査する必要があるという制度では、国民の負担とやりがいに及ぼす影響が大きいのではないか。慎重で充実した審理が行われることを前提として、一段階として良いだろう。

・ 検察審査員の負担については、起訴相当となる事件の数がそれほど多いわけでなく、また、必ずしも同じ構成で二度審査するわけではないので、過重な負担にはならないのではないか。

・ 審査員の構成が異なることになれば、やりがいの点でなおさら問題なのではないか。

・ そうした見方もあるだろうが、重大な決定についてすべての責任を負うのは過重な負担であるので、分担した方が良いという見方もあるだろう。

オ たたき台のA案(二段階案)を採るとした場合のA1案(最初の議決を終局処分(起訴相当)とする案)とA2案(最初の議決を中間処分的議決とする案)の当否について

・ A1案は、起訴相当の議決を二度出さなくてはならず、不合理ではないか。

・ 一段階案が相当であるが、仮に、二段階案を採るとした場合には、再度の申立手続を求めるべきでなく、A2案が相当である。

・ A1案を採れば、最初の議決後、審査申立人と被疑者との間に示談が成立したような場合に、二度目の審査申立てがなされなければ、二段階目の審査手続を行う必要がないという利点がある。

・ そのような場合、審査申立人が申立てを取り下げれば良いのではないか。

・ 検察審査会の審査は、職権で開始できる手続なので、申立ての取下げにより審査が当然に打切りになるのかどうか検討する必要があろう。また、検察官の再捜査の結果、被疑者の無実の証拠が明らかになったような場合に、どう対処するかについても検討する必要があるだろう。

・ A2案では、検察審査会の一番強い処分である起訴勧告の議決が中間処分である一方、その他の処分が終局処分となるのは不合理ではないか。また、A1案、A2案いずれも、検察官は「一定期間」内に公訴を提起するかどうか再考しなければならないが、それがあまり長くならないようにする必要があろう。さらに、A1案を採る場合には、再度の審査申立ての前提として、検察官が再考の結果公訴を提起しなかったことを審査申立人に通知することが必要となるだろう。

・ その「一定期間」を法定すべきか否か等を検討する必要がある。

・ 一定期間を法定すると、その期間が満了するまでに公訴時効が完成する時効切迫事件をどうするかという問題がある。

・ 公訴時効がその一定期間内に満了する場合には、検察官としては、それを見込んだ迅速な再捜査・再考をしなければならないということであろう。

・ その「一定期間」とは、被害者の立場からいっても、長くて6か月だろう。検察審査会の任期を考慮すれば3か月が適当かもしれない。

・ 6か月で再捜査できるのか。

・ 大体できるだろうが、複雑な事件では難しいこともあるだろう。

・ 6か月では、ほぼ間違いなく審査員が入れ替わることになる。期間を定めるとしても、検察審査会の具体的構成ができるだけ同一になるように配慮すべきではないか。

・ 一段階目の検察審査会が起訴相当の議決をした場合には、二段階目の検察審査会は、零から審査するのではなく、原則として起訴することを前提として審査すべきではないか。法的にそのような拘束力があることとするかどうかは別論であるが。また、検察官からの必要的意見聴取は、一段階目の審査時に行うものとすべきである。

・ その場合、検察審査会が、最初の議決を見直す契機があるのか。

・ 検察審査会は、一段階目で検察官から意見を聴いて判断しているし、二段階目でも、必要的ではないものの、検察官の意見を聴きたければ、聴取することはできる。

・ 検察官からの必要的意見聴取の趣旨を考えると、意見聴取の時期は、むしろ、二段階目であり、検察官が再捜査をしたにもかかわらず不起訴処分にした理由を二段階目の審査時に聴取する必要があるのではないか。

・ そうすると、一段階目の議決は、事実上、不起訴不当の議決と変わらなくなる。

・ 「一定期間」が6か月というのは長すぎるのでないか。

・ 民意を反映する新しい制度という観点からすると、二段階案の中ではA2案が効率的で相当である。また、検察官からの意見聴取を必要的とすることも望ましい。

カ いわゆる法的拘束力のある議決の多数決要件について(たたき台1(2)ウの関係)

・ 全員一致を要件とすべきでないか。

・ 現行制度でも、検察審査員の3分の2を超す多数が要求されており、現行のままでよい。

・ 現行のままでよい。民意を反映するための制度であるのに、全員一致を要件とすると、かえって民意を反映させることが難しくなってしまう。

(2) 次回以降の予定
 次回(2月19日)は、引き続き、公訴提起の在り方に関する検討を行う予定である。
(以上)