事務局から、現時点における貸与制の制度内容について、資料3に沿って説明がなされた後、以下のような質疑応答・意見交換がなされた。
○ 資料3の内容は、前回取りまとめられた「意見の整理」にほぼ沿っている。政策的返還免除についても、「意見の整理」に従って検討した結果、これを設けず、人道的返還免除のみを設けるとの結論に達したのであれば、やむを得ない。資料3に沿って立案作業を進めていただいて結構だと思う。
○ 政策的返還免除を設けないという点は、より合理的な貸与制になり得るし、統一修習の理念の維持という観点からも非常に大きな意味があるので、賛成である。
資料3の第3項について、「扶養家族を有し住居を賃借している」とあるのは、「扶養家族を有し、かつ、住居を賃借している」という趣旨なのか。
■ この点については、貸与額も含め、現在、財政当局と折衝中である。
○ 資料3の第4項について、法科大学院では返還期間を5年とする教育ローンを受けている学生が多いから、その返還終了後に修習資金の返還が始まる制度にすれば、学生の負担が軽減されるのではないか。
第8項について、平成18年4月からの現行司法試験に合格した司法修習生には適用しないとなると、新司法修習生の開始時期にもよるが、半年程度は、司法修習生の中に給費制の者と貸与制の者とが混在することになってしまう。また、平成18年秋から導入すると、現在の法科大学院の1年生から貸与制に以降することになるが、これに対しては、最近、給費制が維持されると思って法科大学院に入学した学生たちが組織を作り、批判しているところである。平成19年4月から貸与制を導入すれば、いずれの問題も解消されるのではないか。
■ 平成18年秋から新司法修習が開始され、平成18年から司法ネットが立ち上がり財政的に相当な負担となることなどから、平成18年秋から貸与制を導入するのが相当である。給費制の見直しについては、これまで当検討会において長期間にわたり議論してきたし、その時々において報道もされていたのであるから、今年法科大学院に入学した学生が給費制の見直しを全く知らなかったとはいえないのではないか。これまでの検討会においても、大学の先生方を中心に、学生たちは新たな法曹養成制度を巡る様々な状況をよく認識しているという御意見もいただいている。
○ 平成19年4月から貸与制を導入すべきであるという意見によると、1年後に入所する法学未修者の期待権は失わせることになるが、それはよいのか。また、最近、一部の学生が貸与制への切替えに反対する組織を作ったことは承知しているが、給費制の見直しを知らなかったというより、できれば給与を出して欲しいということではないか。私が話した限り、給費制が維持されるから法科大学院を経由して法曹になる道を選んだという学生はいない。経済的負担は重くなるが、それだけ良い教育を受けられ、法曹になるチャンスも増えるから法科大学院を選んだ学生がほとんどではないか。
個人的には、できれば政策的返還免除を設けて欲しかった。統一修習の理念は茫漠としており、そこから論理的に政策的返還免除を設けないという結論にはならない。また、政策的返還免除は、給費制の維持と実質的に同じであるとも思われない。ただ、政策的返還免除の対象者について技術的な切分けが難しいという説明は、そのとおりであろう。政策的返還免除を設けないのであれば、司法ネットの人材を確保するために、司法ネットの常勤弁護士の待遇をきちんと手当てしてほしい。
○ 私も、政策的返還免除によって多様な職種に人材を誘導できないかという意見を述べてきたが、政策的返還免除の対象者について合理的な切分けが難しいという説明はそのとおりであろう。
資料3の第4項について、返還の据置期間は個々の司法修習生によって異なるのか。
■ 貸与を受けた者全員について等しく据置期間を設けることを考えている。ただし、繰上返還も認めているので、早期に返還できる者は返還しても差し支えない。
○ 司法ネットの人材を確保するために司法ネットの常勤弁護士の待遇をきちんと手当てすべきであるという御意見には、賛成である。
○ 「返還を据え置」くとか「期限を猶予する」といった用語については、今後検討していただきたい。
□ それでは、今後、事務局の方針どおりに立案作業を進めていただくことにしたい。
最高裁判所から、司法修習委員会の議論の取りまとめについて、説明資料に沿って説明がなされた。
最高裁判所の説明に対し、次のような質疑応答がなされた。
□ 移行措置期間において、法科大学院の実務導入教育を補完するための課程として置かれる1か月程度の期間は、どのようにして捻出するのか。
● 基本的には、実務修習期間である4分野・8か月の中から、例えば1分野毎に1週間程度を切り出すことを考えている。
□ その1か月程度の期間の修習形式については、現在の集合修習のようなものを考えているのか。
● そのような方法もあるだろうし、実務庁において導入的な修習を実施する方法もあるだろう。法科大学院における実務導入教育の成熟度を考慮し、司法修習委員会にも諮りながら、検討していきたい。
○ 選択型実務修習について、「弁護士事務所をホームグラウンドとし」とあるが、具体的にはどこか。
■ 分野別実務修習で配属された弁護士事務所である。
○ 配属された実務修習地には自分のキャリア・アップにつながる弁護士事務所がない場合にはどうするのか。
■ 分野別実務修習で配属された弁護士事務所をホームグラウンドとした上で、例えば特定の業務を行っている東京の弁護士事務所を見たいという場合には、一定期間、それを可能とするようなプログラムにしたい。しかし、ホームグラウンドである以上、一定期間は、分野別実務修習で配属された弁護士事務所で弁護修習をする必要があり、単に籍を置くだけで、全面的に他の弁護士事務所に行くことは考えていない。
○ 地方の実務修習地に配属された司法修習生で,集合修習が先にある人たちが,集合修習のために上京する場合、その後の選択型実務修習で地方に戻る必要があるため、アパートを借り続けておかなければならないが、その点はどのように配慮するのか。
● できる限り空家賃を支払う事態が生じないよう、検討している。
○ 分野別実務修習で配属された弁護士事務所をホームグラウンドとする理由は何か。
● 選択型実務修習の2か月間における、司法修習生に対するトータルな管理・監督が必要である。また、司法修習委員会においては、分野別実務修習の期間について、司法修習生の大半が弁護士になるのに弁護修習の期間が少ないのではないかという議論がなされた。これらを考慮し、弁護修習期間を調整するものとして選択型実務修習を設け、ホームグラウンドを弁護士事務所としたものである。
○ 新司法修習において選択型実務修習を取り入れたことは、画期的なことである。選択型実務修習は、司法修習生の自立的・自主的・主体的な取組みの必要性を打ち出し、具体化したものである。今後、そのような趣旨に沿った展開が望まれるし、そのためには、弁護士や企業の理解と協力が必要になるだろう。
□ 配属地に関する司法修習生の希望をどのように配慮するかが課題になるだろう。
○ きめ細かく配慮しなければ、司法修習生から不満が出てくるかもしれない。
□ 選択型実務修習では、外国に行くことはできるのか。
● 司法修習委員会においては、将来的には視野に入れる必要があるだろうが、当面は慎重に検討していくという議論であった。
○ 選択型実務修習中の監督責任という観点からすると、「制度的に弁護士実務に比重を置いたものとする」必要はなく、もっと司法修習生に自由を認めることとし、また、裁判所がホームグラウンドとなってもよい。検察修習は非常に短いのではないか。
● 検察修習を希望する者は、個別メニューの中で検察修習を補充してもよい。
○ 地方に配属されたが東京の事務所での修習を希望する司法修習生は、在京中、司法研修所の寮に入寮できるのか。司法修習生がそのような希望を述べた場合、司法研修所がアレンジしてくれるのか。ホームグラウンドとなっている弁護士事務所の弁護士は、遠くに離れて修習している司法修習生を監督できるのか。
● 将来的には幅広く発展させていけると思うが、制度の立ち上がり当初は、まずは配属地における分野別実務修習の中で、幅広く修習することを考えている。
○ 裁判所、検察庁及び弁護士事務所は、後継者を養成するために相当なエネルギーを割こうというコンセンサスがあると思うが、企業の法務部における修習は、うまく機能するのか心配である。
● 受入先となる企業のチャンネルを徐々に増やしていきたい。今後、研修所としても企業にアプローチするとともに、弁護士事務所から関係する企業に取り次いでもらうことなども検討したい。