○田中座長 それでは、第24回の法曹養成検討会を始めたいと思います。暑さがぶり返した中で、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。もうそろそろ最後にしたいと思っておりますけれども、本日は、前回の6月15日の第23回の検討会で取りまとめました意見の整理を受けまして、事務局の方で、給費制に代えて貸与制に移行するということを前提といたしまして、関係機関などといろいろ調整を行っていただいているわけですが、現時点での貸与制の制度内容について、まず御報告をいただきたいと思います。その後で、事務局の報告に対して、御質問がございましたら、質疑応答の時間を設けたいと思っております。
ただ、具体的な貸与制の制度の内容は、この検討会といたしましては、前回の意見の整理によって、一応、制度の立案の方向性とか、あるいは立案していただく際に検討していただきたい事項はお示ししたということになっております。
推進本部の設置期限がこの11月末に迫っていることもありまして、推進本部ではこの秋に召集が予定されております臨時国会に関連法案を提出する御予定だということは前から御説明いただいているところでございます。そのためには、本日の検討会の後で、9月8日に予定されております顧問会議などを経まして閣議決定の手続を踏んでいかなければならないということですので、事実上、給費制の見直しの検討につきましては、この検討会としましては、本日が最後になるのではないかと考えております。そういった意味で、議事の進行に御協力いただければ幸いです。
そして、その後で、最高裁判所に設置されました司法修習委員会で新しい司法修習について検討されていたのですが、7月2日付で、新しい司法修習の理念や基本構成について議論の取りまとめがなされたということですので、その概要などにつきまして、最高裁から説明をお聴きすることにしたいと思います。
まず議事を始める前に事務局から、配布資料の確認をお願いいたします。
○大塲参事官 それでは、配布資料でございますが、資料1、法曹養成検討会名簿でございます。諸石委員が、住友化学工業の特別顧問になられたということで、改めて名簿を作成してお配りしております。
資料2が、前回の第23回の検討会の議事概要、資料3が、「司法修習生に対する貸与制について」、本日御説明する制度の概要についての資料でございます。
後ほど御説明がある最高裁判所からの説明資料として、資料1、司法修習委員会・議論の取りまとめ(骨子)、資料2として、司法修習委員会・議論の取りまとめ、資料3−1、司法修習委員会委員名簿、資料3−2、司法修習委員会幹事名簿が付いております。
資料の確認は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
それでは、貸与制の制度内容についての検討に移りたいと思います。最初に事務局から、現時点における貸与制の制度内容について御説明いただけますでしょうか。
○大塲参事官 それでは、今日の配布資料であります資料3を御覧になりながら、お聞きいただければ幸いです。
事務局では、前回6月15日の検討会で、給費制から貸与制への移行についての意見の整理が行われたことを受けまして、この意見の整理に沿って貸与制の具体的な制度内容について、財政当局その他の関係機関と協議・調整しながら、検討を進めてまいりました。現時点における貸与制の制度内容をまとめたものが、この資料3の「司法修習生に対する貸与制について」であります。以下、この資料に沿って御説明いたします。
まず、貸与制の趣旨についてですが、資料の「1」にありますとおり、司法修習生が修習に専念することができるようにするため、国、具体的には最高裁判所でありますけれども、国が司法修習生に対し、その申請により修習資金を貸与するものであります。
貸与制は本検討会でも御議論いただきましたように、司法修習生が現行制度と同様に修習期間中の生活の基盤を確保して、修習に専念することができるようにするために、現行の給費制の代替措置として導入するものであります。また、貸与制では、貸与を受けた額を将来返還しなければならないものですので、貸与を希望する司法修習生に対し、その申請により貸与するものとしております。なお、貸与金の名称については、司法修習生が修習に専念することを確保するための資金であることから、類似の学資金の貸与制度をも参考にいたしまして、修習資金という名称にしております。
次に資料の「2」のとおり、修習資金は返還期限が経過するまでは無利息とするものとしております。返還期限が経過するまでは無利息とすることは意見の整理に沿ったものであります。なお、正当な理由なく返還期限を経過した場合は、延滞利息を付するものとしております。
続きまして、貸与額でありますが、意見の整理では、司法修習生が修習に専念する義務を負うことを考慮した額とすることとされていたところです。現在検討中の制度内容におきましても、貸与制の趣旨を踏まえて、資料の「3」のとおり、司法修習生が修習に専念することができる水準の額とするものとしております。そして、具体的な貸与月額につきましては、現行給費制における支給水準との連続性を考慮するとともに、各司法修習生の必要や返還の負担を考慮して、数段階の貸与月額を設定した上で、司法修習生が選択する額を貸与するものとし、扶養家族を有し住居を賃借している司法修習生は、生活費がより多くかかりますことから、相応分を加算した額の貸与を受けることができる、このようなものを考えております。
修習資金の返還につきましては、資料の「4」のとおりであります。修習終了後、数年間は返還を据え置いて、その後10年間で返還するものとしまして、返還方法は年賦等による均等返還とするものでありますが、繰上返還も認めるものとしております。10年間の年賦等による均等返還とし、繰上返還を認めることも意見の整理に沿ったものであります。修習終了後、数年間の返還据置期間を設けることにつきましては、意見の整理には述べられていない事項でありますけれども、司法修習の終了時点において、修習資金の返還債務に加えて、法科大学院時代の多額の奨学金の返還債務を負っている者も相当数いるものと考えられることから、返還の負担を考慮した、貸与を受けやすく、かつ返還しやすい、そういった制度設計とすることが適当であると考えまして、数年間の返還据置期間を設けることとしているものであります。このような返還据置期間を設けることについては、本検討会の委員の皆様の御意見もちょうだいしたいと思っております。
続きまして、返還の猶予及び免除についてであります。資料の「5」及び「6」のとおり、被貸与者が災害、疾病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となったときは、その返還の期限を猶予することができるものとし、また、被貸与者が死亡又は精神若しくは身体の故障により修習資金を返還することができなくなったときは、その全部又は一部の返還を免除することができるものとしております。現在検討中の制度内容では、類似の学資金の貸与制度をも参考にして、やむを得ない理由によるいわば人道的な観点からの返還猶予及び返還免除の制度を設けるものとしております。
他方、一定の公的な職種に就く者を確保するために、これらの職種に就いた者について、政策的に返還を免除ないし猶予する制度についての検討状況は次のとおりであります。6月15日の第23回検討会における意見の整理「4」におきましては、「具体的な返還免除や返還猶予のあり方については、関係機関の意見をも踏まえつつ引き続き検討すること。」とされておりまして、事務局ではこれを踏まえて検討してまいりました。
結論から申し上げまして、今回の給費制から貸与制への移行に際しましては、死亡や精神・身体の故障による返還不能の場合を除きまして、人材を政策的に誘導するインセンティブとしてのいわゆる政策的返還免除・猶予は設けないことにしました。その理由でありますけれども、当検討会におきましても、多数の委員から貸与制に移行するに当たりまして、公益的な職種に人材を政策的に誘導するインセンティブとして、一定の職種に就いた者に対して貸与金の返還を免除、猶予することを検討するべきであるとの御意見をちょうだいし、事務局に対して具体的な検討の指示がございました。
しかし今回の給費制から貸与制への移行は、本検討会でも御意見をちょうだいいたしましたように、今後の司法修習生の増加を始めとして、今般の司法制度改革で新たに導入される司法ネットや裁判員制度等にも多額の財政措置が必要な状況にあることなどからいたしますと、給費制をこのまま維持することは困難でありまして、法曹人口の大幅の増加を実現して司法制度全体における合理的な財政負担を図るための移行であります。このような貸与制移行の趣旨からしますと、返還免除、これは見方を変えますと、特定の者に実質的に給費制を残すということになりまして、これを広く認めれば、財政合理化という貸与制移行の趣旨に反することになりかねない点にまずもって留意する必要があると思います。
司法修習制度は、将来の進路に関わらず、裁判官、検察官、弁護士といった法曹として活動するために必要な能力等を養成するものであります。このように法曹三者を統一的に養成する制度は、我が国の法曹の水準の向上と、法曹三者の相互理解に基づく適正・迅速な裁判の実現などに大きく貢献したと考えられておりますが、貸与制に移行いたしましても、このような統一修習の理念や修習の目的に変わりはなく、今回の制度の見直しは、司法修習に専念する義務を引き続き担保するため、現在の渡しきりという形で行っている給与としての給付を将来返還を要する貸与金に移行するということだけであります。現在の給費制を前提にする制度下におきましても、将来の進路に応じて司法修習生に対して、経済的な優遇措置ないしは負担軽減措置をとっていないのと同様に、今後におきましても進路に応じて政策的な返還免除・猶予、これは「返還免除等」と言いますが、これを行って、実質的に当該司法修習生だけに給費制を維持するような制度は統一修習の理念に照らして問題があるのではないかと考えております。
返還免除等の対象者について見てみますと、公益的な職種に就く者を対象者にするということにいたしますと、公務員である裁判官、検察官はもちろんのこと、弁護士についても、基本的人権を擁護して、社会正義を実現することを使命とし、公益的な活動を行うことが期待されておりまして、司法の一翼を担い、国選弁護を始めとした弁護士としての活動に公益的な側面があるからこそ、原則として国の費用によって運営される司法修習を経なければ弁護士になれないといった制度をとっているものと考えられます。そうしますと、公益的な職種と申しましても、裁判官、検察官、弁護士のいずれもが公益的な職種でありまして、公益とはもともと多義的な概念であって、返還免除等の対象としての公益性をどのように考えるのか、といった困難な問題があります。特に弁護士の職務を公益的なものとそうでないものとに分類して、前者は返還免除等の対象にし、後者はその対象にしないということは、弁護士制度のあり方とも密接に関連する極めて困難な問題を生ずるのではないかと考えております。
以上が、政策的返還免除等を設けるべきでないと考える総論的な理由でございます。
更に個別的に見てまいりますと、政策的返還免除等のあり方については、一つには、返還免除等による人材の政策的誘導のニーズ、二つにはその効果、三つには人材の政策的誘導のための他の方策の有無、こういった要素のほかに、四つ目に制度を具体的に構築していく上で最も重要なことといたしまして、免除等の対象となる職種を合理的・客観的に切り分けることができるかどうかということなどを考慮する必要があります。
検討会で具体的に出された返還免除等の対象者の例といたしましては、いわゆる司法ネット、つまり日本司法支援センターの常勤弁護士、過疎地域で活動する弁護士、裁判官・検察官の任官者などがございました。
個別に見ていきますと、司法ネットの常勤弁護士につきましては、現時点で司法ネットの常勤弁護士全般について返還免除等を設けないと人材確保できないと言えるのか。人材を確保するために貸与金の返還免除等という方法ではなくて、司法ネットにおける常勤弁護士の待遇問題として、給与その他の手当をどのように工夫していくのかがまずもって検討されるべきことではないか。司法ネットには都会の事務所で勤務する弁護士のほか、いわゆる司法過疎地域で勤務する弁護士もいると思いますが、どの弁護士を対象にするのか、それぞれのニーズをどのようにとらえ、その切り分けをどのようにするのかなどの問題があると考えられます。
司法過疎地域で活動する弁護士について考えますと、司法過疎地域で活動する弁護士を政策的に誘導するニーズのある対象者としては、今申し上げた、いわゆる司法ネットの常勤弁護士のうち司法過疎地域で勤務する者、ほかに、日弁連の「ひまわり基金」で設立した公設事務所のうち司法過疎地域に勤務する弁護士、その他、司法過疎地域で開業している弁護士など、司法過疎地域で活動する弁護士といっても種々の形態があるわけで、そのうちの返還免除の対象者をどのようにするか、その切り分けを客観的・合理的に決することが困難ではないか。そもそも司法過疎地域をどのような基準で定義づけるのか、といった問題があると考えられます。
更に裁判官や検察官に任官した者を返還免除等の対象にすることも考えられますが、返還免除等のみによって直ちに有為な人材を確保することができるのか。裁判官や検察官の任官者だけを返還免除等とすると、将来の進路に関わらず裁判官、検察官、弁護士になる者いずれにも同じカリキュラムの下で修習を行う統一修習の理念との関係で問題が生ずるのではないかという問題があります。
いわゆる政策的な返還免除等について事務局で検討した結果は以上のとおりであり、今回の貸与制の制度設計に当たりまして、政策的な返還免除等の制度を盛り込むのは適当ではないと判断した次第であります。
なお、司法修習生が死亡したり、精神・身体の故障により返還が不能になった場合につましては、類似の学資金の貸与制度でも返還免除等とされておりまして、いわゆる政策的免除等で指摘される問題点はこの場合には当てはまらないと考えられますので、いわば人道的な見地からも返還を免除することは相当と考えられ、その旨の規定を置くことが相当であると考えております。
その他、資料3に戻りますと、その中の「7」のとおり、意見の整理と同様に、司法修習生に対して、実務修習地と司法研修所との往復などの旅費を支給するものとしております。
貸与制への移行時期につきましてですが、資料の「8」のとおり、貸与制は、平成18年秋から開始される新司法修習、つまり新司法試験の合格者に対する修習から導入し、以後すべての司法修習生に対して貸与制を導入するものとします。なお、貸与制の導入までに既に修習を開始した司法修習生については、経過措置として給費制を継続するものとしております。
意見の整理では、「平成18年度から」とされていたのをより具体化したものであります。
最後に貸与制についての法案は、裁判所法の一部改正法案となりますが、司法修習は、その性質上、司法行政に属する事項でして、現行の給費制においても、裁判所法上は国庫から給与の支給を受ける旨の規定があるだけで、給与の額や支給される手当等は最高裁判所規則で定める仕組みとなっております。そこで、貸与制についても、裁判所法上はその骨格部分のみを規定し、貸与額等の制度の詳細は最高裁判所規則で定めることになるものと考えております。
事務局といたしましては、冒頭、座長からも御説明がありましたとおり、本日の検討会で、委員の皆様の御意見をちょうだいいたしまして、この秋に召集が予想されております臨時国会に関連法案を提出するべく立案作業を進めてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明について、御質問がございましたら、まずお願いします。併せて意見もいただきましょうか。御質問だけでなくて、事務局からの説明あるいは貸与制の在り方について御意見もございましたら質問と併せてお願いしたいと思います。
返還据置期間が新しく導入された点と、政策的な免除は理念的な問題、技術的な問題があり、いろいろ御検討いただいたのですが、今回の移行時にそれを一緒に設けるということはやめるということで、ちょっと前回の意見の整理とは、ずれるのですけれども。
○諸石委員 今、伺いました御説明ですと、前回の意見の整理にほぼ沿っておられて、政策的返還免除のところが、前回は引き続き検討することというまとめであったのが、御検討の結果、今、御説明のあったような理由で政策的返還免除は設けなく、人道的免除だけにするという結論を得られたということで、ただいまの御説明で、私としてはそのとおりだろうなと思いますので、結構だというか、やむを得ないとか、それはいろいろあろうかと思いますが、これで進めていただいたら良いのではないかと思います。
○川端委員 私も諸石委員と同じで、政策的な返還免除の制度は設けないという方がより合理的な貸与制になり得るし、また、統一修習の理念の維持という意味でも非常に大きな意味があるのではないかと思いますので、この点については賛成します。
ちょっとつまらない質問で申し訳ないのですけれども、資料3の「3」の「扶養家族を有し住居を賃借している」というのは、これは「かつ」という意味ですね。「有し、かつ住居を」という意味でよいのですね。
○大塲参事官 この点については、貸与額も含め、今、財政当局と折衝中でありまして、「かつ」となるのか、「又は」となるのかということについても、これはまだ。
○川端委員 エンド・オアの方が、住居を賃借していなければ、加算額が受けられないというのではないということで良いのではないかと思います。
それから、資料の「4」ですけれども、「数年間は返還を据え置き」というのがありますが、これは制度によっていろいろだと思いますが、法科大学院の間に5年間の教育ローンを受けている方が結構多いような気がしますので、その返還が終わってから修習資金の返還が始まるという制度にしていただければ、学生の返還期間という意味では良いのではないかと思います。
それから、一番気になるのは「8」の平成18年秋からの新司法修習に適用するという案ですけれども、平成18年4月からの現行試験の司法修習生には適用しないということになるわけですね。そうすると、新司法修習が何月から開始されるかによりますけれども、5カ月から半年くらいは司法修習生のうち給費制の人と貸与制の人が出るという計算になるわけで、もう一つ、平成18年からということになると、現在法科大学院の1年生として既に入っている人が貸与制になるということです。最近法科大学院の学生が組織を作って、入学するときには給費制だと思っていたのだからおかしいではないかと言っているようですが、この問題と考え合わせると、いっそ平成19年の4月からということに、ここをちょっとだけずらせば、両方の問題が解消されて、より良いのではないかと思いますけれども、その点、再考の余地はないのでしょうか。
○大塲参事官 平成18年度からとしたというのは、これまでのいろいろな議論の整理にもありましたように、平成18年度の秋が新司法試験に合格した者に対する新司法修習制度が始まるといった制度の切り替え時期であるということだとか、あるいは平成18年から、いわゆる司法ネットなどの新しい制度が立ち上がって財政的にも相当負担がかかるといったことなどから考えて平成18年度が相当であろう、しかも新制度が始まるときからが相当であると考えていたわけでございます。
今、川端委員のお話にあった点ですが、これまで給費制の見直しにつきましても、この当検討会でも長期間にわたりいろいろ議論してきていて、なおかつ、その時どき等に報道もされていたわけでございますので、今年入学した方々が、皆さん全くそれを知らないで入って来られたのかどうかいうと、それはどうなのかなという感じがしますし、これまでの検討会でも大学の先生を中心にして、学生たちはいろいろな状況は認識しているというような御意見もありましたことから、平成18年の秋から始めるということにしても特段問題はないのではないかと考えております。
川端先生の平成19年4月からとおっしゃったのは、ちょっと私どもの頭の中の選択肢になかったものですから、すいません。
○川端委員 思いつきみたいで申し訳ないのですけれども。
○田中座長 川端委員の意見は、同じ時期に修習している者で、片一方は給与をもらっていて、片一方はもらってないという状態をなくするという考えですね。
○川端委員 はい。
○井上委員 よろしいですか。それは、どの時点で切るかの決断の問題であって、後にずらせば問題が生じないかといいますと、そうでもないように思うのです。また、川端委員の論理を前提としても、既に未修者も入学しているわけで、その人たちが新司法試験に通って修習を始めるのはさらに1年後なのですから、その人たちにも期待権があるとすれば、それも保護しなくてはならないということになるはずでしょう。ですから、どうもあまり説得的な議論ではない。確かに、最近、一部の法科大学院学生の人たちが、そういう運動をやっているということは存じていますけれども、それも、貸与制への切替えの話は全く寝耳に水の話だというのではなく、給費制を維持してもらいたいという主張なのだと思います。もちろん、維持できて、給費を出してもらえるなら、出してもらえた方が良いに決まっています。
ただ、法科大学院に入ることを選んだ理由として、修習生になれば給費をもらえるから法科大学院に入り法曹となろうと考えたという人は、まずいないのではないでしょうか。全体として経済的な負担は重いけれども、それだけ良い教育を受けることが期待できるとか、あるいは法曹になれるチャンスが増えるとか、そのようなことからこの道を選んだというのがほとんどではないかと思います。
ついでですが、さきほどのご説明にさかのぼって言わせていただければ、私は免除制をできれば設けるべきだと主張したのですが、さきほどのご説明のうち理念的な部分、つまり、実質的には給費制を維持することと同じだという点は、そのように言おうとすればそう言えるというだけの話であり、本来の考え方としては2つは異なると思います。すべての人について等しく貸与制に切り替えるということをあくまで前提にして、ただ、特別の事情により、返還を免除すべき正当な理由がある場合に免除する、というのが本来の考え方ですので。
それに、統一修習の理念ということに言及されたところも、いささか茫漠とした話で、論理的にそのような帰結しかないということではないように思います。ただ、免除制は入れた方が良いとは思いますけれども、結論として免除制は入れないというのが本部のご判断であれば、これ以上申しても仕方がありませんので、これ以上は申しません。技術的に切り分けが難しいというのは、そのとおりだと思いますし。また、例えば司法ネットの人材確保などについては、司法ネット自体における待遇の問題として考えていくべきだと言われるのも、そのとおりだと思うのですが、ただ、本当に、そこのところをきちんとやっていただけるのか。ここでの局面ではそのようにおっしゃるのですけれども、そちらの司法ネットの方で本当にきちんと手当てしていただけるのか。していただけないようですと、実際に良い人材を確保することが難しくなりますし、確保できてもその人たちが苦労するということになってしまいますので、政府としては責任を持って、きちんとした手当てをしていただきたいということを敢えて申し上げておきたいと思います。
○田中座長 どうもありがとうございました。
○今田委員 今、井上先生が全ておっしゃってくださったので付け加えることもないのですけれども、あえて、免除制という何らかの知恵を出して人材の、誘導という言い方なのですが、多様な役割へ人材を配分する、そのような制度としてうまく残せないか、そういう意見をずっと言ってきた者として、今日の御説明は非常に難しいというか、文章も耳で聞いているだけですから、なるほど非常に理路整然としているという感じもしましたし、じっくり読めばいくらでも議論はできるというような印象があったのですが、一番大きな問題は合理的なルールを作るということが非常に難しいと、切り分けが難しいという、そこは知恵を出せ、出せと私たちは言うだけで、大した知恵も出さないで言ってきた人間としては、なるほどそうであろう、現段階ではそうなのではないかということで、事務局の御努力を十分理解したいと思います。
そういうことで、必要とされるけれども、なかなか厳しいような、そういう弁護活動というようなものもこれから期待されると思いますので、そういう人たちの弁護活動が十全に行えるように、今、事務局側にもあったように、制度も作られていくというようなので、そこに期待して、今回の多様な法曹人材を育てる大きな制度改革というものが支障なく、これからも遂行されていくという、制度設計として問題はないのであろうということで一応同意いたします。
もう一つ、資料3の「4」の据置なのですが、一定期間据え置くことを可能とするという制度で、据え置く時期とか、そのようなものは個人の個々の事情によって決まるという制度なのでしょうか。それとも、一斉に何年間は、据え置く期間を置いて、それ以後、一斉に皆返還するという制度なのか、それ以降も個々の事情によるのか、どのような制度なのか。ある意味では柔軟な状況に応じた制度にすることが望ましいと思うのですけれども、事務局が現在可能であろうと考えておられる制度はどのようなものなのでしょうか。ちょっとお聞かせいただきたい。
○大塲参事官 据置期間の関係ですが、制度の内容として一定期間、これは皆さんに等しく据置期間を置くということを考えています。個別の修習生、あるいは元修習生によって何年ということではなくて、一定期間、全員に据置期間を置き、その据置期間が終わってから返還が始まるといった制度を考えております。
○田中座長 その期間は、自分はたくさん給与をもらっているから早く返したいという人があっても、それは認めないということですか。
○大塲参事官 資料3の「4」にありますとおり、「繰上返還も認めるものとする」とございますので、それは早く返せる方はどうぞ返してくださいといった制度を考えています。
○田中座長 一律に適用するけれども、繰上げ返還をする人は返還しても良いということですね。
先ほどの川端委員の御発言ですけれども、ロースクールの教育ローンの5年間というのは、5年間に返せということか、5年間の猶予ということか、どちらでしょうか。
○川端委員 猶予期間もいろいろですけれども、1年間返済を猶予して、その後5年間で返すというローンも結構あると聞いています。
○田中座長 それぐらいの期間ということですか。
○川端委員 ええ。金額がそれほどでないローンということになると思いますが。
それと、井上委員の言われた司法ネットの待遇を、きちんと人材が集まる魅力的なものに本当にしてくださいよという点は、私も大賛成で、井上委員の意見に賛成したという記録を是非残してください。
○田中座長 ほかにございませんでしょうか。
○永井委員 言葉の問題なのですが、「返還の据え置き」、それから「期限を猶予」、こういう言葉は何となく、「期限を猶予」というのは、「支払いを猶予する」とか、「期限を延長する」というのなら分かりますけれども。
○田中座長 「据え置き」というのは、猶予と区別するために「据え置き」とされたのでしょうね。用語としては確かに問題があるかもしれません。
○井上委員 「返還を猶予する」ということでしょうか。
○大塲参事官 用語のところは、そういった御意見もございましたので考えさせていただきたいと思います。
○田中座長 用語については、今、永井委員の御指摘の点を踏まえて、少し表現を検討していただいて、資料3の「8」のところは、これは大塲参事官が御説明されたのですけれども、現行の修習はそのままずっと給費制でやるように読めないこともないということですので、それはきちんと、平成18年以後はすべての修習生に対して貸与制を導入すると読まれましたので、そういう表現にしていただきます。
返還免除の点については、政策的な免除について、いろいろ折衝していただいたわけですけれども、技術的にかなり難しいし、今回の移行時にその問題までひっくるめてやるよりも、それはそれとして残して、ただ、井上委員と川端委員が強調されたように、今後、司法ネットのときには、こちらの方もきちんと配慮していただくというようなことに御留意いただいて、基本的に本日お示しいただいた内容について、事務局の方針どおり、立案作業をしていただくということでよろしゅうございますか。
(「はい。」と声あり。)
○田中座長 ありがとうございました。
それでは、御苦労さまですけれども、そのような位置付けでお願いいたします。
それでは、続きまして、2番目の議題として、司法修習委員会の議論の取りまとめについて、最高裁から説明をお聴きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井司法研修所事務局長 司法研修所の荒井でございます。
最高裁判所の諮問機関であります司法修習委員会におきまして、先ほど出ておりましたように、今年の7月2日、新しい司法修習の基本方針等につきまして議論の取りまとめが行われました。私は、その委員会の幹事としてこの議論に関与してまいりましたので、簡単にその概要を御説明させていただきます。
まず、これまでの議論の経緯でございますけれども、司法修習委員会は、司法制度改革審議会意見の提言の趣旨を踏まえまして、司法修習委員会規則によって、昨年5月に最高裁に設置された委員会でございます。設置の根拠となります規則を本日の参考資料として添付してございますけれども、この規則の制定に当たりまして、最高裁の一般規則制定諮問委員会における審議、答申を得ましたことは、この法曹養成検討会の第17回検討会でも御報告させていただいているところでございます。
司法修習委員会は、法曹三者のほかに法科大学院の先生方を始めとする有識者を加えた合計10名の委員によって構成されておりまして、そのほかに15名の幹事も任命されております。委員並びに幹事の顔ぶれは資料3のようになってございます。最高裁では、昨年6月、委員会に対しまして、諮問事項を「新しい司法修習についての基本方針及び関連する重要事項について」とする諮問を行いました。そして同委員会では、昨年の7月の第1回委員会を皮切りに計8回にわたりまして精力的な審議を重ねまして、本年7月2日に資料2のとおり、その議論を取りまとめて最高裁に答申として提出したわけでございます。
お手元には、資料1として、その要点をまとめました司法修習委員会・議論の取りまとめ(骨子)を配布してございますので、この資料1に基づき、取りまとめの内容を簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、第1の新しい司法修習の理念と基本構想でございますが、ここでは、平成18年から始まります新しい司法修習の基本的な理念と構成などが示されております。すなわち、司法修習は法科大学院における教育と法曹資格取得後の継続教育との間で有機的な連携と役割分担を図って行うこと、これからの法曹には幅広い活動分野についての高度な専門性が求められるが、これを法曹養成のプロセス全体において達成するために、司法修習では、多様化、専門化する法曹の活動にも耐え得る基礎となる実務的能力の養成を目指すべきであること、そのため司法修習では幅広い法曹の活動に共通して必要とされる法的問題の解決のための基本的な実務的知識・技法と、法曹としての思考方法、倫理観、心構え、見識等の養成に焦点を絞った教育を行うことを指導理念とすることとされました。この指導目標の部分が少々長いものですから、キャッチフレーズ的に一言で表現すると、「法曹としての基本的なスキルとマインド」ということもできるだろうということとされております。そして、司法修習で養成する能力としては、事実調査能力、法的分析能力、事実認定能力、説得的な表現能力といったものに重点を置くことなどとされております。
また、司法修習の構成ですけれども、これは実務家の個別的指導に基づいて法律実務を身をもって体験させる「実務修習」を中核としつつ、これに加えて、体系的、汎用的な実務教育として司法研修所における「集合修習」を実施し、両者を有機的に連携させて実施すること、その修習の順序は、法科大学院における教育を前提として、実務修習から開始して、その後に集合修習を実施することとされております。
続いて、第2の実務修習の在り方でございますが、ここでは実務修習の基本的な理念と内容が示されております。
実務修習においては、法曹三者のそれぞれの実務を体験する「分野別実務修習」を基本としつつ、これとともに司法修習生の自主性を生かした多様な実務経験の修得を図る「選択型実務修習」を行うこととされております。
分野別実務修習は、現在と同じ4分野、すなわち弁護修習、検察修習、民事裁判修習、刑事裁判修習の4分野をそれぞれ2カ月ずつ実施することとされております。現在よりも期間が短縮されることから、実際の個別の事件処理を体験的に学ぶことに集中するとともに、質、量ともに修習の実が上がる指導方法を工夫することとされております。
それから、選択型実務修習ですけれども、これは今回新たに導入されることとなった課程でございますが、分野別実務修習を一通り経験した後に、司法修習生が主体的に選択、設計することによって、分野別実務修習の深化と補完を図ったり、あるいは分野別実務修習の課程では体験できない領域における実務修習を行う課程でありまして、具体的な実施方法としては、弁護士事務所をホームグラウンドとするなど弁護士実務に比重を置いたものとすることとされております。
第3の集合修習の在り方でございます。ここでは修習生を司法研修所に集めて実施する課程である集合修習の基本的な意義と内容が示されております。
集合修習は、実務修習の体験を補完して、体系的、汎用的な実務教育を行い、法律実務のスタンダードを指導する課程で、民事弁護、刑事弁護、検察、民事裁判、刑事裁判という基本5科目を中心として約2カ月間実施すること、その指導方法として、クラス担任制を維持した上で、実際の事件記録に基づいて作成した修習記録を用いて各種の文書を起案させて、これを教官が添削した上で討論や講評を行うことを中心とすること、これまでより民事系カリキュラムの割合を高めて科目間の連携、共通化を進めることとされております。
続いて第4の成績評価の在り方でございます。ここでは成績評価についての基本的な考え方、各課程の成績評価の在り方、最終試験である司法修習生考試(二回試験)の在り方が示されております。
成績評価の基本的な考え方としては、平常成績について厳格な評価を行うとともに、司法修習生考試によって、法曹資格を与えるにふさわしい資質・能力を備えているか否かを判定することとされております。
具体的には、成績評価においては、事実調査能力、法的分析能力、事実認定能力、表現能力等を主たる評価の観点として、その達成度を評定すること、分野別実務修習は4段階程度の絶対評価とすること、選択型実務修習は有意義な修習を行ったか否かを判定すること、集合修習は6段階程度の相対評価とすることとされております。また、司法修習生考試は、基本5科目の筆記試験とし、口述試験を廃止するなどの簡素化を図る方向で検討することとされております。
最後に、第5の関連する諸問題でございます。ここでは、その他の関連問題としまして、新司法試験合格者に対する新司法修習と現行司法試験合格者に対する現行型司法修習が併行実施される、いわゆる移行措置期間における司法修習の在り方と、司法研修所の管理運営等について示されております。
いわゆる移行措置期間については、当面、新司法修習の冒頭に、法科大学院の実務導入教育を補完するための課程を1カ月程度置くこと、現行型司法修習については、現在1年6カ月で実施しているところを前期修習2カ月、実務修習1年、後期修習2カ月という合計1年4カ月の課程で実施することとされております。
また、司法研修所の管理運営に関して、司法修習委員会は、定例的に年2回程度開催するほか、必要に応じて機動的に開催して意見を述べ、修習内容に反映させていくこと、法曹三者は、司法研修所教官としてふさわしい実務家が選任されるよう努めること、弁護教官については、教官に就任しやすい環境の整備を検討することとされております。
以上が取りまとめの概要でございますが、今後の検討作業として、この取りまとめを踏まえまして、最高裁及び司法研修所におきまして、関連規則・規程、そして司法修習生指導要綱等の整備の検討を進めたいと考えております。そして、年明けには検討した成果を司法修習委員会に再度諮りまして、その上で、関連規則等の制定を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田中座長 どうもありがとうございました。ただいまの最高裁の説明に御質問、御意見のおありの方はよろしくお願いします。質問させていただきたいのですが、「取りまとめ(骨子)」4ページの「移行措置」として、「冒頭にこれを補完するための課程を1カ月程度置く」とされた場合、その1カ月はどこから捻出されるのか。プラスアルファでなくて、その1年の中の1カ月を使うとすればどこをカットされるのか、この辺りはどのように考えておられるのでしょうか。
○荒井司法研修所事務局長 その点も司法修習委員会の中でも、あるいは幹事会等でも議論が出ましたけれども、基本的には実務修習を導入するためのものでありますので、分野別実務修習が4分野でトータル8カ月予定されておりますので、その中から、例えば1分野について1週間程度切り出して、4週間程度を置くというようなことが基本形と考えております。移行期は状況に応じて応用形が出てくるかもしれませんけれども、基本的には実務修習のところから切り出すことが原則形であろうと、そのような議論になっております。
○田中座長 現在の司法研修所での集合修習の形を考えていらっしゃるのですか。
○荒井司法研修所事務局長 そこも様々なバラエティーがあるだろうと思います。研修所に集めた集合的な形でやるやり方もあるでしょうし、実務庁で導入的なことを考えるというやり方もあるでしょう。そこは法科大学院における実務導入教育がどんな形で成熟していくのかという点を見ながら、また、司法修習委員会にもお諮りしながらやり方を考えていくということを考えております。
○田中座長 何か御質問とか御意見ございますでしょうか。
○永井委員 前から問題になっているのは、選択型実務修習なのですけれども、これを見てもまだイメージがはっきりしないのですが、「弁護士事務所をホームグラウンドとし」て、弁護士事務所というのは、各実務地の弁護士事務所、または日本全国どこでもいい、外国でもいいと。
○荒井司法研修所事務局長 分野別実務修習で配属された弁護士事務所をホームグラウンドとすることを基本形とすることになります。
○永井委員 前の方から見ると、自分の将来を考えていろいろなキャリア・アップ、これを重点にしておきたいといったことが、例えば実務修習地がどこになるかによって、全然そこにはそのようなキャリア・アップにつながる事務所がないという場合には、選択は認めないということになりますか。
○荒井司法研修所事務局長 ホームグラウンドとしては、実務修習地の事務所をホームグラウンドとして、ほかの事務所を見たいとか、あるいは東京の特定の業務をやっている事務所を見たいという場合には一定の期間、それを可能とするようなプログラムにしたいということです。
○永井委員 全面的には行ってはだめ。
○荒井司法研修所事務局長 そこも委員会で議論になりましたけれども、ホームグラウンドとして定める以上は、一定の期間はホームグラウンドの弁護士事務所での弁護修習をする必要があるということで、その期間をどのくらいと定めるかというところは、議論を今内部でしているところでございます。
○永井委員 選択肢が広い東京などはいいですけれども、ある県では、弁護士さんが何人で、いくつかの事務所しかないという場合に、そこでもずっと、ある意味ではそこをホームグラウンドにしないといけないと。
○荒井司法研修所事務局長 ホームグラウンドにするのですから最低限、例えば2週間なら2週間はそこで弁護修習をすることになります。
○永井委員 籍を置いておくだけでいいというならいいのですが。
○荒井司法研修所事務局長 籍を置いておくだけではだめで、一定の期間そこで弁護修習をするということは必要であるという議論です。
○永井委員 いわゆる任地をどこにされるかによって非常に違いが出てきますね。
○田中座長 例えば、秋田で司法修習していて、自分は弁護士になって将来渉外法務をやりたいというときに、 秋田に拘束されるというのは、永井委員がおっしゃったような問題があるかもしれませんね。
○荒井司法研修所事務局長 プログラムとしては、ホームグラウンドは秋田ということになりますけれども、トータル2カ月の中で、一定の期間、今のようなニーズがあれば、東京の渉外事務所とか、東京地裁の知財部を見るというようなことが可能になるようなものにはするけれども、基本形は分野別実務修習の修習地において、そこのホームグラウンドで一定の期間は弁護修習をする必要があるという議論でございます。
○永井委員 それともう一つ、その場合、手当は大分出していただけるか、7カ月か、8カ月やりますね。それから2カ月、2カ月で分かれますね。最初、総合修習が2カ月ある人は東京へ出てきますね。その後はまた2カ月はホームグラウンドの任地へ戻らなくてはいけないのですね。その間、アパートはずっと借りておかないといけないわけですね。あとの人は10カ月そこにいて、それから残りの2カ月出てくればいいから10カ月でアパートを引き払ってくるということもあると思うのですが、そういうあたりのこともあるので、そのあたりの配慮は十分されるということですか。さっきの貸与制にも絡みますけど、そういう場合のアパート代はどうしてくれるのか。
○荒井司法研修所事務局長 空家賃のようなことはなるべく生じないような形にしたいと考えて、内部で今検討しているところでございます。
○永井委員 それから、「ホームグラウンドの弁護士事務所」というのは、例えば企業法務、企業内でやりたいとか、いろいろな企業の法務部へ行きたいというようなこととか、そういうバラエティーは本来あったと思うのですけれども、このバラエティーは認めない。○荒井司法研修所事務局長 具体的なメニューの中にそういうバラエティーはあるのです。ホームグラウンドは、いわば本籍地としてそこに置くということで、一定の1から2週間は弁護修習をする必要がありますけれども、それ以外の期間はいろいろなメニューでいけると。
○永井委員 ホームグラウンドとして弁護士事務所を指定している理由はどこにあるのですか。
○荒井司法研修所事務局長 2カ月の選択型実務修習の期間のトータルの管理ですとか、監督といったようなことも必要になりますので、全くどこもベースになるところがなく、いろいろなところに行けるということではなかなか収拾がつかないであろうということと、もう一つ、先ほどもちょっとふれましたけれども、分野別実務修習の期間については、大半が弁護士になるのに、弁護修習の期間が少ないのではないのかという議論がありました。そういうことも考えて、弁護修習の期間を調整する場面として、この選択型実務修習を置いて、ホームグラウンドで弁護士事務所の弁護修習するという構想になっています。
○永井委員 ロースクールの方の授業の中では、かなり弁護士事務所などはエクスターンシップだとかいろいろな形でかなり取り入れているので、そのあたりは短くなるほど、ロースクールの授業がどの程度のものかということになるでしょうけれども、それよりは、このキャリア・アップということでいえば、この選択型はもうちょっと幅広いものに本来設計していただきたかったと思います。それが本来ここで言っていた議論ではないかという気もするのです。
○荒井司法研修所事務局長 幅広いものにしたいと考えておりますけれども、ホームグラウンドというものが必要であろうという議論になり、それは先ほどの弁護修習の期間をもうちょっと増やすということで、弁護士事務所をホームグラウンドにするのがいいだろうということになりました。個別メニューとしては、企業の法務部ですとか、地方自治体といったようなところにも行けるような形にしていこうと考えています。新しい制度でございますので、いきなり全面展開ができるかどうかという問題があり、徐々に豊かなものにしていきたいと考えながら、今、ガイドライン作りを研修所内部で検討しているところです。
○加藤委員 新司法修習はこれまでの修習とどこが一番違うかというと、永井委員御指摘のとおり、選択型実務修習だということです。これは昔からの修習を知っている者から言いますと、画期的なことです。これまではどちらかというと、司法研修所教官あるいは実務修習の指導官、指導弁護士が、これだけはこなしてくださいという中身を示し、いわばあてがわれたものを一生懸命こなすのが修習であるという考え方でした。これからはそれだけでは足りない。自律的、自主的、主体的に取り組まないとだめだという考え方を打ち出しているわけですね。それを具体的な姿にしたものがこの選択型実務修習というものです。
これはホームグランドとして弁護士事務所を指定していますが、永井委員の御指摘のように、できるだけその趣旨に沿うように展開していくことが望まれるということは全く同感です。恐らくそうなっていくだろうと思うのですが、そのためには、弁護士さんの協力、あるいは関連する企業法務部等の協力など、支える層の方々の理解と協力が前提になると思います。意見というよりもコメントなのですが。
○田中座長 そうなってくると、司法修習地の選択にあたって、自分は選択で渉外をやりたいから、大都市部に行きたいというような希望が出てきて、それをどう配慮するとかいった難しい問題があると思います。
○加藤委員 今まで以上にきめ細かくやっていかないと、不満になって出てくるように思います。これは新しい課題ということになるかもしれません。
○田中座長 外国ではだめかどうかは、まだ検討中ですか。
○荒井司法研修所事務局長 外国に行くことですか。
○田中座長 はい。
○荒井司法研修所事務局長 将来的にはそれも視野に入れる必要があるだろうけれども、当面は慎重に検討していこうというのが委員会の議論でありました。
○永井委員 ホームグラウンドの弁護士事務所が何か監督責任を負っているみたいですね。あまり野放しにならないようにという形で。
○川野辺委員 今の監督責任を弁護士事務所が持つといった観点だとすると、「制度的に弁護士実務に比重を置いたものとする」と書いてあるのですけれども、別にこんなことを言わなくてもいいのではないかと、もっと自由にさせて、裁判所がホームグラウンドになってもいいのではないでしょうか。弁護士事務所がホームグラウンドにならないとまずいのですか。
○荒井司法研修所事務局長 弁護士事務所をホームグラウンドとして、一定の期間、弁護修習をしてもらうというのは、先ほど説明したような事情で、弁護修習の期間が足りないではないかという議論がかなり強くありましたので、それをここに反映させるという発想をしているわけですね。
○川野辺委員 私の立場で言えば、検察修習は非常に短いと思います。
○荒井司法研修所事務局長 そのような人は、個別メニューのところで、トータル2カ月の中で、3週間なり、検察修習をやるということで補充していただければいいということです。
○諸石委員 今のことに関連しますが、その2カ月の中で、仮に秋田で修習をしていて、渉外をやりたいから、東京に行きたいと思ったとします。1週間は秋田の弁護士事務所にいなくてはいけないとして、残りの7週間は東京へ出て行きたいとなったときに、研修所の寮に入れてくれるのでしょうか。例えば、どこどこへ行きたいと言ったら、研修所がアレンジをしてつないでくれるのか、それとも自分でどこか探してこいというのか、その辺がやりようによっては、地方がホームグラウンドになって、東京でしかやれないことをやりたいというような人にとってはなかなか大変だと思います。監督責任はどうか知りませんけれども、ホームグラウンド弁護士としては、1週間はいたけれども、すぐどこかへ行ってしまったような者の面倒を見ろと言われても困るでしょうし、その辺がイメージとしてうまくいくのかなという気がするのですけれども。
○荒井司法研修所事務局長 将来的にはいろいろと幅広く構想を発展させていくことができると思いますけれども、立ち上がりの当初は、現実的に考えれば、まずは実務修習地での分野別実務修習の中で、もう少し見たいところを見る。先ほど出ましたように、検察修習をもう少しやりたいという人はこの期間を使って2、3週間検察修習をやる。あるいは裁判修習で、一定の事件を見たけれども、その事件の先のところまで見られないというような場合に、選択型のときにいくつかの事件を選んで、その先がどう展開するかを裁判所に行って見ていくというようなことができましょうし、弁護士事務所でも、配属されていた弁護士事務所のほかに、ちょっと分野の違う業務を行っている弁護士事務所も、当該実務修習地にもあるわけですから、そういうところに1週間、2週間行ってみるとか、あるいは家裁の家事事件を集中的に見るとか、配属されている実務修習地においても幅広く見る部分というのはかなりあるわけですね。そういうところをまずやってもらうと。それにプラスして、地方の人が東京の渉外事務所や知財事務所を見るということも可能なようにしましょうということにはしてはいますけれども、まずは前段の方から、現実的に始めていくことになるのではないかと考えておりまして、1週間だけホームグラウンドにいて、あと7週間は東京に行ったままというような仕組みは、将来的にはともかく立ち上がりの姿としては、そうならないような形にしていくのが現実的ではないかという議論を今しております。
○諸石委員 そうなりますと、本人が、今の渉外事務所に行きたいと言っても、現実的には秋田から出てくるのは難しいということですか。
○荒井司法研修所事務局長 受入れ側のキャパシティの問題もありますので、渉外事務所がどれだけの人を受け入れてくれるかということがありますし、受け入れるとしても、なるべく多くの人に見せるというのであれば、その期間を2週間なら2週間に限定して、いろいろな人が行けるようにするということになるのだろうと思っております。ですから2カ月間をまるまる渉外事務所で使うようなケースは今のところは考えておりません。
○諸石委員 企業法務というお話があったので、これは企業側の人間として申し上げます。これも数とのバランスですが、裁判所、検察庁、弁護士事務所というのは、後輩養成のために相当なエネルギーを割いてやろうというコンセンサスがあるのだと思いますけど、企業にしてみると、入れかわり立ちかわり、短期間でやってきて、それにいちいち導入教育からやるとなると、ある程度は協力できるにしても、そういう人たちが大量に、頻繁に来るというのでは、うまく機能するかどうかという心配をしています。ですから同じ裁判所、検察庁、弁護士会の中で、テーマとして、自分で選んだものを深く勉強するというイメージだと、ああ、そうかと分かるのですけれども、それから少しはみ出したもの、即ち企業法務だとか、渉外事務所だとか、特許事務所だとか、そういう特殊なものになった場合、うまくいくかどうかを危惧しておりますので、その辺をまた御検討をいただければありがたいです。
○荒井司法研修所事務局長 徐々にチャンネルを増やしていくというようなことになるかと思います。研修所としても、今後ガイドラインが固まりしまたら、いくつかの企業に少しアプローチをしたいと思いますし、あるいは弁護士事務所から、その関係する企業に、そこの法務部の修習を受け入れてくれないかということを取り次いでもらうとか、あるいは個人的に何かコンタクトを持てて、受け入れてもらえるところも出てくるでしょうし、少しずつ広げていきたいと考えております。
○田中座長 他に何かございますでしょうか。なければ、きょうの御意見も参考に、委員会にフィードバックしていただければ大変ありがたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、本日の検討会は、予定しておりました議題は終わりましたので、これで終わりたいと思います。
今回以降の検討会につきましては、できることならもうないということにしたいのですが、まだ、11月末までは正式の場はございますので、必要がございましたら、事務局の方でまた日程調整をしていただいて御検討いただくことにしたいと思います。
本日の議事につきましては、従来どおり、記者の方に私の方から後でブリーフィングをいたしますので御了解いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○木村委員 最初の方に出た学生に対する支援の件ですが、私、ユネスコとOECDで世界の高等教育の質保証についての会議に3年ぐらい出ています。それらを通じて行われている先進諸国の高等教育システムと比べると、圧倒的に日本が劣っているのが、学生さんに対する支援であることを痛感させられていまう。御承知のとおり、アメリカは大体5割以上の学生が何らかの奨学金もらっていますし、英国も2006年に2004年比で3割、高等教育の費用を増そうとしていますが、そのほとんどが学生に対する支援のための費用のようです。
そういう目で見ていますと、日本の状況は極めて淋しく、私、給費制、そういう突出した形のものには賛成いたしませんでしたが、全体として学生さんに対する支援というのは日本は極めてお粗末であることは充分認識しております。ということで、これで一件落着ということではなくて、各教育関係者は今後歩調を合わせてもっと学生に対する支援を政府から引き出す努力をしていかないとなかなかいい学生は集まってこないと思います。是非先生方にその辺をお考えいただいて、これで終わりということではなくて、もっともっと支援すべきだということを声を上げていただければと思っております。
○田中座長 どうもありがとうございます。推進本部、よろしくお願いいたします。
それでは、どうもありがとうございました。