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法曹養成検討会(第3回)議事録

(司法制度改革推進本部事務局)



1 日時
平成14年2月5日(火)10:30〜12:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第一会議室

3 出席者
(委 員)田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、木村 孟、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)
(説明者)
池上政幸(法務省大臣官房人事課長)
黒川弘務(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長)
(事務局)大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
司法試験の在り方について

5 配布資料
資料:法曹養成検討会(第2回)議事概要

6 説明資料(法務省)
資料1:現行司法試験について
資料2:新司法試験等について(骨子)
資料3:新司法試験等について
資料4:参考資料

7 議事
(□:座長、○:委員、●:事務局)

□ それでは、所定の時間になりましたので、第3回の「法曹養成検討会」を開催させていただきます。
 まず、事務局の方から、本日の配布資料の確認をお願いしたいと思います。

● 本日の配布資料等の確認をお願いいたします。
 事務局からの配布資料は第2回法曹養成検討会議事概要であります。
 また、本日の法務省担当者の説明資料として、資料1〜資料4をお配りしてあります。
 御確認ください。

(1) 法務省からの意見聴取

□ それでは、議事に入らせていただきます。今日は司法試験の在り方について検討を行うことになっているわけですけれども、まず法務省の担当者の方から、司法試験の現状と新しい司法試験の在り方について、御説明などをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(法務省) 本日は司法試験関係について説明の機会を与えていただき、有り難く存じております。
 本日の説明の主眼は、新司法試験についてでございますが、その前提として、まず、現行の司法試験制度の概要や実情を御説明申し上げておいた方が、今後の御議論のお役に立てるのではないかと思われます。
 そこで、法務省の大臣官房人事課が司法試験管理委員会の庶務を担当しております関係から、まず、現行司法試験について御説明申し上げた後、新司法試験等についての説明を行うという形で説明の時間を使わせていただきたいと考えております。
 私の説明は、説明資料1の「現行司法試験について」と資料4の「参考資料」を用いて説明させていただきます。
 もっとも資料1の方は、これから説明申し上げる事項のみを記載したものでございますので、恐れ入れますが、資料4の「参考資料」を見ていただきながら、説明を聞いていただければと存じます。
 「参考資料」は、表紙をめくっていただきますと、資料1〜資料7となっております。この7つの資料に基づいて、順次現行司法試験の概要について御説明をいたしたいと思います。
 この参考資料の中の資料1をお開きください。法務省には国家行政組織法第3条第2項に基づく、いわゆる外局として司法試験管理委員会が設置されており、3人の委員で組織されております。司法試験法の規定により、委員のうち2名は法務事務次官と最高裁判所事務総長をもって充て、他の1名は、日本弁護士連合会の推薦する弁護士が任命されております。平成3年以降、日弁連からは事務総長が推薦されており、法務大臣から任命されているところでございます。
 この司法試験管理委員会は、司法試験に関する事項を適正に管理することを任務とし、司法試験に関する事務をつかさどるものとされております。そして、実際に試験問題を作成し、採点を行うのは、司法試験考査委員でございまして、合格者についても、考査委員の合議によって定めると法で規定されております。こうしたことから、考査委員が一堂に会して司法試験考査委員会議が開かれ、ここで合格者の決定が行われております。
 この考査委員は、司法試験管理委員会の推薦に基づき、法務大臣が任命しますが、特に御議論になっております第二次試験につきましては、法律学、あるいは法学教育に精通した大学教授や、実務経験豊富な裁判官、検察官、弁護士等から任命されております。ちなみに、平成13年度の第二次試験の考査委員としては、合計156 名が任命されております。
 また、司法試験管理委員会の事務局は設置されておらず、冒頭にお話しいたしましたとおり、大臣官房人事課が庶務を担当することとなっております。 次に、資料2「司法試験の仕組み」をごらんください。御承知のとおり、司法試験は第一次試験と第二次試験とに分かれております。第一次試験は、大学卒業程度の一般教養科目の学力を判定するものでございまして、毎年1月上旬ごろに実施されており、人文科学系、社会科学系、自然科学系の問題が、短答式及び論文式の形で出題されるほか、外国語の科目では、外国文和訳と和文外国語訳で出題されております。
 この第一次試験については、受験資格の制限はなく、だれでも受験できます。しかしながら、大学において一般教養科目の学修を終えた者等については、この試験が免除されておりますことから、実際の受験者は、大学中退者、あるいは高校等の卒業者、大検合格者のほか、大学在学生等でありまして、平成13年度におきましては、469 名の出願者に対し、合格者は25名でございました。
 第二次試験の受験者のうち、第一次試験合格者からの受験者は全体の約0.3 %にすぎず、第二次試験受験者の99%以上は第一次試験免除者でございます。そこで世間一般に司法試験と言えば、専ら第二次試験のことを指す場合がほとんどすべてであると思われます。
 次に、第二次試験でございますが、御承知のとおり、筆記試験と口述試験に分かれ、その筆記試験が5月中旬に行われる短答式試験と7月に行われる論文式試験に分かれております。この短答式試験と論文式試験は、いずれも独立の試験でございまして、短答式試験の合格者が論文式試験を受験するものでございまして、相互に成績の引継ぎや関連はないものとしております。
 また、論文式試験の合格者が、原則として、その年の口述試験を受験し、口述試験に合格すれば、最終的な司法試験合格者となるものでございます。なお、口述試験については、これに不合格となった場合も、翌年もう一度口述試験のみを受験する制度も設けられております。
 短答式試験は、憲法、民法、刑法の3科目につきまして、マークシート方式の択一式による問題、計60問を3時間30分の間に解答するという試験でございます。出願者は13年度について見ますと、3万8,930 名で、このうち短答式試験合格者は6,764 名でありました。ちなみに、論文式試験と口述試験につきましては、科目の変遷はありますものの、旧高等試験時代から行われておりましたが、短答式試験は、昭和31年から実施されるようになったものでございます。当時受験者が6,000 名を超えることになり、このままでは論文式試験の適正な実施に支障を来すということから、受験者数を絞る必要に迫られ、客観テストであり、かつ、幅広く知識を問い得るとの利点もある短答式試験が導入されたものでございます。
 次に、論文式試験でございますが、これは毎年7月に2日間をかけて実施されており、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法につきまして、各科目2時間の論述方式による解答をしてもらう試験でございます。以前はこのほかに、法律選択科目、あるいは教養選択科目という2科目の選択科目を設けていた時期もございましたが、平成12年度からは現在の6科目となっております。平成13年度について見ますと、論文式の受験者は、6,596 名、合格者は1,024 名でございました。
 10月下旬に行われる口述試験は、いわゆる口頭試問の方式で行われる試験であり、平成13年度の場合、4日間をかけて行われました。試験科目については、憲法、民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の5科目でございますが、実際の試験の実施に当たりましては、民法と民事訴訟法については、民事系として、そして、刑法、刑事訴訟法については、刑事系として同じ機会に実施されることになり、したがって、各受験者は憲法、民事系、刑事系の計3回口述試験を受けることになっております。口述試験の受験者について見ますと、平成13年度については、受験者が1,086 名であり、合格者は990 名でございました。ただ、先ほど申し上げましたとおり、論文式試験に合格して口述式試験に不合格となった場合も、翌年のみですが、筆記試験が免除されることになっており、平成13年度の論文式合格者が1,024 名であるのに、口述式試験の受験者が、それより多い1,086 名となっているのは、そうした事情からでございます。
 次に、資料3の「合格枠制の概要」について御説明申し上げます。合格枠制とは、司法試験の合格まで極めて長期間を要する状況になったことなどから、法曹として資質を有するより多くの者が、比較的短期間に合格できる試験制度にするため、論文式試験の合格者を決定する際、一定割合については、受験期間にかかわりなく決定し、その余については受験期間3年以内の受験者から決定するとの制度でございます。前者を無制限枠合格者、後者を制限枠合格者と呼んでおります。この合格枠制につきましては、立案の経緯等もありまして、俗に「丙案」とも呼ばれておりますが、すでに司法試験管理委員会におきましては、昨年11月に司法制度改革審議会意見を踏まえ、平成16年度からの合格者の決定に当たり、このような合格枠制には拠らない旨の決定を行って、公表しているところでございます。
 次に、資料4の「司法試験第二次試験出願者・受験者・合格者」の動向について御説明申し上げます。司法試験第二次試験出願者・受験者・合格者の推移について、折れ線グラフで表示したものでございます。昭和24年から平成13年度まで表示してございます。
 出願者及び受験者数は、戦後ずっと上昇の傾向にあったのですが、昭和50年代前半を1つの山として減少に転じていった時代がございます。これは受験者数増にもかかわらず、合格者数の方が、長らく500 名前後で推移していたことによるものではないかと思われるところでございます。そうしたことから、当時、法曹三者を中心に、試験制度改革の協議がなされ、先ほどお話しした合格枠制が導入されたほか、合格者数についても、平成3年から600 名程度、平成5年から700 名程度、平成10年から800 名程度、平成11年度からおおむね1,000 名程度と増加してきたわけでございます。このような改革のほか、近年の日本経済の事情も影響しているのではないかと思われますが、出願者、受験者は再び増加に転じ、本年度は場合によっては出願者が4万人に迫るのではないかということを予測している状況でございます。
 なお、御承知のとおり、改革審議会の意見では、平成14年度は合格者を1,200 名程度に増加させ、平成16年度には、1,500 名程度の合格者とすべきではないかという御提言がなされているところでございます。そうしたことから、今後も合格者増に見合った出願者、受験者の増加が見込まれているところでございます。
 次に資料5に基づきまして、現行司法試験実施の年間スケジュールについて御説明いたします。この図の上から1段目は、第一次試験の管理委員会・考査委員の動きでございます。10月に司法試験考査委員が任命され、第一次試験が1月に行われ、2月に及落が決定される、こういう流れでございます。2段目が、主として第二次試験の管理委員会・考査委員の動き、3段目が庶務を担当する人事課、主として司法試験係の動きでございます。
 平成13年度の試験は、平成12年10月の第一次試験の考査委員の任命から始まり、この事務が、ただいまお話ししたとおり、翌年2月9日の合格発表まで続きました。ところが、第二次試験の事務については、第一次試験終了後の平成13年2月9日からではなく、既に平成12年12月中旬からの短答式の問題作成から始まっております。
 以後、考査委員の先生には短答式試験については、延べ30回、各科目10回程度ずつの問題作成会議を行っていただきます。また、論文式試験については、問題作成会議のほか、約2か月間かけて、ここに書いてありますが、7月の中旬ころから9月の上旬ころまで、約2か月間かけて一人当たり試験答案1,100 通にも上る答案の審査・採点、さらには、10月末のところに書いてありますが、一人当たり3日ないし4日間、朝から夕刻まで言わば缶詰となって、口述試験を行っていただき、さらに、年間4回行われる考査委員会議への御出席など、かなりの御負担を願っているところでございます。特に考査委員お一人当たりに負担していただく論文式試験の答案数は、最も多い方で、約1,100 通にも及んでおりまして、もはや限界に来ているものと考えているところでございます。
 実施スケジュールの話に戻りますが、合格証書の授与が始まる11月21日には、すでに平成14年度の試験準備を始めております。こうしたことから、試験のための作業が1年を通して間断なく行われるどころか、一部、一次試験と二次試験も重複して行われているところでございます。
 実際の庶務に相当する作業は、人事課の司法試験係が中心となって行っておりますが、彼らは課長補佐以下11名の体制にすぎず、実際にはこの一次試験の欄、あるいは下の庶務のところにも、アルバイトとか、事務補佐員とか書いてありますが、こういった職員、あるいは他の係、他の課の職員等を動員するのはもちろんのこと、平素から事務補佐員の採用を余儀なくされているところでございます。
 特に部外の方には見えにくいのですが、かなり大変な作業としては、この資料の3段目に記載しておりますように、第二次試験の受験資格審査と合格枠制実施のための同一人管理作業がございます。
 まず、第二次試験の受験資格審査については、実際の作業は、第一次試験の受験免除申請の審査が大半を占めております。これは第一次試験を合格しているか、あるいは大学等において必要な教養科目等の単位を取得しているかという点の審査でございます。基本的には、受験資格のない者の願書を受理するわけにはまいりませんので、願書受付開始から受付終了までの約2週間で全審査を終えるようにしています。ところが、この審査は願書に添付された各大学発行の卒業証明書や、教養科目等の履修証明書により行っているわけですが、第一次試験の免除申請者が現在でも3万人を超えています関係もありますし、また、大学の科目が多様化しておりまして、履修証明書に記載された科目が、果たして管理委員会規則で認められた教養科目なのか、にわかに判断できない場合が多く、そのためこの約2週間の出願期間中は、職員が全員で遅くまで残業して、この作業に集中し、必要に応じて各大学への問い合わせ等も行って処理しているというものでございます。
 また、合格枠制、3回受験者までについては合格枠制の適用を受けるという関係上、受験者が前年以前に受けた者と同一人であるかという、いわゆる同一人管理作業につきましては、これをコンピュータで行う前提として、当該年度の出願者データについて、願書記載事項、住民票との同一性を手作業で照合して確定した上、コンピュータ処理により、過去の受験者データと照合しているものの、機械的には判断できず、類似者としてはじき出される場合も多く、その場合には、当該年度と過去の受験情報を手作業で一つひとつ確認しております。そのようなことから、2月13日の願書受付開始後、2月26日までの受付終了までの約2週間はもちろん、受験票発送を開始する4月中旬までの間で処理することはできず、論文式試験、合否判定が行われる9月上旬まで、他の作業と併行しながらこういった同一人管理等の作業を行っているわけでございます。
 試験実施事務の流れについて、やや詳細に説明申し上げましたけれども、これは将来、現行司法試験と新司法試験を併行して行うことについて、審議会意見書によりますと、5年間程度の移行期間が存在するとされておりますし、それに向けてどう体制をつくるか、私どもも非常に頭を悩ましているものでございます。そうしたことから、新司法試験については、考査委員についても、あるいは試験の担当職員についても、現行司法試験とは別個のグループをもう一つ立ち上げて対処する必要もあるのではないかと考えておりますし、審議会意見書で述べられております受験回数の制限、3回程度の制限ということを考えますと、同一人管理作業は、丙案が廃止された後も、続けなければいけないのではないかと考えているところでございます。
 次に、資料6に基づきまして、最近の受験生の学力等に関する意見について御説明申し上げます。これは、ここに書いてありますとおり、平成11年11月から12年1月にかけて、司法試験管理委員会の担当者が司法試験考査委員13名から個別に意見聴取した結果でございます。また、このペーパー自体は、第15回の司法制度改革審議会のヒアリングの際に、私の前任者が説明に用いた資料の一部でございます。
 ここには、「合格者の真ん中以下の集団の成績が徐々に毎年下がっているような気がする」とあり、特に論文式試験に「画一的、金太郎飴的答案、マニュアル化した答案が多い」「判で押したような、予備校で習ったブロックの組み合わせが書いてある答案ばかりである」というようなことが指摘されております。
 こうしたことも参考にされ、司法制度改革審議会においては、現行の司法試験が「受験者の受験技術優先の傾向が顕著になってきたこと、大幅な合格者数増をその質を維持しつつ図ることには大きな困難が伴うこと等の問題点が認められ、その試験内容や試験方法の改善のみによってそれらの問題点を克服することには限界がある」との御指摘に至ったものと私どもでは理解しております。
 以上、私から現行の司法試験制度の概要や実情の御説明をいたしました。

(法務省) それでは、引き続きまして、司法試験法を担当する立場から、改革審における御議論を受けて、新司法試験について考えているところを御説明させていただきたいと思います。
 新司法試験の在り方を本検討会で御検討いただくに当たり、たたき台としていただければ幸いでございます。事務局に整理していただいた論点に沿って説明用のペーパーを作成しておりますので、「第3回法曹養成検討会説明資料」としてつづられているもののうち、資料3をごらんください。これに沿って御説明させていただきます。この資料3を目で追っていただきながらお聞きいただければ幸いです。
 まず、新司法試験について、今後この検討会で制度設計をしていただくに当たり、我々として考えているところを御説明しますと、まず(1)のところですが、新司法試験は、司法制度改革審議会意見の趣旨にのっとり、新たな法曹養成制度の中核を担うことが期待される法科大学院との連携を重視して、その教育内容を十分に踏まえた新しいものにしてまいりたいと考えております。
 (2)ですが、司法試験管理委員会の在り方について、改革審では、例えば司法試験管理委員会に法科大学院関係者や外部有識者の意見を反映させるなどの適切な仕組みを設けるべきであると指摘されておりますけれども、これを受けまして、新しい委員会には、法曹三者のみならず、法科大学院関係者や外部有識者を委員とするとともに、その役割についても、司法試験の実施のほか、試験制度の改革、改善に関する調査審議等の新たな職務も担わせるど、その在り方について十分な見直しを行うことが相当であると考えております。
 (3)でございますが、法科大学院が全く新しい教育制度であることを考えますと、新司法試験については、今後の法科大学院の発展・成熟状況等に的確に対応し、随時に、適切な運用改善を行い得るような柔軟な制度設計とすることが望ましいと考えております。
 したがって、新司法試験法においては、例えば試験科目、予備的な試験の在り方等について、そのすべてを現時点で規定し尽くしてしまうのでなく、細目について、前記のとおり新しい委員構成の下で新たな役割をも担うことになる委員会に諮った上で決定し得るような規定を置くことも検討していただきたいと考えております。
 「2 試験科目等」についてでございますが、ある法律分野を試験範囲とすべきかどうかについては、4点程度の事項を総合考慮していただきたいと考えています。1点目は、法律実務家にとっての重要性、2点目は、法科大学院における科目開設状況、3点目は、法科大学院の教育課程に与える影響、4点目は、出題及び試験実施の困難性、こういった要素を総合的に考慮していくべきだと考えております。
 例えば基本六法のように、将来、司法修習を受ける上で最低限備えておくべき知識・能力という点で、その理解が不可欠なものについては、試験においてもなお、その理解の程度を問うべき必要性があると考えております。
 他方、法曹倫理等の法律実務科目については、その学問としての成熟性や法科大学院における教育内容の普遍性に疑問なしとしない上、試験による能力判定になじまないことなどから、現時点では新司法試験の試験範囲とはせず、法科大学院における履修にゆだねることが相当であると考えております。
 次に、必須科目について申し上げます。基本六法については、法科大学院において必修科目とされる方向で検討が加えられておるようですが、新たな法曹養成制度の下でも、その知識及び応用能力が不可欠であることに変わりはないため、新司法試験においても、これを必須とされるべき法律分野に加えるのは当然であると考えております。
 これに加えて、行政法についても、法科大学院において必修科目とされるのであれば、新司法試験において、これを必須とされるべき法律分野に含めることを検討していただくべきであろうと考えています。
 現行司法試験では、司法試験法が試験科目を個々の法律ごとに区分して規定しているため、個々の科目においては、当該法律の範囲に限定した出題のみが行われております。つまり、民法であれば民法の範囲を出られない。出られないわけでもないかもしれませんが、出題の実情としては出ない慣行で運用されております。
 しかし、法科大学院においては、複数の法律分野にまたがった教育も行われるものと見込まれますので、新司法試験については、その内容を法科大学院の教育内容を踏まえたものとするという観点から、複数の法律分野にまたがる融合問題の出題も可能とすることが相当であると考えております。したがって、新司法試験の科目割りについては、例えば公法系(憲法、行政法等)、民事系(民法、商法、民事訴訟法等)、刑事系(刑法、刑事訴訟法等)とすることなどが考えられます。一例でございますが、そういう科目割りも考えられると思います。
 もっともどの法律分野であれ、融合問題を出題できる領域は限られておりますので、出題範囲が限定されてしまう恐れもありまして、融合問題だけを出題し続けることは困難と見込まれますので、各科目を構成する個々の法律分野の範囲内にとどまる出題を組み合わせることも可能とするべきであると考えております。
 次に、選択科目について申し上げます。法曹を志す者に幅広い法律分野についての履修を促すとともに、それぞれが専門分野を持つよう積極的に誘導するという観点から、新司法試験においては、必須科目のほか、選択科目も設けることが相当であると考えております。選択科目の対象については、実務的に重要であり、社会におけるニーズが高まっている法律分野、例えば知的財産権法であるとか倒産法であるとか、労働法等に関する法律分野などを中心に検討されるべきものと考えております。
 また、今後の法科大学院における科目開設状況に柔軟に対応できるよう、新司法試験法において、選択科目の対象となる法律分野について、そのすべてを規定し尽くすのではなく、委員会に諮った上で決定し得るような規定を置くことなども御検討いただきたいと考えております。
 次に、試験方法について申し上げます。まず、論文式試験についてですが、新司法試験においては、論文式試験を中心とすべきであると考えております。
 法曹になろうとする者に必要な学識及び応用能力を問うためには、論文式試験を中心とすべきであると思われます。論文式試験を行うにしても、現行司法試験におけるそれとは異なり、法科大学院における教育内容に的確に対応できるようなものとするため、今後、新司法試験法の趣旨を踏まえ、考査委員において具体的な出題の在り方についての見直しが行われるものと期待しております。
 部内で議論している中では、例えば法曹になろうとする者が当然知っておくべき基本的なものは別として、関連判例、条文、資料等、問題文に引用ないし添付した上で、相当長文の試験問題とした上、試験時間についても、1問1時間ではなく、相当長時間とすることが適当なのではないかといったような議論もしております。
 4ページですが、なお受験者の受験準備に支障を来さないように、今後出題の在り方について、その具体的なイメージを早期に示す方策を検討してまいりたいと考えております。
 次に短答式試験についてでありますが、我が国は成文法の国であり、法曹には基本六法を中心とした実体法についての基本的知識、体系的理解が必要不可欠であります。そして、短答式試験は、このような基本的知識の有無を広く、かつ客観的に問うには最も適した試験ということができると考えます。
 法科大学院においては、厳格な成績評価や修了認定が行われることにより、修了までの間に、質及び量の双方の観点で学生の十分な選抜が行われることが期待されますので、短答式試験は、現行司法試験のように、必ず実施しなければならないとするまでの必要性はないと考えております。
 しかしながら、法科大学院修了者数が増加するなどして、新司法試験の受験者が多数に上り、審査期間・考査委員の確保等、答案審査のための体制の整備に意を尽くしても、なお適正な答案審査に支障を来す事態に至ることも想定し得なくはありません。したがって、新司法試験の一部として短答式試験を実施することができる余地も残しておくべきではないかと考えております。
 次に、口述試験について申し上げます。口述試験については、受験者の口頭表現能力等を問い得るなどの長所が認められますけれども、新司法試験との関係では、以下のような問題点があると思われますので、こういったことも考慮に入れていただいて、慎重に御検討いただきたいと思っています。
 1点目は、法科大学院において双方向的な教育が実施され、厳格な成績評価等も行われることに加え、司法修習課程においても不適格者をチェックすることが可能ですので、口述試験まで実施する必要性があるのかとの疑問が生じ得ます。
 2点目ですが、新司法試験においては、現行司法試験よりも論文式試験合格者が多数に上ることが見込まれますので、口述試験を実施するためには、試験科目の削減や試験時間の短縮が不可避となりますが、その場合、試験としての選抜機能に疑問が生じ、受験者間に不公平感が醸成されるなどの事態に至る恐れもございます。
 恐縮ですが、参考資料のつづりの中の資料7、一番最後の4〜5枚をごらんいただきたいんですが、これは人事課が口述試験についてシミュレーションしたものでございます。
 資料7の2ページをごらんください。3つのシミュレーションをしていますけれども、シミュレーション1ですが、試験時間、試験科目及び考査委員数を現状のままにした場合、試験実施日数は何日間かというシミュレーションをしたところ、試験実施日数は11.8日間、約12日間かかってしまうという結果になっております。
 シミュレーション2ですが、試験実施日数を5日間、今年の口述試験の実施日数が5日間となる予定ですので、5日間とし、試験科目及び考査委員数を現状のままとした場合、受験者1人に対する試験時間は何分になりますかという結果は、太枠の部分を見ていただきますと、憲法が5分48秒、民事系及び刑事系12分30秒、民事系、刑事系それぞれ2科目で構成されていますので、実際には各科目6分ちょっとになります。
 シミュレーション3、「試験実施日数を5日間とし、試験時間及び考査委員数を現状のままとした場合、何科目実施できるか」については、試験科目は1.9 科目程度しかできません。現状の他の要因を固定した場合のシミュレーションですので、あくまで参考までに提供させていただいたデータでございます。
 口述試験の問題点の3番目でございますが、説明資料3の5ページに戻っていただいて、現行司法試験よりも多数に上ると見込まれる論文式試験合格者に対し更に口述試験を行えば、それだけ最終合格者の決定に期間を要することにもなろうかと思います。(注2)に記載したとおり、仮に口述試験の受験者数が3,300 人となった場合、試験時間、試験科目及び考査委員数を現状のままで実施すると、試験実施日数は12日間という長期にわたるものになって、論文式試験の合格発表から、最終合格の発表までの期間も、それに応じて相当程度長期に及ぶことにならざるを得ないと思われます。
 これは現状の諸要素を固定している話でございますので、もちろん、試験制度が変わって口述試験もやるということになれば、それなりの工夫はしてまいる所存でございますが、相当厳しい状況にあるということを踏まえて、慎重に御検討いただきたいと思っています。
 「4 対象者(受験資格)」についてですけれども、ここは法科大学院修了者のほか、予備的な試験に合格した者も受験できるものとすべきと考えております。
 改革審意見は、「適格認定を受けた法科大学院の修了者には、新司法試験の受験資格が認められることとすべきである」「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである」とし、「例えば、幅広い法律分野について基礎的な知識・理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることが考えられる」としておりますので、この意見が例示するような予備的な試験に合格すれば、新司法試験の受験資格を認めることとするのが相当であります。
 「5 受験回数等の制限」についてでございますが、改革審意見のとおり、3回程度の受験回数制限を課す場合、具体的制限内容としては、@通算3回の受験を可能とする、これは受験者において、適宜の年に3回受験できるとする考え方でございます。Aとして、初回受験の年から3年間の受験を可能とする、これは適宜の年から受験を始めたら、連続3回受験を可能とするという考え方でございます。Bは、法科大学院修了年、または予備的な試験に合格をした年から、3年間の受験を可能とする、これは法科大学院修了後直ちに3回受けてくださいという考え方でございますが、この受験回数制限の具体的内容については、法科大学院での教育効果をいかに適切に反映させるかという観点を考慮して検討するのが妥当と思われます。例えば、今、御説明しました@の案については、受験生の便宜への配慮に傾き過ぎており、制度設計として不合理な感が否めないと思います。2つ目の案については、3回程度の受験回数制限という趣旨には沿うものの、受験控えを許すこととなって、法科大学院での教育効果が薄れた時点での受験も可能になるとの問題があるように思えます。他方、最後のBの案については、法科大学院修了後の受験の機会を制限する程度が最も大きいものになるのではないかと考えられます。
 以上と同様の配慮から、予備的な試験に合格して司法試験を受験する者についても、法科大学院修了者と実質的に同等な受験回数制限を設けるのが妥当と思われます。なお、予備的な試験自体には回数制限を設ける必要はないのではないかと考えております。
 次に再受験の許容について申し上げたいと思いますが、受験回数制限を行うとしても、いったんは受験を断念したものの、司法試験に再挑戦したいという者に対し、将来にわたって一切法曹への途を閉ざすことになるのは、適切ではないのではなかろうかと考えています。したがって、受験資格を改めて取得することによって、相当期間経過後には再受験を認めるべきではないかと考えております。
 次に、司法試験を実施する時期についてでございますが、新司法試験の実施時期を、@法科大学院の履修課程修了前、つまり修了見込みで受験が可能とするか、A全課程修了者のみに受験可能とするかのいずれかにするかという点については、法科大学院での履修に専念させるとの観点からは、Aの方が望ましいと思いますが、この問題は受験資格、在学生の進路決定の在り方、司法修習の開始時期や実施体制の構築にもかかわるものであって、十分な検討を要するところだと思います。
 なお、先ほどの説明にもございましたが、考査委員は本業を抱えて極めて多忙であって、夏季休暇を利用して集中的に論文式試験の採点を行っていただいている実情にありますが、論文式試験実施から合格発表まで約3か月間を要しております。したがって、夏季に採点が行えるような時期に実施しないとなると、司法試験の実施体制の構築は極めて困難となるものと見込まれますので、その点も指摘させていただきたいと思います。
 本試験については以上でございますが、次に予備的な試験について申し上げたいと思います。予備的な試験は、法科大学院を経由しない者にも法曹への途を確保しつつ、法科大学院において幅広く学修を行った者と同一の本試験を受けるのにふさわしい学識・教養の有無を問うものととらえ、改革審意見が例示するように、幅広い法分野についての基礎的な知識・理解を問う試験とすることが相当と考えます。また、このような目的からすると、予備的な試験に合格すれば、本試験の受験回数制限にかからない限り、毎年の予備的な試験を受験することなく本試験を受験できるとするのが相当であると考えております。
 次に予備的な試験の受験資格についてでございますが、改革審意見は、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである」としております。法科大学院を経由しなかった理由は、人によって様々であり、当該個々人にとっては、いずれも「やむを得ない事由」により法科大学院を経由しなかったということになりかねず、また、実際問題としても、出願を受けた際、それらの事情について、個別的な認定を客観的に行うことは極めて困難であることなども是非御考慮いただいて、予備的な試験の受験資格を制限することは相当ではないと我々としては考えておりますし、お願いしたいところでございます。予備的な試験が、法科大学院を経由しない者にも法曹への途を確保するために設けられる試験である以上、現行の司法試験と同様に、だれでも受験できる開かれた試験として位置づけるべきであります。したがって、仮に改革審意見が提言するように、資質、能力についての適切な審査を行う場合でも、受験資格という受験前の審査ではなく、試験を受けさせた上で、試験の中で問うのが相当であると考えております。
 なお、この場合でも、予備的な試験自体についての試験範囲等を工夫すること、本試験における論文式試験を、暗記中心の受験技術優先の勉強では対応できないような、法科大学院の教育に沿ったものとすること、また、予備的な試験からの受験者についても、法科大学院修了者と同様の受験回数制限を課すことなどによって、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねるような事態の発生を防止することが可能であると考えております。
 次に予備的な試験の試験範囲、方法についてでございますが、試験範囲は例えば本試験の試験範囲とされる法律分野のほか、法科大学院の必修ないし必修選択科目とされ、かつ、試験にもなじむ法律分野も含むとすることが考えられます。また、法科大学院の入学者選抜において、適性試験や学部での法律科目以外の履修状況の審査が実施されると見込まれることに照らせば、予備的な試験においても、一般教養科目をも試験科目とすべきでありましょう。
 なお、この予備的な試験を行うのであれば、もはや現行の、先ほど説明のあった第一次試験は不要であって、廃止されるべきであると考えております。
 更に具体的な試験範囲及び方法については、予備的な試験が平成23年以降において実施される試験でございますので、現時点でそのすべてを確定してしまうのではなく、適当な時期に委員会に諮った上で決定することとするなどの方策も考えられると思います。
 第3、これは主として移行期間中のことについて申し上げたいのですが、9ページですが、新司法試験実施後も、5年間は現行司法試験を実施すべきであると考えています。法科大学院が平成16年に開校し、新司法試験につき、全課程修了後に実施するとの案によれば、平成17年までは現行司法試験のみの実施になります。18年から22年までは、現行司法試験と新司法試験の併行実施になります。23年以降は予備的な試験と新司法試験の実施が始まるというスケジュールになろうかと思います。
 (1)ですが、法科大学院経由者による現行司法試験の受験の可否についてですけれども、移行措置期間中においては、法科大学院在学生が現行司法試験を受験することを認めるべきか否か、法科大学院修了者が現行司法試験を受験することを認めるべきか否か、新司法試験の受験回数制限にかかった者が現行司法試験を受験することを認めるべきか否かなどの問題が生じ得ます。
 これらの問題については、現行司法試験が受験資格を制限していないことにも留意しつつ、法科大学院がプロセスとしての教育に専念しやすい環境を確保し、法科大学院の理念を損なわないようにするとの観点から、十分な検討を要すると考えております。
 仮に制限策を検討する際の留意点についてでございますが、現行司法試験は全く受験資格制限のないものであるところ、この現行司法試験を新司法試験実施後も5年間は継続することとする以上、法科大学院経由者は現行司法試験を一切受験できないとする制限を新たに設けるのは過度の制限であると考えております。また、出願者が法科大学院経由者でないと確認することは、事実上不可能でして、この点からも法科大学院経由者であることを現行司法試験受験の欠格事由として規定する方法は相当ではないと考えております。
 そこで、新司法試験を現に受験した者に対し、現行司法試験との「掛け持ち受験」を実質的に認めないなどの方策で、ここで生じ得る諸事情については対処すべきものと思われます。(注)に書かせていただきましたが、「何らかの制限を課す場合でも、「法科大学院修了者であっても、同一年度に受験できるのは新・現行司法試験のうちの一方のみとすること」や「新司法試験を実施する平成18年以降は、新・現行司法試験のうちどちらを問わず3回(3年)の受験回数制限を課すること」などの、別の意味のたがをはめていただくことが実際的なのではないかと考えております。
 最後に、合格枠制については、先ほどの説明どおり、廃止することが決まっております。
 私からは以上でございます。

□ どうもありがとうございました。

(2)質議・意見交換

□ それでは、委員の皆さんからの御意見は後ほど伺うことにいたしまして、まず、ただいまの法務省担当者の説明のうち、現行の司法試験に関する御質問などがございましたら、現行司法試験に関する質問に限って、挙手の上御発言願いたいと思います。その後で新しい司法試験について検討をお願いしますので、まず、現行司法試験に関する御質問などがございましたらどうぞ。

○ 論文式の採点は、恐らく採点者によってばらつきが当然あるんだと思いますけれども、それはどのようにしてならしているというか、不公平がないようにしているんでしょう。
 例えば、ある試験委員であれば、非常にいい成績には極端にいい点数を付け、悪いのは極端に悪く付ける。ある試験委員であれば、それを0.5 刻みくらいしか差をつけないというようなことがあると、合否の判定に対して非常に不公平な結果になってしまうと思うんですけれども、それはどうされているんですか。

(法務省) 現在の第二次試験の論文式試験におきましては、6科目、12問課されておりまして、1つの答案につきましては、2名の司法試験考査委員で採点することになっております。その採点結果につきましては、委員の御指摘のとおり、相当ばらつきがありますので、いわゆる偏差値の考え方を取りまして、全科目、全答案の平均点が中心に来るような形で得点格差の調整と呼ばれる作業をしまして、それぞれの答案ごとの調整された点数を合計した点数でもって合否を判定しているというものでございます。

○ 要するに、偏差値に換算して、それを合計しているということですね。
 それから、口述試験、これはどういうふうに採点しているか全然知らないんですけれども、具体的に細かく点数を付けて、それで合否を判定するんですか。それとも、もっとおおまかな採点の仕方をしているんでしょうか。

(法務省) この採点方法については、今年の1月23日に口述試験も含めた試験の採点方法について公表しているところでございます。その公表した口述試験の採点方法については、各科目、5科目ございます。各科目60点を基準点として、5科目の合計点をもって合否の決定を行う。それぞれについて要旨を申し述べますと、その成績が一応の水準に達していると認められるものについては60点、それ以上、水準を超えているものについては、その水準に応じて61点、62点、63点といったような点数。一応の水準に達していないものについては、59点以下の点数を与える。それで、合計点数で合否を定めるというものでございます。
 ちなみに、昨年、平成13年度の口述試験の合格点数は296 点と、考査委員会議で定められております。

○ それといわゆる丙案、合格者枠の合格者、この方たちは恐らくそういう枠がなければ合格していない人も枠内であるということで合格しているんだと思いますけれども、単純にそういう枠なしで序列を付けた場合、合格者枠で合格した人の最低の成績の方というのは、全体では何番くらいということになるんですか。

(法務省) 平成11年度、12年度、13年度の3か年度は、990 名ないし1,000 名の合格者となっておりますけれども、その場合で、これは必ずしも公表していないんで、若干抽象的な数字で申し上げるのをお許しいただければ、1,500 番台の方も制限枠で合格しているものと承知しております。

□ なるべく多くの方に御質問していただきたいと思いますが、ほかの方いかがでしょうか。

○ 今、司法試験を受験している人と、合格している人の中で、法学部出身の人の割合というのはどのくらいなのでしょうか。

(法務省) 平成13年度司法試験第二次試験出願者のうち大学院生と学生に限った数字でございますが、法学部の方が88.90 %となっております。
 それから、合格者につきましては、大学院生と学生についてでございますが、96%でございます。
 こうしてみますと、その他の職に就いている方も、大学の出身者が99%以上でございますので、おおむね9割前後、あるいはそれを超える程度の方が法学部の出身者ではないかと考えております。

□ 例えば夜間の法学部へ通っていて、職を持っている人というのは、どちらに分類されていらっしゃるんですかね。

(法務省) 学生と申しますのも、基本的に本人が願書に在学生である旨の表示をし、在学証明書等を付けてきた場合は学生とされておりまして、これは夜間、あるいは二部と呼ばれる学生の方についても同様でございます。

○ 前に法務省から説明をいただいたときに、塾の教師とか、ビルの夜警をしている人とか、そういうのは有職者に数えないんだという分類でパーセントを切っていたんですけれども、この場合、どうされました。

(法務省) 塾の教師うんぬんというのも、いわゆる本人の意識として、アルバイト的なものだということ、実際受験生の方と話をするような機会がありますと、そう言っておりますので、そういったアルバイト的な塾の教師等の場合は無職に分類して、そうでない、本格的な、例えば専門学校の教員であるとかについては、教職員という分類になりますけれども、基本的には受験願書の中で、これは参考事項としてでございますが、自らの職種等についても記載していいただいておりますので、それに基づいてやっているところでございます。

○ 前に法務省から説明をいただいたときも、塾の教師とかビルの夜警とか、あるいは法律事務所の事務員も入っていましたが、そういうものは実質的に受験生が腰掛け的にやっている場合が多いので、全部まとめて非社会人の方に分類してあったんですけれども、そういう考え方はこの場合、どうなさっていますか。

(法務省) 基本的には、前提となるのは、職種について、受験願書に記入していただくとき、今、御指摘のあった警備員等については、これは会社員、その他には入らないという表示をしますし、アルバイトについては、無職と書くようにという記入例をつくっておりますので、そういった前提で受験生の方々が記入していると解釈いたしまして、それに基づいて御指摘のような説明がなされたものと思われます。

○ 今、お話を伺っていますと、例えば口述でも60点、61点、62点というふうな割合、点差が非常に少ないようなイメージがあり、普通の学校の試験とか何かだと、100 点から0点まであると、80点あれば優だというイメージが、非常に点数の格差が縮小されている、それを偏差値に換算するから、もともとはもっと大きかったのが小さく表示されると思っていいんですか。各人の生の答案を見たときの印象が、1点、2点の差ということはあり得ないような気がするんですけれども。

(法務省) 私が御説明申し上げたのは、60点を基準点とし、1点刻みで上の点数を付けたり、下の点数を付けたりするというのは口述試験についてでございまして、これにつきましては、もともと受験者が既に論文式試験を合格している者であるということで、一定の法律的素養は論述面では認められたものでございます。
 そうした者たちが受験する関係で、先生がおっしゃったような0点から100 点に分けるほどの実力差は、なかなか試験委員の先生方も見出し難いというのが実情でございまして、大体半数近い方は一応の水準に達しているということで、60点前後の点数を付けておりまして、その上とか下の点数となりますと、残りの半数の方々がばらつくというような実情で、大部分の方が60点、あるいはその前後の61点、59点に集中しているという採点になっている実情があるということを御説明したかったものでございます。

○ そうしますと、論文の方で言いますと、点差がどうなのか。あるいは採点のときに非常におおづかみに、これは非常によくできるというような、あるいは論点にどれだけ正しく触れていたら何点やるというような、そういうのが塾のようになってくるんじゃないかと思うんですが、その辺いかがでございましょうか。

(法務省) 1つは論文式試験の採点方法ですが、これは偏差値の調整を行う前の素点の付け方について、これも公表しているところですけれども、1問についての採点は40点満点とする、優秀と認められる答案については、30点〜40点の間を付けていただく、抜群に優れた答案については、35点以上もいいけれども、おおむね35点程度が優秀答案ということで採点する、それから、一応の水準に達しているものが大体25点、良好な水準に達していると認められるものについては、25点以上、29点辺りまで、その水準よりやや落ちているものについては、その内容に応じて20点〜24点、そういった水準にも達していないものについては、19点以下、特に不良であると認められる答案については、9点以下というようなことで、申合せがなされておるわけでありますけれども、さらに得点分布の目安としては、30点以上が5%程度、29点〜25点が30%程度、24点〜20点が40%程度、19点〜0点が25%程度という、おおむねの得点分布の目安というものが、全試験委員で申し合わせられております。
 それから、個々の論点ごとに正しく触れたどうかで採点するかということについては、これは各試験委員の先生方が判断なさることですし、いわゆる論点主義と、論点に触れたかどうかだけで採点するというやり方は望ましくないんではないかという御意見を持つ考査委員の先生が多いようでございます。

○ もう一点だけ、そうしますと、例えば1つの問題について、論点が幾つかある中の、ある数、半分くらいしか触れていないけれども、その議論の仕方が非常に優れているとか、そういうような場合には、網羅的に触れていなくても、非常にいい成績が付くという可能性はあるんでしょうか。

(法務省) 率直に申し上げまして、論文式試験の採点につきましては、司法試験考査委員の先生方の御判断にゆだねられているところでございます。その場合、どれだけの点数を付けるかということについて、若干は司法試験委員の先生方によって差があるところでございまして、その意味で先ほど申し上げましたような偏差値の考え方による得点調整も行いますし、1通の答案は必ず2名の司法試験委員で独立して採点するというやり方を採っておりまして、先生方のお考えによって、不公平を与えないように配慮しつつも、司法試験考査委員の先生の御判断にゆだねているのが実情でございます。

○ きらりと光るけれども、抜け落ちはあるというのでも、高い点を付けようと思えば、というか、現実にそういうのは高い点を付けている場合があると思ってよろしいんでしょうか。

(法務省) これはそれぞれの司法試験考査委員の先生方によって、お二人の先生の考えによって離れる場合も認められておりまして、そういったことからすると、委員御指摘のような採点も行われているものと考えております。

○ 私は考査委員をやったことがありますが、余り具体的なことは申せないのですけれども、科目によって、相談をしてかなり詳しい採点基準を作るところと、おおまかな整え方で、あとは各試験委員の判断に任せているところと、両方あると思います。採点基準を作るところでも、論点主義で、論点を浅く広く拾っていればいいというのでは困るものですから、論点の中にも重い軽いがありますし、拾っているだけじゃなくて、それについての分析の中身が深いというものに高い点をつけるということにしているように思います。私自身も、論点を網羅的には拾っていないけれども、ある点についての論述が非常にいい、光っているというのを、高く評価するようにしてきたといえます。

○ 2点ございますけれども、1点目は、資料6の最近の受験生の学力に関する意見ですけれども、そこに指摘されている最近のパターン化とか、自分の頭で考えない、逃げる答案が多いという点に関する解釈ですけれども、つまり、能力が低下して自分の頭で考えられないというふうに解釈すべきなのか、それとも、答案としては、安全策であって、むしろリスクを回避して、こういった答え方をしているのか、どちらの解釈が妥当であるかということです。
 2点目は、論文式試験の人数の限度ですけれども、これはもちろん、知っている範囲で結構ですけれども、私の記憶では、ニューヨーク州で大体受験者は2万人くらいいると思いますけれども、論文式試験を行っていますが、そういった場合、ニューヨーク州はどういうふうに取り扱っているのか。考査委員が多くてやっているのか、あるいは日本の場合は、更に受験者が増えた場合に、大体どこまでが限度なのかということです。

(法務省) まず、第1点の、最近の受験生の学力に関する意見については、ここに掲げましたほかにも、公式、非公式に司法試験考査委員の先生から御意見を伺うことがあるので、守秘義務に反しない範囲でできるだけ御参考になるように申し上げたいと思いますが、ここ数年、合格者数が年々増えてきたこともあって、若干、合格者全体の平均的な学力は低下してきているという印象をお持ちの先生が多いようでございます。
 もう一点、やはり大学での講義、あるいはゼミ等で学んだことよりも、予備校で教えられたのではないかと思われる事柄を、ある論点を与えられると、それを丸暗記したような形で書くという答案が増えているという御指摘がございます。これが今、御指摘のあった安全策を取ったものであるのかどうかについては、必ずしも判然としませんけれども、1つの問題で幾つかの論点が与えられると、その論点に多数の答案が同じような答え方をしてくるという傾向が目立ってきているということは言えようかと思っております。
 第2点の、考査委員の数と受験者の増加で、どの程度までできるかということについて、私はニューヨークの方の問題、必ずしも存じておりませんけれども、論文式試験については、現在、6,000 名〜7,000 名を受験させて、150 人余りの考査委員で採点していただいておりますけれども、これが司法試験考査委員の話では、限界だろうと言われております。増員も考えておりますけれども、限界がどのくらいまでであるかと言いますと、司法試験の考査委員と言いましても、ある程度教育の実績でありますとか、学問的な知識でありますとか、ある程度の経験を積まれた一定レベルの方以上である必要があろうと思いますし、実務家の場合も、それなりの実務経験を積まれ、法律的な素養もある方に限られるとなりますと、やはり試験委員の面からだけ言いましても、1万人を超えることは難しいだろうなという感じを持っています。

口述試験になりますと、先ほど申し上げたように、もっと難しい問題が生じると思っています。

□ まだまだ御質問がおありかもしれないのですけれども、この問題は新しい司法試験の在り方も関連していますので、この後は新しい司法試験の在り方について質問とか御意見がございましたら、挙手の上、御発言願います。

○ 新しい制度での口述試験をどうするかということをお聞きしたいんですけれど。論文試験は基本的、基礎的な法律の知識と論理能力が問われるということなんですが、口述試験というのは、結局、何をスクリーニングするというか、問う試験であるのか。部外者から見てわかりにくい。今後の制度設計においても、恐らく知識の量とか論理能力は論文で問うことになるので、それではない能力が問われることになるのでしょうか。
 それならば、分野別に、憲法、民法、刑事みたいな分野を分けて、個々に聞くことがどういう意義があるのか、私には理解しづらい。その点について、少し御説明いただきたいんです。

(法務省) 口述試験も、基本的に裁判官、検察官、弁護士となるのに必要な学識と応用能力を有しているかというのを口頭表現という面で適正さをチェックするという機能があるものですから、論文式試験とは違って、一定の法律問題を素材として、さまざまな口頭でのやりとりの中で、法律的な知識及びその応用能力があるかどうかをテストするという考え方で設けられております。
 具体的に言いますと、多くの場合は、幾つかの事例について、法律問題を指摘させ、それについて幾つかの質問をしながら、その場で直ちに法律構成をして答えられるかどうかを見るというようなシステムで行っているところでございます。
 その意味で、単なる口頭表現の能力だけを見るものではないですから、一応一定の法律問題を前提に、さまざまな法的な観点から質問をし、それに対して答えるという、いわゆる口頭試問のやり方を取っているものでございます。

□ ほかにございませんでしょうか。

○ 今の御質問の中にあった各科目別に何回も口述試験をやるというのは物理的に限界があるというのは分かるんですけれども、それを総合的に3つか4つの系統のものを一遍でやる。例えば1時間の中で、民法を聞いたと思うとすぐ刑法を聞くというような口述試験をやれば、時間的にはかなり助かると思うんです。そういうことはなかなか難しいということはございますでしょうか。

(法務省) 現状についてお答えいたしますが、現行の司法試験法では、口述試験については、先ほどお示しした、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法の5科目について行うと規定されております。司法試験考査委員も科目ごとに任命されております。したがって、御指摘のような点も考慮して、平成11年度からは、憲法と民事系と刑事系という3系統に分けてはおりますが、基本的には現行法の枠から出られない。現行法の5科目の枠から出られない、かつ、試験委員の先生も、それぞれ科目の専門家ということで任命されていますので、御自分の担当する科目について質問するというやり方を取っているんで、先ほど申し上げたような現状になっているものでございます。

(法務省) 同一機会に同一人に対して複数の科目を聞く体制となった場合には、受験生1人に対して複数の科目の先生をその場に張り付けなければならないという実施上の問題もあるのではないかと思います。ただ、方式として、そういう方式があり得ないということではありませんので、それも含めてこの場で御議論いただければと思います。

○ 憲法は別なのですけれども、刑事系、民事系というふうに統合したときも、複合的な問題にして、いろんな角度から聞いた方がいいだろうということで、いろいろ試みたのですけれども、出題が非常に限定されることが分かりました。1年目はいいのですけれども、一回そういう問題を出しますと、かなり予測がついてしまうのです。それから、先ほどの御質問に対する答えになると思うのですけれども、1つの科目でも、知識だけを聞いているわけではなくて、いろんな球を投げて、どうやってそれに反応してくるかということを見ようとしています。ところが、今、口述の時間は、30分くらいなのですけれども、2人の委員が聞きますので、1人の委員が聞けるのは15分くらいしかありません。本当に突っ込んで聞いていると、あっという間に10分、15分経ってしまって、次の受験生もいるものですから、延ばせない。そういうことがあるものですから、時間との闘いで、かなりきついのですけれども、何か1つの専門科目についてでも、深く、そういうふうに突っ込んで聞いていくと、かなり個々の人の持っている力というのは分かるように思いますね。

○ 短答式についての質問です。その前提として、私も考査委員を経験しましたけれども、強調してしかるべきなのは、現行の司法試験は、ものすごく手間暇をかけた、精密な試験をやっていることです。お金をかけているかということになると、考査委員手当は大したことはない。それは冗談ですけれども、私がやっているときは、大変だなと思っていましたが、責任のある制度、責任のある試験制度運営というのは、そういうものだなと思いますし、それがまた信頼性を担保しているということにもなると思うのです。新司法試験制度も、是非、今のよいところは継承する形で組み立ててほしいと思います。
 そこで短答式の問題ですが、法務省のペーパーは、「ア」は、法典法国の法律家というのは、きちんとした正確な広い知識が必要である、短答式はそれを問うのに最適な試験であると言いながら、「イ」になると、法科大学院の方にいい顔をして、そこでしっかりやってくれるなら必要ないと言っています。ここのところは全然論証になっていないのみならず、最後の方になってくると、たくさん受験すると、やらななければ仕方がないという、かなり消極的な意見になっています。私はむしろ実施する必要があるのではないかと思っています。法典法国の法律家の備えるべきものを判定するものとして必要だということに加えて、ここで述べておられるように論文式は、必要な情報を与えて理論的な思考力、推論能力を試すということに是非したらいいと思うのです。そうなると、知識を問うというところが欠落してしまうので、短答式は是非置いた方がいい。
 具体的に言いますと、例えば法律家には知識が必要だという例ですが、弁護士さんが法律問題の相談を受けているとき、これは古い話なので時効が問題になるなと考えたときに、「これは時効が問題になるんですよ。私は問題解決方式で教育を受けているからよくわかります、しかも、調査技法も習っておりますから、よくわかります、次に来るまでに調べておいてあげましょう」ということで足りるでしょうか。そうではなくて、不法行為は3年だけれども、債務不履行は10年だと。商事債権だと5年になって、お医者さんの報酬債権は3年だけれども、弁護士の報酬は2年だと、飲み屋は1年だということがその場で言えないと、間尺に合わないだろうと思うのです。それが法典法国の法律家の備える1つの基本的な素養だと思います。私は飲み屋の時効を短答式試験で出せと言っているわけではないのです、そういうことを言っているのではなくて、備えるべき素養が何かということを言いたいわけです。
 もう少し別の観点で言うと、最近の知識工学では、ディープリーズニングとシャロウリーズニングということが言われていて、シャロウリーズニングというのは、例えばこの部屋で空調が故障になったというときに専門家を連れてくると、どこが悪いということがすぐわかる。それは何で分かったかと尋ねると、これはABCDと悪くなる可能性のあるところが4点あって、この間Aを修理したからそれはない、Bというのもこの間定期点検で確認しているから大丈夫だと、だから、C、Dだと思ってそこを見てみたらDだったと説明できるのがディープリーズニングだということです。専門家にはディープリーズニングとシャロウリーズニングの両方が必要で、短答式にはシャロウリーズニングの方を判定するという機能、目的もあると考えるわけです。いずれにしても、知識にしても簡単な形での推論の力を判定するにしても、短答式は是非置くべきであると思います。それが手間との関係で採否を決めるということは本末転倒ではないかと考えます。

○ 今度の司法制度改革審議会の法曹養成についての根本的な考え方というのは、今までの法曹というのが法廷の専門家、法廷の職人的なものから、もっと多様な法曹になって社会生活上の医師としてもっと広い範囲で日本社会の、今全然法律家が行っていない広い範囲で活躍しなきゃいけないということが根本にあると思うんです。
 そうすると、そういう人が法曹になるように、その過程は設計されなきゃならないと思うんですけれども、当然のことながら、ペーパーテスト、あるいは口述でもいいですけれども、それで試し得る能力というのは限定されている。これは書かれているとおりですが、やはり法科大学院におけるプロセスにおける教育で分担すべきものと、それから最後にそれをチェックする試験というのは、役割分担があると思うんですけれども、特に弁護士にとって一番重要なのは、依頼者のためにどれだけ熱意を持って取り組むかという熱意とか誠意なんですけれども、そんなものは全然試験で試せませんし、カウンセリングの能力とか、そういったものも恐らく試せないと思うんです。
 法務省としては、新しい司法試験を考えるについて、そのプロセスとの分担というか、バランスと言うか、そういうものはどういうふうにお考えになってその案をつくられているんでしょうか。

(法務省) 御指摘のように、プロセスとしての法曹養成が大事だというのが意見書の考え方だと思います。その中核になるのは法科大学院でしょうけれども、法科大学院での教育があって、司法試験があって、更に司法研修所における研修もあると。このトータルのプロセスとして見るというのが改革審の考え方だと思います。
 今、委員が御指摘になったような、すぐれて実務との関連で法曹が身につけるべきハートであるとか、技術については、相当程度、最終の司法研修所における教育にゆだねるべきものではないかと我々としては考えまして、実務と架橋する理論教育が行われる法科大学院の履修効果を判定する試験としては、こうあるべきではないかという考え方で、今日御説明させていただいたところでございます。

○ その場合、求められる法曹像が多様化するということになりますと、今までの法曹であれば、確かに基本六法に非常に習熟していれば大体用が足りるというか、それ以外への分野への需要がほとんどなかったという状況だと思うんですけれども、これからはもっと多様化するということになると、求められる法曹の能力というのは、今までより拡散する、あるいはずれるという関係にあると思うんです。
 そうすると、司法試験というのは、法曹になるためにどうしてもくぐらなければならない関門ですから、そこでテストされるべきものは、恐らくそういう多様な法曹全部に共通のミニマムの部分でないと、言わば多様化を妨害する効果を持ってしまうと思うんですが、その点についてはどうお考えですか。

(法務省) 我々としては、基本六法を中心に、プラス選択科目、これは科目の個数にもよるでしょうけれども、我々としてはミニマムの考え方を取っているつもりでございます。

○ その場合に、司法制度改革審議会の意見書から言っても、これからはむしろ法曹にとって豊かな人間性を持っているということが重要なんだという前提があるわけですから、最低限、そういった意味での規範である法曹倫理について、きちんと理解していることというのはミニマムではないかと思いますが、ここでは科目としてなじまないということで採用しないとされていますけれども、点数を付けるということになると、確かにいろいろ問題があるかもしれませんが、倫理的に問題が起こる状況、利益相反行為になるかならないか、あるいは守秘義務、弁護人が被告人からこういうことを打ち明けられたけれども、どうしたらいいかという状況を与えて、それについてのその人の解答を書かせて、それが論理的に整合していて、説得力があると、おおまかな弁護士倫理に反していないという範囲であればみんな合格、そうじゃない、何言っているんだから訳がわからない、いっぱい書いてあるけれども訳がわからないという答案は不合格。あるいは、全く弁護士倫理というものを理解していない答案は不合格という非常におおまかな採点をするということにすれば、現在においても、これは科目として採用できないということにはならないのではないかという気がするんですけれども、その点はどうでしょう。

(法務省) そこも含めて御議論いただきたいところだと思いますが、我々としては、まだ学問的に普遍的な理解が得られているのか、教える方々、あるいは採点する方々の主観的立場、考え方によって、採点の客観性、公平性が保てないんではなかろうか、法科大学院においても、すべての法科大学院で同様のカリキュラム、同様の水準の教育がなされるかどうか、現時点では確認できないと思いますので、ややなじまないと考えておるんです。そこも、検討会の先生方の御議論にゆだねられているところだと考えております。

○ それから、科目の問題で言うと、選択科目をやるということで、それについては、ニーズが高まっている科目というのを挙げられていますけれども、選択科目を加えるというのは、言わばそのどれかは必ずやっているということが法曹としてのミニマムだということになる関係で、例えば環境法の専門家になりたいということで、全部自分の履修科目を選んだという人が、司法試験を受けるだけのために、知財をやらなきゃいけない、労働法をやらなきゃいけないというようなことになると、多様化を妨げる役割をここでするんじゃないか。例えば刑事の専門家になりたいということもあるかもしれませんし、環境法であれば、そもそも環境法に特化するロースクールという構想が、アメリカに現にあるわけですから、ないわけでもないんですけれども、そういうものを言わば固定化するんじゃないかという問題とがある。試験科目にすると、本来、それぞれの法科大学院で創造的に展開されるべき内容が、知財など、特にそうだと思いますけれども、本当に日々進歩していく状況に対応するために、さまざまな教え方、あるいはカリキュラムの組み方があるのにそれを試験科目になじむものということで規制されて、本当の現場では役に立たない、もう5年くらい前の知財の知識を試すということになって、肝心の先端における専門家を養成するという目的にも反する結果になりはしないかという問題があるんじゃないか。
 もう一つ、選択科目が廃止されたのは、そもそも一番点数が取れそうな科目に自分の志望と無関係に選択するという弊害があったというのも1つの理由だと聞いておりますけれども、それと同じことが起こるんじゃないか、科目間の点数調整という非常に難しい問題も起こってしまうんじゃないかという気もするんですが、これらの選択科目採用の疑問点について、どうお考えになったのか、お聞かせ願いたいんですが。

□ 法務省の意見ばかりではなくて、各委員のご意見についても、それぞれ異論も反論もあると思うんで、ほかの先生方で、それはちょっとおかしいんじゃないか、あるいは別の意見があるということがあれば、余り法務省の意見ばかり聞くのではなく、ここでもう少し委員の間での実質的な議論をしていただきたいのですが、どうぞ。

○ 今のに関連した質問なんですが、基本法と先端科目というか、必修科目というのがどういう意味なのか。特に基本法というのが、どういう意味で基本法だとお考えなのかを伺いたいんです。つまり、法曹としての需要が一番多いのが民事、刑事である、それを知っていれば、大体の需要が賄えるという意味なのか。それとも、需要は先ほど委員がおっしゃったように、拡散して多様化しているけれども、六法というのは、それさえ知っていれば、あとは幾らでも応用が利くという意味で、基礎と応用ということになっている、そういうお考えで基本法なのか、それを伺いたい。
 と言いますのは、例えば裁判法曹であれば、民法と刑法というのは必須だと思いますけれども、弁護士にとってみれば、刑事をやる弁護士というのは少ない。そうすると、例えば極端なことを言いますと、刑法、刑事訴訟法を知らなくても、労働法か知的財産かを知っていれば、その道の弁護士としては十分だと。そういうことを考えたら、多様化するニーズに対応する法曹をつくるという意味だったら、必須という中でももうちょっと考えようがあるだろうし、それがベーシックで、それは必ず全部マスターした上で、あとは応用なんだという理解なのか、その辺、どんなものでございましょうか。

□ まず法務省の意見を聞いた上で、皆さんの御意見もいろいろおありだと思いますので、その後でお願いします。

(法務省) 我が国は成文法の国で、それぞれの基本六法というのは古くから完結したものとして観念できております。この世の中に多数ある法律は、必ずこの基本六法のどこかにベースを置いて、その理解を前提として組み立てられているという現実があります。
 ですから、今、委員御指摘の点についてのお答えは、あらゆる点について応用の利く土台を形づくるものとして、これまでずっと学問的にも深められ、実務的にも重用されてきたものと考えております。
 ですから、これは法曹になる者の基本として是非必修にしていただきたいと考えているところです。

□ ほかの方で、何か特に今までの点について御意見がありましたらどうぞ。

○ 先ほどの御指摘は、大変本質的なところを突いていると思うのです。従来は基本六法というのが、我が国法曹の必要十分条件であり得たわけです。ところが、本当にそうなのかという御指摘だと思うのです。
 私は必要条件としては変わりはないけれども、十分条件ではなくなっているかもしれない。こういうふう思うわけです。しかし、やはり必要条件ではあり得ている。
 どういうことかというと、例えば知財をやっていこうという人でも、民法の理解は不可欠です。特許の専用実施権と通常実施権がありますけれども、専用実施権は民法の物権法の理解がないと、深い理解はできない。通常実施権は、債権の概念がきちんとできていなければ、深い理解はできない。こういうことですから、基本と応用と言うと、適切な表現かどうかはわかりませんが、そういう関係にあるということで、足腰を鍛えた、基礎体力に相当するものが基本六法ではないかと考えます。
 もう一つ、刑事法関係は、今の社会経済状況の中で、相対的に比重が薄くてもいいのではないかという御指摘ですが、そのとおりだとも思うわけですが、例えば企業活動であることをするとして、それが合法なのか、グレーなのか、違法なのか、違法でも民事で損害賠償につながるのか、あるいは構成要件に該当する犯罪なのか。こういう連続的な仕分けがあり、かつ、それを規律する基盤として、全実体法秩序というのがあるわけです。それが刑事法関係は欠けているという人では、企業のコンプライアンスに対するアドバイスもうまくできないという関係にあると思うのです。その意味で、基本六法というのは必要条件だと考えているわけです。

○ 刑事法につきましても、今、委員がおっしゃったことに加えて、特に刑法というのはかなり抽象度の高い議論もする分野なのですけれども、これも法律家として物事を考えていく場合に、民事法的なアプローチの仕方とはちょっと違いますけれど、そういう考え方や論理の組み立て方を鍛える分野だろうと思います。そういう意味で、基本を成しているのではないかというのが、1点です。
 ついでに言わせていただくと、まず短答式なのですけれども、先ほどのご意見の趣旨は十分理解しているつもりなのですが、これまで反面として弊害が指摘されてきたのは、短答式試験を通らないといけないために、知識をとにかく覚え込んでしまう、詰め込んでしまうという勉強の仕方を多くの人がするということなのです。そうですから、そういうふうにならないように、短答式を行うとしても、中身をかなり考えないといけない。これまでは、そこがイタチごっこで余り平易なものを出すと、みんな高い得点を取ってしまう。だから、ある時期は非常に奇抜な、解答のない解答、ゼロという解答もあったこともありますし、それはよくないので、思考力を試そうというので、中身を思考力中心に変えたら、今度は十分な基礎的知識すら身に付いていないけれど、その場でパズルを解くように解く人が高得点を取る。そういうふうに、イタチごっこだったものですから、その点を、よほど注意しないといけないということです。
 もう一つは、法曹倫理なのですけれども、先ほどの委員の熱意もよくわかりますし、法曹倫理というのを法科大学院で、いろいろな難しい状況を設定して、十分議論し、考えてもらうということが必要なのはいうまでもないことですけれども、試験問題にするということになりますと、非常に難しい問題を出した場合には、採点のしようがない。いろんな答えがあり得るわけです。現実に弁護士さんなどが、いろんな場面に直面したときに、その人によっていろんな対応の仕方をする。どれか正解だということは、必ずしも言えないと思うのです。そういう意味で非常に難しい。
 それでは、採点を容易にしようと思ったら、だれでも多分正解が出せるようなものになってしまうのではないか。その意味で、試験の対象にするのは難しいように思うのです。

○ 私も、先ほどの刑事は必要条件であるということは、それは全く同意見ですけれども、私は法曹倫理も必要条件だと思います。しかも、法曹倫理を試験で試さないと、法曹倫理は大事ではないというメッセージを与えるんじゃないかと思っていますし、しかも、法曹倫理は確かにいろいろな解釈、状況によって、あるいはいろんなアプローチはあり得ますけれども、基本六法に関しても、解釈の余地のないような質問だったら、簡単なものになってしまいますので、それも考えさせるものであるから、むしろ法曹倫理で全く考えていない、基本知識も欠けているし、しかも、難しい倫理問題を提供されて、考えた様子の全くないような解答なら不合格だと思いますので、むしろ法曹倫理は何らかの形で試験に入らないと、法曹倫理は重要ではないという悪いメッセージを与えると同時に、学生が十分勉強しないという結果になるのではないか。

○ 後者の点は、法科大学院では法曹倫理を必修にすれば、修了するためには授業を真面目に受けて通らないといけないわけですから、そのおそれはないと思うのです。メッセージという点は、いろんな科目について言えることで、では、例えば行政法を落としたら、行政法は重要じゃないということかと、そういう話になるのではないですか。

○ 私が言いたいのは、法曹としてのミニマムを試すという範囲に限るべきだし、限った場合には、法曹倫理は入るだろうということと、先ほど正解がないじゃないかと言われましたが、それで私はいいと思うんです。唯一の解答がある、つまり正解がある質問ばかりしているから、正解を覚えれば合格というような勉強の仕方になっているわけで、問題を考えて、考えた内容を論理的、かつ積極的に展開できればいい、結論はどっちでもいい。現実に弁護士会で倫理研修をやっていて、出している問題はみんなそういう問題なんです。そこで討論して、お互いの考え方、もちろん、前提として基礎知識として弁護士倫理をちゃんと理解していなければいけませんけれども、具体的な非常に複雑な問題になると、これはむしろ正解がない方が多いんで、その人の価値観、世界観というものがかかわってくるわけですが、それを論理的、かつ積極的に展開できるかどうかというのは、これは明らかに差がつく問題ですので、唯一の正解がないから試験問題にならないというのは違うんじゃないか。

○ 前提として誤解があると思うのですけれども、唯一の正解がないということを言っているわけではなくて、評価が非常に難しいということなのです。

○ それはわかります。パス・フェイルの二段階であれば、それもそんなに悩むことはないんじゃないか。

○ しかし、その判定を試験全体の中にどう組み込むかですね。

○ 当然のことですけれども、フェイルになればもう駄目、だから、それはよほどひどいのだけということになります。

○ 試験科目ですけれども、どういう範囲の法律、または法曹倫理を含めてもいいんですけれども、そういうものを試験の対象にするということと、具体的な試験科目というのは必ずしも一致しないんじゃないか。例えばアメリカでも13科目、日弁連から配られている13科目が試験の科目で法律に入っていますよと、実際に出るのは6科目、その年によって違うし、また、融合問題だったらつくられる問題によっても違うわけで、そこの辺りを試験の範囲というのと科目を一致させているというのは、現行試験にとらわれ過ぎているんじゃないかと思うんで、その辺りをもう少し考えた方がいいんではないか。
 試験方法ですけれども、どういう法曹になってほしいか、1つの関門として見るわけで、そういった場合に、私も、択一だとか、または口述も、それぞれのやり方いかんによっては、それぞれ法曹の資質を見るための1つの試験方法として十分あり得る方法ではないかと思われるわけです。ただ、私、試験委員もやったけれども、択一をつくった苦労をしていませんので、勝手なことを言っていると思われるかもわかりませんけれども、変なパズル的な問題もおかしいし、さっき言った時効が1年か2年かというのを覚えているかどうかを聞くのもおかしいと思うんですけれども、それ以外のところを聞くというのでは、思考力があるかとか、また、ある説に立って前提から考えていって成り立つような結論は幾つかあるかとか、それと矛盾するのはどうかという法的、論理的な思考力があるかどうかというのを択一で問うというのはあり得るんじゃないか。
 もう一つ、試験方法については、法科大学院の教育方法とか教育成果との接点というのも出てくるんで、今の段階で余り決め付けないで、試験方法の柔軟性というのも確保していくシステムをつくっていくべきじゃないか。その中で法曹倫理も出てくるんじゃないかと思うんです。法曹倫理というのがいろんなところで行われてきて、その後、ある程度定評が出てきた後に試験として実際にやるのはあり得るとしても、それまでは先ほどの御意見のように、第三者評価とかいうようなところで、課程の方でチェックをしていくという形でしばらく様子を見た方が、実際の試験という形で取り入れるには、まだまだ問題が多いんじゃないか。ただ、それがパスしたか否かだけを見るというと、ほかの科目との関係でどうやって合否を決めるのかと。そこではそれで落ちたら拒否権発動になってしまうのかというところもありますので、もうちょっとこの辺りは、法科大学院の実際の成熟を見て実施いかんは考えた方がいいんじゃないかと思います。

○ 司法試験の科目という場合に、今は、各科目ごとに最低点があるのかどうか知りませんが、全部合わせて点の高い順に取っていくという試験だと思いますが、それを例えば民事系、刑事系、行政系、選択が幾つかというふうに分けて、そのグループごとに合否を決めて、何年かかかってでも、全部を合格したら、トータル合格と、そういうふうな仕掛けというのは、今回の司法試験の中では全く考慮の外なのか。
 つまり、一回で上から順に並べるのか、それとも、法曹としてのミニマム、変なのが入ってこないということのためだったら、それぞれで最低点をかなり高くしておいて、それの全部を順番に取ったら、総合順位を付ける必要はないんじゃないか。
 そうしますと、法科大学院の方とうまく結び付けられるんじゃないかと思うものですから、それを取ってほしいという、そういうことは考慮の対象になり得るのかどうか、伺いたいたいんですが。

□ いかがでしょうか。

(法務省) 私の方から現状だけ御説明しますと、短答式試験と口述試験は、科目での最低点というのを設けておりません。短答式であれば3科目、口述試験であれば5科目の合計点で上から順番を付ける、それでどこに合格点を設けるか、先生方が合議して、その点数以上の方が合格を取っております。
 論文式試験についても、6科目について、基本的には合計点、これは偏差値の考え方で調整した点数ですが、合計点を決めて、その合計点以上が合格ですが、6科目のうち1科目でも、1問と2問の平均点が10点未満の科目があった場合は、それのみで不合格という制度として現在運用しております。

□ 例えば5科目だったら5科目の試験を受けて、ある年に3科目受かった、落ちた科目は次年度受け、何年かかかって全部の科目について一定レベルをクリアーすればパスするという仕組みは考慮の外にあるのか、検討の余地があるのかということを伺いたいと思います。

(法務省) そこも大きく言えば試験制度の在り方の考え方かもしれませんが、今回、プロセスとしての法曹養成という考え方で、基本六法に限らず幅広い法律分野について、一定のカリキュラムを経た人に対して、その履修効果を確認しましょうという考え方に立っているということ、また、科目ごとに積み上げした場合に、全体として幅広く何年法曹資格を取得するのにかかるかわからない、予測不能な制度になってしまうということ、あとは、その後に横並びで実務修習期間が予定されているときに、その実務修習に入る者たちの資質・能力のばらつきがどの程度のものになるか、予測できないということなどから、トータルとしてのプロセスの中での法曹養成という理念になかなか合いにくいのではないかなという感じは持ちます。

□ 今の仕組みを前提とした上でのことだと思います。

○ 口述試験のことですが、先ほどの参考資料を拝見すると、前の年に落ちた方が加わっているから、受験者が1,086 名、合格者が990 名となっているのですね。合格者を決めるときには、口述試験だけで決めてしまうわけですね。
 少し乱暴な議論なんですが、私は日本人のインタビューというのは余り機能しないと思っています。英国人と一緒にインタビューをしたことがありますが、彼らは非常に巧みに人の欠点を見つける、あるいは長所をつかみ出します。口述試験で落ちた方はどういう方なのでしょうか。つまり、論文試験ではすごくいい点をとっている人が落ちているのかとか、その辺はどうなんでしょうか。日本では、ここにもちょっとありましたが、公平性ということを重視しすぎるから、インタビューというのは余り機能しないんじゃないかと思っているんですけれども、そういうことであえてこういう質問をさせていただいた次第なんです。

(法務省) 現状について私から御説明申し上げますと、口述試験はかなり機能を発揮しているんじゃないかというのが現状認識ではあるんです。今、御質問のあった論文式と口述試験の関係ですが、論文式でかなり高い点数を取られた方でも、口述試験に不合格になるという例はかなりございます。その意味では、口述試験は独自にインタビューに対応する能力を十分見ているんではないかと私どもは感じております。

○ 入れ替わり率というのは計算されていますか。例えば論文試験だけで決めてしまう、そうすると、ここで言うと1,024 人が通るわけですね。それが結果として、去年の人たちが来ているからうまく統計は出ないかもしれませんけれども、990 名になったと。これが入れ替わり率ですね。その辺、大学などではものすごく気にする点です。

□ 大学で口述試験で落ちた者を見ていますと、少し頭の固い者と、非常に気の弱い者が落ちていまして、しかし、1年後はほとんど受かっています。

(法務省) 具体的なデータをどこまで公表できるかは問題があるんで、抽象的に申し上げますと、全体平均の合格率が91%くらいなんですが、10段階くらいに分けて、最後のグループでも8割くらいの合格率があろうかと思っております。上の1割でも、何人かの方は毎年落ちておられます。

○ 去年落ちた方がもう一回受けられるわけですね。これで言うと66名でしたか、口述試験の場合、その方たちの合格率はどうなるんですか。

(法務省) 全体の合格率よりはやや低いですけれども、8割を超えるくらい合格しておられます。

○ 経験とか、多少のトレーニングによって合格できているのであるならば、あえて10%を口述で落とすことの意味はあるか。それで2回目を受けない人が出てくる。つまり、ドロップアウトしてしまう可能性がある。決定的に法曹人として問われる能力ならば、そこでセレクトする意義はあると思いますが、少しガイダンスしてやれば、ケアできるものであるならば、試験をする意味はあるのでしょうか。でも、延々と口述試験が存続してきたわけですから、その意義は何か関心があります。

○ 司法試験委員をやってきた経験に基づいて言いますと、これは今までの論文式試験の答案が、よく言われますように、金太郎飴だとか、クローンだとかいうようなことで、論文の試験を採点していても、受験者の顔が全く見えてこない、言ってみれば非常につまらない作業なわけです。
 それに比べて口述試験というのは、もちろん、受験者の顔が見えて、会話もできるわけですから、非常に試験委員としてはやる気になる場面ではないかと思うんです。どうもおかしい人というのは、性格が小心者だということは別にしても、全然会話が成り立たない。こういうふうに聞けば、こう答えるはずなのに、そこで黙ってしまって一歩も進まなくなるという人が、どうしてもこの人は法曹としての適格がないんじゃないかということで落とすということになるわけです。
 落とす人については、ほかの試験委員とそれほどそごが生じないんです。これはちょっとまずいですね、そうですね、これはまずいですねということで、大体一致するわけなんです。
 そういう機能もありまして、私自身としては、口述試験はできれば残してほしいなと思っているんです。

○ そうであるなら、3分野別の試験は必要ないのではと思いますが。

○ 先ほど御説明のあった1点うんぬんということも、今のあれとはコンシステントではないですね。私もサポートします。確かに非常におかしなのがいますから、それをスクリーニングするということであれば、先ほどのものとはちょっと合わないんじゃないかと思います。

○ 口述は最低限のスクリーニングの機能を果たしているという点では、私も同じような感じを持っています。多くの受験生の答えはパターン化されていますので、全く世の中にない説などを考え出してぶつけることがあるのですが、そういうのに対応できない。固まってしまうという人が多いのです。それも気が弱くてとか、上がってしまってという人はこちらでもわかりますので、それはそれなりにほぐせるんですけれども、そういうこともないのに、思考が全く止まってしまうという人は排除する。セーフティーネットみたいなものなんですね。もっとも、選別機能というのをもっと強調するのならば、大胆に言えば、もっと落とすような試験にすることはできる。1割じゃなくて、2割でも3割でも落とすということでやれば、もっと選別できるんじゃないかと思いますけれど。

□ もう少し技術的、制度的な問題をはじめ、いろいろ論点は残ってしまったんですが、試験の在り方の主なところはかなり議論が進んだと思います。予定した時間も大分過ぎましたので、今日は一応ここまでにしたいと思います。

○ 今日は時間がなくて聞きたいことの10分の1も聞けなかったという感じがするんですが、それぞれいろんな意見をお持ちだと思うんです。それぞれが自分の意見をまとめて、こうあるべきだということを言う機会を与えていただきたいなと思うんですが。

□ 次回は2月19日の午後2時からこの場所でやることになっており、議事内容としては、これまでの議論を整理しながら、第三者評価と司法試験についての議論を深めていきたいと考えております。今、委員からも発言がありましたけれども、以前からほかの委員からも、全般的な意見を述べる機会を与えてほしいという申し出もございましたので、次回の会議で、まず希望される委員の方に、時間の関係がありますので、1人5分程度ずつ御意見を述べていただくようにした上で、議論を行いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○ 評価基準と司法試験の両方についてですか。

□ 両方についてです。幾つか座長として希望もあるんですが、なるべく早く意見をまとめなければいけない項目について重点的に意見を述べていただいて、それ以外は、検討会はまだ相当期間続きますので、あとで十分詰めればいい事項、例えば、法科大学院における厳格な成績評価とか、修了認定、これは重要ですけれども、いろいろ検討した上で決めたらいいと思うんです。けれども、法科大学院の設置の準備とか、法改正とか、基本的な計画を策定する上で、重要な点に限って御意見をいただいて、しかも検討会の役割は基本的には意見書の提言を具体化するということになっていますので、意見書の趣旨を踏まえた内容と方向で議論いただいて、趣旨からそれていたり、あるいは意見書の中で大分議論されて、一応ここまで来たという論点の蒸し返しになるようなことについては、御遠慮いただいて、議論を進める方向の内容を中心に意見をいただければ、取りまとめをする方としては非常にありがたいんですけれども、そういう方向でお願いできますでしょうか。

○ 是非そういう機会をつくっていただきたいとお願いもしておったんですが、1人5分というので、これは大変だなと、これは人数を見ますと、それもわかりますが、そうなりますと、今度は各人が何を言いたいのかというレジュメと、大体結論を聞けばリーズニングの方は大体お互い想像がつくところもあるんで、何か延々と解説ではなくて、これとこれとこれを言いたいというような、読むのに余り苦労がないレジュメを皆さんにおつくりいただくというのはいかがでございましょうか。

□ 今、委員におっしゃっていただいたようなことをしていただければ、事務局の方としても議論を整理したりするのに非常に助かると思います。あらかじめ事務局に送っていただいて、事務局の方から皆さんにあらかじめ配っておくのが一番いいと思うんで、ほかの方のレジュメを見られて、これは是非反論しなきゃならぬということもあると思いますので、なるべく早く事務局の方に書面で、どういうことについて意見を述べられるかということを御連絡いただきたいと思います。
 次回は午後2時からですけれども、今お話いただきましたように意見のプレゼンテーションをお願いするということで、5時までやりたいと思いますので、2時から5時までで御予定いただきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
 それでは、これで本日の議事は終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。