第4回配布資料一覧
意見10
第三者評価基準についての意見(要旨)
I. 基本的方向
○あくまで司法制度改革審議会意見書を前提とし,現実の諸条件の下で,その提言を円滑かつ速やかに実現するとともに,多様な展開と将来の発展を可能にするような具体的制度設計を行うことが必要。
- 各自の理想を貫くため,意見書に至る議論を蒸し返し,その実質的変更を来させるような議論はすべきでない。
- 意見書の趣旨を踏まえつつ,現実の諸条件と限られた時間の下で実現可能な制度設計をすることが必要(実現可能性)。
- 関係者の創意工夫による様々な試みを可能にし,制度全体としての活性化を図るため,網羅的で硬直的な統一基準により規制するというのではなく,規範性を持つ共通基準としては,(新司法試験の受験資格付与の前提となるということをも踏まえた意味での)質の確保に必要な最低限のものにとどめるべきである(最低基準性)。
- これに付加して,全体としての質の向上を促進・誘導するようなガイドラインを示すことは有意義であろう。
- 一度定めたら不変だというのではなく,試行錯誤の積み重ねにより,より良い制度に発展させていくべく,随時見直しを行うことが必要(柔軟性・発展性)。
II. 第三者評価基準
- 1. 教育研究上の基本組織等
- ○設置基準に加え,評価基準においてもこれを承けた定めを置き,設置申請時の条件が設置後も守られているかどうかを確認することが必要かつ適切。
- 「第三者評価(適格認定)基準に関する主な論点」(第1回配付資料7。以下「論点」という。)に述べられていることに特に異論はない。
- 2. 在籍者数と収容定員
- ○規範性を持つ厳格な定めとはしないという条件付きで,「論点」の述べるところに賛成。
- 教育の質の確保という観点からは,基本的には,「論点」に述べられているような方向でよいが,入学者選抜に合格した者が実際にその法科大学院に入学するとは限らないことを見込んで,合格者数を決定する必要があるため,かなりの誤差が生じ得ることや,法令上の在学可能年限との関係で,留年を認めないわけにはいかないことを考えると,規範性を持つ厳格な定めとすることは適切でないように思われる。
- 3. 入学者選抜
- 1)公平性の確保
- ○適性試験は必須。
- 意見書では,法科大学院入学志願者はすべて,適性試験を受けることが必須とされている。
法科大学院の開設が予定される平成16年までに,適切かつ十分な適性試験を用意し,実施に移せるかは,なお予断を許さないところがあるものの,関係者の努力に期待したい。当初は,試行錯誤の状況が続くこともやむを得まい。
- ○総合的判定についての規定は必要。
- 同時に,意見書では,ペーパーテストの成績だけにより入学者選抜をすることは適切でなく,学部等における成績や学業以外の活動の実績等を総合的に考慮して合否を判定する方法が採られることを提言しており,その点での制度整備を促すような基準とすることが必要。
- ○自大学出身者とその他の者の区別をしていないことは,入学者選抜の公平性の基準の解釈として示すのが適切。
- 自大学(ないし学部)の出身者を優遇するような扱いをするのではないかという疑念が,これまでの議論の過程で表明されてきたことを考えると,この点について何らかの言及がなされるのが適切かもしれない。基準自体とするまでの必要があるか,また適切かには疑問もあるので,公平性の基準の解釈として明示してはどうか。
- 2)開放性,多様性の確保
- ○法学関係の学部以外の学部の出身者や社会人を一定割合以上入学させることを求めることが必要。
- 意見書の提言するところである。
- ただし,その割合は,法学部が今後も存置されることや,これまでの司法試験の受験者ないし合格者の実態をも踏まえ,当面現実的に考えられる法科大学院志願者の内訳を意識して設定されなければならず,非法学部出身者の入学を奨励・促進しようとする余り,人為的に,それと大きくかけ離れた数字を設定するのは,それ自体として飛躍があるばかりか,逆差別となり,不当である。
この割合は固定的なものとすべきではなく,入学志願者の動向等に対応して,随時見直されるべきものであることはいうまでもない。多様なバックグランドを持つ人が法科大学院に入学してくることが一般化すれば,廃止することも考えられよう。
- また,地域や法科大学院により,非法学部出身者の志願状況に差があることも考えられるので,この割合の設定に強い規範性を持たせることには疑問の余地もある。「論点」に示された規定振り例のように,幅のある定めにすることに加え,志願者の数や適性試験の成績などからみて,その基準を適用することが著しく不適切だと認められるときは例外とするなどの扱いをすることも考えられよう。
- 4. 在学期間
- ○「論点」の規定振り例のような定めを置くことが必要かつ適切。
- 3年コースの学生と2年コースの学生とが,2年次の最初から同一レベルであることを想定することは必要でも,また適切でもなく,修了時に同一レベルに達せさせるという考え方で制度設計をすべきであるから,短縮認定のための試験は,3年制の1年次の科目をすべて網羅することも,それと一致させることも必要ではない。学部の段階等それに先行する期間に,そのための受験勉強ばかりする傾向を生じさせないためにも,基本的な学力を問うようなものにとどめ,学部での学業成績等と総合して認否を決める方式にするのが適切。
具体的には,各法科大学院に委ねるべきである。ただし,試験科目の設定や出題内容につき,自大学優先にならないことのチェックは必要。
- 3年制完結型が理想だとして,人為的にその方向に誘導するため,2年コースの学生数(割合)を制限することは,法学部を存置する以上,前提としての考え方の妥当性に疑問があるうえ,十分な基礎を身につけた法学既修者に不当な扱いとなるおそれが強く,適切ではない。
- 5. 教育課程
- ○基本的に,「論点」の規定振り例のような定めを置くことが必要かつ適切。
- 法科大学院の修了が新司法試験の受験資格の前提となることをも踏まえ,法科大学院における教育に一定の斉一性を持たせ,その最低限の質を確保するためには,設置基準による定めに加え,必置科目等を評価基準で定め,第三者評価の対象とすることが必要かつ適切である。
- 具体的には,「法科大学院の教育内容・方法等に関する研究会」の中間まとめ(第2回配付資料3)の提言するところが,差し当たり,妥当な線であると思われる。
- 6. 教育方法
- 1)少人数教育
- ○「少人数」についての基準は,基本科目についての目標値にとどめるのが妥当。
- 法科大学院において双方向的・多方向的で密度の濃い教育を行うためには,従来の法学部におけるような大教室での多人数を対象にした授業は適切ではなく,その意味で,一定の基準を示すことが適切であるが,科目によっては,その性質・用いられる方法や適任の教員数が極めて限られていることなどから,柔軟な対応が必要ないし適切な場合も少なくないと考えられるので,基準の設定は,基本科目についてのものにとどめるべきである。
- また,法科大学院開設当初は,基本科目についても,適任の教員を相当数確保することが必ずしも容易でないことも考えられるため,厳格な規範性を持つ基準とすることは妥当でないように思われる。
- 2)双方向的・多方向的で密度の濃い授業
- ○「論点」の規定振り例のような定めを置くことが適切。ただし,3年次学生の履修可能単位数の限定については,要検討。
- 授業の手法については,これ以上に具体的かつ詳細に,「ケース・メソッド」,「ソクラティック・メソッド」によるといったような限定を置くことは,不要であり,適切でもない。
- 各年度における各学生の履修単位数の限定は,1年次,2年次については,学生の自習に十分な時間を確保するという観点から必要であるが,3年次については,むしろ,そのような限定を置かず,学生が自らの意思により,将来における多様な方面での活動に備えて,種々の授業を受けることを可能にすることが適切なようにも思われる。
- 3)実務教育
- ○「論点」の規定振り例のような定めを置くことが適切。
- 実務科目については,新司法試験に合格後,司法修習が予定されていることや,授業時間数に限りがあること,適切な教員確保が必ずしも容易でないこと等を考えると,差し当たり必置とするのは,導入教育的なものにとどめ,それ以上の展開は,各法科大学院に委ねるべきである。
- 7. 成績評価
- ○具体的なチェックの仕組みについては要検討。
- 法科大学院の修了が新司法試験の受験資格の前提になることを考えると,各法科大学院において厳格な成績評価,修了認定が行われていることが極めて重要であることは言うまでもないが,その点についての第三者評価を実効的に行うためにどのような方法を採るべきかについては,なお検討が必要。
- 8. 修了要件
- ○「論点」の規定振り例のような定めを置くことが必要かつ適切。
- 法科大学院の修了が新司法試験の受験資格の前提となることをも踏まえ,法科大学院における教育に一定の斉一性を持たせ,その最低限の質を確保するためには,設置基準による修了必要単位数等についての定めに加え,必修科目等を評価基準で定め,第三者評価の対象とすることが必要かつ適切である。
- 具体的には,「法科大学院の教育内容・方法等に関する研究会」の中間まとめ(第2回配付資料3)の提言するところが,差し当たり,妥当な線であると思われる。
- 基本科目の単位数をこれ以上増やすのは,各法科大学院が創意と工夫によって独自の授業を開設する余地を過度に狭くすることになるし,それを逆に削減するのは,成文法体系に立つわが国の法制度の下で法曹に必要とされる基本的な法的素養・理解を身につけさせることをおぼつかなくさせるおそれがある。
- 9. 情報の公表
- ○「論点」の規定振り例のような定めを置くことが適切。
※新司法試験については、後日補充。