- 1 日時
- 平成14年3月28日(木)14:00〜16:15
- 2 場所
- 司法制度改革推進本部事務局第1会議室
- 3 出席者
- (委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、木村 孟、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)
- (事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官
- 4 議題
- (1)第三者評価(適格認定)の在り方について
(2)第三者評価(適格認定)基準の在り方について
(3)新司法試験の在り方について
- 5 配布資料
- 資料1:法曹養成検討会(第5回)議事概要
資料2:第三者評価(適格認定)の在り方について(意見の整理)(案)
資料3:第三者評価(適格認定)基準の在り方について(意見の整理)(案)
資料4:新司法試験の在り方について(意見の整理)(案)
- 6 議事
- (□:座長、○:委員、■:事務局)
- (1) 第三者評価(適格認定)の在り方について
- 資料2に基づいて、次のような意見交換がなされ、同資料のとおり、本検討会におけるこれまでの意見が整理された。
○ 法科大学院における教育の質の維持・向上を図るための第三者評価と、司法試験の受験資格を付与するためのミニマム・スタンダードについての第三者評価とを分離することは、司法制度改革審議会意見(以下「審議会意見」という。)の趣旨に反するのではないか。
□ ミニマム・スタンダードは、第三者評価(適格認定)(以下、単に「第三者評価」ともいう。)の一部であり、両者を分離する趣旨ではない。
○ 教育の質の維持・向上を図る観点からの第三者評価機関は複数あり得るものとし、第三者評価基準も当該評価機関が定めるとしつつ、ミニマム・スタンダードの部分は法令で定め、これに適合すると司法試験の受験資格が付与されるということになると思われるが、ミニマム・スタンダードについての第三者評価機関を「全国で1つに限るのが望ましい」としているのは、法令上も1つに限るという趣旨であれば問題であると考える。
○ 前回の検討会で、司法試験の受験資格との関係では、複数の第三者評価機関の認定が区々となったり、第三者評価機関が存在しないような場合に不都合が生じるという議論があった。また、法制面の問題については、更に検討する必要があり、現時点では、資料2のような整理しかできないのではないか。
○ ミニマム・スタンダードの部分の基準を1つに決めれば、これに従って複数の第三者評価機関が評価、認定を行ってもよいのではないか。第三者評価機関が1つでなければならないと決まったわけではないということを確認したい。
○ 基準を1つにしたとしても、第三者評価機関が複数あったのでは、認定が分かれるという不都合があり得るのではないか。
□ 大学全体の第三者評価スキームについて検討中である上、法制面の検討も必要であり、現段階では「望ましい」としか書けないと思われる。
■ 第三者評価機関が複数存在し得るのかという問題とは別に、1つも存在しない場合に不都合が生じるという問題もあるが、この問題についてはどのように考えるべきか。
○ 第三者評価機関が最低でも1つは作られるような仕組みとなっていればよいのではないか。
□ 大学全体の第三者評価スキームが明らかなっていない現段階では、必ず1つは作られると判断できないのではないか。
○ ミニマム・スタンダードについての第三者評価と、教育の質の維持・向上の観点からの第三者評価とで性質が異なることは理解できるが、前者を実施する第三者評価機関が後者についても行うことができるという点を確認したい。
□ その点は、そのとおりである。
○ ミニマム・スタンダードとは何かという問題がある。文部科学省の大学設置の規制緩和の方向に整合するかという問題はあるが、ミニマム・スタンダードについての第三者評価機関が複数存在することに不都合があるなら、ミニマム・スタンダードの部分は、設置基準に組み込んでしまうことも1つの方法としては考えられるのではないか。
○ 一つの方法としては考えられると思うが、法科大学院が活動を始める前の設置認可の段階では評価できない事項もあるのではないか。また、第三者評価の実施面を考慮すれば、質の維持・向上のための評価と、ミニマム・スタンダードの評価とを別個に行うのがよいのかという問題もあるのではないか。いずれにせよ、さらに法制面で詰めた検討をする必要がある。
○ 第三者評価機関の構成や、第三者評価の方法については、本検討会では検討しないのか。
○ 法曹養成制度の一環としての法科大学院の第三者評価については本検討会で検討すべきであるが、大学に関することでもあり、文部科学省・中央教育審議会での検討と調整する必要もあると思われる。
■ 法曹養成関係の法令の立案のために必要な事項は本検討会で検討するが、関係機関とも調整しつつ、検討を進める必要がある。
○ 法科大学院の第三者評価の位置付けとして、「意見の整理」の中に「学問の自由に十分配慮する」旨を加えるべきではないか。
○ 学問の自由に配慮することは当然のことであり、第三者評価が学問の自由に抵触することになるとは誰も考えていないのではないか。
○ 実際の評価の方法によると思われるが、広い分野から評価に参加してもらい、オープンの場で議論すれば、問題はないのではないか。工学系のカリキュラムを認定している「JABEE」の審査手法が参考になる。
○ 「JABEE」等の具体的な評価の例を紹介していただきたい。学問の自由との関係は、第三者評価が学問の自由を侵害するおそれが定型的に存在するというのでなければ、あえて書き加える必要はないのではないか。
□ 今後、事務局で法制面、技術面の検討を行い、新たな問題点が発生した場合には、本検討会で再度検討するということで、現段階の意見の整理としては、資料2のとおりとする。
- (2) 第三者評価(適格認定)基準の在り方について
- 資料3に基づいて、次のような意見交換がなされ、同資料のとおり、本検討会におけるこれまでの意見が整理された。
○ 資料3の5の教育課程について、実務基礎科目を公法系・民事系・刑事系の基本法科目と併せて単一の授業科目として開設することもできるとしつつ、8の修了要件では実務基礎科目の単位数を定めているが、同じ科目の単位を基本法科目と実務基礎科目に分けることができるということか。
□ そのようなことも可能とする趣旨である。
○ 資料3の3イの(注)の「当分の間」は、どの程度の期間なのか。現在の法学部生や法学部への進学者に配慮する趣旨であれば、それほど長い期間は必要ではなく、5年以内を目途とすべきではないか。
○ 非法学部出身者及び社会人の割合は、現在の法学部生や法学部への進学者に配慮する趣旨のみではなく、法学部が今後も存置されることを前提に議論されたものである。「当分の間」がどの程度かについては、今後の法科大学院進学者の状況を見て検討するとは言うことはできるとしても、5年以内とは言えない。
○ そうであるなら、審議会意見にあるように、非法学部出身者及び社会人の割合を、入学志願者の動向等を見定めつつ、拡大する方向で見直す旨を加えるべきではないか。
○ 委員の中からは、その割合について増加の方向で定期的に見直すことを記載すべきであるという意見も出されているが、それは、審議会意見の趣旨を超えている。また、見直しの趣旨を第三者評価基準自体に盛り込むことが適切かどうかという問題がある。
○ 見直す旨を入れないと、「当分の間」の基準が固定化するおそれがある。
■ 各法科大学院が非法学部出身者等の割合を見直していることを評価対象とする趣旨か。
○ 第三者評価基準自体を見直すという趣旨である。
□ そのような趣旨であるなら、法科大学院を対象とする第三者評価基準自体に入れることが適切かどうかという問題があるのではないか。
○ 何割が妥当なのかは現段階では分からないが、法科大学院が完成する時点で再検討する趣旨をどこかに盛り込むべきではないか。
○ 大学制度全体が今後どのようになっていくのかを見ていく必要があり、やはり「当分の間」としか言えないのではないか。
○ 何も規定しないと「当分の間」とした内容が固定化することが懸念されるので、見直す旨を入れる意義がある。
□ 基準の策定についてのポリシーと、基準にどのような内容を規定するかは別の問題であり、法科大学院のパフォーマンスを評価する基準自体に、基準を見直す旨を盛り込むことはおかしい。
○ 基準の内容は状況に応じて見直すべきであるが、そのことは、基準自体ではなく、必要があれば、別の箇所に書くべきである。
○ 多様性の拡大を図る方向で見直すという審議会意見の趣旨を前提とすることを確認すればよいのではないか。
□ 基準を見直す旨は、第三者評価基準本体とは別の箇所に書くのが適当と考える。
○ 資料3の8の修了要件について、ホの「その他の分野の科目」には、法科大学院以外の大学院で修得した単位もカウントしてよいのか。
■ 他の大学院等での単位の修得をどの程度まで法科大学院の単位として認めるかについては、設置基準で定められることになるのではないかと思われるが、その場合の科目の内容まで規定すべきであると考えられる場合には、第三者評価基準の問題として検討することになると思われる。
○ 資料3の5のニに「責任」とあるのは、「専門職責任」とした方が意味が明確になるのではないか。
■ 御指摘の趣旨に反対するわけではないが、「専門職責任」という用語を無定義で用いることができるかという問題があることを留保させていただきたい。
○ 資料3の6の(注)で、各授業の学生数の上限を80人までとしているのは、多すぎるのではないか。70人とすべきではないか。
○ その点は、これまでの議論で、司法研修所の1クラスの修習生数を参考に、80人が限度という意見が出されたことを踏まえた整理ではないか。
○ 司法研修所でも、1クラスの人数が70人を超えると厳しいとの意見も聞かれる。
○ 資料3の「80人」の部分は、個別的な事情を考慮しても超えてはならないというものであり、入学者選抜の際に実際の入学者の予測が困難であるなどの実情を考慮すれば、「80人」が適当と考える。
○ 合格者と入学者の格差等、予測しがたい要素もあり、当面は、50人を標準としつつも、上限は80人までとしておくのが適当ではないか。
□ それでは、現段階の意見の整理としては、資料3のとおりとする。
- (3) 新司法試験の在り方について
- 資料4に基づいて、次のような意見交換がなされ、同資料のとおり、本検討会におけるこれまでの意見が整理された。
○ 予備試験については、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである。」としている審議会意見の趣旨に照らし、受験資格を制限することを更に検討すべきである。法令上、経済的事情や実務の経験を規定している例もある。予備試験の受験資格を制限しないと、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度への転換の趣旨が損なわれることになる。
○ 審議会意見では、経済的事情等を予備試験の受験資格とするとは書かれていない。実務の経験を要件としている例があるというが、それらは特定分野における実務の経験であることが具体的に規定されているものである。しかし、司法試験の予備試験の場合には、「実務の経験」を具体的に規定することができるのか。例えば、「法律に関する実務」と言っても、その内容は様々であり、どうやって区別するのか。社会の様々な職業を区別すること自体が問題ではないか。審議会意見の趣旨は、受験資格ではなく、試験の内容で実現すべきである。
○ 法科大学院を中核とする審議会意見の趣旨からすれば、経済的事情で法科大学院に進学できない人や、十分な社会経験を持ち法科大学院への進学を求めることが相当でない人以外は、法科大学院に行くべきであり、予備試験を受験させるべきではない。
○ 問題は、予備試験の受験資格の段階で制限するかどうかということであり、審議会意見では、受験資格の制限でなければならないというわけではない。経済的事情を要件としている法令の例は、経済的に困窮している者に援助を与えるというような制度に関するものであり、予備試験の場合とは性質が異なるのではないか。また、例えば、経済的事情で法科大学院に進学できなかったということを審査するためには、本人だけではなく、家族等の経済状況も審査する必要があるが、家族の納税証明書まで審査するような制度は適当ではない。
○ 資料4の6の(注)を見ると、経済的に豊かな者も予備試験を受験できるように読める点が問題である。
○ 審議会意見の趣旨を実現するように、司法試験制度全体の中で検討するということでよいのではないか。
□ 資料4の6の(注)の前の本文の部分にその趣旨が記載されている。
○ 予備試験の運用次第では、予備試験が主流となる可能性がある。法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損なわないような運用をすべきことを書き加えるべきではないか。
○ 委員の意見書では、法科大学院が原則で予備試験が例外と書くべきとされているが、そのように原則、例外という区別はしないというのが、審議会での了解事項であった。新たな法曹養成制度の趣旨を損なわないよ
うにすることは当然の前提である。
○ 実務の経験のようなものを試験の内容で問うという場合に、そのことを受験生に伝えるべきではないか。
■ 予備試験については、「法曹の実務に関する基礎的素養」を問うというような形で伝えることが考えられる。なお、その場合には、実務経験の有無そのものを問うのではなく、実務の経験があれば備えているべき能力を有しているかどうかを問うことになるものと考えられる。
○ これまでの意見の整理であれば、資料4の6のような整理が適切ではないか。あいまいな受験資格制限を設けることは、法律的に問題である。
○ 本検討会では、受験資格を制限する方法を採らないと決めたわけではないのではないか。
○ 本検討会でのこれまでの議論は、受験資格を制限することは困難であるから、試験の内容で審議会意見の趣旨を実現するというものであり、資料4の整理が適切ではないか。
○ 資料4の6の(注)では、その趣旨が十分に表れていない。少なくとも、受験資格を制限すべきとの意見があったことを、意見の整理に残すべきである。
○ 資料4の6の2つ目の「・」の3行半にその趣旨が書かれている。
○ 予備試験の目指すべき方向ははっきりしているのではないか。また、資料4の2の試験科目について、選択科目を設けることに反対の意見もあるが、司法試験に選択科目を設けることは、法曹の多様性や法科大学院の多様性に直結するものであり、試験科目にしないと学生は勉強しない傾向があることからも、選択科目を設けるべきである。法曹倫理については、教育の対象とはすべきであるが、試験の対象にすべきではないと思う。
○ 法曹のミニマム・スタンダードとして、法曹倫理が必要であり、その試験科目化については、新委員会で「適切な時期」に検討すると書くのではなく、「早急に」検討することとすべきである。
○ 法科大学院での教育内容等を踏まえる必要があることから、資料4では、「適切な時期」に検討することとしているのではないか。
○ アメリカの司法試験では、法曹倫理の試験をしている。
○ 法曹倫理の重要性は共通の認識であるが、試験科目とするかどうかは別の問題である。法曹倫理についての知識を問う試験とすることは適当ではないし、法曹としての生き様のようなものは、試験で問うべきものではないと思う。
○ アメリカでは法曹倫理についての論文試験も行っており、試験科目とすることは不可能ではない。
○ そのほか、資料4の3の(注)に、従来の短答式試験の弊害として、段階的選抜のために使用することの弊害も加えるべきではないか。
○ 段階的選抜のために使用することの弊害は、この資料に記載されている「知識の丸暗記」の弊害に含まれている。資料4の3の(注)に段階的選抜に使用することの弊害を加えると、全体として、本検討会が短答式試験を段階的選抜に使用することはできないとの意思決定を行ったとも読まれ得るが、それは、本検討会の議論とは異なる。
○ 資料4には、新司法試験を法科大学院修了者の相当程度が合格できるものとするという審議会意見の趣旨が欠落しており、「法曹となるべき資質・意欲を持つ者が入学し、厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で、法科大学院の課程を修了した者のうち相当程度(例えば7〜8割)が合格できる試験とする。」を書き加えるべきではないか。
□ 審議会意見では、そのようには言っていない。
○ 法科大学院修了者の7〜8割が新司法試験に合格することを保証しているわけではない。
○ 法科大学院の設置状況や受験者の滞留によって、実際の司法試験の合格率が全体として7〜8割とならないことも考えられる。
○ 法科大学院の教育内容を踏まえて新司法試験が決まるのであり、新司法試験によって法科大学院の教育内容が決まるのではないことを、どこかに書き加えるべきではないか。
□ その点は、検討の当然の前提である。今後は、事務局で法制面、技術面の検討を行い、更に検討すべき問題点が発生した場合には、本検討会で更に検討するということで、現段階の意見の整理としては、資料4のとおりとする。
- 7 今後の予定等
- 資料2〜4の意見の整理を踏まえて、今後、事務局において、法制的、技術的な観点からさらに検討を加え、その報告を受けて、更に検討を進めることとなった。
次回(5月10日 14:00〜16:00)は、司法修習の在り方について、最高裁判所から説明を受けるなどした上で検討することとなった。