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法曹養成検討会(第7回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年5月10日(金)14:00〜16:10

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫(敬称略)

(説明者)
荒井勉(最高裁判所司法研修所事務局長)
小池裕(最高裁判所事務総局審議官)

(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 新しい司法修習の在り方について
(2) 新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について
(3) その他

5 配布資料
資料1 法曹養成検討会名簿(改訂版)
資料2 法曹養成検討会(第6回)議事概要
資料3 司法修習制度に関する論点
資料4 新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について

(最高裁判所説明資料)
最高裁判所説明資料(第7回法曹養成検討会)

(文部科学省説明資料)
・中央教育審議会中間報告概要「法科大学院の設置基準等について」「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」
・中央教育審議会中間報告(平成14年4月18日)

6 議事
(□:座長、○:委員、■:事務局、●:最高裁判所、▲:文部科学省)
(1) 新しい司法修習の在り方について

 a) 論点の説明

 司法制度改革推進本部事務局から、配布資料3に沿って、司法修習制度に関する論点の説明がなされた。
 b)最高裁判所からの説明
 現在の司法修習制度の概要について、説明資料1に沿って説明がなされた。
 新しい司法修習に関する検討状況について、説明資料2及び3に沿って説明がなされ、併せて次のような補足説明がなされた。
 最高裁判所では、新しい司法修習について、司法研修所と事務総局とが連携をとりながら検討しているが、弁護士会や検察庁・法務省との協議を進め、その具体的な在り方について更に検討したい。
 新しい司法修習は、司法制度改革審議会意見(以下「審議会意見」という。)で提言されているように、法科大学院において実務教育の導入部分も含め充実した教育と厳格な成績評価がなされるとともに、適切な第三者評価(適格認定)によってこれが確保され、新しい司法試験が行われることを前提として、十分な資質・能力を備えた司法修習生を対象に行うものとして検討する必要がある。
 新しい実務修習の総合的なプログラムについて、裁判所内部での検討では、地方自治体や企業法務等での修習なども検討するという案が出ている。
 新しい集合修習については、審議会意見等で、充実した法科大学院教育を前提として、これまで集合教育が担っていた実務への導入教育は法科大学院にゆだねられるべきであるなどの指摘もなされており、裁判所内部の検討でも、現行の枠組みを固定的に考えず、例えば、分野別実務修習から開始し、集合修習は実務修習を補完する機能を果たすものとするという考え方が合理的ではないかという議論もされている。新しい集合修習については、1500人体制に向けた司法研修所の人的・物的態勢の拡充を前提に、集合修習を班別に実施し、その時期をずらすことができれば、より多くの司法修習生による修習が可能となる。
 司法試験の移行措置期間中は、現在よりも多くの司法修習生を一度に受け入れる必要が生じることから、その関係で、現行司法試験合格者の司法修習の在り方についても検討を要する。
 新しい法曹養成制度の中核となる法科大学院については、その実現に向けた厳しい検討と関係者の覚悟が求められることになると思われるが、裁判所としては、より良い法曹の養成を図るため、法科大学院の実現に協力するとともに、法科大学院との役割分担を考慮しつつ、司法修習の充実に努めてまいりたい。
 c) 質疑応答・意見交換
 最高裁判所からの説明の後、次のような質疑応答、意見交換がなされた。

○ 新しい集合修習の具体的内容については、どのような検討状況となっているのか。

● これまで集合修習が果たしてきた意義は大きく、新しい集合修習についても、実務修習での個別的な体験を補完、調整し、体系的で汎用性のある能力を修得させる内容となるよう具体的な検討を進めたい。集合修習の容量については、1500人体制の施設を班別構成で有効活用することなどが考えられ、教育方法についても、従来の科目をさらに融合するなどの工夫が考えられる。

○ 最高裁判所の考えは、現行の前期修習の教育内容は、法科大学院でも実施できるということを前提としているのか。

● 法科大学院において、相当程度の実務基礎教育がなされることを期待したい。法科大学院と司法修習との役割分担については、更に検討したい。

○ 司法修習が実務修習から開始されるとすれば、現行の前期修習で行われている法律関係文書の作成に関する教育についても法科大学院で行うことになるのか。いきなり実務修習をさせても、起案ができない可能性があるのではないか。

● 新しい司法修習では、法曹に共通して必要とされる事実の分析能力や法律構成の能力の養成を目指すこととするのであれば、実務修習において、これまでのように判決書等を起案させる必要まではないとも思われるが、司法修習全体でどのような教育を行うかに関わる問題である。

○ 法曹の多様性を前提とすると、司法修習で教育している起案能力については、現在のように技術的なものは不要ということになるのか。その場合には、法廷活動を中心とする狭義の法曹の養成という点からは、質的水準が低下するのではないか。

● 応用力の基礎となるコアの部分を教育したいと考えており、それによって直ちに質的水準が低下することにはならないと考えている。また、技術的な部分は、実務に就いてから修得させることもできると考えられる。

○ 最高裁判所の考えは、起訴状や準備書面のような特別な類型の書面の技術的な書き方まで修得させる必要はなく、法律家として論理的な文章を書く能力を修得させれば足り、技術的な内容は実務修習やOJTにゆだねてもよいということではないか。

○ 混沌とした事実関係を法的に分析する能力や事実認定の基本的な能力についても、法科大学院で修得することを期待するのか。この点に関する法科大学院と司法修習との役割分担についてどのように考えているのか。

● 御指摘の2つの能力の教育は、新しい司法修習においても、エッセンスとして維持する必要があると考えている。法科大学院で総論的な考え方を教育することはできるが、司法修習において、具体的な事件に取り組むことを通じて初めて実践的能力が身につくものと考える。

○ 司法修習が分野別の実務修習から始まることには不安もあると思われるが、ソフトランディングのような柔軟な措置を考えておられるのではないか。法科大学院では、当初は、実務を意識した法理論教育を充実させることがコアの教育内容として期待されており、十分な実務基礎教育を実施できるようになるには、人的態勢の問題もあり、時間がかかるので、法科大学院教育が完成するまでは、中間的な措置が必要になるのではないか。

● 諸外国には、ロー・スクールを卒業後、すぐに実務に入る国もある。法科大学院における実務教育については、教材その他の司法研修所のノウハウの提供や、実務家教員の派遣等にも関連する問題であると考えている。最高裁判所の説明は、法科大学院が成熟した場合の司法修習の在るべき姿として、検討しているところを紹介したものである。

○ 新しい実務修習の総合的なプログラムの具体的なイメージが分かりにくいが、弁護士事務所以外をベースに行う場合もあるのか。外国での修習も考えられるのか。

● 総合的なプログラムの具体的内容は、今後更に検討を進めるが、分野別実務修習を補完するものや、司法修習生が主体的に修習先を開拓するものなど、複数のメニューを検討したい。外国での修習については、費用や期間等の問題があると思われる。

○ 新しい集合修習は、現在と同様に全国1か所に司法修習生を集めて実施するのか。例えば、高裁管内ごとに分散して実施することも考えられるのではないか。

● 集合修習を複数箇所で実施する場合には、人的態勢等を新たに整備する必要があり、現在の人的・物的態勢を有効活用するという観点から、現時点では、1か所で実施するのが適当ではないかと考えている。

○ 司法研修所の稼働期間を増やすことも検討しているのか。

● 集合修習を班別で実施することにより、施設を効率的に使用することも検討している。

○ 審議会意見では、年間の養成数は三千人が上限ではないとされているが、司法修習生が三千人を超えた場合には、どのように対応するのか。

● 人的・物的態勢の整備と修習の体制・方法の工夫との両面での対応が考えられる。

○ 現行の司法修習では、前期修習、分野別の各実務修習、後期修習がいずれも3か月とされているが、それは妥当な期間なのか。修習期間が2年から1年6か月に短縮された理由は何か。

● 法曹養成制度等改革協議会等で2年間の修習期間は長いのではないかとの議論がなされ、修習の効果等も考慮して修習期間が1年6か月に短縮することとされ、前期修習等の期間が各3か月とされたものである。

○ そのほか、分野別の実務修習期間が各4か月の場合は、実務修習中に2期の司法修習生が重複する期間があり、司法修習生の増員に対応するため、これを各3か月にする必要もあった。

○ 実務修習の指導に当たっている実務家の間では、現行の各3か月でも短く、期間が余りに短くなると実務修習が見学で終わってしまうのではないかという意見もある。

○ 特に検察修習では、身柄事件の取調べ修習を行うこととしており、身柄が拘束されている20日間の捜査期間中は司法修習生が関与する必要がある上、常に適当な事件が存在するわけでもないことを考えると、相応の修習期間が必要になる。

○ 給費制については、修習専念義務を課す以上は、その経済的な担保を与える必要があるという意見と、昨今の厳しい財政事情も考慮する必要があるという意見があるが、最高裁判所では、給費制について何か考えはあるのか。

● 給費制の在り方については、本検討会で御議論いただきたい。なお、修習専念義務については、高度の教育を提供することについて司法修習生に授業料を負担させないという点を考慮すれば、やはり修習専念義務が発生するものと考えている。

○ 大学では授業料を取っているが、学生に学業専念義務がある。修習専念義務は、教育効果を高めるために何をすべきかという問題であり、給費制とは関係がないのではないか。

○ 司法修習生の身分の問題も、検討の対象となるのか。

● 例えば、実務修習と集合修習との場所的移動の関係でも、検討する必要があるのではないかという考えもある。

○ 当初から法科大学院での実務教育に強く期待することは、法科大学院を設立する際の支障になりかねないので、直ちに前期修習をなくすのではなく、教材・教員面での協力制度を設けたり、移行期間を設けることなどは考えられないか。

● 具体的には、今後さらに検討してまいりたい。大学に対しても、厳格な成績評価等、教育に対する積極的な取組みを期待したい。

○ 法科大学院がスタートするまでに、最高裁判所あるいは司法研修所と大学とで、協議する必要があるのではないか。

○ 法科大学院の設置を検討している大学が、法科大学院協会の設立準備会を作り、教員の研修や教材開発等についての検討を進めることとしており、これに協力していただきたい。また、厳格な成績評価については、大学関係者としても強く意識する必要がある。

● 最高裁判所、司法研修所としても、できる限り協力してまいりたい。

○ 法曹の多様性の観点から、特定の専門分野に強い法科大学院が作られ、当該分野の実務教育を重視して行うことも考えられるが、そのような場合には、各法科大学院での実務教育が共通のものとはならないのではないか。

○ 最高裁判所の考え方は、法廷活動を行う法曹にもこれを行わない法曹にも共通して求められるコアの部分を集中的に教育し、それ以上は、自己責任で必要な能力を修得していくというものであろう。新しい司法修習で、多様な分野に必要な能力をすべて教育しなければならないとする必要まではないのではないか。

(2) 新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について

 事務局から、配布資料4に基づいて、新司法試験に関する立案作業に当たり、司法修習の開始時期にも関連して、新司法試験において短答式試験及び口述試験を実施するかどうかについて、本検討会において更に検討していただきたいとの説明がなされた後、次のような意見交換がなされた。

○ 新司法試験における論文式試験の具体的内容を検討することなく、短答式試験や口述試験を実施するかどうかを検討することは難しいのではないか。

○ 論文式試験が現在より高度な内容となることは間違いなく、このことを前提に、司法修習の開始時期との関係や司法試験の実施事務の問題について検討すればよいのではないか。

○ 論文式試験で科目融合的な問題を出題する場合には、一人の考査委員が適正な採点をすることは困難であり、論文答案を見ながら複数の考査委員による口述試験を行い、総合的に採点する方法が、能力を最も良く判定できるのではないか。

□ アイデアとしては考えられるが、現実問題として、そのような方法で採点することが可能かという問題があるのではないか。

○ 3月に法科大学院を修了して、司法修習が翌年の4月に開始するという制度は問題である。論文式試験の採点方法を簡易化する工夫をすれば、短答式試験を実施しない、あるいは、短答式試験による段階的選抜を行わない場合でも、現在のような採点期間は必要ないのではないか。

○ 新司法試験の論文式試験は現在より高度な内容となり、採点に現在より手間がかかることは明らかであり、採点方法を簡易化することは実際には不可能である。

■ 新しい法曹養成制度では、法曹資格を取得するまでの期間が現行制度より長くなることが懸念されることから、法科大学院の修了から司法修習の開始までの期間が長くなることは適当でないと考える場合には、司法試験の方法を工夫することが考えられるであろうし、他方、司法修習の開始時期が遅れることとなっても司法試験で時間をかけて丁寧に能力を判定すべきであるという意見もあり得ると思われるので、そのような点について御検討いただきたい。

○ 法科大学院で双方向的・多方向的で密度の濃い教育がなされ、議論等の能力が養われるのであれば、新司法試験であえて口述試験を行う必要性はないとも思われる。また、論文式試験の受験者数は相当多数に上る可能性が大きく、論文答案の採点にかなりの期間を要すると思われることからすると、例えば、5月ころに、短答式試験と論文式試験を一括して実施することも考えられるのではないか。

○ 短答式試験と論文式試験の問題作成を並行して行う態勢が整備されれば、両者を一括して実施することも可能であろう。

○ 一括実施の場合には、短答式試験による段階的選抜は行わないことになるのか、それとも、一部の受験生について論文答案を採点しないようなこともあるのか。

○ 実際には、論文答案の採点通数を合理的な範囲とする必要があろう。

○ 短答式試験を段階的選抜のために行うことには反対だが、短答式試験と論文式試験を一括して実施することは十分に考えられるのではないか。

□ 本日の議論を踏まえ、新司法試験においては、短答式試験については、実施することとした上で、論文式試験との関係につき次回以降更に検討することとし、口述試験については、実施しない方向で立案を検討することもやむを得ないこととしたい。

(3) その他

 文部科学省から、法科大学院制度に関連する中央教育審議会の中間報告(平成14年4月18日付け「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」、「大学院における高度専門職業人養成について」、「法科大学院の設置基準等について」)について説明がなされた後、次のような質疑応答がなされた。

○ 夜間制や通信制の法科大学院については、どのような検討状況となっているのか。

▲ 夜間制については積極方向で検討している。通信制については、双方向的・多方向的な教育方法との関係等について課題が残っており、更に検討したい。

○ 専門職大学院についての法改正は、いつ行われるのか。法科大学院との関係では、司法試験法の改正と同時に行う必要があるのではないか。

▲ 今年の秋に臨時国会が開催される場合には、同国会に法案を提出したいと考えている。文部科学省関係の法改正が司法試験法の改正より遅れることはないと思う。

7 次回の予定

 次回(6月4日 10:30〜12:30)は、新しい司法修習の在り方等について、引き続き検討することとなった。

(以上)