(□:座長、○:委員、■:事務局、●:最高裁判所、▲:文部科学省)
□ それでは、所定の時間になりましたので、第7回の法曹養成検討会を開会させていただきます。
まず、初めに事務局の方から、本日の配布資料等の説明をお願いいたします。
■ それでは、本日の配布資料等の確認をお願いいたします。
事務局からの配布資料は、資料1から資料4までであります。
資料1は、本年4月1日現在の法曹養成検討会名簿であります。役職が異動された委員について改訂してございます。
資料2は、第6回法曹養成検討会議事概要であります。
資料3は、本日の論点の1つであります司法修習制度に関する論点を整理したものであります。
資料4は、「新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について」であります。この資料につきましては、後ほど御説明申し上げますが、事務局で立案作業を進める中で、更にお諮りしたい点が生じましたので、御検討いただくための参考として作成したものであります。
また、本日の最高裁判所の説明資料として1〜3まで、更に参考資料として去る4月18日に取りまとめられました、中央教育審議会中間報告も配布してあります。
以上でございます。
□ どうもありがとうございました。本日の議事の進行の予定としましては、まず、新しい司法修習の在り方について最高裁判所の方から説明を受けた上で検討に入りたいと思います。
また、事務局から、司法試験に関する立案作業を進める上で、この検討会で更に検討を加えてほしい事項があるということでございますので、これも事務局から説明を受けた上で検討することにしたいと思います。
最後に、去る4月18日に中央教育審議会において、法科大学院制度に関連する3つの中間報告が取りまとめられましたので、この点について文部科学省に御説明をお願いすることにしたいと思います。
(1) 新しい司法修習の在り方について
□ それでは、最初のテーマであります新しい司法修習の在り方についての検討に入りたいと思います。
平成16年4月に法科大学院が設置されまして、平成18年度には、新しい司法試験が開始されるということから、プロセスとしての法曹養成制度の一環として、新しい司法修習が開始されることが見込まれておりますので、その在り方について検討をする必要がございます。
そこで、まず、検討に先立ちまして、新しい司法修習の在り方に関して、どのような論点が存在するのかということについて、事務局から説明をしていだきたいと思います。
a)論点の説明
■ それでは、事務局からの配布資料の3を御覧ください。
この資料は、司法修習制度に関する論点として、本日の御検討の参考としていただくために考えられる論点を記載し、併せて司法制度改革審議会意見の該当部分と、裁判所法の関係規定を記載したものであります。
まず「1 司法修習の体制について」でありますが、この点につきましては、修習生の増加への対応や、修習内容の工夫が問題となります。
これらを踏まえた上で、当検討会で具体的に方向性を示していただきたい事項としまして、司法修習期間の在り方がございます。これは、裁判所法第67条第1項において、司法修習の期間が定められており、場合によっては法律改正が必要となることから、当検討会において、関係機関等の御意見をも踏まえつつ、その方向性を御検討いただきたいと考えているものであります。
なお、裁判所法の関係規定につきましては、下の方に記載してありますが、第67条第1項では「司法修習生は、少なくとも一年六月以上修習をした後試験に合格したときは、司法修習生の修習を終える」と規定されております。したがって、現状では、司法修習の期間が1年6か月以上となるわけであります。
また、次の第67条第3項では「第一項の修習及び試験に関する事項は、最高裁判所がこれを定める」と規定されており、最高裁判所規則等で司法修習の具体的な内容などが定められているわけであります。
次に、2ページの「2 給費制について」でありますが、これは裁判所法第67条第2項で定められております、司法修習生の給費制の在り方について御検討いただきたいというものであります。この点につきましては、ここに記載しました司法制度改革審議会意見において、「修習生に対する給与の支給(給費制)については、将来的には貸与制への切替えや廃止をすべきではないかとの指摘もあり、新たな法曹養成制度全体の中での司法修習の位置付けを考慮しつつ、その在り方を検討すべきである」とされているところであります。今後、司法修習生の大幅な増加が見込まれる状況にあって、政府の財政事情等とも関連する問題であり、慎重な御検討をお願いしたいと思います。
「3 司法研修所の管理・運営について」でありますが、「法曹三者の協働関係を一層強化するための方策」「法科大学院関係者や外部の有識者の声を適切に反映させる仕組みの在り方」を検討する必要があります。
なお、その下に記載した裁判所法第14条に規定してありますとおり、司法研修所は最高裁判所に置かれた組織でありますことから、この点につきましては、最高裁判所における検討状況をも踏まえる必要があろうかと思います。
以上であります。
□ どうもありがとうございました。ただいまの説明にありましたように、司法修習制度につきましては、裁判所法で司法修習の期間が少なくとも1年6か月と定められているわけですけれども、今後における司法修習生の増加や、司法修習の内容の工夫とも関連しまして、司法修習の期間が現状のままでよいかどうかという点を、まず第一に検討する必要があります。また、司法修習生に対する給費制の在り方につきましても、やはり今後司法修習生が増加していくということに関連して検討を加える必要があると考えております。
これらの論点につきましては、司法研修所における集合修習や法曹三者による実務修習の在り方など、新しい司法修習の具体的な内容と関連しておりまして、早急に結論を出すということは少し難しいのではないかと思われます。さらに、司法制度改革審議会意見書では、司法研修所の管理・運営の在り方についても検討を加えることとされておりますが、司法研修所は最高裁判所の組織でありますことから、最高裁判所における検討との調整を図る必要がございます。
したがいまして、これらの論点につきまして、今日すぐに取りまとめを行うということは必ずしも予定しておりません。次回以降の検討会でも引き続き検討を進めていただきたいと考えております。本日は、最高裁判所から司法修習の現状とか、検討状況について御説明をいただいて、まず、委員の間での認識を共通にして問題点を御理解いただくというところから始めたいと思います。
それでは、最高裁判所から御説明をいただきたいと思います。
b)最高裁判所からの説明
● 現在の司法修習制度の概要について説明をさせていただきたいと思います。説明資料を御覧いただきながら聞いていただければと思っております。
まず「1 司法修習の位置付け」でございますけれども、裁判官、検察官、弁護士という法曹資格を取得するためには、司法修習の課程を経て、最後に二回試験と呼ばれる終了試験に合格しなければならないということとされております。最高裁に設置されました司法研修所が、この司法修習を担当しておりまして、実践的で体系的な法律実務教育を行っております。
司法修習生の数でございますが、これは添付の資料4を御覧いただきたいと思います。ここにありますように、長らく約五百名で推移してまいりましたけれども、平成4年から増加してまいりまして、現在約千名でございます。
続きまして、添付の資料1に戻っていただきたいと思います。これは、概要でございますけれども、現在の司法修習の期間は1年6か月ということになっておりまして、毎年4月から翌年の10月初めまでということです。まず、4月からの3か月間、全員を司法研修所に集めまして前期修習を行い、その後、1年間全国の実務庁会で実際の実務を体験する実務修習を行う。最後に3か月間、再び研修所に集めまして後期修習を行う。最後に二回試験があるということでございます。
ここで、まず、集合修習のところから御説明したいと思います。添付の資料2を御覧いただきたいと思いますが、研修所に全員を集めて行う前期及び後期の集合修習は、クラス担任制で行われておりまして、各クラスに「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」という基本5科目の5人の担任教官が置かれております。現在の修習生は約千名でございますので、1クラス約七十名、14クラスという編成になっております。
この教官には、実務経験が20年前後、一番若い教官は15年目の教官がおりますけれども、多くの教官は20年前後のまさに脂の乗り切った現役の裁判官、検察官、弁護士が充てられております。それぞれの5教官室にそうした教官が14人集合しているということになります。
前期修習は、大学で学んだ法理論を実務で使えるようにするための教育ということで、この後に続きます実務修習への導入のための課程ということになっております。
この集合修習での教育手法の中心は、修習生に書面を起案させて、それを教官が添削し講評するというものであります。少しこのイメージを持っていただくために、ごく簡単な一例で御説明したいと思いますが、例えば民事の関係ですと、家屋の賃貸借で、借り主が家賃を3か月間も払わず、しかも、家に行ってみるとほかの人が住んでいるということで、家主としては、借り主に貸し続けるわけにはいかない、出ていってくれというふうに言っている。これに対して、借り主の方では、取り立てに来た人間に3か月分は払っているし、人に貸すということについても、以前に家主に話しているから問題はないんだということで争うというふうな事案を与えまして、こういった場合に、家主はどういう事実を取り上げて、どういうふうに法律構成をしたらいいのかと、逆に借り主側にしてみれば、どういう事実から、どういうふうに構成して争っていけばいいのかというようなことを起案させるということを行っているわけです。こういうものを書かせた上で、教官が一通一通に赤で添削をいたしまして、注意点を記載し、最後にはコメントを書いて返却するということをしております。
その上で、教室でこういう問題についてどう考えたらいいのかということを講評いたします。講評では、修習生に対して個別に何でこう書いたのかというような質問を発しながら講評をしていくというようなことをやっているのが基本型でございます。民事弁護科目であれば、訴状を書かせたり、準備書面を書かせるということになりますし、検察科目であれば、起訴状などを書かせるということになります。
こうした事案作り、あるいは記録作り自体もかなりのエネルギーと時間がかかるものでありまして、修習に適する記録を作るのには半年から1年ぐらいをかけて合議をしながら作っていくという現状にございます。起案に対する添削も、今、70人いるわけですので、70通に添削をしていくということで、これもかなりの時間が掛かる作業を行っております。
更に講評するわけですけれども、講評に際しては各教官室で事前に14人の教官が徹底した合議を繰り返して、何をどう教えたらいいのかということを検討した上で行っております。
集合修習で、体系的で高い水準の実務教育を統一的に実現できているのは、こうしたベテランの実務家が14人集合して徹底した合議を行っているということによるものであると考えております。
今は起案と添削、講評というメインのものをお話しいたしましたけれども、集合修習のカリキュラムとしましては、添付の資料5にありますように、それ以外に講義、これはビデオを使ったりする場合もございますし、あるいは事実認定等を修習生に討論させるとか、あるいはいろいろな手続を修習生に自らさせてみるというロールプレイなども行っております。
これらのカリキュラムを通じて養成しようと考えているものはいろいろありますが、中心になるのは2つ考えられると思います。
1つは、社会的事実の中から法的に意味のある事実を分析、抽出してこれを法的に構成する能力であります。
2つ目は、証拠関係から的確に事実を認定する力。
これらはいずれも法曹として不可欠な能力でありますが、これらの能力は具体的な事件と格闘していく中で初めて身に付くものであります。
修習生は、入所当初はそうした混沌とする事実関係の中から法的に重要な事実を選び出していく、あるいは、錯綜する証拠関係の中から事実を認定していくということにかなりの戸惑いを見せるわけでありますが、起案、添削、講評という過程を繰り返していく中で、徐々に実務的なものの見方とか、分析力を付けていく、ステップアップしていくというのが実情でございます。
続きまして、実務修習の方に移りたいと思います。添付の資料3に戻っていただきたいと思いますが、実務修習では、修習生を全国50か所の裁判所、検察庁、弁護士会に配属いたしまして、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護といった4分野をそれぞれ3か月間、生の具体的事件について配属先の指導官の個別的な指導を受けながら体験的に学ぶということであります。現在、修習している56期の修習生1,000 名が、各実務庁に何人配属になっているのかというものが、添付の資料7の実務修習地配属人員表でございます。
実務修習では、いずれも各指導官の個別的な指導の下で、例えば検察庁での修習では、実際に被疑者や参考人の取調べや捜査を行いますし、弁護修習では、当事者との面接、あるいは事情聴取を基に訴状や準備書面、あるいは示談書などを起案するということを行います。また、裁判所での民事、刑事の裁判の修習では法廷を傍聴しまして、また裁判官の合議に参加して自分の意見を述べ、更に判決あるいは和解案を起案するということをしているわけです。
このようにして、実務修習では、法曹三者のそれぞれの立場に立って、生きた事件を身をもって体験するということで、法曹に必要とされる法律実務の知識や技術、あるいは法曹としての使命や倫理感を学ぶことができます。
この課程は修習生にとって大変貴重なものでありまして、司法修習の課程における中核というふうに位置付けているところであります。修習生は、この実務修習を経て大きく成長するというのが実感でございます。
実務修習を終えますと、最後に再び研修所に集合して、3か月間の後期修習を受けるということになります。ここでは、修習の総仕上げということでございまして、実務修習での体験を踏まえたより実践的な教育を行っております。この後期修習によって、実務修習での断片的な体験が体系化され、また実務修習で避けられない体験のばらつきというものが補正されて一定の水準の教育が完成するということになります。これが、修習の課程でございます。
最後に二回試験と呼ばれる試験に合格すると、法曹の資格を取得するということになります。この二回試験の中心になるのは、基本5科目の起案、筆記試験です。それと、民事系統、刑事系統の口述試験からなっております。ちなみに、昨年は16人、一昨年は19人の合格留保者が出ております。
終了をした人たちが、どのような進路に進んでいるかということについては、添付の資料8を御覧いただきたいと思います。これが進路となっております。
修習生の身分でございますけれども、修習生は公務員ではございませんが、給与や規律等の面では、国家公務員に準じた地位にありまして、現在国から月に20万8,300 円の給与と諸手当の支給を受け、また、修習専念義務、兼業の禁止、守秘義務、これらが課されております。
この説明資料の最後に「第3 司法修習の現状と今後の課題」というテーマで3点ほど挙げてございます。体系的・理論的な教育の必要性や、専門性への対応、あるいは一般教養教育の充実というようなことを書きましたけれども、これらは研修所の立場から法科大学院での教育で是非期待したいという点を書いたものでございます。
● 新しい司法修習につきまして御説明申し上げたいと思います。
お手元にございます「新しい司法修習&現在の司法修習」という図と、「新しい司法修習について」というレジュメに沿って御説明申し上げたいと思います。
私どもの修習の在り方の検討は、年間養成数3,000 人を想定したものでございます。その御説明をする前に2点ほど若干の御説明を申し上げたいと思います。1つは、最高裁における検討の状況、もう1つは検討の前提でございます。
まず検討状況でございますが、修習の在り方と申しますのは、教育の在り方に関わる問題でございます。そのため、最高裁では、司法修習を担当しております司法研修所、特に実際に教育に当たっております裁判、弁護、検察の各教官室の意見を踏まえて検討する必要があると考え、司法研修所と事務総局が連携して検討をする体制を取ってまいったわけでございます。本日、御紹介申し上げます意見は、このような検討を経てきたものでございます。
司法修習の在り方は、裁判所とともに実務修習を担う弁護士会、日弁連、それから検察庁、法務省と十分に協議した上で検討を進めていく必要があるわけでございます。
しかしながら、諸般の事情から、例えば日弁連ではちょうど執行部の交代時期に当たっておられるという事情があることから、これまで必ずしも十分に調整できていないところがあるため、これから御紹介する司法修習の内容が、いささか抽象的なものにとどまっていることを御容赦いただきたいと存じます。
最高裁といたしましては、今後各機関の御意見を十分に参考にしながら鋭意検討を進めまして、できるだけ早く新しい司法修習の在り方を固めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
2番目に、検討の前提でございます。新しい司法修習の在り方は、審議会意見に示された新しい法曹養成制度の在り方を踏まえたものにする必要があると考えております。
新しい法曹養成制度の中核をなす法科大学院につきまして、審議会意見は法理論教育を中心としつつ、実務教育の導入部分を併せて実施することとし、実務との架橋を強く意識した教育を行うものとしておりますし、また厳格な成績評価及び修了認定の実効性を担保する仕組みを具体的に講じるべきであるとしているわけでございます。
これを受けまして、現在進められております検討でも、法科大学院の実務の基礎科目は、当初は5単位、その後は9単位となり、1単位は15時間の計算で、予習・復習を含めると45時間とされておりますので9単位となりますと、15を掛けて135時間 、予習・復習をがっちりやっていただければ400 時間ということになるわけでございますが、そういった授業がされることになっているというわけでございます。
また、成績評価も法科大学院に対します各界からのニーズと期待を受けまして、厳格で実質的なもの、言わばライオンが子を谷底に落とすがごとき厳格で実質的なものを目指しておられると承知しているところでございます。
審議会意見は、法科大学院の第三者評価について、法曹養成機関としての教育水準、成績評価、修了認定の厳格性を確保するため、適切な機構を設けて適格認定を継続的に実施すべきであるとしておりまして、これらに関する情報公開とあいまって、客観性を持った外部評価がされるものと承知しております。
さらに、審議会意見は司法試験につきまして、法科大学院の修了者に新司法試験実施後の司法修習を施せば法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定することを目的とするとしているわけであります。
新しい司法修習は、このような新しい法曹養成制度のプロセスを構成するものとして、充実した法科大学院教育、厳格な成績評価、的確な司法試験を受けてきた者、言わばナイスアビリティー、ナイスマインドを持った司法修習生を対象にすることを前提として検討していく必要があると考えているわけでございます。
それでは、先ほど申しました説明資料と対照表を御覧いただきたいと思います。
まず、説明資料の1ページでございます。「第1 新しい司法修習の理念」については、多様化する法的ニーズによく対応する法律家を養成するため、今後更に拡大していく幅広い法曹の活動に共通して必要とされる法的紛争の解決、あるいはその予防のための基本的なスキルとマインドの養成に焦点を絞った教育を行うということを考えております。
弁護士も検察官も裁判官も、更には企業法務の方々も基本的には錯綜する事実関係を整理して、これを法的に分析し、一定の法的結論を得るという作業をする点では、基本的に共通した仕事をしているわけであります。ただ、職務の性質によって活動形態が異なるにすぎないとも言えるわけであります。
そのような認識の下で、これらの法律家の活動に共通するプロフェッショナルとしての基本的なスキル、法的技法と、マインド、論理的思考力、あるいは法的素養等を教育したいと考えているわけであります。
前述いたしましたように、法科大学院では、法理論教育に加えまして、実務と理論を架橋する基礎的な実務法律教育が行われると聞いております。司法修習では、このような法科大学院教育を前提としつつ、実務ならではの教育、すなわち生きた事件における生きた事実を素材としまして、実務家の個別指導をベースとする、実践的で体系的な実務教育を行いたいと考えているわけであります。そういった意味では、現在の司法修習の理念と連続しているわけでございますが、これまでの法律実務教育としての、言わばエッセンスに純化した教育理念を立てていくということも言えようかと思います。
次に、2ページの「1 新しい司法修習の基本的な構造」でございます。この基本的な構造につきましては、実務家による個別的指導教育である実務修習を中核に位置づけ、実務修習を補完する集合修習との有機的な融合を図るものとしたいと考えてございます。
現在の司法修習は、先ほど御説明いたしましたように、導入教育としての前期集合修習、実務修習、総仕上げ教育としての後期集合修習という構造を取っているわけでございます。これに対しまして、新しい司法修習では法科大学院で基礎的実務教育が行われることを前提に、生きた事件の運用を体験的に学ぶ実務修習をより中核に位置づけたいと考えておるわけでございます。
その上で、その成果を踏まえながら、現在の集合修習が実務修習を補完している機能を推し進めて、体系的で応用力、汎用性のある実務教育を行う構造を取りたいと裁判所では考えているわけでございます。
「2 新しい実務修習」については、3ページを御覧ください。新しい実務修習は、今申し上げました教育構造に即して御説明申し上げますと、個別の分野別修習、従来の弁護、検察、裁判という枠組みに加えまして、総合型修習、あるいは自由選択型修習と申しますか、各修習生が分野別修習の補完と発展を目指して、その関心や志望に基づいて修習する先をアレンジするプログラムを導入することも検討してみたいと思っているわけでございます。
今後具体的検討をしていくことになるものでございまして、お話し申し上げてもなかなかイメージしにくい面もあるかもしれませんけれども、裁判所の中で議論をしていることを少し御紹介しますと、例えば分野別修習を終えた後、修習生が弁護士事務所を言わばベースキャンプのようにして、自治体とか、受け入れていただければ企業法務とか、あるいは市民法律センター等に、10日とか1週間とか出掛けて、実践的な修習を行い、こういった機関に出掛けないときは、弁護士事務所で実務修習を行うというのが一つのイメージとして考えられるのではないかというような議論をしているわけでございます。また、こういった実務修習期間に裁判所で倒産事件、あるいは家裁等の修習をまとめて行うというようなことも一案ではないかと思うわけでございます。
確かに実施に当たっては苦労もございましょうし、さまざまな工夫も要すると思われますけれども、このプログラムによりまして、修習生が自らアレンジして専門分野を始め、多様多彩な分野における活躍の素地を築くという、言わば「与えられる教育」から「築く教育」へという自主的、積極的な修習の要素を取り入れることは、新たな修習に新たな活力を与えるのではないかと考えている次第でございます。
次に「3 新しい集合修習」につきまして、3ページの下段を御覧ください。新しい集合修習につきましては、実務修習を補完し、実務で求められる一定レベル以上の体系的で応用力を持った、言わば汎用性のある能力を身に付けさせるものとするよう、なかんずく後期修習が持っております実務修習の補完的な機能というものを基礎としつつ、その内容と体制を工夫していきたいと裁判所では考えているわけでございます。
審議会意見、あるいは審議会における議論にも充実した法科大学院教育を前提としていくならば、集合修習が担う導入教育の部分は、法科大学院に委ねられることになろうかという指摘があるところでございます。
裁判所におきます議論では、新しい司法修習につきましては、前期修習による導入、後期修習による総仕上げというこれまでの枠組みを固定しない考え方、例えば、分野別実務修習から出発して、集合修習は実務修習を補完する機能を果たすというような考え方は、むしろ一連の法科大学院構想を中核とする法曹養成制度の教育プロセスからすると合理的ではないかというような議論もしているところでございます。ただ、こういった点については、またいろいろ議論をしていく必要があると考える次第でございます。
また、3,000 人体制を想定いたしますと、集合修習の容量拡大が不可欠になるわけであります。ところで、平成16年になりますと、養成人員が1,500 になることに伴いまして、最高裁では、司法研修所の人的物的体制の拡充を図る予定でございます。新しい集合修習におきまして、例えば班別構成を採って集合修習の時期をずらすことができますと、より多くの修習生による修習が可能になると考えております。同様に新しい実務修習においても運用上の工夫、それから新しい集合修習においても運用上の工夫を考えてみたいと考えております。
「4 新しい修習の期間」の点でございますが、4ページの下段を御覧いただきたいと思います。この修習期間につきましては、裁判所法におきまして、先ほど申し上げましたように、1年6か月と定めているわけでございます。その期間の在り方につきましては、そこに記載しましたように「 新しい司法修習の期間については、新しい法曹養成過程の全体に占める位置付けに配慮しつつ、新しい修習内容を効果的に実施するために必要な期間という観点から、その在り方を検討していく必要がある」と考えております。
推進本部におかれましては、本日御説明申し上げました、新しい司法修習の基本理念、構造、効率的、効果的な運営の在り方等も参考にされつつ、期間の在り方について御検討願えればと考える次第でございます。
次に、5ページの「5 司法試験の移行措置期間の司法修習」でございます。この期間におきましては、法科大学院を修了している修習生と、これを修了していない修習生というバックグラウンドの異なる修習生が併存するわけでございます。この期間の司法修習につきましては、そこにありますように、法科大学院や新司法試験の状況、あるいは法学部教育の変化、移行措置期間中の合格者の動向、修習の受け入れ態勢等の状況に配慮しながら、その内容や体制を検討していく必要があると考えているわけであります。特に移行措置期間には、実務修習地では新旧の司法試験合格者を受け入れる必要があるわけでございますが、指導上の負担が非常に大きくなります。
また、新司法試験の合格者の修習が始まります平成18年には、旧司法試験合格者との重なりが生ずるために、2,000 人を大きく上回る修習生を一挙に受け入れる必要が生じてくる見通しでございます。そのため、修習の実施方法のほか、旧司法試験合格者の修習の在り方、あるいは修習期間の在り方等についても検討を要するのではないかと考えているわけであります。
次に「1 給費制」につきまして、5ページの下からでございます。先ほど申し上げましたように、現在、裁判所法の定めを受けまして、修習生は国からの給与の支給を受けているわけであります。この点につきましては、審議会意見を踏まえまして、法曹の社会における役割、新しい法曹養成過程における司法修習の位置付けを配慮しながら、その在り方を考えることが望ましいのではないかと考えております。
推進本部におかれましては、本日御説明申し上げました、新しい司法修習の在り方等も御参考にされつつ、この問題について御検討していただきたいと考えております。また、修習生の身分等に関する法的手当等についても考える必要があるのではなかろうかと考えている次第でございます。
次に、6ページでございますが、「2 司法研修所の管理・運営」の件でございます。これまでも、例えばカリキュラムの編成等では、裁判教官室、検察教官室、弁護教官室の自主性を尊重しつつ相互に連携協力して教育の在りようを築いてきたわけでございます。審議会意見は、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声を適切に反映する仕組みを設けるべきであると提言しているところであります。
最高裁といたしましては、このような提言の趣旨に沿った体制、例えば司法修習の運営について、法曹三者、法科大学院関係者、学識経験者に諮問して意見を聞く何らかの機関の整備を図りたいと考えているわけであります。
以上がペーパーの説明でございます。
最後に、新しい法曹養成制度は、審議会意見にございますように、21世紀にふさわしい質・量とも豊かな法曹を養成することを目指すものでございます。先ほど申し上げましたとおり、これまで法曹教育、大学の法学部、大学院教育との間には、いささか有機的連携を欠く面もございました。また、社会現象がますます多様化し、法曹もより一層専門化する必要があるという一方、法的活動の基盤、基底を成す社会科学、自然科学等の一般諸科学の素養が法曹に求められているわけであります。
裁判所といたしましては、新しい法曹養成制度は、そのような課題に対応するための大きな試みであると考えております。特にその中核をなす法科大学院構想は、法曹の在り方、高等専門教育の在り方に関わる問題でございますので、甘さを排した厳しい検討、実現に向けた並々ならぬ覚悟が求められる問題であろうと考えておる次第でございます。
裁判所といたしましては、よりよい法曹の養成を目指しまして、このような法科大学院構想の実現に向けて協力するとともに、法科大学院教育との分担を考慮しつつ、司法修習の充実に向けて努力を重ねてまいりたいと、かように考えてございます。
以上でございます。
c)質議応答・意見交換
□ どうもありがとうございました。それでは、ただいまの最高裁の説明に関連しまして、後で御意見も伺いますけれども、まず質問のある方、挙手の上御発言願いたいと思います。
○ 新しい集合修習の具体的なやり方等については、どのような検討をされているのか少し御説明願います。
● これは、内容と体制の問題があるわけでございますが、内容につきましては、いささか抽象的になるのですが、実務修習で現場を見てきた者を体系的な実務教育として指導していき、それからばらつきをならしていくということをしていきたい。やはり、集合修習というものが、我が国の実務の在りようというものをつくってきたという機能を充実させていきたいと思っております。
体制につきましては、容量の問題と教え方の問題がありますが、容量の点につきましては、先ほど申し上げましたように、1,500 という容量は16年につくりますが、その後徐々に増えていきます。そこは、施設を十分活用するということで、班別にしますと、1年をフルに、あるいは1年を有効に使うことが可能になりますので、そういった班割り構成というものは考えられるのではないかと思います。
教え方の方ですと、今、5教官室がございますけれども、例えば民事科目の民事裁判、民事弁護、刑事科目も刑事裁判、検察、刑事弁護というのは相当共通する部分もあり、そういうところの融合を図る。これは、それぞれの独自性を見ながら共通した部分については、融合融和したカリキュラム構成、ティーチイングの方法なども工夫していったらどうかと考えております。
少し抽象的ですが、この辺は今まさに教官室で検討しておりますし、また法科大学院構想の在りよう等も見据えて更に検討してまいりたいと思っております。
○ どの程度まで具体化しているのかわかりませんけれども、先ほど言われていた趣旨は、1つは法科大学院で、一応完成期には9単位の実務基礎教育があるということを前提にすれば、前期修習程度の教育内容は法科大学院で実施されていることを前提にできるようになるということを踏まえて、司法修習を考えたいという趣旨に伺ってよろしいんですか。それともそうではないのでしょうか。
● まず、法科大学院にはそういうことを期待したいと思っているわけですが、これは実務教育のベースをどういうふうにしていくかという問題ですので、その点については、またこれから十分検討していきたいと思っていますが、そういったことを期待しているということでございます。
○ 今まで前期修習は起案教育をして、実務修習に行ったときに、弁護士事務所に行けば準備書面がすぐに起案できるとか、あるいは裁判所に行けば、これはそのまま判決になるわけでは勿論ありませんけれども、合議に参加して判決案を書いて来るとか、そういうことが非常に重要な要素だったわけですね。
そうすると、ある程度法的文書の作成まで踏み込んだ実務教育、つまりリーガル・リサーチング・ライティングのライティングの方ぐらいが法科大学院で行われていないと、いきなり実務に放り込んでもただの見学になってしまう可能性があるという気がするんですけれども、やはりその程度のことは法科大学院でやってほしいという期待があると理解してよろしいんですか。
● まず、新しい司法修習でどこまでどういうことをやるかということなのですが、刑事裁判で言えば、事実認定をして法令の適用まできちんと全部書くというところまでするのかどうか、先ほど申し上げましたように、むしろ弁護士、検察官、裁判官、企業法務の人も錯綜した事実の中で整理していく、いろいろな仮説を立てて論理立てていくことがポイントになるのだろうと思います。
そういうものならば、法科大学院でも期待できるし、実務修習においても裁判官が書くのと同じ判決とか、弁護士さんが書かれる準備書面と同じものまで求めるのか、そうではなくて、エッセンスのところを教えてもらうことにするのか、教育の在りようについて、どういうところに視点を置くかというところにかかわってくると思います。
もう一つ懸念されるのは、例えばいきなり取調べにしろ、法廷にしろ、学生気分で行くと大変なことになるのではないかという点もございますが、その辺は法科大学院でそういう心構えを教えてもらうのか、修習に入っても、どのタイミングで、どういうふうにやるのかということは、またいろいろ工夫をしながら考えていく必要があるのではないかなと思っております。
□ ほかにございますでしょうか。
○ 今の点で少し気になったのですが、新しい司法修習の理念で多様性ということをかなり強調されていたのですが、今おっしゃったように、これからは前期修習の起案に相当するようなもの、その辺りは多様な法曹ということで、今後は狭い意味の法曹以外のもっといろいろな道に進むことになるから、起案能力はもっと簡易なものでいいということをおっしゃったのですか。
● 簡易というのはどういうことですか。
○ 簡易と言うと語弊がありますし、多様という意味なのかわかりませんけれども。
● 何と言うか、大吟醸の真ん中のような、お米のコアといった感じでございましょうか。
○ 狭い意味の法曹養成ということから言うと、少し下がってくるという意味でもなく、汎用性というからよくわからないのですが。
● そこも教官室でも議論がありましたし、私どもも議論したのですが、やはり応用力の効くコアのところを教えるということであり、それをもって直ちに水準が下がるというふうにはならないだろうと。ただ、テクニックというところは、実務に就いてからのところにゆだねるにしろ、泉の源泉というのでしょうか、そこは修習で得られるのではないかと、こういう発想なのですが。
○ 言われた趣旨は、私はこう受け取ったのですが、例えば起訴状なら起訴状、あるいは準備書面は準備書面といった、特殊な、あるいは特別の類型の書面の書き方まで教えてくれなくても、きちんとした論理的な文章が書けて、法律家の仕事に向くだけの文章の起案能力というものが身に付いていれば、技術的なところは実務修習ないし、オン・ザ・ジョブでもできるのではないか。そういうことかなと思ったのですが、それでよろしいでしょうか。
○ 今の委員の御発言に関連して言うと、先ほど説明されました、混沌とした事実の中から法的に重要な事実を抜き出し、かつさまざまな資料からそれを事実認定する能力、その基本はやはりないと、今、委員が言われた形式的なものはみんな抜きにしたコアな文章というのは、やはり書けないと思うのですが、その程度のものは法科大学院で養成してほしいということになるんですか。それを更に研修所における修習でリファインしようというのか、どの程度両者の役割分担を考えればいいのか非常に重要になってくるのではないかと思うのですが。
● 先ほど現状の説明のところでも、前期修習でもいろいろな起案をさせているけれども、そこで養成したいと思っているのは、今言われたような2つの能力ということで、それは新しい修習になっても、そこはまさにエッセンスですので、新しい修習の中でもベースとして維持されなければならないと考えております。そのためには、今、委員が言われたように、テクニカルなものは必ずしも必要ではないだろうということを議論しているわけですが、その教育をする前提としてどこまで法科大学院で能力養成をしてもらうのか。全部してもらうというところまでいくのかどうか。先ほど私も説明しましたように、やはり具体的事件との格闘の中で初めて法的分析だとか、事実認定ができるわけですので、そこは司法修習が担うべきなのだろうというふうに思います。その前提となる総論的な考え方は、法科大学院で一定のレベルまでお願いできるのではないかと考えています。
○ 今まだ議論されている1つの案ということで紹介された、分野別修習と集合修習の組み合わせという案なのですが、仮に分野別というものから始めた場合にも、いきなり裁判所に放り込むということではないのではないかという感じがしました。いきなりぼんと放り込んで大丈夫かということを言われたので、ソフトランディングのようなものは当然お考えなのかと思ったのですが、それが1点。
もう一つは、法科大学院に期待をしていただくのはありがたいのですが、ではどこまで法科大学院でできるのかといいますと、恐らく当初の段階では、法科大学院も、力を付けつつ、いろいろなニーズに応えていかざるを得ない。コアになるのは、やはり法理論教育で、実務への懸け橋を意識したものであるのはもちろんですが、そのところは欠かせない。それにプラスして実務の導入部分をどこまで負えるかということについては、教員の面も含めて、ある程度時間がかかるかもしれない。それがあるものですから、完成型に持っていくまでの間、少し余裕をいただけるのか。最初からそれを十分やってくれということになると、カリキュラムの面でもどこかを削らざるを得なくなってきて、一番コアのところが時間的に難しくなる。他方で、カリキュラム案については、実務家の方の間からあれでも法律科目が少ないという声も出ているわけで、そこをますます切り刻まざるを得ないとすると大丈夫かと、お聞きしていて不安を覚えたものですから、その辺の御感触をお伺いできればと思うのですが。
● そこはまた、まさに考えていくということになりますが、こういう新しい教育の体制の在りようを考えたときに、従来の導入、実務、仕上げというのは一つの完成された形なのですが、法科大学院で体系教育を行う場合、外国の例を見ても、そこで実務に入っていくというものもあるわけですから、そこは新しい制度をつくるときにどういう発想に立つかという一つの教育のスタンスに問題があると思います。ソフトランディングというところについても、スタンスをどう置くのかというところが一つあると思います。
もう一つは、今委員がおっしゃられたように、大学院でどういう形の教育ができるかは、司法研修所で蓄積している教材等をどう御提供できるかとか、実務家教員をどういうふうに大学の方に派遣して御協力できるかという諸条件との相関で考えていく問題だと思います。
裁判所の中でもいろいろな議論がございます。私どもとして今日お話ししたのは、一つのあるべき姿と言いますか、この構想がうまくいった場合にはこういうふうにするのがいいのではないかということの裁判所の議論を御紹介したということでございます。
□ それでは、あとは引き続いて意見も含めて、質問も結構でございますのでどうぞ。
○ 新しい実務修習の総合的なプログラムの方ですが、恐らくこのイメージが、みんな全然分からないというか、どういうことになるのかよく分からないという質問がきそうな気がするのですが、先ほど弁護士事務所をベースにしてと言われましたけれども、弁護士事務所以外がベースになるということはあるのですか、ないのですか。それともまだ検討していないということなのですか。
● これもまだいろいろ内部で検討していますが、裁判所をそのベースにするということも十分考えられるだろうと思います。
これは詰まったアイデアということではなくて、今、言わば乗り降り自由な議論をしているわけです。例えば、積極的な修習生と割合のんびりしている修習生もおられるでしょうから、ある程度分野別実務修習の補完として、もう一回裁判所でまとまってやってみたいとか、もう一回検察庁でやってみたいとか、そういったパッケージは用意しておいて、そういう分野別修習の補完というところにウェートを置く人もいるでしょうし、もっと積極的に自分で探してくるという人もいるでしょう。これは外国の制度でもそういうところがありますので、そこのところはまたこれから考えていきたいと思っております。
○ ドイツの修習生のように外国に行ってもいいというところまではいくのですか、いかないのですか。
● 夢としては出てきておりますが、費用をどうするかとか、あるいは期間の問題とか、いろいろハードルはあるなという議論はしています。
○ 委員はどう思われますか。ドイツのように行かせた方がいいかどうか。
○ それは行かせた方がいいと思います。
○ 貴重な御意見ではないですか。
○ 集合修習ですけれども、これはやはり今のように1か所に集めるということを前提とされているのか。例えば、高裁管内ごとに分散させてもいいのではないかというような議論も相当強く出てきているところなのですが、その辺は何か検討が進んでいるところはおありになるのでしょうか。
● これも内部でいろいろな議論がございました。ただ、今は1つの施設を考えております。と申しますのは、施設をもう一つ作るというときには、人の問題が出てきまして、現在、司法研修所には70人の教官と、職員数も90弱ぐらいおるのですが、もう一つそういった施設を作るとなりますと、そういった人的態勢も考えなければいけません。
全体の修習期間がどうなるかわかりませんし、また集合修習の期間がどう設定されるかという問題がありますが、1年フル稼働するわけではございませんので、そういうときにもう一つ作るというアイデアと、今ある人的・物的態勢を有効に活用していく方法と、今の教育効果を見ながらどちらが適切かという観点で考えると、今の施設で人的・物的態勢というものを活用する方法というのが合理的ではないかなというのが、今の裁判所の中の意見でございます。
○ 今は1年半ですから、最初の3か月と後の3か月が2年分だぶるという形ですね。
● そうですね。
○ その他の時期は、空き状態ということなのですか。期間を調整して、単純に短くしても同じですね。このグループは最初にこっちへ行って、このグループはこっちと振り分けずに、全員に一緒の期間構成をする限りは、どこかが空き状態になる。今、最高裁がおっしゃったのは、その空いているところをないようにしていくことも考えられるということなのですか。
● 先ほど言いましたように、平成16年には現行の体制で1,500 人という体制をつくっていきます。今日、いろいろ御説明を申し上げましたのは、3,000 人というところを想定していますので、それは2つの班でよかろうということなのですが。
○ 今の点で、一応2010年に3,000 人は目標ですけれども、それは上限ではないと、そのときにおける状況次第で下になるかもしないし、上になるかもしれないということだと思うのですが、つまり、3,000 人でキャップがかぶるという制度では困るということが、この司法制度改革審議会意見書の中には当然あると思うのです。その辺はどういうふうにお考えになるわけですか。
● そこは施設の面から考えていくというものと、やり方の工夫を考えていくというものとがあると思いますが、そこは両様の検討をしていく必要があると思っております。
○ 中身についてではなくて、期間についてなのですが、なぜ3か月なのかということをお伺いしたい。前に2年の時期があったわけですね。それが1年半に短縮されたと。それは法科大学院という変革がない段階で修習生が多くなるというような事情からなるのかなと推測がつくのですが、その時点で2年が1年半に短縮されたわけですね。それで各セクションの期間が短く短縮されたと。それで現状は行われてきて不都合があったのかどうなのか。なぜ、2年から1年半に落着したのか、その辺の事情と、現状の3か月という設定の妥当性について教えていただければと思います。
● 前の司法試験改革のときには、その前に俗に改革協と呼ばれます、いろいろな有識者の方々に司法試験の在りよう等を御議論いただいたのですが、そのとき修習の期間2年という点について、いかにも長いのではないかと、もっと短縮できないかという御議論がございました。その短縮化という議論と修習効果ということを考えた中で、1年半というトータルの期間が設定されてきたわけです。基本的にはそういうことです。その中に、1年半というところでそれぞれ修習効果を考えながら、前期あるいは集合修習と実務修習の割り振り、それから構成というものを考えていったのが今の姿ということです。
○ 当時の議論は、今のとおりなのですが、特に経済界などの意見は、司法修習課程が2年間というのは、権限もないモラトリアム期間で間延びしている、社会のテンポがこれだけ早くなっているのに、そんなに時間をかけて養成することは、間尺に合わないのではないかという議論が一つあったわけです。
もう一つは、司法研修生を大幅に増やしていこうということでしたから、そこで実務修習の受入れの問題がありまして、2年修習ですと4か月間は2期分重なる。そうすると、弁護士会、検察庁、裁判所の受入れが一気にそこまでいかないという物理的な問題と両方の要因があり、しかしせめて4か月をそれぞれ3か月にするというぐらいのところは、質の高い法曹を養成する教育を維持していくためには必要ではないかということで1年半という期間がセットされたということです。
ですから、そのときは司法修習の2年間が長いと言われたのですが、今や世界で一番長い法曹養成教育システムを法科大学院を創設してつくろうという隔世の感のある議論の展開になっているというのが昔から見たときの印象です。
○ 3か月でも長いではないか、2か月でもいいではないかという議論はないのですか。
○ それはあり得ると思いますけれども。
○ それはなかったのですか。
○ 単純に短縮するという形ではなかったということだと思いますが。
○ 何で3か月が合理的なのかよく分からない。
○ 何をポイントにして期間を考えるかということです。例えば、現在でも集合教育で教える時間数は、4か月と3か月でほとんど変わっていません。どうやっているかというと、1日を長くやっているのです。修習生を3時ぐらいで帰していたのを5時ぐらいまで帰さずに授業をやっているのです。ですから、集合教育で教えている情報量は、2年時代と1年半時代ではほとんど変わらないのです。
それでは、実務修習はどうかというと、これは個々人の学ぶ姿勢の問題に帰するわけですが、4か月を3か月にしたので密度を濃くやるということで、そのつもりでやっている修習生は、4か月と3か月でそれほど効果として大きく変わらない実績が上がっているのだと思います。実務修習は適当に毎日を過ごせればいいということでやれば、1か月分は前より薄いという修習生もいるかもしれません。
ですから、教育の効果というのは、何をその期間にマスターしてもらうかということが一方であり、他方で修得する側の姿勢としてどのような心構えがあるかということのクロスで考えられていくべきものではないかと思うわけです。
□ 期間の問題に関しては、以前に改革協で議論しているときも、最高裁から1年間でもできるのだという案が出されて、日弁連の2年案と議論して、結局1年半に落ち着いたというところがありますから、どれだけで何ができるかというのは、中身の問題だと思うので、どうでなければならぬという問題ではないという感じもいたします。
○ 現場サイドの方のお話を伺うと、例えば一つの事件に付いてもらって、意味のある形で修習してもらうためには、それ相当の期間が要る。余り短いと、ほとんど見学状態になってしまって、実質的な修習ができない。そういった議論がその当時されていて、今でもなかり苦しい。4か月をぎりぎり我慢して3か月にしたのが精一杯で、もっと切り刻めと言われると中身が軽くなってしまうというか、皮相なものになってしまう。そういう声を、実務庁会の方から聞いたことがありますけれども。
○ 今、委員がおっしゃったことは、特に検察修習では顕著だと思うんです。検察修習では取調べ修習がメインなわけですけれども、身柄事件をやるとなると、勾留期間は最大20日ということになりまして、修習生が来たときにちょうど勾留請求の事件があるとは限らないわけで、身柄事件をやるとなると、ある程度の期間がどうしてもほしいということで、その期間が取れないと本当に見学になってしまうわけです。先ほど分野別修習と、総合修習に分けるというお話も出ましたが、多分検察サイドからすれば、これは丸々ほしいということになるのではないかと思います。
□ ほかにございますでしょうか。
○ 給費制がどうなるかということが弁護士会で強い関心を呼んでいる点の一つなのですが、修習専念義務を課す以上は、それに対して経済的な担保を与えるのが当然ではないかという議論が強くありまして、一方で、こういう厳しい財政状況の中で法曹養成だけが突出して手当を要求することがどうかという意見ももちろんあるわけです。どのようなアイデアをお持ちになっているのですか。抽象的に書かれているのでよく分からないのですが。
● この問題は、まさにこの検討会で御議論いただければと思っております。
要するにこういった専門家養成の検討のときに、そういった問題を国の財政の中でどういうふうに考えていくかという問題だろうと思っています。
ただ、修習専念義務という点につきましては、今後も司法修習の授業料を取らず、つまり、高等教育を授業料を取らないで提供するということになると、それに伴って修習はちゃんとやってもらわなければいけないということが生じてくるのではないかという議論はいたしておりますけれども。
○ 今の専念義務の点ですが、大学では逆に授業料を払っていても、学業専念義務はあるのですよ。
ですから、例えば職業を持っていて学生になるときに、その点が問題になるのです。現在はかなり緩まったのですが、在職中の人が例えば大学院の博士課程に入るというときに、以前は辞めてきてください、あるいは休職してくださいという形を採っていました。それがオン・ザ・ジョブで継続教育という要請に応えるために最近ではかなり緩まってきているのですが、いずれにしろ、専念義務というのは教育効果を上げるために要求されることであって、金を払っているのか、もらっているのかということは余り関係ないのではないかと思います。
○ あと、準公務員の身分がそれに関連してくるんではないかと思うのですが、それも検討の対象にするということですか。
● ここの問題につきましては、まさにここで御検討いただきたいと思っております。給費制がどういうふうになっていくかという問題がありますけれども、例えば実務修習と集合修習との関係で、場所的移動をしなければならないということがありますので、そのときに移動をしてもらうということについて、何かきちんとしておかなければならないのではないかという議論があるということで、先ほど申し上げた次第です。
□ 何かございますでしょうか。
○ 重なった意見ですけれども、先ほどの委員もおっしゃったように、当初から余り法科大学院に期待が大きくて、前期修習に取って代われるような教育を法科大学院がすべて行うというようなことになると、それは法科大学院設立についての大きなハンディになる可能性がある。そうすると、全国にある程度大きな地域にまんべんなく法科大学院をつくるということにはかなり難しい問題が出るのではないか。
そういった意味では、直ちに前期修習を全くなくすということではなしに、今後法科大学院との間において、もう少し融合的なシステムをつくるということで余地も残していくということが考えられないか。直ちに実務修習だと言って、各地にぱっと散らばせて行うのがいいのかどうか。
それと、もう少しバッファがあった方がいいのではないか。バッファというのは年限的なものと、システムの制度としてバッファがあった方がいいのかどうか、どちらかだと思いますけれども、直ちに新しい司法修習の形に突入というのは、今、前期修習でやっているような白表紙から始まって、担当者まで含んだいろいろなものに関し、最高裁から全国の法科大学院に対するかなりの協力関係が制度的に確保されないと、最初の立ち上げから厳しいのではないかと思われるのですが。
□ いかかでしょうか。
● ここは、先ほど申し上げたとおりで、これから考えていくということですが、とにかく頑張っていただきたいと思います。
○ 誤解を避けるために申し上げますが、そういう言い方をしますと、大学側が非常に後ろ向きで、旧弊のいわゆる理論だけにしがみ付こうとしているのではないかと受け取られがちなのですが、決してそうではありません。できる限り意見書に言われているような趣旨でやりたい。そのために体制を整えようとしているのですが、現実的に考えた場合に、先ほど最高裁の方も触れられたように、教員の問題、教材の問題を含め、また教え方とか、経験の積み重ねが必要になる。それに、研修所でやるのと全く同じことをロースクールでやっても意味がありませんので、法科大学院でやるとすれば、同じような質を目指しながらもやり方は違ってくるのだろうと思うのです。その辺も、一定の時間が必要なのです。
● いろいろ申し上げていますのは、例えば、今、司法研修所の教官で、裁判教官、検察教官というのは、言わば公務員の身分のままでやっておりますが、弁護教官というのは弁護士業務をしながら教官をしておられます。実際に話を聞き、またはお会いしても非常に献身的にやっておられます。これは大変な御努力だと思うんです。
外国の大学というのは、研究ということのほかに、教えるということについて非常に精力を注がれると聞いています。恐らく、日本の多くの大学もそういう先生方がたくさんおられると思うのですが、法科大学院においても、やはり教えるということについてもっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。
成績評価ということについても厳しくしていただきたいと思います。何となく卒業させてあげるというのではなくて、今度はプロをつくるわけですから、そこは前にもある委員が言われたようなところは非常に感じます。
○ そういうことで、もしできましたらこれから2年間、実情では2年を欠けているわけですけれども、その間でも各法科大学院を準備している人たちともう少し実務研修、とりわけ前期修習時の教育方法についての情報交換をもう少しさせていただけたら、もう少し情報を提供していただければ、今までの門外不出のノウハウではなくしていただいたらありがたいなというふうに感じるのですが。
● そこは、これからの問題だと思いますし、できる限りの研修所サイドの協力はさせていただこうと思っております。
○ 既に新聞等で報道されていますけれども、法科大学院を立ち上げようとしているところが集まって「法科大学院協会設立準備会」なるものをつくりました。その下で、教員の研修や教材の開発等についても、もちろん各校が競い合うわけですけれども、共通にできるところは共通で検討していこうということになりましたので、最高裁にも是非御協力いただきたいと思います。
もう一つ、厳しい成績評価の点は、この検討会だったと思いますけれど、在籍者の数が収容定員を恒常的に上回らないようにするということが言われていまして、大学関係者はまだ必ずしも厳しく認識しているとは思えないのですが、これはかなり効き目がある。どなたかが、留年が多ければその分入学者を減らせとおっしゃっていて、そういうふうに働くと非常に厳しく働いていくだろうと思います。
ただ、これはそのときに文部科学省の方も言われたように、他方で教育機関でもありますので、一つの科目でも落としたらもう退学かといえば、その辺のところはなかなか悩ましいところでして、厳しくしないといけないということは片一方で分かりながら、教育機関としてのアロウアンスをどの辺まで認められるのか、そのような議論をし始めているということです。
○ 質問ではなく、むしろ意見のようなものですけれども、まずは実務教育の重要性については全く同感ですけれども、また実務教育のコアは法科大学院が全部提供すべきだというふうにも思っていますが、また多様性の面からしますと、場合によっては知的財産権法教育を中心とする法科大学院ができたときには、知財権関係の実務教育を豊富にやったり、あるいはビジネス・プランニング、ビジネス交渉術など、そういった方面の実務教育に非常に力を入れたりするという法科大学院は出てくるのではないかと思いますけれども、場合によって前期修習に必ずしも当たらない形の実務教育が出てくるのではないかと思います。そういったばらつきというか、どこまでが共通で、どこが法科大学院が提供すべき実務教育、どこから多様な実務教育があっていいかということに関して感想があればお聞きしたいのですが。
● またこれから考えてみたいと思うのですが、多様性にすべて対応する実務的な教育というのもなかなか難しい面もありますので、そういう発想での議論というのは今までしてきませんでしたので、また裁判所の中でもいろいろ議論してみたいと思います。
○ 今の御指摘は大変重要なポイントだと思います。最高裁のプランは、法廷に立つ人と、法廷に立たない人の両方を養成するものであり、両者に重なるスキル、マインドの養成を徹底的にやりますということなのではないでしょうか。ですから、期間もロースクールで長くなる分を考えて必要なだけにしましょうと。そして、ベーシックなところのスキルとマインドを持てば、それぞれが自己責任に応じて磨いていくという形をとるということだと思うのです。
ですから、その辺の先端的なところをやるということについては、そういうロースクールがあってももちろんいいし、個々人がそれを伸ばしていくというのはいいけれども、この新司法修習の中でそれもやるべしということにはなりにくいように考えます。
□ この問題は、これからも引き続き議論をしていかざるを得ないのですが、今日は最高裁の側から初めて案を示していただいたことですので、今日の議論を踏まえて、また引き続き次回に議論することにいたしまして、時間の関係もありますので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。
(2) 新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について
□ 引き続きまして、司法修習にも関連するのですが、司法試験に関する立案作業を進めている上で、この検討会で更に検討を加えていただきたい事項があるということを先ほど事務局から話されましたので、その点について御説明いただきたいと思います。
■ それでは、事務局からの配布資料の資料4を御覧ください。
これは、事務局における立案作業等との関係で、新司法試験における短答式試験及び口述試験の実施について、更にお諮りしたい事項が生じましたので御説明申し上げるものであります。
まず「1 検討を要する事項」についてでありますが、新司法試験において短答式試験及び口述試験を実施するかどうかにつき、更に検討を要するものと考えられるということであります。
これまでの「意見の整理(案)」においては「短答式試験及び口述試験については、必要と認められた場合に実施することができることとし、最終的には新委員会に諮った上で決定することとする」とされたところでありますが、受験者(特に当初の法科大学院修了者)への周知や司法修習の開始時期を確定する必要性等を考慮すれば、本年秋にも予定される関連法案提出の段階において、短答式試験及び口述試験の実施について規定しておくことが望ましいと考えました。これは、実施するかどうかについてお諮り申し上げたいという趣旨でございます。
そこで「2 問題点」について御説明いたします。この点に関しまして、簡易なシミュレーションを行ってみたところ、毎年の法科大学院の修了者数を5千 〜7千人と仮定すれば、3回の受験回数制限を行っても、毎年の新司法試験の受験者総数は、1万1千〜1万7千人程度にのぼるものと見込まれます。
これらの受験者に対し、短答式試験による段階的選抜を行わず、かつ口述試験を実施することとする場合には、論文式試験の答案の審査や口述試験の実施に要する期間等の関係から、論文式試験の合格発表(本年度は10月11日)及び最終合格発表(本年度は11月13日)が現在よりも遅くなり、これに加えて司法修習生受入れのための準備期間(現在は4か月程度)を考慮すれば、状況次第では、翌年4月に司法修習を開始することが困難となる事態に至る恐れもあると考えられます。
なお、「(注)」に記載しましたとおり、毎年の法科大学院の修了者数を3千5百人と仮定し、3回の受験回数制限を行うものとすれば、毎年の新司法試験の受験者総数は6千2百人程度となるものと見込まれます。ちなみに、平成13年度の論文式試験受験者数は6,596 人、口述試験受験者数は1,086 人でありました。
なお、平成14年度司法試験第二次試験の日程は、2ページの上の方に記載したとおりであります。
これらを前提にしまして、2ページの「3 考え得る案」としまして、A案、B案、C案と3つ記載させていただきました。
まず「(A案)」として「短答式試験による段階的選抜(論文式試験は短答式試験の合格者について行うものとする)を実施することができることとした上、口述試験も実施することとする」としましたが、この案では口述試験を実施することから、最終合格発表が秋以降となり、司法修習の開始時期が翌年4月以降になる恐れがあるということになろうかと思います。
次に「(B案)」として「短答式試験による段階的選抜を実施することができることとした上、口述試験は実施しないこととする」としましたが、この案では毎年9月ころまでに最終合格発表を行うことが可能となり、司法修習の開始時期を早めることも可能となるということになろうかと思います。
「(C案)」として「短答式試験を実施せず又は短答式試験による段階的選抜を実施しないこととした上、口述試験も実施しないこととする」としましたが、この案では受験者総数が比較的少ない場合には、B案と同様の長所があるが、受験者総数が極めて多数となった場合は、論文式試験答案の審査に支障を来し、最終合格発表が遅くなるなどの不都合が生じるおそれがあるということになろうかと思います。
この検討は、主として司法修習の開始時期との関係で検討したことを書いたものでございまして、司法試験においてどのような試験を優先するべきであるという意見ももちろんあろうかと思います。
いずれにせよ、これにつきましては、毎年の司法修習の開始時期とも関連しており、新司法試験において短答式試験や口述試験を行うこととするかどうかについて、更に当検討会で御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
□ どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明がありましたように、司法修習の開始時期とも関連するわけですけれども、新しい司法試験において短答式試験や口述試験を行うかどうかということを規定しておくことが望ましいということであり、この点について意見がございましたら御発言願いたいと思います。
○ これは、肝心の論文試験をやらないというのは、どこの案にもないわけですけれども、論文試験をどういう内容でどうするかということが抜けて、短答と口述ばかり言われているので、少しイメージがつかめないのです。
論文試験を、言わば融合的な問題で、しかもいろいろ幅広く出すような科目を設定しておいて、その中から何問出るとするのか、または法律ごとに論文試験をやるというふうにするのか、その辺りの論文試験の内容を詰めていないですね。
□ 論文式の内容については、この前に。
○ 公法系とか、民事系、刑事系ということはやりましたけれども。
□ そこまでは一応詰まっているのですが。
○ それ以上は何もないというところで、法科大学院で教育して、更に司法研修所につなげるための最後の関門としての新司法試験をどういうものとしてやるかというときに、まず論文は絶対やるんだというときの論文がまだ確定的に決まっていないときに、どういうふうな組合せをしたら一番いいシステムになるのかと言われても、これを構築するのは難しいのではないでしょうか。
○ それは、今日の検討のことと直接は関係しないのではないかと思うのです。それは中身の問題ですが、いま議論しているのは、むしろ日程と実施上の負担を合理的なものに抑えるとすればどうすればいいのかということですから。
○ 実質的なことを検討しないで、こちらを先にしていいのかどうか。
○ 内容については詰めていないとしても、いずれにしろ重いものになることは間違いないわけです。そこまでは合意していると思うのです。融合問題なのか、一応垣根があって、それぞれ別に試験するのかという点は別にして、重いものになることは間違いない。今の論文式よりは重いものをイメージしていると思うのです。そのことを前提にしながら、期間とか、負担とかをどう考えるのか。それとの関係で論文に比べれば従と言うとおかしいのですが、短答と口述というものをどう位置付けるのかという話だと思うのです。
□ 委員の御意見は、要するに論文式の内容をもう少し詰めれば、それと相関的に短答式試験が要るかどうかとか、口述試験が要るかどうかが決まっていくというお考えですか。
○ 短答の方はともかく、論文が融合問題になったような場合に、それを直ちに一人一人の試験官に回して採点をさせるということが適切なことなのかどうか。
例えば融合問題だったら、その答案を見ながら複数の問題に絡んだ専門家が集まって、口述試験は、論文を見ながら、かつ試験を書いた受験生に質問しながらやるという、言わば口述と論文の採点を一体とするようなもので採点する方が本当の能力を見られるのではないかという意味では、論文と口述を形式で切り離すという形にはならないのではないかと思うのですが。
例えば、民法と商法の先生が集まって一つの融合問題をつくった場合に、商法の方でかなり経営判断的ないろいろな問題が絡んでいるというようなところで、民法の先生がいかに採点の打ち合わせをやって、いろいろな採点基準をつくったとしても、本当に採点能力があるかなという意味では、2人が答案を見ながら、論文を書いた人にこれはどういう意味だとか質問をしながら、言わば複合的な論文の採点をすると、今までみたいに、論文の採点が終わって、そこで口述をするのではなく、論文の採点をそもそも口述をしながら行うというシステムの方が考えられるのではないかと。
□ アイデアはわかりましたが、ただ、論文式についてそういう採点の仕方が現実問題として今の仕組みでできるかどうかという問題があって、少しここの整理の仕方と違う論点がもう一つ出てきたという感じがするのですが。
○ だから、論文がどういうものになるかによって、全く口述をしないでいいのかどうかということは違ってくる。密接なつながりがあるのではないかと思います。
□ 今、委員の出された問題は、論点が何かふくらんできた感じがするので、それを議論するかどうか。
○ やはり、重い論文をやるにしろ、採点の方法で今のような期間が要るのかどうかが変わってくると思うのです。
だから、期間の問題で逆に言うと、法科大学院を終わってから、丸一年間司法試験の受験期間がかかって、翌年まで修習が開始できませんなどという制度が通るはずがないので、9月ころに修習を開始するということを前提に司法試験を考えなければいけないと思います。そうすると、その期間内で重い論文式を採点するにはどうすればいいかというふうに発想していった方が建設的なような気がしますけれども。
それから、先ほどの新司法試験の受験者数の見込み説明ですが、要するに法科大学院修了者が5,000 人であろうが、6,000 人であろうが、7,000 人であろうが、司法試験合格者は3,000人だというシミュレーションなんです。
その結果、3回目の受験者というのが、2,000 人なり、4,000 人なりで、3回目で合格する人がどれぐらいいるのかわかりませんが、数千の単位で3回受験を失敗して断念する人が出るという制度をつくりますと言っているような感じで、これも制度としておかしいのではないかと思うんです。
ですから、口述を実施するのか、短答を実施するのかということとは別に、そういうことが新たな問題になる前提である基本的な発想の部分が、これでは法科大学院の制度をつくろうとした趣旨と違う結果を招きそうな気がするのですが。
□ 委員の御意見は、司法修習の時期をどうするかということと相関的に試験の仕方を考えるというアジェンダを設定をした方がよいということですか。
○ その限度では、そうですけれども、重い論文を実施して、端的に言ってしまえばC案です。短答も口述もやらないと。
しかし、それではどんどん受験者が増えていくということですが、それがそうなるかどうかというのは、採点方法のレベルで工夫すれば、C案でいっても9月修習開始は可能なようにできるはずだと、あるいは逆に言えばしなければいけないというふうに思うのです。
○ 前にも申し上げたのですが、それはほとんど現実的でないです。採点方法を工夫するというのは、いい加減に付けろというふうにしか聞こえないのです。実際、試験委員は今でも本当に苦労して、大変なのです。受験者一人ひとりの、言わば人生がかかっていますから、それぐらいの覚悟で採点しているわけで、それよりさらに重い試験ということになれば、おっしゃっているようなことはほとんど不可能で、今より時間がかかるとお考えになった方が現実的だと思うのです。
もう一つ、3,000 人ということなのですが、これは委員の方が誤解があると思います。2010年に3,000 人を目指すが、これをキャップにしないという趣旨は、受験者が増えて、優秀ならばその都度人数を増やすということではなくて、その目標値に達した段階でもう一度見直そう。それで頭うちにしない。そういう意味でキャップにしないというのが、審議会の申合せだったと思うのです。
だから、今のところの制度設計としては、3,000 という数を前提にしながら検討をせざるを得ない。そうでないとシミュレーションなどできません。そういう意味で、その数を一応の手掛かりにして議論をせざるを得ないのではないかと思います。
○ 今の委員の議論に私は納得できないのですが、意見書では、新司法試験の合格者数を年間3,000 人とすることは、あくまで計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要があると、とにかく計画的にできるだけ早期に3,000 人の確保を目指すと、そこでもう一回審議し直すなどということは書いていないのではないですか。
○ その辺の議事録をきちんと読んでいただければおわかりだと思うのですが、3,000 人にするということにすら反対の声もかなりあった。しかし、最終的に合意したのは、とにかく計画的に積み上げていって、2010年ぐらいには3,000 人を目指しましょうということで、そこまでは合意したのです。そこから先をどうするかは、法科大学院がどれだけ出来て、整備されていくかといったことや、社会のニーズがどうであるかということによるので、今から予測できませんからその段階でまた考えましょうということにしたのであって、3,000 人は未来永劫続く数ではなくて、キャップではないというのはそういう意味なのです。少なくとも私は、そう理解しています。
□ 論点をどう整理するか難しい問題だと思うのですが、先ほど委員がおっしゃっていた案というのは、要するに論文式の採点の中に口述試験を組み込むというので、少し今までの議論の仕方と違うところがあるような気がします。趣旨はよくわかるのですが。
○ その場合には、本当に慎重な審査をすると、採点者間の打合せと、採点者の能力を高めるという準備期間と、論文の採点期間がかなり長くなると思うのです。ということでは、やはり前提に何かがないととてもできないのではないかという感じがします。
先ほどの委員のように、9月までに絶対に終われと言ったら、これは本当に大変なことになるのではないでしょうか。だから、やはり1年ぐらいはどうしてもかかってしまうのではないかと。
○ 1年かけるのですか、私はそんな制度が制度として社会的に合理性を持つとはとても思えないのですが。
□ 提案の趣旨は期間を縮めるという前提の議論で、ちょっと今の議論について事務局の方から説明をお願いしたいと思うのですが。
■ そもそもここで司法試験が司法修習の開始時期に及ぼす影響というか、その関係について焦点を当てて御検討をお願いしたのは、まず、現行制度を考えますと、大学4年で合格すればすぐに司法修習が開始できます。ところが、新制度ではそれに法科大学院が2年、3年加わっていき、更にその上に司法修習が1年以上加わるということで、今の制度に比べて法曹資格の取得時期がかなり遅くなるのではないかとの懸念がございまして、そのような中で、司法修習開始までの空白時期と言いますか、待ち期間が余り長くなるのは妥当ではないということも理解できるところでございまして、その関係で、司法試験の方法の工夫によって、司法修習の開始時期を少しでも早くすることができるような工夫の仕方もあるのではないかということを御検討いただけないかという趣旨であります。
例えば、受験者が1万人を超えた場合でも、全員に全科目の口述試験をするという場合は、今、御指摘のように1年ぐらいはかかってしまうのではないかと思います。それでもいいから丁寧に選抜するようにということであれば、そういう設計ももちろんあり得るということで、オープンな形で御検討をお願いしたということでございます。
□ 背景はそういうことでございます。
○ 口述試験については、以前にこれは実施した方がいいという意見を申し上げたのですが、法科大学院で双方向的、多方向的、そういう教育をなさって、論理的に話をする能力も付くということを前提にすれば、あえて口述試験はやらなくてもいいかなというふうに考えております。
どれぐらいの人数の人が論文式試験を受けることになるかというのは、はっきりは分からないわけですが、かなりの人数が受けることになるという可能性は大きいと思うのです。かなりの数の人たちの論文をきちんと見ていくということになれば、論文式試験の採点にはなかなりの期間が必要だということにならざるを得ない。
先ほどの委員もおっしゃっておられましたように、私も論文試験の採点をしましたけれども、本当に大変な作業なのです。そう簡単にできる作業ではありませんので、かなりの採点期間がほしいと思います。
今の第二次試験の日程表を見ますと、5月12日に短答式試験をして、合格発表を経て論文式試験が7月20日ということになっておりまして、2か月のロスと言いますか、2か月の期間があるわけです。私は短答式試験もやるべきだと思うんですけれども、5月の時点で短答と論文を一度に実施したらどうかと、そういう案もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○ 短答の方は問題づくりがものすごく大変なのですが、終わってしまえば、採点は機械的にできますので、前倒しで問題づくりを並行してやらないといけないので、そこが大変になると思いますけれど、その体制さえきちんと整備をして、かなり早目から作っていくということにすれば、同時に実施することも可能だと思います。
○ ということは、短答は段階的選抜に使わないという意味ですか。
○ それは、「段階的選抜」の意味にもよると思いますが。二段階にはならないです。
○ せっかく論文を一生懸命書いたのに採点もしてもらえないかもしれないという、そういう制度にするということですか。
○ 両方必ず採点するとしますと、1万2,000 とか2万という論文答案数になれば、短答をやろうが、やるまいが、採点に要する時間や負担が実際上限度を越すということに変わりはない。そこを、何とか合理的な数に持っていくためにどうすればいいかという話だと思うのです。
○ 論文の採点能力を考えたら、論文の数は制限をせざるを得ないのではないでしょうか。
○ 今、論文は6,000 通ぐらいですか。それでも、かなりアップアップですね。
○ 論文の採点というのは本当に大変だということで、今採点期間は1か月半ぐらですね。あの間でも相当精神的には非常なプレッシャーで、採点期間が延びるというのは、これはだれが採点するのか非常に厳しいことになると思います。慎重な案で採点期間を長くするのはいいのです。ただ、よほど一人の負担を減らしてくれないと、長い期間拘束されるのは。
○ 本務を抱えていると無理ですね。今、考査委員は全体で百数十人ですが、かなりの数の人を専従で張り付けるような形にでもしないと、期間が延びると無理だと思います。
○ できないですね、法科大学院の教員に来いと言われても。
□ 法科大学院の教員は一生懸命教えろと言われておりますが、そこまでは。
○ 裁判官、検察官でやっていただければ。
□ よろしいですか、まだ今回で決めてしまうわけではないですが、今の御議論を伺っていると、短答式と論文式の関係については、意見の相違が少しあると思いますけれども、短答式試験は実施するということでよろしいでしょうか。
口述試験については、論文式の採点に時間を掛けるということから、口述試験については実施しない方向で検討することはやむを得ないということで、短答式と論文式の関係については、少しこちらで詰めて、また次回お諮りするという取りまとめで、今日は次に進ませてもらってもよろしいでしょうか。
○ 前の議論のときにも申し上げたように、段階的選抜に短答式を使うということに関しては、私は反対ですが、先ほどの委員と同じ意見で、アメリカでも同じように、短答1日で次の日は論文ということですから、同時期に両方をやるということは十分考えられるのではないかと思います。段階的選抜ということであれば私は反対ですけれども、今のような意見ならば全く同じ意見です。
□ そこは、まだ今のところは意見が分かれているという段階で、今日のところは終わらせていただいて、口述試験については流れから見てやらない方向で検討を進めるということで、今日はそこまでとして、短答式と論文式についてはただいまの委員の意見もございますので、次回にまた詰めていただくということにしたいと思います。
(3) その他
□ 引き続きまして、最初にお話しましたように、去る4月18日に中央教育審議会において法科大学院制度に関連する3つの中間報告が取りまとめられましたので、その点について文部科学省に御説明をお願いしたいと思います。
▲ 先月、4月18日に中央教育審議会から3つの中間報告が出されましたので、それについて御説明を簡単に申し上げさせていだたきたいと思います。
中間報告を3つ併せて1冊になっている冊子と、その上にそれぞれの概要を1枚ずつに要約したペーパーをお配りしていると思います。この要約バージョンに基づきまして御説明を申し上げさせていただきたいと思います。 1番上にありますペーパーが「法科大学院の設置基準等について」であります。法科大学院部会で検討していただいたものを中央教育審議会としての中間報告としたものでございます。これにつきましては、大まかな内容につきましては、昨年12月に既に骨子をまとめておりまして、それに肉付けを図ったという内容でございますが、これは後で御説明させていただくこととして、全体といたしましては今回3部作になっておりますのは、基本的に大学の設置につきましては規制を緩和して、事前規制から事後チェック型にすると、その際に第三者評価を導入するというシステムの改正が最初の「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」でございます。
次が、具体的な大学院のシステムにつきましては、これまでどちらかというと、研究者養成が主体という大学院制度の中で、さまざまな高度職業人養成のためのシステムをつくってまいりましたけれども、今回高度専門職業人養成のための「専門職大学院」(仮称)制度をつくろうというのが2番目の中間報告でございます。その中に法科大学院も位置づけられるというふうにいたしまして、具体的に法科大学院の設置基準等についてまとめたのが最後の紙でございます。
お配りさせていただいています3枚の紙の要約バージョンのうちの2枚目に「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」まとめております。基本的な考え方は書いてあるとおりでございますので省略させていただきますけれども、基本的には国による設置認可を弾力化して、第三者による継続的な評価体制を整備するという思想でございます。
具体的な中身につきましては、@〜Cまでございますけれども、設置認可の弾力化という意味では、@でこれまでは学部がすべて設置認可対象でございましたけれども、中身が変わらない、学位の課程に変更がない場合には認可を不要とする。学部改正であっても届出制にしようというのが1つでございます。逆に、名称なり組織が変わらなくても内容が変われば設置認可の対象にするというのが裏にあるわけでございます。
Aで、これまで大都市部における大学設置は抑制されており、首都圏から地方にという動きがございましたけれども、そもそも工場等制限区域関係の法令の国全体の見直しに並行いたしまして、首都圏、近畿圏、中部圏における大学設置の規制方針を撤廃するということでございます。
Bが「新たな第三者評価制度を導入」する。国の認証を受けた評価機関が大学を定期的に評価して、一定基準に達しているかとうかをチェックするというシステムを導入しようということでございます。
Cが「法令違反状態の大学に対する是正指導」ということで、これまでは法令違反に対して是正措置がなく、即閉鎖命令という制度しかございませんでしたので、抜かずの宝刀みたいなところがございましたけれども、これから手続的な整備も図っていこうという、4つのシステムでございます。
3枚目が「大学院における高度専門職業人養成について」の中間報告でございます。「専門職大学院」(仮称)制度をつくるということでございまして、内容といたしましては4つございます。
1番目が高度職業人養成に特化した「専門職大学院」(仮称)を創設するということでございます。従来は、2年制の修士課程、5年制の博士課程と、大学院はこの2つしかありませんでした。専門大学院というのは、この修士課程の中の一つの形態として位置づけられて、青山学院とか、一橋とかビジネススクールがその中で今まで活動していたわけですが、これに加えまして高度職業人養成に特化した新たな大学院の課程として「専門職学位課程」(仮称)を創設すると、3つ目の新しい課程をつくろうという提言でございます。
修士課程、博士課程に並びます3つ目の課程を置く大学院を「専門職大学院」(仮称)として位置付けようと、「専門職大学院」(仮称)の一類型として法科大学院を位置付けるというものが1番目の提言でございます。
2番目が「専門職大学院」(仮称)の中身につきましては、修業年限について、各職業分野ごとに教育内容に従ってふさわしい年限を設定すると、想定されますのは、法科大学院以外には、ビジネス・スクールですとか、メディカル・スクール、あるいは公共政策系の行政大学院というものが将来出てくるかもしれませんが、それぞれごとにカリキュラムによって年限は違うでしょうから、それぞれに応じて定めていこうというものでございます。
教育の内容につきましては、それぞれの分野の特性に応じてケーススタディーですとか、ディベート、フィールドワークなど多様で実践的な教育を提供していこうと、それぞれの分野で豊富な経験を有する実務家を教員として相当数配置していこうというようなことの提言がなされております。
3番目が「専門職大学院」(仮称)を修了した者については、学位として「専門職学位」(仮称)を授与しようと、今までは修士号、博士号でございましたけれども、新たな学位を授与しようということで、これの名称については幾つか案が出ておりまして、今後検討していくことになっております。
4番目といたしまして、最初にありました一般的な第三者評価に加えまして「専門職大学院」(仮称)につきましては、各専攻分野ごとに第三者評価機関による継続的な第三者評価を実施するということを明確に規定を書いているところでございます。
この2つを前提といたしまして、最初に戻っていただきますと、法科大学院の設置基準についての中身が書かれているわけでございます。この概要につきましては、昨年12月に出た骨子については既にある程度御承知いただいていると思いますけれども、主な内容はこの5点プラスその他のことでございまして、法科大学院については「専門職大学院(仮称)」の一つとして位置付け、その修了者には適切な名称の「専門職学位(仮称)」を授与するということでございます。
標準修業年限は3年とし、法学既修者については1年以下、30単位以下を短縮して、実質2年で修了できるようにするということでございます。
教員については、高度の教育上の指導能力があると認められる者ということで、これまでの教員資格については研究能力が主として判断要素とされてまいりましたけれども、教育実績や教育能力、実務家としての能力、経験を大幅に加味しようということ、それから、専任教員のうち相当数、おおむね2割程度以上は実務家教員とする。
教育内容につきましては、法理論と実務との関係を強く意識した教育を行うということで、少人数教育を基本とする事例研究、討論、調査などによる授業、双方向・多方向での密度の濃い教育、授業方法・計画、成績評価方法を明示して、厳格な成績評価及び修了認定を実施するということでございます。
具体的な教育の科目等については、中間報告の中にやや詳しく書いてあるところでございます。
5番目に、第三者評価を実施するということでございます。設立時の設置認可の審査とともに、継続的な第三者評価を行うということを提言しております。
今後の課題としては、司法試験の受験資格としての適格認定と第三者評価をどうリンクさせていくかということがあり、最終報告までに整合性を取っていくということになっているところであります。
その他といたしまして、複数の大学が連合して設置する大学院も制度化しようということでございます。現在の国立大学同士、あるいは国立大学と私立大学、いろいろなケースがあると思います。一緒になることによって、さまざまな教員の利用が図れるということで、現状ではなかなか難しい面もございますので、できるだけ制度化できるようにしていこうという趣旨が1つ。
奨学金、教育ローンといったさまざまな各種支援制度を充実していこうと、文部科学省を始めとして、積極的に導入に向けて検討を進めるべしという提言がなされています。
入学者選抜に当たっては、幅広い分野から入学者を受け入れるというのを前提として、入学者選抜者の方法につきましては、適性試験を実施する。更にそのほかに学業成績やそれ以外の社会人としての活動実績等を総合的に考慮して、幅広い分野から、幅広い人間性を持った人材を受け入れるようにしようというような提言でございます。
以上、中間報告が出たわけでございますが、これについて更にまだ今後検討していく課題もあり、パブリック・コメントも行っておりますので、最終報告に向けて更に詰めていくという予定にいたしているところでございます。
□ どうもありがとうございました。それでは、ただいまの文部科学省の説明に関連しまして、御質問などございましたら御発言願います。
○ よくいろいろなところで質問されるのですが、社会人うんぬんと言われても、経済的な問題が非常にあるので、夜間大学院だとか、通信制の法科大学院うんぬんという問題が特に言われることがあるのですが、そういった通信制の法科大学院の設置基準等については特に御検討されているのかどうか。
▲ これにつきましては、この中で検討はしてきまして、基本的には夜間大学院については積極的にやるところがあれば、やるのは当然あっていいだろうということになります。
通信制大学院については、今回の法科大学院というのは、非常に双方向的に密度の濃い授業をやろうという性格のものであり、具体的なレポート指導とか、マンツーマンで指導を行いますので、そうした教育体制が確保できるかという課題が若干残っていますので、夜間大学院については導入ということですけれども、通信制の法科大学院については、具体的にどういった形でやっていけるのかというのは、もう少し検討してみようという形です。
○ 前の形のままということですね。
▲ 前のときは、夜間も通信制も検討しようという形でした。そのうち、夜間についてはやりましょうということで。
○ わかりました。
○ 法科大学院に限らず一般的に、「専門職大学院」(仮称)という学位課程を設けようということですが、これは当然法改正をされるということですね。それはいつごろなさるのか、見通しとしてはどのぐらいの時期を考えておられるのですか。
▲ 見通しは、この法科大学院を意見書通りにスタートさせ、16年4月に学生受け入れとなりますと、遅くともその前の12月までに設置認可をして入試をしてということになります。そうすると、15年の秋の一つ前の国会では通っていなければいけないわけですけれども、実際問題として周知期間も含めたりいたしますと、基本的な今の流れとしては、仮に秋に臨時国会があればそのときに間に合うようにということを考えております。
司法試験法の改正とどうしても連動してまいると思いますので、足並みをそろえていく必要があるのかなという感じがいたしておりますが、他方で「専門職大学院」(仮称)制度について、ほかに規制緩和を図っておりますし、その設置基準の弾力化と言いましょうか、そちらの方がいつごろを期限にやらなければいけないかという問題もありますので、両方考えながらということです。
○ 司法試験法の改正は、この秋に臨時国会があれば臨時国会でということで進められていると思うのですが、その際に受験資格を書き込まざるを得ないわけですね。そうしますと、法科大学院は「専門職大学院(仮称)」の一つなので、そちらの方もできるだけ早く固めていただいて、必要な法令上の手当てをする必要がある。設置基準も早く確定していただかないと、準備期間が今から考えてもかなりきついのです。
やはり司法試験法と文部科学省関連の法令を足並みをそろえて一緒に整備していただかないと、ほかの関連もあるというのはよくわかるんですが、少なくとも法科大学院については一緒にやっていただかないと、現実問題として、設定されている時期に立ち上げるのは難しいと思うのです。
▲ 学校教育法の法改正につきましては、新司法試験法より早まることはあっても遅れることはないと思います。遅くとも同時期に改正するつもりでございます。
○ それを伺って安心しました。
□ よろしゅうございますでしょうか。時間も超過いたしましたので、本日はここまでといたします。