■ 予備試験についても、法律で定めておくことが必要と考えられる事項がある。これまでの議論を踏まえ、予備試験は、法科大学院修了者と同等の学識・能力・(法律に関する)実務に必要な基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式試験、論文式試験及び口述試験により行うこととし、試験科目については、短答式試験では、基本六法、行政法及び一般教養科目、論文式試験では、基本六法、行政法、一般教養科目及び法律実務基礎関連科目、口述試験では、公法系科目、民事系科目、刑事系科目及び法律実務基礎関連科目とする方向で検討している。なお、最終的な規定振りについては、法制面で更に検討する必要がある。
○ 法律実務基礎関連科目とは、具体的にはどのようなものを考えているのか。また、基本六法のほか、行政法を試験科目とする趣旨は何か。
■ 予備試験は平成23年ころから実施される予定であり、法律実務基礎関連科目の内容は、その時点で法科大学院で行われている法律実務基礎科目であって、試験になじむものとすることが考えられるが、例えば、具体的な法律の知識を離れた、リーガル・ライティングのようなものが考えられる。また、予備試験の口述試験では、法的推論能力や口頭表現能力を試すことが考えられる。行政法については、公法系科目として、行政法が組み込まれていることから、予備試験でも試験科目とすることを検討しているものである。
○ 事務局の説明では、予備試験を設ける趣旨が現れていない。予備試験の目的等に、司法制度改革審議会意見の趣旨を盛り込む必要があるのではないか。
■ 予備試験の目的を規定した場合、それが試験の内容や合否判定に関係するのかという法制上の問題がある。試験内容や合否判定に関係しないのであれば、敢えて盛り込む必要はないということにもなる。
○ 法科大学院に進学できない者や社会的経験を有する者に法曹資格取得の途を確保することが予備試験の趣旨であるなら、例えば、各自の社会的経験に基づくレポートの作成を試験に加え、社会的経験のない者を排除することが考えられるのではないか。
○ 考えられる案ではあるが、予備試験は国家試験であることから、客観的な評価が可能かという問題があるのではないか。
■ 法律実務基礎関連科目の中で、社会的経験に基づく能力・素養を問うことは可能であると思われるが、法科大学院の修了者と同等の能力等を判定するのが予備試験の目的であるとすれば、それ以上の能力を問うことには問題があろう。
○ 例えば、「社会的経験等を通じて法科大学院修了者と同等の能力を備えているかどうかを判定する」とすればよいのではないか。
○ 社会的経験等が試験内容や合否判定に影響しないのであれば、敢えて加える意味があるのかという問題があり、他方、これに意味を持たせるとすれば、客観的に判定することができるのかという問題がある。
○ そのような能力は、口述試験の法律実務基礎関連科目で判定するほかないのではないか。
○ 口述試験で、例えば、交渉能力や事情聴取能力等を問うことが考えられる。これらの能力は、社会的経験の有無によって差異が生じるものである。
○ 法科大学院のロイヤリングという科目では、面接・交渉の技術を教育することになる。リーガル・ライティングだけだと、受験勉強で対応できることになる点が問題ではないか。事務局の説明するような形で制度設計すると、実質的には、予備試験が現行司法試験の残存となってしまうのではないか。
○ 書式の教育ではなく、法律家らしい論理的で説得的な文章の作成を教育する、質の高いリーガル・ライティングは、受験勉強では対応できないのではないか。
○ 専門職責任(法曹倫理)は法科大学院では必修科目とされるのだから、法律実務基礎関連科目の中に入れるべきではないか。
□ 専門職責任などと具体的に明示するのではなく、法科大学院で教育される実務基礎科目について、社会的経験に基づいてこれと同等の能力を有しているかを判定することになるのではないか。
○ 予備試験が行われる時期には、法科大学院で実務基礎科目が9単位行われ、専門職責任についても教育内容や教材が確立していると見込まれるので、試験科目に入れるべきではないか。
○ 専門職責任は、新司法試験の本試験の試験科目にするかどうかという議論をしてきた。専門職責任は社会的経験と必ずしも結び付くものではなく、これを予備試験で問う場合には、受験者は予備校で勉強することになるのではないか。アメリカの専門職責任の試験でも、倫理規定の覚え込みの問題が指摘されている。
○ 本試験で専門職責任を試験科目としないのなら、予備試験で問うべきではないか。
□ 予備試験の法律実務基礎関連科目は、法律実務に関する基礎的素養をトータルで判定するものであり、必ず専門職責任を問うとか、必ずリーガル・ライティングを問うというものではないのではないか。
○ 事務局の説明では、法科大学院と予備試験が並列であるとの印象を受けるので、予備試験の目的や、社会的経験に基づく能力を問うことを明示することは考えられないか。
■ 法制的な問題も含めて、更に検討したい。
○ 社会的経験については、一般教養科目の中でも問うことができるのではないか。
□ 予備試験については、法律で規定すべき事項は、基本的には事務局から説明があった程度ではないかと思われるが、本日の議論を踏まえ、更に立案作業を進めていただくこととする。