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法曹養成検討会(第8回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり


1 日時
平成14年6月4日(火)10:30〜12:55

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)

(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 新司法試験の在り方について
(2) 新司法修習の在り方について
(3) 法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方について

5 配布資料
資料 法曹養成検討会(第7回)議事概要
6 議事
(□:座長、○:委員、■:事務局)
(1) 新司法試験の在り方について
 新司法試験の在り方について、事務局から前回までの議論を踏まえた検討状況の説明がなされた後、意見交換がなされた。
 a) 新司法試験の試験科目について
■ 短答式試験については、公法系科目、民事系科目及び刑事系科目を、論文式試験については、公法系科目、民事系科目、刑事系科目及び選択科目(1科目)をそれぞれ試験科目とする方向で検討している。なお、どのような科目を選択科目とするかについては、法科大学院における具体的なカリキュラム編成等を待って、新しい司法試験管理委員会(以下「新委員会」という。)の意見を聴いて決定されるべきであると考えている。

○ 選択科目については、法令上はどのように規定されるのか。

■ 法制面の検討がなお必要であるが、将来的にも法科大学院の教育内容を踏まえて柔軟に対応するという観点からは、法律ではなく、省令等に規定する方向で検討している。

○ 選択科目を設けるなら、多様な法曹の養成が阻害されることのないように、できるだけ広い範囲から多くの科目を設けるべきである。実際に選択するのは1科目が適当である。

□ 選択科目とするための条件については、どのように考えるか。

○ 選択科目は、できるだけ幅広い分野から選択できるようにすべきである。各分野の学会等から、法科大学院のカリキュラム案や司法試験問題のモデル案等を提出してもらうことも考えられるのではないか。また、法律ごとの縦割りの科目ではなく、事象をとらえた横断的な科目とすることも考えられるのではないか。選択科目は、法律よりも省令等で規定し、機動的に対応するのが適当であろう。

○ 受験生の負担を考えると、1科目を選択させるのが適当と思われる。出題の範囲や難易度の点で、どの科目を選択するかにより不公平とならないようにする必要があり、また、受験生が特定の科目に集中すると、それが法科大学院の教育にも影響を及ぼす可能性もある。選択科目とするには、全国的に相当数の法科大学院で授業が行われていることが必要であろうし、ある程度広がりのある領域を対象とすることが必要ではないか。

○ 選択科目の範囲を幅広くすることは賛成であるが、必須科目の範囲と重複する場合には、受験生の間で不公平が生じるのではないか。

○ 必須科目の範囲は法律で規定されるのか。

■ 例えば、公法系科目については、法律では、憲法又は行政法に関する分野というような形で規定した上、省令等で更に出題の範囲を定めるということが考えられる。

○ 融合問題の出題は可能なのか。法曹倫理は試験科目に入るのか。

■ 現案でも、公法系、民事系、刑事系という範囲での融合問題の出題は可能である。法曹倫理については、法科大学院における教育内容等を踏まえ、新委員会で検討するというのが、本検討会のこれまでの議論の整理である。

○ 本検討会では、選択科目について、個別の科目を議論するのではなく、法科大学院において全国的に授業が行われており、社会のニーズが高いなどのような、選択科目とするための基準について議論すべきではないか。

○ 受験生への告知という点からは、一定の教育内容が制度化されている必要があるのではないか。

□ 個別の法律でなくても、学問領域が制度化されていれば、試験科目とすることになじむと思われる。

○ 短答式試験については、基礎的理解を問うのであれば、範囲をもっと限定してもよいのではないか。

□ その点は、試験の実施に当たって具体的に検討することとなろう。新司法試験の試験科目については、本日の議論も踏まえて、冒頭に事務局から説明があったようなものとする方向で立案作業を進めてもらうこととしたい。

 b) 新司法試験のスケジュール等について

■ 新司法試験のスケジュール等については、これまでの議論を踏まえ、毎年8月末ないし9月初めころまでに司法試験の最終合格者を発表し、年内に司法修習を開始することを目指す方向で検討しており、そのために、例えば、@短答式試験と論文式試験を同時期(5月)に実施し、受験者全員に両試験を受験させる(両試験は異なる能力を判定するものであることから、そのいずれかについて一定の成績に達しなかった者は最終的に不合格とする。)、Aこれらの方策を講じてもなお受験者が多数に上り、9月初めころまでに最終合格発表を行うことが不可能となる事態に備えるため、新委員会において考査委員の数や採点期間を考慮して、あらかじめ一定人数を定め、受験者数がこれを超えた場合には、短答式試験の合格者につき、論文式試験の成績に基づいて最終的な合否を判定できるものとする(短答式試験の不合格者については、論文式試験の答案を採点しないことができることとする。)ことが考えられる。なお、最終的な規定振りについては、法制上の観点から更に検討する必要がある。

○ 法科大学院修了から司法修習開始までの期間として許容されるのは半年程度であり、司法修習は10月に開始すべきではないか。司法修習開始までの期間が長くなっては、修習期間を短縮しても、全体としての養成期間が長くなってしまう。司法試験の合格発表が8月末の場合でも、合格発表前に修習地の希望を提出させるなどの工夫により、10月から司法修習を開始することが可能ではないか。

○ 司法修習の開始時期は、実現可能性との関係もあり、関係機関の努力を前提に、どの時期に設定することが可能かという問題であって、それらに関係なく設定する性質のものではないのではないか。

○ 現行制度での事務作業を前提とするのではなく、10月開始という目標を立てて努力すべきではないか。時期を設定しないと、努力しないのではないか。

■ 事務局としても、関係機関と協議し、どのような条件が整えば、司法修習の開始時期をどこまで早めることができるのかを検討することとしたい。

○ 司法修習の開始時期を早めるためのアイデアとして、試験等に関する事務において、書類を提出させることを止め、オンライン化することも考えられるのではないか。

○ 短答式試験と論文式試験のいずれかについて一定の成績に達しなかった者は最終的に不合格とするというが、「一定の成績」とは、どのようにして決めるのか。

■ 新委員会、あるいは、考査委員の合議で決めることになると思われる。

○ 短答式試験と論文式試験とでは、その機能や判定すべき能力が異なるので、両試験のそれぞれについて一定水準を要求することは合理的であると考える。また、事務局の案は、可能な限り段階的選抜をせずに、論文式試験の答案を採点しようとするものであり、(上記の)@の水準とAの水準に多少の上下があっても、基本的な考え方は一貫しているのではないか。

○ @の一定水準を、事前に決めておくのであれば合理的であると思うが、受験者数によって決める場合には、Aの場合と変わらないのではないか。

○ 毎年の出題の難易度によってその水準は上下することがあり得るので、6割、7割というように事前に決められるものではない。また、短答式試験と論文式試験の成績を組み合わせて評価し、両者の比重を決めることができる余地を残しておくのがよいのではないか。

○ 現在の短答式試験は、パズル的な問題で落とすための試験になっているのが問題であるが、必要な知識、能力を問う短答式試験にするのであれば、一定水準以下の者を不合格とすることは合理的であろう。

□ 事務局の案は、短答式試験と論文式試験のいずれかが一定水準以下の者は不合格とすることを前提としつつ、なるべく多くの受験者の論文式試験の答案を採点しようとするものであるが、合理的な期間内に採点を終える必要がある点も考慮するものである。司法修習の開始時期ができるだけ早いことが望ましいという点では異論はなく、本日の議論を踏まえ、関係機関等が努力してもなお論文式試験の採点に支障が出る場合に備えて、採点態勢の整備や採点期間を考慮してあらかじめ定める一定数を受験者数が超えた場合には、短答式試験の合格者について論文式試験の成績に基づいて最終的な合否を判定することもやむを得ないという方向で検討を進めることとしたい。

○ Aについては慎重に検討すべきである。短答式試験で知識を問い、一定水準以下の者を不合格とすることは合理的といえるが、受験者数によって方法を変えることは、現在の司法試験と同じ問題を残すこととなりかねない。

□ その意見も踏まえて、更に検討を進めることとする。

 c) 予備試験について

■ 予備試験についても、法律で定めておくことが必要と考えられる事項がある。これまでの議論を踏まえ、予備試験は、法科大学院修了者と同等の学識・能力・(法律に関する)実務に必要な基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式試験、論文式試験及び口述試験により行うこととし、試験科目については、短答式試験では、基本六法、行政法及び一般教養科目、論文式試験では、基本六法、行政法、一般教養科目及び法律実務基礎関連科目、口述試験では、公法系科目、民事系科目、刑事系科目及び法律実務基礎関連科目とする方向で検討している。なお、最終的な規定振りについては、法制面で更に検討する必要がある。

○ 法律実務基礎関連科目とは、具体的にはどのようなものを考えているのか。また、基本六法のほか、行政法を試験科目とする趣旨は何か。

■ 予備試験は平成23年ころから実施される予定であり、法律実務基礎関連科目の内容は、その時点で法科大学院で行われている法律実務基礎科目であって、試験になじむものとすることが考えられるが、例えば、具体的な法律の知識を離れた、リーガル・ライティングのようなものが考えられる。また、予備試験の口述試験では、法的推論能力や口頭表現能力を試すことが考えられる。行政法については、公法系科目として、行政法が組み込まれていることから、予備試験でも試験科目とすることを検討しているものである。

○ 事務局の説明では、予備試験を設ける趣旨が現れていない。予備試験の目的等に、司法制度改革審議会意見の趣旨を盛り込む必要があるのではないか。

■ 予備試験の目的を規定した場合、それが試験の内容や合否判定に関係するのかという法制上の問題がある。試験内容や合否判定に関係しないのであれば、敢えて盛り込む必要はないということにもなる。

○ 法科大学院に進学できない者や社会的経験を有する者に法曹資格取得の途を確保することが予備試験の趣旨であるなら、例えば、各自の社会的経験に基づくレポートの作成を試験に加え、社会的経験のない者を排除することが考えられるのではないか。

○ 考えられる案ではあるが、予備試験は国家試験であることから、客観的な評価が可能かという問題があるのではないか。

■ 法律実務基礎関連科目の中で、社会的経験に基づく能力・素養を問うことは可能であると思われるが、法科大学院の修了者と同等の能力等を判定するのが予備試験の目的であるとすれば、それ以上の能力を問うことには問題があろう。

○ 例えば、「社会的経験等を通じて法科大学院修了者と同等の能力を備えているかどうかを判定する」とすればよいのではないか。

○ 社会的経験等が試験内容や合否判定に影響しないのであれば、敢えて加える意味があるのかという問題があり、他方、これに意味を持たせるとすれば、客観的に判定することができるのかという問題がある。

○ そのような能力は、口述試験の法律実務基礎関連科目で判定するほかないのではないか。

○ 口述試験で、例えば、交渉能力や事情聴取能力等を問うことが考えられる。これらの能力は、社会的経験の有無によって差異が生じるものである。

○ 法科大学院のロイヤリングという科目では、面接・交渉の技術を教育することになる。リーガル・ライティングだけだと、受験勉強で対応できることになる点が問題ではないか。事務局の説明するような形で制度設計すると、実質的には、予備試験が現行司法試験の残存となってしまうのではないか。

○ 書式の教育ではなく、法律家らしい論理的で説得的な文章の作成を教育する、質の高いリーガル・ライティングは、受験勉強では対応できないのではないか。

○ 専門職責任(法曹倫理)は法科大学院では必修科目とされるのだから、法律実務基礎関連科目の中に入れるべきではないか。

□ 専門職責任などと具体的に明示するのではなく、法科大学院で教育される実務基礎科目について、社会的経験に基づいてこれと同等の能力を有しているかを判定することになるのではないか。

○ 予備試験が行われる時期には、法科大学院で実務基礎科目が9単位行われ、専門職責任についても教育内容や教材が確立していると見込まれるので、試験科目に入れるべきではないか。

○ 専門職責任は、新司法試験の本試験の試験科目にするかどうかという議論をしてきた。専門職責任は社会的経験と必ずしも結び付くものではなく、これを予備試験で問う場合には、受験者は予備校で勉強することになるのではないか。アメリカの専門職責任の試験でも、倫理規定の覚え込みの問題が指摘されている。

○ 本試験で専門職責任を試験科目としないのなら、予備試験で問うべきではないか。

□ 予備試験の法律実務基礎関連科目は、法律実務に関する基礎的素養をトータルで判定するものであり、必ず専門職責任を問うとか、必ずリーガル・ライティングを問うというものではないのではないか。

○ 事務局の説明では、法科大学院と予備試験が並列であるとの印象を受けるので、予備試験の目的や、社会的経験に基づく能力を問うことを明示することは考えられないか。

■ 法制的な問題も含めて、更に検討したい。

○ 社会的経験については、一般教養科目の中でも問うことができるのではないか。

□ 予備試験については、法律で規定すべき事項は、基本的には事務局から説明があった程度ではないかと思われるが、本日の議論を踏まえ、更に立案作業を進めていただくこととする。

 (2) 新司法修習の在り方について

 司法修習の期間と給費制の在り方について、意見交換がなされた。
 a) 司法修習の期間について
□ 新たな法曹養成制度では、法曹資格を取得するまでの期間が全体として長くなるので、司法修習の期間を短縮すべきではないかということが問題となり、また、これまでの司法修習の一部に相当する部分を法科大学院が担当すべきであることに照らしても、修習期間を短縮することが可能ではないかと思われる。この点についての法曹三者の意見をうかがいたい。

(法務省) 現在の1年6か月の修習期間の維持にこだわるものではないが、実務法曹としての最低限の能力を身につけさせるためには、最低でも1年間の司法修習が必要ではないかと考えている。

(日本弁護士連合会) 日弁連としての最終見解ではないが、法科大学院の完成期には、現在の前期修習に相当する部分は法科大学院で行われることになると考えている。後期修習については、二回試験の有無とも関連して、その目的について検討する必要がある。4分野の実務修習は必要であり、実務修習の意義の大きさからすれば、一定の期間が必要であり、弁護修習については3か月程度は必要ではないかと考えている。修習期間全体としては、1年あるいは1年2か月程度までは短縮できるのではないかと考えている。

(最高裁判所) 先程座長が指摘された事情をも踏まえて検討していただきたい。最高裁判所としては、各方面からの修習期間短縮の議論も視野に入れて検討しており、修習期間を短縮することも可能であろうと考えている。

○ 最高裁判所としては、どの程度の修習期間が適当と考えているのか。

(最高裁判所) 教育の在りように絶対というものはないが、法曹養成制度全体を考えると修習期間は1年程度が妥当ではないかという議論はあり、これについては、1年程度でも新司法修習を効果的に実施できると考えている。

○ 全体の養成期間を考えると、修習期間が1年以上というのは長すぎ、他方、1年以下では短いのではないかとも思われ、結論的には1年程度が妥当ではないか。1年間の修習期間の割り振りについては、法曹三者をその内側から見ることのできる分野別の実務修習は司法修習の中核として重要であり、それぞれ2か月程度は必要ではないか。集合修習については、法科大学院で実務への架橋の教育が行われることや、継続教育との役割分担を考えると、司法修習では、法曹としてのスタートラインに立つことのできる能力を養成すればよく、知識を教育するための集合修習は必ずしも必要ではなく、法曹となるためのオリエンテーション的なもので十分なのではないか。その時期も、司法修習期間のどの段階で行ってもよいのではないか。

○ 教育効果は、教育の期間だけでなく、教育の内容、順序、方法、教材、教育する側の能力、学ぶ側の態度によって決まるものであり、法科大学院で意欲的に勉強し、新司法試験に合格してきた者であれば、司法修習のノウハウを活用して1年程度教育すれば、法曹としてのスタートラインに立つことのできる能力を養成することは可能であろう。また、集合修習については、法律実務に関する理論的教育や水準の均質化を行うことが必要であり、集合修習の意義が認められるので、工夫を加えつつ維持すべきである。

○ 司法修習の開始時期にも関連するが、修習期間を1年2か月程度として、3月末に終了するようにすることも考えられるのではないか。前期修習に相当する教育を法科大学院で実施することについては、法科大学院の教育の実効性が試されるものと考えており、各法科大学院の努力と工夫が必要であろう。

○ アメリカと比較しても、実務修習は良い制度であり、単なる見学にならないような、意味のある実務修習を行うことが必要であり、そのための最低期間を確保すべきである。これが2か月程度であるなら、全体の修習期間は1年程度となろう。

○ 法科大学院が完成する時期でも、現在の前期修習と全く同じ内容を法科大学院で行うことはできないし、法科大学院の教育の多様性に照らせば適切でもない。完成期と法科大学院が実務教育の力をつけるための移行期間とは別に考えることもでき、修習期間を1年にすることを目指して、段階的に短縮することも考えられるのではないか。

○ 実務修習が重要であり、その期間が短いと単なる見学になってしまう。4分野を同じ期間とすることについても検討する必要があるのではないか。弁護士会では、弁護修習については、最低でも現在と同じ3か月程度が必要であるとの意見も強い。

○ 検察修習についても、取調べ修習等を十分に行うためには、修習期間は3か月程度を希望する。また、全体の修習期間は1年ないし1年2、3か月が適当と思うが、実務修習への導入教育を全くなくすわけにはいかないのではないか。検察修習について考えると、司法修習生にまだまだ未熟であることを自覚させないと、実務修習で被害者等の事件当事者とのトラブルを起こすことも懸念される。

□ 本日の議論を踏まえ、全体の養成期間の長期化や、法科大学院での実務教育や法曹資格取得後の継続教育との役割分担等を考慮すると、移行期間の問題はあるものの、修習期間を1年程度に短縮する方向で、関係機関において検討していただきたい。

 b) 給費制の在り方について

○ 給費制については、予算面の制約、エリートに手厚いのではないかという国民感情、他の高度専門職の養成プロセスとのバランスといった点を考慮すると、給費制をそのまま維持するのは困難であり、修習期間中の生活の問題も考慮し、貸与制とすることが考えられるのではないか。他方、法科大学院についても、学生に対する支援が必要であり、司法修習生の給費制については、法科大学院に対する補助金や学生への奨学ローン等の問題と一括して検討する必要があるのではないか。法曹養成制度改革は大きな司法を目指す司法制度改革の一環として行われるプロジェクトであり、人材面でも財政面でも大胆な資源投入をすべきである。

○ 法科大学院と司法修習というプロセスが制度化することになるのだから、これらを一括して検討し、長期間の負担を軽減するための経済的な下支えの制度を作るべきである。法曹となる者は、将来の支払能力が期待できるので、貸与制が適当ではないか。

○ 教育ローン等で法科大学院修了時に1,000万円近い借金を負う学生が出ることも予想され、しかも、法科大学院修了から司法修習開始までの期間は無収入であり、さらに、司法修習期間中も貸与制で借金を負うということになると、経済的に余裕のある者しか法曹になることができないようなシステムとなってしまうので、慎重に検討すべきである。

□ 給費制の在り方について、法曹三者はどのように考えているのか。

(法務省) 給費制の在り方については、本検討会で、法科大学院の学費、奨学金制度、司法修習の期間や内容等を踏まえ、法曹養成制度全体の在り方の中で検討していただきたい。

(日本弁護士連合会) 給費の額については検討することがあり得るとしても、給費制はできる限り維持すべきであると考えている。良い人材が社会のあらゆる階層から法曹界に参入できるようにすべきであり、弁護士が各種の公益活動をいわばボランティア的に行っていることも、給費制を維持すべき理由となると考える。

(最高裁判所) 給費制の在り方については、法曹養成に関する国家的な財政支援の在り方、法曹となるべき者の経済的負担、司法修習の内容・期間等の点から、本検討会で多角的に検討していただきたい。

○ 現在の給費の総額はどの程度なのか。

(最高裁判所) 給与及び諸手当等を含め、司法修習生約1,000人で、年間総額は約65億円である。

○ 年間養成数が3,000人になると単純計算でその3倍になるが、他の専門職種との関係等で、給費制を維持することに社会的合理性があるのかを検討する必要があるのではないか。もっとも、養成期間が長期化することを考えると、生活の問題も考慮する必要があろう。弁護士の公益活動については、これをしている弁護士としていない弁護士がおり、そのアンバランスが問題なのではないか。貸与制とした上で、一定の場合には返済を免除するなど、いろいろな方法が考えられるのではないか。

□ 給費制の在り方については、次回も引き続き検討することとしたいが、本日の議論を踏まえると、法科大学院を含めた法曹養成プロセス全体として検討すべき課題であり、また、貸与制等の代替措置の可能性も視野に入れて、給費制を見直すことの検討は避けられないのではないかと思われる。

(3) 法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方について

■ 本検討会でのこれまでの議論では、司法試験の受験資格の観点からのミニマム・スタンダードに適合しているかどうかを判定する機関は全国で一つに限ることが望ましいとされているが、法令上もこれを一つに限ると規定すべきかどうかについて更に検討していただきたい。なお、法令上は複数の機関があり得るとする場合には、受験資格の認定の統一性をどのように確保するかが問題となる。

○ 評価機関は、複数存在して競争するのが望ましいと考えるが、受験資格の認定の統一性については、主務大臣が評価機関の評価を踏まえて認定するということが考えられる。

○ 評価機関を法令上一つに限ることには反対であり、一定の要件を満たす機関を複数認めることとすべきである。司法試験の受験資格の認定については、いわゆるJDに相当する専門職学位を取得した者に受験資格を認めることとし、学位を授与できる法科大学院であるかどうかにつき、第三者評価機関の適格認定を反映させた行政処分を主務大臣が行うこととするのが適当であり、その場合の主務大臣は、学位の授与に関することなので文部科学大臣となろうが、司法試験の受験資格にも関連することから、法務大臣の意見を聴くことも考えられよう。

○ 評価機関を複数にした場合は、評価のばらつきが生じることや、多くの法科大学院が評価の厳しくない評価機関に流れるのではないかという問題点も指摘されてきたが、評価機関が法令上複数あり得るものとする場合には、このような問題はどうなるのか。

■ 具体的には今後検討するが、例えば、受験資格の認定基準を法令上規定し、評価機関が評価を行うこととした上で、最終的に主務大臣が何らかの形で関与するということなどが考えられる。

○ 評価の厳しくない評価機関に流れるという問題については、第三者評価機関を認可する際に厳格に審査することが考えられる。また、複数の評価機関が評価を行うようになれば、質の高い評価機関の適格認定を受けないと社会的に認められないというようなトレンドができるのではないか。

○ 国家試験との関係で評価機関を格付けするようなことはできず、主務大臣は、評価機関としての認可を取り消すか、どの評価機関の適格認定も同じように扱うかのいずれかしかないのではないか。受験資格の認定を最終的に主務大臣が行うとすれば、第三者評価機関から相当程度独立した判断をするようなことも考え得るが、その場合、大学は二重に審査を受けることとなる。なお、先程、主務大臣を文部科学大臣とするという意見があったが、司法試験の受験資格に関することであり、主務大臣を法務大臣とすることや、両大臣の共管とすることも考えられるのではないか。

○ 質の低い評価機関に流れる不都合については、認定についての要件をきちんと定め、き束性を高めることが考えられるのではないか。

○ 大臣から直接チェックを受けるようなスキームは、教育機関である大学には適当ではなく、第三者評価を通じてチェックを受けるのが望ましいのではないか。

□ 評価機関が複数ある場合の主務大臣の関与の仕方は、大学にとっても重要な問題であり、本日の議論を踏まえて、事務局で、関係機関と調整しながら更に検討してほしい。

○ 評価基準においては、司法試験の合格実績等も含め、アウトプットとしての学生の質を評価するものとすることが必要ではないか。

7 今後の予定

 次回(6月28日 10:30〜12:30)は、本日に引き続き、各論点について検討することとなった。
 また、8月以降の法曹養成検討会の開催日程について、次の日時に開催することとなった。
第11回 8月28日 14:00〜16:00
第12回 9月30日 14:00〜16:00
(以上)