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法曹養成検討会(第9回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり


1 日時
平成14年6月28日(金)10:30〜12:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)
田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)

(説明者)
小早川光郎・東京大学法学部教授

(事務局)
山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、古口章事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1) 新司法修習の在り方について
(2) 法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方について
(3) 新司法試験の在り方について
(4) 法科大学院における公法系教育の在り方等について

5 配布資料
資料1 法曹養成検討会(第8回)議事概要
資料2 第三者評価と司法試験の受験資格との関係(案)
資料3 新司法試験の在り方について(意見の整理)(修文案)

6 議題
・ 法科大学院における公法系教育のあり方等について(中間まとめ)

7 議事

(□:座長、○:委員、■:事務局)
 (1) 新司法修習の在り方について
(最高裁判所) 現在、司法試験の合格発表から司法修習の開始までに行っている事務の概要は、合格発表後約1週間で司法修習生の採用申込みを受け付け、申込者の希望を中心に、家庭状況、健康状況、住宅状況等の個別事情を勘案して、実務修習地の内定案を作成する。その後、1月上旬に、採用面接を行い、実務修習地決定のための個別事情の聴取のほか、兼業関係の有無、健康状態等を聴取する。そして、2月上旬に、司法修習生採用内定通知とともに、内定した実務修習地を通知するが、ここまでの事務に約3か月間を要している。その後も、クラス編成や給与、共済組合関係の事務等を行っている。今後、司法修習開始までの期間の短縮について、事務の大幅な合理化など、鋭意検討していきたいが、司法修習生にとって実務修習地は極めて関心の高いところであり、また、実務修習期間中の住居確保のための準備期間も必要となり、これらの点も考慮して検討を進めたい。司法修習の期間については、前回の本検討会での議論も踏まえ、法務省、日本弁護士連合会とも連携をとりながら、鋭意検討を進めている。

○ 司法修習の期間を1年程度に短縮することには反対しないが、司法研修所では、経験豊富な裁判官、検察官、弁護士が教官となり、教官室で綿密な合議をした上で、司法修習生に議論させながら、質の高い教育が行われている。今後も、このような質の高い教育を維持してほしい。実務修習については、単なる見学とならないように、一定の期間を確保すべきである。また、司法制度改革審議会意見(以下「審議会意見」という。)でも提言されているように、法曹相互の信頼感と一体感の確保が重要であり、これを育む場としては、裁判官、検察官、弁護士となる者が一緒に学ぶ司法修習が最適であり、新しい司法修習においても、その意義を十分考慮すべきである。

(日本弁護士連合会) 司法修習生に対する給費制は維持すべきである。新しい法曹養成制度では、社会のあらゆる階層から多様な人材を受け入れ、国民の社会生活上の医師としての法曹を養成すべきであるところ、法科大学院の学費等に加え、司法修習生に対する給費制が廃止された場合には、費用負担が合計1,500万円以上にもなるとの試算もあり、一般世帯にとって大きな経済的負担となるほか、社会人等の参入を阻害するおそれがある。また、審議会意見では、弁護士の公益的活動の重要性等が提言されているが、このような大きな経済的負担を伴う場合には、公益的活動よりも、弁護士となって高収入の法律事務所を選ぶ者が多くなるのではないか。給費制のみを独立に検討するのではなく、法曹養成制度全体の中で、どのようにすれば、期待される法曹を養成できるかという観点から考えるべきである。

□ 現在の給費制と同じものを維持することを前提として考えているのか。

(日本弁護士連合会) 現在の給費制とまったく同じものを維持すべきと考えているものではないが、奨学金等、法科大学院の具体的な制度設計が明らかになっていないので、現在の給費制を前提に検討しているところである。

○ 法曹志望者だけの立場ではなく、国民の視点から納得が得られるかという点について、どのように考えているのか。

(日本弁護士連合会) 審議会意見が想定する法曹をどのように養成するかという観点から検討すべきであり、経済的な支援制度が充分でない場合には、良い人材は来ないのではないか。相当額の司法予算を投入すべきではないか。

○ 法曹を志す者は苦学生ばかりでなく、また、高収入の弁護士を志望する者があることは事実であり、養成システムが大きく変わるときに、給費制をそのまま維持することに説得力があるかという点が問題ではないか。

○ 戦前は有給の司法官試補と無給の弁護士試補に分けられていたものが、戦後、有給の司法修習生に統合されたが、給費制は、国選弁護等、弁護士の公益性が根拠とされていた。司法修習の第1期では約9割が裁判官又は検察官に任官したのであり、現在の司法修習生の進路の割合とは大きく異なっている。また、法曹だけの立場からの議論で足りるのかという意見は謙虚に受け止める必要があり、法曹の公共性と言うが、それが実際に社会でどのように映っているかという点も考慮する必要があるのではないか。

(日本弁護士連合会) 地方の弁護士は、国選弁護や当番弁護士等の公益的活動を相当程度行っており、大都市でも、公益的活動を相当程度行っている弁護士は少なくない。このような弁護士の公益的役割を考慮すると、給費制を維持すべきである。

○ 公益的活動と給費制は論理必然の関係ではないのではないか。医師も公共的な存在であるが、国費で養成されているわけではない。

(日本弁護士連合会) 医師についても、研修医制度の義務化に伴い、労働の対価以上の額を公費から支給すべきであるとの計画を厚生労働省が検討していると聞いている。

○ アメリカでは、ロースクール修了後、公益的活動を行っている者については学資ローンの返済を免除する制度が普及しているので、このような方法が参考になるのではないか。最初から高収入の弁護士を目指そうとしている者に、公費で給与を支給することには疑問がある。

○ 司法制度を改革して司法の役割を拡充するという大きな視点から考えるべきではないか。より質の高い法曹をより多く養成する必要があり、経済的な障害が生じないような制度設計をするべきである。アメリカではロースクールを卒業後、すぐに司法試験を受けて就職することができるが、現在日本で検討中の制度は、法科大学院修了から司法修習開始までの空白期間ができてしまう。

○ 制度設計を総合的に考えると、法科大学院に予算を投入する場合に、司法修習生の給費制が現在と同じままでよいのかということが問われるのではないか。また、日本では、法科大学院の後に司法修習が必要であるとされているので、アメリカと単純に比較することはできないのではないか。

○ 法科大学院における教育ローンや奨学金制度等の制度が具体的に明らかになっていない点が問題である。

□ 本日の議論も踏まえ、司法修習生の給費制の在り方については、法科大学院を含めた法曹養成制度全体の中で、貸与制等の代替措置の可能性も含め、その見直しについて引き続き検討することとする。

 (2) 法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方について

 事務局から、配布資料2に沿って、法科大学院の第三者評価と司法試験の受験資格との関係について、考えられるスキーム案について説明がなされ、その後、次のような意見交換がなされた。

○ 第2案、第3案では、主務大臣は、文部科学大臣になるのか、法務大臣になるのか。

■ 現在の体系を前提とすると、設置認可は文部科学大臣が行うことになるが、第三者評価機関の認証は、法務大臣と文部大臣の両方が関与することもあり得ると考えている。

○ 第3案で、法令違反(設置基準違反)があれば、設置認可を取り消すことができるとしているが、設置基準の大綱化の流れからすると、設置基準違反になる場合は少ないのではないか。審議会意見で提言されている第三者評価の内容を、設置基準に反映させないと、第3案は実体のないものになってしまうのではないか。

(文部科学省) 設置基準については、現在、中央教育審議会で検討されているが、中間報告では、成績評価の厳格性や入学者選抜の公平性等を盛り込み、通常の設置基準に比べて詳しい内容とする方向で検討されている。第三者評価で不適格と認定された場合には、設置基準を満たしているかどうかを調査することが考えられる。また、改善勧告や設置認可の取消し等の手続を整備することを検討している。

○ 不適格認定を契機として設置認可を取り消すというが、そのためには、設置基準を詳しい内容とする必要があり、設置基準の大綱化との整合性がとれないのではないか。また、成績評価の厳格性は、設置認可の時点では判断できないのではないか。

■ 設置基準は、設置認可の際の基準のみならず、法科大学院として存続するために満たすべき基準でもあり、事後的に設置基準に照らして設置認可を取り消すことも考えられる。

(文部科学省) 第三者評価に関する情報が公表されれば、不適格とされた法科大学院に関する情報が社会に明らかになるであろうし、また、その情報等を判断材料として、設置基準の大綱化の下でも、これを満たしているかどうかを判断することができると考えられる。

○ これまでの検討では、設置基準は最低限の基準であり、第三者評価基準はこれよりも高い基準ということであったが、どのような場合に、設置認可が取り消されることになるのか。

■ 第3案は、不適格とされた法科大学院の質が、存続を許し難いような、つまり、受験資格を認めがたいほどである場合には、国が設置基準に照らして判断するという考えである。

○ 設置のための基準と存続のための基準という両面があるということであるが、設置基準の大綱化の点についても、教育機関としての性質に応じて考えることが可能ではないか。

□ 本日の議論を踏まえると、第三者評価が実質的に機能する仕組みや、設置認可取消しとの関係について、これまでの本検討会での検討の趣旨に反しないような制度設計を検討する必要がある。

○ 法曹養成制度全体の問題として検討すべきではないか。法科大学院の教育水準の確保が単なる事実上のものにとどまるなら、司法試験の位置付けも変わってくるおそれもあり得るのではないか。

○ 適正な第三者評価がなされるとともに、これが何らかの形で担保される制度が必要である。第三者評価が緩くなるから、司法試験で選抜するほかないということになると、現在の司法試験と同じになってしまう。第3案でよいが、不適格認定から設置認可の取消しに至る制度をしっかりと作るべきである。

□ 適正な評価ができる第三者評価機関を作ることと、第三者評価の結果を設置認可の取消しに何らかの形で結びつけて、社会的な合意が得られるスキームを検討することが重要であろう。

○ 第三者評価が実際に機能し、法科大学院の淘汰に役立つということを、どのように示すかという問題ではないか。評価基準を厳格なものにするとともに、第三者評価は、7年ごとに行うというものではなく、例えば、司法試験合格率が極めて低いような事態を契機として、随時、教育内容までチェックし、設置基準を満たしていない場合には設置認可を取り消すということを示すべきではないか。質の悪い法科大学院が多数設置され、そこを修了したにもかかわらず、司法試験に合格できないという学生が多数出ることが危惧される。法制度としては第3案でもよいが、きちんと教育する法科大学院が生き残るシステムであることを発信すべきである。

□ その点については、各法科大学院の情報開示も重要であろう。

○ 第三者評価機関の認証が重要になるのではないか。認証のための基準についても、議論すべきではないか。

□ 認証の際に、各第三者評価機関が定める評価基準に、本検討会で検討した内容が盛り込まれていることをチェックする必要がある。

○ 第三者評価が十分機能し、国が設置認可を取り消さなくても、法科大学院が市場により選別されるようになることが望ましいのではないか。

○ 市場にゆだねると、結果的に、司法試験に合格しさえすればよいということにもなりかねないのではないか。

□ 第三者評価の在り方については、規制緩和や官民の役割分担等、様々な問題点があるが、第三者評価が適正に機能することを前提とすれば、第3案でも、審議会意見の趣旨を実現できると思われる。引き続き、事務局において検討してもらうこととする。

 (3) 新司法試験の在り方について

 事務局から、資料3は、本年3月末の「意見の整理」につき、その後の検討内容に照らして修文したものであるとの説明がなされ、次のような意見交換がなされた。

○ 新司法試験の実施時期を5月ころとするとあるが、司法修習開始までの期間を短縮するため、4月ころに実施することはできないのか。

■ 司法試験の受験資格に関して法科大学院の修了の事実を確認することや、法科大学院の最終試験から一定期間を置くことが必要となり、5月ころに実施するという案とした。

○ 論文式試験の採点期間は1か月程度集中して確保すれば足りるとの意見もあり、そうであれば、合格発表を8月初めころに繰り上げることもできるのではないか。

■ そのためには、考査委員となる大学関係者や弁護士が全体として協力することが必要になる。

□ その点については、大学関係者にも努力を求めたい。

○ 授業と併行して採点をすることは難しいが、検討する必要がある。もっとも、新司法試験の論文式試験の採点は、現在より時間がかかることも考えられる。

□ 資料3については、「毎年8月末ないし9月初めころまでに最終合格者を発表することを目指すこととする。」に、関係機関の協力を得て合格発表の時期を更に繰り上げるための努力をする旨を書き加えることとしたい。

○ 「3 新司法試験の試験方法」の(注)の3つ目については、2か所の括弧をいずれも外すべきである。

□ その2か所の括弧を削除することとする。本日は、このような形で整理することとする。

 (4) 法科大学院における公法系教育の在り方等について

 小早川光郎・東京大学法学部教授から、法科大学院における公法系教育の在り方等について、参考資料に沿って説明がなされ、次のような質疑応答、意見交換がなされた。

○ 試験範囲を個別の法律ごとではなく、事象ごとに設定しているほか、モデル問題も、唯一の正解を求めるものではないものとなっており、大変参考になる。他の分野でも、このようなモデル問題を作成していただきたい。

○ カリキュラムモデルの「基本的人権の基礎」と「公法総合III−基本的人権」とは、どのような点が異なるのか。

(小早川教授) 後者は、憲法訴訟における違憲審査の在り方という視点を重視している。前者の授業でも、判例を素材として、双方向的・多方向的な教育を行うことを考えている。

8 今後の予定

 次回(7月19日 14:00〜16:00)は、本日に引き続き、更に検討が必要な論点について検討することとなった。
(以上)