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社会保障国民会議
所得確保・保障(雇用・年金)分科会(第1回)
議事要旨

  1. 日時 平成20年3月4日(火)8時01分〜9時38分
  2. 場所 内閣府3階特別会議室
  3. 出席者
     岩村委員、岩本委員、岡本委員、小田委員、権丈委員、古賀委員、小杉委員、塩川委員、清家委員、中村委員、原委員、細野委員、宮島委員、宮武委員、山田委員、吉川委員(オブザーバー)
     内閣総理大臣補佐官(社会保障担当)
  4. 議事概要

    ○内閣審議官 定刻になったので、ただいまから社会保障国民会議所得確保・保障(雇用・年金)分科会を開催させていただく。委員の皆様方においては、大変御多忙にもかかわらず御出席いただき、ありがとうございます。
     本来、議事の進行は座長にお願いするところであるが、座長を選出いただくまでの間、暫時、進行を務めさせていただく。よろしくお願いする。
     なお、本日は水町委員から御欠席との御連絡をいただいている。それから、小田委員は若干遅れて来られるとの御連絡を受けている。細野委員も若干遅れている。
     それでは、開催に当たり、伊藤総理補佐官より一言御挨拶を申し上げる。
    ○内閣総理大臣補佐官(社会保障担当) 分科会の委員の皆様方においては、委員御就任を御快諾いただき、また、早朝から御出席を賜り、本当にありがとうございます。
     社会保障国民会議は、福田総理の、生活に密着した、そして現実感のある改革を進めていきたい、国民の皆様方にとって一番関心の深い社会保障の問題に正面から取り組んでいきたいという強い思いから設置されたと承知している。
     分科会においては、国民目線に立って幅広い視点から骨太の議論が期待されている。先週二つの分科会の議論がスタートした。分科会においては、各委員の先生方から現場に密着した、そして生の声を聞かせていただき、社会保障をめぐる様々な議論、重要な課題があるということを痛感した次第である。また、この会議に課せられている重要性を改めて認識したところである。
     本分科会においては、年金のあり方や雇用のあり方について、委員の皆様方に御議論いただくわけであるが、ぜひ活発な御議論を賜ることを心からお願い申し上げ、御挨拶に代えさせていただきたい。よろしくお願い申し上げる。
    ○内閣審議官 それでは、本分科会の座長を選出していただきたいと存ずるが、その前に、資料の確認をさせていただきたい。
     お手元に本日の議事次第、そのあと、資料1として、1月29日に開催された第1回社会保障国民会議の関係資料を入れている。資料1−7の議事要旨までが第1回の親会議の資料である。
     その次に、資料2−1として、この分科会の名簿。資料2−2として、この分科会の運営要領。資料2−3として、この分科会の議論の参考資料ということで用意したものを配付させていただいている。
     この分科会の運営であるが、先ほど御説明した資料2−2の運営要領に沿って進めていただいてはどうかと考えている。この運営要領の1で、「分科会の座長は、互選により決定する」という規定になっている。このため、委員の皆様方において座長の選出をお願いいたしたい。
     お諮りするが、いかがか。
    ○塩川委員 座長選任だが、専門の先生がお集まりだが、これを一番長いこと専門的に扱っておられる先生で、清家先生にお願いしてはどうだろうと思うが、いかがか。お諮りいただきたいと思う。
    ○内閣審議官 ただいま塩川委員から、清家委員を座長にという御提案があったが、いかがか。
    (異議なし)
    ○内閣審議官 それでは、御異議がないようなので、清家委員にこの分科会の座長をお願いいたしたい。
     それでは、清家委員、座長席に移っていただいて、今後の議事運営については、座長にお願いしたい。よろしくお願いする。
    ○清家座長 微力ではあるが、御指名なので、皆様の御協力を得て、この分科会を実りあるものにしていきたいと思う。どうぞよろしく御協力をお願いしたい。
     まず最初に、先ほど事務局から御紹介のあった運営要領について、何か御意見があるか。
    (異議なし)
     それでは、そのような形で進めさせていただく。
     早速だが、今お認めいただいた運営要領に基づき、議事を進めさせていただく。
     まず、今日は資料1の、第1回社会保障国民会議における総理の御挨拶の中でも触れておられた、社会保障国民会議の趣旨、あるいは、議論のテーマも踏まえて、委員の皆様方に順次御発言をいただきたいと考える。初めての機会でもあるので、自己紹介もかねて1人ずつ御発言いただきたい。
     これだけたくさんの方がいらっしゃるので、時間の制約もあることから、1人3分から5分以内ぐらいでお願いしたい。
     なお、五十音順でお願いすることになっているが、古賀委員は少し早めに御退席というふうに伺っているので、まず最初に、途中で退席される関係から、古賀委員から御発言いただき、その後、あいうえお順に御発言いただきたいと思う。
     では、古賀委員。
    ○古賀委員 連合で事務局長をやっている。どうしても外せぬ公務があり、そうは言っても9時30分か40分まではいられると思いうけれども、清家座長の御指名なので、一番最初に意見提起させていただきたいと思う。
     私からは大きく二つ意見提起をさせていただきたい。一つは、何よりも現状をもう少し分析、明らかにして、課題を浮き彫りにする必要があるのではないかということ。この分科会は「所得確保・保障(雇用・年金)」ということがテーマとなっており、安心して暮らし、豊かさを実感できる社会をつくるには、文字通り国民一人一人の生涯を通じた所得の確保・保障が何よりも重要だと思う。それは現役時代の安定した雇用と所得、そして、引退後の安心の年金の保障ということになるわけであるが、現在の年金制度は、100年安心の年金から、逆に不安とか不信が募っている、そんな状況ではないかと思う。
     一方、雇用・労働現場を見てみれば、雇用の流動化、あるいは、就業形態の多様化という名の下に、現在、非正規労働者が急激に増大している。働いても生活保護基準にも達しない、いわゆるワーキングプアが増大している。特に、就職氷河期と言われたときに就職できなかった層がそのまま年をとっていき、将来、生活保護者になる可能性が高い。また、2006年度の統計では年収200万以下の層が1,000万人を超えると。これらのほとんどが年金の未納・未加入になっているのではないかと思っている。国民年金第1号被保険者の半数が、本来であれば厚生年金に加入すべき労働者、パート労働者であるのに未納率が高いのは、こうした層がたくさんいるからではないかと考えているところである。安定した良質な雇用が確保されて、所得確保・保障がなければ、それが社会保障制度を支えきれなくなってきているというのが現状ではないかと思う。
     そういう意味では、現状と問題点、あるいは、課題というものをもう一回明らかにしなければならないのではないか。思いつくままに幾つかランダムに挙げさせていただくと、例えば2004年の年金改革で示されたモデル世帯が、今、国民全体のどれぐらいをカバーしているのか。二つ目には、雇用形態の変化とともに、今後所得代替率を50%以上保てる層がどれぐらいのゾーンになっているか。三つ目には、基礎年金しか保障されない低所得者の世帯の割合がどう推移していくのか。4つ目には、厚生年金の被保険者は増加しているが、所得の低下による標準報酬の低下というのが年金財政上にどんな影響を与えているのか。あるいは、生活保護水準以下の収入の世帯のうち、生活保護世帯の割合は何パーセントか等々、労働と年金、あるいは社会保障とのデータをリンクしながら、もう一度、課題や問題点を明らかにするところから議論を始めるべきではないかと思っている。
     大きな二つ目は、私が言うまでもないことだが、雇用・年金分科会ではあるが、社会保障というのは医療、介護、福祉すべてがトータルで関連することである。特に医療、介護保険料や自己負担金との関係とか、あるいは、障害者福祉や母子家庭支援、医療、介護、福祉などの政策が、所得政策と年金・雇用と密接不可分、従って他分科会との連携、あるいは、親会議での横断的な論議というのが重要ではないかと思っているので、その二つのことをまず提起、提案しておきたい。
    ○清家座長 岩村委員。
    ○岩村委員 東京大学法学部で社会保障法を教えており、もう一つ、労働法も研究という形でやっているという立場にある。所得の確保・保障ということで雇用・年金分科会に参加せよとお声をかけていただいて、なかなか大変な役割ではあるなと思っている。幸い今日、古賀委員に口火を切っていただいたので、何かしゃべれと言われても少し気が休まるが、そのままだとトップにしゃべらなくてはならなかったので、大変厳しかったなと思っている。
     先ほど総理補佐官からもこの会議の御趣旨についてお話があり、雇用と社会保障、特に年金についての「骨太」なりの一つの考え方を出すというのがこの分科会の基本的な役割であると伺ったところ。ただ、いろいろ考えてみると、社会・経済的な制約がどうしてもついて回るものであるから、とり得る政策の選択肢はそれほど多くはないのではないかと私自身は思っている。年金についてもそうであるし、雇用の部分についても、社会の混乱を避けるということを考えたときには、現実にとり得る政策の選択肢はそれほど多くないのかなと思っている。そうは言っても、何もしないというのは最悪の選択であるので、できるだけ混乱が生じないような形で、政策としてどういうものを選んでいけるのかということを少し冷静に議論していく必要があるのかなと思っている。
     もう一つあるのは、例えば年金についても、先ほど古賀委員が触れられたようにいろいろな問題があって、それに対する対処として、例えば年金の一元化とか、あるいは、基礎年金の税財源化というようこと、いろいろな形でプランというのが言われている。ただ、拝見してみると、同じ言葉を使っていても、皆さんがそれぞれ念頭に置かれている中身は必ずしも同じではないのではないかと思う。そういう意味では、それぞれのプランの中で言われていることの具体的な中身をある程度はっきりさせた上で、冷静な議論をする必要があるのではないかと思う。
     もう一つ、これも多分どこの国でも同じだと思うが、例えばこれこれというプランがあったとして、それがある問題に対する対応策として言われている場合であっても、そういうプランをとったとしてすべての問題がミラクルに解決できるというわけではないというのがほとんどだろうと思う。そういう意味でも、あるプランというもので対応できるのはどこの部分なのか、何が解決できて何が解決できないのかということについても、古賀委員もおっしゃいたが、データその他を使って冷静な議論をする必要があるのかなと思っている。
     雇用についても、例えばニートの問題とか高齢者雇用の問題についても、既に幾つかの政策が進行中である上に、新年度から新しい、例えばジョブカードとかいったようなものが進められるということになっている。そうすると、まず大事なことは、現在行われている政策なり、これから行われる政策で、一体どこまでができるということを考えた上で、そこから先どういったことを考えなければいけないかと、その辺もきちっとした評価と検証に基づいてこの先を議論というのを考える必要があるのではないかと思っている。
     甚だ抽象的で申しわけないが、現在のところ私が考えているところはそのようなところである。
    ○清家座長 岩本委員。
    ○岩本委員 私は、今、ニートや引きこもりと呼ばれている若者たちの支援をしている。私がこのような仕事をして14年になる。当時は不登校というよりも、「登校拒否」と呼ばれていた時代からずっと続いて若者たち、子どもたちと接してきた。私が今日ここに呼ばれたのは、そういう若者たちに一番近い立場だからかなと思っている。難しい言葉は出てこないが、若者たちの本音の部分がここに少しでも反映できたらいいなと思っている。
     私が感じるのは、14年前にかかわった若者たちはいわゆる学校に行けない、行かない子どもたちだったのだが、その問題と今のニート問題というのは別の問題ではなく、私がかかわった子たちは今も引き続きそういう生きづらさを持って生きている。そのときにはあまりいろいろな制度はなくて、何で学校に行かないんだということで、その時点で民間のいろいろな団体はあったが、ほとんど支援はなかったと思う。そのときにこぼれ落ちてしまった子どもたちが今もなお20代、30代になって問題を抱えながら、その問題がさらに大きくなって、今、雇用の問題として明らかになってきているように感じる。
     私も年金問題ということで何がお話できるんだろうと思うが、今、私たちのところに30人以上の若者たちがいるが、皆、年金は払いたいと思っている。でも、払えない状況。だれも払いたくないということではない。やっと働き出しても、先ほどもおっしゃっていたように、とてもじゃないけれども、経済的に払えるような状況ではない。働きたくても働けないというのが現状。何でもいから働ければいいじゃないかという御意見もあるとは思うが、大学も出てある程度の力もあるのに、新卒でないと働けないというのが日本の現状だと思う。そのような状況の中で、彼らが自尊心を持ってどうやって自立していけばいいのかと私たちは日々考えながら活動している。そして、私たちの側、NPO法人や支援団体自体も経済的には非常に厳しい状況の中で、制度が変わればどうなるか分からないような支援団体が多くある。そういう中で綱渡りのような状態で活動している支援団体がすごく多いと感じる。
     私からお話できるのはあまり多くないと思うが、この会で勉強させていただいて、また、現場の意見を言わせていただければと思っている。
    ○清家座長 岡本委員。
    ○岡本委員 日本経団連の年金改革部会長を仰せつかっている。職業を申し上げると、大日本住友製薬の会長を務めており、個人的には旧労働省のころに中央労働基準審議会の委員を仰せつかったり、あるいは、2004年の年金改革では審議会の部会委員を仰せつかったりということで、何かと関係の皆様方にはお世話になっており、お礼を申し上げる。
     今日はこのような貴重な場で、また国の政策に結びつく、あるいは、直結するような議論の中に参加させていただき、いろいろとお話をさせていただける機会を与えられて、大変うれしく思っている。今日は、私どもが現役世代の皆さんをお預かりしているという立場、現役の皆さんが活力を持って経済活動に従事すると同時に、一国民として安心して暮らしてほしいと念願している立場から、幾つか意見を申し上げたい。
     第1点であるが、少子高齢化が現状のスピードで進む中、年金と健保、介護などの社会保障の給付に要する負担を、現役負担の増大によってのみ対応しようとすると、一消費者、一生活者として働いている現役世代の活力を著しく阻害することが懸念される。その意味で社会保障に要するコストの負担については、経済的に困窮している方々への配慮の下で、国民全層で支えていくとの考え方で議論を深めていく必要があるのではないか、そういう時代にきているのではないかと認識している。
     公的年金制度については、現役世代の活力を維持し、かつ、国民の安心を確保するという観点から、基礎年金の安定的な財源については、税方式化を含め幅広い検討がなされるべきではないだろうかと考えている。また、当面の問題として掲げている、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるための財源については、私どもは消費税率の引上げの議論を避けるべきではないと理解をしている。
     第2点であるが、社会全体が高齢化していく中で、高齢化社会を活力ある社会にしていくためには、日夜働いている現役世代が活力あるということが基本であろうと思っているわけで、現役の皆さんに活力があってはじめて活力ある高齢化社会ができると考えている。そういう観点から、若い世代が自主自立の精神を持ち、責任を持って将来の生活に備える努力をすることは望ましいことであり、また必要なことなので、企業年金あるいは個人年金における税制上の措置を含めた現役世代への支援策が、これから大事になってくるのではないかと思っている。
     第3点目であるが、若い世代の公的年金に対する将来不安を払拭すること、世代間の不公平感を払拭すること、並びに現状の様々な問題に対する不信感を払拭すること、これら三つの不信感を払拭することは、いずれも現役世代の活力を引き出すには不可欠ではなかろうかと思っている。現在導入が検討されている社会保障カードについては、同じく検討が進められていると聞いている電子私書箱構想と併せて、公的年金制度を透明にし、かつ、現役世代に労働の意欲と自助努力によって、将来に備える気持ちを喚起させることから、できるだけ早期に具体化することが望ましいと考えている。
     第4点目は高齢者の雇用についてだが、高齢労働者は、言うまでもなく人生に対する多様な価値観を持っており、高齢者ゆえに抱えている能力と職務のマッチングという問題がある。そういう問題もさることながら、社会全般に高齢者の平均寿命が延びてくると、少子化でかつ核家族化しているこれから50代、60代になる現役世代は、仕事と親の介護、あるいは、家族の介護とをいかに両立させるかがますます深刻な問題になってくる。その問題を解決するためにやむなく離職するという方も最近随分増えてきている。これから一人っ子世代になってくると、労働力確保という視点から言っても、かつまた本人の家族生活の設計という点から言っても、大変深刻な問題が惹起されつつあるわけである。
     社会全体の高齢化、あるいは、現役世代の高齢化に伴って生じる高齢者雇用の問題の一つとして、企業の努力だけでは対応できない社会問題の側面を有した問題が出てきているので、求人と求職の紹介とか、求人と求職のマッチング、そういう体制については、企業の枠を超えた企業横断的、あるいは、地域横断的な体制を整備することが、高齢者の個別のニーズに合った雇用促進をする一つの発想であろうかと思っている。また、そういう中で企業としても高齢者の雇用の機会を提供することが増えていくのではなかろうかと考えている。
     最後であるが、古賀委員もおっしゃったように、年金、健保、介護、あるいは少子化対策の諸制度は、これから高齢化が進むと、国民の働き方、生活の仕方、家族のあり方に深くかかわってくるので、こうした全体を視野に置いて個別の議論の最適化、あるいは、あるべき議論をしていくことは大変大事であり、古賀委員の意見に全く賛同している。
    ○清家座長 権丈委員。
    ○権丈委員 慶応大学の商学部で社会保障の授業を長年やっている。
     20年近く社会保障の授業をやっているが、20年近くそれをやっていると、社会保障を考える際のこつと言うか、文法のようなものが分かってくる。そうした社会保障を考える上での文法の一つに、年金についていろいろな改革が山ほどある。そのいろいろな改革案について、定性的な議論をすることはまずもって大切なことであるが、それに上乗せした形で定量的な議論もやらないとだめだなというのをしみじみと感じているが、この定量的な議論がなかなかできない状況がある。
     そこで、私は社会保障審議会の年金部会に入っており、その立場から厚生労働省に対して基礎年金の財源を全額租税に移行していく場合、どういうことが起こるんだろうかということのシミュレーションをお願いしている。お願いしているが、残念ながらまだ結果はいただいていない。そこで、先月、1月29日に、社会保障国民会議の親会議の場で福田首相が「税方式へ転換したらどうかといった議論はある」とわざわざ言及されているのを受けて、私は、本日一番最後のほうにまとめている資料をつくらせていただいた。
     「基礎年金租税財源化に関する定量的なシミュレーションの必要性」という資料であるが、この資料の骨子は初めに書いている。シミュレーションの視点というところで、「次の二つの視点にたって、基礎年金の財源を100%租税に移行した場合における定量的なシミュレーションを行う」と。その際に、現行の基礎年金租税財源2分の1から2分の2(全額税財源方式)に移行する場合の移行措置のシミュレーションを行うと。もう一つは、租税財源2分の2への移行にあたっての医療や介護、その他の社会保障給付も踏まえた財政規模のシミュレーションも行ってもらうというようなことを厚生労働省にもお願いしている。
     私たちが年金を考える上での文法というときに重要になってくるのが、人口が減少していく、日本は合計特殊出生率が他の先進国と比べても本当に低い状況にある。第2次ベビーブーム世代の年金をどう支えるかというのが、年金を制度設計する上で一番山場になるところである。それは2030年、35年すぎぐらいに出てくる話になる。例えば、基礎年金でも、今、財源が基礎年金としては幾らかかっているから、これは消費税何パーセントになるというような議論ではなかなか分からないものがある。
     これを将来的に伸ばした形でシミュレーションして、どんなことが起こるのか。そして、そのときに、古賀委員や皆さんがおっしゃっている医療、介護という他の社会保障給付を考えていった場合に、どのような形になっていくのかというのが目に見えないことには、判断しづらいものがあるなと思うので、これをお願いしているわけである。そこまで話したが、残念ながら結果はまだいただいていないということである。そこで、もしお許しいただけるのであれば、座長から政府に対してシミュレーションの作業を急がせて、その結果をできれば次回の分科会の場に提出できるように指示していただければと思っている。
     もう一つは、この要請の趣旨に照らして、今日も随分と勉強させていただいて、あれもやらなければいけない、これもやらなければいけないというものがどんどん出てくるわけだが、追加的な作業をお願いすることになると思う。私が追加的な作業をお願いするということもお認めいただければと思う。
     そして、これは最大願望なのだが、社会保障国民会議というのは省庁で横断的な議論が行えるというのが最大の長所ではないかと私は思っているので、できましたら、財務省、内閣府、厚労省がみんなでこの作業にとりかかってもらうと同時に、財務省、内閣府の中でも、私が先ほど説明した部分の下のほうはちょっと専門的な用語が多分に入っているが、この専門的な用語が多分に入ってきている文章を読んで、一読できるぐらいの気の利いたエキスパートを派遣して、この作業をみんなで一緒にやることができればと考えている。
     座長にお願いしたいと思うが、よろしいか。
    ○清家座長 そのような権限が座長にあるか分からないが、また後ほど御相談させていただきたい。
    ○権丈委員 分かった。
    ○清家座長 小杉委員。
    ○小杉委員 労働政策研究・研修機構に所属している。私も社会保障は全然分からないタイプの人間であるが、ずっとやってきたのは、学校から職業生活の移行という研究。若い人たちが学校を卒業して、どういうプロセスを経て一人前になるのかという研究をずっとやってきた。その関係で、よく考えてみると今週1週間、岩本さんに3回会ったよねと、こういう同じ業界に生きている仲間。
     私が今回ここに呼んでいただいたのは、若い世代しか分からない私がここにいるということは、若い世代の社会保障ということがやっと世の中で考えられたんだなという思いを持っている。と申し上げるのは、日本では若い世代というのは社会保障を支える側だが、支えられるほうの側面ということは全く考えられてこなかったのではないかと思う。なぜかというと、それは学校を卒業したらみんな正社員に就職できるという前提があって、正社員になるということは、そこで賃金も得られるし、能力開発もできて、力をつけて、さらに自分自身の生産性を上げていける。同時に、将来に対する展望も持てるわけで、ある意味では安心も、こういう言い方をするとあれだが、企業に入ること、正社員になることによって、若い世代は社会保障を企業を通して得ていた。そういう社会だったと思う。
     ところが、最近十数年の状態を見ていると、同じ世代の、今年、学校を卒業する世代からちょっと前ぐらいの世代までは、大体新規学卒で正社員に入らない層というのは、同世代の30%から40%になるという事態になっている。そういう中で、岩本さんがずっと支援されていたようなニート層が増えたし、若年失業者等がフリーターとか、これまで企業の正社員に入ることによって得られていた様々な社会保障的なものを、この人たちが得られないという状態がある。これをどうするか。
     今まで企業に入っていて得られていたものは何かというと、もちろん生活を支える収入だが、若い世代にとって大事なのは収入だけではなくて、若い世代というのはまさに将来に向けて蓄える時代だから、この蓄える機会が企業の中にすべてあった。まさにOJTで能力をつけている、そこの部分がかなり欠けてしまう。ニートにしろ、失業者にしろ、フリーターにしろ、圧倒的に低学歴層が多い、学歴から見ると。つまり、高等教育に進まなかった人が雇用のチャンスが小さくなっている。さらにそういう人たちが企業の中で能力をつけるという機会もどんどん少なくなってしまっている。教育と能力開発がセットでこの人には必要。その部分は社会保障の枠の中で考えなければいけないんじゃないかと思う。そういう能力をつけるということが、将来の展望を明るくさせるので、能力をつけて将来のステップが見えるようにする、こういう政策が若い人の社会保障の中では欠かせない部分ではないかと思う。
     それからもう1点、若い人の場合には、今、保障を受ける側という側面を強調したが、雇用という形以外でも社会に対して貢献できるものをたくさん持っている。いわゆる社会参加によって彼らが力を発揮できる機会が案外少ないのでないか。岩本さんのところもそうだったと思うが、ニート層の支援をやっている団体には若い人がたくさん入ってきている。あるいは、かつて自分がそういう苦しい環境にあった人たちが今度は支える側に回ろうとしているが、回ろうとしているその力が長く続かない。なぜかというと食べていけないから。ボランティアとか、NPOとか、社会起業家とか、そういう形で若い人たちが力を発揮したい、社会に対して影響力を及ぼしたいと思っているが、それがなかなか続かない。その部分をもっと続きやすくすることで、彼らの力はもっと出る。社会保障の枠組みではそういう力を発揮できる土壌をつくるというところも大事なのではないかと思う。
     若者の保障というのは二面性があるということで、彼らをどんどん社会参加させていく、ニート状態の子たちだって社会参加することによって、自分が役に立つということで自己肯定感を持てるようになって、彼らの隠れていた力がどんどん出てくる。隠れた力を出させるような社会参加を促進するという側面と、日本型の正社員になるというプロセスに乗れなかったことによるうまくいかない側面を補う、この両方の側面から考えていく必要があるのではないかと思う。
    ○清家座長 小田委員、少し遅れて到着されたが、今、1人ずつ自己紹介をかねて短くお考えをいただいているが、一番後で御発言いただいてもよいが、後のほうがよろしいか。
    ○小田委員 はい。
    ○清家座長 それでは、最後に御発言いただく。
     それでは、塩川委員。
    ○塩川委員 私がまず座長なり全委員にお願いしたいことは、こういう会議が、会議が踊るばかりであって、結局結論が何も出てこないと、評論の場になってしまわないように、小さなことでもいいから、この会議の結果こういうことを決めたということだけは、具体的なもので出してもらいたいと思う。評論物の話を我々は聞きにきているのではないから、その点ひとつお願いいたしたいと思っている。そして、雇用と年金は一つの非常に大事な連結の問題であるから、これを一体として考えてもらうということにしてほしいと思っている。
     簡単に言うと、年金については、私は今の年金制度というのはずたずたになっていて、修復のしようがないのではないかと。これを改善して国民の信頼を得られる持続的なものにしようといったって難しいのではないかと。そこで、これだけ高齢化してきて、将来も高齢化が進むとなれば、年金というものの考え方を変えて、一つは完全な社会保障としての年金と、自助努力によるところの将来自分を保障しようとする年金と二つに分ける。つまり、生活年金は社会保障であると。これは全額を税金で持つ。
     一方、自助努力によるところの年金は、若いときからずっと積み立てていくから、長い年月かかる。けれども、この掛け金に対しては思い切った所得控除をしてやる。所得税の所得控除をしてやるという制度をして実質的に積立をしていく。そういうインセンティブを与えていくということが大事だろうと。結局、将来において自分の生活の能力を想定して、希望を持って働いてもらうということになる。
     そこで、生活年金は70歳ぐらいの支給にして、普通年金、自助努力によるやつは65歳に支給するというふうにして、そこの5年の段差をつける。この間の雇用が一番問題なんだが、それはまた別の問題として、そういう年金制度を思い切って改革するということをしてもらいたい。同時に、お年寄りで相当収入のある人もいる。こういう人たちは自分の努力で老後をしておられるんだろうけれども、理解していただいて、社会保障の分からは恩恵的に控除してもらうということをしたらどうだろうと。今、相当収入のある人が基礎年金をもらっている。こういうのは非常に矛盾していると思う。ここらも一回整理する必要があると思う。
     なぜこんなことになっているのか、矛盾が出ているのかということを見た場合、国民年金制度というのは昭和36年、池田内閣のときに法律をつくって、実施したのは38年から。その当時の日本の経済状況、勢いと現在とは違うんだし、さらには高齢化率も全然違ってきているから、社会・経済的条件が変わってきているのに、40年前の制度の上に積み重ねていって、改革、改革と改正をやってきたけれども、あっちもこっちもぼろぼろになって、屋根がぼろぼろになって雨が漏ってくるというようなときに、修繕のしようがないだろうと。だから思い切って変えてもらいたいと、私はそれを提案している。提案をまとめたのであるが、数字がまだはっきりつかみきれてないので、一回見てもらって、笑い話の一つに検討してもらいたいと思う。これは改革しなきゃ、こんなのではどうにもならんと思う。
     もう一つは雇用の問題。今、社会保障政策の中で一番大事なのは雇用問題じゃないかと思う。雇用問題の根本解決は、東京一極集中の社会的・経済的な実態を根本的に変えなきゃだめ。東京にすべてが集中しているということで、地方の雇用は全然起こってこないし、国全体に活力は出てこない。そして、均衡ある国土の開発なんてうそっぱちで、だんだんと偏向した国土になっちゃう。この東京一極集中を変えるという政策が雇用に大きい影響を与えてくると思う。
     その一つとして、たとえばの話、笑い話だと思って、しかしやってもらいたいのは、私は情熱を持ってやっているのだが、法人税が現在12兆円、国に入っている。12兆円のうち5兆円が東京で、7兆円が地方である。この状態を見た場合、余りにも東京に集中しすぎるから、東京で事業を経営している企業は法人税を10%上げろ、地方でやっている企業はマイナス10%減にすると。たとえばの話だが、そのぐらいに格差をつけて、インセンティブをつけるならば地方は開発されていくだろうと思う。
     今これだけ通信が全国的にネットワークをつくっていったし、ITの施設も世界に誇れるような状態になっている。高速道路だってほとんど完成している。道路をつくれ、道路をつくれって、何のためにつくってきたんだ、東京一極集中のためにつくってきたのかと、こんなことになってしまったのではどうにもならないと私は思う。だから、そういう社会基盤整備と併せて雇用対策を、東京一極集中を地方に分散させることの根本に置くということでやってもらいたいと思っている。
     重ねて申し上げる。この会議で何か結論を出してもらわないと。私も随分と長い間いろいろな会議に出た。特に文教関係のことだとか福祉関係に出た。たいていこんな高さの報告書だけであって結論は何もない、空っぽだと。これだったらやめたほうがいいと私は思う。
    ○清家座長 中村委員。
    ○中村委員 愛媛県の松山市長をさせていただいている。
     メンバーの皆さんは専門家の方ばかりで、私はそういう知識もないから、制度のつまびらかな点についてどうだこうだというふうなことについて、戦力になる人間ではない。ただ、一つ違いがあるとすれば、景気回復が顕著であると言われている関東圏域あるいは東海圏域ではない地域、地方都市に拠点に置いて仕事をしているということ。そしてまた、国の機関でも県の機関でもなく市町村だから、毎日毎日、日々ダイレクトに市民の声を受け止めながら仕事を進めているという点。時には身の危険を感じるときもあるが、そういう声を受け止めながら仕事をしているという点について、何か意見が言えるのかなと思っている。
     そういう立場からすると、年金制度を含めて、今、国の施策に対して、伊藤補佐官に申しわけないが、末端の国民の皆さんの信頼というのは失墜している。本当に失墜している。信頼というベースを勝ち取って何かをしていかなかったら、国民の支持を受けるような制度の実現は難しいんだろうなと思う。私どもも地方行政を進めていくときに、信頼を回復するためには何が必要なのかということをよく議論した。
     ポイントとしてはすべてをオープンにすること。例えば、今、年金の問題にしても一体どうなっているのかというのがほとんど伝わっていない。そこが見えないと、拡大してしまった不安感というのは決して払拭されることはないと思うので、オープンにするということが大事だと思う。もう一つは、いろいろな情報が伝達されているから、いろいろな無駄が現存しているという事実は多くの人が知っている。そこに徹底的にメスを入れて無駄を排するということ、これをやらなければ信頼というものにはつながらないと思う。
     そして、この会議でお話しするようなことではないが、実施する当事者というのは国会。実施者が身を削るという姿勢を示さないとついていかないと思う。それはどういうことかというと、例えば国会議員を大幅に減らすとか、2世議員の立候補を制限するとか、国会に定年制を導入するとか、そういう身を削った姿勢を見せて、我々もここまでやるから国民もみんなついてきてくれというようなことが、今こそ必要ではないかなということをあえて申し上げたいと思う。
     そこで、具体的な話に少し触れさせていただきたいと思う。年金については、ぜひ専門家の先生方にも知恵を出していただきたいが、生活保護の問題とリンクさせないと解決は難しいと思う。末端では生活保護の受給金額と年金の支給最低金額がいつも問題になる。そしてまた、未年金者の3分の2の方々が生活保護に入られているが、この問題も放置されたままである。
     もう一つは、生活保護に移行すると、この前も事件があったが、医療費が青天井になる。そのため、北海道のようにとてつもない事件が起こったりする。この問題もリンクして考えないと、年金全体の制度設計はできないのではないかということを、現場を預かりながら感じている。
     それから、先ほどお話があったように、長期的なシミュレーションは大事だと思った。特に団塊の世代、ベビーブームのときにピークを迎えるはずで、そのときとそれ以降とは全く違った状況が生まれるはずであるから、それ以降のことも視野に入れた制度設計を考えていく必要があるのではないかと思う。
     それから、雇用については、地方は大変。雇用を生み出すこと、現場を預かりながら大変だなということを実感しながら仕事を進めているが、四国松山というのは地理的なハンディもあるので、自動車産業がくるということは決してない。でも、知恵さえ絞れば可能性はある。昨年までに松山市には東京、大阪から9社進出していただいた。そして、今年に入って先月と先々月、2社進出していただいた。この11社で生み出していただいた雇用人数は2,900人。
     東京から見ればたかが知れている人数かもしれないが、私ども52万都市の中で2,900人の新たな雇用というのは非常にありがたいこと。これをどうやって生み出したかというのを言うと、他の市町村にまねされてしまって、私ども困る点があるが、工夫によってはできるということだけは間違いない。ただ、それができない絶対的な条件を持った、そういうことに取り組んでも取組みのしようがないという地方もあるということだけは間違いないと思う。
     一つだけ具体的に言うと、厚生労働省と経済産業省が一緒になって、多分、県が窓口でやったと思うが、ジョブカフェというのがあった。これは非常にいい制度。いわば就職したいという若者と人材を求める企業のマッチングをしてくれる非常に有効な機能を果たしていた事業だった。当初は、例えば愛媛県の場合、2億5,000万円の委託料が国からきた。それがモデル事業ということで年々減らされて、今8,000万になっている。どうしてこんなに実績が上がっていて非常に有効な事業を縮小するのか、それがよく分からない。有効なものについては徹底的にバックアップするという姿勢を継続していただきたいなということをつくづく思った。
     そんなことで、皆さん方のような専門知識はないが、現場を預かって日々やっているという立場からいろいろな意見を言わせていただきたいと思う。
     なお、塩川先生、地方のことにお気遣いいただいて、感謝申し上げる。一つだけ、四国にはまだ高速道路は十分できていないので、よろしくお願いする。
    ○清家座長 原委員。
    ○原委員 私は社会保険労務士になって来年で20年になる。私が初めて年金制度に加入したのは、大学を卒業して教職につき、地方公務員共済、それから、結婚して、母の勧めもあり、国民年金の任意加入、61年の4月には3号になった。3号になったときには、保険料を払わなくてよくなってよかったなと思ったのを今でもはっきり覚えている。
     それから3年ほどたち、第1号被保険者となったときは保険料の負担もなかなか大変だと感じた。その後、年金研修をする会社を設立して、厚生年金に加入、事業主の立場になり保険料の負担が大きなものであることを感じている。年金制度を渡り歩いてきて、それぞれの立場での保険料の負担を体験してきた。
     私は、社会保険労務士の仕事の中でも年金を専門にしている。年金は、ややこしくて面倒くさくて大変な制度だが、勉強すればするほど、またセミナーでお客様にお話をすればするほど、年金相談を受ければ受けるほど、この制度は足らないところもあるものの、私たちの生活のセーフティーネットとして価値のある制度であることを実感している。
     ただ、同時にこの制度の価値や良さが、国民にしっかりと理解されていないところに、年金の不信が生まれているのではないだろうかということも感じている。私は、一般のお客さま向けに、「おもしろ年金セミナー」ということで年金を分かりやすく話をさせていただいている。来られたときには、皆さん、年金は当てになるものなんだろうか、よく分からないという非常に悲観的な気持ちを持っていることが多い。マスコミでもいろいろ将来に展望が持てないということが言われているし、断片的な知識だけ持って、あきらめ感というようなものを持って来られるが、年金はこういう仕組みになっているんだ、この仕組みはこんな考え方のもとに定められているんだ、この場面ではこんなふうに救われるんだということを訴えると、「フーン、そうだったのか。なかなか、いい制度だな」という顔に変わる。笑顔が浮かび「ああ」というようなため息が聞こえることもある。
     私は、年金制度は国民の財産であり、「自主自立と共助」という文化の現れの一つだと思う。この財産、文化を維持し、次の世代に引き継いでゆかねばならない。そういう視点に立って、正しい周知、本当に年金を分かっていただくという努力が必要だと思う。この分科会でいろいろなことが議論されると思うが、そのことも国民の皆さんに分かりやすくお伝えすることが大事ではないかと思う。私は、明日もまた年金相談に行くが、現場で直に相談会や研修をさせていただく中で、国民の皆さんの生の声はたくさん聞いている。その声の代弁者としてこちらに呼んでいただいたんだなと思っているので、その声をしっかり反映した意見を述べさせていただきたいなと思っている。
    ○清家座長 細野委員。
    ○細野委員 普段、経済とか数学などをできるだけ分かりやすく伝えたいという努力をしている。僕も、塩川さんがおっしゃっていたように、こういう会というのは、具体的に何か決まったり新しいことが動き出さないと意味がないと思っている。そこで、今回僕がここに臨むに当たって、こうあってほしいなと思うのは、年金問題というのは突き詰めていうと何が一番問題かといったら、分かりにくさというのが根本にある。さらに、今、宙に浮いた年金問題とかで、年金問題の本質が見えにくくなってきていると思う。
     何だかんだいって年金問題の深刻さの象徴は意図的な未納問題だと思う。未納問題は、単純に年金のことが分からない人か、実は分かっている人というのもかなり誤解のある人たちが非常に多い。例えば、若者がなぜ払わないのかといったら、年金の仕組み自体はとりあえず勉強したけど、国が破綻して年金を払っても損するに決まっているから払わないというような形で、中途半端に知っているがゆえに誤解があって払わないというケースが増加している。この未納問題を何とかするための具体的なところに動き出さない限り、年金問題は解決しないと僕は思っている。
     だから、未納問題をどうするかというところが一番象徴的な話で、今回の会議の中でそこを考えながら、そこをクリアできないんだったら、国民に納得してもらって現行制度を続けることは無理だと思う。つまり、これができなければ、税方式に移行せざるを得ないというぐらい、未納問題が解決できるかどうかというのは、今の年金制度が続けられるかどうかの試金石にすらなると僕は思っている。具体的にどういうことをすればいいのかといったら、根本的な幾つかすごく大きな問題の分かりやすい答えを提示してみるべきで、あまり細かい話を一般の人たちにしてもあまり意味は持たないと思う。
     例えば、「そもそも今の制度は仕送り方式になっているが、何で仕送り方式にしなければいけないのか」というところが、学者の人とか厚生労働省の方だけではなく、一般の人まで正確に伝わって、「それだったら納得できる」というふうに。それこそ原さんがいろいろな講演でおっしゃっていると思うが、仕送り方式を続けるメリットというのは確実に幾つかある。今まではいろいろな意味で中途半端にいろいろなところで語られていたと思うけれども、それを集約してまとめて、さらに分かりやすく提示して、それの下で判断してもらう必要があるのではないかと思っている。
     もう一つは、先ほどの若者の年金不信、国民の年金不信の根本は、年金が破綻するのではないかという話に行き着くと思う。「年金は何で破綻しないのか」という話は、国の財政問題の話ともかかわってくるが、プライマリーバランスの話までは持ち出さなくても、例えば、国債の格付けや利回りなどを例に財政問題への誤解も解く必要があると思う。そこの話から入りながら、年金制度というのは世間で言われているほど危ないものではないんだよというところの理由づけをする。
     さらに、「そもそも何で国が行う必要があるのか」という話についても説明が求められている。民間もこれだけ整備されてきているんだから、国がやらなくてもいいんじゃないかというような話について、国がこれまでずっとやり続けているというのは、当然のことながら、それだけの根拠や自信がある。そこら辺をきちっとまとめて、分かりやすく提示してあげることを、具体的にこの会議で決まるようにすれば、年金不安の根本の部分は払拭されていくのかなと思う。つまり、今の年金問題に求められている本質的なものは、ある種、教育の問題に行き着くと思う。
     難しい話をできるだけ分かりやすく国民に伝えて、国民が納得して動いてくれるのか。まさに今、その究極の教育のセンスみたいなものを求められるところだと思う。そこを今やらなくてはならない、そのぐらい制度の根本が大きく揺らいでいる。そこで最大限分かりやすいものを提示してみて、それでだめだったとしたら、今後も未納問題も改善しないだろうと思う。そのため、この試みが機能しなかった場合は、年金の根本的な制度も理解を求めるのではなく、公的年金というシステムの維持のためには、税金のように強制的に保険料を徴収する形にするか、あるいは税方式に移行するようなことも十分視野に入れながら動いていく必要があるのではないかと思う。
     具体的な時期については、一つのデッドラインとして、2009年度の基礎年金を税金で現状の3分の1から2分の1に増やすようなときが年金の大きな境目になるため、そこで、とりあえず2分の1にする意図、つまり「なぜ3分の1から2分の1にしなければいけないのか」という説明をきちっとしなければいけないと思う。そことも大きくリンクしながら、「なぜ国は今の仕送り方式にここまでこだわるのか」というところも併せて分かりやすいものを提示していくような形でやっていくと、いろいろな意味で国の方向性とも辻つまが合い、国民にとってもいい議論ができるのではないかと思っている。そのような形でこの会議に参加させていただければと思う。
    ○清家座長 宮島委員。
    ○宮島委員 日本テレビで記者をしている。厚生労働省や財務省の担当などを通じて、年金問題とか労働・雇用問題、医療問題、少子化問題などを取材してきた。私自身はもう若者とは言えないが、中堅に当たるので、これまでの取材や友人、あとは、親同士としての仲間、地域の方たちとのお話で感じるところを、主に中堅や若者の状況を踏まえて発言していきたいと思う。
     私は、まず年金制度では根底のところで「何のため」で、「国がどこまでカバーするのか」ということが、その理念が曖昧もしくは共有できていないと思っている。若い人たちは、「年金は世代間の助け合い」というふうに説明されて、高齢者の最低限の保障のためであれば頑張ろうと思って納めたりする。一方、高齢者の側は、70年代にこれだけ払えば老後は大丈夫だというような説明がなされていて、「自分たちが払った分の権利」と思っている。だから、若者から見ると、現役時代リッチだった方ほどたくさん年金をもらっているが、もうちょっと高齢者の世代内で助け合ってもらえないかなと思う。現状では、先ほど塩川委員がおっしゃったように、「助け合い」であるべきところと、「たくさん払えばたくさんもらえる」というところが、制度の中で混在していて、それが一つの分かりにくさになっていると思うので、目的ですっきり制度的に分けるということも検討するべきではないかと思っている。
     それから、制度の継ぎ接ぎの結果として、いろいろなところに今不公平感がある。厚生年金のサラリーマンなどは、困ったことがあると何となくあてにされているわけだけれども、それに納得しているわけではなくて、「保険料が天引きだから払っている」というような人も多い。その不公平感、納得いかないところを、若者にとって納得いく年金にしないと先まで続く年金にはならないと思っている。
     それから、雇用だが、現状、若者の非正規の雇用や派遣が非常に増えていて、そうした人たちが生活保護以外の意味でのセーフティネットが非常に弱いと思っている。例えば日雇い労働とかピンはねとか、今、大変な状況だと思っていて、一たび怪我をしたら自分ではどうにも這い上がれないところまで簡単にいってしまう若者が少なくないなと思っている。若者の雇用が不安定だと、そもそも年金の担い手にはならないし、保育所などをどんなに整備しても、まず子どもを産み育てようという状況にならないのではないかと思う。
     若い人や中堅の人たちが普通に頑張れば将来に対して希望が持てる、明るい展望が持てるという社会保障制度のために議論していきたいと思っている。
    ○清家座長 宮武委員。
    ○宮武委員 毎日新聞社で31年ジャーナリストをやっており、論説委員で社会保障を担当した縁があったので、かなり早めに転職して、公立の大学へ移った。その大学もやや早めにやめて、昨年の春から私立大学へ行っており、まだ定年に遭っていない。定年を避けながら生きてきた。個々人の能力も意欲も健康状態も千差万別にもかかわらず、一律に幾つでやめろという定年制度は、いわば「社会的年齢」と私は考えている。そういう社会的年齢をやめるべき時代を迎えていると思っている。
     同時に、私の経歴から言うと、最初は厚生年金の制度に入り、地方公務員共済に入って、今は私学共済に入っている。あと国家公務員共済に入ると、四冠王達成だが、その気持ちはないので、これで終わるだろう。渡り歩きながら私自身が年金制度などの門前の小僧よろしくそれなりに学んできたわけであるが、今の日本の年金制度で私が常に感じる弱点は、100人集まると100人が「年金をもらう」という言い方をする。年金というのは「もらう」制度ではないはずだ。個々人の支払い能力に応じて保険料を負担し、その見返りで年金は「受け取る」ものであるのに、皆さん「もらう」と言う。
     もらうというのは、今の制度の中に「もらう」という要素があるからだと思う。この弱点は点検していかなければ、いつまでたってもお上からお金をもらうような状況が、続くだろう。それが今の年金問題の根底にあるのだと思う。そんなことを、この場で議論したいと願っている。
    ○清家座長 山田委員。
    ○山田委員 京都府知事である。私自身は専門家でもないが、分科会の中で、少子化と仕事と生活の調和、それから、福祉と医療のほうは知事が入るが、雇用と年金には知事が入る予定がないという話を聞き、じゃちょっと入ってみようかということできた。そういう観点から、あまり大したことも言えないと思うが、幾つか感じている点だけ述べさせていただきたいと思う。
     まず1点目として、先ほど中村市長さんもおっしゃったけれども、福祉と年金の問題はリンクしていると思っている。特に生活保護が7年間で55%ぐらい伸びた。そのうち、一番伸びている、倍になったのが無年金の高齢者。生活保護関係は地方で頑張れみたいな話をされる方もいらっしゃるが、年金と生活保護の問題はトータルに考えないと、いつまでたっても単なる押しつけ合いになってしまうのではないかという気がしていて、ぜひとも社会保障国民会議の雇用・年金部会では、所得保障全体を通じた議論をしていただきたいなということをまず申し上げたいと思っている。
     それから、理論的な話は専門の先生にお任せしたいのだが、今の雇用関係の問題としてはっきりしているのは、本当に住民のほうを向いた制度になっているんだろうかということを申し上げたいと思う。と申し上げるのは、例えば雇用保険関係の給付金をみても、雇用調整助成金、キャリア形成支援助成金、人材確保等支援助成金とあるけれども、これらの窓口は雇用能力開発機構、21世紀職業財団、高齢・障害者雇用支援機構、とバラバラである。そのたびにそっちに行って申請をしてやっていかなければいけない。
     この問題は別に雇用だけではなくて、例えば障害者にかかる給付制度も、障害基礎年金、特別障害者手当、障害児福祉手当、こういったものがあるが、この認定機関も社会保険事務局、福祉事務所、都道府県・政令市、とバラバラ。だれのほうを向いて実際の仕組みがなっているんだろうか。縦割りとか国の都合によって仕組みができている関係上、受ける人、本当に弱い立場にある方々はそこら中うろうろしなければならないという状況が生れているのではないか。こういった問題もワンストップで、全体を通じた仕組みに変えていかないといけないんじゃないかなと思う。
     先ほど中村市長さんがおっしゃった雇用紹介の問題、ジョブカフェという問題があったが、うちのほうもジョブカフェをつくっていて、平成15年から19年3月までで内定者は5,430名という大きな成果を上げることができた。その後、お話があったように、大幅に補助金を削られたので、京都府単独で運営し、今、2億5,000万ぐらい出しているか、それで19年からジョブパークという形でさらに拡大している。ここでも内定者数は1年に2,700人ぐらい出している。そこにもいろいろな形で経営者協会とか連合京都さんにも入っていただいて、みんなが分担する形でやっている。
     それから、ハローワークさんにも入っていただいている。ハローワークさんは一時期は警戒心を持って見ていらっしゃったけれども、いよいよ4月からハローワークの端末が、ハローワーク以外では初めてオンラインで、京都のジョブパークでは見られるように、モデルらしいが、なるということ。やっぱりみんなが力を合わせて一元化をすれば、より大きな効果ができると思うので、細かい問題のように見えるかもしれないが、だれの側を向いてこうした雇用施策ができているのかという問題については、ぜひともこの場で検討していただきたいなという気がしている。
     最後になってくるといろいろな先生方の話を聞いて納得する話ばかりでなんだが、地方雇用の拡大、東京一極集中是正という問題は本当に大きいと思う。地方のそうしたことが盛り上がってこないと、全体を通じた雇用は確保できないのではないかと思うが、国がやっていることは逆みたいな気がする。例えば、小中学校の先生一つをとっても、地域手当というのも、東京は18%プラスだが、田舎の方はゼロ。本当は過疎地に行く先生のほうが給料高くてもいいと思う。物価の差でこれが決まるのであれば我々納得できるが、東京のほうが、企業の給料が高いから公務員の給料も高くするという制度になっちゃった。役場ぐらいはいいと思うが、学校の先生にまでそんなことをやっていて、地方の雇用が本当に盛り上がってくるのかということを申し上げたいと思う。
     また、ハローワークは今度削減されるらしいが、需要の少ないところから削減される。要するに、地方で働く場所がないところのハローワークから削られていく。やっていることは逆じゃないか。鳥取県はそういうことで自分独自のハローワークをつくらざるを得ないということを、この前、鳥取の知事さんが言っていたけれども、こういう形になってくるとどんどんバランスが崩れていくのではないかなという気がしており、方向性というものについて、国家的に雇用の確保をどうやっていくのかということはしっかり議論していただきたいなと思う。
     それから、非正規雇用の増大というのは地方においても大変深刻な状況をこれからもたらすと思っている。若い人たちが経験を積まないまま、先ほどからも何度も出ているが、年を取っていくということの恐ろしさというのを日本全体で、この場でもう一回確認をして、何としても非正規雇用を正規雇用へしっかりと持っていくという政策を前面に打ち出すべきではないかなと思っている。実際問題として、いろいろな法令ができているが、その法令の実効性も確保していかなければいけない。例えば障害者雇用で法定雇用率はあるが、全然達成できない。全く達成できないまま、社会的責任を果たしていない企業もそのままに放置されている。それから、偽装請負とかいろいろあったけれども、いろいろな問題が起きたときに、法律をつくるのはいいが、実効性が現場にあるのかと、そういった視点からも見ていただきたいなということを申し上げておきたいと思う。
    ○清家座長 小田委員。
    ○小田委員 日本青年会議所の本年の会頭をさせていただいている。
     日本青年会議所というのは全国で、北海道から沖縄まで711の青年会議所があり、今4万人の会員がいる。これはほぼ中小企業の経営者、あるいは経営世代という、40歳までの団体であるが、どちらかというと20代、30代の声、特に地方の声といったものを反映させていただけるのが私の役割ではないかなと考えている。特に年金の専門家ではないから、数値に基づいたことは担当の専門の委員会で研究して、青年会議所ではこういうことを考えているということは追い追い発表させていただきたいと思う。
     今の年金において、三つの不公平感、あるいは、信頼が失われている中で行われているのではないかと思う。一つは、世代間による不公平感というか、先行きに対する不安、つまり、このまま少子高齢化が進むと、今の賦課方式が進むと、今の世代ばかり負担が増えて、納めるのもばからしいんじゃないかというような世代間による不公平感と、不安というのが一つ目。二つ目は、年金として納めているお金が、しっかりと集められた目的に対して使われているのかどうかという不安。特に社会保険庁とか現行に対する不安が強いのではないかと思う。三つ目が、年金の種類による不公平感というのか、その三つが、国民が年金に対する信頼の失墜であったり、不安が増大している。この三つの不公平感が大きな原因ではないかなと考えている。
     その中で、できるだけ分かりやすく、しかもシンプルな制度が一番いいのではないかなと思う。ただ、そのときに配慮しなければいけないのは、制度を移行するときに、今のままでは、現行の制度から何かを変えるといったときに、何十年という移行期間を要することになるかと思うが、果たしてその間に状況がそのまま進むかどうかというと、全く分からないから、こういうことを言うと不快に思う方もいらっしゃるかと思うが、何か変えるときは絶対だれか割を食う人が出てくる。
     制度を変えるときに、今まで集めたものをどうするのかとか、割を食う層が出てくることは避けられないと思う。ただ、一つの部分に負担とか不公平を押しつけるべきではないと思うので、その辺をしっかりと議論して、新しい制度に変えていくべきではないかなと思う。もっと言うと、今の団塊の世代の方たちが受け取る期間が終わってしまうと、こう言うと大変失礼な言い方だが、そうなると今でも大丈夫ではないかなと。こういうことを言うと大変失礼なんだが。だから、そういうものをしっかりと見た上で決めていく必要があるのではないかと思っている。
    ○清家座長 ここで一応今日御出席の委員の皆様方から御意見は一通り伺ったが、本日、水町委員が欠席であり、水町委員から御意見を書面にていただいている。机上の資料の一番下のほうに水町委員の御意見が資料配付されているので、御参照いただきたいと思う。
     先ほど御説明いただいた権丈委員の資料、それから、今、新たに塩川委員の提言についても書いたものを配っていただいている。今日は時間の関係上これを詳しく議論することはできないと思うが、これらの資料も含めて、これからこの会議で幅広く議論をしていきたいと思っている。
     皆様方から御意見を伺って、私も委員の一人であるが、私は座長という立場を仰せつかったので、私の役割はできるだけ皆様方の御意見を反映してしっかりとした報告書をつくっていきたいと思っている。一言だけ、私が普段考えていることを申し上げる。
     私は労働経済学者という、労働の問題を経済学で分析する研究をしている。特に長いこと研究テーマにしていることの一つは、人口の少子高齢化と雇用や労働市場との関係についての実証分析。この分科会は雇用と年金、あるいは、雇用と所得保障という分科会であるが、先ほど宮島委員でしたか、普通に働く方が心配のないようにとおっしゃっていたが、私もまじめに働く普通の労働者が、しっかりと仕事ができて、しかもその人たちが老後の所得等に心配がないような仕組みをつくることが大切だと思っている。
     その中で、今、委員の方々それぞれにいろいろな視点からおっしゃったように、経済社会の構造が大きく変わっており、特に雇用の面では二つぐらい大きな変化があると思う。一つは皆様異口同音におっしゃっているような非正規労働者の増加というような雇用の多様化、もう一つは、言うまでもないことだが、高齢化だと思う。そういう雇用の多様化とか高齢化が進んでも、原則である普通にまじめに働く労働者が老後の心配をしないで済むようにするには、その制度をどのように変えていったらいいのかということがポイントだと思っている。
     その中には、非正規労働者を正社員にしていくということもあるかもしれないし、それでも非正規労働力化というのが避けられないのであるとすれば、そういう人たちもしっかりと年金とか社会保障の範囲の中に取り込んでいくことが大切かと思っている。また、日本は幸いなことに高齢者自身の就労意欲も非常に高いというありがたいメリットもあるので、働く意思と仕事能力のある人ができるだけ長くその能力を発揮し続けることによって、引退したときにはしっかりとした年金が受けられるようにするというような考え方も大切ではないかなと思っている。
     私は座長という立場であるから、自分の考え方を押しつけるというようなことはできるだけ避けたいと思っている。ぜひ幅広く議論をしていただいて、その中から、先ほど塩川さん、あるいは、他の方々も言われていたように、何か具体性のあるしっかりとした報告を出していきたいと思っている。
     これでこの分科会の委員全体から御意見を頂戴したわけだが、本日はオブザーバーとして、社会保障国民会議全体の座長をお務めになっている吉川委員も御出席になっている。
     何か御意見があるようなら、一言お願いしたい。
    ○吉川委員 私は今御紹介のあったような立場で本日オブザーバーとして、この分科会に参加させていただいたが、発言の機会を与えていただいたので、2点ほど発言させていただく。
     一つは、塩川委員他何人かの方々のおっしゃったとおり、私も、この国民会議が何か具体的な改革につながらなければ、報告書だけ出してもほとんど意味がないと思う。タイミングの問題はともかくとして、ほとんどの方が「なるほど、こういう改革はやるべきだ」ということを納得していただいて、具体的な改革に結びつく提言ができるように努力したいと、またそうならなくてはいけないと考えている。それが第1点。
     第2点は、今、委員の皆様方のお話を伺っていて、現在の制度には大変な不信がある、また、弱い言い方をしても信頼性が低い。そういうことだと思うが、その一つの理由は、そもそも年金とりわけ公的年金がなぜ必要なのか、あるいは、賦課方式というのはなぜ大事なのか、そういうことが必ずしも広く知られていない、こういう御指摘があったと思う。その点について、私の専門は経済学なので、やや抽象的になるかと思うが、一つ発言させていただきたいと思う。
     年金は医療、介護等と違って所詮お金のことだ。お金について老後を備えるのであれば、預貯金等様々な金融商品があるではないかという議論がある。つまり自分でできるんじゃないかと。しかし、まず第一に確定給付を念頭に置くけれども、確定給付の年金というのは、一つの特定の金融サービスあるいは金融資産であるわけである。つまり、自分が生きている間は月々確定したお金をもらえる。これはいろいろな意味でメリットがあるが、それと同じポートフォリオを金融市場で現在あるような金融商品で、個人がつくり出すというのは決して簡単なことではないということである。
     また、なぜ公的なのかということだが、それは賦課方式と結びつくわけである。経済学者の間でも、「賦課方式というのは必ずしもいい制度ではないのではないか、積立方式のほうがずっと合理的なのではないか」と言う人がいる。これは少し抽象的な言い方になってしまうけれども、積立方式というのは原資がいわゆる資本所得になる。国でみんなで働いてつくり出したもの全体、GDPというわけだが、それは資本の取り分、労働の取り分に分かれる。積立方式というのは原資は資本所得になる。それに対して賦課方式というのは、原資は労働所得である。労働所得を原資にするというのは必ずしも悪いことではないと私は思う。それはここ10年の日本を思い出せば分かると思う。超低金利ということから、失われた10年、失われた十数年、すべて資本所得を原資にしていたのであれば、年金給付はどうなるか。年金ではないが、多くの財団法人がこの低金利の中で大変苦しいことになっているというのは御承知のとおりである。であるから、資本所得に比べ安定している労働所得を原資とする賦課方式は一つのメリットを持っていると思う。
     少子化で労働力人口が減っていくのは賦課方式にとって大変不利な点であるということはよく知られていることで、先ほど委員の皆様方からもお話があった。一方で、忘れてはいけないものに技術進歩の影響がある。1人当たりの所得は、先進国では歴史的にずっと上がってきている。我々の生涯所得というのは我々の親の世代よりは相当高いわけだし、我々の親の世代の生涯所得というのは明治の初めの日本人の生涯所得よりも高い。なぜ高くなってきているのかといえば資本蓄積の影響もあるが、技術進歩の影響が非常に大きい。
     少子高齢化、とりわけ少子化の中でも、これは今後の日本のあり方によるわけで、そこを頑張らなくてはいけないと言っているわけだが、技術進歩の影響というのは期待できる。昨年末の京都大学の山中先生の万能細胞の研究とか、あのような研究が我々の1人当たりの所得を上昇させてくれる。そうしたものが労働所得に換言されてくるわけだから、繰り返しだが、そこを原資にする賦課方式というのはそれなりにメリットがある。
     我々、自助努力で金融資産、貯蓄をするということも必要なのだが、それと並んで、私は皆年金、公的年金というのが国民全体にとって大きな社会インフラとして財産だと思っている。このことを分かりやすい形で多くの人に理解してもらうというのは本来学者の役割かもしれないが、国民会議の役割でもあると考えている。
    ○清家座長 ここまでで分科会の委員全員から御意見を頂戴して、また、吉川委員からも非常に貴重なコメントをいただいた。委員の皆様からの意見交換は、もう時間もきているので、ここまでにしたいと思う。
     最後に、伊藤補佐官、何か御感想等あったら、一言お願いする。
    ○内閣総理大臣補佐官(社会保障担当) 本日は皆様方から大変な貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございました。他の分科会にも出させていただき、私も補佐する立場から少しお話させていただきたい。
     今、吉川座長からもお話があったように、この会議が「会議が踊る」ということがないように、皆様方の貴重な意見がこれからの社会保障の新しい動きにつながるように、私もしっかり補佐をしていかなければいけないと決意を新たにした。そのためにも、将来の社会保障のあるべき姿を描いていくことが極めて重要である。これは他の分科会でも出ていた議論である。そのためにも、現在の制度あるいは運用の実態をしっかり検証していくことが大切である。特に現場からいろいろな御指摘があった。縦割りの弊害があるという御意見、あるいは、利用者の視点から見てそれぞれの運用に対しての御意見、こうしたことを本当に大切にしていかなければいけない。分科会では特にこうした指摘がなされているので、それをしっかり踏まえた対応をしていかなければいけないと思っている。
     また、先ほど「東京問題」と言うのか、一極集中の問題の御指摘があった。一極集中して東京だけが一人勝ちということなのかどうか。世界全体から見ると、東京といえども競争力が低下しているという現実があるのではないかと思う。分権化の視点の中でこの国の形を考え直していかなければいけない。そうした観点も踏まえて、社会保障も分権化の視点で考えていく、そういう視点が大切だということを感じた次第である。現場から創意工夫がなされなければ、良い制度を国民の方々に感じていただくことができないわけである。
     また、ムダをなくすという議論もあった。ムダを正していくためにも、こうした議論を積み重ねていく。そのことが本当の意味での効率化につながっていくのではないかと思う。また、年金については、全額税方式あるいは保険方式、様々な御議論があった。また、制度に対する不安を払拭していくことの重要性についても御指摘をいただいた。この制度を専門的に詳細に検討していくことも重要であるが、一方で、御指摘があったように、他の制度との関係というのは極めて重要である。複雑に絡みあう制度間の課題も一つひとつ丁寧に解きほぐしていかなければいけない。そのためにも、御指摘があったようにデータをしっかり検証していく。そのための環境整備について、私自身も一つの大きな役割を果たしていかなければいけないと感じた次第である。
     多くの委員の皆様から多岐にわたる論点があると御指摘いただいた。この中で質の高い議論を進めていくためにも、過日、総理から「吉川座長を補佐するための作業チームの立ち上げをして、円滑な運営をするように」という御指示をいただいた。各分科会の座長の先生方、あるいは、委員の皆様方の今後の議論に資するような補佐役としての仕事を一生懸命やってまいりたいと思うので、今後とも御指導、御鞭撻を賜ることを心からお願い申し上げ、御礼の御挨拶に代えさせていただきたい。よろしくお願い申し上げる。
    ○清家座長 この分科会はすばらしい専門家の方々がお集まりで、きょうお話を伺った限りでも、私自身もとても触発されるところがあった。ぜひ皆様方の御見識を最大限生かせる形で分科会を取りまとめていきたいと思うので、よろしくお願いしたい。
     最後に、今後の予定を申し上げる。当分科会は今後およそ月1〜2回程度開催することとして、次回の会議の予定については、日程調整をさせていただいた上で追って御連絡をさせていただきたい。また、次回の分科会のテーマや、あるいは、今日幾つか資料の作成等の御要望等も出たので、今後の具体的な進め方については、私が事務方と御相談しながら整理させていただき、改めて御連絡させていただくということでよろしいか。
     では、そのようにさせていただきたいと思う。本日は、御多用のところ長時間にわたり感謝する。