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21世紀新農政 2006


平成18年4月4日
食料・農業・農村政策推進本部決定


 今後の農政の展開については、昨年、「21世紀新農政の推進について〜攻めの農政への転換〜」(平成17年3月22日食料・農業・農村政策推進本部決定)及び「食料・農業・農村基本計画」(平成17年3月25日閣議決定)において方向付けられたところであり、これに沿って、農政全般にわたる改革を着実に進めているところである。
 現在、我が国はグローバル化の一層の進展、人口減少社会への移行など、未だ経験したことのない社会構造の変化に直面しており、あらゆる分野での適切な政策対応が求められている。農業も、これらの社会変化に迅速かつ適切に対応しながら、これまで以上に国民生活の向上や我が国経済社会の発展に貢献していく必要がある。農業の未来を切り拓き、成長力を強化するためには、改革の先頭に立ち、「攻めの農政」の視点に立った国際戦略の構築と、国内農業の体質強化に向けた取組を、スピード感を持って推進していかなければならない。このため、これらを大きな柱として新たな施策を積極的・重点的に展開することにより、農政改革を加速化し、我が国の食料安定供給の確保や農業・農村の発展を、政府全体で後押しする必要がある。
 このような視点に立って、引き続き、内閣に設置された各種本部と連携を図り、関係府省庁が一体となって、下記事項を内容とする「21世紀新農政2006」を推進することとする。

T.国際戦略
1.WTO農業交渉、EPA交渉への積極的取組
 WTOやEPA(経済連携協定)の国際交渉については、「多様な農業の共存」を基本理念として、「守るところは守り、譲るところは譲る、攻めるところは攻める」という姿勢で、戦略的かつ前向きに対応する。
 その際、輸出国と輸入国のバランスの取れた貿易ルールの確立を目指すとともに、国内農業の構造改革についても、引き続き、強力に推進する。
 EPAについては、東アジアを中心としつつ世界全体に視野を広げ、新たな戦略の下でスピード感をもって交渉に取り組む。その際、我が国と相手国における農林水産業や食品産業の共存・共栄が図られることを基本とし、相手国における知的財産権の保護や食の安全の確保等を含む総合的な質の高いEPAの実現を図る。さらに、相手国・地域に応じ、食料貿易の安定に関する協定などの方策を含め幅広く検討する。
 また、昨年12月のWTO香港閣僚会議の際に発表した「開発イニシアティブ」の積極的展開を図るため、全LDC(後発開発途上国)諸国原産の原則全産品に対する無税無枠の供与と併せ、南南協力などを通じた「売れる農林水産物づくり」に向けた人材育成を積極的に支援する。
2.我が国農林水産物・食品の輸出促進に向けた戦略的取組
 重点的に市場開拓を行うべき国や地域ごとの輸出戦略を策定し、民と官が一体となって、日本食文化の海外普及、戦略産品を中心とした販売促進活動への支援、輸出阻害要因の是正、推進体制の整備等を総合的に推進する。
目標:農林水産物・食品の輸出額を5年で倍増
 2,954億円(16年)→6,000億円(21年)
3.東アジア食品産業共同体構想
 国内市場は少子化・高齢化等により成熟化する一方、近隣には経済発展に伴い拡大傾向にある魅力的な東アジア市場が存在する。これらの市場は、欧米と異なる独特の食文化を持っている。これに着目してこれまでの発想を転換し、食品産業の海外進出を促進する。その際には、「攻め」の姿勢からのEPA推進戦略とも連携し、日本食文化の海外普及、輸出促進戦略、知的財産権やブランド保護の取組を十分活用する。
目標:東アジア(中国、台湾、韓国、ASEAN6ヶ国)における我が国食品産業の現地法人の活動規模を5年で3〜5割上昇
 売上高:84億ドル(17年度推計)→110〜125億ドル程度(22年度)
4.知的財産権の保護・活用を通じた国際競争力強化
 我が国の優れた農林水産物・食品を知的財産と捉え、その権利化と積極的な保護・活用を推進することで、我が国農林水産品の国際競争力を強化する。このため、アジア諸国等への品種保護制度整備の働きかけ、育成者権侵害物品の輸出差止制度による水際取締りの強化、海外における育成者権や特許権等の取得と活用を推進する。
目標:(1)植物新品種について
1)出願件数を5年で5割増
 1,385件(17年度)→2,000件超(22年度)
2)審査期間を20年度に世界最短水準の2.5年に短縮
 (16年度 3.1年)
(2)DNA品種識別技術について、22年度までに、加工品(米、イチゴ)、牛肉の分析手法を確立(米及びイチゴの収穫物については分析手法を確立済)
II.国内農業の体質強化
1.担い手の育成・確保と新規参入の促進
 意欲と能力のある担い手に限定した品目横断的な経営安定対策の19年産からの導入に向け、女性を含めた担い手の育成・確保を加速化する。あわせて、地域共同の活動・営農により農地・農業用水等の資源や環境の保全と質的な向上を図る「農地・水・環境保全向上対策」の導入に向けた体制の整備を行う。
 また、予算・金融・税制等の各種施策につき、担い手への更なる集中化・重点化を推進することとし、特に、公共事業を含む各種事業の採択等において、品目横断的な経営安定対策の対象となり得る担い手確保の取組を要件化することを検討する。さらに、生産基盤整備においても施策の重点化を進めるとともに、担い手への農地の利用集積を推進する。
 農業経営への女性の一層の参画及び経営者としての適正な評価を促進するほか、意欲的な企業や若者の農外からの新規参入を促進する。
 さらに、化学肥料や化学合成農薬の使用低減等による環境保全型農業を促進する。
 なお、22年度に農政改革の成果の包括的点検を実施する。
目標:(1)担い手の育成・確保
(17年)(農業構造の展望(27年))
認定農業者 約19万5千 → 効率的かつ安定的な家族農業経営 33万〜37万
集落営農   約1万 → 効率的かつ安定的な集落営農経営 2〜4万
認定農業者等への
農地の利用集積面積 約5割 → 効率的かつ安定的な農業経営の経営面積 7〜8割
(2)一般企業等の農業参入法人数を5年で3倍増
 156(17年度 → 500(22年度)
(3)新規就農者数(39歳以下) 毎年12,000人程度
2.食料供給コスト縮減に向けた強力な取組
 生産と流通の両面におけるコスト縮減に向けた取組を、上記1.の取組を強力に進めつつ、聖域を設けず強力に推進する。特に、農協の経済事業については、信用事業及び共済事業に比べて改革の遅れが目立っており、全農改革を進めるとともに、低廉な農業生産資材の供給と効率利用の推進、物流コストの削減等、改革の徹底を図る。このため、民間の経験、有識者の知見を活かしたコスト縮減委員会(仮称)を開催する。委員会の活用にあたっては、PDCA(Plan, Do, Check, Action)の仕組みを導入し、委員会の知見を反映する形で確実に改革を進める。
目標:食料供給コストを5年で2割縮減
V.食の安全・食育
1.食の安全と消費者の信頼確保の徹底
農場から食卓までの食品安全の確保の徹底や、家畜や農作物等の病気や害虫の侵入・まん延防止により食料の安定供給に寄与する。また、消費者ニーズ等を踏まえたJAS規格の充実(一部の加工食品や養殖魚についての生産情報公表JAS規格の制定等)と食品表示の適正化等を通じて消費者への情報提供の充実を図る。
目標:(1)国内の家畜伝染病等の発生防止・まん延防止及び海外伝染病等の侵入防止
(2)食品表示の適正化及び新たなニーズに対応したJAS規格の導入の推進
2.食育の推進
 食育基本法及び食育推進基本計画に基づいて食育を推進する。これに当たっては、国民が健全な食生活を実践することができるようにする観点から、家庭、学校、地域等様々な分野において国民運動として取り組むこととし、その一環として、消費者と生産者の信頼関係の構築を図るため、学校給食、観光とも連携し、地産地消を全国展開する。
目標:(1)学校給食における地場産物の使用割合
21%(16年度)→30%以上(22年度)
(2)様々な主体による教育ファームの取組がなされている市町村の割合
42%(17年度)→60%以上(22年度)
W.新分野
1.技術と知財の力で新産業分野を開拓
 これまでも革新的な技術を活用した新食品・新素材の開発を行ってきたが、今後は更に、潜在的需要に合致した開発を進めるとともに、技術移転・地域ブランドの確立等、知的財産権を活用するための施策により、新ビジネスを構築して産地の形成等を進める。
 現在、新技術によって開発された機能性農産物等の新食品・新素材の市場規模は、約200億円となっているところ、開発中の花粉症緩和米等も含めると、潜在的市場規模は5,000〜6,000億円程度と予測される。当面は、おおむね5年後の市場規模を700億円程度とすることを目標とする。
目標:新食品・新素材の市場規模を5年で3倍超に拡大
約200億円(17年度)→700億円程度(22年度)
2.バイオマスから地球にやさしい自動車燃料
 改定されたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき、バイオエタノールなどの輸送用燃料の利用を促進するため、利用状況等を踏まえ、海外諸国の動向も参考としつつ、多様な手法について検討する。また、国産農産物等を原料としたエタノール利用の実例の創出、原料農産物の安価な調達手法の導入、低コストで高効率な生産技術の開発等により、国産のバイオマス輸送用燃料の利用促進を図る。更に、木材生産システムとも連携した木質バイオマスの総合的な利用を促進する。
目標:(1)バイオマス熱利用導入 原油換算308万kl(約760万CO2トン、22年度、京都議定書6%削減約束の約1割)
(2)バイオマス輸送用燃料導入 原油換算50万kl(22年度)
X.地域
 自ら考え行動する農山漁村の活性化
 今後の農山漁村振興については、「立ち上がる農山漁村有識者会議」の提言を踏まえ、「地域ができることは地域に」との考え方のもと、地域間の切磋琢磨が農山漁村全体の活性化を導く手法へと転換する必要がある。このため、国の役割を見直し、多くの地域の活性化に向けた取組への参加促進、努力・創意工夫の促進、再挑戦の機会の提供を重点的に進める。 また、農協等の意思決定過程及び農業経営への女性の参画を促進し、農山漁村における男女共同参画を推進する。
目標:農林水産業を核とした自律的で経営感覚豊かな取組によって活性化し、
全国のモデルとなるような農山漁村の事例数 250(18〜22年度の5年間)
(「立ち上がる農山漁村」選定事例数(16,17年度の2年間)60)