内閣官房内閣内政審議室

−夢と絆の家庭支援−

少子化の対応を考える有識者会議
第3回議事録


 

−夢と絆の家庭支援−
少子化への対応を考える有識者会議第3回議事次第
日 時  平成10年11月9日(月)14:00 〜16:00
 
場 所  内閣総理大臣官邸大食堂
 
1.開 会
 
2.議 事
(1)分科会の報告
(2)討議
(3)その他
3.閉 会
【岩男座長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「少子化への対応を考える有識者会議」を開催させていただきます。委員の皆様には大変御多忙の中を御出席いただきましてありがとうございました。
 なお、安達委員、伊藤委員、内海委員、河合委員、鈴木委員につきましては本日御欠席とのことでございます。
 また、本日は政府から宮下厚生大臣に御出席をいただいております。大臣には最後に一言お言葉をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは議題に入りますが、前回の有識者会議の後、「働き方分科会」と「家庭に夢を分科会」において結婚や出産について個人が望む選択ができるような環境整備の具体的な方策などについて御検討をいただきました。本有識者会議といたしましては、これまでの有識者会議における議論に加えて、これら2つの分科会の報告書を材料にして提言をまとめていきたいと考えております。

 本日の会議の進め方でございますが、まず「働き方分科会」の報告書について八代主査から御報告をいただいて、続いて「家庭に夢を分科会」の報告書については私から御報告をさせていただきます。

 その後、この有識者会議としての提言の取りまとめに向けて、委員の皆様から御意見をいただきたいと思っております。

 本日は、資料として両分科会の報告書などのほかに、前回の有識者会議の際に伊藤委員よりお求めのございました市区町村別の出生率のデータも事務局から提出されていますので、後ほどごらんいただきたいと思います。

 それではまず八代主査より「働き方分科会」の報告書についての御説明をお願いいたします。

【八代委員】 八代でございます。それでは、「働き方分科会」の方での主要な議論について御説明したいと思います。資料は2−1というものに働き方分科会報告の概要がございますので、それに沿って御説明したいと思います。

 まず、これは必ずしも分科会のテーマではございませんが、広く少子化はなぜ問題かということについてもコンセンサスを得ておきたいと思いまして、少子化というのは基本的には労働力が減ったり、高齢者比率の高まりを通じて経済社会に深刻な影響を及ぼす。これについては多くの報告がなされております。だからと言っても、子どもを持つかどうかというのは人々の選択であって、政府がよけいなことを言う必要はないんじゃないかという御意見もあるわけですが、現実にいろいろな調査を見ましても、必ずしも人々が喜んで子どもの数を減らしているというわけではなくて、子育てと両親の就労継続との両立が難しいために、やむを得ず子どもを持つことをあきらめる。あるいは、それが分かっているために結婚自体をあきらめるというようなことが知られておりますので、そういう制約要因を除去し、子どもを持つことができるような環境を整備するということは必要ではないかという、ある意味では常識的な結論でございます。

 2番目には、そういう少子化の要因と日本の働き方がどういう関係にあるのかということを概念的にまとめているわけであります。もちろん、近年の出生率の低下というのはさまざまな社会意識の変化ということを反映していることは疑いないわけでありますけれども、その背後にはやはり基本的に大きな流れがあるのではないか。それは一口に言い切ってみますと、女性の社会的地位が低いままで女性の経済的地位が高学歴化、あるいはサービス産業化等の要因によって年々高まってきている。それによって、これまでは限られていた女性の人生設計の選択肢が大幅に広がってきたのではないか。それが残念ながら未婚率の上昇という形で表れているというふうに考えております。

 なぜなのかということなんですが、そこに日本的雇用慣行というものが働いているのではないか。日本的雇用慣行自体は極めて経済合理的なシステムであって、これまでの日本の繁栄を支えてきた一つの大きな要因であるわけなんですが、同時に雇用慣行の問題としては男女の固定的な性別役割分担というものを前提としているのではないか。すなわち、男性が働き、女性が家庭を守るという前提であります。

 女性が単に未婚のときだけではなくて、結婚後も就業を継続しようと考えますと、どうしても職場優先の企業風土の中で男性並みの働き方を求められてしまう。この男性並みの働き方というのは実は単に一人の男性ということではなくて、これは分科会でいろいろ意見があったんですが、内助の功付きの男性ということでありまして、一人の専業主婦が完全にバックアップしていて家庭のことはすべて専業主婦がやる。したがって、男性は専ら仕事さえしていればいいと、そういう男性並みの働き方を女性も求められてしまう。

 そうなりますと、育児負担は一方的に女性に重く、仕事の面では内助の功付きの男性並みの働き方をしなければいけない。これはよほどのスーパーマンでもない限り実現は難しいわけでありまして、そのために結婚、出産を契機に退職するケースがどうしても多くなってしまう。一たん退職してしまうと再就業というのは極めて困難が伴うわけでして、離職前と同じようないい仕事にはなかなか就けない。これは、日本的雇用慣行というのは年齢とともに賃金が高まりますので、再就職後にはそんなに高い賃金コストの人はなかなか企業としては雇えないと、そういうようなことではないかと思います。

 このように、女性にとっては結婚で失うものが極めて大きいために、その就業した女性が結婚をためらうということの度合が大きくなっている。これは決して女性が結婚をしたくないということではないわけで、さまざまな世論調査によれば依然として9割近くの女性がいつかは結婚したいというふうに考えているわけなんですが、その条件が極めて厳しくなってくる。それだけ結婚で失うものが大きいわけですから、よほどすばらしい男性が出てこなければ結婚しないわけなんですが、確率的にそういう男性は残念ながら非常に低いわけでありまして、結果としての未婚率の上昇に結び付いているのではないかということであります。

 また、既婚者についても日本的雇用慣行の下では多くの場合、女性の就労継続と育児を両立させていくことにさまざまな困難があり、1人は産んでも2人目はもう結構という人が増えてきているのではないか。特に農村地域では、先ほど申しましたように女性の置かれている社会的地位というものが都市以上に低いということが、逆に言うと農村における深刻な男女の未婚率上昇というものに結び付いているのではないかということであります。 したがってここでの結論は、多様な働き方が可能な社会であれば子育てと就業の両立が容易であり、子育てのある人生というものを多くの人が楽しめるようになるのではないかということであります。

 それから、ここではちょっと省略しておりますが、よく女性が家庭に帰れば出生率は上がるんじゃないかという意見があるわけですけれども、これは今後の少子化の下で労働力が2005年から減り出すという状況の下では現実に不可能な選択であるわけで、これからは女性も働かなければ日本の経済社会自体がやっていけない。したがって、少子化対策というのをあくまでも女性の就業ということを前提とした上で考えなければいけないということでございます。

 3番目には具体的に、それでは少子化への対応としての働き方をどう変えていくかということですが、その中の大きな柱の一つは、男女の性別役割分業を前提としている現在の企業風土を見直さなければいけないのではないかということであります。特に男性の意識と構造の変革、男性管理職のというのが分科会の主たる意見でございます。

 それから、女性のみを対象とする総合職、一般職制度の撤廃ということで、男性にはそういう区別がないわけですから当然女性にもなくしていく。

 それから、農村部では家族の経営協定というのが家族間での役割分業を取りまとめるという仕組みがあるわけなんですが、なかなかそれが進まないわけでありまして、やはりきちんと農村部の女性も自営業であっても働きに応じた報酬というものを明確にしていく必要があるんじゃないか。

 それから、性別役割分業を前提とした制度・慣行を、職場と家庭との極度の今のような分業状態を前提としないような形で、共稼ぎでも十分やっていける働き方に変えていく必要があるんじゃないか。具体的には残業の短縮というようなことであります。

 それから、企業トップ等の研修実施ということ。

 それから、1枚めくっていただきまして、特に職場における仕事と育児との両立支援の取り組みというときに、時間の制約というのが非常に厳しいわけであります。それで、ある委員が言っておられたんですが、内助の功付きの男性の働き方というのはまさに湯水のように時間を使う。仕事をだらだらやって、場合によっては残業を最初から前提とするような働き方をする。しかし、子育てと仕事を両立する女性にとっては一分一秒も惜しいわけであって、そういうふうに考えれば仕事の合理化、時間当たり生産性の向上という能率の向上というのが何と言ってもまず仕事と育児の両立支援の大前提になるのではないか。就業時間を削減して働き方も同じでは当然生産性が落ちてしまいますので、できる限り時間を大切にしたような働き方というのが必要になるのではないか。

 それから在宅勤務、弾力的勤務時間など、時間に融通の効くような就業形態の促進、フレックスタイムであるとか、短時間勤務であっても決して賃金面で大幅な不利がないような仕組み、そういう形で育児期間を確保するということ。

 それから、父親の育児休業取得義務付けというのはやや過激なように思いますけれども、これはスウェーデンでやっているやり方でありまして、1か月だけ男性にとっても子どもが生まれたときには育児休業を義務付けるということであります。今、新聞で育児休業を取った男性のことが連載されていますけれども、そういうことがニュースにならないような当たり前のような状況にしなければいけないのではないか。そうすれば、初めて育休を取った女性に対するいろいろな認識の違いというものも変化していくのではないかということであります。当然、その間には仕事に支障がないように代替要因についての工夫を企業の課ベースではなくて、むしろ企業全体のベースで考えてもらわなければいけないのではないかということであります。

 それから住宅手当等、世帯主とリンクしたような給与構造が日本の企業では多いわけなんですが、これは基本的に能力に応じて働く、能力以外の要因での支給というものを極力減らしていくということが大事ではないかと思います。

 基本的には年功・生活給ということ自体を見直して、仕事内容に応じた賃金制度というものが必要になってくるということであります。

 それから、出産・育児を機に退職しても極度に不利になることもなく再就業できるような流動的な労働市場の実現ということであります。今、中途採用の拡充とか、個人の賃金制度の選択肢を増やすなど、雇用の流動化に対応した措置を行う企業が急速に増えているわけなんですが、これは労働市場の規制緩和というものをもっと徹底させることによってこういう方向を拡大させていけば、結果として中途採用機会がより男性以上に必要な女性にとってのメリットが非常に大きくなるということであります。

 それから、職場における取り組みを支える社会の仕組みづくりということであって、企業だけでできることとできないことがある。それから、企業の中でも育児支援に積極的に取り組んでいる企業に対して、何らかのリワードが必要ではないか。表彰の実施とか、ISOなどの位置づけ、公認マークとか、企業がそれを宣伝に使えるようなものと、それから企業の取り組みを奨励・評価監視するような仕組みを設ける必要があるのではないか。 それから、これは必ずしも「働き方分科会」だけの問題ではありませんが保育所の整備、延長保育というようなものも多様な働き方を支えるために重要ではないかということであります。

 それから、その他につきましては育児に関する経済的な負担軽減措置というものが必要ではないか。児童手当等をもっと増やすということ、あるいは子育て減税とか保育費用の所得控除というようなものを実施するという意見もありました。

 ただ、そういう現金給付だけでは十分ではないわけで、何と言っても子育ての費用というのは実際に支出するお金よりも、子どもを持つことによって母親が働けなくなる。それによって生涯に失う賃金所得ということが重要なわけでして、その意味でも働き方を変えていくということがある意味では子育ての機会費用という概念がございますが、子育てによって放棄しなければいけない母親の所得を減らすという意味で、間接的に大きな効果を持っているのではないかという意見もありました。

 最後に、子育ての楽しさの広報、子育てが余り大変だ、大変だというのではなくて、子育てというのはこれだけ楽しいということも広報すると同時に、実質的に子どもを持ちたくても持てない人がいるわけですから、不妊治療等への医療保険の適用等、援助が必要ではないか。

 ほかにもいろいろ御意見がございましたが、あえて要約しますと今のような御意見をいただいたわけであります。以上でございます。

【岩男座長】 ありがとうございました。
 それでは、「家庭に夢を分科会」の報告書について、私の方から御説明をいたします。 「家庭に夢を分科会」では、家庭に夢を持てるようにということをテーマに、主に家庭、学校、地域の在り方に重点を置いて非常に活発な議論をいたしました。私どもといたしましては、家庭に夢を持てるようにすることとは家庭、家族が時間的、空間的あるいはあらゆる意味でゆとりを持って、互いを大切にし合える豊かな人間関係をつくり、これを維持することができるような社会を築いていくことというふうに考えました。

 分科会の議論においては、提案の幅を広げることを優先いたしましたので、報告書も両論併記のような形になっております。少子化への対応策としてここで提案いたしましたことは有効なものとして提案をしているわけですけれども、国民すべての人にとって日本をもっと住みよい社会にする上で非常に有効なものだと思いますので、少子化対応を離れても是非実現していただきたいというような提案が並んでいるつもりでございます。

 以下、お手元に資料に3−1として配布してある報告書の概要に沿って簡単に御説明をさせていただきます。

 報告書の第1ページの「はじめに」の冒頭に書いてございますけれども、若い世代が子どもを産まなくなっている最大の原因は晩婚化である。多くの人は、既にお話もありましたように、条件さえ整えば結婚したいと希望しているにもかかわらず結婚に結び付かないのは、社会が豊かになってさまざまな人生の選択肢が増えている中で若い男女、特に女性にとって結婚、出産、子育てに伴う負担感が喜びやメリットよりも大きく意識されるようになっているためであると考えております。したがって、働き方や結婚後の生活、子育てについてその負担を軽減し、夢を持てるようにしていくことが現在の少子化傾向を緩和するために必要かと思います。これが、私どもの分科会の基本的なスタンスであり、そのための提言を行っているわけです。

 第1の「男女の役割分業の見直しと育児をめぐる国民意識」については、まず家庭での男女の固定的な役割分担を見直して、男性が家庭によりエネルギーを傾けて家事・育児への共同参画を進めることが望まれています。このためには、夫婦双方が家事や子育てに関して一定の知識や体験を持っていることが望ましいと思われますけれども、具体的には家庭で子どものときから男女を問わず家事・育児に参加させること、あるいは学校教育でも積極的に家事・育児、男女共同参画を進める教育を行うこと。

 それから、例えば母子健康手帳に対応するような父子手帳の配布であるとか、あるいは男性に対する今、既に出ております産休や育児休業の取得の義務付けが提案されております。

 それで、男性が家事・育児に携れるようにするためには、まずその働き方の改革が不可欠であると、このように考えております。また、若い世代が幼い子どもに触れ合ったことがないために子育ての負担を実際以上に非常に過重なものと想像して人生の選択の幅を狭める結果にならないように、子を産み育てていく大切さ、楽しさを家庭を始めとするさまざまな場で実感できるようにすることが必要だと考えています。具体的には、学校教育でのボランティア活動の充実と実体験に基づいた教育、あるいは小中高校生が保育所、幼稚園で子どもと触れ合う機会をつくることなどが提案されております。

 また、子育ての社会的責任とともに、そのすばらしさ、楽しさを改めて社会全体に訴えていくことが必要であるということで、この点については例えばアメリカなどで行われているような親などの職場に子どもを連れて行く日を設けるといった取り組みによって、子どもや家族のきずなの大切さに対する認識が深まるのではないかと提案しております。

 第2の「結婚をめぐる状況への対応について」は、結婚後のライフスタイルや役割分担について、男女が相手に求めるものが食い違っており、女性が結婚後の家事・育児の負担が自分に偏りがちだと考えている状況を踏まえて、結婚後の生活における男女の役割の見直しを男女共同参画の視点から進めることが重要です。

 それぞれの生き方に合った多様なパートナーシップの形があるという認識を社会的に広く受け入れられるようにしていくことや、夫婦関係がもっと家庭の中心となるように、荒川区で最近スタートした、週末の夜に夫婦がそろって外出できるように地域で子どもを預かる場をつくったりする工夫などが提案されています。

 また、農村における結婚難というのは非常に深刻でございまして、農村の場合には出会いの場を用意してもそれに参加するとうわさになったり、非常にシャイな男性、女性が多いということですので、農村の人々のためには例えばインターネットで出会いの場ができるような新たな工夫というものが必要だと考えられています。

 次に、第3の「地域全体での子育て支援や、「住」の在り方とまちづくりについて」は、現状では子育てにおける以前ありましたような近隣や祖父母の役割が低下してきており、今後地域の持つ子育ての力を引き出すような工夫が必要だと考えられます。具体的には、孤立感、不安感から母親を解放するという意味で非常に役に立っております子育てサークルを普及するための支援であるとか、あるいは母親学級や家庭教育学級など、子育てに関する学級について両親学級というように父親や祖父母も対象とし、休日や夜間に開催すること。

 また、PTAといいますと私たち親は現役の親だけが関係しているのかと思いがちなんですけれども、そうではなくて地域住民が現役の親であろうがなかろうか、より積極的に参加できるようにしていくこと。

 それから、安心して気軽に利用できるベビーシッターなどの普及を図り、その際、経験のある女性や高齢者を活用するなどを提案しております。

 それからまた、まちづくりについてはハード面でもソフト面でも多世代の交流ができ、子どもや子育て世代への配慮が行われることが必要と考えます。

 こうした考えに立って、例えばバスのステップをベビーカーで乗り降りが簡単にできるように低くすることとか、あるいはおむつ替えのためのスペースを男性トイレにも設けるなど、安心して父親でも母親でも子どもを連れて外出できるような配慮の行き届いたまちづくりの必要性などを提案しております。

 第4の「保育等子育てサービスの在り方について」は、ここでは非常に経験豊かな方がたくさんおられますので非常に具体的な御提案がたくさん出ております。でも、ほんの1、2しか御紹介できませんけれども、まず都市部に見られる保育所の入所待機の解消というのは誠に急を要する課題であり、より利用しやすく多様な生活スタイルに対応したさまざまな保育サービスの提供が必要とされます。合わせて、保育の質の評価というものもされなければいけない。こうした観点から、都市部での認可保育所における乳児等の低年齢保育の拡大や延長保育実施の必要性など、働き方の分科会でも御提案があったようですけれども、こちらでも提案をしております。

 また、保育については地域で経費や待機についての情報がまだ今ほとんど分かっていないということで、その情報がインターネットも活用して公開され、十分な議論が行われ、そして需要に対応できる良質なサービスが効率的に提供されるべきと考えます。

 また、各自治体における子育て支援の取り組み状況を指標化した子育てやさしさ指標といったものを作成して市町村ベスト30、ワースト30などを公表するというような提案もございまして、こういう形でサービス向上の後押しをしていこうというわけです。

 更に、子どもの立場に立って保育の質を確保していくということが必要であると考え、現在行われていない保育者に対する教育の充実が必要であるというふうに提案されておりますし、それからまた更に保育の質の評価に関する研究や情報提供などが推進されなければいけないと提案されています。

 このほか、保育所や幼稚園を母親の有職無職を問わず、気軽な育児相談や集団遊びの場としても利用して育児負担軽減に役立てていくことや、放課後児童クラブ等、昼間保護者のいない家庭の小学生に対する支援の充実などについても提案がございました。

 また、勤めに行く方々が保育所に子どもを送っていってそれからというのはなかなか大変なことでもあるので、特に保育所の方向が駅とは逆の方向であるというようなこともままあるわけです。そこで、その保育所へ子どもを送迎してくれる中継場所、ピックアップステーションとでも言うんでしょうか、そういったような場所を駅の近くに設置するなどというようなことも考えられると思います。

 第5の「学歴偏重社会の見直しなど教育関係について」は、学歴偏重の風潮は子どもにも親にもゆとりを失わせるとともに、親の経済的負担を重くするなどの問題があり、子どもの数を少なくする方向に作用しております。したがって、教育行政の改革の方向を一層進めるべきではありますが、分科会においては体を使った体験学習を通じての教育を積極的に学校教育に組み入れていく必要や、奨学金の抜本的拡充などの提案がございます。

 第6の「子育てのための経済的負担軽減措置について」は、夫婦が理想の子どもの数までは産まない理由として、意識調査によりますと費用が掛かることを挙げる人が多いんですけれども、分科会では給付がある程度増えても、それを理由として子どもを持つ人が増えるかどうかは疑問であるという御意見がかなり多く出されました。

 また、議論の中で、子どもは社会全体の宝であって公共財とも言うべき存在であるので、子育てをする者としない者との間で負担のバランスを図ることは考えられてしかるべきではないかという御意見や、税や社会保障は極力個人単位化を進めるべきとの御意見もございました。

 また、具体的には妊娠・出産・育児休業・保育に関する経済的負担の軽減、例えば乳幼児の医療費の無料化を段階的に図るとか、予防接種はどこでも受けられてこれは公費負担にするとか、いろいろ具体的なことはございますが、こういった負担の軽減や税の控除全体を見直して、子の扶養控除を大幅に引き上げるべきといった御提案がございました。

 第7の「働き方の在り方その他検討を要する項目について」は、働き方に関しては職場優先の企業風土、性別役割分業を前提とした職場の在り方の見直しが極めて重要であるが、勤務時間以外は待遇差のないパートタイム労働の形態、オランダでやっているような形態が普及することも大きなポイントではないかと考えております。

 また、このほか不妊治療に関する御提案であるとか、あるいは先ほど既にお話のございました、企業に対してファミリーフレンドリーカンパニーといったような公認マークを付与するなどといった企業の在り方についても御意見がございました。

 以上、極めて簡単ではございますけれども「家庭に夢を分科会」報告書の概略を御報告いたしました。是非お読みいただきたいと思います。

 今後、これらの提言を素材にして有識者会議で議論を深めていただくとともに、政府においては可能なものから速やかに実現できるよう、検討を開始していただくように強く希望しております。以上でございます。

 それでは討議に移りたいと思いますが、本日の討議では有識者会議として当面の提言をまとめていくことに向けて御意見をお願いしたいと思います。本有識者会議に対しては第1回目の席で総理より、具体的な実践に踏み込んだ要綱のような提言をまとまるものから順次まとめていただきたいという御要請がございました。また、提言を受けた段階で全国の各界の代表者から成る国民会議とでも言うような場を設けて、提言された方策の実践や、更なる国民的議論の推進を図っていきたいとのお考えも示されたところでございます。

 このようなことを考えますと、有識者会議としてはこれまで2回のこの会議で出された意見の記録と、それから本日御説明がございました2つの分科会の報告書、そして本日これからの議論を材料として、要綱のような形で提言をまとめていくべきではないかというふうに考えております。国民的な広がりや、それから広報につなげていくことを考えますと、ある程度簡潔にする工夫も必要かと考えます。また、できればこれはすぐに取り組むべき、といった時間的な面、あるいは国や地方公共団体、それから使用者側、労働者側、子育て支援サービスの現場、家庭、学校など、だれにどんなことを取り組んでいただきたい、というような主体も明確にお示しできればいいのではないかと考えております。

 このような視点を念頭に置いて、提言の取りまとめに向けてこんな点は是非強調したい、あるいはこれまでの材料の中に出てきていないこういう点もあるというようなことを中心に、皆様からの御意見をお願いしたいと思います。

 課題は多岐にわたっておりますので、効率的な議論をするために大きく2つの分野に分けて討議を進めていきたいと思います。具体的には、まず「働き方分科会」関係の問題を中心に議論を行い、それが終わってから次に「家庭に夢を分科会」関係の問題など、残る問題について議論をするということでお願いをしたいと思います。

 では、まず「働き方分科会」関係について約40分ぐらい時間を取って御議論をいただきたいと思いますので、そのような形で進めたいと思います。

 それでは、発言を希望なさる方はいつものように名札を立てていただきたいと思います。また、どなたかがお話のときに自分は関連の意見でこの点をとおっしゃる方がございましたら、名札を振ってくださればすぐ御指名いたします。そうしますと更に議論が深まるというようなこともあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速「働き方分科会」関連の意見をお願いしたいと思います。

【渡里委員】 「働き方分科会」の先ほどの八代先生からの御説明を受け、冒頭、少子化はなぜ問題かというとらえ方について触れられまして、本文を読みますと最初のところでやはり2.08人を産まないと人口規模が維持できないというふうな書き方が出てくるんです。あとでちょっと修正はされていますが、しかしこれは第1回で落合委員が言われたとおり、2.08というのは非現実的で、成熟先進国では大体うまくいって1.5 から1.7 と。それを前提にして、今のままいっても人口推計でいきますと人口が1億になるのが2050年ですけれども、これは資源やら環境やら、そういった考え方で私は1億前後が現実的じゃないかと。 ただ、ソフトランディングさせられるかどうかが問題なので、その辺をはっきりもう少しやっておく必要があるような感じがします。労働力にしても、それからマーケットにしてもボーダレスですし、そういう点はそう問題がない。むしろソフトランディングを日本の中でどうするかがもっとはっきりしていいのかなという感じがいたします。

 それから、国と企業と個人というそれぞれの立場から検討が行われておりますけれども、やはり分科会のものを読んだ感じでは国という立場でどう取り組むのか。その基本コンセプト、あるいは国の役割というものについて十分ではないんじゃないか。何をどういうふうにしようと考えているのか、もっとはっきり示す必要があるような感じがいたします。 それから、企業については大分突っ込んだいろいろな提案がありまして、当然企業側で考えなければなりませんが、ただ、その中で稟議制の見直しとか、会議の在り方とか、ペーパーレスとか、これらはみんな行われていることであって、これらが一緒に出てくるとかえって焦点がぼけたような感じがいたしますので、この点はもう少し検討の必要があるのかなという感じがいたします。

 それから、資源のない日本がここまで成長してきたのはやはりよく働いたからだと思うんです。ただ、その働き方は指摘されているとおり男性本位、職場本位できたので、これをどう解決しながら持っていかなければならぬか。その場合のいろいろな課題というのはこれからやるんですけれども、働けなくなったときに国あるいは企業が支援するのは当然ですけれども、働けるときにはよく働く。先ほど来、八代先生が言われた生産性をもっと上げなければ日本の企業はやっていけない。そこをきちんとしないと、甘えの構造の方へどうもいきそうな感じがしますので、そこだけ十分注意していただきたいと思います。最初はそれだけです。

【岩男座長】 ありがとうございました。それではどうぞ、尾崎委員。

【尾崎委員】 私は分科会にも一度ずつ参加させていただきまして、大変いろいろな多彩な意見を伺いまして関心がありましたけれども、まず「働き方分科会」について私の立場をちょっと申し上げたいんですが、行く行く国民会議というようなことを考えた場合、やはり国民の方から反発を買うようなことは避けた方がいいと思うんですが、特に少子化の背景について先ほど八代先生から御説明がありましたけれども、マクロ経済的な視点を強く出すということよりも、この中では必ずしもこの人口は喜んで希望した結果ではないというところ、あるいは環境整備制約的な要因の状況、結果として少子化の悪影響を緩和する可能性があるというところを強調していただきたいというふうに私は思います。

 推計についてはほとんど数字が一人歩きしておりまして、2050年に1億人、2100年には6,700 万人となっておりますけれども、今の水準が続けばという前提でありまして、これについては専門家の間でも本当にそうなのかどうかについてはいろいろな議論がありまして、専門家の中にもホメオスタシスというような生理学上の言葉を使って、ある程度いったらまた反転するんじゃないかということもありますものですから、余りここのところを強調し過ぎない方がいいのではないかなと私は思います。

 それからもう一点は、分科会の意見も聞いたんですが、国際的には女性のリプロダクティブ・ヘルツ/ライツということが今キーワードになっておりますけれども、やはり農村部では先進国では日本でも女性の地位が非常にいろいろな意味でまだ低いということがこの中にもありますが、この点を強調していただければ大変ありがたいという気がいたします。

 それから、最初の会議で私は申し上げたんですが、今後の社会の活性化のためには、やはり高齢者をもっと活用するという点、特に65歳からは老人扱いされているものをもう少し70歳から75歳まで幅を広げるというような考え方を打ち出してもいいんじゃないかというふうに思っております。

 それから、読ませていただいて少しまだ十分にこなれていない難しい表現、文章がありますので、もう少し最終的なものの中ではやさしい表現にしていただければありがたいという気がいたします。

 それから、これは既に座長の方で触れられましたけれども、これはいろいろなものが混在しておりますが、行政に対する要望とか、NPOの役割とか、個人の役割とか、これをきちんとした形にしていただきたい要望を申し上げたいと思います。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。落合委員、どうぞ。

【落合委員】 私は働き方分科会の方には出ておりませんでしたので、これを読んだ感想を言わせていただきたいんですけれども、重要な論点が出されまして大変いい報告書だというふうに思って拝見いたしました。

 ただ、もう少しはっきりおっしゃってもいいところがあるんじゃないかというところが何点かありまして、1つは八代先生が口頭で、女性が家庭に入れば出生率が上がるのではという意見に対しては、その労働力減少という現実の下ではとり得ないというようなことをおっしゃいましたね。それが文中には多分入っているんだと思うんですけれども、例えばこういう広報をするような一番短いものにも盛り込まれていた方が分かりやすいのではないかと思います。

 そのことに関連しまして、職場における仕事教育時の支援とか、細かいことはいろいろ出ているんですけれども、雇用機会均等法という言葉がこのレジュメの中にないのがちょっと意外でして、やはり女性の働きやすさということを言うためには均等法の強化ということが盛り込まれるべきだと思うんです。その罰則規定等ということも含めまして、そういうふうに思いました。

 それで、今のこととまた関連するんですけれども、子どもの数を増やすためにという少子化対策と、労働力を増やすためにはという少子化の結果に対する対策と、その両方が考えられると思うんですけれども、少子化をある程度所与のものとして、その結果に対する対策というようなことをもう少し強調して書かれてもいいのではないかと思うんです。それで、先ほどの女性を家庭に入れるわけにはいかないということですとか、均等法の問題というのはまさにそのことと関連してくるわけでして、話の本筋だと思うんです。その辺りがもっと強調されてもいいのではないかと思います。先ほどの尾崎委員の御発言でもありました高齢者の問題ですとか、そういうことも含めてちょっと節立てをして、少子化の結果への対策というようなものも盛り込んでいただけると分かりやすいように思いました。あと、ちょっとこれはと思いましたのが、2の少子化の要因のところなんですけれども、大変はっきり書いていらっしゃって、女性の社会的地位が低いままで経済的地位が向上したためという答えをずばっと与えていらっしゃるんですよね。

 でも、晩婚化というのは女性もしていますけれども男性もしていまして、女性が結婚してくれないからというだけが唯一の理由で男性が晩婚化しているんじゃないと思うんです。そうじゃなくても少子化は女性のせいだと言われがちですので、またそれが言われやすくなるような言い方はやめたいものだというふうに思います。男性の晩婚化の原因などもいろいろ分析はありますけれども、家庭責任が重いので嫌だというような意見も学生などに調査してみますとやはりあるんですね。こういう不景気の中で一家を養っていくというのは気が重いというような意見もありまして、例えばそんなことを盛り込んでみてもいいのではないでしょうか。

 男性の側から見た少子化の原因というか、なぜ子どもを産まないかという理由で、経済的な理由というのがたしか一番に挙がっているという統計を前に見せていただいたと思うんですけれども、そういうことになりますと5番の「その他」のところにあります経済的負担軽減というような辺りについては、そういう男性の声には対応していることになるのかなというふうに思います。

 ただ、そう言っているからと言って本当に効果があるかどうかは分かりませんけれども、確かに子どもを持たない生き方をした場合との負担の公平性というようなことではもっと強調していいように思いました。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。田尻委員、お願いします。

【田尻委員】 まず最初の点は今、落合さんがおっしゃったんですけれども、少子化のことでよくいろいろな人に聞きますと、やはり家庭に女性を戻すというような発想をすごくするんですね。それで、男女共同参画と言って今、国が推し進めていることというのはそれと逆のことじゃないかと一般には考えがちなわけです。我々が唱えている男女共同参画というのは、もうちょっとやさしい働き方をして、それで男女で働いて、男女で子育てをしていくんだ。それがやはり子どもを産むというこれからの新しい一つの合意であると、これはある種画期的な部分で、これをもうちょっと明確に出すというのが必要じゃないかと思います。

 それと2点ありまして、実際私はサラリーマンで子育てをやってきまして、育児休業法というのは会社で育児時間を取ったり育児休業を取ったりしていく上でかなめでありまして、これをやはり少しこの提言書にあるように、例えば現在の育児休業給付金の給付率25%では大変低うございますので段階的に60%ぐらいに上げるとか、とりわけ男性が取る場合は25%ではほとんど経済的に立ち行きません。

 そうした場合に1点お話ししておきたいんですけれども、例えば男性が育児休業を取る義務付けでスウェーデンのお話とかが八代さんからも出ましたが、ノルウェーとかスウェーデンでは、例えばノルウェーの場合、80%の給付率だと52週間取れて100 %だとちょっと落として42週間取れるという段階差を付けています。だから、日本の場合60%給付をする用意があるのであればそれで12ヶ月、100 %給付だったら7か月ぐらいでやる。要するに、ちょっと段階を付けてですね。

 というのは、12か月まるまる取るというのは現実的には保育園の関係とかいろいろなことでそうそうないケースで、やはりこの制度を生かすには100 %給付をたとえ期間が短くてもひとつ用意しておくというのは非常に有効な手段ではないかと思います。また、それによって、例えば男性の育児休業取得の1か月義務付けの話がでましても、男性のオプションとして比較的取りやすいと思います。

 それと、育児時間という短縮時間ですね。やはり小学校に上がるぐらいまでは保育園の送り迎えというのは続きますので短縮時間、育児時間を育児休業法の中で、これは今、義務付けられておりませんので、それをきちんと義務づけるというのは非常に必要なことではないかと思います。

 あとはばらばら言って申しわけないんですが、我々の中で男性も女性もこういう制度をとりづらい第一の要因はお金のこともあるんですが、企業に対する評価なんですね。これは本当に企業に対する指導というような形で、例えば1回半年か1年ぐらいの育児休業を取った場合、3年か4年ぐらい積み上げていたそれまでのキャリアというのがゼロに戻ってしまう企業はすごく多いわけです。それで、復帰してからもう3年、4年積み重ねていかないと次の段階に上がらないというようなケースがすごく多いようなので、例えば半年とか1年休んだら、その期間は一応やむを得ないとしても、以前の3年ぐらいのものは続いて、例えばもう1年復帰してから働けば次のプロモーションに上がるとか、そういうようなある程度妥当な評価をしていただくことが必要ではないか。

 あともう一つあるんですけれども、東京都の資料で調べたんですが、育児休業になりましてこの制度が都の企業の中で明文化されているというのは5割しかないんですね。それで残りの5割、もう1割は慣行があると言うんですけれども、4割はほとんど社則になっていない、就業規則になっていない。ですから、やはりこれは社則の洗い直しといいますか制度の明文化、育児休業法に少なくともそれはしていくべきではないか。

 ばらばら言いますけれどももう一つだけ言わせていただきたいんですが、私はやはりこの働き方の目玉というのは、中間的な働き方の確立として岩男さんがおっしゃっていましたパート労働ですね。オランダの例を含めて、これのもう少し具体的な道筋をただ単にこういう働き方がいいというだけではなくて、例えば今ある男女共同参画基本法、来年できるそれにある程度道筋をつけるような間接差別を禁止していくというようなことですとか、スウェーデンのように実際に週17時間以上働けばほとんどフルタイムと同じ条件がそろうようにパート法みたいなもので決めるとか、ある程度の道筋をこの少子化の会議を発端にパート労働についてもうちょっとつけていただきたいと思います。

 長くなりましたけれども以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。小西委員、どうぞ。

【小西委員】 田尻委員がかなり私の言いたかったことを言ってくださったので、簡単に申し上げます。

 なぜ家庭に入ったらいけないのかというところで今、お2人が言ってくださったことで私も是非入れていただきたいのは、地方とか、ここの中ではそういうことはかなり皆さん合意の上なんですけれども、本当に議論がたくさんあって分かっていただくのが難しいということを非常に思います。例えばこの都道府県の特殊出生率の表を見ても、割と保守的で女性の就業率が低いところの方が現実に高いわけですね。そういう実態がありながら就業を楽にするという方向で推すんだということについては、非常に丁寧に説明していただかないと、国民会議というレベルに出た途端に机上の作文と化す可能性があるので、できたら私がもう一つ言っていただきたいのは今、経済的なところからの議論だけになっていますけれども女性の人権、あるいは企業で一生働いて家庭に帰れない男性の人権、そういうことから考えても人の人権の問題として当然そちらの選択がたくさんある側にいかなくちゃいけないんだということを入れていただいた方がいいと思っております。

 もう一つは、やはり今、言われた育児休業などの問題なんですが、結局男性の意識改革というのが一番大事になるわけですけれども、女性はこれで損をしませんが、損をするのは結局企業と、多分少し楽をしている男性なんです。だから、その人たちに義務として言わない限り、今まで2人分のお金を雇っている企業はやはり腰が重いですよね。ですから、どんなに小さくてもいいですから今、言われたように育児休業が1年である必要はないと思いますけれども、何らかの義務化規定として国から言っていただく最初の一つの象徴、シンボルでも構いませんけれども、何か義務として言っていただかない限り、そこが変わらないんじゃないかと思います。

 大体、補足したいのは以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。河野委員、お願いします。

【河野委員】 「働き方分科会」の方で、八代先生にはあれだけの意見をまとめていただいてありがとうございました。

 「働き方分科会」の方のこちらの意見で、先ほど渡里委員から国、企業、個人のスタンスですねと言っていただいたときに、私も改めて個人というものをもう少し考え直した文章にした方がいいかなと思いました。

 というのは、個人というと今日組合の代表の方もいらっしゃるんですが、正社員である個人ととらえる企業の社員が非常に多くて、既得権を行使すると社宅の問題であっても年収の問題であってもパートが入ることによって自分たちがとか、いろいろな問題がたくさんあるわけですね。それで、この個人というのをこれから子どもを産む学生というか、結婚する学生でもいいし、またはパートで再就職しようという女性でもいいと思うので、もう少し21世紀を担っていく一個人のような、今、私は表現力を持ち合わせていないんですが、もう少し広いイメージを持った上での今回の働き方というふうにすると、よりいいのではないかと思います。

 それで、ついでに既得権の部分なんですが、多分これを推進していく上では非常に個人と言っても組合の方もいるし、経営者だって今はサラリーマン経営者もいますし、いろいろな方が出てくると思うので、ずばっと方向性をある程度出していいかどうかはあれですが、出された上での各論議論にしていかないと、また元に戻ってきてしまうかなと、ちょっとこの個人ということから思いました。

 あとは2、3点、各論で申しわけないんですが、先ほど尾崎委員が高齢化とのリンクのことをおっしゃいましたが、私も実はこれはある分野でずっとお話をしているんですが、今の高齢化で55歳から60歳に関しての雇用が、実はこのほんの1年少しなんですが急増してきたのは、やはりそこのところで今、政府が雇用された企業に何かしらの助成をしてくださっていますね。ですので、40代は生活費が一番必要なので、40代の管理職の転職率ががんと減ったのはこの1年間なんです。これはNHKでも何度も報道されているんですが、私も実感で思っていまして、その辺もひとつ問題なので、そういう企業の中にありながら、では今度は逆に高齢で出ていく場合、60以降だけではなくて52〜53から役職定年で出ていくこともこれから可能になります。

 そこで、雇用の創出の部分でかなり具体的なんですが、その部分を育児等に行政、地域の中で何かカップルで奥様と改めて、昔の何とか落ち葉にならないように、2人でこれからまた職業をというようなイメージで50代、60代から地域で子育てを支援するようなことが収入としてもできるようになればよろしいのではないか。昨日か一昨日、テレビで鷲尾委員長だったと思いますけれども、雇用の創出で高齢者のことで私と同じことを言ってくださっていたので、例えばとおっしゃったときに耳を傾けていたんですが、介護と学校の中でのことしか出ていなくて、学校の中というのは授業以外の休み時間に遊んであげる人ということで、これは確かに少子対策としてもいいと思うんですが、なかなか育児の支援まで出てこなかったので、もう一歩踏み込んでそこまで考えていただければありがたいなと思いました。

 それから、これを具体的に落とし込んでいく場合のことなんですけれども、もちろんこちらの中すべてに入ってはいるんですが、まだまだ企業の受け入れ体制はこんなものでは簡単にいかないだろうと思います。先ほどもありましたが、絶対に経営者の意識改革は必要ですので、何とか日経連さんも含め、そのお力でまずは意識だけでも持ってもらうことと、あとは具体的にこれをやるのは分科会でもお話ししたとおり、多分人事部の担当者だと思います。ですので経営者、人事部へのアプローチをどのように具体化していくのか、またはガイドラインをどのぐらいつくって企業に渡すのかというようなことまで考えていかないと今、企業の中では企業そのものが死活問題で人事部員がどんどん削減されていますので、なかなかそこまで手が回っていかないのではないかというのが現場だと思います。 それからもう一つは、先ほども小西委員がおっしゃっていましたけれども、女性は損をしないんだけれども男性がといったことで、男性も、または今、働いている女性もいるかもしれないんですが、そこで皆さん雇用不安がすごいんですね。今アンケートを取れば、雇用不安というのは1位に来ます。ですので、そういう雇用不安の中でこういうことをするというのは、先ほど田尻委員もおっしゃっていた評価とのリンクもありますので、改めて私はこれから子どもを産むということは、その子どもが私たちの世代を財源的に支えてくれる子を産んでいただくんだぐらいの気持ちというか、それをもっと文面というか、前面に出して、こちらには財産と書いてあるんですけれども、もっともっとその辺はアプローチしてもよろしいのではないかと思いました。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。前田委員、お願いします。

【前田委員】 先生方がいろいろいい意見を言ってくださいまして、重なる部分もあるかと思うんですが、4点述べさせていただきたいと思います。

 1点目は、小西委員が言われたんですけれども、スウェーデンも男性の育児休業制度を義務化したり、どうしてそういう社会になったかというときに、アルバ・ミュルダールの本を読みましたら、そこにスウェーデンは日本より早く高齢化が進んでおりますので女性の労働力がどうしても必要だということも書かれているんですが、やはり2つ目にすごく大事なのは男女間の余暇と労働の再配分だと書いてあるんです。60年代のスウェーデンも男性の過労死と、子育てが終わった女性たちが働きたくても働く場がないというのが問題になっていたらしくて、彼女は、働き過ぎで家庭に戻れず早死にする男性がいる一方、社会に貢献したいと思う女性がいるのに出る場がないのはおかしい。男性にとっても長時間労働の負荷を半分女性に担ってもらうことによって、家庭に戻って子育てをする喜びを味わう権利もあるし、一方では女性は今まで自分が預かっていた余暇を男性に渡して、代わりに経済的な重荷を担うことによって男女間で家庭で過ごす時間と経済的な活動で社会を支える義務をシフトし合うということですね。

 それを読んで私もすごくいいなと思って、それが進めば朝日カルチャーセンターもスポーツクラブも男女半々ぐらいになるのではないかと思います。そういう意味でも、これは男性にとって損ではなくて、男性にとっても人生の長い時期ですが、男性の場合は働いているときはほとんど労働で、突然定年でぬれ落ち葉になるわけですね。そうじゃなくて、子どもとかかわる時期からそういう時間を持てるというのはそういう得になる部分があるよというのを書いていただければと思います。

 それから2番目は田尻委員、河野委員からもお話があったんですけれども、私は個々の話しかできないんですが、働くお母さんをめぐる状況が非常に厳しくなっておりまして、そんな中で更に次の結婚や子育てを控えた世代が今、雇用も不安ですので、子どもを産んでも安定的な家計を支えていく自信がないということと、一方で子どもを持つということは職場でハンディを負うということで、非常に職場での地位が危うくなるんじゃないかという恐怖観念が出てきまして、このままいくと更にひどい少子化が進展するのではないかと思うんです。

 そのためにも、企業で安心して子どもを産めるような仕組みをつくらないといけないと思います。個々の企業にとって今、経済状況が悪いのでとてもそんな状況ではないということは分かっているんですが、それが更に深刻化して弱い個人にひずみがいっていますので、この状況でいくと更に若い世代の出産延期が進むというふうに考えております。

 ですから、企業に関してはいいアイデアがいろいろ出ているんですけれども、いかに企業がそれを実行するかということが大事だと思うんです。日経連も経団連も同友会もすごくいい提言を出していらっしゃるんですけれども、自分たちの企業でやっていらっしゃるのかどうかよく分からないところがありますので、是非やっていただきたい。やらないといけないような仕組みを何かつくる。つくらないと、やはり育児にやさしい企業というのはそれだけコストが掛かりますので競争市場では負けるということになりますから、何らかのやらなくてはならない一斉のスタートラインに立つというような仕組みが必要だと思うんです。それが社会政策の意義だと思います。

 それから3つ目に、私はすごい危惧をしておりますのが、「働き方分科会」の議事録を見せていただいたら出ていたんですけれども、男女雇用機会均等法における女子保護規定の撤廃が非常に危ないと思っています。私が実際にいろいろな働くお母さんに聞きますと、女子保護規定が外れた状態ではとても働き続けられないという方がほとんどで、三世代同居で実家の親と同居なさっている方は何とか乗り切れるとおっしゃるんですけれども、核家族になると100 %無理だとおっしゃっていたんです。

 私が危惧していますのは、この女子保護規制の撤廃がむしろ子持ちの女性を辞めさせる手段として使われるおそれがあるのではないかと思うわけです。転勤辞令とか、あえて残業のある職場に回すとか、そういう意味で自分から続けられないので辞めさせていただきたいというふうに使われる可能性があるんじゃないかということで、99年4月から施行になりますけれども、早急に何らかの子育て中のお父さんもお母さんも守っていただけるような具体的な案を考えていただきたいと思います。

 それから4番目は、将来に対して非常に暗いイメージが多くてそれを何とかしなければいけないということなんですが、いろいろ改革をすれば将来的には実際に少子化が克服されるかどうかは別として、少なくとも結婚や家庭に夢が持てて、子どもが産みたい人は産めるし、子どものかわいさを十分味わう余裕がある人生を送れるというような、この改革の後にはどういう社会を私たちが望んでいて、どういう社会がくるだろうかというちょっと明るいイメージも国民会議の段階では出していただいた方が希望がわいてくるんじゃないかなという気がしています。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。河野委員、どうぞ。

【河野委員】 今の女子保護規制に関してなんですけれども、実はこれはスタンスとしてお子さんがいない人で独身を貫く人が出てきているのと、子どもを産めない人とかで、中には思いきり働けるという人も出てきているのは事実なんです。ですから、おっしゃったとおりこれを子どもをもつということに当てはめると非常に厳しいんですけれども、これはどう運用させるかというか、どういうふうにとらえるかというところが問題だと思うんです。

【前田委員】 私は思いきり仕事をしたい働く女性にとってチャンスが広がるといいと思うんですが、それは更に女性の中で子どもを産み育てる人と、あえて結婚せず、子どもを産まず、男性並みに働く人と、またその女性の中の差別を生むと思うんです。

【河野委員】 女性、男性、いろいろな人がいてもいいかなと思うので、仕事に燃える人、燃えない人というのがあってもいいのではないでしょうか。

【前田委員】 もちろんそうですけれども、それが会社の中で一人前であれば、子どもを産む人はハンディを背負っているから一人前じゃないということになりますね。

 私がちょっと危惧しましたのは、総合職でばりばりやっている女の人たちにインタビューしたんですが、そういう人たちは子育てのイメージはすごくマイナスなんです。子どもを産むということが職場にマイナスをもたらす。つわりで気分が悪くなるような人が職場にいるのは許せない。つまり、自分が妊娠、出産によって二軍社員になることは許せないという感覚をすごくお持ちなんです。子どもを産むことがハンディとしか思えない職場になるのは少しまずいなという気がしているんです。

【河野委員】 多分、この後出てくる、そういうものがあった上で今度はキャリアコースの選択制等があれば一時リタイアし、またカムバックするですとか、その辺があれば一時的に妊娠中は仕方のないことだとは思うんですけれども、難しいですね。

【前田委員】 有名な労働経済学者の辻村江太郎先生はおっしゃっているんですけれども、社会政策がなぜ労働市場に必要かというと、何もなしに自由競争に任せれば、若くて力のある者だけが生き残る。しかし、世の中には子育て中の女性や高齢者、体の弱い人もいる。そういう人たちも同じように市場で仕事を見つけるためには社会政策の必要がある。そうでなくては、子育て中の女性や高齢者や身体の弱い人は労働市場の市場自体に入り込めないということを言われています。

【岩男座長】 それでは、落合委員どうぞ。

【落合委員】 まず、先ほど前田さんのおっしゃった女性と男性の余暇と労働の再配分というのはすごくいいと思うんです。全体として、男性にとって耳に痛いことが多い報告書になると実現されないだろうなというふうに思いまして、やはり若い男性とかを見ると子育てをしたい人というのは増えていると思うんです。結構恥も外聞もなく子どもをかわいいと言いますよね。そういう人たちなどにももっとアピールする。企業にまる抱えにされていたくないと思っているある世代から下、あるいはもっと上でもあるんでしょうけれども、そういう男性の気持ちにアピールする書き方ができるなというふうにそれで思いました。 それと、男性に厳しいのと同時に企業に厳しい報告書になってしまうと、これもまた実行性がない。この時期に企業に多くの負担を強いるというのは余り現実的ではないのではないかと思うんです。公的資金というのはこういうところが使いどころだと思うんです。子どもを増やすというのは社会全体に本当に役に立つんですから、使いどころはここであると。例えば先ほどの育休を取った場合の給与の補てんですけれども、それを増やすといった場合、企業が多く支出しなければならないということになればもちろん二の足を踏むでしょう。でも、いっそのことそれは全部公的に出すというのでもいいのではないかと思うんです。子育ては公的なことなんですから、そういうことを公的にやっても、それでも企業の方としては一たん中断してきた労働者をまた同じ職場に復帰させるとか、そんなところで負担に思うのかもしれないので、なるべくその企業の負担は減った感じがすることとか、あるいは育休を出すと何か企業は得をしたような気がすることとか、そこまでできなくても、給与は出さなくていい。その分は国家が出してくれるというのでいいじゃないですか。何かそのぐらいやった方がいいんじゃないかと思いました。

 それからパートタイマーのことなんですけれども、先ほど私が申しました少子化の結果への対策というところでもパートタイマーについてというのを意識して書いた方がいいだろうと思います。103 万円の壁とか、130 万円の壁とか、そういうものがあることが身分差別を生んでいる大きな原因だと思うんです。そういうものがなければ少しずつ税金も増えていくし、少しずつ保険料負担も増えていくということであれば、どこまでがパートタイマーでそうじゃない人はどこからということがなくなりまして身分制ではなくなると思うんです。柔軟な働き方の選択ということにつなげていける。ですから、百何万円の壁というのは非常に悪い制度だと思いますので、撤廃した方がいいということを書いてほしいと思います。

【岩男座長】 今のパートタイマーのことで補足させていただきたいんですけれども、第1回の会合のときに私がオランダを見に行ったときのお話をいたしましたが、雇用の創設という意味でも景気回復にもオランダはパートとフルタイムを同格にしたことで成功したと言っています。冒頭に分科会の御報告をしたときに私は、少子化対策は実は社会全体をよくすることに使えるものがたくさんありますよということを申し上げたんですが、例えばパートタイマーに関する提案もその一つです。パートタイムとフルタイムを勤労時間だけの違いで、あとは全部同じにしてしまうというのがオランダのやり方ですけれども、実は今、日本では官僚の天下りというのがものすごく厳しくなっているわけですね。ところが、オランダの場合パートであれば2つぐらいの職業を持つことができるわけです。例えば、厚生省に勤めながらどこかの企業に週に何日かは行くとかですね。ですから、あるところで退職をして次の職場を探すという、今の天下り方式というのはいろいろな意味で問題があると思いますけれども、そういう二足のわらじ、三足のわらじをみんなが履くような社会になりますと、自分が何に向いているのか、どういうところに能力があるのかということを非常に長いライフスパンの中で考えることができます。私はこういう仕組みをもっと日本は本格的に考えたらいいんじゃないかと思うんです。

 それからもう一つは、今まで議論されていなかったことで、これからの経済のグローバライゼーションの中で、競争に勝っていくためには、リスクを負わないと競争に勝てないというようになってくるわけです。リスクをとるために何が必要かというと一家に2つの財布が必要になります。

 つまり、片方がメインで片方はほんの付け足しというのでは危なくてリスクなんかとれないわけです。ですから、ほぼ両方とも6割とか7割、それで十分暮らしていけるような仕組みにしておかないと、これからの国際的な競争には勝てないんですね。そういう意味で、私は日本の経済が強くなり、国際的に勝っていくにはどうしても2つの財布というのが家庭の中で必要だということがだんだんとみんなに分かってくる。非常に厳しい状況というのは実はそういうことで、それぞれ家庭の中でセーフティーネットを考えておかないととても危険だと思うんです。

 ですから、そのようなことも含めて少し広く、いろいろなメリットのある対策というのをここで考えているんだということなんです。ですから、育児休業にしても私は決して男性が損をするとは実は思っていなくて、長い目で見れば得をする部分も随分あると思います。

【小西委員】 少し私の考えを補足しておきますと、もちろん男性個人は損はしないと思うんです。

 ただ、さっき言われましたように、内助の功を含めて2人分雇っていた会社にとっては、2人分じゃない1人分の人が2人になるという意味では当然企業は損ですよね。しかも、多分ここにいらっしゃるたくさんのキャリアの官僚の方とか記者の方、そういうエリートの方も、自分もそういうふうに働くという心構えがないとだめなわけですね。そういう点では、男の人に要求されているものは非常に大きい。そういう点で、損というよりショックでもあるし、企業や国にとっては損であるというふうに言ったと御理解いただけるとありがたいと思います。

【岩男座長】 ありがとうございました。

【八代委員】 今の点で、簡単に主要な点だけリスポンスさせていただきたいと思います。 いろいろ貴重な意見をいただきましたけれども、非常に参考になりました。

 ただ、言っておきたいことは、女性が家庭に帰れば問題が解決するということに対する批判というのは報告書の10ページには明確に書いているつもりで、これは是非もっと強調したいと思います。10ページの中ごろでございます。

 それから、私がちょっと気になるのは、少子高齢化というときに、高齢化対策というのはそれをやり出すとまた膨大になりますのでここでは書いていないんですが、高齢者の活用ということと既婚女性の問題というのは実は非常に似ているわけで、両方ともフルタイムで滅私奉公的な働きができないという点で共通しているわけですから、もしそういうものも含めてやるんだと言えば、それはそれで加わることは可能だと思います。

 ただ、幾つかの委員の方の御発言でやや私が気になったことであえて反論させていただきますと、尾崎委員がおっしゃった、これは数字が一人歩きしているんだ、ある程度までいけば自動的に反発するのではないかという御意見があることは私は承知しておりますけれども、ただそれは非常に危険な意見であって、そうすると別にそんなに大騒ぎしなくてもいいんじゃないかということになってしまうのではないか。今まで厚生省の出生率の見通しはことごとく間違えていて、しかも一方方向に間違えているというのはそれだけのコンシステントな間違い、なぜ間違えたかということの論理があるんじゃないか。その論理の一つが女性の就業が増えてきたということであって、もしそうだとすればそれは今後更に進むわけでありますから、ある意味で反転するということはよほどの政策をしなければないわけですね。ですから、そこはもし余り過去の傾向にばかり見てはいけないという見方であれば、かなりこれは政策的なニュアンスが違うんじゃないかというふうに思います。 それから、落合さんのおっしゃった点で、それは余りにもエコノミストの見方である、女性のせいにし過ぎるということなんですが、これは決して女性のせいにしているのではなくて、なぜそんなことが起こるかと言えばそれは女性の社会的地位が低いんだから、女性の社会的地位を向上すればそんなことはなくなるということを言いたいわけです。

 それから、男性だって結婚しないじゃないかということなんですが今、説明したいのは単に日本の出生率が低いということではなくて、刻々と低くなっているという変化の説明なんです。変化を説明するときには、男性の行動というのは昔から見てどう変わってきているのか。昔から見て、ある意味で男性の意識というのはそんなに違っていないんじゃないか。過去75年以来出生率が下がってきたという変化を説明する要因というのはやはり女性の経済的地位の向上であって、男性の経済力は昔も今もそんなに変わっていないんじゃないか。

 ですから、そういうふうに変化しているものと変化していないものを比べれば、やはり女性の就業構造というのがだれのせいということではなくて重要な要因である。それは今、言いましたように今後の予測にも使えるし、政策にも使えるわけで、そういう意味でこのロジックというのは、これを否定したらあらゆる政策が全部要らなくなってしまうんじゃないかという点を危惧するわけであります。

 それから、小西さんの点で企業は損になるということですが、私はそう思わないのは、2人分雇っていたけれども逆に生活給という形で2人分払っていたんですね。ですから、今後これは企業にとってみるとフラットな賃金を入れることのいい口実になるわけで、個人単位の賃金制度、個人単位の年金制度というのはまさに1人分しか払わないよということになるわけで、そこは明確に言えばいいんじゃないかと思います。

 あとは、男女雇用均等法の話が十分でなかったというのはおっしゃるとおりかもしれません。そういうものは是非入れるべきだと思いますが、おっしゃった点に同意する点はあえて言わずに、どうかなという点だけをお話しした次第でございます。

【岩男座長】 ありがとうございました。

【高木委員】 これからどういう議論をしていくのか、その議論のやり方にもかかわるんだろうと思いますが、皆さんこういうふうにそれぞれ思ったことを御発言なさって、どなたかがそういうのをしんしゃくなさったという建前で報告書をお作りになるという形なんですか。

【岩男座長】 後ほどお諮りしようと思っていましたけれども、それでは今お諮りしますが、何らかの形でまとめなければいけないわけですが、まず報告書なり提言書の素案を私と、それから本日御欠席ですけれども河合座長代理と、それから八代先生にお入りいただいてとりあえずまとめて、それを皆様に見ていただいてまた直していただくというような形で進めないとまとまらないと思うんです。ですから、これまでの御意見、それから2つの分科会の報告書、それから本日出た御意見、これだけを一応全部踏まえた形で少し簡潔にしなければいけないと思いますけれども素案をつくり、そしてそれを皆様に見ていただき、次回はそれに基づいて議論をしというような形で進めたいというふうに考えております。

【高木委員】 項目ごとに順番にステップを追ってという議論の仕方じゃないわけですね。

【岩男座長】 先ほど申し上げましたように、今日は既に出た点でここは是非強調したいとか、あるいはこの点が抜けているというところを中心に、これまでの議論並びに分科会の報告をふまえておっしゃっていただきたいと考えております。

【高木委員】 それならば、私も発言させていただきたいと思います。

 総論的な話なので、もう一つの方の分科会にもかかわるんだろうと思いますが、例えば「働き方分科会」の方の1.39とか2.08、1億だ、六千何百万だと、いろいろな観点から分析されたということかもしれないんですが、人口の増減というものは社会のいろいろな営みの結果ではないか、そういう意味では、少なくとも数字にリファーされることは結構だと思うんですけれども、もっとこの数字を上げましょうとかという書きぶりはすべきじゃない。安心していろいろな現在の仕組みが持っていることをハンディだと思っている部分がたくさんあるならば、そういうものを直すことによって結果としてそういうふうに、ここのアプローチはまさにそうだと思います。そういう意味では、労働力人口が減るから女性は働き続けるべきだとか、あるいは男性は働き続けるべきだという論理は私は余りいただけない論理ではないかなと思います。

 そういう意味では、子どもを安心して産み育てられるために、あるいは働き続けるために現在の仕組みはどこがおかしくて、そのためにどういうサポートの仕組み、あるいは制度を直すのか、あるいは新しい制度をつくるのか。そのために企業が何を求められ、あるいは地域社会が、学校が、家庭が、これは釈迦に説法みたいな話かもしれませんけれども、先ほどどなたかが人権のことを言われましたが、多くの部分というのはやはりそれぞれがそれぞれの立場でいろいろ考えたり判断をして人生を考えているわけですから、そういう意味では随所に義務化というような発想の提案もありますけれども、これは各論でみんなで議論していったらいいと思うんですが、プラスのインセンティブを与えるという意味でならばOKなんですが、マイナスのペナルティーで何か強制するようなアプローチというのはいかがなものでしょうか。よほどの状態のときには誘導政策なり、状況化政策という意味でならばあるのかもしれませんけれども、その辺は総論的に気になった点です。

【岩男座長】 第1回の有識者会議のときに、事務局は非常に注意深く、より多くの労働力が必要だから子どもを産んでほしいということではなく、また、結婚するとか子どもを産むとかということは個人の問題ですということをくどいぐらい私は書いていらしたように思うんです。ですから、そこのところは私は既に誤解はないんだと思っておりました。この点はまさに今、高木委員がおっしゃったように、産みたくても産めないとか、産んでも育てるのが非常に大変だという状況があるので、結婚し、子どもを産み、あるいは子育てがしやすいような社会をつくっていこうということだと思うんです。

 ですから義務化という言葉も、高木委員がおっしゃったような意味での義務化というのは私はないんじゃないかと思います。要するに、義務化として先ほどから出ているのは、例えば育児休業を男性も1か月取るというようなことができればというお話だったと思うんですけれども、それはどうしても子どもを産まなければいけないという話ではなくて、子どもを産みたい人が産んだときに女性だけの負担ではないように、先ほどからありましたように仕事と余暇と家庭責任を両性の間でもっとバランスの取れたものにしようという、そういう分脈の中でのお話だと思うんです。

 ですから、その辺はこれからも注意して書いていかなければいけないとは思います。

【高木委員】 今後、論議の中で気になる表現やら気になる発想があったら私も発言させていただきます。

【岩男座長】 確かに、広く国民各層にアピールをしていこうと思えばいろいろな誤解が生じるだろうということも考えられますし、その点は十分に気を付けていかなければいけないと思いますので、是非御指摘をいただきたいというふうにお願いをいたします。

 それではもう一つの分科会、「家庭に夢を分科会」の報告書関連の意見交換に移りたいと思います。少し時間が押しておりますので、25分から30分弱ということでお願いをしたいと思います。御意見がおありの方はどうぞ。

【杉山委員】 すばらしくまとめていただいてとても感動いたしました。大体私ども及び分科会でいろいろな方がおっしゃられたことが、この報告書には入っているなと思いました。 それで、要綱でもっと簡略的にまとめていくということで、それはそれでもちろんアピールするに当たって必要なことだと思うんですけれども、分科会でいろいろな方がいろいろな意見をおっしゃられた部分も取りこぼしのないように、例えばメモを添えるとか、こういう意見があったということを別仕立てで御用意いただいて国民会議の方に持っていっていただけるように取り計らいをしていただいたらいいかなと思いました。

 それと、先ほどのことを蒸し返すつもりはないんですけれども、少子化というとどうしても数字の話になってくるんですが、とにかく今、一番切実に感じているのが、実際に小さい子どもを育てている母親は、少子化というだけでちょっとむかむかっとくるぐらい、私たちが本当に産めないのはと思っていると思うんです。もう少し上の世代の方になると、大変だな、何とかしなければならないなと思いながらも、切実感という意味ではなかなかイメージできないのではないかと思うので、どうしてつらいと言っているのか、その理由をきちんと分かってもらいたい。つらいというのは、マスコミやただのお母さんの思い込みなんだというふうにメディアを通じて働き掛けましょうではなくて、まずつらい理由を一つ一つ分かってあげてほしいということですね。母親を責めるのではなくて、そう言えばここに手が足りなかったねということを個人が気付いて、できることをやるというだけで大分違うと思いますので、そこの辺りをお願いしたいと思います。

 女性は、働き方にも戻るんですが、再就職したいと思っております。これだけ経済が厳しくなってきますと、お父さんは明日リストラされるかもしれないというふうにはらはらしながらも、だけど私は何もできないというつらい思いをします。夫にしても、妻が働いていたらどれだけ助かるかという思いに今、気付いたというお父さんも多いと思うんです。 女性が働くことによって気付くことはたくさんありまして、例えば育休を妻が取って、そのときに職場でどんな仕打ちをされたかということも、妻がされていれば夫は腹が立つし、何とかしなければというふうに気付く。そんなふうに職場なり家庭が流動化することによっていろいろなところが見えてきますので、まずはやはり個人になってくるんですけれども、そういうことを個人がやりたいと思ったらやれる状況を変えていくということが大事なのではないかと思います。

 もう一つ、行政側にお願いしたいと思うのは、若い母親たちが声を挙げたいと思ってもどう挙げていいのか分からなかったりですとか、ニーズをつかんでもらっていないなという実感をいつも感じておりまして、今回この会議に私がこのように出席させていただいたというのも非常にうれしいことだと思うんですが、いろいろな行政の場面でまず当事者である母親の声を聞こうとか、そういうふうに発想していただければと思います。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。渡里委員、どうぞ。

【渡里委員】 保育所のことにつきまして、保育所の充実が少子化対策の重要なインフラの一つであることは随所で強調されていまして、そのとおりだと思います。

 それで、今日は大臣もおられるので具体的な提案なんですが、それは東京都あるいは狭義の首都圏でいいんですが、そこで今、駅型保育所の待機者が大分多いわけですが、いないところまでやる実験をされたらどうかということです。今日の資料でもお分かりのとおり、東京都は出生率1.05と一番低い。一方で待機者が8,000 人いるわけです。これは相関関係があるかどうかは別として、職住接近と言ってもすぐ直るものではなくて、東京の場合は通勤しながら通わなければならぬと思うんです。そういうことを含めた場合、ほかの地域もいろいろ問題はあると思うんだけれども、東京都に焦点を当ててみて待機者がほとんどなくなるまでの公立の保育所をつくってみる。それで、そこにこれに書いてあるとおり延長型とか、夜間保育とか、あるいは特に病気のときの心配を非常にお母さんたちはされておられますので、そういうことを含めた実験を是非実行していただきたいと、こういうふうに思いまして提案いたします。

【岩男座長】 後で大臣にはお話をいただきたいと思いますので、とりあえず先へ進ませていただきます。
 板本委員、お願いします。

【板本委員】 2点ほどですけれども、結婚の状況の中で農村の結婚についてできるだけ簡略化するということなんですが、農村の結婚の問題について調査研究が必要ではないかという1行で簡略過ぎるので、できましたら1、2点付け加えていただければと思うんですけれども、働く方の問題で農村の女性の位置付けということの問題がきちんと指摘されていますので、そことダブらないようにというか、多少関連はしますけれども、とりわけ結婚難の中では2つほどございます。

 1つは、各行政がやっている配偶者対策の実態なども調査が必要なのではないか。これは、幾つかの市町村段階の行政が予算を使ってやっているんですけれども、1つの県で大体1億円前後が配偶者対策に流れているわけです。男女の交流会とか、結婚相談員制度とかですが、その主たるものは後継者である男性のために女性をどこからか連れて来るという一方通行の対策なわけです。これは男性のところに固定化することであり、女性は無条件で農村に行くということになってしまうわけで、ここら辺の実態をつかみながら、もうこれでは限界であるということの新たな示唆につながっていくための前提としての調査が必要ではないか。

 もう一つは、やはり農村特有の形として多世代同居の家族関係がもたらす女性への抑圧とか、それから若夫婦単位への抑圧とか、あるいは自由に自立していくことへの阻害などにはなっていないかということで、家族のありようとか、配偶者対策のありようなどを中心として調査や研究をし、新たな農村という家族経営に根差している家族、あるいは農業がどういう働き方やどういう家族形態をつくっていくかということにつながっていくような調査の必要があるということが付け加えられればいいのではないか。

 それから関連してもう一つは、農村がいかにも男尊女卑でまだまだ古いと。確かにその側面はありますけれども、農村は子育て環境あるいは女性が自分を生きるという環境としてまだまだいろいろな可能性を秘めているので、いいような側面、それから改善された側面を、先ほど出会いの中でのインターネットの使い方もありますけれども、そういった農村のプラスの部分の状況をもっと都市社会の人たちに知らせていくことが大事なのではないか。

 すなわち、農村には若い女性たちもいない。女性の意見も反映されていない中で、結婚というだけではなくて女性たちとつながっていくためには、都会にいる若い女性たちや、若くなくてもいいんですけれども、いろいろな女性たちがまちづくりや村づくりへの応援団である、アドバイザーである、あるいはサポーターであるということでまちづくりにかかわっていけるようなことを行政も求めていますので、そうすると女性が住みやすい、そこへ流れていきやすい、あるいは関心を呼ぶ、そういったまちづくりプランの中に、結婚しなくても、そこに住んでいなくてもかかわっていけるような状況をつくっていくというところに結び付くような意味での調査や研究も必要ではないかということの視点が入れられればと思っております。

 それからもう一点ですけれども、「家庭に夢を分科会」のところで最初の男女の役割分業の見直しで、ページで言うと3ページ目なんですが、家事・育児に関する若い世代の教育の真ん中辺に、次代を担う世代が家庭を始めとするさまざまな場で実感できることが必要で、なお成人式をそのための機会として活用するというくだりがあるんですが、これは分科会の中で成人式を活用するために結婚や子育てに夢を持てるようなリーフレット、パンフレットを作り、配布してはどうかというような具体的な案が出ていましたので、自分を今まで育ててくれた家族から巣立って、自分が今度は新たなパートナーや家族をつくっていく、そういう立場に入っていくんだという自覚を促すという意味でも、成人式にやはりリーフレットやそういったパンフレットですね。夢を持ってパートナーシップを持ったり、自分が新たな家族をつくっていくんだという、まさに成人していくという自立を促すようなことも具体的な案として入れてみてはどうかということです。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。すみません。それは私が実は落としたんです。

 というのは、文部省の方が、これは非常に愚直なやり方ですがとおっしゃって私もいささか新味に欠けると思ったものですから、つい簡潔にする過程で落とす提案をしてしまいまして大変失礼をいたしました。

【板本委員】 これはやはり農水省との絡みもあると思いますし。

【岩男座長】 私はパンフレットぐらいではあまり効果がないと思ってしまったものですから失礼しました。それでは、三浦委員お願いします。

【三浦委員】 報告書の7ページ以降にまちづくりの話が書いてございまして、全体としてバランスよく気配りして書いてあるんですけれども、9ページのまちづくりの括弧で囲った以下が完全にハードウェアだけの話になっているんです。それは都市計画ならば分かるんですが、まちづくりと書いてこういう話だけだとちょっと私は違和感を持っていまして、逆にこういう町であれば、例えば多摩ニュータウンにあるじゃないか。多摩ニュータウンが杉並ぐらいの距離にあればいいのかという話になるんですが、そういう単純な問題ではなくて、単にベビーカーで押せればいいだけではなくて、実際に少年期を過ごすときに逆にニュータウンというのは余りいい町ではないというのは最近非常に指摘されているわけでして、もっと地域全体とか、働いている姿が見えるとか、そういうことが別のところには書いてあるんですけれども、その辺がちょっと気になりましたので、もし9ページの内容を生かすのであれば、あくまでもこれは都市計画というかハードな話、ハード面ではこういうことという話にしておいていただいて、全体としていわゆるソフトといいますか、心理的な要素をもう少し強調していただくとよろしいかなと思いました。

 それから、つまらない質問で申しわけないんですけれども、13ページの一番下に体験学習が重要ですということが書いてあるんですが、体験学習は何も体を使うだけではないんじゃないかと思っていまして、私は山村留学もいいんですけれども職場の見学とか、いろいろな仕事をしてみるとか、いわゆる体を使うのではなくて、要するにお父さんは何をやっているか分からないということが今すごく問題ですし、そういう意味で体に限らずいろいろな仕事の体験とか、そんなことかなと思うんですが、もし非常に意味があって体を使ったとお書きであればそれをお聞かせ願えればと思います。

 それから、14ページに飛び級制度云々というのがあるんですが、飛び級も普通の方は成績のよい方が上にいくというようなことだけをイメージされますけれども、むしろやりたい仕事が見つかったらもう卒業していいよみたいなニュアンスで私は申し上げましたので、そういうニュアンスで誤解のない方が私としてはありがたいと思います。

 それから、これもよく読めば各所に書いてあるかと思うんですが、経済的な支援というのは必須だと思うんですけれども、逆に経済的な支援が増えますと、ますます今度は男性の収入だけで子育てが可能になる面もあるわけですね。そうすると、女性の社会進出自体が逆に阻害される面もあり得るかなと思っておりまして、その辺はあくまでもそういうことではなくて、女性が別に会社勤めに限らず社会に参画することはより進めていかなくてはならないということを用心深く、もう一度書いた方がいいかなという気がいたしました。 以上です。

【岩男座長】 言葉の足りないところや何かは訂正させていただきます。

 それから、体を使ったというのも、それは外へ出ていくというものを全部含めてという意味ですので、その辺も誤解のないように訂正させていただきます。

 恐縮ですけれども、田尻委員、直江委員、前田委員、落合委員という順番で、できるだけ手短にお願いします。

【田尻委員】 これに沿って4点ぐらいあるんですが、手短に言わせていただきたいと思います。

 私は男性で育児をやっておりまして、意外にすごく多いのが3歳神話なんです。ここにも書いてあるように、3歳ぐらいまではとにかく母親がというのがすごく浸透していますので、これに対して科学的根拠は特にないんだということを含めて、多様な人と触れ合って育つということに対してもうちょっときちんと書いて、具体的には専業主婦の方が無理に自分だけであれして、この間も育児ノイローゼで自分の子どもを締め殺してしまったというようなことが近所でありましたが、そういうことのないように、ただ子どもを増やすためだけではなくて男女共同参画、そうやって父親も保育園で育てていった方がいいんだということを若いうちから教育していく。家庭に夢をということで、比較的中学生、高校生ぐらいから男女共同参画でこうやって夢を持てているモデルのイメージを是非教育の中に入れていかないと空ごとになってしまうと思うんです。

 それと、働き方でも出たんですけれども、私の経験から言ってシルバーセンターの方を通じて、実際に共働きで大変なところに65歳ぐらいの方に来ていただいて、来ていただいた方もすごくいいし、私たちも助かったということを地域でやる。子育てや何かを遠くから派遣で来ていただくのと、ほんの歩いて5分の地域の高齢者の方が来て一緒にやるのとは格段の差があると思うんです。やはり地域の子育てという意味を含めてシルバーセンター、行政がそこら辺のことに対して少し気を入れてやればかなり雇用も助かるしと思います。

 早口になってしまって恐縮ですが、保育園です。これはいろいろ待機児や何かがいて問題も多いですけれども、質という面から言えば日本の保育園の質というのは非常に高いと思うんです。やはりこれは誇っていいですし、この質を落とさないようにして子どもの視点に立って是非例えば民営化とか、委託とか、いろいろな経済面の話もあるでしょうけれども、基本は子どもの保育の質を落とさないでやっていく。駅型保育だとか、駅にピックアップするというのは大人の発想ではそうかもしれないけれども、されている子どものことを是非考えていただきたいんです。やはり生まれ落ちて駅のがやがやしたところにばかり零歳からいるということを、なぜこれだけ豊かな富を持っている国がしなければいけないのかということを考えていただきたいと思います。

 それともう一つ、これは税なんです。配偶者控除だとかいろいろなことを含めて、税金というのは国の意思を表す一番、目に見えるものですから、是非これは個人単位にしていただきたい。男女共同参画を目指すんだと言って今の配偶者控除や何かを残していれば、見る人が見ればそれは言っているだけだということだと思うんです。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。直江委員、お願いします。

【直江委員】私は「働き方分科会」なので「家庭に夢を分科会」の方は文書だけの印象なのでございますが、1点だけ申し上げます。

 サマリーの方で見ると4の保育の話が、結構保育に関しては詳しく書いてあって、それ以降となると次は学歴偏重社会ということで書いてはあるんですが、印象として言うと結構高校生、大学生の部分を書いているような感じで、報告書本体を見るともう少し書いてあるんですけれども、何か小学校時代というか、その辺のところが何か漏れているような気がするんです。それで、小学校は女の先生が多いですが、大体女の先生は子どもをその間に産むので、本来ならば身近なところに子どもを産んで育てて働いてという人がいるんだけれども、日本の小学校の先生というのは人によっては生活感がないいうか、そんな感じの人も多くて、せっかくいい材料があって自然に子育てとは何ぞやというのを知るチャンスがあるんだけれども、どうも日本の学校はそうなっていないんじゃないかという感じが非常にしております。

 同時に、そういう社会でいじめがあったり何だかんだするわけで、そういうところで見ているとやはりきっと子育ても大変だなと思いますし、そういう意味では小学校の子どもたちの生活が非常にやさしくて楽しいような状況がつくり出せれば、もう少し子育ても楽しくなるだろうし、地域ももう少し和んでくるだろうしというので、もっと小学校、場合によっては中学校まで広げてもいいですけれども、そのくらいのところのことも何か提案できないのかなと思いました。

【岩男座長】 ありがとうございました。前田委員、どうぞ。

【前田委員】 それでは、2点ほど申し上げさせていただきます。

 1つは保育と、2つ目は育児への経済的支援のことなんですけれども、保育は渡里委員も皆さんもおっしゃられたんですが、私は先月東北、北陸を回ってまいりまして保育の状況を見てきたんですけれども、やはり非常に厳しい状況があるみたいでして今、経済状況はよくありませんので、どこの保育園でも1週間に1回くらいは子どもの手を引いたお母さんが、夫が給与カットに遭って生活が立ち行かない、働きたいので預けたいとか、深刻な例は御主人が失業なさって職を失ったので預けたいということらしいんですけれども、4、5歳ですと入れますし幼稚園もあるんですけれども、やはり0、1、2歳になりますとどんなに困った状態でも入れることができないということがありますので、実際に挙がっている待機児童の数の陰に、急速に保育に入りたい人たちが増えているということと、一昔前は御主人の仕事があるのに好きで働くお母さんというふうに言われてましたけれども、今は戦後の一時期じゃないですが経済状況の悪化で、特に地方都市では本当に若いカップルが経済的困窮に向き遭って何とか働かないといけないという状況に追い詰められている人が保育の現場でも増えてきているということなんです。

 ですから、保育は緊急避難的に当座の対策としてどうするかということをまずひとつ考えることと、それから田尻委員がおっしゃいましたように、でも長期的には子どもたちに質のいい保育をどう保障するかということと2本立てでやっていかないといけないと思うんです。

 それで、私はいろいろなところで申し上げているんですが、残念ながら自治体は財政難ですので、地方版エンゼルプランをつくったりいろいろなことを表面的にはしているんですけれども、現実の具体的な保育状況の改善には余り結び付いていない。何とかいろいろごまかして、実際には財政支出を伴わないような形でやろうとしている部分がすごく多いという気がしておりますので、保育に関しては何らかの具体的な策を早く打たないと、次の2人目が産めないとか、経済的な苦況で出産を延期する人がかなり増えるという気がしています。

 それから2番目の経済的支援なんですけれども、育児の負担感というのは大きいんですが、育児の負担というのは大きく2つありまして、お金の負担と時間と手間の負担です。実はうちの研究所の者が今月にでも詳しくアンケートで調査しようとしているんですけれども、児童手当というのは子どもが小さいときに出て大きくなると出ないんでしょうが、どうも私がいろいろな人に聞くと一番経済的負担が大きいのは子どもが大学生のときみたいなんです。大学の授業料とか下宿代とかで掛かる。むしろ子どもが小さいときの負担感はお金ではなくて手間がかかることのようです。時間が取られるという負担感なので、むしろお金よりも杉山委員もおっしゃっていますけれども子育てを手伝ってくれる人や話を聞いてくれる人、具体的に手間暇を助けてくれる人がほしいという負担感が強く、それが大学生になると経済的負担ということですので、そこら辺の本当にみんなが求めているニーズと、答えるときにどうしてもお金が欲しいということでみんな児童手当を付けてしまうんですけれども、本当にお金をもらって効果的なときと、手間が欲しいときというのは違うと思いますので、そこら辺を見据えた政策が、お金がないときですので必要かなという気がしています。以上です。

【岩男座長】 ありがとうございました。落合委員、お願いします。

【落合委員】 1つだけ、今、最後に前田委員がおっしゃったことに関連して、大学のときにお金が要るという話で、確かに手間とお金の要る時期というのを把握して対策を立てるのは重要だと思います。

 ただ、大学に掛かるお金というのは莫大ですので、とても補助してやれるものではないので、子どもたちに自分で働いてもらうというんですかね。そういう意味で労働力対策と、あとは社会経験というものをみんな一緒にして解決する方向の方がいいだろうなと思います。

 私が今、言いたかったことは、「家庭に夢を分科会」の方でも共通のトーンというのは女性が働くことと子どもを産み育てることの両立をという方向ですね。ですから、やはり産むということと女性の労働との関係についてはっきりした考えを持っていく必要があると思うんです。

 それで、八代先生に絡むわけではないんですが、アカデミックな議論だというふうに御理解いただきたいんですけれども、女性が働くようになったから出生率が下がったというのは、確かに同じ時代に同じように変化したものを取れば相関があるように見えるわけですけれども、変数として入れていなかったもので同じような変化をしているものが効いていれば疑似相関ということもあるわけですよね。そういうことを考えますと、そう簡単にも言えないと思うんです。社会学者は測りにくいものに興味を持ちがちなんですけれども、若い人たちの間の終末観みたいなものの広がりもありますよね。こんな世の中に子どもを産んでもと、そういうのはよく聞きますし、結構あるんじゃないかと思うんですけれども、なかなかこれは測れません。そんなようなことがあるので、ただ統計的に相関が出たからと言って、それが原因だとはもちろん言えないと思うんです。

 それから、ヨーロッパ等を見てみますと、女性の就労率と出生率というのは現在正比例していますね。国別の違いで、日本なども入れてみますとですが、それというのは日本の出生率低下の過程を見たときに出てくるのと随分違った関係に見えるわけですね。ということは、多分士気が変わるときがあるんだろう。それが社会制度の整備みたいなことにより士気が変わるんだと思うんです。そのことをはっきり言った方が、この報告書を出すためにはいいと思うんです。

 それに関連しまして、小西委員がおっしゃったことで合計特殊出生率がどの地域で高いかということを引用なさいまして、共働きが少なそうなところでの出生率が高そうだとおっしゃいましたね。それで、にもかかわらずこの報告書では共働きをして出生率を上げようというのを出すんだというふうにおっしゃいましたね。それはちょっと違うと思うんです。4ページに出ていることで沖縄、茨潤A愛知とか、郡部という都市化の程度の低いところが挙がっていますけれども、ここは女性の労働力率は高いです。

【小西委員】 もちろんその数字については正しいんだと思いますけれども、ここで話されている、例えば三世代同居による圧力とか、そういうことから言うと、私たちが持っているイメージとは逆の方向で現在出生率が高いということは事実ではないんですか。

【落合委員】 三世代同居のところの方が労働力率も高く、出生率も高いんです。

【小西委員】 それは家内労働とか、自営業とか、そういうところの労働率が全然違うということですか。

【落合委員】 外に働きに出るときも、保育所がたとえなくても手があるとか、あるいはこういうところというのは保育所もあったりするんですけれども。

【小西委員】 でも、もしそうだとしたら、ここに出ているのはそういう変数であって、私たちの主な話になっているのはむしろその雇用されている人たちの変数なわけですね。そうしたら、そこのところをもうちょっとはっきりした方がいいですね。私はそういうことを知らなかったので、これだけを見て素人目で考えれば、こちらの方がたくさん産んでいるのにどうしてこういうところに戻ろうとみんな言わないんだというすごく素朴な疑問が当然出てくるだろうと思います。

【前田委員】 専業主婦が多いのは神奈川県、東求A千葉、埼玉、大阪という都心部で、地方は男性の所得が低いのでみんな働いているんです。そして、みんな子どもを産んでいるんです。

【小西委員】 私は全然そういうことを知らないでこれを見るとそう思って、ほとんどの人がそう思うと思うし、もっとそう思う人はたくさんいると思うので、是非そういうことを書いてください。

【落合委員】 あとは、今の地域差のことは、都市部には学生が集まっていますから未婚で子どもを産まない若い人が多いから合計特殊出生率を出すと特に低く出てしまうということもありますので、そういう問題もあるんです。ですから、日本の国内のものについて言いたいと思いましたことは、全体としては女性労働力が高いところの方が出生率は高く出ている。

 ただし、国内の場合は労働力の移動という問題がありますし、労働力だけではなくて人の移動という問題がありますので、本当にそこが産みやすいところかどうかという議論につなげるのは危険である。むしろ国際比較、国別の比較の方が制度の違いとかを反映して議論にはつなげやすいだろうということで、今の先進国同士を比べた場合の女子労働力率が高い方が出生率が高くなっているというのをもっと出していくべきだと思います。

【八代委員】 その点は23ページに書いてありますので、後で見ていただきたいと思います。【落合委員】 この中に入っているのは分かるんですけれどもということです。

【尾崎委員】 先ほど八代先生から御指摘がありましたものですから、このままにしておくと誤解が生じるかもしれませんので一言だけ。

 私が先ほど反転すると申し上げたのはちょっと言葉がまずかったかもしれませんが、厚生省の推計が過去間違ったこともありますし、多分リプレイスメントレベルまで戻ることはないだろうという認識はありますし、それから社会経済的に大きな影響をもたらすということもよく分かっておりますが、余り極端に1億6,700 万、それが数万人、全部いなくなるという論法があるものですから、表現の方法は強調する点に少し気を付けた方がいいということを申し上げただけですので、よろしくお願いします。

【岩男座長】 それでは、まだまだ御意見はいろいろあると思うんですけれども、この辺りで今日は時間の関係で討議の方はおしまいにさせていただきたいと思います。それで、先ほど御説明をいたしましたような形で素案を用意させていただきたいと思いますけれども、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。

 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 では、今日は厚生大臣に御出席をいただいておりますので、討議の模様を聞かれたり、あるいは御提案もいろいろございましたので、一言お願いをいたします。

【宮下厚生大臣】 本当に御苦労様でございます。

 7月17日に第1回が開かれて以来、本当に終始御熱心な御討議をいただきまして、私も早く一度ごあいさつしなければいかぬと思いつつ、今日に至りました。大変すばらしい御論議でございまして、それぞれのお立場も反映されておられますけれども、少子高齢化といういわゆる子育て問題がいかにこれから重要であるかということについて、皆さん方が本当に共通の認識を持っておられるなという感じがいたしました。

 私ども高齢化社会についてはいろいろ年金医療の問題等を結び付けて考えておりますが、少子化の問題こそは大変私も重要だと思っております。そんなことで、どうかあとまた検討が続けられるようでございますから、ひとつ実りの多い御検討をいただいて、そして厚生行政の面でも行政面で取り上げられる点があればこれをどしどし取り入れていきたいと思っております。

 具体的には、先ほどお話の保育所の問題でございます。渡里さんからも前田さんからも皆さんからもお話がございました。エンゼルプランとか、いろいろ保育所の緊急5か年計画でありますとか、そういうものを立てまして今、景気対策との絡みでも前倒しで少しこれを促進しようということで考えております。

 それから、その中身につきましても今、東京都の零歳児等の待機者の問題がございました。保育所の中身の多様化ですね。これはとても重要なことだと思っておりますから、是非多様化についていろいろまた皆さん方の御意見も承りながらその対応をやっていきたいと思っております。東京の問題も真剣に考えさせていただくつもりでございます。

 そんなことで、どうかひとつ今後ともこの議論を続けていただきまして、そして国民運動にまで及ぼそうということでございますので、大変意義のあることであると思います。ひとつ岩男座長を中心にして、なお一層御努力をお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

【岩男座長】 どうもありがとうございました。
 次回の日程につきましては、大体12月上旬を目途に調整中でございますけれども、正式には後日、事務局の方から御案内を申し上げますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。大変お忙しい中、長時間ありがとうございました。