少子化への対応を推進する国民会議

国民的な広がりのある取組みの推進について

平成12年4月25日
少子化への対応を推進する国民会議

T.はじめに

○ 少子化への対応については、家庭を持つことや希望する数の子どもを産み育てていくことを難しくするような要因を、社会全体の取組みとして取り除いていくことが課題となっている。

○ このため、家庭や子育てに夢を持つことができるよう国民的な広がりをもって環境整備を実行していく必要があり、当国民会議としては、
 当面、U.に掲げる取組みを進めることとする。
 なお、具体的な取組みを進めるに当たっては、次の3点を共通認識とする。
(1)結婚や出産は当事者の自由な選択に委ねられるべきものであり、具体的な取組みとしては、安心して子育てができるような環境整備を進めるものであること。
(2)家庭や職場、地域における固定的な性別役割分業を是正し、男女共同参画社会を実現していく必要があること。
(3)すべての子育て家庭を、社会全体で支援していく必要があること。

U.具体的な取組み

○ 取組みは、各団体が主体的に実施するものにとどまらず、他の団体からの求めに応じて連携して実施するもの、国民会議の名で実施するものも加えた幅広い形で推進する。

○ 複数の参加団体が連携しての取組みについては、中央レベルにとどまることなく、できる限り地方レベルでの連携も進むよう努力する。
 このため、地域の実情に応じ、適宜、団体の地方組織が相互に情報交換や協議などを行う場が設けられるようにする。

○ 少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランに基づく政府の施策との連携にも留意する。

構成
1.少子化への対応についての社会的な気運の醸成
2.子どもを産み育てやすい地域の環境整備
 (1)保健医療の面での取組み
 (2)地域における交流や地域の特性に応じた取組み
 (3)地域における子育て支援と児童虐待への取組み
3.仕事と子育てが両立しやすい職場環境の整備
4.子育て支援サービスの拡充
5.学校や家庭における教育の推進
6.良質な住宅の普及
*点線の中の取組みは、今後、検討するものである。
*()内の団体名は実施主体を表している。
 複数の団体名が記載されているものは、それらに共通の取組みであり、適宜、相互に連携を図りながら進めるものとする。

1.少子化への対応についての社会的な気運の醸成

 少子化への対応が国民の理解を得ながら広がりをもって進んでいくように、さまざまな情報発信活動や意識啓発活動を行う。

〔国民会議としての取組み〕

○ 家庭や子育てに夢を持つことができるような環境整備を地域、家庭、職場、学校等で進めていくことを呼びかける全国的なキャンペーンを実施する。

○ 参加団体が実施する意識啓発活動について、できる限り連携が図られるよう他の団体に情報提供するとともに、後援などの支援を行う。

〔参加団体の取組み〕

(1)共通の取組み

○ 国民会議に参加して家庭や子育てに夢を持つことができる環境の整備を進めていることや、その具体的内容について、会報、ホームページ等により広報する。

○ 団体としての取組みや、国民会議及び他の参加団体の動向、「少子化への対応を考える有識者会議」の提言、政府の施策等について、地方組織・構成員に周知する。

○ 他の参加団体が実施するフォーラム、セミナー、キャンペーン等について、共催や広報、報道などにより協力する。

(2)各団体の取組み

○ 少子化への対応の推進について考えるフォーラムを開催する。

(日本新聞協会、全日本私立幼稚園連合会)

○ 例えば、国民の性意識の変化やその実態について、科学的な全国調査を行い、分析・紹介する番組を検討するなど、少子化との関連について議論のある問題をさまざまな角度から採り上げて放送する。

(日本放送協会)

○ 男性の意識改革や家事・育児への積極的な参加、職場の雰囲気づくりなど、固定的な性別役割分業を社会全体として是正していくことについて、会報や各種のセミナー、会合を通じて企業への啓発を進める。
 また、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など関連法規の周知も進める。

(日本経営者団体連盟、日本商工会議所、関西経済連合会)

 地域や家庭における固定的な性別役割分業意識の是正や、女性の地域社会への参画の促進について、農村での取組みなど、啓発を進める。

(全国地域婦人団体連絡協議会、全国農業協同組合中央会)

○ 労働組合運営における男女平等に向けた積極的措置として、役員への女性の登用その他あらゆるレベルの労働組合活動への女性の参画を推進する。

(日本労働組合総連合会)

○ 子育ての楽しさについてPRする全国的なキャンペーンとして、「家庭の風景、三行詩キャンペーン」を実施する。

(日本PTA全国協議会)

2.子どもを産み育てやすい地域の環境整備

 安心して妊娠・出産や子育てができるようにするための保健医療面での取組み、子育て家庭を地域で支えていくための取組みを進める。

(1)保健医療の面での取組み

○ 新たに母子保健医療体制の整備が盛り込まれた新エンゼルプランと連携し、周産期医療ネットワークや小児救急医療体制の整備など、地域における母子保健医療体制を充実する。
 診療所等での乳幼児健康支援一時預かり(病気回復期にある乳幼児の保育)事業の実施が進むよう情報提供などの支援を行うとともに、新たに保育所でも実施できるようになったことを受けて、その普及に向け支援する。
 定期検診などを通じて親子の心身の健康づくりを進めるとともに、保育所嘱託医・幼稚園医の活動の活性化により乳幼児の保健管理を充実する。
 乳幼児保健活動を円滑に実践するための講習会を実施するほか、地域における子育て支援の中で医療面からの協力を進める。
 学校医を中心として適切な性教育や性感染症の予防を進める。
 不妊専門相談センター事業への協力と不妊治療等により、不妊に悩む人への支援を行う。

(日本医師会)

○ 妊娠・出産や子育てに対する保健面からの支援として次の点について具体的に検討し、取組みを進める。

看護職が地域で健康についての相談などの機能を担う「まちの保健室」構想の具体化を進める。
 不妊に関する相談、快適な出産を実現するためのケア、地域での子育て支援など、少子化対策における助産婦の役割について検討する。
 先進的な取組みについて、その普及を図るため、会報などで地方組織に紹介する。

(日本看護協会)

〔今後、検討する取組み〕
○小児科医が産婦人科医との連携の下で保健指導を行うことによって妊産婦の子育てへの不安の解消を図るプレネイタル・ビジットなど、医療面でのネットワークづくりについて検討する。
(日本医師会)

○地域子育て支援センター等を活用して住民に身近なところで健康相談等に応じる体制の整備について、保育関係者と連携しながら検討する。
(日本医師会、日本保育協会)

○若年妊産婦への心身両面からの支援のほか、次の点について具体的な取組みを検討する。
・病気や障害とともに生きる子どもと親を支援するための看護職間のネットワークづくり
・成長発達と性に関する中・高校生への教育を充実するための、学校や教育委員会と看護職の連携方策
(日本看護協会、全国都道府県教育委員会連合会)

(2)地域における交流や地域の特性に応じた取組み

○ 子育て中の親同士が出会える場や、悩みを相談できる場、学び合う場を作り、専業主婦と職業を持つ母親達との連携など、それぞれのニーズに応じた取組みを進める。
 愛の一声運動、家庭の日、三世代交流など、世代を超えた連帯を深めるための活動を推進する。
 子どもを取り巻く家庭や地域の教育力の回復を図る観点から、家庭教育の見直し、テレビや出版物の点検など環境の浄化を推進する。

(全国地域婦人団体連絡協議会)

○ 都市部に比べ高い水準の平均出生児数を維持している農村地域を女性にとって魅力あるものとし、女性の定住が進むよう、次の環境整備を行う。

○ 新エンゼルプランの推進などについて、国の施策の活用を図りつつ、さらに地域の特性に応じた施策の推進を図るため、地方公共団体相互の情報交換拠点として、都道府県、市、町村の施策に関する情報を蓄積するとともに、会報、ホームページ等により提供する。

(全国知事会、全国市長会、全国町村会)

〔今後、検討する取組み〕
○中・高校生が乳幼児とふれあいながら子育ての意義や家庭を持つことの重要性を学ぶ機会を充実させるため、幼稚園・保育所体験学習の受入れを進めることについて検討する。
(全日本私立幼稚園連合会、全国国公立幼稚園長会、全国社会福祉協議会、日本保育協会)

○地方公共団体における少子化対策に関する調査を実施することについて検討する。
(全国知事会、全国市長会、全国町村会)

(3)地域における子育て支援と児童虐待への取組み

○ 新エンゼルプランと連携して在宅児も含めた子育て支援を進めるため、保育所等において、地域子育て支援センター(相談、育児サークル支援等を実施)や、一時保育(専業主婦家庭の休養・急病等に対応)への取組みを拡大する。
 特に、新エンゼルプランに新たに訪問型の一時保育が盛り込まれたことを受け、これを推進する。

(全国社会福祉協議会、日本保育協会)

 幼稚園においても、子育て相談の実施や井戸端会議の場所の提供など、地域に開かれた子育てのセンターとしての取組みを推進する。
 このため、幼稚園における子育て支援事例を取りまとめるとともに、相談員の育成のための研修会を実施する。
(全日本私立幼稚園連合会、全国国公立幼稚園長会)

○ 保育所・託児所の設置・運営についての助言や子ども会の支援など、各地商工会議所の先進事例をホームページ等で紹介する。(日本商工会議所)

○ 大阪府、兵庫県など地方公共団体の取組みにも参加し、企業の役割と地域の活動を連携させるよう努める。

(関西経済連合会)

○ 活動推進プランの作成、研修の実施等により、児童委員による計画的・組織的な子育て支援活動を推進する。
 育児不安や非行などの問題に対応するため、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設において、専門的な養育相談を推進する。また、これらの施設において保護者の急病等に対応するショートステイ・トワイライトステイの利用を促進する。
 児童、家庭、地域住民からのさまざまな相談に応じて専門的な指導や援助等を行う児童家庭支援センターの設置を促進するとともに、関係機関・団体とのネットワークの構築などにより課題への対応力を強化する。
 児童虐待問題について、次のとおり取組みを強化する。

 児童虐待防止のための地域でのネットワークを構築するため、保健医療や教育など様々な分野の団体と連携しながら検討を進める。

(全国社会福祉協議会)

 児童虐待について適切かつ早期の対応を図るには関係機関・団体間の連携が重要なことから、上記の検討が円滑に進むよう積極的に協力する。
(日本医師会、日本看護協会、日本保育協会、全国国公立幼稚園長会、全日本私立幼稚園連合会、全国都道府県教育委員会連合会、日本PTA全国協議会、全国地域婦人団体連絡協議会)

〔今後、検討する取組み〕
○各地商工会議所における先進的な取組みが他地区商工会議所においても地域の実情に応じた形で採り入れられるような方策について検討する。
(日本商工会議所)

○子育て支援活動を実施するNPO(非営利団体)への人材情報の提供について検討する。
(日本経営者団体連盟)

○放課後児童クラブの充実のための取組みについて検討する。
(日本労働組合総連合会)

3.仕事と子育てが両立しやすい職場環境の整備


 働き方に関しては、企業の労使の話合いによって決められるものであるが、少子化への対応を推進する観点から、男女がともに仕事と子育てを両立しやすい職場環境の整備が進められるような取組みを推進する。

○ 新エンゼルプランにおいて、育児休業を取りやすく職場復帰をしやすい環境の整備や、子育てをしながら働き続けることのできる環境の整備等についての施策が拡充されたことから、これを契機として、更に労使の話合いの下で次のような環境整備が進められるよう、会報や各種のセミナー、会合、研修会などあらゆる機会を利用して、企業・経営者等に対する働きかけ・呼びかけを行う。

○ 調和とゆとりのある職場や家庭、地域での生活の実現に向けた環境整備のため、次の取組みを進める。

〔今後、検討する取組み〕
○仕事と子育てが両立しやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでいる企業の事例を紹介することについて検討する。
(日本経営者団体連盟)

○先進的な取組みを実施している企業からヒアリングを行い、様々な企業がそれぞれの事情に応じて取組みを実践できるような仕組みについて検討する。
 また、少子化対策の目標期間として今後15年程度を視野に置き、安心して子ども(特に2人目)を持つことを選択できる社会や、老後の不安を払拭するための充実した高齢期生活、世代ごとのニーズに対応した対策を実現するための企業の役割についても検討する。
(関西経済連合会)

4.子育て支援サービスの拡充

 子育て家庭の多様なニーズに対応した保育サービスについて、量・質ともに確保するための取組みを進める。

○ 新エンゼルプランにおける保育サービスの数値目標の着実な達成を図るため、低年齢児の受入れの拡大、延長保育や休日保育、乳幼児健康支援一時預かり事業の推進、多機能保育所等の整備を進める。
 また、低年齢児の受入れの拡大と併せて、少子化対策臨時特例交付金や、施設の自己所有規制の見直し等の規制緩和を活用し、保育所待機児童の解消に向けた取組みを積極的に進める。

(全国社会福祉協議会、日本保育協会)

 幼稚園においても、保護者の要請に応じて通常の教育時間終了後の預かり保育を拡大する。

(全日本私立幼稚園連合会)

○ 保育サービスの質の確保を図るため、職員に対する研修や調査・研究を実施する。
 保育所と幼稚園の効果的な連携など先進的な取組みについて、その普及を図るため、事例集の作成・配布などにより地方組織・会員に紹介する。

(全国社会福祉協議会、日本保育協会、全日本私立幼稚園連合会、全国国公立幼稚園長会)

○ 過疎地域の保育所問題への取組みの促進や多様な保育ニーズへのきめ細かな対応のために、情報交換などにより保育所経営基盤の強化を図る方策について検討する。

(全国社会福祉協議会)

○ 延長保育など利用者の視点に立った多様な保育サービスの提供の拡充に向けて、規制緩和などへの取組みを進める。

(日本経営者団体連盟)

○ 地域における保育サービスの拡充のため、ニーズ調査などを実施する。

(日本労働組合総連合会)

〔今後、検討する取組み〕
○各種規制の要否や緩和についての検討とあわせ、先駆的・試行的事業についての取組みを進めることにより、柔軟な事業展開を図ることについて検討する。
(全国社会福祉協議会、日本保育協会)

○預かり保育の拡大に向けて、保育内容・方法、人的・物的配置の在り方等について検討する。
(全国国公立幼稚園長会、全日本私立幼稚園連合会)

○複数社の共同による従業員のための保育施設の普及方策について検討する。
(日本経営者団体連盟)
○これまで診療所等で行われていた乳幼児健康支援一時預かり事業が保育所でも実施できるようになったことを受け、その普及方策について、医療関係者と連携しながら検討する。
(全国社会福祉協議会、日本保育協会、日本医師会、日本看護協会)

5.学校や家庭における教育の推進

 学校教育や家庭教育において、子どもが夢を持ってのびのび育っていくことができるような取組みを進める。

○ 都道府県教育委員会における取組みを進めるため、教育分野における取組状況を調査し、先進的な事例などを紹介する。
 学校施設の地域への開放や、知育に偏らない体験学習の推進、学校運営について地域との連携を進めるための学校評議員制度などについて、調査研究を実施する。

(全国都道府県教育委員会連合会)

○ 新エンゼルプランに家庭教育ノートの作成・配布が盛り込まれたことを受け、これを活用した家庭教育を実践する。
 少子化対策を念頭に置いた家庭教育の在り方について検討する。

(日本PTA全国協議会)

○ 農業・農村が子育てや子どもの教育に一層の役割を発揮していくため、学童農園など農業体験学習を充実するとともに、受入体制の整備等により都市部の子どもの農山漁村留学を促進する。

(全国農業協同組合中央会)

〔今後、検討する取組み〕
○各都道府県教育委員会における取組状況に関する情報について、継続的な収集と迅速な提供を行うことについて検討する。
(全国都道府県教育委員会連合会)

6.良質な住宅の普及

 ゆとりを持って子育てができるよう、良質な住宅の普及を図る。

○ 定期借家法の施行を受け、その精神を活かした良質な賃貸住宅の供給に関する具体的な研究を行うとともに、同法の周知を図るためのパンフレットの配布や建設業者に対する講習会を実施する。
 住宅リフォームの推進に向けて、地方公共団体、学識経験者、消費者などとともに具体的方策について検討する。
 良質な住宅ストックの形成を図る住宅品質確保法の施行に伴い、建設業者、消費者などへの情報提供を行う。

(住宅生産団体連合会)

〔今後、検討する取組み〕
○子育てがしやすい住宅や、職住近接した都心居住、在宅勤務・SOHO(情報通信を活用して自宅等で仕事を行う勤務形態)の普及を視野に入れた住宅の在り方などに関する研究の実施について検討する。
(住宅生産団体連合会)