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知的財産戦略会議(第2回)議事録

 
○阿部座長
 それでは、定刻になりましたので開催をさせていただきたいと思います。
 実は、総理が少し遅れられるということでありますが、始めているようにという御指示をいただいておりましたので、ただいまから第2回「知的財産戦略会議」を開催させていただきたいと思います。
 御多忙中のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 議事次第に沿って進行をさせていただきますが、本日は、効率的に議論を進めるために、始めに事前にお申し出をいただいている方々から御発表いただきまして、次に私から検討の柱及び戦略の在り方について御説明を申し上げ、自由討論の時間を設けるという手順で進めさせていただきたいと思います。
 誠に恐縮でございますが、御協力よろしくお願い申し上げます。
 それでは、前回に引き続きまして、事前にお申し出をいただいております方々から、知的財産を巡る課題について御発表いただくことにいたします。
 最初に、本日は最高裁判所の千葉行政局長においでいただいております。特許裁判の迅速化、充実化について御説明、御発表をいただくことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○最高裁判所事務総局行政局長
 最高裁の行政局長をしております、千葉でございます。
 本日は、貴重なお時間を割いていただきましてありがとうございました。
 私の方からは、お手元の資料8でございますが、これに基づきまして知的財産権訴訟の現状と、裁判所の取り組みにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 知的財産権の保護・活用を図る上で、知的財産権訴訟の充実強化は不可欠でありまして、そのための具体的な戦略を立てる際には、実証的な検討をしていただくということが必要でございます。
 近年、知的財産権訴訟の運営が目まぐるしく展開をしております。過去の陳腐化したデータやイメージ論だけで議論するということは非常に危険でございまして、是非最新の客観的な資料を基に、今後の特許戦略を実証的に御検討いただきたいというふうに思っております。
 まず「2 知的財産権訴訟の事件数の動向と審理期間の変化」でございます。
 お手元の資料の2ページをごらんいただきたいと思います。
 地方裁判所に提起されます、特許権侵害訴訟の新受件数は、この10年間で倍増しておりますが、審理期間の方は、10年前は処理までに30か月掛かっておりましたが、平成13年は18.3月と大幅に減少しております。
 次に資料の8の3ページをごらんください。
 知的財産権関係の仮処分事件。これは、早期に特許権侵害行為の差し止めなどを求めるものでございますが、この審理期間も昨年は4.5 月と非常に短くなっております。
 このように、近年は知的財産権訴訟の急速な迅速化が実現しております。
 続いて、次の4ページでございますが、東京高裁に提起される特許庁の審決取消訴訟。この数字は、近年大幅に短縮化していることを示しております。
 以上の我が国の審理状況は、全体として見まして、欧米の裁判所での審理等を比較しても遜色のないものというふうになっているわけでございます。
 次に、専門的処理体制の整備でございます。資料の5ページをごらんいただきたいと思います。
 裁判所は、ここの数年、東京、大阪の裁判所の専門的な処理体制を強化してまいりました。裁判官の数で申し上げますと、4月から東京と大阪の地裁、高裁の合計で41名もの裁判官が知的財産権訴訟を専門的、集中的に処理をしているということになります。この人数は、名古屋地裁や横浜地裁の民事部の裁判官の総数よりも多いわけであります。
 また、キャリアを見ましても、我が国において知的財産権を担当する最も経験の長い、えりすぐりのベテランの裁判官が集まっておりまして、これに21名に及ぶ技術専門家としての特許調査官を加えた体制が整備されておりまして、このことは我が国において既に自主的な意味での特許裁判所ができあがっているという評価も可能ではなかろうかと思っております。
 今後の課題でございますが、裁判の迅速化、専門的処理体制が急速に進んでいると申し上げましたけれども、今日におきまして特許戦略は時間との勝負、タイム・イズ・マネーでございます。我が国の裁判のスピードは経済の動きについていっているとは言えないわけでありまして、我々としても危機意識を持っておりまして、裁判の迅速化、充実化のためのさらなる工夫。二の矢、三の矢が必要であるというふうに考えております。そのための方策としまして、次の3つが重要な課題であると考えております。
 1つ目は、東京地裁、大阪地裁の専属管轄化。
 これは、資料の6ページが示しますとおり、東京と大阪の裁判所は、他の裁判所に比べまして、格段の迅速処理が実現しております。
 そこで、特許や実用新案などの訴訟につきましては、東京地裁と大阪地裁の専属管轄にして、この種の全国の事件をすべて2か所にまとめて、東京と大阪の裁判所を名実ともに特許裁判所として機能させるということが、我が国の特許戦略として極めて重要であるというふうに考えております。
 2つ目は、専門員制度の導入でございます。
 ヒトゲノム、バイオテクノロジー、ダイオードなどのように国家戦略に関わる最先端技術に関する訴訟にも十分対応できるように、この技術分野の専門家を裁判手続に関与させる制度。すなわち、専門員制度を導入するべきであるというふうに考えております。
 3番目は、計画審理の導入、起訴前の証拠収集手続の拡充でございます。
 審理の一層の充実強化のため、訴訟の終わりまでを見据えた計画審理を行うという制度を導入すべきであります。
 また、訴え提起前の証拠収集手続の拡充を実現すべきであります。
 これらにつきましては、強い反対意見もございますけれども、裁判所としては制度の実現に懸命の努力を続けていく所存でございます。
 なお、付言いたしますけれども、最近特許制度の改革案の一つに、侵害訴訟手続において特許無効の判断を可能とする一元化の提案がされておりますが、この点は法律的な問題があることは別にいたしまして、一元化による労力の軽減がどの程度あるのか。訴訟のかなりの長期化が必至でございまして、早期の司法救済を求めるベンチャー企業などの立場をどう見るか。そういった点を政策的な判断によるものというふうに思っております。
 最後に、資料の8ページをごらんください。
 「『特許訴訟の空洞化』とされた事例について」でございますが、これは我が国の特許裁判所が遅いので、訴訟か外国に流れるという空洞化論に関するものでございます。
 我々は、空洞化の例として指摘された訴訟全部につきまして実証的に調査をいたしましたが、アメリカに提訴したのは、市場がアメリカにあって日本にないために日本で訴訟を提起する必要はなかったというものなど、すべてこの資料の記載のとおりでございまして、空洞化は単なるイメージにすぎないのではないかと思っております。
 次の9ページでは、我が国の代表的な特許専門弁護士方々の座談会でも、司法の空洞化というのは、ミスリーディングであるとさえ指摘されているところでございます。
 いずれにしましても、そのようなイメージ論をぶつけ合うということは実りのないものでございまして、先ほど申し上げましたが、あくまでも客観的なデータ、事実を基に知的財産権訴訟についての国家戦略を実証的に御検討いただきたいというふうに思っております。
 私の説明は以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。御質問もあろうかと思いますが、一連の御発表を先に続けさせていただきたいと思います。
 次は、委員の方々からの御発表をいただきたいと思います。
 「あいうえお」順で恐縮ですが、青木委員からお願いいたします。

○青木委員
 それでは、私は医薬品という立場から見た知的財産権の意味について、若干申し上げさせていただきまして、お願いしたいことをお話ししたいと思います。
 先端技術と言いましても、医薬品、バイオとITは全く性質の異なるものでございまして、特徴としては大きく違っております。
 最初に、話を早く進めるために、資料1の2ページをお開けいただきたいと思います。
 医薬品の最大の特徴は、1つの分子が特許になるという物質特許で、非常に特徴がありまして、薬でございますから効いて安全でというようなものを1つの分子の中に特徴を盛り込まなければいけないというところに、技術の集約ででき上がってくるコンピュータとか、自動車、カメラなんかの製品とは非常に違うところがございます。
 このような優れた特徴を持つ分子をつくり出して、それを医薬品とするためには、非常に長い期間と大きな投資が必要でございます。
 3ページにございますように、物質を発見して、動物のデータ、臨床のデータを取りまして、政府から許可をいただいて発売するまでに、大体10年間の研究開発期間がございます。4ページをごらんいただきますと、医薬品1品目の開発のコストは、大体1,000 億円ぐらいで、800 ミリオンダラーというのが平均値ということになっております。
 しかしながら、知的財産権に守られた権利は非常に強うございまして、5ページにございますように、紫色のところに一つの分子の形が書いてございます。
 これは、Tacrolims という免疫抑制剤でございますけれども、これを使いまして移植の薬、皮膚の病気の薬、目の薬というように一つの特許を使って非常に多くの薬をつくることができる。これがすべて物質特許によって守られるということでございます。
 次をお願いします。
 6ページにございますように、医薬品のもう一つの特徴としては、知的財産による保護が非常に大事だという例でございますけれども、このぎざぎざしたグラフは、それぞれの製品のライフサイクルを書いております。
 これは、米国の市場における、血圧を下げる薬のライフサイクルでございまして、例えばピンクの薬、これは一つの降圧剤でございますけれども、発売されて売上げがずっと上がってきて、最後に落ちていくというライフサイクルでございます。
 次が、黒い曲線で出ている薬でございます。
 ごらんいただきますと、最後の段階におきまして急速に売上げが落ちてまいります。これは、ここで特許が切れるわけでありまして、特許がエクスパイアいたしますと、その瞬間から多大の開発費を投入しなくてもいい、技術だけをミミックすればいいという模造品が出てまいります。これは、非常に安価で市場に出てまいりますので、先行品はたちまちに市場を失います。
 最近の例ですと、年間4,000 億ぐらいの売上げを持っていた製品が2週間ぐらいのうちに数%まで売上げが落ちたという例がございます。これはアメリカの例でございます。
 こういった面で、日本の立場ということでありますけれども、医薬品に関連する知的な生産性という意味では、7ページにございますように、各ディケイド、各年代におきまして、日本は世界の医療にかなり貢献するような優れた製品を出しております。
 次の8ページで、医薬品の輸出入の関係でございますけれども、市場の大きさから言いましても輸入が多いということは当然でございますけれども、このような関係できておりまして輸出も増えてまいります。
 次の9ページに、医薬品産業における技術輸出入の収支でございますけれども、これは95年ぐらいから収支がプラスになってまいりまして、現在のところは技術輸出の方がかなり多いということになっております。
 単に医薬品の場合には、技術輸出で技術をライセンス・アウトして、ロイヤルティーをかせぐというよりは、最近、日本の製薬会社におきましても、それぞれ自分でアメリカ及びヨーロッパの市場に出ていって、自前のビジネスを展開するということになっておりますので、技術輸出以上にビジネスの国際化ということが進んでいるというふうに考えます。
 このような生命科学に関連する産業における問題点でございますけれども、10ページをごらんいただきますと、皆さん御存じのとおり、最近、ゲノムを中心にいたします生命科学の進歩が非常に著しいということがございまして、これによりまして薬をつくっていくのには、先ほど申し上げましたように、10年、1,000 億掛けて1つの薬をつくり出すというプロセスが若干パラダイムが変わってくるんではないかということがございます。こういった段階にきますと、非常に米国に有利な点がございます。
 というのは、ここで申し上げますと、遺伝子と病気との関係、生産物では遺伝子とたんぱく質の関係というような基本的なコンセプトから薬をつくり出すような一つの仕事の流れ、全体を押さえる「上流特許」という広い範囲で押さえる特許というのが、最近、特許にされるようになりまして、これは米国の包括的なプロパテント政策によって非常に優位になってまいります。
 米国は、そういった優れた研究開発力と、包括的プロパテント政策を利用しまして、これを国策的に利用しているということがございます。
 1994年のクリントン政権の報告書には、国家利益のための科学、science in the national interestとございますけれども、科学というのが国家利益のためだということを非常にクリアーにディファインしまして、それに一元的に国家の力を集中しております。例えば研究費の投入でもNSFとか、NIHとか非常に限られた研究費のコントロール機関でもって、限られた優秀な研究グループに集中的に研究費を投入することによりまして、非常に独創的な優れた研究を多く出しております。それを包括的パテント政策によりまして、非常に包括的な上流特許を取ってしまう。
 更に加えて、88年の包括貿易法のような、バックアップをするような武器までつくってしまいまして、科学の成果を米国の国益のために使うということで、非常に強い態度を取っております。
 日本の場合にはどうかと言いますと、そもそも産業におきましても、実際的、部分的、ピンポイント的な「下流特許」が多うございまして、一つのパラダイム、コンセプトをつくるような「上流特許」というのは余り得意ではございません。そういう画期的な研究というのも余り得意ではございません。
 したがって、米国の上流特許の風下に立つということがありまして、いろんなパテント・インフリンジメントの争いが起こります。
 この面でも米国の司法というのは、均等論、doctrin of equivalenceという特許に特有の理論を用いまして、我々としては非常に国益的な判断をするように思います。幸いにも今のところ医薬品産業ではそういった大きな被害がございませんけれども、ITなんかを拝見していますと、例えばグラスファイバーの住友電工さんとコーニング、オートフォーカスのミノルタさんとハネウエルの係争というのがございまして、何十億、何百億という損害賠償を取られているというケースが非常に多うございます。
 このようなことがずっと続きますと、我々の方の生命科学を基礎とします医薬品産業にも若干問題があるんではないかということが考えられます。我々が希望いたしますのは、やはり物質特許と上流特許の2つの種類の強さについて、立法的、司法的にきちんとバランスのとれた日本としての態度を決めるべきだということが、第1点でございます。 第2点といたしましては、上流特許が取れるような、画期的な研究を活性化する研究開発政策を実施していく必要があるんではないかと。
 この2点を強化することによって、日本においても科学が日本の国策に合った重要な武器であるということを実現していく必要があるんではないかと思いまして、その辺のところを基に議論を進めていただきたいと思いましてお願いする次第です。
 私の説明は、これで終わりにさせていただきます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、引き続きまして安西委員からお願いいたします。

○安西委員
 資料2に基づいて説明をさせていただきます。
 「経済活性化の基盤は大学の知的財産戦略」というふうに名前を付けましたけれども、大学側から見ても、経済の活性化と大学の関係というのは、今随分サイクルが縮まっておりまして、大学側の意識は相当に高まっていると思います。
 大学側から見て、知財の戦略をどういうふうにもっていけば、本当の経済の活性化につながるかどうかということを申し上げたいというふうに思います。
 下は、目次ですので、2枚目を開いていだたきまして「I.知的財産戦略の重点」ということでありますが、今、青木委員の説明にもありましたけれども、やはり大学における本当の先端的な研究成果をはっきり出すということが第一で、ただ、知的財産国家戦略の重点としては、それをいかにして起業につなげていくか、そこの戦略が大変重要だと思います。
 これからの産業活力というのは、新しい産業をいかに数多く起こせるかにかかっているかと思いますけれども、知財戦略としては、やはり大学の研究開発と、起業、産業に向けてのつなぎ方をどういうふうにするかということにかかっているのではないかということであります。
 「II.大学が基本的特許を取るためには」というのがありますが、今、包括特許等の話が出ておりますけれども、似たようなことでありますが、とにかく国際的にも下流特許ではなくて、基本特許を本当に獲得していくということが大事である。
 ホームラン特許と言われるような特許の基にある、例えば私どもの大学の教授では、プラスチック光ファイバー、光ファイバーをプラスチックでつくるというものの国際基本特許を押さえておりまして、それによる産業への波及効果というのは非常に大きいと思います。
 そういう基本特許を本当につくり出していくためにどういうことが必要かということをその絵に書いてございまして、とくかくだれも行っていない研究をちゃんとやっていく必要がありまして、そのためには特許情報を流通させる高速のネットワークが必要であります。特許庁では、その種のネットワークはあるんですけれども、特許庁の方もおられて恐縮ですけれども、スピードが遅くてどうしょうもないという状況にあるかと思います。
 特許費用の確保。アメリカの大学は、年間150 億円ぐらいの特許申請費用とかを確保しておりまして、また共同研究を担う人材、大学の技術管理等々は、やはり大学の基盤充実からやってくるものだと。
 ところが、日本の大学の場合、特に大学の財政基盤の充実が非常に後れているというところがネックになっているかというふうに思います。
 下にはいろいろ書いてありますけれども、とにかく特許の費用、あるいはコーディネーター等々、やはり人材においても、財政においても抜けているところが多いということでございます。
 「III .大学の知財を起業に繋げよう」ということでありますが、とにかく大学の特許申請というのは、ウナギ登りに増えております。ただ、それを本当に価値が見えるところまで持っていけていないというところが、現在の問題点である。
 それには、やはりチャレンジへのインセンティブ、チャレンジへの支援環境、例えばベンチャー経営を支援するような制度でありますとか、あるいはベンチャー・サバティカルの制度でありますとか、あるいは最近は、企業の研究所等もお休みしているところが多いので、その遊休施設を利用して産学融合のベンチャーの開発環境をつくることでありますとか、エンジェル投資の促進でありますとか、あるいはベンチャー税制の改善。
 これは、ベンチャー企業の場合に、もうけがあってもその年度は税金に取られずに、何年か蓄積できないと、小さな企業の場合はやっていけない。そういう税制にある程度していく必要があるのではないかというふうに思います。
 ベンチャー優遇税制ということでありますけれども、そういうことをいろいろ組み合わせて、大学の特許を使えるようにすることを加速化していくことが大事だというふうに思います。
 次に「IV.大学が知財力を発揮できるための環境を整備しよう」ということですが、とにかく人材の流動化の促進が必要である。
 例えば、年金にしましても、退職金にしましても、移動によって不利を生じない措置を講じないと、スピンアウトとか、そういうこともなかなかできかねる状況にあります。
 これは、厚生労働省の方の問題かもしれませんけれども、知財ベンチャーをにらんだ人材の流動化促進というのは、極めて大事だというふうに思っております。
 リサーチアシスタント・博士課程云々、大学が自由に競争できる環境等々、いろいろ知財力発揮のための環境というのは大事であるということであります。
 あるいは、「8.産学の情報交流の促進と公務員倫理法とを両立させる」ですとか、あるいは私学においては、例えば寄附金の問題、国立大学においては、例えば地方財政法等、自治体と国立大学の寄附金の関係の問題等々、お金の流動においても、人材の流動においてもパイプが詰まっているところが随分ありまして、そこを丹念にパイプを通すことが極めて大事であろうかというふうに思っております。
 「V.大学における知的財産の取り扱い」。「日本版バイ・ドール法」の徹底がなされていない。
 研究成果の機関帰属が、本当には進んでいない。
 あるいは、人材がいないということも大きいんでありますけれども、大学が専門的人材を確保できていない。
 4番の研究者の移動とか、リサーチツール。例えば、細胞を一つ取りましても、最近ES細胞というのがありますけれども、とにかく細胞をつくった人がいろいろと配ったときに、つくった人が特許を主張する。使っている人たちが全然特許を主張できない仕組みになっているように思います。そういうことを開放していかないといけないんではないかと。ソフトウェアも同様でございます。
 5番目の特許の死蔵化防止・実施の促進等々。これも、企業が財団と大学側の人間が共同で特許を取ったときに、お互いに両方がOKをしないと、特許をほかに売ることができない。そうなると、企業の方はそのまま死蔵していた方が得な場合もありまして、そうすると大学が一体何をやっているかということにもなります。いろいろ問題があるかと思います。
 「VI.大学において知財人材を育成しよう」ということでありますが、本当に知財をやっていくんであれば、人材の育成の面からして、知財の分野をロースクールの柱の一つとすべきであろうと。これは、一応強く「必修科目とし、司法試験に組み込む」というふうに書いておりますけれども、知財の分野をとにかくロースクールの柱の一つにしていくつもりでないと、本当の知財立国にはつながらないであろう。
 また、起業家等の専門課程云々というのは、ごらんのとおりでございます。
 「VII .大学における知財活動のための財政基盤を整備しよう」。大学への寄附金は、やはり全額損金扱いとして、使途を自由にすることでありますとか、一方で大学が情報公開をするということでありますとか、そういう財政基盤を整備した上で初めて、大学が知財政策を本当に作成して、いろいろな戦略を打っていけるだろうと。
 アメリカの大学の財政基盤の柱は寄附金であります。これに対して、特に日本の私大の寄附金税制の制限というものは非常に強いものがありますし、また、先ほど申し上げたように、国立大学においても自治体から国立大への寄附というのは制限されているわけでありまして、いかなる意味でも寄附金ベースにはなっていない。
 例えばアメリカのハーバードの運用資産というのは、2.4 兆円ほどありますけれども、日本で運用資産が一番多いと言われている慶応大学において、約二百六十億円。約百倍の差があります。運用資産だけでそれだけの差があるわけで、やはりそれをある程度改善していかないと、大学から本当に特許を出して、それが世の中で活用され経済活性化につながるというところまでいかない。
 ある意味でジャパンのインフラとして、大学が本当に知財経済活性化に関与できるように持っていくことが大事であろうというふうに思います。
 以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、引き続き大山委員お願いします。

○大山委員
 資料3を使いまして「知的財産の創出・利用促進について」というタイトルの説明をさせていただきたいと思います。
 私自身、e−Japan重点計画につながる戦略ペーパーを書くときのメンバーに入っておりましたが、長年IT分野に関係してきています。
 したがいまして、具体論につきましては、ITの特質、IT分野における必要性等を主として説明をさせていただきたいと思います。
 最初に目標でございます。これは言うまでもないことかと思いますが、知的財産を我が国の富とすることが非常に重要なポイントであると思います。知的財産もITもすべて手段であって、本来の目的は、国の繁栄・発展を図ることにあります。したがって本来の目標は、知財に関連する新たなビジネスや雇用の創出が実現し、国全体が豊かになることであると思います。したがって、この時期に総理のリーダーシップの下で、知的財産に関する国家戦略の話が開始されたことは、極めて有意義であると考えます。
 知財の特性として、これはスローガン的な言い方で少し恐縮ですが、他との違いを明確にするために、あえて書かせていただきました。まず、最初に2番手は勝てないということです。これは、従来産業との大きな違いです。すなわち、どこかで新しい発明等で商品化されたものが出たときに、それを買ってきて分解し、例えば品質を向上する、安全性や信頼性を高める、デザインをよくする、値段を下げるというやり方で、ビジネスを成功させた例が多くありますが、知財の場合には、同じ手法が使えないということです。最初に権利を取られてしまうと後が大変ということです。勿論、改良・改善等はものづくりには極めて重要であり、これらに関連する特許も生まれていますが、この場合も知財の権利化という観点からは、一番手のみが権利を得ることになります。
 次に、知財は人の努力と英知から生まれるということです。当たり前のことですが、我が国のように天然資源の少ない国にとっては特に重要ということを、自らのこととして、はっきり認識すべきであると思います。言い換えれば、われわれ皆の努力によって、無尽蔵に生まれてくる可能性を持っているということです。したがって、その価値の認識、人材育成、インセンティブの付与等の話が重要となってきます。
 次は、知財は使われてはじめて真の富となるということです。すなわち、知財を創出・権利化し、保護するだけでは、本来の目的を達成していないということです。知財は利用され、さらにその利用が促進されることによって本来の目的である、経済の活性化につながるからです。
 さらに、社会や技術等の環境変化により知財の価値が変わるということも理解すべき重要な点です。我が国においては、ITに代表されるさまざまな要因により、大きな環境変化が起きつつあります。このことは、まさしく今、政府が進めている環境整備にもつながっています。
 大学における知財の創出については、資料に書いてありますので、詳しい説明は時間の関係でいたしませんが、この中で最も重要な点は大学・教官等の業績評価における、今の論文偏重主義の是正です。残念ながら、現在の研究者は知財の権利化の重要性に対する認識が不十分といわざるを得ません。このことに対処する、すなわち、大学・教官等の知財の権利化の重要性に対する意識を高めるために、具体的には、例えば科学研究費等の申請および事後評価に、知財に関する項目を入れるのが一つの有効な方法であると思います。
 次にITの分野に関してフォーカスして意見を述べます。はじめに、IT社会というのは、現実空間と電子空間が融合した社会であると考えます。
 説明用の絵が書いてありますので、ごらんいただければと思います。今、我々が日々行っている社会活動、例えば現実の世界で買い物に行く、病院に行ってお医者さんに診てもらう、役所に行くということは、図1に示される現実の世界で行われています。
 これらの社会活動が、電子の世界でも可能になります。すなわち、電子空間につくられたショッピングセンターに行って買い物をすることが電子商取引であり、病院に行ってお医者さんに診てもらうのが遠隔や在宅医療です。さらに、電子空間内の役所に行って行政手続や行政サービスを受けるのが、電子政府や電子自治体になります。
 電子空間は極めて便利な空間でありますが、一方では、他人や架空の人物へのなりすましや情報の盗聴や改ざん等の脅威もあります。したがって、これらの脅威に対する策として、暗号を使ったセキュリティーの重要性が指摘されているわけです。
 前回の会議で、コピーしても劣化しないのがデジタルの真価であると申し上げましたが、この特性により、例えば日本からアメリカまで、あるいはヨーロッパまで信号を往復させても、元と寸分違わない正しい情報を伝送することが出来るのです。
 これらのことを考慮した上で、知財に話を戻します。現在、個人や法人等の認証が新たなビジネスとしてスタートしていますが、その必要性は、電子空間でのなりすまし等を避けるために、個人や法人を特定するためです。
 ITの分野では、現在、IPV6の流れもあり、近い将来には情報家電等インターネット経由での電子機器の利用が可能になってくると予測されます。例えば、首相の家のエアコンをだれかが間違ってコントロールしてしまったら困るということから、だれが利用していて、どこにアクセスしているのかの確認が安全性の面から必須になってくると考えられます。これはまさしく認証の基本です。そしてこのような利用形態の安全性を確保するには、モノとヒトとの相互認証が必要です。幸いにして、ヒトを特定するための個人認証と法人を特定するための法人認証は、制度的にスタートしつつありますが、モノに対する認証は、携帯電話のような一部の電子機器を除いて行われていません。今後、電子空間と現実空間を一体化するためには、モノさらには無形の情報等に対する認証が必要になると考えられます。
 このように考えると、コンテンツ利用に対する正当性の確認も、実は同じ認証、言い方を変えると適切なアクセスコントロールにより実現できることが分かります。
 このような目標を実現するためには、コンテンツ利用促進を目的とした新技術の開発支援を行うことが重要であり、IT分野における知財戦略の一つに位置づけるべきであると考えます。以上をまとめると、知財立国を実現するためには、知財の創出・保護に加えて、利用の促進を図ることが必要です。これが、私の意見です。
 以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。引き続きしまて桑原委員お願いします。
 済みませんが、4分ぐらいでお願いします。

○桑原委員
 はい。それでは、資料の4番をごらんください。
 現在、総合科学技術会議の知財の専門調査会が走っておりますけれども、そこで出ておる意見を含めまして、また従来いろいろ出ている御意見との重複をできるだけ避けて3点ばかりお話をしたいと思います。
 1ページを開いていただきますと、第1点が一番上にあります「知的財産情報を活用した研究開発戦略」を入れるべきだということです。
 一番上の国の研究開発戦略策定時、あるいは2段目の研究開発の実施段階において、既に世界でどういう特許が出ているかということを十分調査をして、新たな研究開発の目標を設定すべきであるということです。
 つまり、世界に勝てる研究開発を行うということの担保をきちんと取ってやる必要があるということが1点であります。
 次のページを開いていただきまして、またその次の2ページにわたりまして、研究開発機関の成果管理、つまり知財の管理の在り方につき問題があることを示しております。 まず「研究開発成果の権利化」でありますけれども、先ほど安西先生の話にも出ておりましたが、政府資金によって行われる委託研究開発。これから生ずる知的財産の受託者への100 %帰属を可能にしております、現在の日本版のバイ・ドール法。これが、現在、一部の省庁でのみ活用されており、全般的な活用に至っておりません。これは、是非早く拡充をすべきであろうと思っております。
 2段目の大学等の研究現場において、発明者の定義を明確にしないと、後々非常に問題になるということで、師弟関係と、だれが本当に発明者なのかということをきちんと分離して判定する必要がある。
 最終段ですけれども、民間企業が大学に委託して研究開発を行う場合には、民間の権利は最大50%に限られている。こういうことでは、なかなか民間も出にくいので、これもひとつ改善の必要があろうということであります。
 次のページをごらんいただきます。続きでございますが、研究開発成果としての知的財産を確保・活用する体制、システムが整備される必要があるということです。予算の問題も何回も出ました。ただし、重要なので書きました。
 2段目にあります、柔軟な契約・交渉というのが大変重要だと思っております。今はなかなか柔軟になっておらず、画一的なものになっていると。特に対外国につきましての実態は、かなりしたたかな国益を守った契約交渉が必要であろうというふうに思います。 最下段に、研究マテリアル等を含めました知的財産の適正な管理ルールが、まだ明確になっていない。これも重要なことと思っております。
 最後のページの3点目でございますけれども、知的財産の訴訟制度の改善についてです。
 国際的な産業競争力強化の一環といたしまして、知的財産保護の実効性を上げるために、米国制度などを参考にして知的財産訴訟の使いやすさの向上が必要ということです。これは全般的な比較検討が必要だろうと思います。
 1つの例として、下に御説明しておりますけれども、証拠の収集手続の拡充です。
 提案したいのは、侵害特定のために必要な場合には、被告の営業秘密文章の提出を義務づけてはどうかと。
 現在、米国におきましては、これは義務づけられておりますが、日本においては原則出すべしというふうになっておりませんので、実態はケースがゼロになっています。
 つまり権利を持っている人が、なかなか自分の侵害の証拠を提示しにくいということがありますので、ほかにもこういうものが多々ありますから、全般的な比較検討をすべきであるというふうに思っております。
 以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは小池委員お願いします。

○小池委員
 私は、資料5に基づいて報告をさせていただきたいと思います。
 時間の関係もございますので、私の申し上げたい点は、この資料に盛り込んでございますが、ポイントだけ説明させていただきます。
 2枚目に目次が書いてございます。
 1ページは、何回も言われていることですが、企業の競争力が低下しているということですが、日本は特許出願量が多い点がマイナス要因として解釈されがちでございますが、創造の面では非常に優位な立場にあるという見方もできるんではないかと。
 したがって、多い出願をいかに活用していくかということが重要になると思います。
 2ページと3ページにいっていただきたいと思います。
 知的創造サイクル、発明の種まき、発掘から、権利化、活用、これが非常に重要でございまして、この知的創造サイクルをいかに健全に、またスピーディーに回転させるかということが3ページに書いてあります。
 これを私は「知財創発スパイラル」と仮に名前を付けてみたんですが、知的創造サイクルが縮小したり、あるいはスピードが落ちたり、そういった方向に向かってはならないと。これを巻き上げるような形で勢いをつけていかなければならない。また、そういう方向を目指せば、日本は多数の出願を活用して競争力を強化できるだろうということでございます。
 次5ページから、提言1、2、3、4項表示させていただきました。
 まず、知的財産権の保護範囲の拡大という点が、今、非常に重要ではないかと。大学発明等で論文公表につきましての指摘がございますが、この論文公表をそのまま出願に結び付けるというのは、なかなか難しい点もあるかもしれません。
 したがって、場合によっては論文公表に対しまして、現状以上の利益を与える。グレースピリオドの延長であるとか、そういった方向の施策を講ずることによって論文公表が特許出願と同様、あるいは特許出願を促進する種になってくるんではないかというふうに思われます。
 更に、2.のところに書きましたとおり、有用性のある新創作物を積極的に保護対象に含めるべきであると。だんだん技術が発展するにしたがいまして、従来は発明と思われていたものまでも分析され、認識されるようになっている。発明が発見に近づいているという傾向も見過ごすことができないと言えるんではないかと思います。
 更に、下に幕をかけまして書いてありますが、日本は必ずしも技術で劣っているわけではございません。日本が優秀な世界のリーダーとして立ち得る分野もたくさんあるわけです。
 先ほど、ゲノムに絡んだ話も出ましたんですが、ポスト・ゲノムの研究であるとか、ネットワークの中では新しい概念として最近議論されております、ユビキタスネットワーク。
 これは、参考資料13ページのところに簡単に説明を加えてありますので、後で見ていただきたいと思います。
 こういう分野は、日本がアメリカに伍して、あるいはアメリカに勝る分野として、まさに競争力を発揮できる有効な材料として活用できるんではないかと思います。
 次に6ページに移っていただきたいと思います。
 やはり、知的財産問題は、現在のグローバルな環境下においては、条約を通じた的確な戦略的な対応が必要であろうということが1点言えると思います。
 更にグローバル化への対応。これは、各国の制度、そのほかいろいろ違いもございますので、こういったものを乗り超えた戦略を構築する必要があるだろうと。
 更に、ノウハウの不正流出というものに関しても、不正に流出しないような環境をつくっていくということが必要だと思います。
 最後に、これはやや異質な提言ですが、秘匿特権についての明確化。
 今日も国会の方では、新特許法と弁理士法等の改正を御審議いただきまして、新しい方向性を示していただきましたが、こういった秘匿特権等の問題も戦略的な知的財産を活用する上では重要ではないかと思います。
 次の7ページに移っていただきたいと思います。
 ここは「提言3 知的創造社会の推進」。
 「知的財産マインドの向上」。
 「知的財産化への支援」。
 マインドの問題につきましては、例えば発明王と言われるエジソンであっても、一説によるとエジソンは非常にビジネスマインドが超一流であったんだということも言われます。
 私の尊敬するソニーの井深さんであるとか、盛田さん、あの辺がコンサートホールをいかに公園に引き出すかということで、ビック商品であるレコードのできないテープレコーダーをヒット商品として市場に送り込んだわけです。そういうビジネスマインドを踏まえた知的財産マインドというものも非常に重要であろうというふうに思われます。
 8ページの方にいきまして、更に具体的には、知的財産紛争への対応の問題があります。先ほど、千葉局長の方からお話がありましたが、裁判所も非常に努力してくださっているようですが、この戦略会議のスタートの前日に、東京地方裁判所で極めて重要な判決が出ました。
 パチンコスロットマシーン事件でございますが、84億円という日本で初めての損害賠償額が認定されたわけでございますが、幸か不幸か、前日特許庁の方の審判の判断では、これは無効であるという判断がなされておったわけです。
 これは、特許裁判と特許審判のねじれ現象と申しますか、その辺は早急に対応を図っていかないと、各方面で御努力いただいている成果が水泡に帰してしまう危険性もあるわけです。
 勿論、紛争の解決は、裁判所ばかりに頼るわけにはまいりません。ADRという裁判外の紛争解決手段も更に効率的に活用していただかなければならないと思います。
 9ページに移っていただきまして、何と申しましても、戦略を練って活用していくためには、知的財産専門家の育成が重要でございます。
 ロースクール問題というものも非常に発展的な議論をされておるようですが、やはり知的財産専門家を充実させるためには、例えば知的財産ビジネスアカデミーのような、この分野に精通した最先端の技術に対応できるような人材の育成が必要であろうと思われます。
 また、それに合わせて10ページの方で知的財産研修センターであるとか、国家戦略などを研究する内外に開かれた知的財産分野の研究所というものを設置して人材の育成確保といった方向を目指していく必要があると思います。
 11ページの最後でございますが、やはりこういった戦略会議で大綱をまとめて、この問題を具体的にしていくということなると、知的財産基本的法を制定することによって、知的財産推進本部等のような推進体制を固めて、国のレベルで明確な方針を固めていくという必要性があるんだと思います。
 こういう方向を取ることによって、12ページにまとめましたように「第1回知的財産戦略会議」から、右の上に書いてありますような「世界の範となる知財創造国家の樹立」ができるんではないかというふうに考えます。
 以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、富塚委員お願いします。

○富塚委員
 それでは、資料6に基づきまして、日本のレコード産業から3つの提言を申し上げたいと思います。
 「1.著作権の保護とコンテンツ流通促進について」でありますけれども、流通促進あるいは消費者の利便性という名のもとに著作権者の権利を弱めることがあってはならないと思います。それは、角を矯めて牛を殺すことになりまして、著作物の平易なコピーが技術的に可能になった現在、著作権の保護を強化することこそ、コンテンツ創作の意欲を高め、知的財産の充実と強化が可能となると思います。
 コンテンツの流通促進というのは、権利者と利用者との「契約システム」と違法複製を防止するセキュリティー技術を組み合わせたビジネスモデルの開発によって進めるべきものであると考えます。
 「2.著作権制度と特許制度を混同しないこと」。
 著作物は大衆向けに大量複製された商品でありまして、商品そのものが複製物であります。複製の権利(コピーライト)は著作権者が専有します。
 一方特許権は、それを事業者が業として実施することに及ぶ権利でありまして、特許権そのものが最終商品ではありません。
 この違いを無方式主義と言っておりますけれども、次のページのカラーで簡単にわかりやすく書いてございます。混同してはいけないということであります。
 3つ目でありますが、この前の会議で、私が皆様にサンプルをお見せしましたように、CDの私的複製が簡単に廉価でできる時代になっております。
 それと著作権法30条との関係がどうなるか。著作権法30条は、私的使用のための複製を認めたものでありますけれども、これが1970年に制定されたときは勿論のこと、デジタル録音機器に対する私的録音補償金制度が創設された1992年でも、パソコンは一般家庭に普及しておらず、50円から80円の非常に安いCD−Rが登場したのはここ1〜2年であります。ちなみに、今、パソコンにもCD−Rディスクにも私的録音補償金は課金されておりません。
 そこで提言であります。中古CD販売を禁止するか、あるいは権利者が中古販売営業から正当な利益のロイヤルティーの保証を受けられる法制度を整備する必要があると思います。
 著作権者の自衛手段として、今、コピーコントロールCDの発売が開始されましたが、これを技術的に回避する機器やソフトではなくて、手引き書というようなノウハウものが出始めて書店で並んでおります。
 このようなものも、流布することを違法として、刑事罰を伴った法整備が必要であろうかと思います。
 3ページ目に、参考資料を添付してございますけれども、今、いかに中古CD店がすごい勢いで伸びているか。正規のレコード店が8,000 店しかないのに、いまや中古CD店が7,600 店舗に増えております。
 昨年は、販売された全CDの21.5%は中古CDでした。正規CDの販売は前年比で5,300 万枚もダウンしました。今年の1月〜3月だけを取りますと、もう25%ダウンしております。今、CD業界はものすごい危機にあります。 今、コピーコントロールCDが出始めておりますけれども、これは新しい商品にだけしか効かないのであって、過去から今まで出ててる何十万ものタイトルは全く無防備な状態でありますので、ソフト、ハードを含めた何らかの対策が必要であるかと思います。
 以上であります。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、松尾委員お願いします。

○松尾委員
 レジュメの色刷りの方ですが、その冒頭に記載しておきましたように、まず、模倣品等の知的財産権侵害品が日本の市場に流入してくるのを水際で、強力に、短期間に、断固阻止できるような制度、言わば日本版ITCというべきものを早急に確立することを提案します。
 ちなみに、先ほど最高裁の千葉局長が言われましたように、訴訟の空洞化というのはミスリーディングだと思います。制度の改革のためには、事実を正確にとらえて、そこから進んでいくべきであろうと思います。
 次に、レジュメの2ページで「第2 知的財産訴訟改革の基本事項」というのを述べております。
 はじめに「証拠収集手続きの拡充」ですが、これは皆さんおっしゃるんですけれども、この手続は営業秘密の保護拡充ということを図らなければ実現できるものではありません。
 特に不正競争防止法には、営業秘密の漏えい行為というのが不正競争行為になっているわけで、この審理にもまたいずれ罰則が設けられるのではないかと思いますが、そういう場合にも、営業秘密の保護をどうやって守るかということを訴訟の手続の中で十分検討しなければ有効に実現できるものではないと思います。
 その点では、現在、法制審議会等で議論されております、証拠収集手続の拡充ないし証拠収集の時期を前に持っていくということだけでは処理できない問題だろうと思います。
 そこで、私は、3ページの一番下に赤い枠で書いておきましたけれども、是非知的財産関係の専門家、法務省や裁判所、経産省とか実務家、これを入れた知的財産の専門家会議のようなものの創設を検討していただきたいと思います。
 次に、裁判所の人的基盤の拡充ですが、この点につきましても、訴訟の集中審理というのは前から言われておりますけれども、これがなぜできないかと言いますと、知的財産関係では、やはり裁判所の技術的な知識の補完というものが前提として必要とされるからではなかろうかと思います。
 そのために、技術専門員を裁判所の合議体の構成員とするところまで持っていかなければいけない。また、合議体も3人ではなく5人にしたり、技術専門家も1人ではなく2人にするとか、そこまで考えていくべきであろうと思います。
 裁判官の補助者というのは、技術面と法律面を別に考える必要があり、例えばアメリカのCAFCと言われるところでは、1人の裁判官に3人のロークラークが付いております。そういうことも考慮していただきたいと思います。
 もう一つ、2ページの3に書いております、損害賠償額の認定の手続ですが、これは侵害の認定から切り離すべきだろうと思います。
 損害額の算定というのは、時間も掛かりますし、また純粋な法律マターではございません。
 ドイツ、フランス、イギリス、オランダというようなヨーロッパの国では、訴訟の迅速化のために前から損害賠償は認定から外しております。そういうところを考えるべきであろうと思います。
 また、現在、損害賠償の算定のために特許法に基づく計算鑑定人というのを利用し始めております。こういう計算鑑定人というのは中止にして、損害賠償額のほか、知的財産の経済的価値の評価というものを広く行えるような組織を設けて、職務発明の評価もその組織で行っていったらいかがかと思います。
 次は飛ばしまして4ページにいきます。
 これは、知的財産訴訟制度の構造上の改革とも言うべきものであって、現在、裁判所と特許庁との仕事の重複、あるいはキャッチボールが行われております。重要な人的、物的資材が無駄にされておりますので、根本的に制度の見直しをしていただきたいと思います。 その中で、大きな柱として1つは、裁判所において特許権等、知的財産権の有効性を判断できるようにすべきだろうと思います。
 もう一つは、特許庁の中の審判制度も変革しまして、裁判所だけではなく特許庁におきましても、法律問題がある場合には合議体の構成の中に法律家を入れてはいかがかと思います。
 後は読んでいただければおわかりいただけますので省略いたします。

○阿部座長
 どうも申し訳ありませんでした。続きまして事前にお申し出をいただいておりました平沼大臣から御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいします。

○経済産業大臣
 もう資料9を見ていただければおわかりだと思いますけれども、模造品等の氾濫によって、我が国企業の被害が深刻化しております。
 これは、個々の企業、団体の取り組みだけでは不十分でありまして、やはり産業界と政府が連携して、侵害国政府に対する働き掛け等において共同して行動することが不可欠です。
 そういう中で、来たる4月16日、座長に松下電器産業の森下会長を迎えまして、国際知的財産保護フォーラムが発足することになりました。
 経済産業省としては、今後同フォーラムと協力、連携の下にやってまいりたいと思っておりますので、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。
 以上であります。

○阿部座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、今、一連の御説明をいただきましたが、前回の会議における各委員の御発言及び本日の御説明用に、事前に各委員から御提出をいただきました資料を基に議論すべき項目のリストを事務局で列記していただきました。
 資料の10でございます。体系立った整理はしておりませんが、これから議論すべき論点になるものと考えております。
 これらの項目を基に起草委員会で検討の柱及び戦略の在り方の起草を行っていただきたいと考えております。
 実は、私もいろいろと申し上げたいことを用意してきたんですが、時間の関係で全部カットをいたしまして、少し事務的なことを申し上げたいと思います。
 それでは、各委員の方、あるいは大臣もおいでになっておりますので、自由に御発言をいただきたいと思います。
 時間の余裕も余りございませんので、勝手ながら手短にお願いをいたしたいと思います。挙手をいただければありがたいと思います。

○法務大臣
 先ほど裁判所からの御説明もございまして、知的財産権戦略の重要性にかんがみまして御努力いただいていることは大変ありがたいことだと思います。
 国家戦略の一部といたしまして、極めて重要な意味を持つものでございまして、私が所管しております司法制度改革審議会におきましても、知的財産権の関係事件は総合的な対応強化ということを強調しておりまして、その線に沿いまして最大限に努力をいたしていきたいということで、これも皆様方の御協力をお願いしたいということを一言申し上げました。

○阿部座長
 ありがとうございました。では、尾身大臣。

○科学技術政策担当大臣
 今の研究機関、特殊法人とか、あるいは国立研究所等の研究機関に、大学もややそうなんですが、研究が行われていて成果が出ますが、これは論文になるということが主体で、特許化も含めて使い道についてどうもおろそかになっている。
 したがって、総合科学技術会議でできるだけ研究成果を活用するようなことを、国全体の方針として戦略会議でもお決めいただいて、何かガイドラインみたいなものを出して、各機関で活用の方についても十分進めるように是非お願いをしたいと思っておりますので、きちんとしたレポートがまとまった段階で提言をさせていただきたいと思います。

○阿部座長
 ありがとうございます。よろしくお願いします。

○文部科学大臣
 大変いい意見がたくさん出たと思います。
 今、聞いておりますと、特に安西委員の方から出されましたことは、大学についてのいろんな戦略的なアプローチが必要だということで、大変明快だと思います。
 それを拝見しておりますと、これまでのいろんな政策とか、仕組みとか、予算を画期的に拡充していけばいいものと、全く新しい仕組みをつくるべきものと、仕組みを画期的に改善すべきもの、人事の流動とか、そういうアプローチがそれぞれ違っておりますので、ここで挙げられました資料10の項目をこれから検討していただくときに、何を今のような分類に分けていくのか、そしてその取り組み方についてもきちんと明示していただけると大変ありがたいと思いますし、重点的に取り上げていただきたいと思います。
 もう一点、富塚委員の方から中古のCDの問題が提起されました。これは大変重要な問題だと思っておりまして、今、文化審議会のうちの著作権分科会の中で、これの扱いについて取り組んでおりますので、またいずれ御報告したいと思います。

○阿部座長
 ありがとうございました。

○厚生労働大臣
 医薬品につきましては、青木委員の方からもございましたので、多くを言う必要はないというふうに思いますが、先ほどお話がございましたように、時間と費用が非常に掛かりますので、最大の応援団としてやっていきたいというふうに思っておりますが、下流特許が得意で、上流特許は余り得意でないというお話がございましたが、上流特許が何とか少し上昇しますように御努力いただきたいと思いますし、我々も努力したいと思います。
 ついででございますが、安西委員の方から出ました、年金協定でございますが、イギリスとドイツが終わりまして、今、アメリカをやっておりまして、あとフランスと韓国を手掛け始めたところでございます。早くやりたいと思っております。

○安西委員
 私が申し上げたのは、国内の機関間の年金の違い。例えば、公務員と民間では違うわけですから。

○内閣総理大臣
 一元化だな。

○安西委員
 そうです。総理のおっしゃるとおりであります。それが、やはり人材流動化には非常に大事だと思います。

○阿部座長
 どうぞ。

○総務大臣
 私どもの総務省としましては、IT分野の研究開発や、国際標準化に今までも積極的に取り組んできました経験から、知的財産の重要性は大変強く認識しておりますので、今後我が国の得意とする光やモバイルなどの分野で官民一体となって知的財産の獲得を意識した研究開発を推進していく所存でございます。これを是非強調していただきたいということが1つ。
 また、ブロードバンド時代に入りますけれども、著作権等で先生方からお話もございましたが、権利処理ルールを確立して、ネットワーク上でのデジタルコンテンツのルールを促進していくことが不可欠だと考えておりまして、14年度予算でこれについてのいろんな研究をしようと、こういうことになっておりますが、是非これも強調していただきたいと思います。
 安西先生からありました地方自治体が国立大学に寄附金を出すということは、今、法律上禁じているんです。これは、財政秩序、節度の維持ということでございまして、従って共同研究や委託研究は問題ないですから、その辺はいろいろ運用上の工夫があるんではなかろうかと思いますので、研究いたします。
 以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○松尾委員
 2つあります。1つは、当然知的財産裁判所ということが出るかと思いますが、私の資料の7−2に書いておきましたように、知的財産裁判所と言われるものは、ほかの国により、いろいろ形が違います。
 皆さんにイメージされているものが一人ひとり違うのではないかと思いますので、まず、そこら辺を確立してから検討すべきだと思います。
 知財基本法ですが、先ほど特許と著作権とは違うというお話が出ました。そうだと思うんです。基本法と言いましても、それぞれ沿革、歴史が違いますので、一緒に規定することはほとんど不可能です。
 しかし、私は権利の行使のところは共通の法律ができるのではなかろうかと思います。ただ、その場合、民法が明治29年の法でいまだに21世紀の知財法の基礎にあるとされています。本当に民法が聖域であっていいのかなということを少し疑問に思いますので、そんなところも含めて考えていただきたいと思います。

○阿部座長
 どうぞ。

○桑原委員
 では、簡単に、資料10の下から2行目の企業による戦略的云々とありますけれども、私も大学も国研も同じだという思いますので、あえて「企業による」を取った方がいいんではないかと思います。

○阿部座長
 おっしゃっるとおりだと思います。
 どうぞ、荒井委員。

○荒井委員
 また、高橋是清さんで済みませんが、実は高橋是清さんが特許、発明が大事だということを日本に広めるにはどうしようかと一生懸命考えたら、浅草の観音さんの次に立派な特許庁の建物をつくろうと言って、松方正義大蔵大臣に話した。
 なぜかと言うと、東京へ見物に来た人がそこを見に行けば土産話に持って帰るから日本中に話が広がって便利ではないかというマスメディアが余り発達していない時代にそう考えまして、要するに特許庁、あるいは内閣として国民にいい発明をしようではないかということを送るメッセージとしてそう考えたわけですが、今はハコモノの時代は終わりましたので、今日の議論ではありませんが、国としての意思を示すということが非常に大事な局面だと思いますので、是非いい発明をして、いい音楽をつくったり、そしていいベンチャー企業を起こすんだというメッセージを国全体に広めていくということが必要だと思いますので、そのことのためには、やはり知的財産の構造改革基本法とか、そういうものをきちんとつくって日本中でいいものをつくろうというメッセージを送っていただくことが大事ではないかと思います。

○阿部座長
 それでは、若干申し上げさせていただきたいと思いますが、今いろいろな御意見、前回も含めましていただきました。
 我が国では、さまざまな改革が進行中でありますけれども、知財戦略に視点を置くか置かないかによって改革の中身が大きく変わりますし、また国力も左右することになるというのはお話で理解できつつあると思います。
 本戦略会議でありますけれども、これは総理じきじきの会議であるということもございまして、その立場を踏まえて、勿論現実的な諸問題に留意はいたしますけれども、知的財産の国家戦略としての太い幹となる大綱を作成すべく努力をさせていただきたいと考えております。
 今後、これまでにいただきました御意見を踏まえまして、起草委員会において具体的な検討を進めていただきたいと思います。中山先生が起草委員会の委員長であります。
 次回までに知的財産戦略大綱(仮称)の骨子案の作成を、大変お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 何か特になければ、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、最後に内閣総理大臣からごあいさつをいただきたいと思いますので、その前にプレスの入室をお願いしたいと思います。お待ちください。

(報道関係者入室)

○内閣総理大臣
 どうもありがとうございました。いろいろ熱心に議論いただきまして、私も本当にこの問題は範囲が広くて、難問も多いなと感じましたけれども、所信表明でこの世に生き残る生きものは何かと、強いものでも、頭のいいものでもないと言いましたけれども、この時代の変化に対応するために、知的財産というのはもう衣食住を超えている問題でしょう。それだけ大事な、これからの新しい時代に日本が生き残れるかどうか、模倣から創造へ、大変大事な問題を皆さんに議論していただきました。
 戦略を立てて、論点を整理して、その戦略に向かって進むように、これからも活発な議論よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○阿部座長
 どうもありがとうございました。それでは、プレスの退場をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○内閣総理大臣
 高橋是清というのは、大したもんだな。やはりいろいろなアイデアがあるんだな。

○荒井委員
 この本を読むと、本当に自分で苦労して、自分で勉強したんです。

○阿部座長
 それでは、ただいまの総理のごあいさつに沿って、今後も進めさせていただきたいと思います。
 予定の時間がまいりましたので、本日の会合はここで閉会させていただきます。
 本日の会合の内容につきましては、終了後に私から記者会見を行わせていただきます。
 次回の会合につきましては、私のメモは違っていますので事務局から話していただいた方がいいと思います。

○事務局
 次回の会合でございますが、来月の22日17時15分から18時15分という時間帯を目途に調整をしたいと考えておるところでございます。

○阿部座長
 それでは、本日は御多忙のところ誠にありがとうございました。