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知的財産戦略会議(第3回)議事録



○阿部座長 定刻となりました。総理大臣は若干遅れられるということでありますが、始めているようにという御指示をいただいておりますので、ただいまから知的財産戦略会議の第3回会合を開催させていただきます。御多忙中のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、今回の会議より関係閣僚として外務大臣、財務大臣に御参加をいただくことになったことを御報告申し上げます。本日は外務副大臣、財務大臣政務官に代理出席をしていただいております。
 また、自由民主党から知的財産関連合同会議におきまして取りまとめられました提言が去る5月17日に内閣総理大臣に提出され、知的財産戦略大綱仮称に可能な限り反映するようにという御要請をいただきました。その提言を資料7としてお手元に配布しておりますので、御参考にごらんいただきたいと思います。
 それでは、時間の関係もありますので議事次第に沿って進行をさせていただきます。前回の会議までに委員各位からいただきました御意見を踏まえまして、起草委員会において具体的な検討を進めていただき、知的財産戦略大綱仮称骨子案をつくっていただきました。本日は、この知的財産戦略大綱仮称骨子案について御議論をいただきたいと思います。
 最初に、起草委員会の委員長である中山委員から、知的財産戦略大綱仮称骨子案について説明をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○中山委員 それでは、資料2の「知的財産戦略大綱骨子案」につきまして、資料1の横長の「骨子案のポイント」というペーパーを用いまして御説明申し上げます。
 起草委員会は計5回を開催いたしまして、その間にもインターネットを利用して精力的に議論をしてまいりました。その成果物でありますこの骨子案は、総論とアクションプランが書かれた具体的行動計画から構成されております。本日は、総論の前文と具体的行動計画の項目を提示させていただいております。
 総論は「T.はじめに」「U.現状と課題」「V.基本的方向」の3部から構成されております。「はじめに」では、21世紀におきましては従来のものづくりに最適であった経済社会システムから、付加価値の高い無形資産の創造に最適化したシステムに改革すべきであること、すなわち骨子案のポイントの左上に書いてございます「知的財産立国の実現」ということを提言しております。
 次にそのポイントの1ページ左下の「現状と課題」におきましては、近年の我が国の産業競争力低下への懸念について触れまして、今後我が国が競争力を強化するためには知的財産を豊富に創造し、これを保護、活用すること、つまり知的創造サイクルの好循環が必要であるということを強調しております。
 次いで基本的方向につきましてはポイントの1ページの右側の今後の取り組み方針に書いてございますとおり、知的創造サイクルの各局面における知的財産の創造、保護、活用と、これらを支える人的基盤の充実の4つの分野に分けて整理をいたしました。それぞれ簡単に御説明申し上げます。
 それでは、ポイントの2ページの右の記載をごらんください。
 最初の創造戦略におきましては、まず基礎的な研究を企業が自前で行うことが資金的な制約等によって困難となる中で、大学や公的な研究機関などが基本特許につながる革新的なブレイクスルーや新技術、新産業を創出することに対する期待感が高まっておりまして、そのための環境整備の重要性を指摘しております。企業につきましては知的財産に対してグローバルな競争を意識した戦略的な対応が急務であるとしております。
 また、技術革新につながる発明を生み出すことが経済、社会の活力の源泉でありまして、その基盤となる人的資源を充実させるためには初等中等教育を充実させ、創造的なマインドを醸成する教育を進める必要があるとともに、大学におきましてはその研究環境の整備を行い、研究者の流動化やその他の施策を図ることが必要であるとしております。
 次に保護戦略でございますけれども、知的財産創造のインセンティブを確保するために、その適切な保護は不可欠でありまして、行政機関や裁判所は知的財産立国を支えるサービス提供者としての認識を深めるべきであるとしております。そして、特許につきましては審査期間の長期化により権利の成立や行使に影響が生ずることがないように、国際的に見て遜色のない迅速で、かつ質の高い審査体制の整備と総合的な施策を行う必要性を述べております。
 また、音楽、映画等のデジタルコンテンツにつきましても、昨今のIT技術の発達によってデジタル化された情報は複製に極めて弱いという特性があるために、著作権による適切な保護が必要であるという問題提起をしております。
 更に企業活動における営業秘密の重要性が高まっている中で、営業秘密の不正取得に対する民事上の救済措置を強化するとともに、罰則の導入を図る必要があるとしております。そして、裁判手続におきまして秘密が公開されてしまうということにより、営業秘密の訴訟を提起しにくいという現状を打破することを強く訴えております。
 知的財産に関する紛争が生じた場合の最後のよりどころである裁判所におきましては、その信頼性を更に確保するために、現在進行中の司法制度改革に加えて、更に専門家の利用の促進等を含め、知的財産関連訴訟の迅速化や専門的、技術的事項について十分な審理を尽くすことができる手続、体制の必要性を説いております。
 保護戦略の最後は、海外における模倣品や海賊版などの知的財産権侵害に対する有効な対策といたしましてTRIPS協定で認められた権利を最大限に行使するとともに、世界知的所有権機関、WIPOにおける知的財産権のエンフォースメントに関する議論にも積極的に対応し、毅然たる態度で望むように述べております。
 活用戦略では、米国に比べて大幅に後れている大学における技術の特許取得、ライセンシングを改善すべく、大学を取り巻く環境を改革する必要があるとしております。また、知的財産に十分な関心を持たない経営トップも多く、そのために特許等の知的財産が有効に活用されていない面もありますので、知的財産軽視の意識の改革を迫るとともに、知的財産の適切な経済的評価の手法を確立し、知的財産流通のための環境整備を進めることの必要性を強調しております。
 加えて、中小あるいはベンチャー企業や個人による知的財産の活用を支援する環境整備の必要性も述べております。
 最後に、人的基盤の充実におきましては、知的財産創造の担い手を育成することに加えて、その権利化や紛争処理、知的財産ライセンス契約などの高度な専門サービスを提供する専門家の養成が急務であり、そのためには知的財産保護を中心としたビジネスに関連した法律を重視した法科大学院の出現を促すべく、法科大学院設置基準や新司法試験の在り方を含めた環境整備が必要であると説いております。
 ポイントの2ページ、左側に書いてありますとおり、総論の結びといたしまして、本考案の実施体制として知的財産戦略本部(仮称)を設置すること等を定める知的財産基本法(仮称)を策定し、遅くとも次期通常国会に提出することを提言しております。
 それから、資料2の末尾に添附してあります具体的行動計画につきましては、基本的方向と同じく創造、保護、活用、人材の4区分で整理し、その内容を更に細かく提示をしております。その各項目の詳細につきましては現在起草委員会で鋭意検討しているところでございまして、その検討結果によりましてはこれらの項目に若干の変更があるかもしれないということを御承知おきいただきたいと思います。
 私からの説明は以上といたしまして、他の起草委員からも一言ずつ簡単に御説明をお願いしたいと思います。まず荒井委員には元特許庁の長官として特許行政を始め、知的財産分野で幅広く提言をされております。桑原委員は民間企業での経験をお持ちの上、総合科学技術会議議員として科学技術政策全般を見る立場におられます。大山委員は大学で実際に産学連携に関係をしておられ、ITの専門家として起草委員に参加していただいております。それでは、お三方にごく簡単に補足説明をお願いいたします。

○阿部座長 では、時間がありませんので簡単にお願いいたします。

○荒井委員 具体的行動計画の策定をこれから本格化させるわけですが、小泉内閣の進めておられる構造改革に寄与するような、できるだけ骨太の政策ができるように努力していきたいと思っています。そのために民間の委員から第1回、第2回と出していただいたものがたくさんございますので、これを上手にまとめ上げたい。
 ただし、まとめ上げるに当たりましては正直に申し上げますと内閣府や、あるいは各省といろいろな調整は相当困難が予想されておりますし、既に相当困難に面しておりますので、どうぞ各大臣も是非日本の未来のためにという高い立場から御理解と御指導をお願いしたいと思います。
 それから今、一生懸命作業の準備をしておりますが、中山委員長からもお話がございましたが、この戦略本部をつくって是非実現していい知財立国、これは総理が明治以来初めておっしゃっていただいているわけですので、これをやるに当たっては是非専任の事務局のようなものをつくって、きちんと内閣として実現していただきたい。専任の事務局をお願いしたいというのが起草委員会の一致した要望でございます。ありがとうございました。

○桑原委員 簡単に1点だけですが、外国による権利侵害が大変多くなっているのは御承知のとおりで、国の関与を強くお願いしたいと期待しておりますけれども、今日は外務省の方々においでいただいていまして、外務省も非常に関心を強く持たれておるので、是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。

○大山委員 時間がないようですので、簡単に申し上げます。大学にいる立場としてこういうものを実際に成文化してみますと、自分たちがこれからやるべきことがはっきりしてきたという気がいたします。やはりこれをいかに多くの大学教官あるいは学生を始めとする知財を生み出す人たちに、よく理解いただくかということが次のステップではないかと思います。
 もう一つ、今後も更に起草委員会等でも議論を深めたいと思っていますが、今はニーズとシーズのマッチングのような形でさまざまな変化が世の中に起きているのに対し、これからは、やはりまだ見えていない、すなわち将来に向かって未だ顕在化していない潜在的なニーズを先にとらえて、何らかの手を打つのが本当の戦略ではないかと考えます。その辺についての議論がまだ不十分というような気がいたしますが、これはこの後、もう少し引き続き努力させていただきたいと思っております。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、皆様から御発言をいただきたいと思いますが、時間の関係もございますので大変恐縮ですが、手短にお願いをできればありがたいと思います。
 まずは、事前にお申出をいただいております尾身大臣、遠山大臣、平沼大臣、植竹副大臣から御発言をいただきたいと思います。誠に恐縮でございますが、3分をめどにお願いできればということで恐縮でございます。まず、尾身大臣からよろしくお願いいたします。

○科学技術政策担当大臣 総合科学技術会議でも、この戦略会議に対応いたしまして知的財産戦略専門調査会を立ち上げまして検討しております。資料3でお配りしておりますが、これが中間まとめの骨子案でございます。これをこの戦略会議の方に反映をしていただきたいということで、おおよそ基本的な線についての説明をさせていただきたいと思います。
 大きく分けて4つの部分に分かれております。第1は1ページにありますが、国の研究開発投資に対応した知的財産の確保と活用を積極的に進めていくということでございます。この研究開発の成果を論文として発表するだけでは不十分でありまして、これを知的財産として権利化し、活用して産業化していくプロセスを伴わなければならないということでございます。そのためには、特許情報及びそれに関連する技術情報を容易に検索できるようなシステム整備を行いまして研究開発を進める、あるいはそういう特許を取得する上での知的財産情報の活用を促進する必要があるということでございます。
 それから、研究者への十分な還元を図りつつ、知的財産権の個人帰属から機関帰属へ転換をする。それに伴いまして、特許出願関連費用等の確保が必要であるということであります。また、政府資金による委託研究から生じた知的財産の受託者への100%帰属を可能にいたしました日本版バイ・ドール法ができているわけでございますが、実際の研究開発については一部の省庁にとどまっておりまして、これを各省庁すべての委託研究に適用を拡大するということが必要でございまして、これを是非織り込んでいただきたいということであります。
 次に、資料の2ページでありますが、技術革新のスピードと国際競争がライフサイエンス分野、それから情報通信分野に非常に厳しくなっているわけでございまして、この2つの分野につきまして特に提言をしております。ライフサイエンスにつきましては、人工皮膚などのように医療技術の分野が増えているわけでございますが、この分野は特許になじまないということとされておりましたが、この分野の特許化を図るということが必要であります。それから、たんぱく質に関する発明が特許を受けるための要件につきましては、日米あるいは欧の間で違いがありますので、その国際的な調和を図ることが必要だということであります。以下3ページになりますが、情報通信分野につきましては情報処理の方法などは現行の知的財産法制の下では柔軟な運用で保護の対象としているわけでありますけれども、今後の情報化社会の進展に応じまして、このような発明についても国際的な議論を行いつつ、法律的にも保護範囲となるような知的財産法の改革が必要であるということであります。
 3番目は、国際的に通用する知的財産関連人材の育成でありますが、企業、大学あるいは公的研究機関、弁理士あるいは弁護士等の司法関係者などにおいて専門家を養成する必要があり、そのための必要な教育を充実することが必要だということであります。
 それから、4番目関連基盤の整備といたしまして、審査官の増員による特許審査の推進とか、あるいは裁判所における技術の専門家の採用など、特許関連訴訟の迅速化が必要であるということ、それから知的財産制度の国際的調和が必要であるということであります。知的財産基本法につきましては、これは国家的な見地から是非必要だという意見が大勢を占めております。
 それから4ページの参考でありますが、研究機関等における知的財産に関して取り組むべき10項目、ここにありますような戦略的研究開発を推進するとか、あるいは個人の帰属から機関帰属へ転換を図るとか、あるいはマテリアルについての研究成果の適切な管理を図るというようなことが述べられております。
 これらの内容を中間報告に取りまとめる予定でございますが、6月中に総合科学技術会議で審議をして決定をしていただく予定になっております。この成果を知的財産戦略の大綱の方に是非取り入れていただきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○阿部座長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。 それでは、次に遠山大臣に御発言をいただきたいと思います。

○文部科学大臣 知的財産立国に向けた、文部科学省としての今後の取り組みについて提案をいたしたいと思います。お手元に資料5−1をお配りしておりますが、今日は特に2点に絞りまして御説明申し上げたいと思います。
 1つは、「大学等における「知」の創出と活用に関するビジョン」でございます。1ページ目を御覧下さい。世界に誇る「知」の集積国家を目指すために、大学等における知の創出と活用が非常に大事でございます。その主要ポイントを申し上げますと、リーディング・プロジェクト等を実施していこうという考えでございます。これは中長期的な視野の下に、着手段階から社会・経済での活用の将来像を描きつつ、大学等と企業が協力をして実用化に向けて一貫して取り組み、知的財産の創出・活用を図るというものです。将来像をきちんと描いた上で、実用化を目指してやるというプロジェクトを重視したいということでございます。また、ブレイクスルーの創出をもたらす質の高い基礎研究についても引き続き推進していくことは申すまでもありません。
 さらに、特許等の取得・活用の体制整備が非常に大事でございます。大学では現にいろいろな研究開発が進んでおり、まさに知の集積体となっているわけでございますが、それを知的財産にしていくため、主要大学に「知的財産本部」を設置する必要があると考えております。これは国公私立を通じ全国数十カ所ぐらいの主要大学につくっていくという考えでございます。
 また、その他の大学や研究機関等については、科学技術振興事業団を活用しまして、それらの機関における戦略的な特許取得を支援するセンター機能を早急に整備していきたいと考えているところでございます。こうした取り組みを通じ、研究開発の成果を一元管理し、経営マインドを持って戦略的な活用を図っていく必要があろうかと考えます。
 なお、昨年の邦人研究者の米国における問題を契機といたしまして、研究開発成果を利用する際のルールの整備の必要性が指摘されていたところでございますが、つい先日、文部科学省としての検討結果を取りまとめたところでございます。本日はお手元に資料5−2として配布いたしておりますので、後ほど御高覧いただきたいと存じます。
 次に、知的財産戦略の中で非常に重要な役割を果たします著作権について、御説明を申し上げます。資料5−1の3枚目を御覧下さい。著作権制度につきましては、産業や技術の変化等に対応して、従来からその充実に努めており、日本の著作権法は、インターネットへの対応等について、国際的にも極めて高い水準にあると言われております。しかし今日、パソコンやインターネット、様々なコンテンツの急速に普及するという状況が生じつつございます。こうした新しい状況に、知的財産戦略という観点から対応していくため、そのページの左側にありますように5つの課題があると考えております。
 法律ルールの整備をきちんと図ること、円滑な流通を促進すること、国際的な課題への対応、特に海賊版対策などについてしっかりやること、教育の充実、司法救済制度の充実でございます。今日はこのうち2つについて御説明したいと思いますが、特に重要になりますのは円滑な流通の促進でございまして、民間の団体、企業等が行います新しいビジネスモデル、コンテンツの流通システムやモデルの開発等に対して強力な支援を行うことを提案したいと考えます。
 また、海賊版対策につきましては資料の4ページを御覧いただきますとおり、権利者、企業、関係団体が共同で海賊版対策推進のための民間の組織を設立したい。これは経産省と協力しながら呼び掛けたいと思っております。これが海外における権利侵害実態の監視等を行います。
 それから、政府、文部科学省としましては、こういう民間組織からの侵害実態に関する情報などを踏まえ、二国間あるいは多国間の協議の場で、相手国政府に対し取締強化等を強く求めていくというような協力体制づくりなどを提案いたしたいと思います。以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、引き続きまして平沼大臣にお願いいたします。

○経済産業大臣 私ども経済産業省といたしましては、産業競争力を強化しなければならない。それには、この知的財産戦略をしなければいかぬということで省内で討議を重ねてまいりまして、お手元の資料6、そしてその中にA3の1枚紙がございます。奇しくも大綱と同じ4つの戦略でございますので、説明は一切省かせていただいて、まさに重複をして同じことを言っているということでございますので説明はいたしません。
 1つ御報告は、この度、日米の特許庁で特許申請に対する調査、審査の相互利用に関する共同プロジェクトを開始することが決まりました。基本合意ができましたので、今後我が国特許の国際化に資することが非常に期待できる。このことを御報告申し上げ、3分の時間を1分以内で終わらせていただきます。

○阿部座長 どうもありがとうございます。それでは、植竹副大臣に御発言をいただきたいと思います。

○外務副大臣 外務省といたしましては、今回から知的財産戦略会議のメンバーとして参加させていただくことになりました。知的財産戦略における外交戦略について述べさせていただきたいと思います。配布資料4をごらんいただければと思います。
 企業を始めとする経済活動は、国境を越えて世界中で展開されている現状から、知的財産の国際的保護強化は重要な課題であると考えております。ポイントは3点であります。
 第1は模倣品対策です。アジア諸国を中心とするこの模倣品問題は、我が国産業界にとっては極めて深刻な現状にあると認識しており、この問題に対しては二国間、多国間の交渉を進め、我が国産業界、国民の利益を守るべきであると考えます。
 第2は、制度の国際的調和です。現在、各国の特許制度は先発明主義や先出願主義など異なっておりますが、国際的制度調和を図る制度を利用するお客様であるユーザーにとって使いやすい環境を実現すべく取り組む必要があると考えております。
 第3は、関係省庁との緊密な連携であります。関係省庁と緊密に連携をとってきたところではありますが、今後も連携を一層緊密にとり、国民の利益、産業界の利益を守るため、オールジャパンとして取り組んでいく必要があると認識しております。外務省としては、いかなることができるか述べさせていただきました。以上であります。

○阿部座長 どうもありがとうございました。今、3つの省と尾身大臣から御説明いただきました。それでは、御発言を希望される方から御発表いただきたいと思います。御自由にどうぞ。

○厚生労働副大臣 大学のTLOが多く設立されている一方で、公的研究機関のTLOが少ないのが現状でありますので、公的研究機関の技術移転を推進していくことも大変重要であると思います。そのTLOの設置促進が求められていることから、厚生労働省といたしましても所管の国立試験研究機関等のTLOの設立を検討しております。こうしたことから、4番目の具体的行動計画の中に公的研究機関のTLOの設置の促進といった記載をお願いしたいと思っております。

○阿部座長 ありがとうございました。公的研究機関のTLOの設置促進というお話でございました。それでは、どなたでも結構でございますのでどうぞ。

○青木委員 私のところにライフサイエンス、バイオ関連の産業から非常に強い要望がございまして、これはこの領域におきましてはアメリカに比べてかなり後進的である。後れをとっているということがございまして、こういう分野の産業分野によっては保護戦略と活用戦略を十分バランスをとって考えていただきたい。
 その一つの例として、日米合意によります選択発明に関する裁定実施権の制限ということに対しまして非常に産業界全体としてコンサーンを持っている。こういったことについて適切な政策及び外交戦略をお願いしたいということがございます。

○阿部座長 難しい問題ですが、議論する大きな価値があることだろうと思います。

○小池委員 起草委員の方からの報告と、各大臣からの御説明で非常にいい方向でまとまりつつあると思いますが、1点、この戦略会議の戦略施策はやはり国際的に提言をしていただきたいと思います。そのためにも、やはりこの制度が確固たる制度として実行されるように、先ほど荒井委員の方からもございましたが、是非しっかりした事務局を設置していただいて対応を図っていただきたいと考えます。
 もう一点、情報に関する問題を非常にあちこちで触れていただいておりますが、もう一つアメリカのプロパテント政策が発表されたときと現在の状況の一番大きな違いは、環境がIT環境下にあるということの中身につきましては大分触れていただいておりますが、そのことも明示していただいて、対外的な日本政府の確固たる態度を是非表明していただきたいと考えます。

○阿部座長 知財戦略の視点は私もまさに国際戦略であると思いますので、そういう視点からも国際的なアピールをしていく必要が大切だろうと思います。ほかにいかがでしょうか。

○松尾委員 この大綱骨子についての点ですが、まず5ページの3に「競争政策の重要性と表現の自由などの重視」というのがあります。これ自体は大変結構だと思うんですけれども、ちょっとこれでは足りないなと思います。権利の強化に伴う具体的な弊害として独占による競争の弊害というのが出ておりますが、独禁法は、独占による弊害ということと、それから優越的な地位による不公正な取引行為の二本立てになっています。普段私どもが経験するのは不公正な取引方法の問題が具体的には多くございますので、これも是非入れていただきたい。そして、そういう不当な競争制限が起こらないようにということと、独占の弊害というものを挙げていただきたいと思います。
 あと2つありますが、1つは9ページの3に「営業秘密の保護強化」というのがあります。これは当然、不正競争防止法における営業秘密の保護に関する規定の見直しということであろうかと思います。そこの点が少し漠然として書かれておりますので、そこをはっきりさせていただきたいことと、それから今、業界でも営業秘密の漏洩に対して刑事罰を設けることを提案するところが多々見られますので、これにつきまして十分御検討いただきたいと思います。これは例えばドイツ、アメリカ、イギリス、フランスあるいは韓国においても刑事罰はございますし、もともとドイツなどでは営業秘密の保護は刑事罰から発足しております。そういうこともありまして、日本でも十分考えていただきたいと思います。
 そのときに皆さんちょっと途中で躊躇するのは、憲法の対審と判決の公開の原則という問題だと思います。それは、例えば公の秩序を維持するために裁判官の一致で公開にしないこともできるはずですけれども、そこら辺で憲法論にいきますと皆、口をつぐんでしまうんです。そういうことについて、この機会に是非検討して刑事罰化を設けるべきだと思います。
 最後に10ページの「海外における保護の強化」ということで、先ほども幾つか御発言がありましたが、この点で現在、関税定率法21条、その改正した1ないし3がありまして、そこの法律は整備されておりますけれども、現実にはほとんど動いておりません。私は商標権侵害で昨年の10月に差止めの申請書を出しまして、やっと一昨日でしたか、認める方向で考えますと言われたのですが、それまでは持って行くと受け取ってくださるのですけれども、申請を受理するかどうかわからないから置いて行ってください、判こもまだつかなくていいですというようなことで、何回もお邪魔して、何が悪いのかということでさんざん苦労しました。
 1つだけお見せしたいのですが、今日せっかくだからと思って持ってきました。その1つの問題は、これは女性の方は皆、知っておりますし、男性も御存じかと思いますが、アンドレ・クレージュのバッグなんですね。ここにAのマークがついていて、ここにクレージュのマークが付いております、これは侵害品です。どこに問題があるかというと、法律的にこれはパナマからきており、香港から日本に入ってきておりますが、クレージュ社は、パナマの会社に男性物の小物についてだけ権利を与えていました。しかし、これはだれが見ても女性物だと思うんです。多分税関の方は、この点に一つの問題を感じられたことではないかと思います。
 このように商標権は持っておりますが、商標権侵害でも法律問題がどうしても出てくるんですね。そういうわけで、私が前に提言しましたけれども、是非司法的な判断もできるような、法律家が税関にいないと十分な判断ができないと思います。処分不明のまま6か月、7か月になるようなこということではなくて、とにかく申請書を受理して、それで判断を下してくださるような機関というものを是非設けていただきたいと思います。
 それから、今輸入差止めの申請ができるのは著作権、商標権、それから著作者隣接権ですが、特許権や意匠権についてもこういうものが必要であると思いますので、その辺は法律の改正というのが必要になるかと思いますが、是非お願いしたいと思います。以上3点です。

○阿部座長 ありがとうございました。いろいろ難しい問題ですが、検討しなければいけないと思います。

○御手洗委員 私はこの知的財産戦略会議の中で、これは長期的になると思うのですけれども、ひとつ強く取り上げていただきたいのは世界特許を目指したハーモナイゼーションのことです。御承知のとおり、今580万件ぐらいが全世界で特許の申請をされていますが、これは大体平均1つの発明を8か国に出しておりますから、日米欧が協力してスタンダードをつくり、一つの特許申請で済むようにすれば73万件ぐらいに下がります。今、国家的にも企業的にも膨大なコストがかかっているので、これを排除することができるわけです。
 また、今は各国で特許にする審査のスタンダードが違います。ある国では特許になる、ある国では特許にならないというふうに企業活動にとって非常に不安定な状況が生まれているわけでありますから、是非このハーモナイゼーションに取り組んでいただきたいと思うわけです。これは日米欧というようなことでスタンダードができれば、間接的に模造品対策にもなると思うんです。今、模造品をつくる国は特許に対する認識が低い、審査官もなれていないためになかなか特許が取れない。取れないために今、松尾委員がおっしゃったとおり、皆、特許では訴えられないものですから、意匠権だとか商標権で訴えている。これは非常にテンポラリーな、基本的なことではなくて、表面的なことなんですね。
 だから、そういった発展途上国に模造品の対策を抜本的なところでできるようにするためにも、是非世界のハーモナイゼーションをして、WTO体制などを通じてそれに全ての国を加盟させるというような長期的な運動が必要だと思うんです。是非そういう方向もこの中で強調して取り上げていただきたいと思います。

○阿部座長 おっしゃるとおりだと思います。では、安西委員お願いします。

○安西委員 人的基盤の充実について申し上げます。やはり戦略としては、とにかく知財法を含めてそういう実際のスキルを持った人材を緊急に育成する必要がありまして、そのためには具体的に司法試験の範囲というのでしょうか、それに知財法を絡めないと、なかなか具体的には人材が出てきにくい。それから、技術系の学生がやはり知財法を十分に勉強できるような、それで技術と法律、あるいは技術と経営とがダブルで学べるような、そういう仕組みを是非つくっていただきたい。その2点だけ緊急に申し上げたいと思います。

○文部科学大臣 今の点についてでございますが、今日は時間の関係であえて教育のことには触れなかったのですが、今、法科大学院の構想を練っておりまして、法務省とも十分連携しながら、実際に役に立つ、特にこういう知的財産に強い人材の育成を推進したいと考えております。法律家だけでなく、おっしゃるように医学や工学等の分野の人も、必要とする基礎的な知識が得られるようにということも考えておりまして、大いにやりたいと思います。

○安西委員 それは国のために非常に役立つと思います。

○法務大臣 今の関連で、法科大学院の在り方はまさに研究しているところでございまして、大変適切な御指摘をいただいたと思いますが、私は法科大学院あるいは司法試験の在り方の中で、特にこの知的財産権の問題を指摘される方が多いものですから、特に財界の皆様方に御協力をいただいて、例えば寄附講座のようなものを法科大学院に設けていただけたらいいのではないか。これは個人的な考えてございますが、そんなことでまた御協力をお願いすることもあろうかと思います。よろしくお願いしたいと思います。

○阿部座長 まさに省庁を挙げて御検討いただく課題だと思います。ほかにいかがでしょうか。

○経済財政政策担当・IT担当大臣 私は今日発言を予定しておりませんでしたが、先ほど中山委員長からお示しいただいた構想は大変私は興味深いと思います。基本的にはこの戦略会議でまさに戦略大綱をつくって基本法を策定して、それで戦略本部をつくる。まさに今、実はこれはIT戦略会議からIT基本法、IT戦略本部になった道をたどっているんだと思います。
 今そのIT担当をやらせていただいている立場から言いますと、戦略会議のときに非常に議論を活発にして、戦略本部になるにつれて実際にやらなければいけないことがどんどん見えてくると、なかなか動きにくくなる。これは当然のことだと思います。しかし、逆に言うとそういうプロセスを経ることによって少しずつ着実に動いているという面があります。
 今、そのITの分野を担当させていただいて1つ思うことは、IT戦略会議において非常に高い、わかりやすい目標を掲げたということが今日、何とか前に進んでいる非常に大きな原動力になっていると思うんです。言うまでもなく、それは5年で日本を世界一のIT立国にするということでありました。それを先ほどから知的財産立国という言葉が出てきますけれども、具体的に国民に向けてわかりやすい戦略目標が何かということをやはり明示することがこの会議の重要な役割なのではないかと思います。それがあるかないかによって、後々のこの戦略本部の在り方も違ってくると思いますので、その辺については是非とも議論を詰める中で御議論いただくべきであろうかと思います。

○阿部座長 戦略目標が明確に一般市民にもわかるようにというのは、非常に重要な御示唆であると思います。富塚委員、何か御発言ございませんか。

○富塚委員 特にございませんけれども、知的財産というものを考えた場合に、議論を伺っておりますと、知的財産イコール技術的財産、技術的知的財産というふうにほとんど皆さんが理解していることが多いような感じがいたします。文芸的なといいますか、芸術的なといいますか、知的財産というのが著作権という言葉で語られてきたわけですが、この面は難しいとは思いますけれども、付言は非常に少ないですが、ここで言われる知的財産の戦略大綱とは別に、著作権というものに関してどのような保護と育成と活力を与えるかということをちょっと別な形で進める必要があるのではないかというふうに感じております。

○阿部座長 できるだけこれは委員長から御発言いただいた方がいいと思いますが、必ずしも技術に偏ることなく、やはり知的創造というのは文化も含めた非常に広いものだと思いますので、そういう視点を「はじめに」やその他、前文の方では工夫はしていただいていたと思うのですが、不十分な点があったかもしれません。
 今、一連のお話を伺っていて、中山委員長から御発言ございましたらお願いします。

○中山委員長 どの御意見もごもっともだと思いまして、今後これを中心にして議論をしていきたいと思いますし、最後に富塚委員のおっしゃいました文芸、芸術等の分野、つまり技術以外の分野も当然重要と考えております。
 しかしながら、なぜ分量が少ないかといいますと、2005年までの間のアクションプランとして述べるということになりますと、どうしても技術が中心になってまいりますけれども、決して文芸とか学術、美術、音楽等々を忘れているわけではございません。それも非常に重要な科目だと思っておりますし、特に21世紀においてはこれはますます重要になるということは間違いないと考えております。
 そのほか、ロースクールの問題等々につきましても一応触れておりますけれども、また更に検討していきたいと考えております。

○阿部座長 ありがとうございました。起草委員の先生、委員の先生、何か御発言ありましたらどうぞ。せっかく総理大臣もお見えいただいておりますので。

○財務大臣政務官 先ほど松尾先生からお話のありました輸入の物品の問題でありますけれども、輸入品製品としては常に水際作戦で財務省としてはしっかりと取締りをしているところでございます。平成13年度にも税関に関する差止めの件数だけでも100万点ぐらい入っておりまして、財務省としてもしっかりその辺は押さえてそのような品の阻止を行っているところでございますので、御理解いただきたいと思います。

○松尾委員 私もその数字はわかっていますので、どうしてこちら側がつかんでお願いしたいものが受け取ってさえいただけないのか非常に不思議に思って、どこに問合せをしようかと思っておりますが、私が連絡したときに調査官が言われるには、後で国家賠償の問題にされるような書類は受け取れないと。でも、ちゃんと法律には供託金命令書というのがあって供託金を納めるんですよね。そういうこともありますので、どこを心配していらっしゃるのかよくわからないので、是非役所とその当事者との関係ではなくて、当事者同士の構造に持っていくとか、いろいろ工夫をしていただきたいと思います。

○中山委員 ただいまの問題ですけれども、確かに商標と著作権については多数の点数の差押えでありますけれども、特許については余り機能しておりませんし、種苗につきましては法律すらありません。これは確かに欧米と比べますとかなり見劣りする面も否定できないわけでありまして、特に品物によっては国内に入ってしまったらもうどうしようもないというものも多数ございますので、この点についてはこれからも詰めていきたいと思います。

○阿部座長 いかがでしょうか。
 もしなければ、少し早いですけれども、御意見をちょうだいするのはこれで終わりにさせていただきたいと思います。貴重な御意見を大変ありがとうございました。それでは、本日いただきました御意見を踏まえまして、次回会合までに起草委員会において更に検討を深めていただきまして、知的財産戦略大綱仮称案の作成をお願いしたいと思います。
 それでは、最後に内閣総理大臣からごあいさつがございます。その前に、プレス入室がございますのでお待ちください。

(報道陣入室)

○小泉内閣総理大臣 どうもお忙しいところありがとうございます。
 知的財産立国、これは大変重要な問題で、知的にあふれた皆様方からこうして熱心に御議論いただくことは大変ありがたいと思っています。まさに国を挙げての21世紀の大きな戦略の一つとして、今後ともよろしく御協力をお願いしたいと思います。いろいろいい意見を出していただきましたので、新しい時代にどのように進むべきかということを、できるだけ国民にわかりやすく示すということも念頭に置きながら、明確な指針を出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部座長 ありがとうございました。プレスが退場しますので、もう少しお待ちください。

(報道陣退室)

○阿部座長 ただいま総理大臣から御指示もございましたので、そういう方向で私どもも頑張ってまいりたいと思います。予定の時間が近づいてまいりました。本日の会合はここで閉会をさせていただきたいと思います。
 なお、本日の会合の内容につきましては、会合終了後に私の方から記者会見を行わせていただきたく存じます。
 次回の会合につきましては、来月14日の17時15分から18時15分を目途に調整をしたいと考えております。本日は御多忙中、誠にありがとうございました。
 なお、委員の先生方で今日の御発言以外に御発言がございましたら、書面で事務局の方にいただければありがたいと思います。
 それではこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。