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知的財産戦略会議(第5回)議事録



○阿部座長 定刻となりましたので、ただいまから知的財産戦略会議の第5回会合を開催させていただきます。御多忙中のところ御参集をいただきましてありがとうございます。 本日は皆様の御尽力により取りまとめました知的財産戦略大綱(案)について、最終的な御決定をしていただければと考えております。
 次に、御決定をしていただいた場合でありますけれども、この大綱を、私から小泉総理に提出をさせていただきまして、小泉総理大臣からごあいさつをいただく。その後で、委員の皆様お一人おひとりから大綱及びその実施、これは今後の問題を含めてですが、御自由に御意見を伺うと、そういう手順で進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず知的財産戦略大綱(案)についてお諮りいたします。お手元に資料3としてお配りをしております。鋭意御検討いただいたものですが、本案を知的財産戦略会議において決定をさせていただきたいと考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、本最終案を知的財産戦略大綱として決定したいと存じます。
 続きまして、この大綱を小泉総理に提出させていただき、その後で小泉総理より御発言をいただきたいと思いますが、ここでプレスが入室しますので若干お待ちいただきたいと思います。

(報道陣入室)

○阿部座長 それでは若干申し上げますと、本年2月以来、総理の下でこの戦略会議は鋭意開催をさせていただきました。お陰様で取りまとめができましたわけでございます。
 我が国の経済はもちろんでありますけれども、社会、文化の活性化のためにこの戦略大綱を推し進めていただくことが誠に必要な時期と考えておりますので、今後とも総理の御指導の下で進めていただくことをこいねがいまして提出をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(阿部座長より小泉総理大臣へ「知的財産戦略大綱」手交)

○小泉内閣総理大臣 短期間ではありましたが、民間委員の皆さんに精力的にやっていただいて、こうした立派な大綱を出していただきましてありがとうございます。
 経済活性化戦略、これを支える大きな柱の一つでありますから、大変大事な重いものだと受け止めております。各界を代表する皆さん方が、せっかくお仕事が多いにもかかわらず一生懸命知恵を絞って出していただきました。大綱を直ちに行動できる形にまとめていただいたことに対しまして、厚く心から感謝を申し上げたいと思います。
 今後、この大綱を実施するため、5日の金曜日に知的財産基本法準備室を発足させたいと思います。まさに知的財産立国の実現に向けてスタートを切ることになると思いますので、今後とも御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。本当に皆さんありがとうございました。

○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、報道は御退室をお願いします。

(報道陣退室)

○阿部座長 それでは、意見交換に入らせていただきたいと思います。事前にお申出をいただいております尾身科学技術政策担当大臣、遠山文部科学大臣、平沼経済産業大臣から御発言を頂戴したいと思います。尾身先生、最初によろしくお願いします。

○科学技術政策担当大臣 極めて短期間でございましたが、知的財産に関する総合的な戦略をこの知的財産戦略大綱としておまとめをいただきまして、本当に委員の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 科学技術政策の観点からも、この知的財産戦略は大変重要でございまして、この大綱の内容を実現していくべく、総合科学技術会議におきましては関係の各府省と連絡を取りながら全力で取り組んでまいりたいと思います。知的財産戦略専門調査会を設けておりまして、その調査会の検討もこのインプリメンテーションの段階で進めつつ、知的財産戦略会議と連携をして万全を期してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、続きまして遠山大臣お願いいたします。

○文部科学大臣 ただいまの大綱は、知の創造、保護、活用について日本の進むべき方向性を迅速におまとめいただきましたもので、私としては高く評価したいと思います。座長、それから委員の方々、起草委員の方々、本当にありがとうございました。
 文部科学省といたしましても、大学等における知的財産の創出や活用、海賊版対策を含む著作権の適切な保護と円滑な流通の促進、また人的基盤の充実等について全力で取り組んでまいりたいと考えております。特に、主要な国公私立大学における「知的財産本部」の整備については、しっかりと進めてまいりたいと思います。
 また、最近米国において、日本人研究者が遺伝子の持出し、研究情報を開示した容疑で逮捕されました。昨年の理化学研究所の研究者が関係した事件以降、研究成果の適切な取扱いに関する研究者の意識向上に意を尽くしてきたところでございますが、この問題につきましては、日本の研究成果が不当に流出しないようにすることも非常に大切だと考えております。その意味で、大綱におきまして、不正競争防止法のさらなる強化が図られることとなっており、是非とも実現していただきたいと思います。
 更に、政府全体として進めていく「知的財産基本法」の制定、「知的財産戦略本部」の設置につきましても積極的に貢献してまいりたいと思います。本当にありがとうございました。

○阿部座長 どうもありがとうございました。続きまして、平沼大臣にお願いいたします。

○経済産業大臣 この大綱を取りまとめるに当たりまして、阿部座長を始めとして関係各位の大変な御努力に心から敬意を表させていただきたいと思います。
 それから、知的財産の基本法の成立に向けて、経済産業省といたしましても全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
 また、我が省関連の課題の事項が幾つかあるわけでございますけれども、これに関しましても産業構造審議会といったところでよく論議を重ねたいと思っておりますし、また例えば模倣品等の対策についても、民間フォーラムの方々や関係省庁と連携をとって、こういった具体的な問題についても全力で解決をしていきたいと、このように思っております。以上でございます。

○阿部座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、皆様から大綱及びその実施について自由に御意見をちょうだいしたいと思います。時間の関係もございますので、誠に恐縮ながら手短にお願いいたしたいと思います。もしよろしければ委員の先生方から、あいうえお順で恐縮ですが、荒井委員からお願いしたいと思います。

○荒井委員 今回の戦略大綱は、総理のリーダーシップで知財立国を国家目標にするということを決めたわけで、これは高橋是清元総理大臣が明治18年に特許条例をつくって以来の画期的なことだと思います。
 日本で最初にベンチャーを起こした人は豊田グループをつくった豊田左吉さんです。彼は静岡県の田舎に生まれたんですが、特許との出会いで彼は真剣になったというのが『偉人伝文庫 豊田佐吉』に書いてありますのでちょっとだけ読ませていただきます。
 「明治19年、佐吉は19歳になった。夜学仲間の豊田吾吉が畑から戻って、縁側でぼんやりしていると佐吉がやってきた。ひどく興奮した顔色だった。「吾吉さん、特許条例って何だか知ってるかい。知らねえんだろう。おれもさっき佐田先生に教えてもらったばかりだ。おめえ、特許条例って発明には大事な決まりなんだぞ。おらあ、いいことを聞いた。日本にもこんないい法律ができたんだからなあ。たいしたもんだ。」
 「なあ、吾吉さん、素晴らしいじゃねえか。これからは、日本でも発明家は保護されるんだぜ。せっかく、苦心して発明したものも、他人によこどりされたり、利用されたりせずに済むんだぜ。こうなれば日本でもいろんな発明が盛んになるわけだ。ありがてぇことだ。」
 「そりゃいいことったな。おめえも素晴らしい発明しろよな。」
 かねてから佐吉がはたごの改良に夢中になっていることを知っている吾吉は励ますようにいった。「うん。おりゃあ、やるよ。」
 そういった時の佐吉の目はギラギラ輝いていた。日本でも、発明を尊重し、発明家を保護することになったということが、佐吉にはよっぽどうれしかったらしい。このときから、佐吉の発明熱は一段と激しくなった。」
 こういうふうにありまして、今回の戦略大綱を実現すれば第2、第3の豊田佐吉さんが生まれてくるんだと思います。
 そういうことでお願いがありますが、第1点は国際競争です。これは阿部座長のお考えなんですが、会社だけではなくて大学も、個々の教授もみんな国際競争をしているんですが、日本の法律や制度の中には明治以来の経緯だとか、横並びで欧米に比べて不利なものがあります。是非国際競争で不利にならないように、いわば知的財産特区、こういうものをつくる気持ちで改革を進めていただくことをお願いいたします。
 第2点は、今回の大綱は最低ラインだということで、時間の制約もありましたから、今後の検討にゆだねられている項目も数多くあります。これから中小企業やベンチャー、研究者など、幅広く意見を聞いて改正項目の追加や内容の改善を図っていただくことをお願いいたします。ありがとうございました。

○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、大山委員お願いします。

○大山委員 本日、阿部座長から総理にこの戦略大綱をお渡しいただきまして、私も起草委員をやってきた関係から、責任の一部が終わったという満足感を得ることができました。
 ただ、この資料を見て、先ほどの満足感と同時に自分を戒めるべきことがありました。というのは、大学の人間はやはりこういう紙ができると終わりだと思ってしまうことがよくありますが、実はこの大綱に従ってどうやるかの方がより重要であることを思い返したからです。
 同時に、自分で実際に起草をさせていただきまして、知的財産についての戦略を十分に考えるチャンスがございました。まずお礼を申し上げたいと思います。この戦略大綱の中にも一部が記載されていますが、コンテンツの流通について、うまい方法が見つかりました。この考え方をつい先日、経済産業省の課長と一緒にヨーロッパへ行って話しましたら、その課長から、この考え方はもう話すなと言われました。この意味はどういうことかと言うと、特許を押さえるのが先ということです。自分の認識はまだ不十分であることをまた教えられたといいますか、再認識することができました。
 この方法は、住民基本台帳カードを始めとするセキュリティの要となるセキュアチップを各機器に取り付けることで実現します。こうすることで、理論的にはコンテンツの流通を実現できることがほぼ確認されました。是非進めていきたいと思っておりますので、御支援をいただければと思います。もちろん、総務省さんとも一緒にやらせていただいておりますし、経済産業省さん、それから文化庁さん、もちろん文部科学省さん、さまざまな省庁と調整をした上で、推進したいと思っております。以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。桑原委員、お願いします。

○桑原委員 先ほど総理から、早速動いていただけるということで大変うれしく思っております。これから知財周辺でいろいろまだやることがあると感ずるわけですが、一つの例として公共物件の入札のときにある特定のメーカーが特定の技術を持っていきますと、競争の公平さを欠くということで好ましからずという判断がされてまいりました。
 最近になりまして順次改善をされてきており、現在制度的にはほぼできる形になりつつあるのでございますけれども、まだ実態はなかなか時間もかかる等の問題があって理想の姿にきていないということがあります。そのように、知財を押し上げていくためには周辺の環境をきちんと改善していくことが必要であり、いろいろ問題がこれからもあるということを感じております。以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、小池委員お願いします。

○小池委員 私は弁理士として在野で特許問題に関わりを持たせていただきましたが、30年前ソニーの井深さんから、まさにソニーは日本の戦後のベンチャーの代表だと思いますが、委任状をいただきまして、30年間同社とともに歩んできました。
 それで、現在日本の置かれた環境はこの大綱の冒頭にも書かれておりますように、今まで人類が経験したことのないネットワーク社会を前提にした情報化時代である。もしかしたら第2のバーチャルな地球がここに完成するのかもしれないという状況にあるわけです。したがって、今までアメリカにおいてプロパテント政策が実行されまして大きな成果がありましたが、日本がこれから行う特許戦略は世界中どこも経験していない新しい環境でのチャレンジであるというふうに私は思います。是非小泉内閣の下でこの国が再生する方向に進むように御尽力をいただきたいと思います。以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。富塚委員、お願いします。

○富塚委員 デジタルコンテンツの事業を行っている業界からただ一人この委員に選んでいただいたわけでありますけれども、先ほど文部科学大臣から海賊版の対策を積極的に進めたいというお話がございました。いわゆるコンベンショナルな、トラディショナルな海賊版といいますのは工場でつくっておりますものですけれども、今、世界的に問題になっておりますのは工場ではなくて家庭で無制限につくってしまうクローンの問題、これがデジタル技術の異常な発展によって今、広がっているわけでありますので、法の規制がなかなか及ばない家庭におけるクローン製作への対策ということにも十分意を用いていただきまして、私どももそのような技術的な開発を一生懸命進めたいと思いますけれども、単にトラディショナルな海賊版、これは日本にはほとんどないんです、今、日本において広がっているのは私的海賊といいますか、著作権を無視した無制限な家庭におけるコピーでありますので、この点を是非少なくできるように、できれば絶滅するような形で御協力をいただきたいと思います。

○阿部座長 ありがとうございました。では、中山委員どうぞ。

○中山委員 3か月間という極めて短い時間ではございましたけれども、知的財産に関する包括的、網羅的な提言ができたのではないかと考えております。起草委員長としては、一応及第点を付けることができるのではないかと考えております。
 あとは、この大綱を2005年までにいかに実施をしていくかということが重要であります。それで、5日には基本法の立法のための準備室ができるということでございますけれども、その後もいろいろと大変なことが待っているのではないかと思います。この大綱の中には各官庁に対してかなり大変な改革を要求するということも入っておりますので、各官庁、府省におかれましては、今後この大綱を実施してくださるようにお願いしたいと思います。 なお、この大綱はあくまでも知的財産という観点から書かれておりますけれども、考えてみますと一番重要なのは知的財産の基になる発明とかコンテンツをいかにつくるかということであります。知的財産はそれに対するインセンティブを与える。自由なインセンティブを与えることは事実ですけれども、知的財産だけでは発明もコンテンツもできないわけですから、この大綱とは少し離れるかもしれませんけれども、大本の創作をするという方向にも今後は意を用いていただきたいと思っております。以上でございます。

○阿部座長 それでは、松尾委員お願いします。

○松尾委員 中山委員長が、自らこの大綱は及第点ではなかろうかとおっしゃいましたが、私は確かにこの短い期間にこれだけまとめていただきまして、やはり100点と言いにくければ99点と言うかもしれませんが、及第点を是非付けさせていただきたいと思います。
 それで、大変よくできていると思いますのは、短い期間の中で2005年までの間に具体的に担当の省庁まで記載していただいて詳細に議論していただいたところだと思います。今後、私どもがこれをどうやって見守っていくのか、私は是非実現できるように協力させていただきたいと思いますので、その点をよろしくお願いいたします。
 それからもう一つ、ここには書いてありませんし、私もこれでいいと思っていたんですけれども、やはり知的財産というときには発明、創作だけではなく、デザインとかブランドの問題があります。ブランドの価値の評価とか、それからブランドは商品と一緒に世界を流通するものですから、今後そのブランドの保護のために、それから法律の国際的調和のためにも是非力を尽くしていただきたいと思います。以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、御手洗委員お願いします。

○御手洗委員 まずは、この知的財産戦略会議のメンバーで大綱を起草していただきました中山委員長を始め起草委員の方々に心からお礼を申し上げます。大変立派だと私は思っております。
 私はこの大綱の一つの目玉は、やはり大学の改革だと思います。日本の学術レベルは非常に高いものがありますが、それが産業界に活用されるという面からいきますとかなりインターフェイスが悪く、なおざりにされている部分が大きいと思います。そういう意味で、これを実行する上の目玉の一つは大学の改革だと思います。これにはいろいろな省庁が色濃く関わり、法整備や改革等々がかなり必要になってくると思いますが、是非総理の強力なリーダーシップの下に各省庁が協力をしまして2005年までにこの大綱が実行され、そしてそれによって日本の失われた産業競争力が復活できるように、是非実行あらしめていただきたいと思います。
 もう一つは、是非アメリカ等に比べて少ない科学技術に対する公的機関、政府の投資というものをもう少し増やしていただきたい。そして、大学の改革とあいまって産学官共同により強力な日本の学術を産業界に役立てて、産業の競争力の復活ができるような仕組みを是非総理のリーダーシップの下に省庁の協力で実現していただきたいということが私のお願いであります。

○阿部座長 ありがとうございました。

 実は、本日は青木委員と安西委員が御欠席ですけれども、あらかじめ御意見をちょうだいいたしましたところ、これまでの発言に尽きているのでそれに代えたいということでありましたので御紹介をさせていただきます。
 最後に、簡単ですが、私の意見を申し上げさせていただきます。この総理が主催をされた今回の戦略会議でありますけれども、これからの我が国の活性化を方向づける画期的な会議であり、各大臣、各委員、各役所の御協力によってその指針となる報告書をつくり上げることができたと考えております。
 大切なのは、お話がありましたように今後でございます。今後はこの報告書に沿って、その内容を一つひとつ実現していただくことが極めて肝要であることは総理のお話、その他先生方のお話のとおりでございますが、1つ申し上げたいのは各国の知財戦略は日々進化しておりますので、これが先ほど最低線というお話がありましたし、総理のお話もありましたけれども、この報告書はあくまでも第一歩というふうに認識して進める必要があろうかと思います。
 更に、それぞれの組織の論理を乗り越えて国家戦略として調和のある知財先進国を構築していかなければいけないわけでございますので、今後の対応につきまして引き続き御指導、御協力をいただきたいと思っております。ありがとうございました。
 何か御発言をされる方はございますでしょうか。もしよろしければ、今後の予定等について申し上げさせていただきますが、よろしゅうございますか。
 先ほど小泉総理のごあいさつにもありましたが、知的財産基本法準備室が内閣官房に7月5日に設置され、知的財産基本法(仮称)の策定作業等を行っていただく予定と伺いました。これは、まさに本日提出をさせていただきました大綱を基に知的財産立国の実現に向かってスタートを切るということでございます。
 今後、本戦略会議の仕事、立場でありますが、大綱に盛り込まれました重要な課題の着実な実行をフォローアップするとともに、更に幅広く知的財産に関する議論を深めていくために、おおむね2か月に1回程度開催したいと考えておりますので、今後とも何分よろしくお願い申し上げます。
 それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の会合をここで閉会をさせていただきます。本日の会合の内容につきましては、会合終了後に私から記者会見を行わせていただきたいと思います。本日は御多忙中のところ誠にありがとうございました。