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○阿部座長 定刻となりましたので、ただいまから第6回会合の「知的財産戦略会議」を開催させていただきます。
総理は若干遅れられるということでありますが、始めているようにという御指示をいただいておりますので進めさせていただきます。
いずれにしても、御多忙中のところありがとうございました。
本日は、最初に7月3日に決定をいたしました、知的財産戦略大綱を受けまして、内閣官房において検討を進めております基本法の案の骨子につきまして、事務局より説明をさせます。
次に、関係府省大臣からこの大綱の進捗状況について簡単に御報告をいただきたいと考えております。
これらを受けまして、委員の皆様から御意見を伺うという段取りで進めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
それでは、最初に事務局から基本法の骨子について説明をさせますので、よろしくお願いいたします。
○内閣審議官 お手元の資料、色刷りの2枚紙、資料1「知的財産基本法(案)のポイント」をお開きいただきます。資料2の骨子を更に要約したこの2枚紙で御説明させていただきます。
まず、第一章でございますが、知的財産の定義として、発明、著作物等人間の創造的営みにより産み出されるもの、商品、営業を表示するもの及び営業秘密等、できるだけ広くとらえております。
本法制定の目的でございますが、知的財産を中核とした事業活動による活力ある経済社会を実現するため、知的財産の創造、保護、活用を促進する施策を集中的・計画的に推進することとしております。
この目的を達成、実現するための基本的な考え方といたしまして、基本理念を規定しております。
知的財産の創造、保護、活用の推進は、国民経済の発展及び豊かな文化の創造・発展、経済構造改革の推進及び産業の国際競争力強化に寄与すべきであるということとしております。
この基本理念にのっとりまして、責務として、国、地方公共団体、大学、事業者、それの責務を規定するとともに、全体が相互に連携して知的財産戦略の推進に必要な施策を講じることという責務の規定を置いております。
第二章でございますが、国として講ずべき、基本的施策を第二章に規定させていただいております。知的財産の創造として、まず大学の研究会発の促進、大学からの事業者への知的財産の移転の円滑化のために必要な施策を講ずることとしております。
次に、知的財産の保護についてでございますが、特許などの知的財産権の権利付与の国による手続の迅速化を図るための必要な施策を講ずることといたしております。
裁判などの知的財産紛争処理の迅速化も同様でございます。
また、次の国内、国境及び海外における我が国の知的財産に対する侵害の取り締まりでございますが、これはいわゆる模倣品あるいは海賊版対策のことでございます。
新分野における、知的財産の保護について必要な施策を講ずることとしております。
知的財産の活用でございますが、事業者が知的財産を戦略的に活用して、新しい事業の創出、あるいは円滑な事業活動ができるような環境の整備のために必要な施策を講ずることといたしております。
以上の知的財産の創造、保護、活用の局面に必要な人材育成といたしまして、知的財産に関する専門家の育成のために必要な措置を講ずることといたしております。
次に、ページを跳ねていただきまして、第三章及び第四章でございますが、第三章で、この知的財産戦略を集中的・計画的に推進するため、内閣に知的財産戦略本部を設置することといたしております。
本部は、本部長を総理大臣といたしまして、全閣僚及び民間有識者から構成することと規定しております。
第四章で、知的財産戦略計画を規定しております。この本部によりまして、知的財産の創造、保護、活用及び人材の確保に関し、集中的かつ計画的に講ずべき施策を戦略計画として、速やかに策定することといたしております。
戦略計画に定める施策は、具体的な目標とその達成時期を定めることといたしております。また、この計画の達成状況を調査し、その結果を公表、必要な見直しを行うこととしております。
なお、本法につきまして、法施行後3年以内にその施行状況について検討を加え、その結果に基づき必要な見直しを行うと規定しております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、第2の議題であります。戦略大綱の進捗状況に入らせていただきます。最初に、事前にお申し出をいただいています大臣から、大変恐縮でございますが簡潔な御報告をいただきます。
最初に、尾身大臣からお願いいたします。
○科学技術政策担当大臣 この知的財産戦略会議おきましてとりまとめていただきました、この戦略大綱や本日の知的財産基本法の理念、内容を実現していくためには、科学技術が大変大事な役割を果たすものと考えております。
こういう考え方に基づきまして、総合科学技術会議におきましては、来年度の予算編成におきましても、各府省の予算要求の内容について今検討しているところでございますが、その中で大学等における国の内外への特許出願費用の拡充、大学における知的財産本部の設置、あるいは大学等への知的財産管理アドバザーの派遣などの、知的財産関連の予算を重点的に考えていくよう、これから努めてまいる考え方でございます。
総合科学技術会議の中に、知的財産戦略専門調査会を9月24日に再開をいたしまして、知的財産戦略大綱を踏まえまして、大学の知的財産本部とTLOの連携の強化、あるいは産学連携における共同研究、契約、特許の共有など、知的財産関連のルールを具体化するということ。再生医療等についての、特許保護の明確化をするなどにつきまして、科学技術の振興と産業化支援の立場から、今後議論を深めてまいりたいと考えております。
なお、大学等における研究開発成果の実用化、事業化を推進するための、具体的な方策といたしまして、新たに研究開発型ベンチャープロジェクトチームを設けまして、大学等の研究開発成果が起業化に結び付くような問題について、集中的に調査・検討を行ってまいる所存でございまして、その中におきましても知的財産の問題を重点的に取り上げてまいりたいと思っております。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、平沼大臣、お願いいたします。
○経済産業大臣 それでは、お手元に資料5、色刷りの1枚紙を配布させていただいています。それを読んでいただければ、もうおわかりだと思いますが、何点かについて簡単に申し上げさせていただきます。
まず「世界特許に向けた取組の強化」についてでございます。特許制度でございますけれども、知的財産立国には当然のことながら優れた技術を、事業化のタイミングを逃さずに権利化をしまして、保護するプロパテント政策が必要だと思っております。このため、経済産業省といたしましては、特許審査機関の短縮化という差し迫った現下の課題を解決するとともに、将来的には世界最高レベルの迅速・的確な審査を目指してまいりたいと考えております。
そのため、限られた定員の中でのアウトソーシングを活用した審査体制の整備や、早期審査制度の強化に全力を挙げてまいりたいと思っております。
一つ、この制度利用する民間サイドの問題もあるわけでございまして、そこの是正も必要だという認識を持っております。具体的に申し上げますと、我が国では特許審査案件数が、欧米と比して非常に多く、特徴的なのは上位10社で、全体の20%を超える特異の状況があります。しかるに、大量に審査請求をする企業の特許成立比率が、全体の平均と比べまして低くて、明らかに特許にならない請求が相当程度含まれていることもある意味で意味しているのではないかと思っております。
こういった企業行動が、国の審査負担を増しまして、日本全体として審査処理のスピードを遅らせて、結果として企業コストを増大させていることから、知的財産立国の実現には適切な民間企業の努力も必要と考えております。せっかくのインセンティブを抑えるということではなくて、そういう中で戦略的な特許取得に努めることが必要だと思っております。また、事業者が有利になるような特許料金体系の見直しも検討していきたいと思っております。
次に「営業秘密の保護強化」でございますけれども、近年IT化や人材の流動化が進展する中、営業秘密の不正な取得等のトラブルが増加しておりまして、このため不正競争防止法において、民事訴訟における原告の損害等の立証容易化を図るとともに、刑事罰の導入も図るべく、産業構造審議会において検討しており、次期通常国会に改正法案を提出させていただきたいと思っております。
更に模倣品、海賊版等の対策の強化も大切でございまして、侵害国政府に対する2国間、あるいは他国間交渉を通じた働きかけの強化に加えて、4月に組織されました民間の反模倣品・海賊版団体である、国際知的財産保護フォーラムが中心となり、侵害国への制度改正要望や取り締まりの強化の申し入れを始めとした対策が本格化してきております。
9月12日には、中国政府へ申し入れる事項を緊急提言の形でフォーラムから私に提出をしていただいて、さきのWTOの知的財産委員会、TRIPSの場でも欧米と連携を取りまして、中国側に早速申し入れをさせていただいたところでございます。
加えて12月には、森下洋一松下電器産業(株)会長を団長とした、官民合同ミッションに当省からもハイレベルの幹部を参加させて、この問題を強力に推進していかなければならないと思っております。
こういった取り組みを通じまして、官民一体となって模倣品・海賊版対策をより一層強化してまいる所存でございます。
基本法に係る産業界から御要請、先ほど御紹介がありました知的財産基本法については、その早期制定について産業界からも強い要請がございますので、私としてもその実現に向けてあらゆる努力を傾注してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、森山大臣、お願いいたします。
○法務大臣 知的財産の保護の強化は、知的財産戦略の大きな柱でありまして、法務省のは果たす役割も大変重要でございます。
司法制度改革の推進本部は、現在司法制度の抜本的改革を進めておりますが、知的財産戦略大綱を受けまして、更に積極的に改革に取り組んでまいりたいと考えております。
このような観点から、司法制度改革推進本部におきまして、事務局の体制を更に拡充いたしますとともに、新たに知的財産訴訟検討会を設けて検討を進めることにいたしました。現在、メンバーの人選などの準備作業を進めており、近く検討する予定でございます。
また、法務省におきましても、司法制度改革推進本部における検討に最大限の協力をしてまいりますとともに、知的財産権に関する訴訟のさらなる充実・迅速化を図るように、特許権等に関する訴えの、東京、大阪、両地方裁判所への専属管轄化等につきまして、現在法制審議会において検討を進めているところでございますので、御報告いたします。
○阿部座長 ありがとうございました。
では続きまして、武部大臣、お願いいたします。
○農林水産大臣 資料7をお目通しいただきながらお聞きください。農林水産省といたしましては、産業化につながる研究開発の促進という視点から、イネゲノム研究については、全塩基配列の重要部分の解読が、今年度中に終了する予定でありまして、今後は有用遺伝子の機能解明による特許化を重点的に進めるなど、知的財産の創造の推進に積極的に取り組んでいるところであります。
また、各研究機関においては、知的財産専門部門を整備し、知的財産権を積極的に取得するとともに、各種規定等を整備し研究開発成果の取り扱いを明確化しているところでございまして、知的財産の活用については、技術移転を促進するための体制強化をしてまいりたいと考えております。
植物品種の育成者権侵害対策については、学識経験者等から成る研究会を開催いたしまして、国境措置、罰則の強化等の具体策を検討することとしているところでありまして、今後関係省庁とも連携して所要の措置を講じてまいりたいと存じます。第1回目を、9月26日に開催する予定であります。
また、民間の育成者権者等による育成者権侵害対策の推進のための組織として、植物品種保護戦略フォーラムが、10月7日に発足する予定でございます。農林水産省としては、これと連携し官民一体となった取り組みを行っていくこととしている次第であります。
なお、育成者権侵害対策としてのDNA品種識別技術の開発及び利用の促進、植物品種審査期間の短縮、アジア諸国における制度整備等への支援等についても着実に実施していくこととしている次第でございます。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
では続きまして、佐田総務副大臣、お願いいたします。
○総務副大臣 資料6で、まとめさせていただいておりますけれども、これは言うまでもありませんけれども、我が省も我が国産業の国際競争力強化であるとか、また経済活性化の観点から知的財産戦略は極めて重要なことだろうと思っております。
特に所管しておりますIT分野は、成長分野として大きな比重を占めておりまして、世界トップレベルの知的財産の取得を目指し、産官学挙げての積極的な対応が不可欠と考ええております。
総務省といたしましては、我が国の国際競争力の強化や、世界をリードする知的財産を創出するために、今後とも引き続きIT分野の研究開発に積極的に取り組んでいくところであります。
また、ブロードバンドインフラの整備の進展に合わせまして、特に放送コンテンツ、または教育用コンテンツ等の映像デジタルコンテンツの保護、活用、創出を促進いたしまして、インフラ整備との好循環を形成していくために、平成14年度より3つの実証実験プロジェクトを立ち上げまして、ブロードバンドコンテンツの作成、流通の促進に取り組んでいるところでありまして、実験に対応した協議会を設置いたしまして、官民協調におるオールジャパン体制を構築していくところであります。
以上であります。
○阿部座長 ありがとうございました。
続きまして、植竹外務副大臣、お願いいたします。
○外務副大臣 7月3日に知的財産戦略大綱の作成という、具体的なアクションプランが示されました。外務省においても、知的財産の保護について、これまで取り組んでまいりましたが、この場をお借りして現状の御報告をさせていただきたいと思います。
ポイントは模倣品対策と、アジアの制度整備及び施行体制づくり支援であります。
第1は、模倣品対策です。アジア諸国地域を中心とする模倣品・海賊版問題は、我が国産業界にとって深刻な現状にあると認識しております。これを踏まえ、外務省はこれまでも、例えば在中国大使から中国における、知的財産権問題の責任者である、李嵐清副総理に対して書簡を派出するなど、外交レベルでの訴えをしてきたところであります。
また、この7月にも経済局長の中国訪問時に、中国側に対し模倣品問題について適切な保護を求めてきたところであります。今後とも、機会をとらえて働きかけを積極的に続けていきます。
もう一つは、アジアの制度整備及び施行体制づくり支援であります。例えば、WIPO、世界知的所有権機関、ジャパン・トラスト・ファンドに対し、我が国より任意拠出が行われているなど、我が国としても途上国の知的財産権関係の人材育成等の取り組みに対し、積極的に協力しているところです。
また、中国及び台湾に対する、TRIPS協定の法令レビューの手続に積極的に参加し、中国及び台湾が十分な知的財産権の保護を行うよう努めているところでございます。
今後とも外務省は知的財産保護のため、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。
続きまして、青山文部科学副大臣、お願いいたします。
○文部科学副大臣 知的財産戦略大綱を具現化するために、新しい取組に着手したところであります。
まず、資料4の2枚目をご覧いただきたいと思います。大学の知的財産本部についてであります。大学の知的財産本部は、大学の知的財産の活用を戦略的にマネージメントするために公募をいたしまして、数十の主要な国公私立大学に、学外の人材等を活用した本部を整備するものであります。
技術移転支援センターでありますが、TLO等による海外特許を中心とした、特許取得の支援等を行うものであります。
さらに、知的財産を産み出す経済活性化のための研究開発プロジェクト、いわゆるリーディングプロジェクトも新たに強力に推進していきたいと考えております。
著作権についてであります。資料4の一枚目をご覧いただきたいと思います。著作権に関しても、大綱に示されました行動計画のうち、ネット上での契約システムの研究や総合的な著作権教育事業など、直ちにできることについては既に準備を進めているところであります。
また、損害賠償制度の問題がありますが、損害賠償制度の強化についてなど、具体的な施策やより広範な施策の展開に向けて検討すべき事項については、文化審議会の「著作権分科会」に、それぞれ小委員会を設けて具体的な検討を開始したところであります。
特に海賊版対策についてでありますが、今年の8月に著作権関係団体等によって設立されました、「コンテンツ海外流通促進機構」等と連携をしっかり図っていきたいと考えております。また、中国との二国間協議の実施に合意したところであります。
今後も知的財産立国の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。基本法案の骨子並びに戦略大綱の進捗状況、どちらでも結構でございますので、ただ大変恐縮ですが、お一人2分ぐらいの目途でお願いできればと思います。
最初に、青木委員からお願いします。
○青木委員 この基本法の中でも、特に知的財産戦略本部を設置して、ここで知的財産の創造、保護、活用に関する戦略計画の作成、実施を推進するということで、省庁の壁を越えて統一的に日本全体として取り組むということは、今までなかったことだということで非常に期待しております。
特に創造のところで、いろいろ国主導の研究費の使われ方を行われておりますけれども、これはかなり細分化されているというのが若干気になっておりまして、この辺のところも統一的に予算の配分等を行っていただけるということだと考えて、非常に期待しております。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、荒井委員、お願いします。
○荒井委員 知財基本法ができることは、日本経済の再生のために画期的なことだと思います。国中で期待していることだと思います。是非、次の5点を知財基本法に明示的に書いていただきたいとお願いいたします。
第1点は、研究者に関することです。大学の先生や企業の研究者に、世界で一番よい発明をするインセンティブを与えることが大事だということを書いていただきたいと思います。
第2点は、企業に関することですが、職務発明に関する訴訟に見られるように、企業の知財戦略がますます重要になってきておりますので、経営陣が戦略的に知財問題に取り組むことが大事だということも書いていただきたいと思います。
第3点は、特許庁に関することであります。先ほど平沼大臣からもお話がございましたが、特許庁の経営を効率化して、組織を強化することが必要だということを書いていただきたいと思います。
第4点は、特許裁判に関することであります。本格的な特許裁判所や司法と行政のたらい回しをなくすということを念頭に置いて、特許に関する裁判所の強化を書いていただきたいと思います。
第5点は、知財戦略本部の事務局に関することであります。事務局は、民間人の英知を活用して、主体的に企画・立案して、知財立国のエンジン、推進役になる強力なものにしていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、安西委員、お願いいたします。
○安西委員 私は、知財基本法、それから本部また戦略計画の3つがそろっているというのは、大変すばらしいと思いますし、この短期間にこれだけのことをつくってこられたというのは、大変なことだと思います。是非日本が知財立国としてこれをベースに進んでいっていただけるといいと思います。
特に大学のことについて申し上げますと、この知財基本法の中になかなか書いてないこととして、さっき荒井委員も言われましたけれども、だれに帰属するのか、やはりインセンティブが得られるような仕組みをつくっていっていただきたいということがあります。それが、例えば私どもの大学ですと学生が特許を持っているということが、恐らく日本の大学の中では突出して多いのではないかと思いますけれども、そういうことも、学者のことも含めて、大学の人材ということを是非活用できるような、それぞれの人間がインセンティブが得られるような仕組みを考えていただきたいということであります。
また、国公私立大学を含めて考えておられるのは、非常にありがたい。これは私立大学として申し上げているというよりは、私大が学生数で言えば全国の80%を占めているわけで、特に知財となりますとものとまた違いまして、かなり多様な人間から多様な成果が生まれてくる可能性があると思います。そういうことが組み込まれているというのは、非常にすばらしいと思います。
知財本部にいたしましても、大学に対してそういうものを置くというのが、国公私立大学を超えて考えられているということは、日本のこれからのいろいろな人たちが、いろいろな仕組みでもって多様な知的財産を創造していくということにつながると思います。是非よろしくお願い申し上げます。
○阿部座長 ありがとうございました。
桑原委員、お願いいたします。
○桑原委員 では、ちょっと細かいんですけれども、発明者にインセンティブを与えようということは、大綱にも書かれました。実際に職務発明について、御承知のように特許法第35条では、発明者は相当の対価の支払いを受ける権利があると規定をされておりますし、またその対価については特許がもたらす利益と、発明者が貢献した度合を考慮して決めるべきとされています。
問題は、この対価の額が非常にあいまいであるということで、御承知のように今いろいろ訴訟も出ていますし、これから出てくることが予想されると。かなり混乱が出てくるんではないかと思っているわけです。
したがって、大綱の中にもこの問題はとらえておりまして、今年度中にいろいろな制度の調査をしようと、それから来年度中に方向を決めようということになっておりますが、実際に法改正までいくとなりますと、これはかなり時間がかかりそうだというふうに思います。
したがって、この対価の額の問題に対して、不安定な期間をできるだけ小さくするために、是非経済産業省を中心として今検討がされていると承知しておりますけれども、大綱に書かれた時間に関わらず、少し早めていただいて、不安定期間を短くしていただきたいということを要望いたします。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
小池委員、お願いいたします。
○小池委員 まず、第1点としましては、総理の方で7月早々に準備室を設置していただきまして、非常に円滑な形で大綱に示された内容が具体化されつつあると思います。この点については、敬意を表したいと思います。
細かい点、2点申し上げたいと思います。
まず第1点は、大学と産業界の連携の問題は非常にすばらしい発想で、これは実現しなければいかぬと思いますが、やはり日本を支えておる企業実態というものは、大企業の存在を無視しては語れないという点もあるんではないかと思います。したがいまして、中小ベンチャー、大学発ベンチャー企業の育成とともに、大企業につきましても同じような方向から発明の奨励を促していくということが必要ではないかと思います。
次に、今回のこの案を拝見いたしますと、産官学連携の問題、国の職責等、明確に規定されておりますが、これは大綱の議論の中でも出ましたけれども、専門家が連携をする潤滑剤として是非活用していただきたい、そういう方向づけをしていただければ一番よろしいのではないかというふうに考えます。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
中山委員、お願いいたします。
○中山委員 基本法の中で、実質的に一番重要なのは戦略本部だろうと思います。この大綱が単なる作文で終わるかどうかは、この本部がうまく機能するかどうかという点にかかっていると思いますし、是非専従の職員を置いて実効性ある本部にしていただきたいと思います。
私は大学の人間ですので、大綱の中の大学に関する部分を一言申し上げたいと思います。大学の国有特許の管理は現在悲惨な状態でありまして、東大の例を取りますと、平成12年度の国有特許の保有件数は、内外併せて136 件、出願中は161 件あるんですけれども、何と平成12年度のライセンス収入は、全東大で8万4,944 円でございます。これは外国への莫大な出願費、あるいは維持管理がかかるばかりではなくて、侵害のウォッチも一切していないという状況でありまして、国有特許にすればするほど大損になるというのが現状であります。
具体的な話は避けますけれども、この状況を改めるためには、革命的な施策というものが必要になってくるわけであります。文部科学省だけではなくて、関係する官庁は大いに一体となって努力をしていただきたいと思いますし、それなくしては今回の大綱の実現もおぼつかない、この現状の悲惨な状態を何とか打破していただきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 関係各大臣からいろいろ御説明がありましたし、また配布された予算の関係から見ましても、国が大変力を入れておられることがわかり、心強く思います。
ところで、基本法をみますと、目的と基本理念のところには、国、地方公共団体、大学、事業者というのが挙がっております。先ほど発明者や研究者にインセンティブを与える内容のものが欲しいというお話がありましたが、発明をするのは個人であり、それから責任を果たす最終の人間もやはり個人です。国民の個々人が最終的にはこの知財基本法の一つの核として協力する立場になければいけません。そこで、例えば基本理念の中に「国民がその恵沢を享受する」ということがありますけれども、それだけではなくて個々人が恵沢を享受すると同時に、この知的財産の創造に個々人として参画するという理念も是非入れていただきたいと思います。
次に、知財と知的財産権の定義のところです。先程、広く規定されていますというお話がありましたけれども、私から見ますと抜け落ちているものがあります。この意義が基本になりますので、是非ここのところを十分考えていただきたいと思います。
もう一つ申し上げたいのですが、訴訟手続の充実及び迅速化という司法の点で、先ほど法務大臣が司法制度改革の推進についてお触れになりました。我々法曹界の人間でも、この司法制度改革推進法の方と知財の方の関係がどうなっているのかということが、始終議論になります。この基本法で言いますと基本的施策の4のところに、例えば司法制度改革推進法の趣旨にのっとって、あるいは趣旨を尊重して知的財産の特質を考えて知財関係の訴訟の充実・迅速を図るというような、両者の関係を明らかにしていただくと大変幸いに思います。
もう一つで終わりますが、六.法制上の措置等のDの権利侵害の措置のところで、先ほどから何人かの大臣を始め御発言がございましたが、この項で問題になっているのは模倣品とか海賊版とかいうものです。それにもかかわらず、この項の冒頭が、国内において知的財産権を侵害するものということで始まっております。しかし、国内における知的財産権の侵害だけであれば、これは司法の方の問題ですから、ここに入れるべきではなく、ここでは対外的に外から入ってくる模倣品・偽造品、そういうものだけを取り上げるべきであろうと思います。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。御指摘、十分検討させていただきたいと思います。
御手洗委員、お願いいたします。
○御手洗委員 お手元の資料8として、日本経団連でとりまとめました、知的財産基本法の早期成立についての提言が配布されていると思いますが、私がたまたま副会長を務めておりますので、一言御紹介をさせていただきたいと思います。
日本経団連としては、我が国企業が国際競争力に打ち勝っていくためには、事業戦略や研究開発戦略と一体となった、知的財産戦略を構築し、推進することが不可欠であると考えております。
今回のこの知的財産戦略大綱の内容につきましては、大変高く評価しているところであります。したがいまして、1日も早く大綱に盛り込まれました事項を現実のものにしていくことが重要であると考えております。
こうした思いから、お手元のように知的財産基本法の成立を望むという提言をまとめさせていただきました。政府におかれましては、1日でも早い基本法の成立に向けて、御尽力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、私から一言だけ申し上げさせていただきますと、私も知的財産戦略本部をどう立ち上げていくかということが、まさにこれからの行方を決めるものだということで、大いに期待しております。文章は、基本法ですから非常に簡潔に書かれているのは適切だと思いますけれども、是非各府省の仕事を超えて、国全体の利害を踏まえた調和のある施策をこの戦略本部で積極的に進めていただくような組織設計をお願いしたいということを一言申し上げさせていただきます。
それでは、一通り御発言をいただきましたが、是非御発言を更に御希望になる方は、挙手をしていただいて御発言いただければと思います。
どうぞ。
○法務大臣 資料2に知的財産基本法の骨子がございまして、その目的の最初の2行ですけれども、当面は当然今の社会経済情勢、我が国産業の国際競争力の低下などが問題なんだということはよくわかっておりますが、これは基本法ですので、当面の問題を言うよりは、もう少し本当に基本的なことを言った方が適当なんではないかというふうに思います。
資料1の方に要約して書いてある方が、むしろいいかなと思ったものですから、例えば1ページの目的のところと基本理念、これを上手につくれば法律上も目的として適当なんではないかというふうな感じがいたしましたので、一言申し上げます。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、ほかの先生方、いかがでしょうか。委員の方でも、どうぞ。
○松尾委員 私が先ほど発明者と国民個々人と申し上げたのも、やはり長期的にみた目的と理念を是非入れていただきたいと思ったからです。また、現在基本法骨子では国、地方公共団体及び事業者とありますが、地方公共団体をなぜ入れる必要があるのか疑問に思います。大綱では地方公共団体に1回言及されているだけです。私は、それよりも知財としては、研究機関というものを取り上げた方がよろしいのではないかと思います。
IT基本法に、たしか地方公共団体と入っておりますけれども、それはやはりITネットワーク、日本中ということなので地方公共団体は必要かと思いますが、ここにおいてはむしろ研究機関というのを是非入れていただきたいと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
大臣の先生方、何かございませんでしょうか。
どうぞ。
○桑原委員 文科大臣にお願いなんですが、私この場で以前知財は幾ら頭の中にあっても権利化しないと財産にならないので、特に大学等でやられている研究開発については、かなりの予算措置を継続的にやっていかないといけないと。大いに検討しますので、予算措置をよろしくと財務大臣に申し上げたつもりだったんですが、ふたを開けてみると我々の中の方で十分予算申請がされてないという今の状態がございまして、尾身大臣も先ほど御発言ありましたように、もうちょっと大学等の方では文科省の方で予算措置を強めていただけるようにお願いしたいと思います。
経産省等が主にやられている、産学官でやるものは、かなりいいものは多分落としていくことなく、民間が積極的に特許化を共願でやっていくと思いますが、大学の先生方だけでやっているものの中にも、基本的に非常にいい技術があるわけですから、そこのところは是非予算面での措置をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部座長 どうぞ。
○文部科学副大臣 実は、私が冒頭申し上げるべきでしたが、概算要求を含めて新しい取り組みを始めましたと言うべきであったと思いました。我々もその決意でおります。
○阿部座長 よろしくお願いいたします。
どうぞ。
○御手洗委員 先ほど平沼大臣から御指摘がありましたように、審査の迅速化、世界一早い審査をするんだというお話を聞きまして、大変心強く思いましたが、実はライバルである米国の状況と比べてみますと、アメリカは85年のプロパテント以来、審査官をちょうど倍増して今3,200 人になっております。日本は、85年以来から考えますと、ほとんど変わってなくて1,100 人ぐらいで推移しております。
したがって、個人一人の負荷が約3倍になっております。是非この問題をこれ以降解決していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部座長 どうぞ。
○経済産業大臣 非常に頑張っているところでございますけれども、特にアウトソーシングして、そしてなるべく効率よく、しかし肝心の部分は国がしっかり管理しなければいけませんので、そういう意味では随分我々としても努力はしてきています。
今、これは御手洗委員もよく御承知だと思いますけれども、最終処理期間というのは日本は28か月、そして米国が25か月ということで、我々は更に努力してこういったところをきちっと世界一にしていきたいと思っておりますので、また当然予算措置も必要なものですから、そういうことも含めて財務省とも相談しながらやっていきたいと思っております。
○阿部座長 どうぞ。
○松尾委員 もう一つだけよろしいですか。基本法の方で、訴訟手続の充実及び迅速化等という項目があります。また、平沼大臣の資料5の方に営業秘密の保護強化というのがございます。民事・刑事両面にわたる保護強化ということですが、刑事面になりますと、刑事訴訟法などの手続もどうするのか、そこまで触れなければ本当の強化はできないわけです。そういうことを念頭に置きますと、この訴訟手続の充実及び迅速化等という記載の仕方だけで足りないのではないか、せめて「民事・刑事」と入れるなどこのあたりの規定ぶりを御検討いただきたいと思います。
○経済産業大臣 承りました。
○阿部座長 それでは、青木委員、お願いします。
○青木委員 資料3にございます、知的財産関連政策に関する予算の件ですけれども、この辺予算というのは単年度ごとの予算と執行というのはよくわかるんですけれども、少しこの予算の時間の幅を超えて、長期的な視点を持っていただきたいと思いますのは、実は私ども国からの予算をいただいて、官民のコンソーシアムスタディーでゲノム関係の研究を5年間やりまして、5年間が終わったところでその成果を海外の企業に売るという話が出まして、ちょっと泡を食った、幸いそこには至らなかったんですけれども、その成果をどう次につなげるかというところも含めて総合的に、その予算の範囲の中だけでやればそれでおしまいというのでは、ちょっと視点が短過ぎるのではないかという気がいたしました。それと、先ほど申し上げましたように、こういうふうに予算というのを頭から細かく割り振るというのも、一つの考え方ではありますけれども、せっかく知的財産に関する戦略本部ができたんであるならば、こういったような予算を統一的に使って、いかに効率的に使うことによって日本の知的財産創出の環境を整備するかということを、総合的に考えていただけるとありがたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。先ほど先生がおっしゃったことにも、通ずるわけですね。
いかがでしょうか。もしなければ、今日のところは終わらせていただきますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
それでは、さまざまな御意見ありがとうございました。政府におかれましては、本日いただきました御意見を、基本法案の作成作業の中に十分生かしていただくようにお願いをいたします。
それでは、内閣総理大臣からごあいさつをいただきます。その前にプレスが入室いたします。ちょっとお待ちください。
(報道関係者入室)
○阿部座長 それでは、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣 どうもお忙しいところをありがとうございました。本日の皆さんの御意見を踏まえまして、知的財産の憲法とも言うべき知的財産基本法案を作成し、秋に臨時国会が開かれれば、速やかに本法案を国会に提出し、成立をしたいと思います。
今後とも、知的財産戦略を強力に推進していきたいと思いますので、引き続き御指導・御鞭撻よろしくお願いいたします。
今日は本当にありがとうございました。
○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、プレスの退場をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○阿部座長 それでは、今後の予定について申し上げさせていただきます。次回につきましては、ただいま総理からお話がありましたように、基本法案が国会に提出されるということになりますと、その提出される時期に開催をさせていただきたいと考えております。
次回は、本日の議論を基に、政府が作成しました知的財産基本法案の成案につきまして、再度御議論・御検討をいただくとともに、併せて知的財産に関する大学の取り組みや海外における模倣品対策等についても御議論を深めていただきたいと考えております。関係府省、各委員の御協力をお願い申し上げます。
それでは、これをもちまして、本日の会合を閉会させていただきます。なお、会合の内容につきましては、終了後前例にならいまして私から記者会見を行わせていただきたいと思います。
御多忙中のところ御協力ありがとうございました。
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