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○阿部座長 それでは、定刻となりましたので、総理は若干遅れられるというお話ですが、始めているようにという御指示をいただいておりますので「知的財産戦略会議」の第7回会合を開催させていただきます。
御多忙中のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の予定でございますが、まず、知的財産に関する大学の取り組みや、海外における模倣品対策等につきまして、文部科学大臣、経済産業大臣から御報告をいただいた後、委員の皆様から御意見を伺うということにさせていただきたいと思います。
その後で、知的財産基本法案について、皆様にお諮りをしたいという段取りを考えております。よろしくお願い申し上げます。
議事に入ります前に、先月の内閣改造に伴いまして、科学技術政策担当大臣と農林水産大臣が交代をされました。
今回は、細田科学技術政策担当大臣に御出席をいただいておりますので、ごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○科学技術政策担当大臣 尾身大臣の後任で、科学技術担当大臣を拝命いたしました、細田博之でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
せっかくの機会ですので、少し御相談しておりまして、ごあいさつに加えまして、最初に少し申し上げたいと存じますが、この問題は大変大事でございますので、私どもも知的財産基本法案の早期成立に取り組んでいくことが重要と考えております。
また、総合科学技術会議におきましても、知的財産に関する大学の取り組みの在り方等につきまして、知的財産戦略専門調査会について検討中であり、ここにも委員の先生方がおられますが、年末までに結論を出すこととしております。
具体的には、第1に、大学等で生まれる知的財産につきまして、機関帰属を原則とする方向を既に提言しておりますが、その事業化に向けた適切な体制、柔軟な運用の在り方について検討する。
第2に、先端技術分野における知的財産保護について、例えば、先進医療を支える再生医療技術に関する発明の特許化に向けた法制度の取り扱いに対する検討。
第3に、専門職大学院における弁理士等の専門家の育成方策等、知的財産関連の専門家の人材育成への具体的な方策の検討等につきまして、本日の議論を踏まえて鋭意取り組んでまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、知的財産に関する大学の取り組みと海外における模倣品対策等に入らせていただきます。
まず、遠山文部科学大臣、次に平沼経済産業大臣から簡単に御報告をいただきたいと思います。
遠山大臣からお願いいたします。
○文部科学大臣 座長からお話がありましたように、大学における知的財産の取扱いと、海賊版対策について御説明したいと思います。お手元の資料3を御覧下さい。
1ページをお開き下さい。「大学の知の創出と活用」というページでございます。大学における組織的取組や、研究者の発明に対する意識の向上等によりまして、着実に大学の発明数が増加しております。
左上の図でございますが、大学における発明実績は、3年間で約3倍に増加しております。
また、これらの発明につきましては、技術移転機関でありますTLOを中心に特許化が図られているわけであり、TLOによる特許の実施実績につきましても、右上の図にありますように、ここ数年間で飛躍的に増大いたしております。
さらに、大学発ベンチャー創出実績も、右下の図のとおり、国による技術開発費の支援や国立大学教官の兼業規制の緩和等に伴いまして、ここ数年で着実に増加しております。最後に、右下の図にございますように、つい先頃、大阪大学の研究成果を基に企業化した創薬ベンチャーが国内で初めて上場したというような成果も上がっております。
次のページを御覧下さい。「大学における知的財産の取扱い」についてですが、今、大学における知的財産の有効活用、研究成果の社会還元の実現のため、大きな制度改革を行おうとしております。国立大学については、法人化を機に、知的財産の取扱を、原則として個人帰属から機関帰属へと大きく転換することにいたしております。
これに伴いまして、大学には、明確な知的財産ポリシーを確立し、全学的なマネジメント体制の下で、効果的、効率的な活用を進めることができるよう、体制の強化が必要となっております。
それを前提といたしまして、意欲ある大学に「知的財産本部」を整備することとしておりまして、来年度予算の要求にも含めているところです。
この本部では、民間企業等の外部の人材の積極的活用や、TLOとの連携強化等を進めることとしております。これについては、3ページにお示ししてございます。 このように学長の下に「知的財産本部」を置きまして、知的財産が真に活用されるように、新たな体制を整備しようとしております。
この案を打ち出しましたところ、既に各大学で大変前向きに取組を始めております。どのような人がこれを担当するべきかと、人材もリクルートし始める等、様々な動きが起こっておりますので、来年度予算では、是非ともこれを実現するべく必要な措置をさせていただきたいと思っております。
あとは参考資料ですので、後ほど御覧下さい。
次に、海賊版の現状と対策についてお話をさせていただきます。5ページをお開き下さい。
近年、日本の音楽、映画、ゲームソフト等の文化への諸外国からの関心が高まっております。また、デジタル化・ネットワーク化の進展ということもございまして、そのために、我が国著作物の海賊版が急増しているという実態がございます。とりわけアジア地域におきまして、我が国著作物の海賊版の急増が大きな問題となっております。
被害の実態は御覧のとおりです。文部科学省では、例えば左側に示しているような中国における事例などを把握しております。「宇多田ヒカル」等有名な歌手のヒット曲を集めたベストアルバムが200 円前後で出てしまうというような状況でございまして、これは我が国の経済にとっても大きな影響を与えているところです。
次に、右側の棒グラフは、「国際レコード産業連盟」が、世界規模で海賊版を推計したデータでございます。
中国では、約980億円の市場のうち約90%の880億円、台湾では、約440億円の市場のうち約50%の220億円が侵害品と指針されております。そして、このうちの3割程度が日本の音楽の海賊版と推計されているところです。
このような実態を踏まえまして、6ページにお示ししましたように、「海賊版対策関係施策」として様々な施策を講じております。文化庁でも既に、経済産業省とも連携して、いろいろ取り組んでおりますが、「知的財産戦略大綱」を受けて、それをさらに強化しようと考えております。 右側に8つの施策を挙げておりますが、これらのほとんどは既に着手しておりますし、長年やっているものも含まれております。
1つ目には「侵害国の法整備」。2つ目には「侵害国での取締り」。3つ目には「侵害国の国民意識の向上」ということで、今後更に充実しようとしております。特にこの中で次の3点に力を入れようと思っております。
「侵害国の法整備」として、WTO等国際機関を通じた法制度整備状況の監視を強めようというのが1点目でございます。
次に、二国間協議の制度化ということで、中国、韓国等との二国間政策協議を通じて海賊版対策強化を働きかけようというのが2点目でございます。
3点目として、本年8月に著作権関係の団体・企業により設立されました、「コンテンツ海外流通促進機構」と連携・協力して、侵害国での取締りの強化を促していこうと思っております。
その他は、啓蒙的な施策でございます。このようなものを総合的に援用いたしまして、経済産業省等とも連携しながら海賊版対策に取組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございました。それでは、平沼大臣お願いいたします。
○経済産業大臣 それでは、お手元の資料4をお開きいただきたいと思います。
まず、大綱における位置づけでございますけれども、模倣品・海賊版対策というのは、本年7月に知的財産戦略会議がとりまとめました、知的財産戦略大綱でも重点の1つになっております。
具体的には、今後の外交交渉を通じた働きかけの強化が必要だと思いますし、2つ目は侵害品に対する国境措置の強化について、2004年度までに法制面、運用面を改善する。こういう形で進めていきたいと思っております。
それでは、まず、1ページ目でございますけれども、被害の実態でございますが、これは見ていただければおわかりのとおり、模倣品の製造地域というのは、アジア太平洋地域が最も多うございまして、国別では中国、韓国、台湾の順で、この3国で全体の70%でございます。
昨今は、中国なら中国国内だけではなくて、すなわち侵害国国内にとどまらないで、侵害品が世界各国に大量に輸出されるという実態があります。ですから、地域的な拡大を遂げつつあるということであります。各地を結んで侵害品を製造する等の組織化も実は進んでおります。
もう一つは、単なる商標権の模倣から特許権の侵害へと質的拡大、こういった形で問題が非常に深刻化していることは事実です。
次に2ページをお開きいただきたいと思います。
これは実態でございますけれども、最近の侵害事例を幾つか挙げますと、さっきの文部科学大臣のお話の中にありましたけれども、DVDプレーヤー、今日はキャノンの社長もここにお見えでございますけれども、ここに実態がございます。
例えば、これを見るとほとんど同じですけれども、カラーというところのスペルだけが違うという模倣品がございまして、侵害国である中国の例でございますけれども、知的財産制度はできたものの、制度の執行ができていないという問題がありまして、事業者の方々は本当に頭を悩ませているという事例でございます。
次は3ページをお開きいただきたいと思います。
「我が国の水際における模倣品被害の実態」でございますが、ここに写真が出ておりますけれども、例えば本田技研のオートバイなんていうのは、ちょっと見たところではわからないわけでございます。
例えば、ここに出ている富士写真フィルムの例もそうですけれども、このような特許権や意匠権の侵害品が国内にどんどん流入してきておりまして、税関において差し止めを行っていただいているものの、事業者の方々からは税関からの侵害品の輸入者の情報提供が十分でないと。ですから、実際に侵害品が止まるような差し止め制度にしてほしいという要望がありまして、こういったことを本当に積極的に検討していかなければいかぬと思います。
4ページ目をお開きいただきたいと思います。
模倣品問題に対する当面の対応策でございますけれども、ここに書いてございますが、民間の反模倣品、反海賊版団体である国際知的財産保護フォーラム、これは松下電器産業の森下会長に座長をしていただいておりますが、既に被害実態調査は行っており、年内に同座長自ら団長となって中国を訪問する予定でございます。
当省といたしましても、ハイレベルの者、副大臣を考えておりますが、同行をさせる予定でございまして、やはりこういった問題は官民一体となって、中国の中央政府や、地方政府に対して、1つは罰則の強化等、一層の制度改善を要求する。
2つ目は、被害の著しい地域における侵害品取り締まりの強化を申し入れるといった方針でございます。
こうした民間の取り組みを踏まえまして、政府といたしまても、二国間協議に加えまして、文部科学大臣からもお話がありました、WTO/TRIPS理事会の場でも、欧米と共通の認識に立ちまして、中国及び台湾に改善を申し入れております。これまで侵害国に対して多様なレベルの協議を通じて働きを行ってきたところでございます。たまたま今週18日でございますが、中国から石広生という担当大臣が来日をされますので、私も会談する予定でございますので、こことも私は会談の場で強力に申し入れをしていきたいと思っております。
次に、5ページですけれども、当面の対応策、侵害品の国内への流入を防止する、国境措置の改善も重要でございまして、現在の課題としては、ここの資料にありましたとおり、産業界から幾つかの指摘が既に上がってきておりまして、政府といたしましては、産業競争力の源泉である技術を知的財産権を活用し、最大限に保護するとともに模倣品の流入を防止するために「輸入差止の実効性の確保」、「輸入者に対する抑止効果の強化」、この2点をキーワードといたしまして、知的財産立国としてアジア諸国の模範となる先進的な制度を目指していきたいと思っています。
したがって、早急に具体化すべき事項として、現行の輸入差止申立制度をより効果的とする運用の改善でございますとか、模倣品の積戻し規制の強化、こういったことを対策としてやっていきたいと思います。
これに加えまして、大綱の趣旨や産業界からの御指摘を踏まえつつ、税関におきます侵害者に関する情報の開示でございますとか、平成15年度末までに特許権、意匠権に関する国境対策強化について、権利者自身の関与を高める制度、これを検討すべきと考えております。
こういった取り組みを通じまして、官民一体となって、模倣品・海賊版対策をより一層強化して、我が国の知恵のあらゆる大切なものを守っていく、こういうふうに私どもは対策を講じていきたい、このように思っております。
以上でございます。
○阿部座長 どうもありがとうございました。
それでは、皆様から御意見を伺いたいと思いますが、本日は最初に安西委員から、慶応大学における知的財産への取り組みについて御紹介をちょうだいしたいと思います。
○安西委員 それでは、資料5に基づきまして、簡潔に申し上げます。御指名でありますが、大学というところがどういう取り組みをしているのかということの一例として申し上げられればと思います。
2枚目は目次でありますのでめくっていただきまして、慶応義塾大学として、今、いわゆるミッション・ステートメント、大学全体の使命といいましょうか、それを知的価値の創造、実業世界の開拓、感動教育の実践という3つの言葉で表現しております。これはインターネットのホームページにも載っておりますけれども、知財戦略というのは、この3つのすべてに当てはまるものだというふうに思います。
次のページ、具体的な取り組みとして、何をやっているのか。慶応義塾大学は平成10年11月に知的資産センターと呼ぶ知財のセンターを発足をさせました。特に知的資産センターの規程をきちんと整備するということ。特に発明取扱規程、著作権取扱規程、あるいは収入の配分基準等については、ある程度はっきりしたルールを定めております。
例えば発明取扱規程につきましては、理事長が契約者となっております共同研究から生まれた発明、あるいは慶応内部の研究費があるんですけれども、それに基づく発明、あるいは研究者が自主的に大学に譲渡した発明等につきましては、これは大学に帰属するということにしております。したがって、初めから大学に発明が帰属しているわけでありませんけれども、ほとんどすべて、結果として大学に帰属している形になっております。
それから、著作権の取扱規程につきましては、職務著作を除いて原則として著作者に帰属するというのか現在の状況でありまして、実際に既に医療レーザーのビデオでありますとか、データ分析入門のビデオソフト、それから経済情報分析のソフト等々が出るようになっております。
また、知財関係の手続費用は大学がすべて負担をしております。その負担はかなり大きなものになっておりますけれども、ライセンス収入でできる限りカバーするようにしております。
提案件数のうち約六〇%を出願しております。
次のページ、規程の例として収入の配分基準でありますけれども、センターが15%取る。それから、100 万円までの収入分については、発明者が80%等々、ごらんのとおりでございます。大学全体のみならず、発明者の所属する学部にも収入が配分される、そういうインセンティブが出るような形になっています。
また、研究費として使用する場合には、全額発明者に配分するというような優遇措置も取っております。
次に、知的資産センターの概要ということで、簡単に申し上げますけれども、リエゾン5名を含む10名体制で大学の予算で、大学の内部で運営をしておりまして、会員制度ではなく、だれでもアクセス可能な仕組みになっております。
また、包括的な支援/企業・共同研究、TLO関係のみならず、全学の学生を対象とした講座でありますとか、知財の研究関係もやっております。
次のページの知的資産センターの技術移転の活動につきまして、特許に関することと、技術移転に関することというのは切っても切り離せないものがありまして、特許関連の業務と、TLOを1つの部門でやるようにいたしております。全工程を一人の担当者が包括的にサポートをするという形を現在のところ取っております。
次に、実績でありますけれども、年度別の特許出願件数はこのような状況であります。これはとにかく1つの大学の規模でどのくらいだというふうにお取りいただければと思います。
14年度に関しまして、色の薄いところは、これからの予測でありまして、今年度、平成14年度につきましては、特許出願が恐らく120 件程度になるであろうということでございます。
次の実績2の「役職別特許出願件数」のところは、お読みいただければと思いますけれども、特に慶応の場合、学生の出願件数が恐らく他大学に比べて非常に多いのではないかと思われます。教職員のみならず、学生にも開かれたセンターにしているところに特徴があります。学生にっては大変すばらしいことではないかと思っております。
実績3として「技術移転の状況」につきましても、そこにありますグラフのとおりで、順調に伸びておりますし、また、世の中で知られるようになっておりますいろいろな賞を取っているものも既に出てきている状況にございます。
最後に今後の展開等でありますけれども、やはり知的資産を蓄積するのみならず、実用化を加速するということが非常に大事でございまして、知財の戦略として、いろいろなファンクションを一緒に結合してやっていく必要がどうしてもある。そのためには、知財のセンターは非常に大事な役割を担うと考えております。そのためには、一番最後のページでありますけれども、強化が必要な事業、あるいは求められる機能、大学の取り組み等々、多々やらなければいけないことかある。特に知財、あるいはTLOをサポートする人材の育成、これが急務でありまして、勿論、そのためには財政基盤の強化も非常に大事であるというふうに考えております。
インキュベーション・センターの設立等々、あるいは研究者との信頼を築く等々ありますけれども、やはりこれらをサポートするためのプロフェッショナルな人材の育成ということがどうしても大事になりますし、むしろそれの財政的な支援ということが大変重要だと考えております。
1つの大学の例として、お聞きいただければありがたいと思います。
以上でございます。
○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、皆様から御発言を期待したいと思います。よろしくお願いします。
○中山委員 前回は大学についてお話しいたしましたので、今回は模倣品と海賊版対策についてお話をしたいと思います。
対策につきましては、外国に対する働き掛けと、水際阻止という2つがあるわけでございますけれども、前者の外国への働き掛けにつきましては、既に遠山大臣等、平沼大臣から詳しくお話がございまして、それを推し進めていくということになろうかと思いますけれども、我が国の法制といたしまては、まだまだこれからやらなければならない未整備なのが水際阻止、ボーダー・メジャーであると考えております。
このボーダー・メジャーによって、侵害物品の流入の防止ということは、せめて欧米並みの結果を得るということが重要だろうと思います。欧米とは国の制度が違いますから例えばアメリカのITCをすぐに日本に持ってくるということはできないかもしれませんけれども、結果として、違法な物品を止めるという、その結果はとにかく欧米並みにしてほしいと思うわけであります。
具体的には平沼大臣がおっしゃいましたとおり、特許権者等にも差し止めの請求権を認めるということも大事でしょう。あるいは税関だけではできる問題ではございませんので、特許庁等とも連携を取りながら、実質的な判断ができるようにしなければいけないと考えております。
この点につきましては、戦略大綱の29ページには、税関においては特許庁等の関係省庁と協力しつつ、早急に取り締まり体制の強化を図ると記載されているわけでございます。そのためには、関税定率法21条の改正ということが必要になってまいります。
詳しいことは申し上げませんけれども、その改正には、一体どういうシステムをつくったらいいのか、あるいは法的に詰めなければならない問題等々、多々ありまして、難しいことは一杯あるということは承知しておりますけれども、是非ともそれはやってもらわなければならないと考えております。
法律をつくるのも大変なんですけれども、つくっただけでは実効性はないわけでありまして、実際にそれを止めるということになりますと、恐らく税関の職員の増員ということも必要になってくるだろうと思うわけでありますし、協力をしなければならない特許庁も負担増になると考えられます。
公務員の定員を削減している現在におきまして、こういうことを申し上げるのは、かなり難しいということは知っておりますけれども、知的財産を戦略的に利用するということが国家の方針である以上、やはりやらなければならない施策であると考えております。何とかやりくりをして、税関の機能強化を図ってもらいたいと思います。
水際措置、ボーダー措置をおろそかにいたしまして、外国での侵害物品が大量に我が国に入ってくるということになりますと、いかに国内の知的財産制度を強化いたしましても、それは画竜点睛を欠くということになるわけでございますので、是非とも水際措置、税関の機能強化という点については、図っていただきたいと思っております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。では、手短にお願いします。
○大山委員 前前回に申し上げたことに関して、前回休んでしまいましたので申し上げたいと思います。
今、中山委員の言われた話、私も全くそのとおりであると思います。ただ、同時にもう一つ考えておく必要があると思います。
例えば海賊版等の被害について、先ほど文科大臣の方から説明いただきましたように、レコードやCDなどが大分大きな被害を受けているというのは確かです。このことに対して、将来を考えたときに我々がもう一つ思い出さなければならないのは、いわゆる着メロのサービスです。これはうまくビジネスとして成り立っているわけで、すなわちより便利な、そしてより楽しい方向に顧客の嗜好を誘導するという考え方も同時に言っておく必要があるのではないかと思います。
前前回申し上げたことは、実はこのことに関係していることです。音楽等の知財の取り扱い方を電子空間で考えれば、それらは人に帰属する一種の属性情報として登録されます。問題は、権利を持っている方と対価を払って使用許諾をもらっている方の両方を、電子空間において明確にすることができるかどうかです。勿論、音楽のようなデジタル情報は電子空間で取り扱われるのが当然になると思いますが、電子空間おいてそれぞれの正当性を確認して、なおかつ相手の権利を相互に守るような仕掛けをつくっていくことが大切です。そのためには技術面、運用面、制度面の対応が必要であると思います。
この辺のところをいろいろ考えてみましたところ、実は片山総務大臣等ともいろいろ住基ネットのときにも対応させていただきましたが、住民基本台帳カードの基本設計にこの機能が入っていることが分かりました。今まで、住基カードの機能と安全性について、私から技術的な詳しい説明をした事はありませんが、この技術が世界のトップを行っていることがはっきりしてきました。特に製品化されている商品は日本には既にありますが、諸外国には未だありません。現在、NTTの2社と富士通と、それから開発中の松下、この4社にしかありません。こういう仕掛けを知財の流通にも、先ほど言いましたデジタル音楽等、さまざまなコンテンツのコントロールにうまく入れ込むのは、もう一つのやり方として重要なのではないかと考えます。勿論、水際の話も、先ほど中山先生が言われたとおり、そちらはそちらで手を打つべきでありますが、同時にもう一つ手を打つのが賢いやり方ではないかとおもいます。
もう一点申し上げたいことは、今説明したようなことを考えていると、さまざまなビジネス特許が生まれてくることに関する意見です。私自身は、現在、フロンティア創造研究センターという産学共同のところにいるものですから、特に強く感じるので申し上げますが、今回の大綱の中で原則所属機関に権利が移行するとなっています。これはこれでよく分かりますので賛成ではありますが、どうもこういう仕事をやらせていただいていますと、国全体の戦略に直接つながることになる可能性が大きい、さまざまなビジネス特許が実は見えてきます。
このようなものについて、大学に本当に帰属させて良いのかどうかを、私自身が悩んでいます。現在は過渡期なので、こういう問題が生じるのは当たり前という言い方もあるかもしれませんが、この辺のところも早急に方向性を教えていただけると幸いです。
申し上げたかったことは以上の2点です。
○阿部座長 ありがとうございました。余り時間がなくなってまいりましたので、1分2分くらいでお願いします。
○荒井委員 第1点は、大学の知財本部は画期的だと思いますので、是非成果が上がりますように、その成果を公表していただいて、健全な競争を促進したら良いと思います。
第2点は、にせもの対策が、平沼大臣からお話があったとおりですが、是非日本でも国際貿易委員会、そういうものをつくっていただいて、被害に遭っている会社が差し止めを請求できるようにしていただきたいと思います。
第3点は、これからお話があります知財基本法なんですが、これは2月に総理が演説されて、明治以来初めてのことで、あれから3月には会議ができて、7月には大綱ができて、今回、10月には基本法ができるということで、わずか8か月ということで、異例のスピードだと思います。日本政府もやればできると、マスコミの人が言っているんですが、是非、これからが知財の構造改革の本番ですので、この異例のスピードを維持していただきたいと思います。また、そのためには是非しっかりした事務局の設置をお願いいたします。
○厚生労働副大臣 厚生労働省の副大臣ですが、厚生労働省には、国立がんセンターがあるんですが、これは病院だけではなくて、研究機関も持っているわけでありまして、その国立の試験研究機関をこれからしっかり活用していく必要があるんじゃないか。大学だけじゃないということを、是非訴えをさせていただきたいんです。
そこではたんぱく質の研究とか、これからの医療機器の取り組みもしていかなければいけない。そういう研究成果を是非また民間に移転するためにはTLOを整備していこうかというような意欲を持っています。
その取り組みに関して、やはり厚生省の中にしっかりとした新しい組織をつくって、言ってみれば大学で言う戦略本部みたいなものをつくって、産学官の共同をより一層強めてまいりたいと。こういうような形で政府の本部には積極的に参画をしてもらいたいと思っておりますので、大学だけではないということを、国立の試験研究機関もあるんだということを御理解いただきたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。大変申し訳ないんですが、時間がありませんで、もう一方、青木委員で今日は申し訳ありませんが、最後にさせていただきます。
○青木委員 大学の研究なんですけれども、私どもとしては、大学の研究は余りショートタームで、実利だけを求めるのではなくて、本当にすぐれた研究をしていただきたい。私どもの産業であるバイオメディカル・サイエンスでは、今までの歴史を振り返ってみますと、産業に影響を与えるような大きな発明とか発見というのは意外にじみなところ、関係のないところから出てくるケースがありまして、余りショートタームで、実利実利ということで研究の幅を狭くしたり、志しを低くしてはいけないんではないか。アカデミックな研究と企業の研究というのは、おのずから別なところがあってもいいんじゃないかという気がいたします。
○阿部座長 ありがとうございました。いつも御注意いただいているところでございます。 それでは、大変残念なんですが、もし御意見がありましたら、あとで事務局宛てにメモでもちょうだいできればと思います。なお、本日いただきました御意見は、知的財産戦略本部の主導の下、今後の施策に生かしていただくように、是非ともお願いを申し上げます。 それでは、第2の議題に入らせていただきます。
知的財産基本法案について、事務局から説明をさせてます。よしろくお願いいたします。
○内閣審議官 それでは、お手元の資料2を御参照ください。「資料2」「知的財産基本法」でございます。目的規定を読み上げさせていただきます。
「第一条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴ない、我が国産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が増大している状況にかんがみ、新たな知的財産の創造及びその効果的な活用による付加価値の創出を機軸とする活力ある経済社会を実現するため、知的財産の創造、保護及び活用に関し、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国、地方公共団体、大学等及び事業者の責務を明らかにして、並びに知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の作成について定めるとともに、知的財産戦略本部を設置することにより、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進することを目的とする」と規定しております。
また、三条、四条に基本理念を定めておりまして、以下、本基本理念の下に各本条を定めております。
また、公布後3か月以内に施行するとといたしております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、本法案を知的財産戦略会議において了承したいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、本法案を知的財産戦略会議として了承いたします。政府におかれましては、本法案が来る臨時国会において速やかに成立するようによろしくお願いを申し上げたいと存じます。
続きまして、知的財産基本法案が国会に提出される節目に、私ども民間議員においてまとめました要望を小泉総理大臣にお渡しし、その後で総理より御発言をいただきたいと思います。その前にプレスが入室いたしますので、暫時お待ちください。
(報道関係者入室)
○阿部座長 それでは座ったままですが、民間委員からの知的財産基本法案の国会提出に当たってということで、メモを読ませていただきます。
本年2月の通常国会での施政方針演説において、日本国総理大臣としてはじめて、小泉総理が知的財産戦略会議を立ち上げることてを表明されて以来、官民一体となって極めて迅速に知的財産戦略が推進されてきました。7月には知的財産戦略大綱が発表され、またこのたびは、政府によって知的財産基本法案が作成されました。
知的財産戦略が短期間に、着実な成果を上げてこられたのは、内閣を始め政府関係府省の努力もさることながら、知的財産に関する小泉総理大臣の強力なリーダーシップによるところが大きいと思います。知的財産戦略会議の民間委員として敬意を表します。
さて、知的財産基本法案は、我が国が知的財産立国に踏み出す第一歩であります。この法案は、知的財産戦略を総合的、一体的に推進する司令塔として知的財産戦略本部を内閣に設置することを定めています。法案成立の後、戦略本部を設置するにあたっては、政府には、この戦略本部を助ける事務局体制を整備してくださるようお願いいたします。そして、戦略本部が、大学の知的財産への戦略的取り組みへの環境整備、知財訴訟の迅速化、模倣品・海賊版対策といった関係府省にまたがる重要な諸課題を解決すべく、速やかに地域財産に関する推進計画が作成し、実施することにより、大きな成果を上げていいただくようお願いいたします。
それでは、よろしくお願い申し上げます。
(阿部座長より小泉総理大臣へ要望書手交)
○阿部座長 それではね、総理から何かお言葉を。
○内閣総理大臣 皆さんにお礼を言われてしまいましたけれども、私の方から皆さん方にお礼を申し上げたいと思います。
2月に施政方針演説で、この知的財産を国家戦略として生かしていかなければいけないということで、今日までわずか8か月の間に、こうして皆様方の連日の精力的な御努力によりまして、まとめることができました。この基本法案、あさってから始まります臨時国会に提出して、早期の成立を目指していきたいと思います。
初めてノーベル賞受賞者が1年に2人も受賞した年にこの法案が出されるというのも、いいものだと思っておりますので、日本としても、知的財産を創造して、これを保護活用していくということは、日本の経済活性化のみならず、世界の進歩と反映にも寄与するんではないかと思います。
これからもよろしく御指導、御鞭撻、御協力をお願いしたいと思います。
本当にありがとうございました。
○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、プレス退場をお願いします。
(報道関係者退室)
○阿部座長 それでは、今後の予定について、若干申し上げたいと思います。
次回につきましては、知的財産基本法案が国会において成立した後、開催したいと考えております。次回は基本法に基づいて設置される知的財産戦略本部において取り組むべき課題について、委員の皆様から御意見をいただくとともに、これは今日もある程度いただいておりますが、更に御意見をいただくとともに、知的財産戦略大綱に盛り込まれた法改正の状況について、報告をいただきたいと考えております。
関係府省、各委員の御協力をお願いいたします。
それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の会合はこれを持ちまして、閉会をさせていただきます。本日の会合の内容につきましては、終了後に私から記者会見を行わせていただきたいと考えております。御多忙中のところ、誠にありがとうございました。
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