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知的財産戦略会議(第8回)議事録


○阿部座長 それでは、定刻になりましたので、総理は遅れられるということでありますが、始めているようにということでございますので、ただいまから「知的財産戦略会議」の第8回会合を開催させていただきます。御多忙中のところ御参集いただきましてありがとうございます。
 昨年の3月に第1回の会合を開催させていただいて以来、現在まで8回の会合を重ねました。これまで皆々様の御尽力によりまして、まずは昨年の7月に知的財産戦略大綱がとりまとめられ、これに従いまして、秋以降の昨年の臨時国会におきまして、知的財産基本法が成立し公布されたところであります。
 戦略会議としては、本日の会合が最後の会合となります。本日は、まず最初に知的財産基本法について、経済産業大臣から御報告をいただきまして、その後の取り組みということで、次期通常国会提出予定の知的財産関連法案等について所管の大臣の先生方からそれぞれ御説明をいただくということで始めさせていただきます。
 その後、皆々様のこれまでの御感想・御意見などを伺うという手順でやらせていただきますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、早速でございますが平沼大臣から、知的財産基本法の御説明、御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

○経済産業大臣 それでは、私から御報告を申し上げたいと思います。御承知のように昨年の11月27日でございましたけれども、知的財産基本法が国会におきまして可決・成立をいたしました。
 この間、衆議院、参議院での国会審議におきまして、関係各位の皆様方の多大な御尽力をいただきましたこと、国会審議における担当大臣といたしまして、改めて厚く御礼を申し上げたいと思う次第であります。
 本基本法の成立というのは、言うまでもございませんけれども、産業の国際競争力の強化と、豊かな文化の創造による知的財産立国の実現に向けての、まさに輝かしい第一歩を記すものと思っておりまして、私どといたしましては全力を挙げて2月下旬の施行に向けまして準備を進めているところでございますが、今後とも本基本法に基づいて設置される知的財産戦略本部を中心として、政府一体となってあらゆる取り組みを推進する必要があると思っておりますので、関係省庁、そして関係各位におかれましては一層の御尽力、御協力の賜りますように、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 本当にいろいろありがとうございました。これからも頑張ってまいりたいと思います。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、次に各府省の取り組みということで、知的財産基本法の成立を受けまして、大綱に沿って各府省が次期通常国会に提出を予定していただいております、知的財産関連法案につきまして、それぞれ簡単に御報告をいただきたいと思います。
 それでは、森山大臣からお願いいたします。

○法務大臣 法務省から次期通常国会に提出を予定しております知的財産関連法案、具体的には民事訴訟法の一部を改正する法立案でございますが、それについて御説明いたします。
 この法立案の内容につきましては、現在、法制審議会で議論がされておりまして、今後その答申を得て所要の法立案を提出する予定としております。
 法制審議会での検討項目のうち、主として知的財産関係訴訟に関連する部分は、資料にございますとおり2点ございまして、1つは、専門委員制度の創設。
 2つ目が、知的財産関係訴訟事件の管轄の特例でございます。
 まず、専門委員制度は審理に専門的知見が必要な事件において、専門家が専門委員として裁判の全部、または一部に関与して、裁判官をサポートする制度でございます。具体的には当事者の主張が専門的事項にわたり、その趣旨が裁判所にとって不明瞭であり、これを明瞭にする必要があると言った場合で、裁判所が専門委員から専門的知見に基づく説明を聞くことができるようにするものでございます。
 知的財産関係訴訟では、専門的、技術的な側面が多く、この専門委員制度を活用し得るものと考えられます。
 次に、知的財産関係訴訟事件の管轄の特例でございますが、まず、特許権、実用新案権等に関する訴訟の第一審の管轄を、この種の事件について専門的処理体制を整えた東京地方裁判所、及び大阪地方裁判所に専属するものとするとの方向で検討されております。これにより充実し、かつ迅速な審理を受けられることが可能となると考えられます。
 また、これらの訴訟の控訴審の管轄につきましては、東京高等裁判所に事件を集中し、控訴審段階での専門的処理体制を強化することが検討されております。
 最後に、意匠権、商標権、著作権等に関する事件については、通常の管轄裁判所のほかに、東京地方裁判所、または大阪地方裁判所にも訴えを提起することができるとする方向で検討がされております。
 以上の改正は、知的財産関係訴訟事件の審理の充実、迅速化を図り、知的財産のより適切な保護を実現するために、重要かつ必要な事項でありまして、法務省といたしましては、法制審議会の答申を得て、所要の法律案を提出したいと考えております。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 それでは、次に大島大臣からお願いいたします。

○農林水産大臣 我が省としては、知的財産の適正な保護を図る観点から、植物新品種の育成権侵害権対策の強化が必要であると考えております。
 近年、北海道が育成したインゲン豆、栃木県が育成したイチゴ等の種苗が、不法に海外に持ち出され、その収穫物が我が国に輸入される等の権利侵害が見られ、特色ある産地づくりに取り組む農家、産地への影響が懸念されているところでございます。
 このため、種苗法を改正しまして、育成者権侵害に対する罰則の対象を従来の種苗段階での侵害に加え、収穫物段階での侵害まで拡大するとともに、法人による権利侵害に対する罰則を引き上げるための法案を通常国会に提出することとしております。
 また、関税定率法の輸入禁制品に育成者権侵害品を加え、権利侵害品を水際で効果的に阻止できるようにすることについて、財務省と御相談をしているところでございます。
 これら育成者権侵害対策の強化に向けた関係制度の整備充実に努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 続きまして、平沼大臣、お願いいたします。

○経済産業大臣 それでは、お手元の資料7、色刷りの3枚紙でございますけれども、これを御参照いただければと思っております。簡単に御説明させていただきます。
 知的財産関連法案につきましては、経済産業省としては、戦略大綱を受けまして、さまざまな課題への対応に取り組んでおりまして、通常国会におきましては、1つは、迅速かつ適格な特許審査、審判制度の実現に向けた特許法等の改正案、それに営業秘密の保護強化等のための不正競争防止法の改正案、この2つを提出する予定にしております。
 以下、簡単に御説明させていただきますけれども、1ページ目の特許法等の改正でございますけれども、特許法等の改正としては、1つは、コスト負担の不均衡を是正をいたしまして、適正な審査請求を実現するために、特許関係料金の体系を見直すこととすることにいたし、国際的な権利取得の円滑化のために、出願手続等の改正を行うことに加えまして、2つ目として、特許権等を巡る紛争処理がより円滑かつ迅速に行えるように、特許庁の審判制度の合理化を行う予定にしております。
 次に2ページをお開きいただきたいと思います。2ページには不正競争防止法の改正について説明をさせていただいております。
 不正競争防止法の改正といたしましては、特許出願前の技術情報、あるいは製造のノウハウ、顧客リスト等の営業秘密が、危機等の外に流出をいたしまして、競争力が損なわれることを防止するために、欧米等の法制度も参考にしつつ、営業秘密の不正な取得でございますとか、仕様開示についての刑事罰の創設などを行う予定にしております。
 その次の四角の中に、参考となるべき指針ということで書いてございますけれども、法改正事項ではございませんけれども、知的財産を核とした企業戦略のための参考となるべき指針として、知的財産の取得、管理指針、営業秘密管理指針及び技術流出防止指針をそれぞれ策定をして、今、作業を進めているところでございます。
 ついでと言っては恐縮でございますけれども、3枚目には、対中国の模造品と海賊版対策官民合同ミッションを派遣をいたしましたので、これは読んでいただければおわかりになると思いますけれども、ここに書かしていただきまして、私どもとしては、森下洋一松下電器産業会長に団長になっていただきまして、西川副大臣に政府代表として90名のミッションで、中国側とこの件を徹底的な話をしてまいりまして、中国側も前向きな取り組み姿勢を見せてきたところでございますので、今後ともますますこの面では強化をしていきたいと思っておりまして、この件では官民合同で一層の連携を図って、フォローアップをしてまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 遠山大臣がお見えになりましたので、文部科学省から提出予定の関連法案について、御説明をちょうだいいたします。

○文部科学大臣 所用のため遅れまして申し訳ありません。
 資料5をごらんいただきたいと存じます。
 知的財産戦略大綱と知的財産基本法に示された政府全体の戦略の中で、著作権に関係する部分は5つの分野に整理することができます。すなわち、
 1つ目は、法律ルールの整備。
 2つ目は、円滑な流通の促進。
 3つ目は、国際的課題への対応。
 4つ目は、著作権教育の充実。
 5つ目は、司法救済制度の充実。
 この5つです。
 我が省といたしましては、これらのうち、ビジネス・モデルの開発支援、海賊版対策、著作権教育など、直ちにできることにつきましては、既に各種の政策を実施いたしておりますし、また、具体的な施策の在り方などを検討すべき事項につきましては、目下文化審議会の著作権分科会に5つの小委員会を設けて検討を進めております。
 法律改正による対応が必要なのは、法律ルールの整備と司法救済制度の充実の分野でありまして、知的財産戦略の実現に向けて、著作権法の改正準備を進めております。今度の通常国会に出す予定でございます。
 具体的には、まず、権利に関する法律ルールの整備につきましては、第1に、日本が強い競争力を持ちますアニメ、ビデオ、映画、ゲームソフトなどの映像コンテンツにつきまして、内外における保護を強化いたしますために、その保護期間を現在の「公表後50年」から「公表後70年」に延長したいと考えております。
 第2に、権利と公益とのバランスを確保いたしますために、教育の情報化等に対応した例外措置を拡大したいと思います。具体的には、例えば、コンピュータ教室などでのコピーはこれまで教師だけに認められていたのですけれども、これからは児童・生徒がコピーをしても著作権法違反にならないようにしようというように、権利を制限する規定の改正を行うことを考えております。
 次に、司法救済制度の充実についてですが、インターネットなどを用いた侵害行為につきましては、権利者が侵害の事実、あるいは損害額を立証するということは大変難しいわけでございますので、訴訟における権利者の立証負担を軽減するための制度の拡大を考えております。
 これらの事項につきまして、今月中にも文化審議会著作権分科会の報告がとりまとめられる予定です。我が省としましては、これを受けて法改正の準備を進め、知的財産戦略の実現に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


○阿部座長 ありがとうございました。
 それでは、谷口副大臣から御発言をいただきたいと思います。お願いいたします。

○財務副大臣 財務省でございますが、お手元の資料4でございます。知的財産戦略大綱におきましては、知的財産権に関わる侵害物品の国境措置の在り方につきまして、植物新品種に関する育成者権侵害物品を対象に加えること。及び特許権、意匠権等の侵害物品に対する措置の強化の方針が示されております。
 財務省が所管する税関におきましては、関税定率法第21条により輸入禁制品と位置づけられている商標権や特許権など、地域財産侵害物品の輸入を水際で阻止すべく、日々取り締まりに努めておるとともに、制度面の強化を図っているところでございます。今般財務省は農林水産省、経済産業省及び特許庁等関係省庁との間で検討を行い、育成者権侵害物品を輸入禁制品とし、併せて当該物品を輸入差止申立制度の対象とすること。
 また、これまで通達による運用で税関への輸入差止情報提供制度の対象としていた特許権、実用新案権、及び意匠権の侵害物品につきましても、輸入差止申立制度の対象とし、併せて権利者の求めに応じ、侵害疑義物品に関わる権利の内容のうち、技術的な点について、税関から特許庁に照会する制度を導入することなどを盛り込んだ関税定率法等の改正法案を、次期通常国会に提出することといたしております。今後とも関係省庁との連携、協力を強化しつつ、税関による知的財産権侵害物品の水際取締りに努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 それでは、最後に細田大臣から関連の御発言をいただきたいと思います。

○科学技術政策担当大臣 知的財産基本法が成立しまして、関係各省におきまして、知的財産関連法案の準備がなされ、知的財産立国実現に向けまして、具体的な対応が進んできておりますことは大変喜ばしいことであります。
 総合科学技術会議におきましては、資料の8にございますとおり、昨年の知的財産戦略大綱策定以後、3つの柱、すなわち大学等における知財活動の活性化には、先端技術分野における知的財産活動の活性化、人材育成等基盤整備の柱について、より具体的な検討を進め、12月にとりまとめを行ったところであります。詳細につきましては、後ほど桑原委員から御説明いただくわけでございます。
 今後、関係大臣におかれましては、ここに盛り込まれました課題について、早急に取り組んでいただくようお願いしたいと存じます。
 大学等における知的財産の創造・保護・活用のためには、弁理士、弁護士等の知的財産専門家の一層の参加協力が不可欠でありまして、先般も私が声をかけさせていただきまして、各大学、国立大学、公立大学、私立の大学と、日本弁護士連合会との出会いの場を設けて意見交換をしたところであります。
 今後、大学等と弁理士、弁護士等との交流が深まりまして、全国各地で密接な連携が行われるようになることを期待いたしております。関係各省におかれましても、こうした連携を後押ししていくようにお願いをいたします。
 また、平成15年度予算の中におきまして、総合科学技術会議としても、必要な知的財産関連予算につきましては、高い優先順位を付け、文部科学省の大学知的財産本部整備事業の24億円を始めといたしまして、所要の額が確保されたところであります。関係各省におかれましては、効果的な活用をお願い申し上げます。
 今後、内閣に設置されます知的財産戦略本部におきまして、具体的な推進計画を策定していくこととなりますが、総合科学技術会議としても、十分な連携を図ってまいりたいと存じます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 それでは、今、各大臣及び副大臣から御報告をちょうだいいたしました。御意見、御質問がございましたら、御発言をいただきたいと思います。また、本日の戦略会議は最後の会合でございますので、これまでの感想や今後の取り組み等について、いろんな御意見があろうかと思いますので、特に委員の先生方、御自由に御発言をいただきたいと思いますが、発言を希望される方は自由に挙手をしていただければありがたいと思います。
 どうぞ御手洗委員、2、3分でお願いいたします。

○御手洗委員 今、法務大臣のお話にもありますように、各種専門領域における専門家が裁判のサポーターとして意見を言う制度が設けられるということは、これは裁判のスピードアップという意味からも、大変助かることでありがたいと思います。
 1つだけお願いしたいのは、先ほど平沼経産大臣からもありましたけれども、日本で裁判する場合はどうしても原告不利でして、被害者の方にアメリカのディスカバリー制度みたいに被告の方にも情報を提示する義務を負わせるようなことを検討していただきたいと思います。勿論、営業の秘密や知的財産の秘密をきちっと法律上担保した上で、被告に情報を提示する義務を負わせるような検討をしていただきたいと思います。
 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。先ほどちょっと御指名がありましたので、桑原委員から。

○桑原委員 細田大臣からお話がありましたもので、受けたいと思いますが、資料の8をごらんいただきたいと思います。先ほど御紹介ありましたように、6月にまとめた総合科学技術会議の戦略の中で特に重要なものについて、3点、早急な対応をお願いしたいということで、昨年末にお諮りをして、御了解いただいた事項の確認をさせていただきたいということです。
 1項については、3つございまして、(1)が、大学等における知的財産管理体制の充実、特に機関帰属を原則とした内部規定整備、なかんづく中ほどに書いてありますが、発明者と協力して組織的な権利の活用をしてほしいということです。
 (2)にありますのが、知的財産の管理部門の整備。特に評価選別を的確に行うためのシステムの整備が急務である。それから、必要な予算の確保というのが(3)の内容です。
 2項につきましては、どんどん進化しております先端技術分野において新しい問題が出ているということで、特に医療関係は、医療行為そのものは特許の対象にしないということの理解の中でも、例えば人工皮膚のような、生物由来製品にいては、加工とか処理に関わるものは産業に利用できる可能性があるということで、権利化をすべきだという私どもの考えで、それのためには、審査基準等を新たに設定を急いでいただきたいということでございます。
 それから、3項が、知的財産専門人材の育成でございまして、知財関連の弁理士をより多く排出するための専門職大学院の設置。あるいは法科大学院におきまして、知財教育を充実する等、これから知財戦略本部を中心に、各省の御協力を是非お願いしたいということでございます。
 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。営業秘密というのは企業だけではなくて、大学にも当然密接に関係があります。その辺を御指摘いただいたものと思います。

○青木委員 昨年3月から非常に短い間にすごく状況が進んだということで、関連された方々、省庁の方々に感謝しなくちゃいけないと考えております。特に今後のことについて一点申し上げたいんですけれども、今、御指摘ありましたように、総合科学技術会議にも出てまいりました先端技術分野における知的財産法制の整備のところの医療行為関連の発明の件でございます。これは我々医薬品産業も非常に関心を持っております。ただし、これは非常にコントラバーシャルな問題でありまして、今までのところ人体を構成要件とする特許というのは、法律の運用上特許されておりません。これは人体の尊厳とか、お医者様の主体性の尊厳とか、いろんな考慮すべき点があるとは思うんですけれども、最近のバイオテクノロジーの進歩を考えますと、この辺のところをきちっとやっておかないと、アメリカでは医療関連の特許というものは完全に認められておりますので、遅れないようにしていただきたいと、特にお願いしたいと考えております。

○阿部座長 ありがとうございます。
 では、中山委員、その次に松尾委員。

○中山委員 戦略大綱には現在問題となっていることがほぼ一応網羅されていると考えております。まずはこの大綱に書かれている内容を忠実に実現することに戦略本部は全力を傾注すべきであると思います。既に各官庁やあるいは司法制度改革推進本部等におきまして、実現の努力が積極的に行われております。次期国会にも多くの改正法が出されるということは今、伺ったとおりですが、もっとも大切なことは、仏に魂を入れることでございまして、恐らく大綱に記載されていることの多くは、法律等として実現するだろうと思いますけれども、本当に実効性あるものとして機能するかという点が一番大事であると考えております。
 例えば大綱では、大学に対する期待が非常に多く記載されております。文部科学省におきましても、知的財産本部の設置等々、大変な努力をそそいでいるわけでございますけれども、現実に大学の発明が社会にどのくらい還元されるのか。あるいは、大学発のベンチャー企業がどの程度成功するのかというのは未知数でありますし、また、先ほどの話にもございました税関での水際措置に関しましても、次期通常国会で恐らく関係方の法改正がなされると思いますけれども、本当に欧米並みの実効性のある水際措置がなされるのかどうかというのは未知数でございます。
 これはほんの一例でございますけれども、実効性ある制度を確立するということは、一片の法律をつくる以上に非常に難しいことでありまして、例えば大学人の意識の改革であるとか、あるいは税関とか特許庁の人員の問題等々、困難な問題が山積していると考えております。
 今後の戦略本部活動といたしましては、制度をつくるということだけではなくて、実効性という点にも十分配慮をして活動をしてもらいたいと思います。
 また、戦略大綱では結論を留保しておりまして、はっきり答えを出していない問題もございます。例えば昨今の新聞をにぎわしております高等裁判への管轄の集中の問題がございますけれども、この問題については、私はまだ結論を持ち合わしていないんですけれども、この問題はそもそも裁判というものの本質は何か。あるいは必ずしも法律の専門家でない理系の専門家をどのように扱うべきかということについて十分な比較研究、あるいは実態調査等が必要であると思いますし、また、アメリカのCAFCは確かに集中しているんですけれども、これは法律指針でありまして、証拠調べ等を行っておりませんので、これをワシントンに集中するとは非常に容易でありますけれども、我が国の高等裁判所を東京に集中した場合には、証人調べ等々の事実調べを一体どういうふうにするのかということつきましても、十分な検討をしていただきたいと思います。
 現在、非常に問題になっております職務発明の問題がございますけれども、この問題は我が国の雇用形態に非常に大きく依拠しております。
 したがいまして、現在の流動化している雇用状態が一体どういうふうになっているのか。あるいは将来どういう雇用形態を誘導すべきかという点についても十分な検討を経て結論を出していただきたいと思うわけであります。
 大綱で答えを留保しているということは、それなりの理由があって留保しているわけでございまして、性急な短絡的な結論を出すのではなくて、戦略本部におきまして、将来に禍根を残さないような十分な検討をしていただきたいと期待をしております。

○阿部座長 ありがとうございました。
 では、松尾委員お願いします。

○松尾委員 中山委員がすべてのことをお話になられたようなので、私は3点だけ具体的なことを申し述べたいと思います。
 1つは、この資料3にあります知的財産関係訴訟の民事訴訟法の見直しですが、基本的にはこれに賛成したいと思います。しかし、今、中山委員が言われました控訴審の管轄の問題について一言申し上げたいと思います。知的財産を国際競争力の基礎とするためになぜ東京に一極集中をしなればいけないのかというのは、私にはどうも論理必然性がないような気がいたします。知財を重要視するならば、知財関係の法曹の人口も増やし、東京だけではなく、例えば大阪において知財関係者が十分に活動ができ、そこで法曹人口が育成されなければいけないと思います。この東京集中という問題は、裁判の統一の問題と別の角度から見て、慎重に議論していただきたいと思います。
 次に、関税定率法の関係で、偽造品の輸入というのがしきりに問題になっておりまして、先ほどいただきました資料4で改正のポイントとして、特許権等を申立制度の対象に追加する。
 具体的には、特許庁への技術的範囲についての照会制度を導入するというのが記載されております。これは一歩前進で大変結構だと思いますが、私の心配は、特許庁に対しては、技術的範囲についての照会はできますけれども、当然中心は権利侵害があるかどうかという問題です。したがって司法的な法律判断が必要になってくるはずです。
 したがいまして、特許庁が御協力くださるのは大いに結構なんですけれども、税関と裁判所との間、司法と税関とのリンケージもなければならないはずであろうと思います。
 また、欧米と違いまして、日本では守秘義務が重視されますので、輸入業者とか、輸出者の住所氏名とか、そういう情報がなかなか権利者の方に開示されません。そのために、再発の防止というのがうまくいかなかったり、当事者間で司法的に抜本的な解決を図るということが困難になっております。第一歩としては、今回の資料4で結構ですけれども、是非引き続きその他のこれらの問題もお考えいただきたいと思います。
 もう一点、不正競争防止法ですが、ここのところの新聞を見ますと、何か誤解があるようで、例えば内部告発が規制されるとかいうこともにぎわしております。しかし、私が勉強している限り、現在検討されております不正競争防止法における営業秘密に対する刑事罰の導入の点につきましては、処罰目的が明確にされておりますし、処罰の対象というもの、それから処罰の条件というものも十分に検討されておりますので、内部告発を阻止したり、退職従業員というものの職業選択の自由を阻むようなことはございません。是非、自信を持ってこの改正の方を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。
 荒井委員お願いします。

○荒井委員 今回いろいろ進展の御報告があったわけですが、小泉総理のリーダーシップで進められた知財立国戦略が昨年2月の施政方針演説からわずか1年でここまで来たというの国民は皆びっくりしていまして、さすが小泉内閣と言って。

○内閣総理大臣 遅れている遅れているという声ばかりだ。余り見ていないからみんな文句を言う。

○荒井委員 知財戦略は経済、それから大学とか司法の構造改革を進める手段としての効果が大きいので、非常にマスコミの関心も急速に高まっていまして、特集が非常にいろんなところで始まっていますので、是非、これからも知財立国実現のために、小泉総理のリーダーシップをお願いいたします。
 第1のお願いは、特許審査の促進なんですが、いろんないい発明をしようということでみんなで今呼びかけをしていますので、これからいっぱい出てくると思いますので、それを使ってベンチャーをやると。そのためには、特許審査が早くなければいかぬということでございますので、今年の3月に特許審査促進計画というものをつくるわけですが、是非いいものにして、大学の先生や会社人の期待に応えていかなければいけないということだと思います。
 第2点は、裁判所の整備だと思います。最後は裁判所で自分たちの権利を守ってくれるんだということで、「思い出の、事件を裁く、最高裁」と総理がおっしゃっていましたけれども、裁判に国民の関心が非常に高まっていて、知財も今までは泣き寝入りが多かったんですが、今回の知財基本法の15条にも、国は裁判所の専門的な処理体制の整備を図ると書いていただいていますので、是非具体化をやっていただいて、国民の期待に応えていただきたいと思います。
 第3は、営業秘密の保護でございます。さっき平沼大臣からお話がありましたが、不正競争防止方の改正、これは長い間の懸案で、日本は営業秘密というのは、お互いに使い合うということで守り合わなかったんですが、もうそういう時代は終わったということで、ついに政府がここに踏み切ったということで、これは非常に画期的なことだと思いますので、是非早期実現をお願いしたいと思います。
 第4は、にせもの対策です。ここに資料9でコルベール委員、これはフランスの有名企業、いろんなブランドをつくったりしているところがやっていまして、そこからも要望書が出ていますが、是非、日本のにせもの対策についてもしっかりやってほしいという要望が来ていますので、是非強化をお願いしたいと思います。
 いよいよこれから本番ということで、総理のリーダーシップをお願いいたします。

○阿部座長 ありがとうございました。
 では、小池委員。

○小池委員 私は2点申し上げさせていただきたいと思います。
 既に話が出ておりますが、やはり知的創造サイクルを的確に実現するためには、知的財産裁判の充実強化という問題が非常に重要だと思います。昨年、最高裁、あるは法務省は英断をふるわれまして、裁判所知的財産部に弁理士の調査官を始めて採用していただいた。これがうかがうところによると、非常に実効が上がってきておるという話も耳にしております。是非人材の活用、裁判所の制度の改革、併せまして、知的財産訴訟の充実強化という方向を一層推進していただければありがたいと思っております。
 もう一つは、今、荒井委員の方からも出ましたが、やはり権利化の促進というのは非常に重要だと思います。スピーディーな時代ですから、特許庁、経済産業省は大変な努力、工夫をして、着々と実績も上がりつつあると思いますが、更に一層、人間が審査するわけですから、この現在の審査負担が本当に適正なのかどうか。場合によっては軽減すべきところは軽減すると。それでスピードアップを図るということが必要ではないかと思います。
 なぜならば、1、2年後には中国からの我が国への特許出願が増大することは明らかですから、こういった事態も想定した審査の実現、スピードアップ体制を拡充していくという方向を是非目標として強化していただきたいと思います。
 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございます。富塚委員も何かございましたら、お願いします。

○富塚委員 全般的には先ほど中山委員が申されたとおりで、全く賛成で同感であります。著作権問題に関しましては、文化庁管轄下の文化審議会、著作権分科会で今、継続的にいろんな問題を審議しております。まだ、法律化の案には至らないものがたくさんございますが、それの継続審議を来年度に向かって、積極的かつスピーディーな検討を期待しております。
 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。
 では、大山委員、お願いいたします。

○大山委員 まず、この1年間でここまで進んだことを非常にうれしく思っているということを申し上げたいと思います。
 直接関与していることで恐縮なんでありますが、情報通信分野における標準と特許というのが先ほど桑原委員の方からお話がございましたので、この関係について忘れてはならないことを申し上げておきたいと思います。
 まず第1に、今までの工業規格、工業標準というのは特にでありますけれども、この標準化を我が国がうまくデファクト、あるいはデジュール、どちらでも結構ですが、取れたか取れないかによって、我が国が持っている知財価値も大きく変化するということです。ですから、知財の価値を高め、それを流通させるという観点からは、標準化抜きに進めることは非常にこれはちぐはぐなやり方になってしまうということをまず理解した上で申し上げますと、欧米等で標準化の会議を、私、明日からまたアメリカに行く予定なんですけれども、それも標準化ですが、何で向こうが強いかというと、1つは、コンサルタントの存在です。これは標準をつくっていく専門の方が多数いらっしゃる。この方たちは、例えば日本の今の状況で言えば、電子政府をつくるために、現在、CIOの会議がつくられていると思いますが、こういう方たち、あるいは各自治体へのコンサルをやっているんです。勿論、CIOの方たちがすべてIT関係の専門知識を持っていれば別ですが、普通は専門性がございますので、こういう方たちが結局は標準に入ってきている。
 したがって、まとめ方は極めてうまいんです。上流工程のやり方が非常にお上手だということがあって、日本はなかなか苦戦をしている。
 同じことになりますが、日本企業からおいでいただいているかたは、どちらかというと企業の中の主流になっていない。ある意味で恵まれていないという状況にあるんではないかと思います。
 その観点から、3つ目なんでありますが、やはり国は桑原委員から出ている紙にも同じように書いてありますが、積極的に関与をいただきたい。すなわち、少なくとも標準化というのは、例えばISO、ICE、ITU、さまざまございますが、これらは民間主導、公平、公正を旨とするという原則はございますが、直接国がユーザーになるもの。例えば政府の情報システム調達は完全に国になります。自治体も同じだと思いますが、こういうものに対しては、標準に対しても積極的に関与いただく。それによって、日本が持っている知財の価値を高め、それを更に流通させるというつながりになるんではないかという気がいたします。これについても是非御配慮いただきたいというのが私の意見です。

○阿部座長 ありがとうございました。何人かの方からお話がありましたように、標準化というのがこれから非常に大きい戦略の骨になると思いますので、この点についてはなお戦略本部で総合的に御議論いただければありがたいと思います。

○法務大臣 知的財産訴訟のさらなる充実とか迅速化ということがたびたびお話に出ましたので、そのことに関して申し上げたいと思います。
 司法制度改革推進本部の知的財産訴訟検討会というのがございまして、そこで御指摘のような問題も含めて、いろいろ検討していただいているところでございます。今の御意見も必ず伝えまして、早急にその結論が出ますように努力いたしたいと思います。
 その前に、控訴審の問題について、大阪と東京の話が出まして、東京にだけまとめるのはどうかという御疑問が提示されたわけでございますけれども、これは法制審議会の民事人事訴訟方部会におきまして、知的財産訴訟事件をより一層迅速・適切に処理するための方策として、実質的な特許裁判所機能を創出するためにどうしたらいいかということを検討しているところでございまして、この議論をよく拝聴した上で、改正法案をまとめて国会に出したいと考えております。
 また、最初に御手洗委員から御指摘がありましたディスクロージャーの話でございますけれども、裁判の迅速化、充実化という観点からは大変重要なことでありまして、司法制度改革の1つの検討事項であると考えられますので、そのことも申し伝えたいと思います。
 ありがとうございました。

○阿部座長 ありがとうございました。
 では、平沼大臣、お願いします。

○経済産業大臣 大変皆様方から重要な御指摘をいただいたと思っておりまして、御指摘の点につきましては、私ども重文踏まえて、これをできるだけ反映をしていきたいと思っております。
 関税定率法の件についてお話がございました。先ほど財務省からもお話がありましたけれども、今、そういった実際に水際で開示の問題という形で、ここがうまく進まないと、仏つくって魂入れずじゃないか、そのとおりでございまして、関係省庁とその辺を更に詰めているところでございます。また、何人かの方から出た御意見として、いわゆる審査の迅速化、こういうことは、我々としては十分問題意識を持っておりまして、先の臨時国会の中でも、国会の論議の中でもそのことが非常に強く出たところでございます。しかし、荒井委員が大変現職中努力をされまして、これはまだアメリカにはかないませんが、欧米の水準にはなってきているわけでありまして、更に私どもとしては、厳しい、1つの行政改革の中でもアウトソーシングをするとか、人員を確保するとか、そういうことで全力でやっておりますので、この迅速化も私どもはしっかりやっていきたいと思いますし、標準化の問題は、私ども同等の認識を持っておりますので、この辺もしっかりやらしていただきたいと思っております。

○内閣総理大臣 キャノンは大いに特許を評価されたでしょう。何のですか。

○御手洗委員 アメリカの特許取得件数で去年2位になりました。IBMに続いて2位です。1,880 件程登録になりました。過去10年間の累積でも2位になっております。

○内閣総理大臣 日本企業は幾つくらいですか。

○御手洗委員 日本企業は非常に頑張っていまして、たしかベスト10の中で6社くらい入っていると思います。日本企業はすごく頑張っておりますが、この10年間の特徴はサムソンとか韓国勢がトップ10に入ってきていることです。

○科学技術政策担当大臣 ちなみに、キャノンさんの他に、日本ではNEC、日立、松下電器産業、ソニー、三菱電機と6社入っております。

○内閣総理大臣 その特許の中で一番の売れ筋というのは何ですか。

○御手洗委員 いろいろあって、みんな売れ筋なんですけれども、残念なのは、うちも典型的にそうですが、日本企業の特許は大体アプリケーション特許と言いますか、製品仕様に関する特許とか改良特許なんです。日本は基本特許と言いますか、原理特許は少ないんです。原理特許はアメリカが一番多くて、6割くらい持っている様ですが、民間企業は今日・明日のことで目一杯であり採算ベースを第一にしなければなりませんので原理特許は民間企業では生まれ難い状況にあります。やはり大学や国の研究機関、国家プロジェクトでないとなかなか生まれてきませんので、企業競争力が強化される原理特許がたくさん取れる技術の研究・開発をするために国家の学術研究に対する投資をよろしくお願いします。

○内閣総理大臣 基礎的なものですか。


○御手洗委員 基礎研究です。

○阿部委員 いろいろ御発言がございましたように、お陰様で国家戦略としての一応の準備が整ったわけであります。また、これを待っていたのごとく、本日、各省から、関連法案の御説明をいただいたわけで、積極的な取り組みが始まっているということも大変すばらしいことだと思います。
 新しく戦略本部ができるわけですが、中山委員ほか何人かの方の御発言にもありましたように、ここがこれからの本命になるわけでありまして、府省を超えた取組みが多分中心になると思いますが、本日関連法案がどんどん出てきたことに象徴されるように、各府省の得意なところを是非エンカレッジしていただいて、進めていただければと思うのが1点であります。
 もう一つは、以前にも申し上げたが、我々議論している間に、各国の知財戦略は日々進化しておりますので、大綱を含めて、これまでの議論を第一歩として是非知財立国に向けて積極的な対応をなお一層お願いしたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
 さまざまな御意見をいただきましたが、政府におかれましては、本日いただきました御意見を今後の施策等の推進に生かしていただくように重ねてお願い申し上げます。
 それでは、最後になりましたが、小泉総理より御発言をいただきたいと思いますが、その前にプレスが入室いたしますので、暫時お待ちいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

○内閣総理大臣 先ほど知的財産戦略の面で改革が早く進んでいるという評価をいただきましたけれども、昨年2月に確かに施政方針演説で知的財産戦略会議を設置するということを表明して、7月に戦略大綱を決定し、11月に基本法が成立したわけです。そういう面では短期間の間に大きな成果を上げることができたと思います。これはひとえに皆様方の御尽力、御協力の賜物でありまして、厚く御礼を申し上げます。
 今後は基本法の下で、知的財産戦略本部を中心に、政府一丸となって知的財産立国を目指して頑張りますので、今後ともよろしく御指導、御協力をお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございます。

○阿部座長 どうもありがとうございました。それでは、プレス御退場をお願いします。

(報道関係者退室)

○阿部座長 冒頭にも申し上げたが、知的財産戦略会議は本日の会合をもって最後となります。これまでの皆々様の御尽力にこの場を借りて感謝の意を申し上げたいと思います。
 それでは、予定の時間もまいりましたので、本日の会合は閉会にさせていただきたいと思います。
 本日の会合の内容につきましては、終了後に私から記者会見を行わせていただきます。御多忙中のところ、誠にありがとうございました。