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知的財産戦略大綱


2002年7月3日
知的財産戦略会議

目 次

はじめに
1.情報創造の時代
2.情報化時代と「知的財産立国」
3.知的財産戦略大綱の策定
  
第1章 現状と課題
1.産業競争力低下への懸念の高まり
2.知的創造サイクルの確立に向けて
3.競争政策の重要性と表現の自由などの重視
  
第2章 基本的方向
1.創造戦略
 (1)大学・公的研究機関等における知的財産創造
 (2)企業における戦略的な知的財産の創造・取得・管理
 (3)創造性を育む教育・人材養成の充実
2.保護戦略
 (1)迅速かつ的確な特許審査・審判
 (2)著作権の適切な保護
 (3)営業秘密の保護強化
 (4)紛争処理に係る基盤の強化
 (5)海外及び水際における保護の強化
3.活用戦略
 (1)大学・公的研究機関等における知的財産の活用の推進
 (2)知的財産の評価と活用
4.人的基盤の充実
5.実施体制の確立
  
第3章 具体的行動計画
1.知的財産の創造の推進
 (1)大学等における知的財産創造の推進
  @ 知的財産の創造を重視した研究開発の推進
  A 研究開発評価における知的財産の活用
  B 研究者へのインセンティブの付与
  C 知的財産権の取得に要する費用の確保
  D 知的財産権の取得・管理のための人材や体制の整備
  E 研究開発成果の取扱ルールの明確化
  F 知的財産権の取得に係る手続の支援
  G 研究施設の改善等の環境整備
 (2)企業等における知的財産創造の促進
  @ 職務発明制度の再検討
  A 日本版バイ・ドール制度の拡充
  B 知的財産情報調査のための基盤整備
  C 優れたコンテンツ創出等への支援
  D 優れたデザイン、ブランドの創造支援
 (3)創造性を育む教育・研究人材の充実
  @ 研究人材の養成及び流動性、多様性の向上
  A 知的財産教育の推進
2.知的財産の保護の強化
 (1)特許審査・審判の迅速化等
  @ 特許審査の迅速化等
  A 審判制度等の改革
  B 植物新品種審査期間の短縮
 (2)実質的な「特許裁判所」機能の創出
  @ 管轄の集中化
  A 専門家参加の拡大などの裁判所の人的基盤拡充
  B 証拠収集手続の拡充
  C 裁判外紛争処理の充実等
 (3)損害賠償制度の強化
 (4)模倣品・海賊版等への対策の強化
  @ 二国間・多国間交渉を通じた取組
  A 育成者権侵害品対策
  B 知的財産権侵害に対する国境措置の改善
  C 国内における模倣品・海賊版等の取締りの強化
  D 国民への啓発の強化
 (5)国際的な知的財産制度の調和と協力の促進
  @ 世界特許システムの構築等に向けた取組の強化
  A アジアの制度整備及び施行体制づくり支援
  B 自由貿易協定(FTA)、TRIPS協定、ヘーグ条約等への戦略的対応
  C デジタル化・ネットワーク化に対応した新たな国際著作権ルールの策定
 (6)営業秘密の保護強化
 (7)新分野等における知的財産の保護
  @ 有用な新創作物の積極的な保護
  A ポストゲノム研究成果の適切な保護
  B 再生医療、遺伝子治療関連技術の特許法における取扱いの明確化
  C ネットワーク上での著作権の保護強化
3.知的財産の活用の促進
 (1)大学等からの技術移転の促進
  @ 大学等による機関一元管理の導入
  A 大学等における技術移転機能の強化
  B 技術移転等に係る契約ルールの整備
  C 技術移転促進に係るインセンティブの付与
 (2)企業における戦略的な知的財産の活用
  @ 経営者の意識向上と戦略的な特許取得の活用
  A 知的財産の情報開示
  B デザイン、ブランドの戦略的活用
 (3)知的財産の流通の促進
  @ 知的財産の価値評価の確立
  A 知的財産ライセンス契約の安定強化
  B コンテンツの創作活動の保護と流通の促進
  C 研究試料等の研究開発成果の流通の促進
4.知的財産関連人材の養成と国民意識の向上
 (1)専門人材の養成
  @ 法科大学院における知的財産法をはじめとするビジネス関連法分野教育の強化
  A ビジネスに理解の深い技術系人材の供給
  B 弁理士等の専門人材の充実と機能強化
 (2)国民の知的財産意識の向上
  @ 用語を「知的財産権」「産業財産権」に統一
  A 啓発活動の強化
  B 知的財産関連調査統計の整備
5.知的財産戦略大綱の実施







はじめに

 日本経済を取り巻く環境は、依然厳しい状況にあり、将来に対する閉塞感を払拭できない中、我が国の国際的な競争力を高め、経済・社会全体を活性化することが求められている。そのためには、我が国を、科学技術や文化などの幅広い分野において豊かな創造性にあふれ、その成果が産業の発展と国民生活の向上へつながっていく、世界有数の経済・社会システムを有する「知的財産立国」とすることが必須である。その目標に向けた諸改革を直ちに実行するため、「知的財産立国」実現に向けた政府の基本的な構想である知的財産戦略大綱をここに策定する。

1.情報創造の時代

 戦後、我が国の高度経済成長の原動力となったのは、勤勉な国民性と重化学工業、さらには加工組立型の産業分野を中心とする「ものづくり」の強さであり、その土台は、欧米の技術を導入・改良し、強固なチームワークを活かして現場での生産技術を向上させていくという日本型生産システムであった。
 しかしながら、低廉な労働コストと生産技術の向上を背景にしたアジア諸国等の追い上げ、グローバルな社会の情報化の進展等により、過去の成功を支えた経済モデルからの脱却が求められ、新たな成長モデルを模索する必要が生じている。すなわち、経済・社会のシステムを、加工組立型・大量生産型の従来のものづくりに最適化したシステムから、付加価値の高い無形資産の創造にも適応したシステムへと変容させていくことが求められている。加工組立型のものづくりにおいては、調和のとれたチームワークが重要な要素であるが、発明や著作物等の情報の創造には、個人の自由な発想が鍵となる。我が国の明るい未来を切り拓くため、あらゆる面で創造性を重視する環境整備に向けた改革断行が欠かせない。この改革は、我が国における21世紀型の文明構築に向けた国家的事業である。
 以上のような視点に立って、国際協調を図りつつ知的財産戦略大綱を実行して、我が国産業の国際競争力を強化することが必須である。

2.情報化時代と「知的財産立国」

 「知的財産立国」とは、発明・創作を尊重するという国の方向を明らかにし、ものづくりに加えて、技術、デザイン、ブランドや音楽・映画等のコンテンツといった価値ある「情報づくり」、すなわち無形資産の創造を産業の基盤に据えることにより、我が国経済・社会の再活性化を図るというビジョンに裏打ちされた国家戦略である。その実現には、ものづくり基盤の再構築と併せ、経済活動のグローバル化や情報化の進展、雇用の流動化等に対応して、政府・大学・企業・個人等、あらゆるレベルでの知的創造活動を刺激するとともに、その結果として得られた発明や著作物等の成果を知的財産として適切に保護し、製品・サービスの付加価値の源泉として、有効に活用する経済・社会システムを構築することが必要である。
 一方、情報通信技術の急速な進歩は、「情報」の模倣や無断複製の加速化という負の効果も発生させており、創作者による開発資金の回収が困難となる状況を生んでいる。財産的価値を有する情報、すなわち知的財産を産業競争力の強化の源泉とするためには、こうした情報化時代の特質を深く認識することが必須の前提となる。
 知的財産を豊富に創造し、これを保護・活用することにより、我が国の経済や文化の持続的発展を目指す知的財産立国を実現し、新たな経済・社会システムを構築するためには、発明や著作物等が意欲的に創作され、活用される過程で生ずるあらゆる課題について、法律をはじめとする諸制度や官民の慣行をゼロから見直し、あるべき姿を追求しなければならない。行政機関は、初等・中等教育を通じた創造性ある人格の形成、企業や大学における知的財産創造の戦略的な取組の推進や専門人材の育成、優れた発明の成果等の保護・活用を進めるための知的財産関連法制、関連税制の整備や知的財産に係る情報インフラの整備に努めるとともに、知的財産関連の行政サービス提供者であることを不断に認識しなければならない。また、司法分野における諸改革の遂行、海外における模倣品・海賊版等に対応するための積極的な通商・外交政策の推進等、幅広い分野での取組が必要である。

3.知的財産戦略大綱の策定

 本大綱は、今後、我が国の国富の源泉となる知的財産の創造のより一層の推進と、その適切な保護・活用により、我が国経済・社会の活性化を目指す具体的な改革工程を示し、「知的財産立国」の実現に向けた道筋を明らかにし、さらには、我が国の明るい未来を切り拓く政府の決意を表明するとともに、その実現に向けた国民各層の理解と参画を求めるものである。今後、政府は、この大綱に基づき、2005年度までを目途に、知的財産に関わる制度等の改革を集中的・計画的に実施する。




1.産業競争力低下への懸念の高まり

 戦後、我が国は欧米から基本技術を導入し、その改良と生産現場の卓越した適応力を背景として、世界に対し良質の製品を安く大量に供給することにより、歴史上特筆される繁栄を謳歌してきた。しかしながら、近年、高い労働コスト等を要因として、付加価値の低い製品・サービスの競争力は急速に失われ、我が国産業の国際競争力低下への懸念が急速に高まっている。このような懸念を払拭するため、今、新たな国家戦略が求められている。
 閉塞感が高まる我が国産業にあっても、自動車、精密機器分野に見られるように、独自技術を武器に世界市場で高いシェアを獲得している製品・サービスを提供している企業も少なくない。また、アニメーションやゲームソフト等のコンテンツ産業は、国際的に高く評価されている。
 物的資源に乏しく、かつ、労働コスト等が高い我が国の経済・社会を再び活性化させる戦略として、優れた発明、製造ノウハウ、デザイン、ブランド、音楽、映画、放送番組、アニメーションやゲームソフトをはじめとするコンテンツ等を戦略的に創造・保護・活用することで富を生み出す知的財産立国の視点は不可欠である。
 19世紀末、初代の商標登録所長・専売特許所長の高橋是清は米国を視察し、米国の特許院などで関連諸制度、特許弁護士の働きぶりを目の当たりにした。「アメリカでは、智能的財産は財産中、最も大事にされている。日本でもこれらを保護すべき」といわれて、大いに感じたと自伝に書き残している。
 21世紀の我が国は、まさに知的財産重視により経済的活路を見出すべきであり、それに向けたビジョンを立てることこそ喫緊の課題である。本大綱は、質の高い知的財産を迅速に生み出し、これを活用し、国富につなげる戦略を具体的に示すものである。知的財産を生み出す仕組みを整え、知的財産を的確に評価できる環境を作り上げ、そして、その知的財産が流通し、社会で広く活用されるようになれば、再投資により新たな知的財産を創造する力が生み出されてくる。このような知的創造サイクルの好循環を一層発展させていく改革が、日本の将来を切り拓くには欠かせない。
 21世紀においても、我が国が世界の中で確固たる地位を占め続けられるよう、知的財産立国の実現を国家目標と定め、この目標に向けた総合的な施策を一刻も早く断行することが必要である。

2.知的創造サイクルの確立に向けて

 「もの」とは異なり、「情報」は極めて容易に模倣されるという特質をもっており、しかも利用されることにより消費されるということがないため、多くの者が同時に利用できる。特に知的財産については、活用されないとその価値は著しく減殺されてしまうという性質を有しており、保護と活用のシステムの構築が知的創造サイクルの確立には欠かせない。したがって、情報を21世紀の我が国における重要な富とするためには、情報が法により強力に保護されなければならないが、単に法律に規定するだけでは足らず、裁判等を通じて実効的に保護されることが必要である。また、契約や技術開発等によって適切な対価を徴収できる実効的なシステムを確立していない場合、独創的な知的財産を生み出すインセンティブが薄れてしまうとともに、生み出された情報も秘匿されるようになり、その結果として知的財産から生み出される富が大きく減少する結果となる。このように、知的財産については、「もの」に関する所有権的発想ではなく、情報の特質を勘案した保護と活用のシステムを構築することにより、知的創造サイクルのより大きな循環につなげるべきである。
 質の高い知的財産を生み出す仕組みを整え、知的財産を適切に保護し、知的財産が社会全体で活用され、再投資により更に知的財産を創造する力が生み出されてくるという知的創造サイクルがスピードをもって拡大循環すれば、知的財産は大きな利益を生み、経済・社会の発展の強力なエンジンとなる。
 しかしながら、知的創造サイクルに関する我が国の現状は必ずしも満足できるものとはいえない。特許を例にとってみれば、我が国企業は特許の出願に熱心であり、我が国の国内出願は世界で最も多い。他方、グローバルな競争が激化しているにも関わらず、欧米にも共通して出願されている特許はむしろ少ないという現状がある。特許出願のみならず、その上流である研究開発段階における戦略的な対応が十分でないことも懸念される。また、大学においては、近年、技術移転機関(TLO)の活動等を通じて、特許取得や技術移転に対する意識が高まってきているものの、その水準は、いまだ米国に及んでいない。
 特許審査のスピードも米国の水準には達していない。権利を侵害された場合の救済についても、改革の余地がある。知的財産関連訴訟の改善に加え、訴訟外での紛争処理手段の充実に着目した取組も必要である。また、知的財産の活用の促進や、知的創造サイクルを支える人材の充実も極めて大きな課題である。

3.競争政策の重要性と表現の自由などの重視

 知的財産権の強化は情報化時代の必然であり、国としてその推進を図るべきであるが、権利の強化には弊害も伴う。権利の強化に伴う具体的な弊害としては、独占あるいは優越的地位の濫用による競争上の弊害と、表現の自由等の現代社会が有している基本的価値との抵触が考えられる。今後、権利の強化を図っていく過程において弊害が生じた場合には、これを速やかに除去する必要がある。
 競争上の弊害の除去については、独占禁止法を中心とした競争法がその中心をなし、必要に応じてその強化も欠かせない。米国においては、知的財産の独占に対しても独占禁止法が厳しく適用されており、そのことが競争を生み出し、その結果として新たな産業の発展につながっている。我が国においてもバランスのとれた適切な対応がなされなければならない。
 また、知的財産法は情報の独占的利用を認める制度であるが、その保護があまりに過度となった場合には、学問・研究の自由、表現の自由などといった現代社会が有している基本的価値と抵触する可能性がある。知的財産制度の整備に当たっては、これらの基本的価値に留意しつつ、バランスのとれた制度を目指さなければならない。
 なお、大学においては、知的財産の創造、活用への期待に応えていくことが求められる一方、教育、基礎的・原理的研究も等しく求められていることを忘れてはならない。




 こうした現状認識を踏まえ、知的財産立国の実現に向けて、知的創造サイクルのそれぞれの局面における知的財産の「創造」、「保護」、「活用」と、これらを支える「人的基盤の充実」の4つの分野において、戦略的対応を進めることとする。

1.創造戦略

 (1)大学・公的研究機関等における知的財産創造

 かつて「象牙の塔」といわれた大学が、自ら知的財産を生み出す体制へと生まれ変わることが必須である。大学においては、優れた発明が生み出されても、それを権利化することにより、その成果を社会へ還元する体制が整備されていなかった。そのうえ、教員の意識も、研究には熱心でも、その成果を社会へ還元させることには関心が低かった。近年、TLOが数多く設立され、こうした状況に少しずつ変化が見られるものの、米国と比較するとまだまだ不十分な状況にある。
 技術革新の急速な進展をリードする基礎研究を、企業が自前で行うことは資金的な制約等により困難となる中、大学・公的研究機関等が、基本特許の取得につながる革新的ブレイクスルーを達成することや新技術・新産業を創出することへの期待はますます大きくなっている。このため、大学・公的研究機関等が、世界的なレベルの研究開発を進め、より速やかに知的財産を生み出していくための環境整備が必要である。さらに、生み出された成果を権利化し、社会に還元するシステムを確立しなければならない。こうした研究開発成果の創造と活用のシステムを確立することは、大学発のベンチャー企業の育成にも大きな力となり、経済の活性化にも資する。そのためにも、研究に着手する段階から、経済・社会での活用を見据え、実用化に向けて大学・公的研究機関等と企業が協力して取り組むリーディング・プロジェクトを実施するとともに、研究開発や知的財産取得のために特許情報等を活用できる環境の整備を図らなければならない。一方、研究の内容によっては、必ずしもその成果の権利化を優先させず、社会全体で享受する方が科学技術の進歩に資する場合があることにも配慮が必要である。
 大学・公的研究機関等における研究者は、報酬のみが目的で研究しているわけではないが、例えばノーベル賞などを受賞しない限り、一般の人にはなかなか認知されない。多くの若者に、研究者がいかに素晴らしいものであるかということを知ってもらわなければ、将来の我が国を担う世代が研究者になろうという夢を抱かない。野球やサッカーのスター選手が数多くの人に感動を与えているのと同じように、素晴らしいものを生み出した研究者や発明者は、社会に大きな希望や可能性を与えることを認識させる必要がある。
 大学・公的研究機関等における研究者の業績の評価についても、知的財産の創造やその成果の移転、普及活動の実績にも配慮して行われるべきである。また、国立大学等が法人化した際には、知的財産の機関帰属を原則とし、併せて発明者の努力に報いるため、発明者やその研究費への手厚い還元を図らなければならない。

 (2)企業における戦略的な知的財産の創造・取得・管理

 世界で最も多い我が国の特許出願のほとんどは、企業によるものである。しかしながら、欧米に比して、その出願の多くは国内重視の傾向が強く、外国への出願比率は低い。特に、ライフサイエンス等の先端技術分野における特許出願は、国際競争力の源となるものと考えられるが、その質・量ともに十分とはいえない。我が国企業にとっては、今後、グローバルな競争を意識した戦略的な対応が急務であり、国際競争に耐え得る高度な発明の創造を促進し、その発明についての特許を世界的に確立すべく、企業に早急な対応を促すとともに、日本版バイ・ドール制度の拡充など、政府において十分な環境整備を行うべきである。
 また、職務発明制度について、企業内の研究者の発明に対するインセンティブを一層高めるとともに、権利関係を早期に安定化させることによって、企業の競争力強化にも資するためにはどうあるべきかとの観点から、2003年度中に合意の形成を図るべきである。

 (3)創造性を育む教育・人材養成の充実

 先端的な技術革新につながる基幹的な発明が我が国から次々と生み出されることは、我が国の経済・社会の活力の源泉であり、その基盤は人的資源である。まず、優れた知的財産を生み出す人材を育成することが必要であり、世界レベルの研究者を輩出できるよう、初等・中等教育から高等教育に至るまで、創造性を育む教育の実現に向けた総合的な取組を行うことが急務である。また、アニメーションやゲームソフトについて、我が国は、世界でも有数の評価の高い作品を生み出す力を有しているが、このような優れたデジタル・コンテンツを今後とも世界に供給していくための基盤を確実に維持しなければならない。そのためには、小学校の早い段階から自由な発想、創意工夫の大切さを涵養する教育を行い、その後、年齢に応じた知的財産教育を通じて、独創性・個性を尊重する文化環境を構築していかねばならない。とりわけ、知的財産の創造を担う人材、基幹的な発明を創造する基盤を確固たるものとする観点から、初等・中等教育を充実させ、創造的な意識を醸成する教育を進めることが必要である。
 また、大学、大学院においては、創造性豊かな研究者の養成を意識した教育を行うとともに、若手研究者が自立して研究に取り組める環境の整備に努める。さらに、研究開発活動を活性化するためには、研究機関において任期制を導入するとともに、採用に当たって公募を普及、拡大するなど研究人材の流動化を図るべきである。さらに、世界における我が国の地位を確固たるものとするため、我が国の科学技術の振興にとって重要な領域であるが人材が不足している新興の研究分野や、産業競争力の強化が必要な分野においては、国としてその分野に適応できる人材養成を行っていく必要がある。なお、創造性豊かな研究者が、大学のみならず、産業界、公的研究機関等様々な部門において活躍できるような方策を検討すべきである。
2.保護戦略

 知的財産創造のインセンティブを確保するために、その適切な保護は不可欠である。そのため、制度そのものや、その行政機関や裁判所における運用について、使いやすく、利用者から信頼される専門性・安定性を備えたものとしなければならない。行政機関や裁判所は、知的財産立国を支えるサービス提供者としての認識を深める必要がある。また、加速する技術革新や国際競争の激化に対応し、先端技術分野等における知的財産を、国際的な調和の下で適切に保護しなければならない。

 (1)迅速かつ的確な特許審査・審判

 特許出願数の急増は全世界的な傾向であり、世界各国の特許庁においても審査体制の整備が進められているところであるが、審査期間の長期化により権利の成立や行使に影響が生じることが大きく懸念されている。特許等の審査においては、利用者のニーズを踏まえ、的確で安定した権利設定を行うとともに、その審査期間を国際的な水準とすることが是非とも必要である。そのため、最低限、国際的に見て遜色のない迅速かつ的確な審査の実施に向けた取組を推進することとし、2002年度中に2005年度までの計画を作成するとともに、より一層の効率化を図りつつ、審査体制の整備を含む総合的な対策を講ずることが焦眉の急である。さらに、各国での重複審査を避けるために審査共助を図るとともに、特許法や特許審査基準の国際的な調和を通じた相互承認に向けた取組を進め、究極的には世界特許システムを実現することが望ましい。このため、2002年中に、その実現に向けた第一歩として、日米特許庁の協力の下、日米両国に出願された特許について、調査結果・審査結果の相互利用に関する検討を開始すべきである。
 また、審判制度についても、迅速かつ的確に判断を示すことにより紛争処理の負担が軽減できるよう、制度の在り方及び実施体制について抜本的な改革を進めることが必要である。企業の知的財産関連活動についても、量的拡大の追求から、経営戦略の観点から価値の高いものを目指すよう、その基本的姿勢の転換を促すべく、必要な方策について検討すべきである。

 (2)著作権の適切な保護

 著作権制度については、インターネット等の普及を踏まえた保護の在り方を検討すべきである。デジタル情報は、今後、極めて重要な財産となるが、その最大の特色は、複製・改変が極めて容易かつ安価にできることである。コンピュータ・プログラム、音楽、映画、放送番組、アニメーション等のデジタル情報が強力に保護されなければ、デジタル・コンテンツ産業は成立しない。我が国の著作権法は、インターネットへの対応等に関して国際的に見て極めて高い水準にあり、デジタル・コンテンツについても、法的保護を与えている。しかしながら、インターネットで流通する場合に典型的に見られるように、デジタル化された情報そのものが、その媒体である本やレコード等の有体物から離れて流通するようになった結果、誰もが情報を複製し、加工し、発信することができる状況が発生している。このため、情報の利用者があまりにも多くなり、権利を持っていても、現実には権利を行使することが極めて難しい状況が生じつつある中、権利行使の実効性確保が大きな課題となっている。こうした新たな状況を踏まえ、今後、実効性を担保しつつ、権利者と利用者の双方にとってバランスのとれた保護を実現するため、有効なセキュリティ技術の開発、訴訟制度の改善、権利処理を円滑にする契約システムの構築等、デジタル・コンテンツの適切な保護の仕組みを確立すべきである。
 (3)営業秘密の保護強化
 我が国の企業活動における営業秘密の重要性が一層高まっている中、企業の営業秘密が国内外の競合他社に流出する事例が増加し、企業の競争力が損なわれている。このため、営業秘密の不正取得等に対する民事上の救済措置を強化し、罰則の導入も図るべく、人材流動化に対する抑止効果等、それらに伴って生じうる問題点にも配慮しながら検討を進め、2003年の通常国会に不正競争防止法改正法案を提出することが必要である。また、我が国では裁判の公開原則が強く意識されているため、裁判において営業秘密が公開され、かえって権利者の不利益が生じることもあることから、現実には営業秘密に関する訴訟は少ない。裁判の公開は憲法上の要請であるが、この問題に目をつぶっていたのでは、裁判において営業秘密が適切に保護されることはあり得ない。営業秘密が産業界で重要性を高めている現在、欧米に比して我が国の営業秘密保護の水準が低いということがないよう、必要な対策を講ずるべきである。

 (4)紛争処理に係る基盤の強化

 知的財産に関し紛争が生じた場合の最後のよりどころは裁判所(司法)である。司法に対する信頼こそが我が国の知的財産制度の基礎を支えるものである。司法的救済が適切かつ確実であれば、侵害の予防にも資することとなり、ライセンス交渉の活発化等、知的財産の活用にもつながる。このため、知的財産関連訴訟の迅速化や専門的・技術的事項について、十分な審理を尽くすことができる手続・体制の充実を図るべく、2003年の通常国会を目途に、実質的な「特許裁判所」機能を創出するために必要な法案を提出するなど、強力に取り組んでいくことが必要である。このため、既に進められている司法制度改革における検討に加えて、知的財産に関する紛争の特徴を踏まえた一層の対応強化を図る。具体的には、専門家の関与については、一般的な専門委員制度のほかに、現在、東京地方裁判所等の知的財産専門部に配属されている調査官制度を一層充実させることが必要である。
 また、訴訟制度の改革と併せて、仲裁等の裁判外紛争処理手続(ADR)の強化を図るべきである。

 (5)海外及び水際における保護の強化

 海外における模倣品・海賊版等の知的財産権侵害製品が我が国経済に与える損失は極めて大きく、これを放置した場合、損失は一層拡大するものと懸念される。今後、我が国が知的財産を基礎とした発展を図っていく上で、国際市場における技術、デザイン、ブランド等の模倣や、音楽、映画、放送番組、ゲームソフト等の違法な複製(海賊版)を看過することはできない。その際には、大規模・組織的な工程が必要な模倣品、パソコンさえあれば個人でも製作できる海賊版等、製品ごとの特性を考慮しつつ、権利侵害に対する有効な対策を検討すべきである。政府として、侵害の発生している国の中央政府・地方政府に対し、この点に留意しつつ、世界貿易機関(WTO)創設に併せて発効した「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」等で認められた権利を最大限行使し、強力な働きかけを行わなければならない。特に、WTO加盟国において、模倣品・海賊版等が大量に製造・流通している場合は、WTOのレビューシステムを最大限活用しつつ、侵害発生国の制度とその運用の監視に努め、併せて、WTO非加盟国に対しても二国間交渉等を通じて知的財産の保護強化を迫るべきである。
 また、海外で生産された知的財産権侵害製品を水際で効果的に阻止するため、その国境措置の在り方について、遅くとも2004年度までに、法制面及び運用面の改善策等を講ずる必要がある。
 さらに、世界知的所有権機関(WIPO)における知的財産権のエンフォースメントに関する議論に積極的に参画し、国際的な模倣品・海賊版等への対策の強化に努める。また、海外における我が国企業の営業秘密の保護にも強力に取り組んでいく。
 このような取組に当たっては、各国にある日本大使館・総領事館、日本貿易振興会(JETRO)等の政府関係機関も積極的に活用して、毅然たる態度で二国間交渉、多国間協議に当たり、我が国の産業界、そして国民の利益を守らねばならない。
 また、地球規模での競争の激化や情報伝達技術の発展に伴い、知的財産の国際的保護水準の適正化や制度間の調和が求められていることから、二国間・多国間の枠組みを通じた新たな国際ルールづくりや、開発途上国の制度整備支援等の取組を推進すべきである。
3.活用戦略

 (1)大学・公的研究機関等における知的財産の活用の推進

 大学・公的研究機関等は、企業の研究開発では生まれにくい創造的な発明を生み出し、それらを社会へ還元する役割を担うべきであるが、この機能を十分果たしていない。知的財産立国の実現のためには、この機能を十分に果たすことができるような仕組みを整備することが欠かせない。優秀なベンチャー企業の育成という観点からも、大学・公的研究機関等がその発信基地として果たすべき役割は大きい。
 近年、我が国の大学の特許出願件数、取得件数は大幅に増加しているものの、大学技術のライセンス数は、日本は米国の約百分の一、大学の特許の取得件数では約二十分の一にとどまっており[1]、我が国の大学の知的財産に対する取組を大幅に改善しなければならない。このため、大学が優れた発明等を生み出し、その知的財産を基に活力あるベンチャービジネスが生まれ、先端技術を活かした競争力の高い新産業を生み出すという流れができるよう、TLOとも連携しつつ、全国数十か所の主要な国公私立大学において「知的財産本部」の整備を2003年度までに開始し、知的財産の取得・活用体制を強化する等、大学が自ら改革に取り組むとともに、大学を取り巻く環境を果敢に変えていかなければならない。また、知的財産の活用や円滑な流通を図るため、様々な制度を速やかに見直すなど、所要の措置の検討が不可欠である。

 (2)知的財産の評価と活用

 今日、企業の価値評価の対象は、バランスシート等の財務諸表には載らない「見えない資産」に移りつつあるが、特に、知的財産の比重は少なくないと考えられる。しかしながら、経営者の中には、訴訟等の紛争が発生しない限り、特許や著作物等の知的財産に十分な関心を持たない者が少なくないといわれている。このような知的財産軽視の意識を変革することが極めて重要である。特に、創造された知的財産を製品・サービスとして事業化し、社会での有効な活用を進めるためには、事業の担い手である中小・ベンチャー企業や個人による知的財産の活用を支援することが必要である。このため、大企業等が自社で活用していない特許等を積極的に広く開放し、中小企業等による活用を促すことは経済・社会全体にとって極めて有益であり、このような知的財産流通のための環境整備を進める必要がある。
 さらに、金融機関も、土地や設備というバランスシートに記載された、目に見える資産のみで企業の価値を評価するのではなく、知的財産を担保にした資金供給にも積極的に取り組むべきであり、これを推進するため、知的財産の適切な評価手法の確立を急がなければならない。不動産等の固定資産を十分に持たないベンチャー企業にとっては、技術とそれを生み出す人材こそが唯一の資産である。知的財産に関連する事業活動が十分に開示され、その企業の有する潜在的な価値が金融機関等により的確に評価されなければ、発展の可能性を秘めた企業に十分な資金が供給されず、結果としてその技術が社会的に活用されないおそれがある。
 また、我が国においては、創作時・利用時における契約システムが十分に機能していない面があるため、著作物の円滑な流通に支障が生じている場合が多い。現在活用されていない個人のものも含め、著作物の円滑な流通を促進し、積極的にそれが活用されるよう、契約システムや権利者の意思表示システムの構築を図るべきである。

4.人的基盤の充実

 あらゆる制度を支えるのは人である。知的財産立国の実現には、知的財産創造の担い手を育成することに加え、その権利化や紛争処理、知的財産ライセンス契約等の高度な専門サービスを提供する専門家の養成が急務である。米国における司法判断が先進的な事例についての国際的なモデルとなることも多いが、それは、米国が世界最大の市場であることに加え、高度な専門的知見を持つ法曹等が多数存在することにも大きく起因している。それに対して我が国の弁護士・弁理士は、その数においても、質においても著しく遅れをとっており、大幅に強化する必要がある。
 現在、2004年4月からの学生受入れ開始を目指している法科大学院に関する制度設計が急ピッチで行われているが、知的財産立国を支える専門家育成のため、法科大学院における知的財産法教育の充実に向けて、知的財産分野に重点を置いた法科大学院の誕生が期待される。知的財産に強い法曹を養成するためには、知的財産法をはじめとする、ビジネスに関連する各種の法分野における教育の強化を図る必要がある。そのため、これらを重視した特色ある法科大学院の出現を促すという観点から、法科大学院が独自の創意工夫により独自性・多様性を発揮できるような制度設計とすること、知的財産法をはじめとするビジネスに関連する法分野を新司法試験の選択科目とすることなど、専門人材を養成する環境を整備することが求められる。このような環境が整備されれば、おのずと知的財産に強い法曹が出現するであろう。
 また、大学・公的研究機関等で創造された知的財産を事業として結実させるためには、専門技術についての知識を持ちながら、それに加えて、技術の研究開発から事業化までを見通して管理する知識・能力をも有する人材が必要である。しかしながら、我が国においてはそうした人材が必ずしも多くないことを踏まえ、米国におけるマネージメント・オブ・テクノロジー(MOT)のような技術経営プロフェッショナルコースの創設や、技術系学生への経営や法律に関する教育の充実を通じて人材養成を行うとともに、TLO等の体制を整備し、その活動の場を広げるよう努めなければならない。

5.実施体制の確立

 知的財産戦略会議が内閣総理大臣の下で開催されているのは、知的財産立国の形成に関する施策が多くの行政機関等に関係していることにかんがみ、重点的な施策を迅速かつ統一的に推進する必要があるためである。本会議において知的財産戦略大綱を取りまとめた後も、その着実かつ円滑な実施を図るための体制を整備することが不可欠である。このため、遅くとも2003年通常国会までに、知的創造サイクルの活性化という理念を国家目標とするとともに、関係府省の協力の下に知的財産戦略大綱を強力かつ着実に実施する機能と責任を有する「知的財産戦略本部(仮称)」を設置すること等を定める「知的財産基本法(仮称)」について、必要な検討を行った上で提出すべきである。




 2005年度までを目途に、知的財産の創造・保護・活用及びそれを支える人的基盤の充実について、以下の課題に集中的・計画的に取り組む。なお、今後、改革を進める過程で、取り組むべき課題の追加や充実等があり得る。

1.知的財産の創造の推進

 大学・公的研究機関及び企業等の研究開発からの知的財産の創出の拡充を図ることは「知的財産立国」を実現する上で極めて重要である。そのため、科学技術基本計画を踏まえつつ、基幹技術につながる特許を生み出すような創造的な研究開発を推進するとともに、研究人材の流動性や多様性の向上、研究施設の整備をはじめとする創造的な研究開発を支える環境の整備を図るなど、研究開発全般の推進が重要である。

 (1)大学等における知的財産創造の推進

@ 知的財産の創造を重視した研究開発の推進

ア) 大学等における知的財産の創造を重視した研究開発の推進

  1.  大学・公的研究機関等において、企業の参加を得て戦略的、集中的に知的財産を創造、活用するため、基礎的研究段階からその研究成果の応用、技術移転に至るまで一貫して実施する研究開発制度を2003年度までに構築する。
  2.  知的財産の基礎となる研究成果や経済を支える革新的技術などのブレイクスルーをもたらす基礎研究については、経済・社会の持続的発展を図るため、中長期的視点に立って引き続き推進するとともに、2002年度以降、科学研究費補助金等の競争的資金の拡充等を図る。
  3.  2003年度までに研究情報を体系的に収集する体制や大学、学協会等からの研究情報発信機能を強化し、研究情報の国際的な流通を促進する仕組みを整備することにより、研究開発成果や研究論文の流通を促進する。
  4.  研究内容や成果を社会に対して説明することは大学・公的研究機関等の基本的責務であるとともに、これら機関で研究する個々の研究者の基本的責務でもあると位置付け、2002年度以降、研究機関の一般公開、公開講座、インターネットや学協会等を通じての情報の受発信等の機会を増やし、国民と研究者等との双方向のコミュニケーションの充実を図る。
(以上 総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)

イ) 研究開発における特許情報の活用

 研究開発の実施段階においても、研究開発を効率的に推進するため、2003年度以降、論文等を検索するシステムを特許検索システムにリンクすることにより、特許情報とそれに関連した技術情報を研究者が容易に検索できる環境を整備するとともに、特許電子図書館、民間特許情報オンラインサービスの検索ツールの利用、文献データベースサービス等のより一層有効な活用を推進する。また、総合科学技術会議及び科学技術政策関係官庁は、2002年度から、政策立案や評価に国内外の特許情報を戦略的に活用することとし、重点的な研究課題の選定に当たっても、特許情報から見た研究成果の産業化の可能性を十分考慮する。このため、総合科学技術会議等は、知的財産情報に関する調査・分析等の活用に関し、特許庁との連携体制を強化する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

A 研究開発評価における知的財産の活用

ア) 評価指針の策定、適用

 特許等の活用状況を評価項目の一つの例として取り上げた「国の研究開発評価に関する大綱的指針」を踏まえ、2002年度中に各省において研究評価指針を策定することとし、研究者等の業績評価を含め、評価を推進する上で特許取得の状況等の知的財産に係る項目をも評価指標として活用するよう努める。当該研究評価指針については、大学・公的研究機関等に早期の適用又は準用を図る。なお、研究によっては、必ずしもその成果の権利化を優先させず、社会全体で享受する方が科学技術の進歩に資する場合があることにも配慮する。(総合科学技術会議、関係府省)

イ) 公募型研究費の申請項目への追加

 科学研究費補助金その他の公募型研究費について、各制度の目的や役割に応じて2002年度に可能なものから順次、各種公募制度の様式に申請者の特許取得内容を記入する欄を設ける等により、研究課題の採択において、知的財産の創造を論文発表とともに評価の参考とする。(総合科学技術会議、関係府省)

B 研究者へのインセンティブの付与

 2002年度中に発明補償金の上限撤廃及び増額を柱とする国立大学(大学共同利用機関を含む。以下同じ。)共通の規程を制定するとともに、法人化後の国立大学や研究開発型独立行政法人においては、各法人毎に規程を整備する際に、発明者個人への適切な発明補償金の支払について規定する。また、知的財産の創造活動に係る業績に応じて優先的に研究費配分を行うなど、多様なインセンティブを設ける。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

C 知的財産権の取得に要する費用の確保

ア) 特許出願・維持等に係る経費の確保

 大学・公的研究機関やTLO等における知的財産の権利化を促進するため、今後(国立大学については法人化にあわせ)、特許出願の明細書作成・弁理士費用、海外出願・国際(PCT)出願の費用、特許維持費用等について、2003年度以降、必要十分な経費の確保に努める。
 また、国立大学の法人化前であっても、TLOを通じた個人帰属の特許活用を推進することとし、海外出願・国際(PCT)出願の費用確保に努める。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

イ) 大学等に対する特許関連費用の取扱い

 独立行政法人化する研究開発型特殊法人や法人化後の国立大学に係る適切な特許関連費用の在り方について、既存の独立行政法人に係る特許関連費用の取扱いも含めて検討を進め、2002年度中に結論を得る。(経済産業省、関係府省)

D 知的財産権の取得・管理のための人材や体制の整備

ア) 知的財産管理機能の強化

 研究開発の実施段階から知的財産の発掘・権利化を行うため、2002年度から順次、大学・公的研究機関等における弁理士や民間の専門家の活用を推進するとともに、産学官連携組織の機能の強化を図る。また、他大学に先立ち、全国数十程度の主要な国公私立大学において、TLOとも連携しつつ、企業経験者等民間の人材を活用して、知的財産の創造と活用を総合的に支援する「知的財産本部」の整備等を2003年度までに開始する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

イ) 研究者及び事務職員の知的財産に対する理解の向上

 大学・公的研究機関等における研究者の知的財産に対する理解と意識の向上を図り、また、事務職員等の知的財産管理能力を高めるため、2002年度以降、大学等に専門家を派遣するとともに、知的財産に関する各種セミナー等を開催する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

E 研究開発成果の取扱ルールの明確化

ア) 研究現場における共同発明者の明確化

 2003年度中に、大学の発明委員会において、学生を含め共同研究者を明確にする旨を各大学の発明規程に明記するよう、周知徹底を図る。併せて、出願時において、各発明者の寄与度を明確化しておくよう奨励する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

イ) 研究開発成果物等の適切な管理

 2002年度中に大学・公的研究機関やTLO等におけるリサーチツールやリサーチマテリアルを含む研究開発成果物等の取扱いに関して、その帰属や研究開発の場での広い利用の促進、産業利用等に関するルールを明確化し、周知徹底を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)

F 知的財産権の取得に係る手続の支援

 戦略的な特許出願・権利取得支援を図るため、大学・TLO等における知的財産管理機能の強化を推進するとともに、論文を活用した出願の支援を図るため、2002年度中には、特許庁作成のパソコン出願ソフトを大学・TLO等に普及させる。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

G 研究施設の改善等の環境整備

 2002年度以降、創造的な研究開発成果を生み出す環境整備を図るため、老朽化、狭隘化の進んだ大学等の重点的な施設・設備の改善を進めるとともに、地域に密着した教育の充実や地域のニーズに応じた人材の育成、産学官連携、新事業創出のための研究開発活動の促進のため、地方公共団体等と法人化後の国立大学や研究開発関連独立行政法人との連携強化を図る。その際、地方公共団体等との関係や必要となる規制緩和、企業から大学への寄附等に関する税制措置を含む環境整備について検討を進める。(総合科学技術会議、文部科学省、総務省、財務省、関係府省)

(2)企業等における知的財産創造の促進

@ 職務発明制度の再検討

ア) 職務発明規定の見直し

 2002年度中に、企業における実態、従業者層の意識、各国の制度・実態等の調査を行う。その結果を踏まえて、発明者の研究開発へのインセンティブの確保、企業の特許管理コストやリスクの軽減、及び我が国の産業競争力の強化等の観点から、社会環境の変化を踏まえつつ、改正の是非及び改正する場合にはその方向性について検討を行い、2003年度中に結論を得る。(経済産業省)

イ) 発明者の定義の明確化

 大学・公的研究機関等、企業又はそれらの共同研究による研究開発の現場において、多数の研究者が関与することに起因する発明者の決定の困難さを解決するため、2002年度以降、国内の判例、諸外国の判例、諸外国の指針の有無等を調査し、その成果をとりまとめ、判断基準の明確化を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

A 日本版バイ・ドール制度の拡充

ア) 日本版バイ・ドール制度の利用の徹底

 国・特殊法人等の委託による研究開発の成果たる知的財産権を受託者に帰属させることができる産業活力再生特別措置法第30条(いわゆる日本版バイ・ドール制度)を、特別な事情のあるものを除き、全ての委託研究開発予算について、2002年度中に適用する。(総合科学技術会議、経済産業省、関係府省)

イ) 日本版バイ・ドール制度の適用の拡大

 米国バイ・ドール制度が産学官連携の促進等に大きな役割を果たしたことにかんがみ、日本版バイ・ドール制度が我が国においても更に大きな効果を発揮できるよう、以下の措置を講ずる。

  1.  国立大学の法人化後においては、日本版バイ・ドール制度の適用により、大学への知的財産権の帰属を促進し、大学における特許の一元管理と活用の促進を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  2.  政府向けソフトウエアの請負開発などのソフトウエアの開発事業について、その成果物に伴う知的財産権の帰属について、民間等における契約慣行を踏まえつつ検討し、2002年度中に必要な結論を得る。(総合科学技術会議、経済産業省)
  3.  米国バイ・ドール制度では、海外で生産する第三者に独占的なライセンスを与える場合に、行政機関による審査等が行われていることにかんがみ、日本版バイ・ドール制度の適用に当たっても、これと同等な効果が得られるよう、2002年度以降、海外で生産する第三者に独占的なライセンスを与える場合に、必要に応じて行政機関が審査できる仕組みを導入する。(総合科学技術会議、経済産業省、関係府省)

B 知的財産情報調査のための基盤整備

 特許情報調査に関する国民の多種多様なニーズに応えるとともに、高付加価値なサービスが提供されるよう、2002年度以降、特許庁は、民間特許情報提供業者に対し、特許庁の保有するデータについて、順次、より利用しやすい形で提供する。また、特許庁は、特許電子図書館について、その機器の更新にあわせて、一般公衆の標準的な利用を基本として、アクセスの改善を図る。
 加えて、特許庁は、科学技術基本計画における重点4分野を含む8分野について、2002年度中に、米国・欧州における登録件数の公表を含め、より充実した特許出願状況(公開件数・登録件数)の公表を開始する。(経済産業省)

C 優れたコンテンツ創出等への支援

ア) メディア芸術の振興

 我が国の誇る総合芸術として、映画をはじめアニメーションやコンピュータ・グラフィックス等のメディア芸術の一層の振興を図るため、2002年度に、映画製作に対する重点的な支援の拡充、人材養成の推進、映像フィルムのデジタルアーカイブ化の早期実現と利活用等について検討を行い、同年度中に結論を得る。(文部科学省)

イ) コンテンツ・クリエイターの育成

 2002年度において、コンテンツ制作基盤ツールの開発、コンテンツ制作に対する支援、産学協力等を通じたクリエイターの育成等の施策を総合的に推進する。(総合科学技術会議、経済産業省)

 ウ) 戦略分野のコンテンツ創出の推進

  1.  官民の協力により、2002年度以降、放送コンテンツや教育用コンテンツなどのブロードバンドコンテンツの制作・流通を促進するための実証実験を実施し、コンテンツの安全・確実な流通環境整備を促進することにより、ネットワーク時代に対応したコンテンツの創出を支援する。(総務省、文部科学省、経済産業省)
  2.  放送番組をはじめとする優れたコンテンツ創出を推進するため、2002年度以降、コンテンツ制作人材育成に対する支援を行う。(総務省)

D 優れたデザイン、ブランドの創造支援

 魅力あるデザインの創造やブランドの構築を促進するため、特許庁の保有するデザイン、ブランド関連情報の活用を促進するための方策について検討し、2003年度末までに成案を得る。(経済産業省)

 (3)創造性を育む教育・研究人材の充実

@ 研究人材の養成及び流動性、多様性の向上

  1.  国立大学の法人化にあわせ、教官人事の流動性、多様性を高めるため、任期制や公募制の積極的導入や他大学・民間出身者や外国人研究者、女性研究者等の採用目標や採用に当たっての配慮など具体的工夫等を大学の主体的な判断により中期計画の中で明確化する。(総合科学技術会議、文部科学省)
  2.  総合科学技術会議が策定した「研究者の流動性向上に関する基本的指針」を踏まえ、2002年度以降、各大学・公的研究機関等において、それぞれの主体的な判断を尊重しつつ、任期制及び公募制の適用方針に係る計画を策定する。(総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)
  3.  我が国全体の研究人材の流動化を促進するとの観点から、民間において、博士課程修了者やポストドクター経験者等の若手研究者の採用が行われるよう、実務・実践能力の修得等のための支援を引き続き行う。(総合科学技術会議、経済産業省)
  4.  幅広い知識をバックグラウンドとした高い専門性を有し、大学・公的研究機関等のみならず、企業においても活躍する研究人材の育成方策について幅広く検討し、2003年度の早い段階に取りまとめ、その実現を図る。(総合科学技術会議、文部科学省)

A 知的財産教育の推進

ア) 児童・生徒に対する知的財産教育の推進

 2002年度以降、知的財産意識の啓発、創造性の重要性に関する教材、副読本の提供など、初等・中等教育における知的財産に関する教育の推進を図るとともに、教職員に対する知的財産制度のセミナーの実施等により、知的財産に関する教育手法の研究等、教育者の知的財産制度に関する知識向上を図る。(文部科学省、経済産業省)

イ) 大学生一般に対する知的財産教育の推進

 2002年度以降、大学の講義等で利用できる知的財産制度に関する基礎的な知識を修得できる教材の提供、講師等の人材派遣の実施等により、一般学生向けの知的財産の講義の開設を促進するとともに、学生が知的財産制度に関する知識を得られるよう、大学における知的財産制度に関するセミナーの内容の充実を図る。(文部科学省、経済産業省)

2.知的財産の保護の強化

 (1)特許審査・審判の迅速化等

@ 特許審査の迅速化等

  1.  2002年度中に、審査請求期間の短縮に伴う審査請求件数の急増が予想される2005年度までの計画を策定する。2002年度以降、その実施等を通じて、審査の質を維持しつつ審査期間の長期化を防ぎ、短縮化に向けた取組を推進する。その際、より一層の効率化を図りつつ、必要な審査官の確保、先行技術調査の外部発注や専門性を備えた審査補助職員の積極的な活用等による審査体制の整備、加えて、企業啓発等による我が国の出願・審査請求構造の改革等の総合的な施策を講ずる。
  2.  2006年度以降、世界最高レベルの迅速・的確な審査が行われることを目指し、更なる効率化を図りつつ、審査体制の整備に努める。
  3.  2002年度中に早期審査に関する制度改正の周知徹底を図りつつ、ベンチャー、中小企業、大学、さらに外国関連出願、実施関連出願についての早期審査請求の増大に対処しうる体制を整備する。
  4.  特許等の出願手続や各種手続書類等の閲覧について、電子政府を推進する施策の一環として、2004年度末までに、インターネットでも可能とする。
(以上 経済産業省)

A 審判制度等の改革

  1.  審判制度を簡素化・合理化するとともに機能の充実を図るため、異議申立制度と無効審判制度の関係、訂正審判制度の在り方、審判と審決取消訴訟との関係等について検討し、2003年の通常国会に、所要の法案を提出する。(法務省、経済産業省)
  2.  侵害訴訟における無効の判断と無効審判の関係等に関し、紛争の一回的解決を目指す方策も含め、紛争の合理的な解決を図るために、裁判手続の在り方を含め幅広い観点からの検討を行い、2004年末までに結論を得る。(司法制度改革推進本部、法務省、経済産業省)

B 植物新品種審査期間の短縮

 出願者の利便性向上を図るため、品種登録事務手続の電子化システムの整備等により、2003年度中にインターネットによる出願手続を可能とする。
 併せて、栽培試験実施機関の体制整備等により新品種の育種動向に対応した審査の高度化を図りつつ、2005年度までに平均審査期間を3年に短縮する。(農林水産省)

 (2)実質的な「特許裁判所」機能の創出

@ 管轄の集中化

  1.  東京・大阪両地方裁判所の専門部を実質的に「特許裁判所」として機能させるため、特許権、実用新案権等に関する訴訟事件について、東京・大阪両地方裁判所への専属管轄化を図ることとし、2003年通常国会を目途として所要の法案を提出する。(司法制度改革推進本部、法務省)
  2.  知的財産関連訴訟への総合的な対応強化の観点から、2004年末までに、特許権、実用新案権等に関する訴訟事件についての高等裁判所の管轄を東京高等裁判所に集中させることも含め、高等裁判所の専門的処理体制の強化の方策について検討し、所要の措置を講ずる。(司法制度改革推進本部、法務省)

A 専門家参加の拡大などの裁判所の人的基盤拡充

 知的財産関連訴訟における機能の充実・強化を図るため、裁判官以外の専門家が裁判に関与して裁判官をサポートする訴訟手続への新たな参加制度の具体的導入方策について、知的財産関連訴訟の特徴を踏まえつつ、裁判所調査官の役割の拡大・明確化等を含め、2004年末までに結論を得る。(司法制度改革推進本部、法務省、経済産業省)

B 証拠収集手続の拡充

 知的財産関連訴訟における侵害行為の立証の容易化を図るために、2005年度までに、知的財産関連訴訟の特性を踏まえた証拠収集手続の更なる機能強化について、証拠に関する憲法上の裁判公開原則の下での営業秘密の保護を含め、総合的な観点から検討を行い、所要の措置を講ずる。(司法制度改革推進本部、法務省、経済産業省)

C 裁判外紛争処理の充実等

 知的財産に係る紛争処理手段の選択肢を幅広く提供する観点から、裁判外紛争処理(ADR)機関の機能強化・活性化等につき、2005年度までに日本弁護士連合会、日本弁理士会等の関係者間で検討を行い、所要の措置を講ずるように要請する。(法務省、経済産業省)

 (3)損害賠償制度の強化

 知的財産権の保護を強化し、「侵害し得」の社会からの脱却を目指す観点から、望ましい損害の認定制度の在り方について、2005年度までに検討を行い、結論を得る。(法務省、文部科学省、経済産業省)

 (4)模倣品・海賊版等への対策の強化

@ 二国間・多国間交渉を通じた取組

 特許権、意匠権及び商標権を侵害する模倣品、著作権を侵害する海賊版等について、侵害される知的財産権の特徴に留意しつつ、

  1.  我が国産業及び国民の利益を守るべく、2002年度以降、侵害国の中央政府・地方政府に対して、二国間交渉・多国間交渉を通じた働きかけを強化する。
  2.  「国際知的財産保護フォーラム」と連携をとりつつ、海外における知的財産権保護の強化に取り組む。加えて、2002年度中に、著作権関係団体、コンテンツ産業等が侵害実態の監視や訴訟等への対応を目的として設立する民間組織である「コンテンツ海外流通促進機構(仮称)」と連携・協力する体制を構築し、海外における海賊版対策を強力に展開する。
  3.  WTO加盟国に対しては、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)の法令レビュー、貿易政策検討制度(TPRM)といったWTOのレビューシステムも活用し、制度・運用の監視に努める。
  4.  世界知的所有権機関(WIPO)において行われている工業所有権及び著作権等のエンフォースメントに関する合同諮問委員会の議論に積極的に参画し、模倣品・海賊版等への対策の国際的強化に努める。
  5.  これらの模倣品・海賊版等への対策に当たっては、各国にある日本大使館・総領事館、日本貿易振興会等も積極的に活用して、毅然として二国間交渉、多国間交渉に当たる。また、これらの対策を、より実効性のあるものとするため、侵害国政府の自助努力を支援するための人材育成協力等を実施する。
  6.  これらの対策の実施状況について、2002年度末までに、各侵害国における制度・運用の改善状況を勘案しつつ、フォローアップを行う。
(以上 警察庁、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

A 育成者権侵害品対策

 種苗法による育成者権についてその侵害の判断を容易にするため、2002年度以降、迅速・簡便なDNA品種識別技術の確立等の支援体制を整備する。(農林水産省)

B 知的財産権侵害に対する国境措置の改善

 知的財産権侵害品を水際で効果的に阻止するため、税関においては、特許庁等の関係省庁と協力しつつ、早急に取締体制の強化を図る。また、2003年度末までに、米国ITC(米国国際貿易委員会)の制度等も参考にしつつ、知的財産権に係る侵害品の国境措置の在り方について育成者権侵害品を対象に加えること及び特許権、意匠権等の侵害品に対する措置の強化を含め、関係省庁間で検討を行い、法制面及び運用面での改善策について具体案を策定し、遅くとも2004年度までに所要の措置を講ずる。(警察庁、法務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

C 国内における模倣品・海賊版等の取締りの強化

 国内において製造、流通、販売されている模倣品・海賊版等の知的財産権侵害事件に対処するため、2002年度以降、外国取締機関との協力関係の構築に向けた積極的な働きかけ、権利者と取締機関との効果的な連携強化、組織的な違法行為に対する対策強化等を通じ、近年多発している組織的密売事案への対応等所要の対策を強化する。(警察庁)

D 国民への啓発の強化

 国民の模倣品等に対する意識の向上を図るため、2002年度以降、模倣品に関する消費者向けパンフレットの配布やホームページ上での模倣品画像の掲載など、啓発のための取組を強化する。(警察庁、経済産業省)

 (5)国際的な知的財産制度の調和と協力の促進
@ 世界特許システムの構築等に向けた取組の強化

  1.  各国の制度が独立している現状において、世界的に権利を取得するためには、同一の内容の出願を世界各国にする必要があるため、ユーザーの手続・費用上の負担が莫大なものとなっており、また、内容上重複する出願を各国特許庁で審査するため業務負担が急増し、出願人の権利取得までの期間が長期化している。出願の早期権利化とともに各国特許庁の業務負担の軽減を図るため、先行技術調査結果・審査結果の相互利用を含む各国特許庁の協力を推進する。特に、日米特許庁間において、2002年中に先行技術調査結果・審査結果の相互利用に関する検討プロジェクトを立ち上げ、遅くとも2003年末までに、2004年以降の将来計画を決定する。(経済産業省)
  2.  また、ユーザーの利便性が高い世界特許システムの構築に向けて、2002年度以降、各国の特許法及び運用の調和を推進する。特に、世界知的所有権機関(WIPO)における特許協力条約の改革に関する検討について、議論を主体的にリードし、制度の効率化及びユーザーの利便性の向上を図るとともに、世界知的所有権機関(WIPO)における実体特許法条約に関する議論に精力的に取組み、特許制度の国際的調和を図る。(外務省、経済産業省)

A アジアの制度整備及び施行体制づくり支援

 2002年度以降、我が国の特許等の審査関連情報をアジア各国の特許庁に提供する「アジア工業所有権情報ネットワーク」の構築を推進する。さらに、アジアの開発途上国に対し、知的財産法制度の運用に係る体制整備や知的財産保護の重要性に関する啓蒙、模倣品対策に有効な意匠権、商標権の取得をASEAN等のアジア地域等において迅速かつ円滑に行う環境整備のため、2002年度以降、二国間・多国間交渉や、JICAスキーム、WIPOジャパン・トラスト・ファンド、植物新品種保護国際同盟(UPOV)ジャパン・トラスト・ファンド等の各種枠組みを用いた専門家派遣、セミナーの開催、研修生受入れ等の人材育成協力、教材開発協力、情報化協力等を実施する。(外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

B 自由貿易協定(FTA)、TRIPS協定、ヘーグ条約等への戦略的対応

  1.  知的財産権の国際的保護水準を維持すべく、2002年度以降、WTOを中心とした自由貿易体制の下で、二国間・地域的取組を戦略的に展開し、アジア地域等の途上国がTRIPS協定の義務を確実に履行するように強力に働きかける。(外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)
  2.  2002年度以降、生物多様性条約との整合を図りながら、バイオ技術の進歩に伴う知的財産権の新たな進展に対応する。(外務省、文部科学省、経済産業省)
  3.  2002年度以降、引き続きヘーグ条約等知的財産権に関する国際裁判管轄等の問題を取り扱う可能性のある条約に関する議論に戦略的に取り組む。(法務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

C デジタル化・ネットワーク化に対応した新たな国際著作権ルールの策定

  1.  2002年度以降も引き続き、インターネット上でのデジタル化された著作物等の無断複製や送信行為を防ぐための権利や義務を定めるため、現在、世界知的所有権機関(WIPO)で検討が進められている、視聴覚的実演や放送機関に関する新条約の議論を推進するために積極的な役割を果たす。(総務省、外務省、文部科学省)
  2.  2002年度以降、アジア諸国を中心に、既に効力発している「著作権に関する世界知的所有権機関条約」や「実演・レコードに関する世界知的所有権機関条約」をはじめとするWIPO新条約への加入を働きかける。(外務省、文部科学省)
 (6)営業秘密の保護強化

 企業が営業秘密に関する管理強化のための戦略的なプログラムを策定できるよう、参考となるべき指針を2002年度中に作成する。併せて、不正競争防止法改正による民事・刑事両面にわたる営業秘密の保護強化について、人材流動化に対する抑止効果等、それらに伴って生じうる問題点に配慮しながら、2003年の通常国会に改正法案を提出する。なお、この際、大学の研究者の自由についても配慮する。(経済産業省)

 (7)新分野等における知的財産の保護

@ 有用な新創作物の積極的な保護

 研究開発の進展に伴い新たに生まれる有用な新創作物について、特許権等知的財産権により適切に保護するため、2002年度から、大学・公的研究機関や産業界と特許庁が情報を共有できるよう、両者の緊密な連携体制を構築する。(総合科学技術会議、経済産業省、関係府省)

A ポストゲノム研究成果の適切な保護

 ポストゲノム研究の成果を特許権として適切に保護するため、タンパク質の立体構造関連発明について、2002年度中に審査事例集の作成・公表を行い、審査基準の明確化を図る。(総合科学技術会議、経済産業省)

B 再生医療、遺伝子治療関連技術の特許法における取扱いの明確化

 近年進展の著しい再生医療及び遺伝子治療関連技術においては、皮膚の培養方法、細胞の処理方法等の新技術が生まれている。そのような技術開発の発明を更に促進するため、特許法における取扱いを明確化すべく、2002年度中に法改正及び審査基準改訂の必要性について検討し、結論を得る。なお、本検討に当たっては、医師による医行為[2]等に影響を及ぼさないよう、十分配慮する。(総合科学技術会議、厚生労働省、経済産業省)

C ネットワーク上での著作権の保護強化

 国際的にも条約の検討が進められている、放送事業者の権利の拡充(既に放送された番組の二次利用に係る権利の拡充)や、実演家の権利の拡充(動画コンテンツに録画された俳優の演技等に係る権利の拡充)など、ネットワーク上での著作権の保護強化について検討を行い、遅くとも条約採択後に所要の措置をとる。(文部科学省)

3.知的財産の活用の促進

 (1)大学等からの技術移転の促進

@ 大学等による機関一元管理の導入

 法人化後の国立大学を含む公的研究機関等において、特許をはじめとする研究開発成果について効率的な活用が図られるよう、2004年度までに、TLOと密接に連携しつつ、TLOの経験やノウハウを活かした機関一元管理を原則とした体制を整備する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

A 大学等における技術移転機能の強化

ア) TLO等の活動の強化

  1.  2002年度以降、民間の知的財産等に関する専門家や企業経験者等を大学やTLOへ派遣し、大学の研究成果の技術移転を促進することを通じ、産学連携の強化を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  2.  また、2002年度以降、TLOの行う業務について、大学やTLOのそれぞれの実情に応じ、技術ライセンスからインキュベーションまでを包括した技術マネージメント業務に拡大するなど、TLOの事業の充実を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  3.  さらに、TLOの承認計画に係る事業の実施を引き続き支援する。(文部科学省、経済産業省)
  4.  2003年度から開始する大学におけるTLOとの連携等による「知的財産本部」の整備、ベンチャー創出支援などにより、リエゾン活動、インキュベーション活動、ライセンス活動の充実を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  5.  研究開発関連法人等の公的研究機関等においても、各機関からの技術移転の促進のため、技術情報の収集・提供等の技術移転機能を充実させる。さらに、各機関の特色に応じ、TLOの設置を促進する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)

イ) 産業界ニーズと大学シーズのマッチング機能の強化

 大学やTLOの技術シーズと産業界ニーズのマッチングを強化させるための研究開発事業や情報提供事業を推進する。また、大学・公的研究機関等において、企業ニーズや社会ニーズに迅速かつ的確に対応した研究テーマの設定や評価、共同研究の推進等を行うことができるよう、2002年度以降、民間からのコーディネート人材の登用を含め、産学官連携のためのコーディネート機能を強化する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

B 技術移転等に係る契約ルールの整備

ア) 受託研究、共同研究等に係る契約ルールの整備

 各大学等は文部科学省の契約モデル例を参考に、2002年度中にそれぞれの受託研究・共同研究取扱規程等を見直し、民間から国立大学への委託研究の成果の取扱いを含め、産学官共同研究等のための柔軟な契約が行い得るようにする。また、公的研究機関等においても同様の措置を行う。(総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)

イ) 利益相反に関するルールの明確化

 大学・公的研究機関等の研究者が、兼業等により産学連携活動に関わる際に発生する、研究者としての公的な責務と私的な利益との衝突、いわゆる「利益相反」に関するルール整備の考え方を、2002年度中に明確化するとともに、今後、各大学等が「利益相反」ルールを整備するよう奨励する。(総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)

C 技術移転促進に係るインセンティブの付与

 法人化後の国立大学を含む公的研究機関等において、知的財産の普及、活用に係るインセンティブが付与できる仕組みとなるよう、特許権等の実施料収入の機関への適切な配分について検討するとともに、機関の特性を踏まえて、特許権等の取得・活用状況を評価し、その結果を適切に反映した重点的な資源配分の方法について検討する。(総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)

 (2)企業における戦略的な知的財産の活用

@ 経営者の意識向上と戦略的な特許取得の活用

ア) 知的財産の経営戦略化

 企業自らが、知的財産を自社の競争力の源泉として経営戦略の中に位置づけ、それを事業活動に組み入れることにより、収益性と企業価値の最大化を図るとともに、それに併せた知的財産のグローバルな戦略的取得・管理を行うための戦略的なプログラムを策定できるよう、企業の実態を踏まえつつ2002年度中に参考となるべき指針を策定する。(経済産業省)

イ) ノウハウの流出防止

 企業のノウハウをはじめとした技術の海外への「意図せざる」移転の防止を図るため、企業の技術管理・活用戦略の在り方について、企業自らが各企業内の組織整備等を含む戦略的なプログラムを策定できるよう、参考となるべき指針を2002年度中に公表する。(経済産業省)

A 知的財産の情報開示

 企業の知的財産関連活動が市場に正当に評価され、企業の収益性や価値を高めることができるよう、2003年度中に知的財産に関する情報開示の指針を策定する。また、知的財産報告書の導入等についても検討する。(経済産業省)

B デザイン、ブランドの戦略的活用

 魅力あるデザインやブランドを活用して、より価値の高い製品・サービスを提供する環境を整備するための具体的方策について、意匠制度、商標制度の在り方を含め検討し、2005年度までに結論を得る。
 また、情報化社会の急速な進展を踏まえ、ネットワーク上で利用されるデザインの保護の在り方について早急に検討を行い、2003年度までに結論を得る。(経済産業省)

 (3)知的財産の流通の促進

@ 知的財産の価値評価の確立

 市場における価値評価手法が確立されることにより知的財産の流通が促進されるよう、2002年度中に、特許流通市場の更なる整備や知的財産権担保融資制度の定着、特許等の流動化について、制度又は運用の改善を含め検討を開始し、遅くとも2005年度までに結論を得る。(金融庁、経済産業省)

A 知的財産ライセンス契約の安定強化

  1.  ライセンサーが倒産した場合に対抗要件を備えたライセンシーを保護できるよう、2003年中に破産法等の改正法案を提出する。(法務省)
  2.  ライセンス契約保護の観点から、2002年度中に、より望ましいライセンス契約の保護の在り方について検討を行う。(経済産業省)

B コンテンツの創作活動の保護と流通の促進

 当面、以下の課題について対応を図る。

  1.  コンテンツの円滑な流通の促進を図るため、2002年度以降、新技術と著作権契約システムを組み合わせたコンテンツの新しい流通システムの構築に向けた取組を支援するとともに、ネット上での著作権契約システムの研究開発(2004年度までに実施)や、コンテンツの利用可能範囲に関する権利者の意思表示システム(例えば「自由利用マーク」)の開発・普及を行う。(文部科学省)
  2.  2002年度以降、コンテンツの円滑な流通を図るため、コンテンツの取引権利情報を事業者間で電子的に交換可能とする仕組みの開発(2002年度中)及びコンテンツ制作部門の強化のための環境整備を行うとともに、民間における著作権等の権利処理を迅速・簡易に行える仕組みの整備に向けた取組を奨励する。(経済産業省)
  3.  2004年度までに、放送コンテンツを権利者と利用者の間で安全・確実に取引する市場形成を図るため、権利情報等のコンテンツに関する情報(メタデータ)を相互に交換し、不正利用を防ぎつつ流通させるコンテンツの権利処理システムの開発・実証を行う。また、当該システムを利用し、コンテンツの流通等に関する多様なビジネスモデルの試行を行い、民間における権利処理ルール確立の支援を図る。(総務省)
  4.  2003年度までに、学校へのブロードバンドネットワークの普及に対応し、セキュリティの確保、認証・課金、ネットワークの配信、デジタルアーカイブからのコンテンツ利活用等の機能を提供するシステムの開発・実証等を行うことにより、教育用コンテンツの流通促進を図る。(総務省、文部科学省)

C 研究試料等の研究開発成果の流通の促進

 研究開発成果物等については、その適切な管理に加え円滑な流通体制の整備が必要である。このため、2002年度以降、生物遺伝資源等の研究開発成果物等について、広く収集・保存し、提供する体制の充実を図る。(総合科学技術会議、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省)

4.知的財産関連人材の養成と国民意識の向上

 (1)専門人材の養成

@ 法科大学院における知的財産法をはじめとするビジネス関連法分野教育の強化

  1.  2004年4月から学生受入開始を目指している法科大学院において、知的財産法をはじめとするビジネスに関連する各種法分野の科目を開設するなどして、知的財産に強い法曹の養成を行うなど、各法科大学院の創意工夫により独自性・多様性が発揮されるような設置基準等を定めることができるようにするとともに、法科大学院における知的財産法教育の充実を図ることが可能となる制度設計を行う。(司法制度改革推進本部、文部科学省)
  2.  新司法試験制度の検討に当たっては、知的財産に関する社会のニーズを満たすためにも、法曹人口の大幅な増加が図られるよう配慮するとともに、法科大学院の教育内容を十分に踏まえ、知的財産法をはじめとするビジネスに関連する各種の法分野の科目を選択科目とする方向で検討を進める。(司法制度改革推進本部、法務省)

A ビジネスに理解の深い技術系人材の供給

  1.  知的財産専門人材の育成を図るため、大学の理系学部・研究科に知的財産制度を扱うビジネス講座、知的財産制度専門講座の設置等の取組を促進し、必要に応じて講師等の人材派遣やその支援を図る。さらに、技術経営人材の育成を強化する観点から、2002年度より大学等の教育機関と産業界とが一体となった取組[3]を実施するとともに、今後、技術系学生への経営や法律に関する教育の格段の充実を図る。また、知的財産の権利化実務を含む法律・技術等全般にわたる実務に携わる高度専門職業人を組織的に養成することを目的とした、知的財産に関する「専門職大学院(仮称)」を設置できるような柔軟な制度設計について検討を行う。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  2.  知的財産権を産業界へ円滑に移転できるよう、2002年度から、特許明細書の作成、出願、権利の活用やライセンス化等の実務能力を修得できる教材を大学等に提供するとともに、大学における知的財産制度に関するセミナーを充実させ、教職員が知的財産制度に関する知識を得られる機会を拡充する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

B 弁理士等の専門人材の充実と機能強化

 弁理士の特許権等の侵害訴訟(弁護士が訴訟代理人となっている事件に限る。)における代理権について、信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、これを付与することを定めた2002年改正弁理士法の施行後、速やかに、能力担保のための研修等を開始する。
 また、知的財産の重要性の高まりに加え、先端技術や国際的取組への対応など知的財産専門サービスのニーズの多様化に応えるため、2000年改正弁理士法の実効ある遂行に引き続き努力するとともに、弁理士制度の普及・啓発を図り、規制改革による競争促進等を踏まえて更なる弁理士の活用・量的拡大を図る。(経済産業省)

 (2)国民の知的財産意識の向上

@ 用語を「知的財産権」「産業財産権」に統一

 物を対象とした所有権法とは異なり、知的財産法は情報を対象としており、所有権法とは異なった情報独自の法体系が必要となりつつある。このことが広く認識されるよう、法令・条約等において使用されている「知的所有権」という用語を可能な限り「知的財産」、「知的財産権」に統一することとする。このため、可能な限り2002年度中に必要な法令及び条約・協定の訳文の改正等を行う。また、日本語が正文の条約・協定については、今後、条約・協定の改正の機会をとらえ可能な限り改正等を行う。
 また、明治以来使用されている「工業所有権」という用語は、主として特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を指すものとして用いられているが、これらの中には、農業・鉱業・商業等の工業以外の産業に関する知的財産も含まれている。そのような権利の性質をより的確に表すためにも、「工業所有権」に替えて「産業財産」、「産業財産権」という用語を使用することとする。(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

A 啓発活動の強化

  1.  大学研究者等を対象としたセミナー、社会人一般を対象とした初心者向けセミナー、実務者向けセミナーなど、全国各地で既に実施している知的財産制度の普及・啓発事業について、2002年度以降、国民一般のニーズを踏まえた推進を図る。(経済産業省)
  2.  小中学生の発明・創意工夫への興味を高め、独創的なアイデアを尊重する意識を育てるため、2002年度以降も、広報等を通じて、先人たちの優れた発明を学び、創造することを楽しむ機会や知的財産制度への理解を深める機会を通じた知的財産意識の育成を図る。(文部科学省、経済産業省)
  3.  2002年度から、広く国民に対し、ネットワークを利用した情報提供など、様々な方法により,知的財産権に関する知識と意識の普及を図るための総合的な事業を実施する。(文部科学省、経済産業省)

B 知的財産関連調査統計の整備

 ユーザーの多様な知的財産活動に迅速かつ的確に対応した政策を展開できるよう、知的財産政策の企画立案の基礎となる知的財産関連調査統計を2002年度中に整備する。(総務省、経済産業省)

5.知的財産戦略大綱の実施

 知的財産立国の形成に関する施策の迅速かつ重点的な推進を図るため、遅くとも2003年の通常国会までに、知的財産の創造、保護、活用が活発に行われることを国家目標とし、「知的財産戦略本部(仮称)」の設置、「知的財産戦略計画(仮称)」の策定等を内容とする「知的財産基本法(仮称)」について、必要な検討を行った上で提出することとする。(内閣官房、関係府省)







[1] 日本の大学においては、現在、教員の発明に係る特許の大多数が教員個人帰属となるため、大学の特許取得件数に含まれないが、米国ではほとんどが大学に帰属する点に留意する必要がある。

[2] 医師法第17条に、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定されており、一般に、医業とは「医行為を業とすること」と解されている。
 ここで、「医行為」とは、「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」とされている(「医療法・医師法解」厚生省健康政策局総務課編)。

[3] マネージメント・オブ・テクノロジー(MOT)のような技術経営プロフェッショナルコースの充実等。