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知的財産戦略本部会合(第21回)

日時: 平成20年12月24日(水)17:45〜18:30
場所: 官邸大会議室



○野田内閣府特命担当大臣 ただいまから、知的財産戦略本部の第21回会合を開催いたします。
 本日はお忙しい中、ご参集いただき、誠にありがとうございます。
 総理は、地方出張からの帰途における飛行機の機体不良のため、到着が遅れるとの連絡を受けておりますので、時間も都合もございます。会合を始めさせていただきます。
 では、早速、議題に入らせていただきます。
 それでは、初めに「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会の報告」について、同専門調査会会長、中山本部員からご説明いただきたいと思います。
○中山本部員 それでは、デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について検討を行い、その内容を取りまとめましたのでご報告申し上げます。
 まず、1ページ目をご覧ください。
 情報通信技術の発展は、双方向型の大量の情報流通と劣化しない複製を可能とし、誰もが容易に情報にアクセスできる環境を生み出しております。本専門調査会では、3つのことを検討いたしました。@コンテンツの流通促進方策、A権利制限の一般規定、いわゆる日本版フェアユース規定の導入、Bネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化、この3点でございます。
 2ページをご覧ください。
 音楽など一部のものにつきましては、ネット上での流通が進んでいるものの、特に放送等の動画コンテンツの流通は十分に進んでおりません。本専門調査会では、流通が進まない原因の一つとして指摘されている権利処理コストを低減するための方策について検討いたしました。
 音楽、映画については、権利の集約化が図られて、権利処理についてほぼ問題がありませんけれども、放送番組につきましては、製作段階で放送の許諾しかとられていないため、2次利用の際は改めて許諾を得るということが必要になっております。また、ネット上では、ユーザーが自ら創作した、いわゆるユーザー・コンテンツが注目を集めておりまして、これらの創作・公表も促進することが重要であります。
 3ページをご覧ください。
 放送番組の2次利用に関する権利処理が煩雑であるという実態を踏まえて、契約による権利処理が円滑に進むような取組を進めることが重要と考えますけれども、その進捗状況等を踏まえ、多角的観点から適宜法的対応の検討を進めることが必要であると考えます。
 4ページをご覧ください。
 権利制限の一般規定につきまして、近年のデジタル技術や情報通信技術の発展を背景に、従来想定されていなかったコンテンツの利用形態が出現しておりまして、現行著作権法のように、権利制限の規定を個別的に列挙しているのでは、新しい技術やビジネスモデルに柔軟に対応できないという問題があります。このため、権利制限の一般規定、いわゆるフェアユース規定を導入することが適当であると考えます。
 ただし、導入に当たりましては、訴訟コストを含めた権利者の負担など懸念される事項について、十分配慮した規定ぶりとすることが必要であると考えます。
 次に、5ページをご覧ください。
 技術的制限手段の回避に対する規制について。ゲームソフトにつきましては、違法ソフトは、ゲーム機本体で起動できないようアクセスコントロールが施されているにもかかわらず、回避装置をつけると起動できてしまうために、ゲーム機本体は売れてもソフトの売上は伸びないという実態があると聞いております。このような状況を踏まえまして、現行制度の実効性の検証を行い、制度の在り方を見直し、何らかの方策を講ずることが必要であると考えます。
 次に、6ページをご覧ください。
 インターネット・サービス・プロバイダの責任の在り方について。最近の動画投稿サイトや携帯電話の「着うた」違法サイトなど新しいタイプの著作権侵害が増大しており、実効性のある侵害対策やプロバイダの責任の在り方が問題になっております。ネット上の違法行為につきましては、ネットオークションにおける模倣品・海賊版対策など、事業者と権利者の自主的な取組により成功している事例もある一方、自主的な取組に参加しない事業者もあることから、自主的な取組の進捗と併せて、制度的な対応についても検討していくことが必要であると考えております。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 どうもありがとうございました。
 次に、知的財産による競争力強化専門調査会の進捗状況について、同専門調査会会長、相澤本部員からご説明いただきたいと思います。お願いします。
○相澤本部員 それでは、資料2をお願いいたします。
 知財立国を標榜しております我が国は、2003年から毎年、推進計画を策定して、知財戦略を進めてまいりました。第2期の3年度に、今、差しかかっておりまして、政策レビューを行うことになっております。そして、その政策レビューに基づきまして、第3期の在り方を検討することになっているわけでございます。
 次をお開きいただきたいと思います。
 主な政策レビュー項目でございますが、知的財産サイクルに基づきまして、創造、保護、活用、コンテンツをいかした文化創造国家づくり、さらに人材の育成と国民意識の向上、この5項目を中心に検討を進めております。
 次のページをお開きください。
 3ページ目でございますが、主な検討の視点は、第1に、イノベーションの創出に係る国際的な競争が非常に激しくなっておりますので、その中でいかにして競争力のある知的財産を獲得・活用し、勝ち抜いていくか。
 第2に、国際的な知財制度の調和に、我が国としてどんな役割を果たしていくか。
 第3に、オープン・イノベーションが、急速に進展しております。その中における権利の安定性の確保等について。
 第4に、イノベーションの創出、それからデジタルコンテンツの振興を図るための知財制度やその環境の整備について。
 第5に、我が国の「日本ブランド」の対外発信、創造力の強化、これをどう図るべきかであります。
 次のページをお開きください。
 来年3月を目途に、この取りまとめをする予定でございます。さらに、ご報告しておきたいことは、本年11月に本専門調査会の下に金澤一郎日本学術会議会長を委員長とする先端医療特許検討委員会を設置いたしました。現在、この検討が進んでおりまして、来年5月を目途に取りまとめる予定でございます。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 どうもありがとうございました。
 続いて、コンテンツ・日本ブランド専門調査会の進捗状況について、同専門調査会、久保利英明会長からご説明いただきたいと思います。
○久保利コンテンツ・日本ブランド専門調査会会長 会長の久保利でございます。
 現在検討中の「日本ブランド戦略」についてご報告いたします。
 1ページをご覧いただきたいと思います。
 現在、金融危機に端を発して、世界の経済減速というのが懸念されておりますけれども、どの国よりも早く回復するという決意に基づいて、ソフトパワーによって明るく元気な日本のイメージを形成していくということを考えております。この1ページの中にもありますように、アニメ、マンガ、映画、あるいは食文化、さまざまなものがございます。サマーワからは、自衛隊は撤収いたしましたけれども、「キャプテン翼」こと「キャプテンマジード」は残っているわけでありまして、まさにそういう意味で、世界に日本の存在を広げていく、ここはしっかりやっていきたい、このように考えております。
 しかも、日本ブランドを断片としてではなくて、分野横断的に世界に発信する、これが大変大切なことではないかというふうに思われます。
 そういう意味で、2ページでございますけれども、創造と発信、この両方が必要でございます。すなわち、今まで日本は発信が弱いというふうに言われておりましたけれども、よく考えてみると、創造力自体が弱まっているのではないか、クリエイティブな力が弱まっているのではないか。特に、コンテンツ産業の伸び率が、2006年はマイナス0.3%、2007年はプラス0.3%という程度でございまして、世界的に見ても非常に低いと言わざるを得ないわけであります。これは、やはりつくる側と発信する側、両方セットでいかないと、なかなか「日本ブランド」は苦しいという感じでございます。
 3ページをお願いいたします。
 こういう課題を受けまして、現在検討している「日本ブランド戦略」のイメージでございます。大きく3つの要素で考えておりまして、一番下にありますのが、日本ブランド創造の土壌づくり、人づくりでございます。そしてその次が、日本ブランド創造産業の振興ということでございます。主体は民になるわけでありますけれども、官としても必要な支援を行っていただく必要があると存じます。そして、3番目が情報発信の強化ということでございまして、外に向けては映像、ネット、海外拠点の効果的な活用によって発信力を強化いたしまして、また、人的なネットワーク、これも活用したい、かように考えております。そういう意味では、継続的な発信と創造をするために、省庁間の連携はもちろん、官民連携による推進体制の整備、この3ページの一番右側に書いておりますけれども、この体制の整備が必要であるというふうに考えております。
 年明けから、戦略策定作業をさらに加速いたします。関係省庁におかれましても、ぜひ積極的にご協力いただきますようお願い申し上げます。
 私からの報告は以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、ただいまのご報告を踏まえて、今後の知的財産戦略に関して、有識者本部員の方々からご意見をお願いしたいと思います。
 まず初めに、相澤本部員からご発言をお願いします。
○相澤本部員 資料4をお開きください。
 私からは、オープン・イノベーションに即した知的財産戦略が必要であることをお話し申し上げます。
 現在、オープン・イノベーションという言葉が、いろいろなところで使われるようになってまいりました。これは、製品のサイクルが非常に短くなってきていること、あるいは一つの技術の開発に大変なコストがかかること、こういうことがさらに国際競争の激化を招いております。
 一方で、グローバル化と高度情報化の進展により、内部のリソースだけではなく、外部のリソースを利用する可能性が、大きく開かれてきました。
 そこで、今までのクローズド・イノベーションという制約を克服することによって、新たにオープン・イノベーションというようなモデルを追求することが極めて有効であろうという期待が高まってまいりました。
 既に、内外のリソースを地球規模で活用するというストラテジーに転換した企業が、かなり多くあらわれまして、情報産業だけではなく、コモディティ・ケミカルのP&G等々、たくさんの企業がこういうような形で転換してきているわけであります。いろいろな外部リソースの応用展開があるわけでありますが、基本的な特許をM&Aによって獲得する、あるいは逆のケース、それから技術移転・導入、共同研究・開発、こんなような形で、限りなく外部リソースを利用する枠を広げているわけであります。
 そこで、次のページをお開きいただきたいんですが、このオープン・イノベーションに対して、積極的に知財戦略を展開するべきだろうということであります。協働と、創造による「協創」が、一つの戦略であり、こういうことによって、国際競争力を強化していこうということであります。
 そのために、イノベーション・プラットフォームを構築する必要があります。さらに、今年、総合科学技術会議は「環境・エネルギー革新技術」を国際展開するのだと打ち出しました。これは、自らの組織だけにこだわらず、地球規模でこの技術を展開していくという戦略をとらない限りは、国際的リードをとれないわけです。
 こういうような形で、そこに幾つか掲げてあることが、オープン・イノベーションに向けて、知財戦略を大きく展開していかなければならないところであります。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、岡村本部員からご発言願います。
○岡村本部員 それでは、資料5に従って、お話をさせていただきます。
 今日は、少し角度を変えまして、中小・ベンチャー企業における知的財産の創造、保護、活用に関する現状と、それに対する支援策について申し上げたいと思います。
 1番目は、知的財産に関する中小・ベンチャー企業支援策の拡充・強化であります。
 例えば、先行技術調査制度というのがございますが、この対象枠の拡充、それから内外特許出願費用補助の適用要件緩和を通じた中小・ベンチャー企業の特許取得促進などが必要だと考えております。そして、諸制度の手続の一層の簡素化をお願いしたいと思います。
 2番目は、海外における模倣品対策の強化と充実でございますが、これまではどちらかといいますと、大企業の事例が話題になっておりましたが、中小企業も日用品から電気機器、部品など、いろいろな分野で模倣品被害が発生しており、ぜひこちらのほうにも目を向けていただきたいということでございます。
 3番目は、技術情報保護、ノウハウ流出防止にかかる法整備、これは模倣品対策と同じでございますが、大企業ばかりではなくて、中小企業も物や人などを通じて、予期せぬ技術、ノウハウの流出の被害を受けております。
 一番申し上げたいのは、この最後の4番目でございますが、中小・ベンチャー企業のために、各種説明会を含めた情報提供や啓蒙、相談機能の強化・拡充が、もっと必要ではないかと考えております。各地の商工会議所では、知財駆け込み寺、これはご指導いただきまして設置しておりますが、個別の相談に応じるほかに、弁理士会や発明協会などと緊密な連携をとりながら、説明会や相談会を実施しております。中小企業の知財に関する関心が、まだ弱いと実感しておりまして、その意味でも強化する必要があるのではないかと思っております。
 来年度の特許庁予算におきまして、相談・コンサルティング事業を強化していただくということに決定したと伺っておりますので、ぜひ来年度予算の早期成立と執行をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、梶山本部員からご発言をお願いします。
○梶山本部員 私は、資料がございません。大学という立場から、ご意見を言わせていただきたいと思います。
 本日は、知財制度の在り方について、非常にいろいろなお話がございましたけれども、それを活かすためには、やはり人材育成が非常に重要です。知財を創造し、使い、管理するという人材育成制度を、ぜひ第3期の基本計画の中に重点的に入れていただきたい。そうしないと、せっかくつくった知財の制度が活きてこないということでございます。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 どうもありがとうございました。
 それでは次に、角川本部員からご発言をお願いします。
○角川本部員 今日は、将来の日本産業を牽引することが期待されるコンテンツ産業の現状と、ネットでいかにして産業をブレイクさせるかということについてお話ししたいと思います。
 まず、国内の映画市場、それからビデオソフト市場の推移について、ご覧になっていただきたいと思います。
 2008年の推定市場規模は、映画市場は1,990億円、前年比100.3%で、前年と比べて横ばい、またビデオソフト市場も2,989億円、前年比94%と減少傾向が続いております。DVDからブルーレイに変わる境目ということで、ちょっと低調です。ビデオソフト市場が、低調が続いております。
 特に、ビデオソフトパッケージは、映画製作にとっては投資の回収に最も重要なビジネスでありますが、流通や小売りの寡占化、インターネットでの海賊版の氾濫によって、コンテンツ事業者が苦しんでおります。制作コストを回収し、再投資できる健全な市場を確保しなければ、日本のコンテンツ産業は衰退してしまうかもしれません。そんな中で、新たなインターネットの市場の開拓が期待されます。
 映像コンテンツは、一次流通として映画館、二次流通としてDVDなどのパッケージがあります。そして、三次流通として、今お話ししたデジタル・ネットワークの流通が考えられます。
 旧著作権法、これは1899年、古い話になりますけれども、この旧著作権法によって、映画館で「オリジナル」を見るということが定着いたしました。1970年における新著作権法が、「有体物」、つまりパッケージ産業を保護・育成しました。そのことによって、現状の映画界の産業基盤が成立していると言ってよいと思います。
 インターネット時代の今日では、「無体物」であるデジタルコンテンツに関しては、まだ十分な法整備がされていないと考えられます。知財本部は、既にコンテンツ利用促進法(正式名:コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律)、あるいは映画の盗撮の防止に関する法律などを成立させております。ですけれども、この分野での整備がまだこれからだということで、私はネット法を提案したいと思っております。
 第三の流通として期待されているNGNの世界、デジタル・ネットワークでは、コンテンツがデジタル化されて流れますけれども、とても成功しているとはいえません。この大きな土管の中をコンテンツがチョロチョロとしか流れないというような状況が起こる現状です。このままではIT産業に1990年代の「失われた10年」が21世紀に再び再現されてしまうのではないかというおそれを私は抱いております。
 どうか、こういう事態を退けるために、法整備の促進、コンテンツの流通を促進するために、大胆な著作権法の改定、もしくはネット法の立法化を必要としていると考えております。よろしくお願いいたします。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、佐藤本部員からご発言願います。
○佐藤本部員 知的財産制度そのものに直接関わっている実務家の弁理士の立場から、一言申し上げたいと思います。
 2003年以来、2期6年にわたり、我が国の知的財産改革で多くの知的財産制度、並びにその環境は整ってきたと感じております。
 また、先ほど来お話がありますように、我が国の科学技術力は国際競争力もあり、さらに情報通信のインフラも世界的に優れている。さらに、アニメ等のコンテンツも豊かである。
 しかしながら、世界市場では必ずしも十分に戦略的に活用されておらず、我が国の産業の国際競争力の強化に、まだ十分つながっていないというのが現状ではないかと感じております。
 来年度は、推進計画第3期に入ります。来期に当たりましては、改めてこの我が国の知的財産が国際競争力につながるように、産学官がさらに工夫し、努力していかなければならないと強く感じております。
 その点で、後ほど長谷川本部員からご紹介があると思いますが、iPSの支援プロジェクトというものが立ち上がりました。大学研究の成果が市場につながるような仕組み、さらにその活動、これを積極的に推進していかなければ、このような事態を解決することはできないのではないかと感じております。
 また、世界の市場で知的財産を活用していくためには、その知的財産が世界において格差なく保護されるような制度整備がないと、実現することは難しいと思っております。その意味で、我が国は今まで、国際的な制度調和のために努力されてきておりましたけれども、さらに一層これを進めていくということが、我が国の国益にも合致することであり、ぜひなし遂げなければならないことだと思っております。
 したがいまして、これに関わる関係各位の皆様に、ぜひとも今後とも、この点についての推進を図っていただきたいというふうに思っております。
 以上です。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、里中本部員からご発言願います。
○里中本部員 私、資料はありません。本日、ここで報告されているいろいろなことにつきまして、思うところを少し述べさせていただきたいと思います。
 知的財産を守るということは、著作権の問題とかプライドの問題だけではなくて、今のネット時代においては、大いなる経済問題だと思います。この違法コピーの膨大な経済的損失を考えますと、我が国の創作者とか発信者に対しても、利益の何倍もの経済的損失を与えているわけなので、ぜひその模倣品対策、海賊版対策というのを強化していただけたらと思います。こちらの各部会の報告にも出ておりますけれども、国として強力にやっていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、中山本部員からのご発言をお願いします。
○中山本部員 私も、資料はございませんけれども、コンテンツビジネスについてお話をしたいと思います。
 資源の乏しい我が国は、今こそコンテンツビジネスの振興を図り、コンテンツ大国を実現してなければいけないと叫ばれてはおりますが、日本のコンテンツビジネスの成長率は、世界の平均から大幅に後れており、その国際的シェアも低下しつつあります。
 そのためには、もちろん総合的な施策が必要でありますけれども、私の専門である法的観点からいいますと、著作権法がデジタル化時代に適応したものとなっていないと思われます。このネット時代に、次々と新しいビジネスモデルが出現し、そこからこそコンテンツビジネスの発展が始まるわけですけれども、著作権法がそれらを妨害しているということも事実であろうと考えております。
 ネットを利用したビジネスは、ネットの特性上、著作権侵害となる可能性が非常に高く、危険性の高いビジネスになっております。今後、どのようなビジネスが生まれてくるかわからないわけでありますので、この閉塞状態から脱却するためにも、アメリカのように柔軟な解釈を可能とするフェアユースの規定の導入ということを、ぜひ進めていただきたいと思っております。
 以上です。 (麻生内閣総理大臣 着席)
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、長谷川本部員からのご発言をお願いします。
○長谷川本部員 資料7をお願いしたいと思います。
 あたかも私の発表に合わせて総理がご到着いただきまして、大変ありがとうございます。
 この会議で再々申し上げておりますように、ヘルスケアの関連、特にiPS細胞の技術の開発、促進につきましてはオールジャパン体制でということで、研究支援については、相当そういう体制が整っているというふうに理解しております。何度も申し上げましたように、特にアメリカでは、こういった新しい基盤技術を囲い込んで、それを特許料として将来使う人、希望する人から取り上げるというバイオベンチャーのビジネスモデルができておりまして、既にこのiPSについても、そういう動きが実際にアメリカで起こっておるわけであります。iPSのIP、特許についても、オールジャパン体制でぜひ囲い込みをお願いしたいということで何度か申し上げました。経産省のほうでイノベーション創造機構構想等を進めていただいてはおりますが、まだ現実に予算もついておらないし、発足もしておらないということで、製薬協といたしましては少したまりかねまして、iPS知財支援プロジェクトというのをボランティアで立ち上げました。1年間暫定で、製薬協の常任理事会企業が3,000万円ほどを拠出いたしまして、実際にこういったヘルスケアのパテントについて、諸外国とも戦って守ってきた、そういう経験のあるベテランを2名配置いたしました。ここに書いておりますように、資料の2ページ目にありますような東北大学でありますとか千葉大、埼玉医科大、九州大、そういったところには既に面談をし、支援を約束しております。それから、右側の薄い緑のところにある大学とか企業とか病院とかは、これから訪問して、そういった支援のオファーをしたいと思います。さらには、京大、東大、慶応大学、理研という4つの拠点につきましては、京都大学はiPSアカデミア・ジャパンを設立されているようでありますが、そういったところとも意見交換をしながら、我々がつなぎとしてぜひご支援させていただきたいと思いますので、国家として本格的な体制を、できるだけ早く立ち上げていただくようにお願いいたします。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、三尾本部員からご発言をお願いします。
○三尾本部員 私は、資料8に基づいてご説明したいと思います。
 私がお話ししたいのは2点ありまして、1点はデジタルコンテンツの流通の促進という点でございます。
 それに関しまして、ご紹介したいのがIPTVの存在です。これまで放送コンテンツが、なかなかインターネット上、流れないということがあるんですけれども、その主な原因としまして、やはりパソコンを使う人が限られているということと、操作が大変であるということだったんですね。
 しかしながら、このIPTV、インターネット・プロトコルを利用したテレビですと、リモコンを使ってほとんどテレビと同じような操作ができるということなんです。ですので、子供からお年寄りまで幅広く使えるということで、さらに、このIPTVに関しましては、IPTVフォーラムというものが立ち上がりまして、現在、規格の標準化ができ上がっております。
 したがいまして、この規格の標準化が世界標準になるという可能性もありますので、そのためにはインターネット上をデジタルコンテンツが豊富に流れるということが、ぜひ必要になってきます。この点、十分理解していただいて、デジタルコンテンツの流通を促進していただきたいというふうに考えます。
 あと、もう1点は、「日本ブランド」の構築と世界発信、及びクリエーターの人材育成に関してでございます。
 現在、日本では、さまざまな分野で、アニメーションやマンガということで、コンテンツについてはかなり優秀なクリエーターが存在しているという現状があります。フランスの映画祭とか、アヌシー国際アニメーションフェスティバルなどでも、日本のアニメやコンテンツは非常に人気があります。
 しかしながら、先ほどご説明がありましたように、現在の「日本ブランド」のコンテンツは、やや衰退傾向にあるというふうに言わざるを得ないと思います。各国はどういう体制をしているかといいますと、フランス、カナダ、デンマーク、スウェーデンというふうに挙げさせていただいたんですけれども、国家レベルで、例えばフランスですと、CNCといいまして国立映画庁という国の組織がございまして、海外の協働共同制作を支援したり、プロデューサーや人材育成を進めております。最後のページで、韓国の状況を見ますと、さらに国家プロジェクトとしてのコンテンツ振興・人材育成が強力に進められておりまして、韓国は文化コンテンツ振興院というのがございまして、これがここに書いてありますように、国が資金提供等さまざまな支援をしております。国として、コンテンツ振興院のような独立の組織を設けるということだけではなくて、官と民が協力して国としての「日本ブランド」を確立した上で国家として世界に発信するということが、今、必要になってくるのではないかというふうに思います。
 このコンテンツを育てるということは、ワンソース・マルチユースが可能ですので、いろいろな分野で、一つのコンテンツがさまざまなところで活躍して富を生むということになります。また、多くの人々が関与する業態でもあり、新たな雇用の創出にもつながりますので国家利益を増加させることにつながります。ぜひ、クリエーター等人材育成をはじめとするコンテンツ振興策を具体的にすすめていただきたく、よろしくお願いいたしたい次第です。
 よろしくお願いいたします。
○野田内閣府特命担当大臣 急がせてすみません。ありがとうございました。
 次に、山本本部員、お願いします。
○山本本部員 私は、資料9で2点だけ申し上げます。
 大体、産学連携というのは、景気が厳しいときに盛り上がるというのが世界中で起こっていることでして、ご案内のとおり、オバマ次期アメリカ大統領も、科学技術投資をかなり決めておりますし、一昨日の日経新聞でも、経営者が求める景気対策で、1番目は法人税減税ですが、2番目が先進技術に投資ができるようにしてほしいと。
 ご覧いただければおわかりのとおり、実は2005年度から2006年度、産学連携は件数もロイヤリティも、かなり伸びております。ロイヤリティ額25%アップで、継続中のライセンスが35%アップということで、非常に元気な状況にございまして、厳しいときこそ産学連携で、自社1社ではできないことを、大学を使ってやっていただくということを、さらに促進いただきたい。
 2点目は、それに伴って学生の発明の取り扱いというのが、学生というのは大学に雇用されているわけではございませんので、産学連携で大きな課題となっております。これは、一大学ではなくて日本中の問題でございまして、これを、どのタイミングで契約をすれば円滑に進むのかというようなことについて、ご議論を始めていただければと希望しております。
 以上でございます。
○野田内閣府特命担当大臣 どうもありがとうございました。
 これからは、続いて塩谷文部科学大臣、二階経済産業大臣、中曽根外務大臣の順でご発言いただきたいと思います。
 塩谷大臣、お願いします。
○塩谷文部科学大臣 我が国が、国際社会における存在感や競争力を高め、知的財産立国を実現するためには、国を挙げて知的財産戦略を推進していくことが極めて重要と認識しております。
 デジタル・ネット時代における著作権制度の在り方については、文部科学省としましても重要な課題と考えており、逐次、改正を行ってきたところでございます。
 今般、デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会において取りまとめられた報告書の提言については、権利・制限の一般規定の導入のように、我が国の著作権制度の基本的な考え方に関わる事項もありますが、文部科学省としましては、権利者の意見も伺いながら、文化審議会で十分に検討してまいりたいと考えております。
 今後とも、知的財産推進計画2009策定に向けた他の専門調査会における議論等も踏まえながら、1つはデジタル・ネット時代に対応した著作権法の見直しの検討、そして2番目に、産学官連携の推進や大学発ベンチャーへの支援、そして3番目として、映画・映像を初めとするメディア芸術の振興等の3つの点を踏まえながら、知的財産立国の実現に必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、二階大臣、お願いします。
○二階経済産業大臣 資料を別紙で出しておりますが、「JAPANブランド」の強化について、各先生方から、今、それぞれすばらしいご意見や、また当省に対してもご指摘がございました。
 まず、アニメ、マンガ、ファッション、デザインなどの日本のコンテンツ力は、海外においてはかなり高い評価を受けておるわけですが、それがこの日本の海外市場獲得に、まだまだ十分活用できていないというのが問題であります。また、1人当たりのコンテンツ消費額は、アメリカの13万円に対し、日本ははるかに低くまだ8万円でありますが、この13万円と8万円の1人当たりの消費額、ここが、コンテンツ産業がこれから大きく成長していけるという余力を示しているものだと、逆にとらえるべきだと思います。
 例えば、韓国では、韓流ブームによる韓国製品の国際競争力強化を視野に、戦略的にコンテンツ産業に対して、日本に比べれば大変思い切った投資を行っております。今日も、韓国の博覧会の組織委員長等が日本に来ておりまして、総理や官房長官に後ほどお会いいただくことになっておりますが、この博覧会を一つの山として、相当、この分野で力を入れてくると思います。日本も負けてはおれませんから、これらに対する対策を考えていかなければいけない。いわゆる「JAPANブランド」の戦略でありますが、経済と文化、これを一体として、中・長期の国家戦略として築き上げていくべきだと思っております。
 私どもは、2012年を目標に、コンテンツ産業を20兆円産業にしようということを言っておりますが、これはそう難しいことではないと思っておりますが、さらなる進展について考えていきたいと思います。
 イノベーション促進のための知財政策の展開でありますが、本年9月には、出願からわずか3カ月で、世界で初めてのiPS細胞の特許が認められたわけでありますが、このことによる効果というものは大変なものがあるわけでありますから、今後、この特許の早期承認についても、工夫を凝らしていきたいと思っております。
 一つの発明が世界中で早期に保護されるように、制度の国際的調和、分業などについて、我が国がリードしていくべきだと思っております。
 例えば、日本が中国の我々のカウンターパートの閣僚と、この問題で出会ったとしますと、すぐアメリカやフランスからも、「一体どんな話だったんだ」と言って尋ねてくるくらい、特許の問題に対して極めて敏感であります。我々は、そういうことに後れをとってはならない、こう思っておりますが、知財はまさに経済成長の源泉であるわけでありますから、そういうふうにとらえて、それらしい予算対策等も行っていきたいと思います。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、中曽根大臣、ご発言をお願いします。
○中曽根外務大臣 今日は、本部員の先生方からの大変貴重なご意見を、興味深く聞かせていただきましてありがとうございます。
 外務省といたしましても、関係省庁と連携しながら、必要な取組を一層促進、推進していきたいと思っておりますが、具体的にデジタル・ネット時代に対応した知財制度の構築、それから知的財産の競争力強化、こういうことにつきましては、海外における侵害対策に力を入れていきたいと思っています。
 例えば、我が国が提唱しております模倣品・海賊版拡散防止条約構想、これはご承知のとおりですが、2005年のグレンイーグルスサミットで小泉総理が提唱されて、その後、日米が中心となって、今、議論して、この条約づくりに取り組んでいるところでございますが、これではインターネットを通じた知的財産の侵害も、重要なテーマとなっておるわけでございます。今後も、この構想を、可能な限り早く実現できるように取組をしていきたいと、1つは思っております。
 それから、「日本ブランド」戦略でございますが、外務省では企業支援、これについては積極的に取り組んできておりまして、在外公館等を活用して、日本製品の紹介、あるいは日本の食料等の農産品の紹介等を行ってきております。ジャパンデーとかジャパンウィークとか、あらゆる機会を通じて、そのような活動をしてきているわけでありますけれども、今後もこのような形、あるいはまた新たな効果的なものを取り入れながらやっていきたいというふうに思っております。
○野田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 ほかに、特にご発言がございましたら。
 甘利大臣、どうぞ。
○甘利内閣府特命担当大臣 所管外ではありますけれども、「スパイダーマン3」が日本で世界に先駆けて公開されたときに、サム・ライミ監督以下関係者は、「3は日本のコミックを参考にしました」と。何を参考にしたかといえば、そのストーリー性の深さと主人公の成長であります。「島耕作」も、今や立派な社長になりましたけれども、課長時代はせこい課長でありまして、だんだん成長していくのであります。韓国でワインブームを起こしたのは、「神の雫」という日本のコミックで、多分、あれで取り上げられたワインは、すぐ買い手が殺到するということになります。「かぶく者」というコミックは、歌舞伎という難しい世界を、極めてわくわくする劇画に仕立てているわけであります。その他、数え上げれば切りがないのですね。
 コンテンツ全体を、日本がメッカであるというふうにする仕掛けは、二階経産大臣が大変ご苦労されて、今、華々しく大きくなりつつあるのでありますけれども、しかしながら、これを支える安定財源、たかだか幾らもかからないんですが、これが何年分しか見当たらない。そこをしっかり手当てするだけで日本のコンテンツが世界を制するということでありながら、予算のメリハリがつけられないというところに悲しさがあるわけでありまして、コンテンツ大国を打ち上げる以上、そのあらゆるコンテンツの集約として、東京ゲームショウに始まって国際映画祭で締めくくるコ・フェスタを安定的に推移させる程度の予算は、しっかり確保していくべきだと思います。
 所管外ですが。
○野田内閣府特命担当大臣 貴重なご意見、ありがとうございました。
 ほかにございませんか。
 ありがとうございました。
 それでは次に、知的財産をめぐる最近の動きとして、コンテンツ産業の海外戦略と動画配信ビジネスの現状について、角川本部員をお願いします。その前にプレスが入室しますので、少々お待ちください。 (プレス入室)
○野田内閣府特命担当大臣 それでは、角川本部員、よろしくお願いします。
○角川本部員 日本コンテンツの海外進出の例をご紹介したいと思います。
 今、ハリウッドを中心に、世界で日本のコンテンツが注目され、リメイクされる例が増えております。
 画面をご覧になってください。
 日本マンガの金字塔「鉄腕アトム」も、海外では、今、CG映画として制作が進んでおります。また、秋元康さんの原作、ジャパンホラーの「着信アリ」も、ハリウッドでは「ワン・ミス・コール」という題で完全に外国人のスタッフと俳優でリメイクされました。そしてまた、おもちゃの「トランスフォーマー」が、スピルバーグ監督により最新CG技術を多用した実写映画として大成功したのも、ご存じのとおりです。
 それでは、その映像をご覧になっていただきたいと思います。 (映像)
○角川本部員 今、ご覧になっていただいた、アトムをつくった天馬博士は、ニコラス・ケイジが声優として出演しておりまして、顔もそういう顔になっております。
 今日ご覧になっていただいたのは、まだ本当にここだけの「初公開」でして、この映像が海賊版で流れたら、笑い話にもなりませんので、ここだけにしていただくことで協力して下さい。
 このように、日本の優れたコンテンツが、世界中で非常に高い評価を受けて、リスペクトされております。
 しかしながら、日本のコンテンツ企業が、自らの力で海外へ十分に展開できているとは残念ながら言えません。コンテンツ産業の現在の規模は13兆8,000億円で、先ほど二階大臣からお話がありましたように、20兆円までに拡大するには、3つの視点で海外市場をも視野に入れた中で、発展を目指さなければいけないと思っております。
 それが、販路の開拓、制作支援、人材育成であります。限定された日本市場にとどまっている制作では、世界市場を相手にして超大作をつくることはできません。今の鉄腕アトムも60億円、6,000万ドルの費用がかかっております。日本のマーケットだけでは、この6,000万ドル、60億円を回収することはできません。官民一体となった超大作を実現する仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
 この官民一体となった仕組みづくりとしては、成功例として、甘利大臣からもお話があったようにコ・フェスタ、東京国際映画祭、秋葉原エンタまつり、そしてまた東京ゲームショウも挙げることができると思います。こういう成功例をもとにして、2010年の上海万博に向けて、官民一体となって、出版社も頑張りますので、一緒になって推進していきたいと思います。
 それから、その次に、動画サイトについてちょっとご覧になっていただきたいと思います。 (映像)
○角川本部員 今回、私たちは、この違法投稿サイトを、著作権法違反としてただ単に取り締まってつぶすのではなくて、指導して、そして一緒になってマーケットを拡大していくことにチャレンジしております。動画配信には、違法コピー対策としてハードメーカーによる暗号を複雑にした「DRM」がございますけれども、これはすぐにハッカーの手によって破られてしまいます。
 そこで、ユーザーに高いモラルを求めていく「DRE―承認バッジ、Digital Rights Expression」というものも、また併せて考えていくことです。大事なことは、ユーザーのアップした動画を1つずつ確認・検証しながら、ユーザーとコミュニケーションをとっていくという動きが必要なのではないかと思います。
 そこで、私たちは、今、ユーザーの間で10種類の許諾の条件をつけて、そして本当にオリジナルコンテンツを汚すものから創作者を尊敬している人まで、この10個のパターンに分けて、YouTubeとの間で10万近いファイルを1つずつ確認しながら、このオリジナルコンテンツの活用の幅を広げるように努力しています。これは、MADといいますけれども、このMADにコンテンツ、著作権の利用を認めていくとどういうことが起こるかということで、表をつくっております。
 これはYouTubeから提供されているデータです。このグラフの左のほうの低いところは、これも決して低いわけではなくて、総体数としては相当大きいんですけれども、これがコンテンツ1つに対して、厳しく正式なマーク、角川の公認バッジをつけたときのアクセス数です。その後に急速に伸びております。これはMADと言われている大衆の投稿動画を承認したときのアクセス数の巨大な伸びです。これは、普段お見せしたことがないんですけれども、今日は特別に、またご覧になっていただけたらと思います。
 これをご覧になっていただきますと、このMADが増えた途端に、YouTubeからの角川への支払いも急増しております。つまり、MADに広告をつけるという新ビジネスモデルを、まだ世界的にもあまり例がないことを、今、我々はやろうとしております。このようにしてMADを広げることによって、新しいビジネスにしていきたいと思っております。
 また、日本のコンテンツの世界占有率は、先ほどから決して高くないのではないか、下がっているのではないかということも言われております。そんなことはありません。アメリカに本社のあるアップルとYouTubeに確認いたしますと、日本のコンテンツの世界マーケットのシェアは、ほぼ10%あるだろうと推定しております。日本はアメリカに次ぐ世界第二位のコンテンツ大国といって良いでしょう。私たちは、巨大といっていいこの10%の日本のコンテンツ力(りょく)を、どうやってマネタライズしていくかということが産業論として大事ではないかと思っております。
 ご清聴ありがとうございました。
○野田内閣府特命担当大臣 どうもありがとうございました。本当に貴重な資料も出していただきまして、心から感謝申し上げます。
 それでは、最後になりますけれども、知的財産戦略本部長の麻生総理大臣よりご発言をお願いいたします。
 総理、よろしくお願いします。
○麻生内閣総理大臣 もう大分前に、政調会長のころでしたか何のころでしたか、総務大臣のときでしたか、これをスタートさせていただいて、そのころは「コンテンツ」と言っても、ほとんど通じない時代だったんですけれども、今は「コンテンツ」と言われて、こちら側のプロみたいな方は別にして、こちら側のほうも「コンテンツ」と言われると、何となく通じるような形になってきたのは時代の変化だと思いますが、コンテンツは確かに、とにかく「千と千尋の神隠し」がアニメーションになってオスカーをとるような時代ですから、それは猛烈な勢いで行ったんだと思いますが、コンテンツ産業としては、なかなかいまひとつなのではないかというのが、率直な私どもの見た感じなんです。
 今、二階大臣が言われましたように、この世界で流通させておりますエージェントというのは、大体、日本ではなくて海外のエージェントに頼っているというのが、ちょっといま一つなんだと思うんですが、いずれにしても、コンテンツ産業は、毎年6%だとか7%は伸びている割に、日本ではあまり伸びないというところも問題ですし、先ほど角川さんが言われましたように、アメリカなどの場合、海外で売っている比率が2割とか何割というんですけれども、こっちは数%。だから、国内1億2,000万人を相手にしていますから、どうしたってそうなるので、そういう意味では、これはどう考えたってそっちで伸ばせることを考える。
 これは、「日本語が」とか「英語が」とかと言いますけれども、今、もう日本語の学習率というのは、このマンガとかアニメを読むために日本語を覚えようという子供が増えていますので、この約10年間で、日本国内で日本語を勉強しようという学生とか、いわゆる学んでいる人の数は、倍になっている。公式登録だけで倍ですから、多分、もっと増えているのだと思いますが、きっかけはマンガ。私は、マンガでも結構だと思っているんです。それが大きくなってきてから、もっと難しい本を読めるようになればよろしいので、僕はそう思っていますので、ぜひ2015年までにコンテンツ産業を20兆円産業にという経済産業省の話は、これは別に可能性からいったら、夢物語でも何でもないのであって、これは基本的にやる気と、もう一つ、きちんとしたコンテンツというものがわかると、こういったことができるのだと思っていますので、やる気と工夫の問題だと思っております。
 たまたま、マンガしか読まないと批判されている麻生太郎が、今、総理ということになりましたので、私としては、これは戦略的に、今、知的財産として、こういったものがさらに伸ばせるよいチャンスだと思いますし、これは巨大な装置産業とは訳が違いますので、そんなにむちゃくちゃな金がかかるという種類のものでもない。ソフトの極みみたいなものですから、そういった意味では、ぜひ、今の「日本ブランド」と言われましたけれども、そういったものをきちんと確立していくために、これは経済産業省が主たるところになるのかもしれませんけれども、ぜひここのところはきちんと戦略を立てて立ち上げたいと思っておりますので、そんなに余裕があるわけではありませんので、来年3月ぐらいまでには、一応、基本的な戦略として、この本部で立ち上げていただけるようにお願いできればと思っております。
 いずれにしても、デジタル・ネットとか、いろいろな新しい言葉がたくさん出てきていますけれども、ぜひこういった時代に新たなビジネスというものが促進されますので、山本先生でしたか、景気の悪いときほど、という話をされましたけれども、間違いないと思いますね。さっき、学生の話も出ていましたけれども、私のところは人口8万ぐらいの町なんですけれども、ベンチャー・キャピタル65社、人口比率でおそらく日本一というのが私のところなんですけれども、これはやはりその気になってわんわんやって、きちんとしたものをやると育つというよい例です。私のところは都会ではありませんから、そこでベンチャー・キャピタルが65社立ち上がっているという現実は、やはり基本的には姿勢の問題、のせ方の問題、いろいろあるでしょうけれども、やはり景気が悪かったので、一生懸命考えた例の一つなんだと、私はそう思っていますので、いろいろな先生方、ご意見をいただきましたけれども、この不況下のときこそ産学連携は必要だというのは、私も全くそうだと思います。非常に優秀な方がここにお集まりいただいておりますので、ぜひ皆様方のアイデアをうまく集約して、またきちんと立ち上げる。政府として、これを全面的に支援していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げて、ご挨拶にさせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。
○野田内閣府特命担当大臣 総理、どうもありがとうございました。 (プレス退室)
○野田内閣府特命担当大臣 それでは、時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきます。
 次回の会合につきましては、来年3月の開催を予定しておりますが、詳細につきましては事務局から追ってご連絡させていただきます。
 また、本日の会合の内容につきましては、この後に事務局からブリーフを行うこととしております。
 本日はどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 よいお年を。