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コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第3回)議事録

  1. 日時:平成20年7月22日(火)13:00〜15:00
  2. 場所:虎ノ門パストラルホテル「アジュール」
  3. 出席者
    【委員】 久保利会長、太田委員、生越委員、角川委員、久保委員、里中委員、重延委員、関本委員、高橋委員、中村委員、中山委員、南場委員、服部委員、廣瀬委員、三尾委員、村上委員、佐藤本部員
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • 日本ブランドの振興について
    • デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会からの報告

○久保利会長 皆さん、こんにちは。定刻ですので、ただいまから第3回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
 本日はご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。 
 まず、委員の交代がございましたので、事務局からご紹介をお願いします。

○素川事務局長 NHKの原田委員にかわりまして、同じくNHKから、放送総局の特別主幹の関本様が委員に就任されておりますので、ご紹介申し上げます。

○関本委員 関本です。よろしくお願いいたします。

○久保利会長 よろしくお願いします。
 続いて、事務局にも人事異動がございましたので、事務局、ご紹介をお願いします。

○素川事務局長 7月11日付で事務局に人事異動がございました。ご紹介させていただきたいと思います。
 松村次長にかわりまして内山次長、それから、吉田次長にかわりまして関次長、そして、山本参事官にかわりまして小川参事官がそれぞれ就任いたしておりますので、ご紹介を申し上げます。

○内山次長 前職、経済産業省の製造産業局からまいりました内山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○関次長 吉田の後任といたしまして着任をいたしました関と申します。どうぞよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。

○小川参事官 特許庁総務課のほうから山本の後任でまいりました小川といいます。よろしくお願いいたします。

○久保利会長 ありがとうございます。 
 それでは、審議に入りたいと思います。
 本日は、日本ブランドの振興のテーマを中心にご審議いただきたいと思います。
 日本ブランドの振興につきましては、前回、3月6日でございますが、この本専門調査会でご議論いただきました。分野横断的な日本ブランドの確立と発信の強化が必要であるということが確認されたところでございます。
 そこで、まず事務局から、その後の経過と今後の取組の方向性についてご説明をお願いいたします。

○大路参事官 それでは、失礼いたします。事務局、参事官をしております大路でございます。
 私のほうから、日本ブランドの振興につきまして、前回の会合以降の進展の状況も踏まえまして、問題意識と検討の方向性、それからスケジュールといったあたりについてご説明をさせていただきたいと思います。
 資料1−1と書いたものをご覧ください。日本ブランドの振興という表題がついたものでございます。
 ページをめくっていただきまして、2ページ、1.でございますけれども、日本ブランド振興に関する取組の経緯というところがございます。このテーマにつきましては、先ほど、会長のほうからご紹介ありましたとおり、前回3月6日に開催されました本専門調査会におきまして私どもの問題意識をお示しした上で、いろいろご意見をいただいたわけでございます。若干繰り返しになるわけでございますけれども、その際申し上げたことも含めましてご説明させていただきたいと思います。
 まず、これまでの日本ブランドの取組の経緯に関することといたしまして、その際、3点ほど申し上げておったかと思うんですけれども、1つは、これまで、政府の日本ブランド戦略というものが、食文化、地域ブランド、ファッションという3つの分野を中心に取り扱っておりまして、それぞれ一定の成果が上がってきておるというふうに考えているわけでございますけれども、今後、これら3つの分野に限らず、さらに多様な分野も含めて、分野横断的にブランド発信を図っていく必要があるんだろうということでございます。
 2つ目は、これにかかわる関係省庁におきまして、それぞれ日本ブランドに関連する様々な取組を進めているわけでございますけれども、必ずしも横の連携がとれているわけではないというような中で、今後、関係省庁の連携の強化を図っていくことによって、もっと効果的な日本ブランドの振興を図ることができるのではないかという点がございます。
 それから、3点目といたしまして、世界各地、地域ごとに見た場合に、日本のイメージ、それから日本ブランドに対する受け止め方も異なっているというふうな状況の中で、地域ごとの情報を集約して、地域ごとの発信の戦略を立てるということによって、より効果的な日本ブランドの発信が図れるのではないかということでございます。
 以上の3点を踏まえまして、今後の取組として、分野横断的な、それから省庁横断的な地域別の戦略をつくっていきましょうということで日本ブランド戦略を構築していきたいという、そういう方向性につきまして3月6日のこの専門調査会においてご確認をいただいたというところでございます。
 その後、その方針につきまして、1ページの真ん中のほうにございます、3月13日、知的財産戦略本部会合におきまして、その旨のご報告を久保利会長のほうからしていただきまして、その際に、関係省庁の連携を強化するということから、関係省庁連絡会議を設置するということが決定をされたわけでございます。
 その関係省庁連絡会議につきましては、6月5日に第1回の開催をしたというふうな経緯でございます。
 それから、あわせまして、6月18日に決定されました知財推進計画2008におきましても、重点施策としてこの日本ブランド戦略の構築のことを明記したところでございます。
 ご参考までに、資料1−2といたしまして、知財推進計画2008の日本ブランドの振興に関する部分だけを抜粋したものをご参考までに配付をしておりますので、あわせてご確認をいただければと思います。
 資料1−1のページをめくっていただきまして、2.の日本ブランドに関する取組の課題というふうに表題をつけている部分をご覧いただきたいと思います。
 今申し上げたことと重複する部分もあるわけでございますけれども、一番上に点線で囲った部分が現状ということでございます。
 1つは、各省庁ごとにそれぞれの行政目的に応じた日本ブランドに関する取組がなされているということ。
 2つ目は、地域ごとに日本ブランドの受け止め方は一様ではないというふうなこと。
 それから3つ目には、分野横断による波及効果が見られる部分があるというふうなことという現状の認識でございます。
 それから、真ん中に二重の線で囲っている部分が、日本ブランドの振興の目的というべき点かと思いますけれども、3つ書いてございます。
 1つは、世界から見た対日イメージの向上を図るというふうなことかと思います。
 それから2つ目は、日本人自身が日本の文化などへの理解を深めることが必要ではないかというふうなことでございます。
 それから3つ目は、より即物的な書き方になっておりますけれども、ブランドの価値を高めるということによって、コンテンツや製品の国際競争力を強化していくというふうなことでございます。
 こういった目的のためにブランド価値を高めて、世界に発信をしていくという取組を進めていこうということでございます。
 そうした際の課題ということでございますけれども、下のほうに点線で囲った部分でございます。
 先ほど申し上げたところとも重複しておりますけれども、キーワード的に言えば3つかなというふうに思っておりますけれども、1つは、関係省庁の連携強化ということ、それから2つ目は、分野横断的に視点を取り入れるということ、それから3つ目は、地域ごとの戦略を構築するというふうなところかと思います。
 そうしたところを解決するために、全般的な、総体的な日本ブランド戦略を構築していくということが私どもに与えられた課題かなというふうに考えているということでございます。
 ページをめくっていただきまして、3.日本ブランドに関する今後の取組の方向性と書いた部分でございます。ここは具体的に、それでは何をするのかということを示したものでございます。
 ここに書いてある内容は、先ほどご紹介いたしました資料1−2の推進計画2008において、1ページから3ページまでにかけて、(1)から(9)までにかけて記載をしている内容に対応しているわけでございますけれども、大きく点線で囲った部分と、それから、緑色の網をかけた部分とに分かれております。上のほうの点線で囲った部分というのが、日本ブランド戦略として大枠として何をするかということでございます。3つほど記載をしております。
 1つ目は、分野横断的な戦略を構築するということでございます。
 それから、2つ目は、関係省庁が具体的に何をするかということをアクションプランとして策定をするということでございます。
 3つ目は、地域ごと、日本ブランドに関するイメージや発信に関しての留意点などについて、各種調査の結果を体系的に整理して活用する、そういう体制を整えていくということでございます。
 一方、緑色で網かけをした部分でございますけれども、こうした戦略、アクションプラン等々を通じて、具体的な事業として考えられるものを類型的に整理したというものでございます。
 これもあくまで例示としてお考えいただきたいというふうに思っておりますけれども、上から、例えば在外公館や空港などの国内外の拠点を活用した発信の充実を図ることができないかということ。
 それから2つ目、様々なイベントを充実し、そこから効果的な発信を図っていくことができないかという点でございます。
 それから3つ目は、海外向けの情報基盤の充実を図っていくことができないかということでございます。
 それから4つ目は、観光客やメディアに対して様々な情報の発信を行っていくことができないかということでございます。
 それから5つ目が、海外発信に貢献したものに対する顕彰ということで挙げておりまして、これはあくまで例示でございますけれども、こうした事業、各省庁でいろいろな事業を行っているものの充実を図りながら、全体的なブランド発信の事業の充実につなげていく必要があるのではないかというふうなことでございます。
 若干ちょっと補足させていただきますけれども、ここには明示的には挙げておらないわけでございますけれども、今回、海外への発信ということを一つの大きなテーマとしていろいろな事業を考えていくということでございますけれども、単に発信する事業そのものを充実するというだけでなくて、ある意味発信しやすくするための環境整備的な、基盤整備的なものというのもやはり重要になってくるかというふうに思っておりまして、その意味では、例えば模倣品、海賊版の対策の問題でございましたり、あるいは昨今新聞をにぎわしております商標問題についても、必要に応じてここの場で議論の対象に挙げていただいてもよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
 あわせて、もう一点補足をさせていただきますとすれば、日本ブランド戦略を構築するという、その構築していくプロセスの中で、やはり官民の役割分担ということも意識をしていく必要があるというふうに考えておりまして、日本ブランドの振興の担い手であるのは、あくまで民間の様々な活動であるというところ、官の役割としてはそれをどのようにしてやりやすくしていくのかという、やはり基盤整備的なところを中心に重きを置いて取り組んでいくというあたりのところが必要になってくるのかなというふうに思っておりまして、官がこの分野は大事だ、この分野は大事でないというところはなかなか言いにくい部分があるのかなと。そのあたりはやはり意識していく必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
 続きまして、4.でございますけれども、先ほど申し上げたような戦略づくり、アクションプラン作りをいつどこでやるかということを示したのがこの表でございます。これを推進するための組織といたしましては、大きく言いまして2つでございます。
 1つは、まさに本専門調査会、コンテンツ・日本ブランド専門調査会でございます。
 それからもう一つは、下のほうにございます関係省庁連絡会議ということで、内閣官房その他関係6省庁、それから3つの機関からなっている連絡会議を立ち上げて、この2つの組織が相互に連携を図りながら、具体的な検討を進めていきたいというふうに考えているということでございます。
 コンテンツ・日本ブランド専門調査会の下に矢印がございまして、その後ろに戦略の策定というふうに書いてございますけれども、主としてこの専門調査会におきましては、専門的な立場にかかわっておられる委員の方々からいただく大所高所からの議論を踏まえて、どういうふうに戦略的に取り組んでいくかというふうなアイデアの部分をどちらかと言えば出していただくような役割を期待しているところでございまして、その結果として、概ね来年2月ごろをめどに戦略の策定ということで取りまとめていただきたいというふうに考えているということでございます。
 それから、下のほうの関係省庁連絡会議ということでございますけれども、この緑色の矢印の一番右側のところにアクションプランの策定というふうに書いてございますけれども、基本的には、専門調査会における戦略の内容を踏まえまして、関係省庁が具体的に何をするかということをアクションプランとして策定をしていきたいというふうに考えておりまして、概ね4月ごろをめどに関係省庁連絡会議において策定をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 その際に、上向きの点線の矢印がございますけれども、情報収集・共有ということを書いてございます。先ほど申し上げた3つの柱の中の一つ、一番最後にあったものでございますけれども、関係省庁連絡会議を通じて、特に海外における地域別の日本ブランドに対する受け止め方でありますとか、日本ブランドを発信するに当たっての様々な留意事項、課題といったようなものの集約を図りまして、それを連絡会議で取りまとめて、それを必要に応じてコンテンツ・日本ブランド専門調査会の議論に反映をするといったような形で、この2つの組織が連携をとって進めていけるようなことを考えていきたいということでございます。そういう流れで今後取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 大まかなところは以上でございますが、資料の6ページ、7ページにおきましては、分野ごと、あるいは地域ごとの日本ブランドに対する受け止め方の違い、それから分野ごとの発信に際しての課題というものを参考としておつけをしてございます。
 今後、関係省庁連絡会議等における検討を踏まえまして、この分析をより詳細なもの、より使えるようなものにしていくという作業が必要になってこようかというふうに思っておりまして、その結果について、適宜、専門調査会にもご報告させていただきながら、審議に反映をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
 最後になりましたが、先ほどご紹介させていただいたとおり、資料1−2としまして、推進計画2008において日本ブランド戦略を進めるということがどのように位置づいているかというふうなこと。
 それから、資料1−3といたしまして、日本ブランドの発信に関する関係省庁の主な取組ということで、今年度の取組の概要を、ある程度類型的な整理を意識しながら書いております。これの資料などもご参考にしていただきながらご議論をいただければと思っているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、今後の取組の方向性についての議論をお願いいたしたいと存じます。今もありましたように、戦略策定のためのアイデアの提供というのが当調査会に期待されているところでございますし、まさにこのメンバーは皆さん各分野のブランド、それを創造、確立、あるいは発信、活用という現場におられるわけでございますので、皆さん方から日本ブランドの確立と発信に関するご提案をご提出いただいております。まず、それぞれのご提案につきまして、各委員の皆様からご報告をお願いいたしたいと思います。
 なお、恐縮ですが、いつもより1分短いんですけれども、お一人2分程度で何卒お願いをしたいということで、太田委員のほうから、ぐるりと反時計回りになりますが、お願いしたいと思います。

○太田委員 それでは、ファッションのジャンルの進捗状況と課題についてお話しをしたいと思います。
 経済産業省、それからJETROさんのご支援で、ジャパン・ファッション・ウィークは6回が済みまして、今度の9月で7回目を迎えます。その間に、新しい有望な新人も出てまいりまして、だんだんこのジャパン・ファッション・ウィークにおける次世代デザイナーのポジションが非常に上がってまいりました。
 ところが、まだ世界の有力なメディア、バイヤーたちががんがん東京に押し寄せてというところまでには至っておりません。
 それを推進するために今いろいろなことを考えていまして、その一つに、第8回、来年の3月を予定していますけれども、そこであえて日本語の「新米」という名前を使って、「SHINMAI Creator's Project」という、新進デザイナーの登竜門をやってみようと考えています。今、ロンドン、パリ、ニューヨーク、それからベルギーなどの国と日本のデザイン大学とファッション専門学校の教授たちに、「あなたの学校を卒業して、非常に有望なる新人がいたらぜひ推薦してもらいたい」ということをお願いしています。この8月8日に最終的な審査をして、数人のデザイナーを国籍問わず東京から発信・デビューさせます。これには、審査にはフランスの「ELLE」という雑誌の編集長にも審査員に加わってもらっていますし、日本の百貨店、それから大手のアパレルメーカーさん、それから格好いいセレクトショップの社長さん、そういう方たちと私も入れていただいて審査をいたします。
 3月のJFWで「SHINMAI Creator's Project」のショーをやった後、6月以降にそれを日本の百貨店で売り場を展開して、一般の皆さんにご披露しようというプロジェクトを考えています。
 ただ、この「SHINMAI Creator's Project」というのは、ファッションの分野だけでやっても余り吸引力がないので、ほかの分野のジャンルの新人発掘事業とコラボレーションできないかなと。一番いいのは、ファッションにプラスして違う分野の発掘事業コンテスト、もしくは既存のコンテストがあればそこにファッションもくっつけていただき、新人もしくは新しいものを東京から発信するんだ、日本から発信するんだというようなスキームが一緒になってできたらいいなということを考えております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 我と思われる方々はぜひ太田さんにアプローチをしてください。
 では次、生越さん、お願いします。

○生越委員 私からは、日本ブランド戦略の実例のご紹介をしたいと思います。2ページ目をご覧ください。
 日本ブランドというものが最初、議論の遡上に乗ったときは、これは一体何物かということでいろいろな議論が行われたんですけれども、有形のもの、無形のものの両者があること。農林水産においても、工業においても、サービス産業においても存在し、全産業にあるということがはっきり認識されてきたと思います。これらは、文化資本を核としており、歴史的なもの、地域的なもの、コンテンツ的のものが存在すると考えられます。
 工業社会では、メードインジャパンが日本ブランドの代表でした。日本の製品は丈夫だし、精密だし、綺麗だという認識がありました。知識社会では、農林水産物はおいしい、コンテンツについてはユニークで可能性が高い、そういった分野まで付加価値が広く認識されてきたと思います。
 こういう認識が高まってきたところで、現実に動いた事例をご紹介したいと思います。
 1つ目が「シネマ歌舞伎」なんですけれども、これは、歌舞伎を舞台で上演しているものをデジタルカメラで撮って、デジタルプロジェクターで映画館などで上映するといったものでございます。これをシンガポールに今年4月に持ってまいりまして、海外で初の商業上映をされました。98%の方がもう一度見たいと満足されたことと、日本文化の評価を非常に高くされたこと、日本に興味が湧いたことなどをアンケート調査で答えていらっしゃいます。
 最近、ODS(Other Digital Stuff)ということで、演劇、オペラ、サッカーなどを映画館などでデジタル上映するということが普及しているんですけれども、それの先駆例が日本の歌舞伎であったということは誇るべきことだと思います。
 舞台を海外上演するには億単位の費用がかかるんですけれども、シネマ歌舞伎で持っていきますと100万単位とかで持っていけるので、いろいろな国で日本の文化を見ていただくことが可能になるんだと思います。こういったところでデジタルプロジェクターを購入するに当たり、シンガポールの支援の体制があったので実現したというふうに聞いております。こういったところで英語字幕をつけて、かつ日本の輸出産業でもあるデジタルプロジェクターを普及して、海外に日本の文化を普及するのはおもしろい案ではないかと思いました。
 2つ目が山形県の事例でございます。5月19日に台湾において、山形県の農林水産品とかお酒とかすべて含みまして、山形県知事が地域ブランドと観光誘客のプロモーションをされました。このときに、今、新橋演舞場で上演されています舞台の「おしん」とタイアップをして、主役の小林綾子さんを連れていかれました。ちょうど台湾では「おしん」が26回目のテレビの再放送中と大人気のため、報道関係者が350人も殺到しまして、大きな話題になりました。日本でも報道されました。7月19日に台湾から「おしん」を見て山形県に行くという観光ツアーに台湾人22人が参加された実績も生まれました。こういったところで、舞台というコンテンツと観光誘客ということと、あと地域ブランドですね、山形のサクランボとか、そういったところがコラボレーションできることを証明したおもしろい事例ができたんだと思います。
 そこで、この2つの事例をずっと見ていまして課題だと思いましたのは、 まだまだ日本ブランドとは何か、日本ブランドの価値が日本国民に理解されていない。あと、日本ブランドは大したことないという認識もまだまだある。あと、3番目が重要なんですが、関係省庁の連絡会ができたということなんですが、どこに相談していいかという窓口がわからない。これは個別の事例で本当に皆さん悩んでいますので、ぜひ窓口をつくっていただきたい。あと、海外における日本政府の支援体制は何があるかのメニューの明確化と、翻訳費用などの助成、こういったところがより効果的に日本ブランドを発信するんではないかと思いました。
 以上でございます。

○久保利会長 では、次お願いします。

○角川委員 私のほうからは、全くまだ素案でございますけれども、コミック、アニメ、それからキャラクターの祭典ということで、『国際COOL JAPANコンベンション』というイベントを開催したらどうかと考えております。これは全くの〔BtoC〕、つまり観客、消費者である日本ブランドを愛してくれている人々を国内・国外問わず日本の地に集めてみたいと思ったのです。実はこういう民間からの盛り上がりみたいなものは、日本ではまだ余り耳にしておりません。
 一方で、アメリカでは既に非常に有名な、企画書に書いてありますけれども、サンディエゴでThe San Diego Comic−Con Internationalというのが行われておりますし、フランスのパリでも同じようにJapan Expoが行われておりまして、それぞれ10万人以上の人たちが、これはつまり全く大衆ということになりますけれども、あるいは愛好者というか、もっと言ってみれば今度は欧米の"おたく"ということになると思いますけれども、そういう人たちが集まって日本の文化を楽しんでいる。そういうものを海外からニュースを聞くのではなくて、本来の"聖地"である日本からそれを発信していくべきじゃないかなと思ったわけであります。
 特にこれは、私は、You Tube以前、You Tube以降という言い方をしたいと思いますけれども、このYou Tubeというものが世界に出現してきて、そして、それから日本のコンテンツというものが大幅に世界に広まっている。そういう事実を日本の地域で発信していきたいと思うわけです。
 その中心としては、「Japanアニメーション」、それから「MANGA」、そして世界に愛されている日本の「キャラクター」、最近は「ライトノベル」という新しい分野がまた非常に支持されております。手書きのアニメーション、そして劇画、そしてキャラクター、ライトノベルという4大カルチャーをフィーチャーして世界に発信していきたいと思っております。
 この企画は、全く東京国際映画祭とかCoFestaとバッティングすることはないと思います。もしCoFestaがBtoCのイベントをやってもいいじゃないかということであれば、もちろんCoFestaの中でやることもやぶさかではありません。
 ただ、私の考えていることは、実は地域発信、地域振興ということも大きなテーマにしております。今回のこのブランド専門委員会でも「地域」ということが出ておりますけれども、私は東京国際映画祭で、市民の発信、市民の盛り上がりによって映画祭が運営される、これについて非常に私は頑張ったつもりでありますけれども、まだまだ十分じゃなかったと思います。
 そういう意味で、今回は、ぜひ自分のまちで『COOL JAPANコンベンション』をやりたいということに手を挙げていただいて、地域の人からの招聘を受けてその地域に行くという地域発信型にしたいと。初めから中央がどこの地域でやるべきだという地域に対するお仕着せではなくて、地元から手を挙げていただくと。それによって、地元の中心街でレッドカーペットを敷くこともできるし、警察署や消防署の了解もとりやすくなる。それから、まちの商店街の振興にもなる。そういう押しつけだからというのではなく、自分たちが招聘したのだから、そういう問題もすべて自分たちが解決していこうと、そういう発想になるような手づくり感覚のことをしてみたいと希望しております。そういう形でも、またCoFestaや東京国際映画祭が受け入れられれば、それも結構ではないかと思います。
 重要なことは、あくまでも消費者、〔BtoC〕という発想でいきたい。今、〔BtoC〕、つまりCが集まることによってその後にBがくっついていくというふうな切り口、これがWeb2.0的だと私は思っているんですけれども、〔BtoB〕に〔C〕を集めていくというのではなくて、〔BtoC〕の発想だということを繰り返して申し上げたいと思います。
 そして、この中で非常に困難なんですけれども、やってみたいことは、オープニングにはレッドカーペットでコスプレの人たちがキャラクターパレードをしたり、それからまた、一部の権利者にはとんでもないと言われるかもしれませんけれども、ワンデーフリーマーケット、1日だけは著作権を問わない、あえて自分の好きな作家のものを持ち込んで、憧れの作家に見てもらう、それを紹介してもらうワンデーフリーマーケットということなども企画してみたいと思います。
 こういうことで、外国に名を成さしめるのではなくて、あるいはまた、有名なのはサンディエゴとパリだけではありませんで、香港や台湾にも同じような会があります。そういうふうな世界に散っているマンガコンベンションとの連携のもとに、日本に、例えば本当に好きなブラジルの女の子が日本の女学生の格好をしてラインダンスで遊ぶとか、今You Tubeに上がっているようなものを実際に日本の人たちに見てもらって、日本の人たちのとの交流の祭典をやってみたいと考えております。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、欠席の木村さんからペーパーが出ていますので、これを引用させてもらいます。
 続いて、久保さん、お願いします。

○久保委員 こんにちは。私のほうからは、2点ほどご提案申し上げたいと思っています。
 まず1つ目は、『世界に先駆けてeco対応する日本ブランド』ということで、先日、北海道洞爺湖サミットが開催され、地球温暖化対策が最優先の議題だということについては皆さん周知の事実だと思っております。残念ながら、eco=日本ブランドというところまでの国際的な刷り込み作業にはできていない認識しております。
 日本のアニメーションは子供向けの作品が大変多いということもございますし、既に環境問題に正面から取り組んでいる意欲的な作品が数多く見受けられます。自然との共存や緑の大切さというものについては、ドラえもん、ポケモン、それとジブリ作品等には数多く見受けられますし、また、マンガ、ゲームの世界でも、ecoに取り組んだ普遍的なコンテンツはかなり多くあるように思います。
 このように、環境をテーマにしたマンガ、アニメ、ゲームなどを海外により一層強く打ち出すことによって、eco=日本ブランドを世界にもっと印象づけられると考えました。
 2点目は、これはこの会議でも何回かお話をいたしましたが、『インターネット上の海賊版を許さない日本ブランド』ということで、『正規版の購入者・愛好者を大切にする日本ブランド』というような信号が発信できないかなと考えております。
 ファンが勝手に英文やフランス語、中国語の字幕をつけてネット上に打ち上げています映像等を、『ファンサブ』と呼んでいますが、アニメ、実写の海賊版映像の被害が非常に深刻化しております。テレビアニメに関して言えば、急激に収益力が落ちておりますので、この4月以降、番組数はどんどん減っておりますし、海外への番組販売、価格等に関しても非常に低調な状況が続いております。
 また、最近は動画映像だけではなく、マンガ、コミックのジャンル、つまり静止画のジャンルでも、例えばアメリカにはonemaga.comというのがありまして、ここには数多くの日本のマンガがアップロードされております。国内で雑誌または単行本が発売されますと、数日後には英語訳のついた海賊版がネットにあふれてくるということになっておりますので、日本語版の半年後以降に出てきます英語版の正式な出版物がアメリカで販売されても売り上げは全く伸びてこないようです。これでは作家の皆さんに対してもかなり大きなダメージになっていると思っております。
 同時に、ネット上の海賊版は、正規購入者・愛好者に対しても、正規版を買うのはばからしいとか、どうせただで見ることのできる作品だというような風潮を広げていきますので、モラルの面でもゆゆしい問題が出てきているという認識をしております。
 こういうネット上の海賊版対策は、一旦、海外のファンを経由するということがあるものですから、現行の著作権法では取り締まれないことになっております。よって、やはり政府間の交渉など外交力を前に打ち出してくるようなことをしないと、このままの状況が続くんではないかと思います。
 法律的には限界はございますが、技術的には若干明るい兆しが見えておりまして、昨今、これはNEDOの助成案件ですが、PSSの動画検索システム(今パテント申請中)の技術が出ておりまして、こういう新しい技術で海賊版に対する一つの抑止力をつくっていきたいという動きがございますので、これについてはぜひとも省庁の連絡会等で取り上げていただいて、多分各省庁は様々な研究案件あると思いますので、そういう助成されているものの中で使えるものがあれば、すぐに使っていくというような連動を見せていただきたいと思います。
 いろいろな方にこの件についてお話しをしていますが、多分、どれか一つの方法がすべてではなく、様々な方法をいろいろやっていく方が良いという認識を持っている方が非常に多いようです。ですので、そういう研究状況について情報を集約するということも今後必要になると思っています。
 いずれにしても、『海賊版は許さない日本ブランド』のイメージを構築することで、正規版の購入者・愛好者が安心して健全に楽しめる世の中をつくり上げていくことが現時点では急務だというふうに考えております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

○久保利会長 では、里中委員、お願いします。

○里中委員 ほとんど思っていることと同じようなことを今、久保委員がおっしゃってくださいましたし、角川委員のほうからも似たようなお話がありましたが、すみません、非常にわかりやすい図ですので、後で読んでいただければと思いますが、知的財産というのは、先ほどもお話がありましたが、有形のものだけじゃなくて、無形の、むしろ技術とかシステムですね、そういうものを胸を張って織り込めばいいんじゃないかなと思っております。
 私のマンガの分野では、今、久保委員からもお話がありましたように、今やインターネット上での違法配信というのが非常にはやっているという言い方はおかしいんですが、それに対して困っております。著作権ビジネス上の経済損失、これは計り知れないものがありまして、紙媒体での違法コピーとは比べものにならない影響が今後ますます大きくなっていくと思います。ですから、久保委員からもお話がありました防ぐための技術の導入、これをみんなで協力してやっていくと同時に、攻撃は最大の防御とも申しますし、積極的にWeb配信に取り組むという考え方をみんなで進めていくことが大事かと思います。
 つまり、マンガというのはビジュアルなものですから、世界のすみずみまで届けるのには、紙媒体ではなくても、むしろネット上で配信するほうが有効な場合が多いんですね、流通の問題も含めまして。ですから、そういう考え方の切りかえということを業界と公が一緒になってやっていくということが大事かと思います。
 今、取組を進めておりますが、文化庁のご協力をいただきまして、マンガの原稿のデジタル保存ということを進めておりますが、それをまた配信していくことによって、広く、古いマンガは古いマンガで、日本のマンガの、よその国の例を申し上げるとあれですが、大英博物館とかルーブル美術館のような存在、つまりマンガの歴史、アニメの歴史、それとともに、新作のWeb配信、これは出版社とも取り組みながら、新しい見せ方ということを国を上げてやっていく。つまり、よその国がこうだからこうやるというんじゃなくて、我が国はやはりすべての面を含めまして、我が国ならではの技術と取り組み方を自信を持って世界に発信していく時代が来ていると思います。
 昨今話題になっておりますエネルギー問題にしましても、様々な形で新しいエネルギーを生み出す努力を企業の方がなさっているわけですが、どうも私たち一般消費者から見ますと、国の政策から見えてくるものは、いかに石油の安定確保かという、そこが大きく見えてきちゃうわけですね。それよりも、石油にかわるエネルギー、しかも環境にやさしいエネルギー、継続して使用可能なエネルギーを生み出す技術というのは我が国は持っているはずなんですが、世界に向けて、先駆けて、我が国はこれでやっていくということをもっと宣伝して、企業を応援してもいいんじゃないかなと思っております。
 この絵の下段で、日本は著作権ビジネスに大変慎重なんですが、慎重さゆえに手間がかかると思われて、ちょっと暗礁に乗り上げている部分がありますが、だからといって、契約を簡単にするというんじゃなくて、こういうことを経なくても堂々と日本から配信できる。そのためには、角川委員が常日ごろおっしゃっていますように、我が国にちゃんとサーバを置くということも大事だと思っております。
 とにかく、さっきもお話ありました窓口がわからないということも含めまして、具体的に一般消費者の方、ユーザーの方にわかるような見せ方をするということがまず大切かなと思っております。

○久保利会長 ありがとうございました。
 では、重延委員、お願いします。

○重延委員 重延でございます。
 私の立場からは3点で、一般論の立場と、CoFestaのエグゼクティブプロデューサーという立場と、放送という立場でお話しをさせていただきます。
 まず一般論、丸1というところで、日本は意外に魅力的な国であるという印象をさらに持たれているというか、外国の方々からそういう印象を伝えられているという気が今いたします。日本の魅力、信頼できるとか、技術に安心感がある、基本的教養がある、心やさしい接待、そして感覚が新しいというところとか、おいしい食べ物とか、デザインがよいとか、それから四季があるとかいうようないろいろな言葉が出ていることは事実で、特に最近、この一、二年といってもいいぐらいですが、とてもその魅力に対して語る人が多いということは事実であります。
 私もイタリアへこの前行きまして、ミラノのコルソ・コモ通りというのがあるんですが、有名なセレクトショップがあって、そこはもういきなり玄関はよしず張り、カフェは漆のお椀、そういうようなものです。通りが夜10時からお客さんが満杯、ウィンドウには着物姿、そしてTシャツはジャパンアニメーションみたいなものの感覚、こういうものがあふれています。そこに若者たちが集まっている。これは事実です。
 それから、ヴィム・ベンダースが最近「ミソスープ」という映画の製作に入ったと聞きました。それから、先週京都に行ったら、京都に外国人のお客がとても増えた。日本旅館に泊まっている。こういうような現象、明らかにニュージャポニズムが起きている、このチャンスを逃がしてはいけませんねという気がいたしました。
 若い杏さんという渡辺謙さんのお嬢さんは、外国に行って、「今、日本がブームだ」と言っておりました。そういう言葉のほうが信頼できると思いますが、そういう時代であるという感覚をしっかりつかまえませんかということです。
 それから、2番目にCoFestaのエグゼクティブプロデューサーとして申し上げます。
 今年は「ニューヒューマニズム」というテーマ、それは人間にとって魅力がある、環境も含めて、そういうテーマを標榜しつつ、ゲーム、アニメ、マンガ、キャラクター、放送、音楽、映画を通して日本のコンテンツを魅力的なものであると国際的にうたいたいという2年目でございます。
 昨年80万人くらい集客いたしましたが、今年は9月30日火曜から10月28日までと、期間を少し短くいたしました。現在、15オフィシャルイベント、これは中心になるオフィシャルイベントで、関東中心です。それから、9パートナーイベント、これは全国展開と実験的イベント。
 これに関しまして、皆さんの資料の中に、15日に記者発表した全資料がございますけれども、どういうイベントが入っているか、どういうコンテンツがあるか、どういう人たちがこれに参加しているかを見ていただければと思います。とてもセンスのよいものにしたい、そういう感覚で進めておりますし、今年は表参道エリアを10月6日からCoFesta一色にします。ここでは、BtoBが中心のイベントですけれども、BtoCにもさわっていくようなという展開です。10月16日に表参道ヒルズを借り切ってグランドセレモニーをいたします。そして、17日が東京国際映画祭のイブ、18日、東京国際映画祭のオープニング、そして20日にはサプライズイベントと。まだ発表できません。
 こういうことで巻き込んでいくCoFestaにしたいと思いますが、昨今の秋葉原の悲しい事件を含めて考えると、やはりとても日本のそういう環境がよくなる、人間の気持ちがよくなる、そういうことを含めて、おもしろいCoFestaにしたいと思っています。
 それから、クリエイティブを重視したいということで、人材育成、これは大きなテーマにしたい。そしてさらに国際性をというように考えています。
 それから、3つ目の放送に関しましては、放送と通信の連携というようなことが大きなテーマで動いておりますけれども、実際に放送界では、それに加えて視聴者の心理の変化、こういう社会での視聴者心理の変化、それは広告界にも大きな影響を与えておりますが、これが重要な構造変化です。
 その中でどういうコンテンツをつくればいいのか、そのことは真剣に考えられて、ただ、よく放送コンテンツは国際的に向いていないという言われ方があるんですが、私の感覚では、7月にカンヌで行われるMIPTVにも参加しましたけれども、ある面では非常に高く評価された。それは何かといいますと、放送コンテンツの流通に関しましては、一時期は番組を販売する、そういう時代が第1期だと思います。実は第1期は終わっておりまして、第2期、フォーマットを販売する、売り買いですね。つまり、番組のつくり方を販売する。この時代でずっときていたんですが、今年は第3期に入ります。それは何かというと、アイデアを販売するということです。このアイデアというところに関して、世界は非常に日本のコンテンツに注目しています。特にバラエティに注目しています。
 一つの象徴的なことは、「脳カベ」というフジテレビのある番組の一コーナーがヨーロッパでは30分番組、そういうような番組でレギュラーで放送され、この前BBCと契約なさいましたよね、フジテレビさん。そういうようなアイデアの売買、これが注目されて、海外の放送関係者は日本にテレビを見にきています。私もフリーマントルメディアという欧州最大のコンテンツ会社、製作会社と提携しましたけれども、彼らが言うのは、アイデアを考えて、一緒にグローバルにしましょうということでございます。こういう発想が起きているということを報告させていただきます。
 そして最後に、人材育成は急務であるとともに、育成だけじゃだめで、保護してくださいと。やはり制作者全員が言っていますが、もう耐えられませんという時代に入っておりますので、このことに関しては、民間に任せるということも重要ですけれども、行政的措置が何か必要な時代に入っていますよということだけ提案させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 では、関本委員、お願いします。

○関本委員 ちょっと私、提出文章の前に、NHKで4月から始まりました「東京カワイイTV」というのが深夜にやっておりまして、ご覧になった方はいらっしゃらないと思うんですが、名前からイメージされるように、東京での例えばファッションとかアキバとか、若い人が好むような事象を紹介しているんですが、企画段階でパイロット版を売り込んだところ、香港のテレビ局から共同制作で乗れないかという話が来て、放送がもう始まってからも台湾や上海からもコーナーを売ってくれないかと。間に自分の国のキャスターが立つと。そういう意味では、コンテンツ自身がいいというよりも、日本のブランドに興味、人気があって、そういうものを番組として使いたいという申し入れがありました。
 そういう意味では、いろいろなブランドが融合していく一つの象徴かなと思って紹介をさせていただいたのと、共同制作方式とか、向こうの国がこういう素材を使うということになりますと、イメージでいうと、日本の地上波で放送される。つまり、CSの200チャンネルの一つに入るんじゃなくて、地上波で放送される。あるいは、200チャンネルの中でも最初の10チャンネルの中に、向こうの国がやるわけですから、放送されるということで、広がりが大きいという意味では、販売よりも共同制作方式のほうがいいのかな。あるいは、NHKは国際放送を始めますけれども、多分大概の国では100チャンネルから200チャンネルの間に入っちゃうので、こっちのほうが多分その国の人は見てくれるのかなというふうな気がして、ちょっと紹介をさせていただきました。
 それから、私、3つ書きましたけれども、違法コンテンツのところは久保さんたちもまさにおっしゃっているとおりで、アニメなんかが非常にアメリカなんかでも被害を受けている。ここは国で何とかしていただきたいと思いますが、もう一つ、規制緩和をどうやって進めていくか。特に、東北アジアにしても、EUにしても、カナダにしても、規制というのは非常に厳しいですよね。ただ、ヨーロッパ、カナダはドラマというのは余り売れない。逆に言うと、日本は自由なんですけれども、ヨーロッパのテレビドラマというのはNHKでもほとんど、ここ10年民放さんもやっていらっしゃらないと思いますけれども、視聴率がとれない。逆に、日本のドラマを向こうに売ろうったって、そんな簡単に売れない。そうすると、やはりアジア、韓国、中国も含めて、ドラマというのは影響力が大きくて、やはり「冬のソナタ」で日本人の韓国観というのは一変しましたし、その後のDVDの売れ行きも含めて、いろいろな市場ができてきた。
 という意味では、ぜひここのところは進めていただきたいと思いますが、これは、歴史問題も含めて大変難しい問題なので、国でぜひやっていただきたいけれども、時間はかかるでしょうと。その時間がかかる中で、丸1の(い)と書いてありますけれども、ちょっと今、僕は注目しているんですが、浅田次郎さんの「蒼穹の昴」というのをドラマ化しようというので日本から持ち込んだら中国のテレビ局が乗って、ただ、ラテ省に出すときに、中国が提案したことにして出したほうが通りやすいと。中国のプロダクションが出して、通ったところで世界に売りたくて、日本側が乗ってきたというふうな形式でやれば通る可能性があるというので、なるほどそういう方法もあるのかというので、ちょっと当面はそんな方法も使いながら、知恵と工夫でやっていくのかなと。
 (う)というのは、ちょっとそれを国がやるところの、ある意味では民間でサポートできるかなという意味でちょっと書いたんですが、実は僕、サンダンスなんかやっていまして、アメリカのプロデューサーとか、それから、さっき出たけれども、MIPCOMのディレクターたちに聞いて、やはりアジアの日本、香港も含めて遠いんだよと。そこで集中的にやってくれないと、何回も行けないよとよく言われるんですね。実は、MIPはリード・ミデムという会社がやっていますけれども、ここが香港でMIPアジアというのをやろうとしたら、系列企業がシンガポールでやっているので、また香港でやってもしようがないよというんでつぶされたらしいんですね。
 そういう意味では、アメリカや欧州の感覚でいうと、ここに書いてあるような5カ所というのは非常に近い都市で、1時間で飛んでいけるようなところですから、そういうところに何かいろいろなものを集めてできないかと。そういうことを模索しながら、例えば日・中・韓、香港を含めた連携が強まっていかないかと、それは長期的な戦略ですけれども、そういうことができないかなというのでちょっと書かせていただきました。
 それから、ちょっと飛ばしますけれども、実はNHKのBSの波が2011年から1波をプロダクションさんのプラットフォーム化をしますという提案をしたら、ATPさんが総務省に意見を出された中で、例えばNHKは50%で予約購入してくれると。あとの50%ぐらいはファンドでつくれるようにしてくれないかと。さっき育成という面、プロダクションさんには、我々は非常にお世話になっておりますが、そういう提案をされました。ただ、50%のファンドというのもなかなか難しいなと思って、ちょっと書いてあるのは、一つは、ファンドをつくるときに、やはり寄附とか税制優遇措置も含めて何らかの支援ができないのかなというのが一つの意味合いです。
 それから、下の投資会社にも関係してくるんですが、そこに書いてありますけれども、いろいろな国がいろいろな形の支援策をとっています。これはもうほとんどの国がコンテンツに対して、例えばプロダクション育成のためにいろいろな形の支援策をとっていますが、同時にやはり、単に支援だけではなくて、そのコンテンツを海外に発信していくには、やはり大きな配給会社、投資をするような配給会社をつくっていかないと、アメリカの4大メジャーとは言いませんけれども、イギリスなんかでも、例えばBBCのワールドワイドとか、フリーマントルとか、それからフランスもだんだん集約されてきていますし、今ジャンル別の配給会社から合従連衡して大きな配給会社というのがどんどんできてきて、これに対抗するためには、投資もして、そこのコンテンツを預かって世界に売っていく。そのほうが効率的な面もありますから、そういうことも長期的には目指していかないと、なかなか進まないのかなという気がして、ちょっと意見を書かせていただきました。

○久保利会長
 大変恐縮ですが、今までの方々、平均で約4分かかっておりまして、予定時間の倍がもう経過しております。大変難しいことはよくわかっておりますけれども、ぜひ手短におまとめいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○高橋委員 高橋でございます。ゆえあって締め切り間に合いませんで、本日、A4表裏1枚、席上配付とさせていただきました、おわび申し上げます。
 当会議の構成員に課せられたミッションは、戦略策定のためのアイデアを出すということだったんですが、残念ながら、ペーパーにはそういうことは書いてございません。私の関係している分野は、今、関本さんからお話がありました金融とかメディアの分野でございまして、そこではいろいろなことを考えているんですけれども、アイデアという形で出して、それを戦略という形でここでまとめることができるようなレベルの問題ではありませんので、書き始めたのですけれども、やめました。
 書きたかったことを簡単に申し上げれば、日本は今、投資資金を呼び込むために苦労しています。今回の骨太の方針にもいろいろ書いてございますが、現実には、コンテンツ、いわゆる企業等の無形資産を財務諸表にどうあらわすかということさえもできていない。放送コンテンツでいえば、NHKはデータベースがちゃんとしているけれども、民放は二次利用などを余り活発にやっていませんので、どこに何があるかさえわかりません。これは中村先生が座長の、コンテンツの取引市場をどういうふうにつくるかという総務省の会議で検討しておりますけれども、アイデアという形でご披露するには及びません。
 苦肉の策で、それらを進めるためにどうしたらいいかということをペーパーに書きました。以前、この会議で話し合われたものが知財の本部にいって、推進計画になって、そしてまた戻ってきたわけですよね。これを一つ一つ、骨太の方針とか、もろもろと突き合わせて読んだんですけれども、問題意識は2点です。
 一つは、関係省庁の連携について。連携というのは果たして発信をすることだけだったんだのか。6月5日の関係省庁連絡会議の資料が内閣官房のホームページにありますが、発信のことばかりが書いてあった。今日の資料も同様です。地域のブランドに関しての考え方などの記述にも違和感があり、こういう形で連絡会議をやっていくことに疑問を持ちました。第1回目の連絡会議は30分で終わっているようで、多分、説明資料を読んでいるだけで終わったと思うのです。内閣官房関係で調べてみたら、現在、連絡会議が100ぐらい立ち上がっているんですね。私もヒアリングにいろいろなところに呼ばれて、話をしてくれと言われるんですけれども、非効率と感じることもございます。今回、関係省庁連絡会議を立ち上げたのであれば、これをもっと有効に機能するようにしてほしい。先ほど生越委員からも、どこに連絡していいかわからないというお話がありました。6月5日に第一回の連絡会議をされても、その後人事異動があったりして、なかなか情熱を持ってこの問題に官僚の方々に取り組んでいただけないおそれがあると感じ、あえて厳しいことを書かせていただきました。
 2つ目。関係省庁連絡会議と我々の専門調査会との関係図が6月5日の提出資料にありましたので、コピペして載せましたのでごらんください。まず、関係省庁連絡会議で何をやるのか。JETROさんとか、いろいろな調査結果をヒアリングなさるんだと思うんですが、それを分析したものをこちらの会議に報告して、ここで戦略をつくり、それに基づいて省庁連絡会議がアクションプランをつくることになっていますが、スピード感が余りにもなさ過ぎるのと、問題意識が共有できないのではないかという危惧を持ちました。私が関係している幾つかの有識者会議で行ってますが、重要な問題であれば、有識者とか専門家と関係省庁が、一堂に会して、進捗状況も確認しながら、公開の席上できちんとやることで物事が進んでいくというふうに思います。この日本ブランドに関する会議も、もう少し生産的に進むような工夫をしていただけないだろうかという視点で、ペーパーを出させていただきました。
 よろしくお願いいたします。

○久保利会長 ありがとうございます。
 中村委員、お願いいたします。

○中村委員 戦略というからには、総花的ではなくて方向性を持ったものだと思います。私は4点提案をします。
 まず、1点目、ジャンルとして強みへの集中ということです。弱点を克服するというよりも、強みを強化する。マンガとかアニメ、ゲーム、あるいはケータイコンテンツのような分野に政策資源を集中投下するのがよいのではないか。
 それから、2点目、輸入施策の拡充。「輸出のためには、まず輸入」と書きました。言いかえれば情報発信のためのまず国内の整備ではないかと私は考えます。日本をポップカルチャーの本場とするための国内を強化する策を講ずるということで、例えばポップカルチャー市場の形成とか、企業・人材の外からの受け入れ促進のような海外からの流入策を充実させて力をつけるという方向です。
 米印のところに幾つかアイデアを書きました。これは今お話のあったようなコンテンツ取引市場の形成、先月、情報通信審議会で答申を出しましたけれども、これから産学連携の実験を始めます。また、国内における国際イベント、CoFesta以外、あるいは1−3に載っているようなもの以外にもコミケ、コスプレサミット等のイベントを拡充していくというようなことが挙げられます。
 3点目、メディア融合の推進という少し長期の課題であります。コンテンツを強化するためには、まずメディアを発展させるというのが必要ではないか。例えば、通信放送法体系を見直したり、規制緩和をすることなどによって、メディアやコンテンツのサービスがより柔軟に提供・利用できるような国内の基盤を整備する。一方で、国内産業力を弱めるような規制は控えるという方向性であります。例えば、今議論をしております情報通信法という規制緩和法を策定すること、あるいは今拡充手続中であるユビキタス特区を拡充していくということですとか、各地で実験の準備がなされているIPモバイル放送やデジタルサイネージのような新しいサービスの環境を整備していくといったことがございます。
 4点目は長期的な課題として、創造力・表現力の底上げ。日本の強みのコアは国民全体の絵心にあると私は思います。日本のブランドを形成する源であるこういった創造力や表現力といったものを長期的に維持、発展させるために、国民全体の創作活動を拡充する。例えば、私自身子供がアニメをつくったり、音楽をつくったり、それらをデジタル技術で発信したりするような活動をやっているんですけれども、そういった全国的な活動を支援していくということが必要ではないかと考えます。
 以上、2分です。

○久保利会長 ありがとうございました。ぴたり2分でありがとうございます。
 中山委員、お願いします。

○中山委員 ここで言われているジャパンブランドというものは、本来の意味の知的財産ではないわけですけれども、私は知的財産法の専門家ですので、本来の意味の知的財産、つまり商標についてお話をしたいと思います。
 商標、これは日本の商標を強くして、海外でも確立しなければいけないのですけれども、特に団体商標が今問題になっています。団体商標はつくってみたり、やめてみたり、つくってみたり、いろいろ試行錯誤して、今回どうもやっとうまくいきそうなので、何とかこれを育てていってほしいと思っております。今問題になっているのは、国内だけではなくて外国でそれが取られてしまう、特に中国あたりで取られてしまうという問題であります。日本の地名などが外国で商標として取られてしまうのは、ある程度はやむを得ないといいますか、日本の商標、あるいは商号にも外国の地名はいっぱいあるわけですから、ある程度は仕方がないのですけれども、しかし著名な地名、特にそれと関連した地域団体商標、これは外国でも確立する必要があるし、あるいは外国で取られてしまったものを何とか無効にするという努力をしていくべきだと思います。これは既に特許庁やJETROでも対応を進めておりますけれども、これをどんどん強化してほしいと思います。
 以上です。

○久保利会長 南場委員、お願いします。

○南場委員 大変簡単なペーパーになりましたけれども、最近の政策は安心・安全という言葉に象徴されますように、守りの方向に偏重され気味なのではないか、傾いているのではないかと思っています。景気・経済面、あるいはビジネス面での攻めの施策というのが全般的に遅れているのではないかと考えます。
 そのときに、先ほどの中村先生のお話と同様なのですが、強い分野に的を絞って政策投資をしていくべきではないかと思います。海外での生活の経験も踏まえて申しますと、日本の圧倒的な強みの一つに、細部にまで非常に配慮が行き届いた洗練された品質の高さということがあると思いますが、それが特に食、ファッション、サービスにあらわれていると思います。こういった部分の世界における日本の地位の向上というところに思い切り的を絞って施策を打ってはどうでしょうか。
 その具体的な施策のアイデアはペーパーに書かれていませんが、欧米の国を見ると、コンベンションですとか、あるいはイベント、お祭りというものを活用して盛り上げることが非常に上手な感じがします。当社ディー・エヌ・エーはeコマースに携わっております中で、ファッションに関してJFWの動きを見聞きして参りましたが、日本ではJFWはかなりの成功事例なのではないのかなという印象を抱いています。
 先ほどの太田委員のお話と重複しますが、私どもがJFWを成功と捉えさせて頂く理由として、官民の取組みとして商売に結びつけようという意図が非常に明確でしっかりとしているというところです。JFWが始まったときは割と民間のほうも冷やかな目で見ているところは実はあったと聞いています。要するに、経済産業省を中心としての本取組みについては、国が一体何ができるのかというイメージがあったようです。それが何年も続けていくうちに変わってきました。JFW担当の行政官の熱意が一つの大きな成功要因だと感じています。これはたまたまかも知れませんし、異例のことと聞いていますが、担当の課長が4年以上人事異動がない中で、大いなる熱意を持って一つ一つの日本のアパレル関係、繊維関係の会社に働き掛けをしていました。そこでこれは国も本気で取り組んでいると思った民間がついていったという部分があったのではないかなと思います。
 一つのイベントを立ち上げて定着させるには少なくとも四、五年かかるわけです。官民の取組となると、民間側もそうですが、官のほうも熱意を持ってしっかりと取り組む人物が必要であり、しかも自身の立場ではなく、最終的には人に対する信頼、あるいは人と人との信頼関係というのがあらゆる企画や商売では極めて重要になってまいります。今の人事異動が通常キャリア官僚ですと2〜3年でかわってしまうという前提で、先ほど高橋先生もおっしゃっていましたように、落ち着いた取組、一つの世界に存在感のあるような企てをしっかりと立ち上げるというのがなかなかできない状態なのではないでしょうか。民の側から見ても、どうせ2年間でかわるんだよねと、立場上やっているだけだよねと、前の人は熱意があったけれども、今度の人はどうかねとなってしまいます。
 このJFWはたまたまいろいろな事情で、非常に異例の課長の長期の取組というのが一つあったと思います。官民で企てをするときには、民間の側のストレスとして人事異動があるということを明確に申し上げておきたくて、そういった取組をするときには熱意のある行政官の長期の取組を可能にしていただけないかということが申し上げたい点でございます。
 あと大衆文化の部分がアニメ、ゲーム、マンガ、それからケータイコンテンツ、あるいはサブカルチャーの面も含めて、日本が突出して強い部分であります。これが2番目の「先端の大衆文化」と書いた部分です。当社はケータイのサービスやコンテンツの運営をしており、中国に進出をいたしました。すると、中国人の好みは日本人とちょっと違っていて、コンテンツが満載のサービスが好まれることがわかりました。そこで我々もコンテンツを早急に充実させていこうと、ニュースや占いなどのコンテンツを買ってこようとしています。しかし、競争相手がすべて中国の現地の法人です。中国では、権利や特許面についてのルール決めが成熟途中であるため、簡単にコピーが横行しているという状況にあります。その中で、なかなかフェアに競争ができないというのが当社ディー・エヌ・エーが中国で苦労している大きな要因の一つであります。
 今の事例はディー・エヌ・エーの特殊な例かも知れませんが、このように、日本で強い、あるいは独特な発展を遂げている文化の産業としての国際進出などを考えたときに、各社様々な要因で苦労をしているはずです。残念ながら例えばケータイコンテンツの領域で言うと、日本企業は欧米やアジアの進出でどこも大きな成功をしていません。それについてなぜなのかということの調査をしっかりとして、共通の問題に対しては対策を立てていただきたいと思います。
 調査をしっかりやっていこうという点はすでに言及されましたが、イメージ調査などだけではなく、我々のような担い手が海外に進出をしたり、国際的に存在感のあるプレーヤーになろうとしたときの各社それぞれの苦労を調査、ヒアリングをしっかりとして、共通項を見出して国費を投入するなどの有効な手が打てればと思っております。
 以上です。

○久保利会長 服部さん、お願いします。

○服部委員 私のは12ページをご覧ください。食文化先進国としての日本ブランド確立に実はどうしても不可欠なのが調理師の存在なんですけれども、倍増計画を立てろというふうに今から4年ぐらい前に私も総理から言われました。
 ただ、一つここに書きましたのは、私どもの学校を卒業したら、即留学生は帰国しなきゃいかんのです。専門学校生はだめでも、大学生はオーケーなんです。ところが、専門学校でなければ調理師というのは養成してないわけです。それなのに即戻らなきゃいけないということは、就職という形でいろいろな職場で食文化を手に入れると思うんですけれども、そういった経験もなしに帰らされると、結局はせっかく習ったものがいかされず水の泡というようなことになります。今日、調理師学校に留学生が何でこんなに来るようになったか。 例えば、私の学園なんかは140名も来ています。今韓国からはそのうちの80%がそうで、あとは台湾とかフィリピンとかから来ているんですけれども、この人たち、かわいそうに何で卒業後すぐ帰らなきゃいけないんですか。風俗に行くわけじゃないんですよね。日本の感覚から言うと、こういう技術を持った人でも風俗に入るんじゃないかということをよく言われます。関連している省庁は法務省、これは入管関係がありますけれども、警視庁、それと文部科学省に外務省に東京都も関連しておるわけです。ですから、そこのお役所に話を持っていくと、ほかのお役所に持っていきなさいよと、うちだけじゃ無理だと。私はいつもだれがまとめてくれるんですかと思うのです。だれもまとめてくれる人が今のところいませんので、この会で関係省庁の連携を強化していただいて、これからは分野横断的にというお話がありますので、この困った状況を真剣に取り上げてくれるところがこのコンテンツの日本ブランドの省庁間の連携だと思っております。
 私もフジテレビさんのおかけで、今から14年ぐらい前から始まりました「料理の鉄人」、8年前終わりましたけれども、現在オーストラリアで毎週、アメリカでは毎日放映されております。タイもそうですし、いろいろな国で放映されているんですが、鉄人だった我々はアメリカやオーストラリアから呼ばれるんです。マスメディアというのは強いなと思ったのは、「料理の鉄人」の私の場合は解説者なんだけれども、僕も鉄人だと思われているらしくて、いろいろな国で呼ばれて、いろいろな料理の解説をやってきたり、日本の文化を伝えてくるという仕事はしているのです。
 その影響もあって、それでうちの学校に多くの留学生が来るのですが、今調理師学校は270校あり、私が会長をしているんですけれども、(社)全国調理師養成施設協会があります。そこに毎年大体1万2,000名が通ってきています。そのうちの1割近くが留学生なんですね。しかし、みんな大挙して帰らなきゃいけない。これを何とか解決するには、どこかでお聞き入れいただけるような省庁がないものかと。しかし、非常にうれしく思った次第なんですが、ぜひここでも取り上げていただいて、1つは、卒業後、就職できるように。2つは、調理師は食のプロですが、昔の法律だと「お茶」、「お花」と同じような「お料理」の扱いになっているので法律が時代に合っていないことも問題です。そこで、各省庁にこういったことが図れるように、実は最後に申し上げますが、これは昨日届いたんですが、フランス大使館からフランス政府留学局日本支局、局長、フランク・ミシュランさんから連絡がありまして、フランス共和国特殊技能滞在許可証発行に関する件ということで、実はある特別待遇を要する人に限り、今回特別許可証を発給すると、これが来ました。今彼らもそういう技術を持った人であるとか、日本なら日本の人たちにこういう人を紹介してくれと、ぜひ受け入れると、家族まで受け入れてもいいぞと、そこまで特別につくった法案だそうです。ですから、こういうような特殊技能滞在許可証というか、こういったものを日本でも早いところ許可していただかないと先には進めないなと思っております。
 よろしくどうぞ。

○久保利会長 ありがとうございます。
 あとでまた議論をすることとして、ご説明のほうを先へ進みたいと思います。

○廣瀬委員 廣瀬でございます。
 音楽の世界についてお話させていただきます。
 音楽の世界に関して、日本の強みと弱みはどこにあるのかということ、そういう中で今国際化という観点では例えばどんなことがなされているのか。3番目は戦略的方向の可能性のあるところはどうかというようなところをお話ししたいと思います。
 ブランドをもう一段掘り下げるという意味で、前半5行目か6行目にブランド、これはノットイコールになっておりますがイコールでございます。表現、技術、素材、標準というようなものから構成されているだろうと、このように考えられます。この中で日本の強いところは実は過去を見ますと、音楽の世界では技術でございます。弱いところはどこかと申しますと、素材でございます。素材はなぜ弱いかと申しますと、音楽の素材は楽曲、曲と歌詞でできているわけですが、歌詞がどうしてもほとんどが日本語でございます。そういう意味では、国際的理解を得られるというところで大きな壁がございます。
 表現については、ご存じのとおり日本の演奏家は十分世界で通用する表現力を持っておりますので、その意味では十分コンペティティブだというふうに思っております。
 一番重要なのは標準でございますが、標準に関してはどうなっているかと申しますと、長い間音楽は12音で表現されておりますから、西洋音楽の基本が音楽の標準となっております。それがこれからいろいろな展開をしてまいります。そこに日本として非常に重要なポイントがあるんじゃないかと思います。
 2番目に、今それではどんなことをやっているかと申しますと、幸いなことにインターネットが出てまいりまして、音楽の流通が非常に容易になってまいりました。ごく最近にやりましたのは、iTunesを使いまして、美空ひばりの楽曲を世界配信いたしました。従来世界配信しようと思いますと、あちこちに販売組織をつくり、そこを経由してやらなきゃいかんのですが、今や基本はiTunesという話をいたしまして、放り投げるだけで世界中に広がると。残念なことに、日本語でございますので、ダウンロードしていただいているのは海外の在留邦人の方々でございますが、そういう意味ではこれからの国際流通ということに関しましては非常に手軽になってくると思います。確かに、アーティストの中ではそういうことをレコード会社のこれからの仕事として期待してくれているところがございます。
 強みの点から申しまして、先ほど技術を申しましたが、各音楽の世界で比較的世界的な強みを発揮しましたのは、ご記憶にあるといたしましたらYMOというグループでございますが、これはなぜ世界的に通用したかと申しますと、当時電子楽器が出てまいりまして、シンセサイザーでございますが、出てきました。この日本の電子楽器が技術的にすぐれていたから、それを駆使して音楽表現ができたというところもございます。
 最近で申しますと、なかなか海外で活躍している音楽系のアーティストを見るのは難しいんですが、実は隠れて広がっておりますのがDJでございます。日本人のDJがアメリカ、ヨーロッパ、各地で活躍しております。その理由は何かと申しますと、DJプレーヤーは基本的に日本のDJプレーヤーがスタンダードになっているわけでは。これも日本の技術がスタンダードになっているがゆえに、日本のアーティストが世界的に通用しているというようなことでございます。
 さて、一番近いところを見ますと、どういう状況になっているかと申しますと、iTunesをご覧いただきますと、ネットワークの上で音楽配信をしますiTunesが基本的に世界的に非常に強い影響を持っております。この点はどういう問題があるかと申しますと、先ほどちょっとお話が出ていましたけれども、我々が日本で音楽をアップロードいたしますと、それはアメリカのサーバに入ります。つまり日本の我々がつくりましたコンテンツが海外の国の中にしまわれる。それが法的にどういう扱いがされるかということがまだはっきりはしておりませんが、ひょっとしたら現地の著作権法が適用されるんではないかというような危惧がございます。
 実はiTunesは音楽配信の標準になろうとしております。一番申し上げたいことは、日本の標準を世界の標準にすることが一番ブランド的に強くなるんではないかと思っております。過去の事例を見ますと、ウォークマンがそうでしたし、ごく近いところはゲームマシンがそうですね。任天堂、あるいはソニーのゲームマシンが世界的標準になっているがゆえに、日本のゲームが非常に強いところにございます。そういう意味で考えますと、ぜひともこれから戦略的に展開していきたいのは、今後も音楽の技術的なファクター、非常に大きな力を持つ音楽配信に関して、何とか日本の標準的なプラットフォームを世界の標準にできないかというところでございます。
 それに可能性があるのかないのかですが、実は音楽の世界を見ているとわかりませんが、音楽以外の世界を見ますと非常に強い可能性がございます。実は任天堂のDSというゲームマシンがございます。世界中に数千万台流通しております。アップルはiTunesを広げるためにiPodをゼロから売り出したわけですね。ところが任天堂のDSは既に数千万台ございますから、ひょっとしてDSターゲットの音楽配信、あるいはコンテンツ配信ネットワークがつくることができましたら、標準化することができますし、もう一つはクローズドなシステムですから、先ほどから議論があります違法コピーというようなことがかなりコントロールできると、このように思っております。

○久保利会長 ありがとうございました。
 三尾委員、お願いします。

○三尾委員 私のほうから少し小さい字になってしまったんですけれども、日本ブランドの確立と発信ということで、日本ブランドとは一体何なのかという点、それと日本ブランドの確立をするためにはどうしたらいいかという点と、あとは発信という観点、以上の3つの点からお話ししたいというふうに思います。
 今、日本ブランドということで一般的に議論になっていますけれども、実際に日本のブランドとは何かという点を果たして私たちはしっかり認識しているんだろうかという点が非常に疑問に感じます。
 と言いますのは、中村先生やほかの委員の方もおっしゃいましたように、やみくもに日本ブランドを発信するということに力を入れるのではなくて、ブランドとして選択し、それに集中をするべきであるということは、まず最初に考えなければいけないと思うからです。
 私見としては、日本ブランドで一般的に言われていますのはアニメやコミック、日本食やファッションでございますけれども、実はもう少し別の観点でもっとみずみずしい才能の若い世代が発信するいわゆるポップカルチャーの最先端で代表されていますようなブランドではないかと、それが今後の日本の日本ブランドとして非常な成長力を持っているのではないかと思っております。何が今後成長していくブランドなのかをまず最初に調査をして、国や民間レベルで共通したイメージをイメージづける必要があるんではないかというふうに強く感じます。
 また、先ほど廣瀬委員のほうから世界標準という話もありましたけれども、日本が持っている技術の力、車や家電などが代表的なものなんですけれども、そのハードの面とコンテンツ等のソフトを組み合わせた形で融合して、日本ブランドとして確立して発信できるのではないか、非常にその辺りは可能性があるのではないかというふうに思っております。世界標準も取れる余地はまだまだありますので、そこにターゲットを絞ってハード一体化したソフトを開発していくということも大きな強みではないかというふうに思います。
 それと、確立と発信ということなんですけれども、私はこの確立が非常に重要ではないかと思います。確立というのは、少し長期的な視点で考えなければいけないのではないかと思います。長期的な視点と短期的な今現在強みを持っているコンテンツを具体的に今すぐ発信していくと、この二本立ての戦略を考える必要があるのではないかと思うからです。
 と言いますのは、先ほど申し上げましたように、今後の日本ブランドを背負う若い人材はまだまだ力が脆弱です。その人材をつぶさないで育成していくという仕組みがきちんと確立されなければ、日本ブランドの確立はできないというふうに思うからです。ですので、その育成をするという視点もかなり大きな柱として、発信の現実的な手段と同じぐらいの重みで考えていく必要があるのではないかというふうに思う次第です。
 発信につきましては、これまだ皆様がおっしゃったように、いろいろな手段があると思うんですけれども、国の戦略としてお願いしたいというふうに考えるのは、アジアを中心としてですが、発信の障害となる国が行っている様々な規制があったり、国レベルでの取り決めで自由に民間が動けないというような、そういう支障をできるだけなくしてもらいたいという点であります。
 あと発信の有力な手段としては、インターネット等を使ったオンライン発信を行っていく必要があるということとか、国際合作、共同制作の必要性とかはこれまで委員の先生方がおっしゃった内容となっています。
 最後に、これは何回も言われていまして、なかなか実現が難しいんですけれども、国際共同制作の場面等での、税制の優遇措置も考えていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○久保利会長 村上委員、お願いします。

○村上委員 では、私は民放という立場から2つお話をさせていただきます。
 1つは、テレビ局のビジネス面から見たブランド発信ということについて、ここのところちょっと新しい動きが出てまいりました。それはいずれも私どもにとっては大きなチャンスじゃないかなというふうに思っております。
 先ほど重延委員から、この件に関しましては番組販売、それからフォーマット販売に流れが来て、今はアイデアの売買の時期じゃないかという非常に明快な区分けをしていただきましたけれども、実は番組販売につきましても、ついこの間までは韓流ドラマがアジアの人気コンテンツの主流だったわけですけれども、これが非常にここのところちょっと退潮ぎみになったその反動があるんじゃないかとも思いますけれども、特に東南アジアで、うちで言えば「のだめカンタービレ」とか、あるいはイケメンの俳優さんたちが出ているライトタッチのコメディが非常にこのごろ出ていくようになりました。これは一つドラマ販売がまた少し活気が出てきたかなというふうに思っているところでございます。
 それから、もう一つ大きなことは、中国とか韓国では、よくこれまでいわゆる日本のテレビ局がやった番組を、言葉は悪いんですけれども、パクって、そのままつくりかえてやっちゃうというようなことがあったんですけれども、それについてもこのごろはようやくきちんと、リメイク権、あるいはフォーマット権を買い取ってもらっていく、あるいは先ほどNHKさんからもお話がありましたけれども、特に中国なんかはドラマは共同制作みたいな形で、ただ向こうがイニシアティブをとるというような形で、少しずつ正常化が始まったというふうに思っております。
 それから、フォーマット権につきましては、先ほど「脳カベ」の話をしていただきましたけれども、イギリスで始まると同時に同じくアメリカでもフォックスでこのフォーマット販売が始まって、これは一言で言うと、海外の、特に欧米のテレビ局のアイデアが向こうで枯渇し出しており、今日本に非常に熱い目が注がれ出したということで、これも非常に大きなチャンスじゃないかと思います。
 同時に、フォーマット販売だけじゃなくて、「料理の鉄人」なんかにつきましては、イベント権、いわゆるショーをやったり、あるいはホテルでのいろいろなイベントをやるときのイベント権なんかも売れ出したというようなことで、MD権、イベント権という新しいアイデアの売買、ここに広がってきたというふうに思っております。
 実は映画なんかにつきましても、今メジャーの日本支社、これが今洋画が非常に日本でだめだということで、逆に日本向けの映画制作というようなことに乗り出してきておりまして、アメリカでヒットした映画を日本流にリメイクするみたいな動きが数社で始まりました。これはまだあくまで日本だけの市場を考えておられるようですけれども、当然日本で大ヒットした場合は、もう一回それをグローバルなところに戻すというような流れも当然始まるのではないかということで、この辺についても我々は期待しております。
 むろんいろいろそういうふうに広がると同時に問題もございまして、特に東南アジアなんかにつきましては、ケーブルテレビがIPに流れていくというようなことで、当然放送と通信の問題で著作権の処理等がまた複雑になるというようなことはあるんですけれども、いずれにしても関係者がこういういいチャンスをぜひ未来志向でみんなで協議しながら、先に進んでいくということが今大事じゃないかなというふうに思っております。
 2番目は、これは皆様方ずっとお話しになっていることですが、いわゆる市場の環境整備が不可欠だというお話について、改めて私からも海外の発信を推進していくためには、国際的な枠組みで実効性のある不当コンテンツ利用への対策を講じてほしいということを、もう一回強調をさせていただきたいと思います。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤本部員、お願いします。

○佐藤本部員 日本ブランドの確立と発信という点について考えてみますと、国内のいわゆる内々、我が国の中での問題と内から外へ発信していく内外の問題、それから外から入ってくる外内の問題と外で活躍するという意味での外外の問題というふうに分けられると思います。
 その中で、今まで委員の先生方から内内、内外、外内についてのお話があって、私としては外外の点について1点絞って意見を申し上げたいと思っております。
 日本ブランドが本当に海外にアピールしていくためには、日本の文化や伝統の技術を考えて、多くの分野で活躍するプレーヤーを増やすということが外外の問題としては、非常に重要だろうと思っています。日本食といっても、なかなかいろいろなところへ行って日本食を食べてみると、本当にこれが日本食なのかということがたくさんございます。当然、日本食でも外国であればローカライズされるということで、その土地に合ったような形になる部分はあると思うんですけれども、それをしっかりとした日本の食だということがきちんと主張できるようなものが海外でもたくさんあるということが重要じゃないかなと考えます。
 なぜならば、韓国料理にしても、中国料理にしても、どこの国に行っても、なるほどこれは中国料理だ、これは韓国料理だというふうに思うレストランはたくさんございます。だけれども、なかなか日本の料理屋さんに行って、これが日本料理だよねというふうに外国人に紹介できるようなところが少ない。それは日本人のプレーヤーが少な過ぎるからじゃないかということをすごく感じるわけでございます。そういう意味で、これから若い人たちが海外に向かってチャレンジしていくというような人たちを育てていくということが今後のために非常に重要じゃないかと思っております。また、そういう人たちが夢を見れるように、成功モデルを彼らに示していくということも必要ではないかと考えます。
 一番大事なのは、外外で活躍している方たちをしっかりサポートしていくということが彼らの数を増やしていくために必要じゃないかと思っています。ジャパンブランド育成支援事業というような形で中小企業庁やJETROさん等がいろいろな形の支援はしていますけれども、こういう伝統文化・技術に基づいたビジネスについて、海外で活躍している人たちが本当に支援されているかというと、まだまだ手が薄いのではないか、そういう人たちをしっかり国が支援していくことで、海外おけるプレーヤーを増やしていくということが今後とも必要ではないかということを意見として申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 本当はこれは50分ぐらい前に終わって、質疑応答、議論というところだったんですが、ちょっと今日はさすがにそれだけの時間がないように思います。今日はもう一つ議題もありまして、デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会の審議の状況についてもお話を伺わなければいけませんので、限定あと10分ぐらいでしょうか、意見交換を行いたいと思います。そういう意味で、数限られていると思いますけれども、事務局からの説明や各ご報告についての質問、意見、これについてご発言のある方、プレートをお立ていただいて、1人2分ぐらいで簡単にお話をお願いしたいと思います。
 ございますでしょうか。
 特に委員同士で、どなたの意見に対して質問があるということでも結構です。
 中村委員、お願いします。

○中村委員 質問ではありませんが、皆さんのいろいろな意見やアイデアをお聞きしていまして、それを今後どう整理するのかという点で、今日お越しにならなかったのですが、17ページのスクエア・エニックスの和田さんの意見が非常に参考になるのではないかと思いました。
 ここでは1点目に、「『日本ブランド再構築の政策目的の明確化』と書いてありまして、何にどう力を入れるのかを明確にせよということをおっしゃっていまして、私もそのように感じながら聞いておりました。例えば、ポップカルチャーなのか伝統文化なのかとか、国内重視なのか海外重視なのかとか、ツールとして産業政策でいくのか文化政策でいくのかといったことを整理する必要があるかと。
 それから、2点目も大事だと思って私は拝読しました。検証可能な目標を設定するということが必要ではないかと、そうじゃないと掛け声倒れに終わるんじゃないかという指摘であります。例えば、ブランド構築の政策を進める結果として、日本製品のシェアとか日本のコンテンツの輸出額を何%アップさせるんだとか、あるいは日本の海外における好感度を何%アップさせるんだといったいろいろな指標はあり得ると思いますけれども、そういったものを設定していく努力があってもいいかというふうに思いました。
 以上です。

○久保利会長 おっしゃるとおりでしょうね。
 ほかに。
 久保さん、お願いします。

○久保委員 端的に、私が委員をやっています文化庁主催の文化発信戦略の会議がございまして、その会議でもたびたびお話し申し上げておりますが、ポップカルチャー、マンガ、アニメ、ゲームの中には伝統芸能をバックボーンとしてつくられた作品が数多くございます。そういう意味では、新しいポップカルチャーを打ち出すと同時に、その背景にある伝統芸能、伝統文化といったものを重層的に海外に発信することが可能ではないかなと考えております。作品によっては両方打ち出すこともできるのではないかというふうにも考えております。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 三尾委員。

○三尾委員 先ほどの日本ブランドのイメージをという点なんですけれども、今現実に活動されている様々な業界の現場の方々にヒアリングをして、今どういう状況なのかというのをお聞きしたいなというふうに思います。その上で、ある程度皆さんの意見を聞いた上で、どういう形で戦略を進めていくかということがはっきりするんじゃないかなというふうに思います。

○久保利会長 わかりました。
 生越委員。

○生越委員 これから調査される際についての要望なんですけれども、今回のシンガポールと台湾の調査を見ていましたら、現地でどういうメディアが普及しているかという調査が足りないと思いました。シンガポールでは、現地の日本人については日本語のコミュニケーション紙による広告が一番効果がありましたが、シンガポール人に対する有効なメディアはよく分かりませんでした。台湾では台湾角川さんという出版社にもお邪魔したんですが、「台北ウォーカー」という雑誌を出していらっしゃいまして、8年経過して現地で定着されております。そういう意味で、各国ごとの広報に有効なメディア、こういった調査が非常に必要だと思いました。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 会長からの提案ですが、今日いろいろな議論が出ました。その中で、一つは制度論というか、制度論にいくもっと前の省庁連絡会議とこの会議がどういう関係、どういうコミュニケーションをとったらいいのかということについて、いろいろご意見が出たと思うんですね。これはちょっと事務局と相談しますけれども、要するにまず一つは窓口が一体どこなのかわからないとか、省庁連携はよいけれども、結局窓口が幾つもあって、それを連携されているところにぐるぐる回されても何も解決しないという服部委員のお話もありました。
 それから、第二は官庁の人事政策にわたる問題で、この会議で果たして決定ができるものかどうか、わかりませんけれども、役人が2〜3年でかわるのはけしからんというお話もございました。あとは税制とか様々な支援制度の問題、これもありましたので、これはこれで一つまとめて、具体的に事務局と会長で少しポイントを絞って詰めさせていただくということをご提案したいと思います。
 あとは総論の部分で、強みへの集中という中村委員のおっしゃったとおり、それは皆さんが皆さん賛成していますが、何が強みなのかということについてはまだ決まっていないので、これについてはまだ次回以降ヒアリングも含めて、三尾委員がおっしゃったようなヒアリングも含めて継続をして進めていきたいというふうに思います。
 あとは海賊版対策とウェブ配信のサーバ問題という問題がかなり大きい問題というふうにして提起されておりますので、これはこれで次回以降取り上げていきたい。あとは人材育成の問題について、佐藤本部員からおっしゃいました日本料理の料理人が国外にいないではないか、あるいはそれと同じ事で調理師志望の留学生が材料許可がおりないし、そのために逆にすぐ国に戻っても立派な日本料理をつくれる保障はどこにもないと、こういう問題もありました。それ以外の音楽アーティスト等々についての人材育成の問題もありましたが、人材育成というくくりで取り上げたいと。
 あわせて、重延委員からおっしゃいました、あるいは大勢の皆さんもおっしゃったジャポニズムの波にどう乗るのか、コラボはどうやっていくのかというようなCoFestaであり、JFWであり、新米のコラボレーションの作戦であり、クールコンベンションの角川委員のご提言でもあるというふうに思いますので、これも続けてさらに議論をしたいと考えているところでございますが、今私がざっくりメモをとりながら言っただけの話でございますので、こういう問題もあるのではないか、こういう指摘もあったではないかというもし追加のご指摘がありましたら、今おっしゃっていただいても結構ですし、あるいは文書でこういう問題もやれとお出しいただきたいと思います。現に今、中村委員からおっしゃいましたような和田さんのペーパーに書いてあるような、こういう指摘での分析も必要だというご指摘がありました。これも参考にしたいと思いますが、高橋委員、最後に手が挙がっておりますが。

○高橋委員 会長さんのご発言前に手を挙げたものですから、重複するところがありますけれども、この調査会、それから関係省庁連絡会議が戦略プラン策定の2月、それからアクションプランの4月までにどういうロードマップですすめるのかを、いち早く示していただかないと生産的な議論ができないと思います。どういうふうに何をいつまでやるのかを。事務局からお示ししていただきたい。
 それと、観光庁が10月に創設されます。これに関しては訪日外国人旅行者数を1,000人にするための誘致体制の強化などが、経済財政諮問会議の骨太の方針2008の成長戦略実行プランに書いてあるんですけれども、関係省庁連絡会議のほうで国交省の関与しか書いてありません。これは日本ブランドと非常に深い関係がありますので、観光庁との関係を整理していただいて、前に進む必要があるのではないかと思っております。

○久保利会長 ありがとうございます。
 そういうことで、あとは会長と事務局にお任せいただき、今の高橋委員のおっしゃることも含め今後の取りまとめ、進め方について会長としての考えをお話をし、その後で中山委員からデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会の状況についてご説明をいただきたいと思います。
 まず、この戦略の策定につきましては、本専門調査会としても引き続き検討を進める。そして、来年の2月ごろを目途に取りまとめてまいりたいと。それについては、恐らく具体的なまた日程を皆さん方とご相談しなければいけませんが、9月、10月、11月ぐらいに3回程度はヒアリング、あるいは議論の場、これを持つ必要があるだろうというふうに考えます。その議論を持つ都度、省庁連絡会議のほうと密接な連絡をとって、こちらからフィードバックをするもの、あるいは向こうのほうである程度まとまった情報をいただけるものはいただくというやりとりをその間にしながら、この秋を中心に進めていくというふうに考えています。したがって、来年2月ごろ突然まとめるんじゃなくて、その間できるだけ頻繁にこの種の会議を行っていきたいと考えております。
 事務局におかれましては、今日の各委員からも出されたご意見、これをよく整理していただいて、今日欠席でペーパーだけ出ている方もいらっしゃいますけれども、今後の検討内容に反映していただくとともに、可能なものについては関係省庁と協力して、すぐにできるものはすぐに行う、あるいはこういう問題についての窓口はここですというふうなことがわかるものについては、即時に判明次第ご報告をいただきたいと考えているところでございます。大体そういうことでよろしゅうございましょうか。
 そんな方向で進めたいと思いますので、どうぞよろしくご理解ください。
 続きまして、本年4月に新たに発足いたしましたデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会、この審議の状況についてこの専門調査会の会長でいらっしゃいます中山委員からご説明をお願いできればと思います。

○中山委員 デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会における検討経過を報告いたします。
 本専門調査会は近年のデジタル技術の発展やネットワーク化の浸透に対応した知財制度の課題について検討するために、本年の3月の知財本部会合によって設置が決定されたものであります。これを受けまして、本専門調査会では4月から精力的に検討を進めまして、知的財産計画2008が策定されるに当たりまして、ネット検索の適法化など、早急に検討すべき事項を取りまとめました。
 2ページをご覧ください。
 国際競争がますます激化する中、デジタル・ネット環境を活用いたしまして、イノベーションを創出し、コンテンツの流通を促進することは我が国にとって喫緊の課題であると考えます。このために、技術革新や新規事業の創出に関連する著作権法上の制約に関しましては、これを早急に解決することが必要であります。本専門調査会では、このような考え方のもとに、イノベーションに関する次の4つの事項について2008年度中に対応するように提言をいたしました。
 これは3ページに書いてございます。
 第1に、インターネット環境のインフラとも言える情報検索サービスについてであります。現行法上はこれに伴う複製、公衆送信等が違法ということになっておりまして、新規事業創出の制約となっております。このために、早急に著作権制度を見直すことが必要であります。
 第2に、コンテンツ配信等に伴う通信過程における中継サーバや、あるいは機器への一時的な蓄積につきましても、現在は、形式上は権利者からの許諾が必要な著作権法上の複製であるということになっております。
 第3に、情報社会における基盤技術とも言える音声、言語、動画等の解析技術の開発のためには、ネット上の情報等を活用いたしまして、膨大な情報を蓄積、包含することが必要となってまいります。このような権利者の利益を不当に害しないような利用でありましても、現行法上は、形式上は著作権上の許諾を得なければならない違法な行為ということになっております。研究開発の安定した法的環境を確保するためには、一定の著作権法の見直しが必要と考えます。
 第4に、コンピュータプログラムを解析するためのいわゆるリバースエンジニアリングにつきましても、これに伴う複製、包含の行為が著作権者の許諾がないものについては違法ということに形式上はなっております。少なくとも情報セキュリティや相互運用性確保のためのリバースエンジニアリングにつきましては、権利者の許諾なく適法に行われるように、著作権法の見直しが必要と考えます。これに加えまして、権利者不明のコンテンツへの対応とか、あるいは国立国会図書館の蔵書のデジタル化につきましては、現在文化庁において検討が進められておりまして、2008年度中に法改正が行われるものと聞いております。
 次の4ページをご覧ください。
 本専門調査会では、今後2008年度中に結論を得ることをめどに、包括的な権利制限規定の創設、これはいわゆる日本版のフェアユースと呼ばれている規定でありますけれども、この規定の創設、それからネット上でのコンテンツ流通促進の方策、それからネット上の違法コンテンツへの対策強化についても検討することを予定しております。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまのご報告についてのご質問、ご意見がございましたらご発言いただきたいと存じます。
 適宜挙手、あるいはネームプレートを立てていただければと思いますけれども、特にはございませんでしょうか。
 逆に会長から一つお伺いしたいんですが、これは著作権法を改正する、見直すというのが2ページに書いてありますね。今、中山先生からご説明いただいたのは、この2ページのところに法的措置云々、あるいはフェアユース規定云々、これはみんな著作権法を見直す、すなわち改正するという方向で対応するということの方向性なんでしょうか。

○中山委員 そうです。著作権以外の例えば肖像権とか、そういうことのご質問ですか。

○久保利会長 そうではなくて、いわゆるネット法というか、そういう特殊な法律を別途作るという方向性なのかということでございます。

○中山委員 それについては、まだ検討しておりません。著作権法の改正か、あるいは新しい法律をつくるかという点は今後の課題でありまして、いずれにいたしましても情報の流通、利用、これを図るという、この方向でいくということは間違いないわけです。形式的にはこれからの問題です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 ほかにはいらっしゃいませんでしょうか。
 よろしいですね。
 どうぞ。

○角川委員 中山先生の今のお話も含めて、あるいは今の久保利先生のご意見も含めて、事務局長から今どういうふうにこれから進めていくのか、ご説明いただきたいと思うんです。

○素川事務局長 事務局として今、中山先生を会長とする委員会で議論をしていただいているわけでございます。まだ年内に取りまとめるということですけれども、具体的な中身については項目は整理されていますけれども、まだ詰まっているわけではございません。さらに加えて、法の形式ということについては、さらにこれからの問題だと思っておりますので、今、中山会長がおっしゃったとおりでございます。

○久保利会長 でも、時間が余りないんじゃないですか、そのあたりは。

○中山委員 これは2008年度ですから、2009年の通常国会だと思うのですけれども、確かに従来のお役所のスピードから考えると、あまり時間はないんですけれども、知財戦略会議が設立され、その後の動きを見てみますと、半年以内で知財基本法ができましたし、やる気があればできると思います。やる気の問題だろうと思います。

○久保利会長 なるほど、全くそうですね。事務局長以下の皆さんのやる気を先ほどの高橋さんのご指摘じゃありませんけれども、ぜひ期待したいと私からもお願いします。
 どうぞ。

○角川委員 もう1点よろしいでしょうか。
 今日の先ほどの日本ブランドのところで、各委員から出た言葉に非常に象徴的な言葉が幾つかあって、里中委員から出たネットの配信についてもっと積極的にやろうというお話がありました。それから、またコロンビアの広瀬社長からは日本のプラットフォームが欲しいんだよと、日本独自のプラットフォームがあっていいんじゃないかというご意見もあったように思います。iTunesというプラットフォームが世界的に標準になってしまって、そしてその中で日本の著作権法が活用されるのか、アメリカの著作権法で処理されるのか、つまり世界的に著作権法が非常にあいまいになっています。基本的には国内法である著作権法が世界標準という形でアメリカの国から生まれたものが世界の標準になっているということをどういうふうに適合するのか、著作権法上では日本人のアーティストについては日本がその国に対して保護されるという、相互補助条約が入っていると思いますけれども、日本でのプラットフォームをつくっていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。そういう点では、今回2008年度中に法的措置として検索サービスの適法化というところに踏み込んだということは、非常に僕は評価してよろしいんじゃないかと思います。
 中山先生からもお話がありましたように、法律が変わったから日本のITサービス事業者がすぐ新しいことができるかどうかは別ですけれども、今までは何かやろうとすると、ビジネス構造を発表した段階でも、きっと法律違反で著作権者の方から訴えられることになる、という萎縮効果で何もできない状態でしたから、そういう点では一歩踏み出したと言えると思います。
 その際、例えば2ページ目にある一つの表で、デジタル・ネット時代におけるイノベーションの創出というふうに書いておりますので、私はこの絵で誤解はあるとは思いませんけれども、コンテンツの流通促進という点では、例えばインターネット上でeコマースという形で従来のパッケージが販売される場合と、ネット上で、有体物のパッケージではなくて、全くの無体物として流通させる第3次流通ということを整理しないと、ここで誤解を招く可能性が非常に高いと思っています。そういう面で、先ほど久保利先生からネット法ということを念頭に置いているんですかというご意見が出たのもそういうところではないかと思ったりいたします。
 そこで、デジタル時代でネットの中でコンテンツがどういうふうに動くのかということを非常に委員の中で共通な認識を持っていく、そういう勉強的な場が知財のこの場で必要なんではないかというふうに思ったりいたします。

○久保利会長 それは例えば中山先生にヒアリングというか、講義をしていただいて、今の進行状況をこちらのサイドでも一定の勉強というか、例えばそれをするということも含めての話ですか。

○角川委員 それもぜひお願いしたいと思います。委員を兼務しているのが先生ですから、そういう面でもちろん中村先生も委員をされておりますけれども、今日のようにこのように報告をいただきますと、非常に共通の認識を持てるんではないかと思います。そういうことを含めてよろしくお願いしたいと思います。

○久保利会長 局長、よろしいですか、そういうことも含めて今後検討すると。

○素川事務局長 どういうことですか。

○久保利会長 要するに、今大変ご説明をいただいて、デジタル・ネット時代に対応した知財制度というのは、今後のこのコンテンツ、要するに日本ブランドをどう発信していくかというときにもかかわってくる問題ではないかと。したがって、我々は省庁連絡会議の進行状況とすり合わせるだけではなくて、そちらの進行状況も非常にスピーディに動くでしょうから、それをある一定の段階で教えていただくといいますか、そちらの進行状況を密接に状況報告をいただけるとありがたいということだと思いますし、かつそのときにそちらの専門家の中山先生、中村先生がおやりになっている側面に対し、我々の関心方向はそうリーガルでない側面かもしれないので、その部分についてはどうなるかという質疑応答もしていただけるような、そういう機会があるとありがたいと、こういう希望だと思います。そういう取りまとめでいいですか、角川委員。

○角川委員 それで結構でございます。

○久保利会長 そういう機会をどういう形になるか、ちょっとわかりませんけれども、皆さん限られた時間帯しかないので調整させて下さい。
 本部員、どうぞ。

○佐藤本部員 今の件はぜひ実現していただきたいと思います。6月の日本知財学会で日中韓台、4カ国のデジタルコンテンツの流動化と知財制度の問題点というのをシンポジウムをやったんですが、その中で韓国、台湾が非常に進んでいます。台湾は法案が決定、国会に出ていると。ただ、国会がごたごたしているために法案が通らない。韓国は既に改正が進んでいる。そういう意味では、日本のほうが既にアジアの中で遅れをとっている状況になってきているということで、ぜひ中山先生、頑張っていただいて、この2008年度中にぜひ実現していただきたいということをお願いしたいということで一言申し上げます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 そういうことで、その機会をできるだけつくるように努力をしたいと思います。事務局ともよく相談して進めてまいりたいと思います。
 それでは、日本ブランドの確立と発信のための戦略の策定に向けては、次回の本専門調査会において、ただいまのものも含まれるかもしれませんけれども、有識者からのヒアリング等を行い、そしてさらなるご議論をいただく予定でございます。
 それでは、予定の時間を若干超過いたしました。会長の不手際で申しわけありません。本日の会合はこれで閉会いたしたいと存じます。ご多忙中のところまことにありがとうございました。