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コンテンツ企画ワーキンググループ(第2回) 議事録


1. 日 時:平成19年11月9日(金)14:00 〜 16:00
2. 場 所:虎ノ門パストラルホテル ミモザ
3. 出席者:
【委 員】 久保利座長、角川委員、里中委員、高橋委員、中村委員、中山委員、 南場委員、浜野委員、原田委員、三尾委員、村上委員、和田委員
【参考人】 末吉参考人、田中参考人、八尋参考人、小笠原参考人、山下参考人
【事務局】 素川事務局長、松村次長、大路参事官
4. 議 事:
(1) 開会
(2) デジタルコンテンツの流通促進について
参考人:「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会 放送WG」末吉 亙 主査
「コンテンツ・ポータルサイト運営協議会運営会議」 田中 純一 主査
経済産業省商務情報政策局情報処理振興課 八尋 俊英 課長
総務省情報通信政策局コンテンツ振興課 小笠原 陽一 課長
文化庁長官官房著作権課 山下 和茂 課長
(3) 閉会


○久保利座長 それでは、ただいまからコンテンツ・日本ブランド専門調査会第2回のコンテンツ企画ワーキンググループを開催いたします。
 本日は、ご多忙のところご参集いただきましてまことにありがとうございます。
 まず、事務局に人事異動がございまして、知財事務局の事務局長が小川前事務局長から素川事務局長へ交代いたしましたので、ご報告申し上げます。
 素川事務局長、何か一言ごあいさつがあれば。

○素川事務局長 素川でございます。直前は宇宙航空研究開発機構というところに1年半出向しておりました。その前は文化庁をはじめ文部科学省に勤務しておりました。どうかよろしくお願い申し上げます。

○久保利座長 はい、ありがとうございました。
 それでは、議事に入りますけれども、本日は、先般の専門調査会で示されました4つのテーマのうちの「流通促進」というテーマに基づいて、議論いただくことになっております。
 まず、事務局から、デジタルコンテンツの流通促進に関する現状や課題、取組の全体像をご説明いただきまして、その後、参考人としてお呼びしております関係者の方々から各省又は民間の取組についてそれぞれご説明いただきたいと存じます。
 それでは、まず本日参考人としてお呼びしております方々をご紹介申し上げます。
 民間の取組として、日本経団連に置かれている「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会放送ワーキンググループ」の主査を務めておられる末吉弁護士です。

○末吉参考人 末吉でございます。よろしくお願いします。

○久保利座長 同じく日本経団連に置かれている「コンテンツ・ポータルサイト運営協議会運営会議」の主査を務めておられる田中日本レコード協会常務理事です。

○田中参考人 田中でございます。よろしくお願いします。

○久保利座長 次に政府部内の取組として、経済産業省、総務省、文化庁から担当者をお呼びしております。
 まず、経済産業省商務情報政策局情報処理振興課八尋課長です。

○八尋参考人 八尋でございます。よろしくお願いします。

○久保利座長 小笠原課長にお願いしておりますが、まだお見えでないので、見え次第ご紹介いたします。
 次に、文化庁長官官房著作権課山下課長でございます。

○山下参考人 山下でございます。よろしくお願いいたします。

○久保利座長 参考人の方々、本日はよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入ります。
 まず、事務局から資料に基づき説明をお願いします。
 なお、本日は吉田次長が出張でございます。代わって大路参事官から説明をいたします。
 では、お願いいたします。

○大路参事官 それでは私の方から説明させていただきます。
 資料1をご覧いただきたいと思います。ページをめくっていただきまして、2ページでございますけれども、これは9月に開催をいたしました第1回の専門調査会でお配りした資料と同じものでございます。
 本日は、そこでお示しした4つの課題のうち、右上に掲げられております流通促進についてご議論をいただくということでございます。
 ページをめくっていただきまして、3ページでございますけれども、今回の主たるテーマでございますデジタルコンテンツの流通促進につきまして、経済財政諮問会議での資料、それから私ども知財計画2007の記述から抜粋をしたものであります。
 最先端のデジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を2年以内に整備をするという内容が盛り込まれているという点をご確認いただければと思います。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、4ページから5ページの2ページに渡りましてお示しいたしておりますのが、いわゆるデジタルコンテンツ流通促進法制、先ほど申し上げたものでございますけれども、そういう考え方が提言されるような背景として、どのような問題があるのかということにつきまして、事務局において整備をいたしたものでございます。
 大きく3つ項目を示しておりますけれども、1つ目は、権利処理の円滑化、取引市場の整備に関する課題でございます。
 5点ほど示しておりますけれども、1つ目は市場の透明性ということで、誰がどのようなコンテンツを保有しているか、権利情報の集約化が必要ではないかという点でございます。
 2点目、3点目でございますけれども、それぞれ権利者不明の場合、あるいは一部反対者がいる場合どのような対応ができるかということで、著作権法上の法整備、ないしは関係者における自主的なルール作りが必要ではないかという問題でございます。
 4点目は、権利の集中管理というものが進んでおりますけれども、流通促進を促していくということで効果的ではないかという問題意識から、権利の集中管理のさらなる拡大や権利処理事務の効率化が必要ではないかという点でございます。
 5つ目は、例えば放送番組のマルチユースなどの場合におきまして、そのよりどころとなる共通の契約ルールを作っていく必要があるのではないかという点でございます。
 ページをめくっていただきまして、5ページの2つ目の項目といたしまして、ユーザーの利用環境の整備ということでございます。この会議でもこれまで言われておりましたけれども、例えば検索サービスの問題、私的録音・録画の問題。さらには図書館などにおきます文化的所産のデジタル化の推進といったような点について法制度の整備等が必要ではないかという問題意識でございます。
 さらには、3つ目の項目といたしまして、技術促進を促す上でも、海賊版、違法コピーへの対策はきちんととっていくべきではないかという点の記載をしているところでございます。
 ページをめくっていただきまして、6ページでございますけれども、以上申し上げた課題につきまして、各項目について現在どういったところで、どのような検討が進んでいるかということにつきまして、全体像を一覧でお示しをしたものでございます。
 左上、権利情報の集約化ということにつきましては、総務省とそれから日本経団連に置かれておりますコンテンツ・ポータルサイト運営協議会、それから創作者団体協議会という3つの取組が進みつつあるということでございます。
 それから、右側にいきまして、集中管理の拡大という点に関しましては、CPRA、日本レコード協会の管理事業が最近始まったといったような状況などをお示ししてございます。
 下におりていただきまして、左側でございますが、著作権法の見直しに関しまして、記載されている項目につきまして、文化庁で検討が進められているという状況でございます。
 それから、右側につきましては、日本経団連に置かれています「映像コンテンツ大国の実現に向けた検討委員会」におきまして、民間ベースにおける契約ルールの形成とか検討が進められているという状況をお示ししているところでございます。
 下におりていただきまして、海賊版・違法コピーの対策ということでございますけれども、文化庁におきます検討でございますとか、日本レコード協会における取組について記載をしております。
 右側の方にいっていただきまして、ユーザーの利用環境の整備ということにつきましては、経済産業省において進められております「情報大航海プロジェクト」、それから下におりていただきますと文化庁におきます著作権法に関する検討状況を示しているところでございます。
 今申し上げた個々の詳細につきましては、私どもの説明の後、関係省庁あるいは関係団体からのヒアリングが予定されておりますので、そのところでご確認をいただければと思います。
 7ページ以降でございますけれども、今回のヒアリングには含まれていない事項といたしまして、事務局として補足的に資料を用意させていただいたものでございます。
 簡単にご説明させていただきますと、まず7ページでございますけれども、著作権等の集中管理を拡大していくということで、具体的には集中管理を委任をする委任者の拡大を図っていくこと、それから対象となる権利の範囲を拡大していくと、2つあるわけでございますけれども、その拡大が必要だということをお示ししたものでございます。
 下の半分には、参考といたしましてそれぞれの権利ごとに、どの程度の権利委託が進んでいるかというような状況、それから一番右側の欄に課題ということで、それぞれの分野ごとに委託者の数でございますとか、権利処理事務の効率化などが課題であるということをお示ししております。
 ページをめくっていただきまして、8ページは先ほどご説明した権利情報の集約化に関する3つの取組のうちの1つといたしまして、下半分に記載しておりますような17の創作者団体による権利の集中、データベース化の取組が進みつつあるというふうな状況をご紹介したものでございます。
 それから、9ページでございますけれども、流通を促進するという観点から、権利処理を円滑に行っていく必要があるということで、デジタルコンテンツのコード付与の取組が色々なところで進みつつあって、こうした取組を支援していくべきではないかというようなことでございます。
 特に、2番に書いておりますように音楽に関しましては、最近、ネット上での音楽配信が飛躍的に伸びているという状況がある中で、楽曲ごとの照合作業が膨大な事務負担になっているという実情もお聞きするところでございまして、そういう中で、関係者の自主的な取組として、コード付与等を行う第三者機関の設立に向けた取組が進められているということでございますので、こうした取組を支援することができないかということを記載しているところでございます。
 10ページでございますが、放送番組のマルチユースを促進するという観点から、放送番組の著作権の帰属について触れているところでございます。
 それから、11ページ以降につきましては、放送、映画といった、分野ごとの流通の流れを図式してお示ししておりまして、あくまで参考資料としてお示ししたものでございます。
 以上でございますけれども、あわせましてご紹介させていただきたいのは、資料3として著作権保護技術の例という資料を配布させていただいております。前回の会議おきまして高橋委員からご質問があったことに対しまして、事務局において調査の上で、整理をさせていただいたというものでございます。あわせてご紹介をさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。

○久保利座長 ありがとうございました。
 次に参考人から、お話を伺いたいと思います。
 各参考人のお話が終わった都度、質疑の時間を設けたいと思います。
 それでは、日本経団連に置かれている「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」に関する検討状況につき、放送ワーキンググループ主査の末吉様からお話を伺います。
 なお、この検討委員会につきましては、私が会長を務めております。そういう関係にありますので、末吉さん、よろしくお願いいたします。

○末吉参考人 それでは、私の方から資料2−1に基づきましてご報告申し上げたいと思います。
 日本経団連では、2006年の10月、実演家、放送事業者、映画制作者、番組製作会社を代表する団体・機関の首脳によりまして「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」を設置いたしました。
 これは、「知的財産推進計画2006」を関係省庁のご支援のもと、エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワークと連携しつつ民間の取組として始められたものであります。
 この委員会では、2007年の2月、「放送番組における映像実演の検討ワーキング・グループ」を設置いたしまして、「放送番組における出演契約ガイドライン」を策定いたしました。
 さらに、今年の4月でございますが、このワーキング・グループの下に研究会を3つ設置いたしました。今日はこれにつきまして、ご報告しようと思います。
 3つと申しますのは、1ページ目に書いてございます「ネット配信研究会」、それから2ページ目の「権利者不明の場合の第三者機関研究会」、そして、3ページ目の「災害補償と保険研究会」、この3つでございます。
 まず、1ページ目の「ネット配信研究会」でございますが、放送番組の二次利用につきましては、ネット上の利用についてルールの定めがないというのが現状でございます。したがいまして、関係者間の協議を行っているというのがこの研究会でございます。
 おめくりいただきまして2ページでございますが、ここまでの合意事項をまとめてございます。
 この研究会では、まず「キャッチアップ・サービス」、これは放送番組終了後、1週間から
 10日間ネットで配信するサービスについて検討を行いました。
 その結果、実際のサービス内容は、当事者の判断、あるいは当事者間の合意により決定されることを前提にしつつ、配信期間、配信方式、実施主体、配信内容、対象となるジャンルなどにつきまして合意いたしました。
 また、報酬の配分方式につきまして、複数の方式を挙げまして、そのメリットやデメリットを議論し、それらの方式から当事者間の合意により選択することといたしました。
 さらに、プロテクションの問題につきましても、先行する米英の事例を参考としつつ、その時点の国際標準レベルの技術を採用することや、海賊版が流通したときには関係者は真摯に対応することを確保すべきことが合意されております。
 引き続きこの研究会におきましては、その他のネット配信について検討していく予定でございます。
 次に2番目に、「権利者不明の場合の第三者機関研究会」でございますが、まず(1)といたしまして、実演家が不明の場合の対応についての合意事項でございます。
 実演家が不明の場合、実演家の権利者団体であります芸団協実演家著作隣接権センター(CPRA)が不明者の調査を行いまして、クレーム対応にも積極的に取り組むということになりました。
 その結果、不明実演家からクレーム等のリスクは実際上ほとんどないと考えられることから、実演家の不明者があっても、事後的に誠実な対応を行うことを前提に、放送番組の二次利用を進める方向で合意いたしました。
 ただし、法的な裏づけがあるわけではないので、最終的には放送事業者がリスクを負うということになってございます。
 引き続き検討すべき事項としては、リスク軽減のため、使用料を預託する第三者機関でありますとか、著作権法の改正の要望などでございます。
 3ページにまいりまして、他方、一般人が不明の場合の対応でございますが、これにつきましては、NHKと民法連におきまして、利用のガイドラインを作成するということが合意されております。
 引き続き検討すべき事項としては、出演者との紛争を仲裁する第三者機関の設立でありますとか、一般人が作成した投稿ビデオ、写真等の取扱いなどが残されております。
 その他、一部の人が反対した場合の対応につきましても仲裁を行う第三者機関の設置等について今後検討していく予定でございます。
 最後に、「災害補償と保険研究会」でございます。
 ここでは、これまでの検討におきまして、次のことが原則として確認されております。
 放送事業者・番組製作会社は安全衛生管理を行う。放送事業者・番組製作会社は事故補償を行う。放送事業者・番組製作会社は事故補償を行う対応窓口を設ける。安全衛生管理義務を負う放送事業者・番組製作会社が事故補償責任を負う。
 どのような場合に、具体的に義務違反になるかなどにつきさらに意見交換が必要ということが言われております。
 今後、引き続き検討すべき事項としては、新たな事故補償制度でありますとか、ガイドラインの周知徹底方策などが残されております。
 以上が私からの報告でございます。

○久保利座長 ありがとうございました。
 次に、コンテンツ・ポータルサイトについて同様に、日本経団連に置かれている「コンテンツ・ポータルサイト運営協議会運営会議」主査の田中様からお話を伺います。
 経団連関係のご説明をいただいた後で、各委員のご発言をちょうだいしたいと思います。
 田中様、よろしくお願いいたします。

○田中参考人 本日は、報告の機会をいただきましたので、本ポータルサイトの現状と課題の概要について資料2−2で報告をさせていただきます。
 1枚開いていただきますと図がございます。
 2003年8月に日本経団連の産業問題委員会の下にエンターテイメントコンテンツ産業部会が創設されました。この部会で整理された幾つかの課題の中で、本ポータルサイトに関連するものとして、コンテンツ流通大国に向けた改革の推進及び海外展開の拡大というものがございました。
 2004年1月にコンテンツの二次利用、三次利用を促進するための検討チーム「権利処理基盤整備分科会」が立ち上がり、この分科会からの中間報告の中では、コンテンツを利用するために情報提供基盤がほとんど整備されておらず、利用しようにも目的のコンテンツにたどり着けない。あるいは、権利の保有形態が非常に多様で、一元的な権利処理が困難であるのみならず利用しようにも誰とコンタクトしていいかわからないというような問題点が指摘されました。
 この分科会提言を受けて、日本経団連から「知財推進計画2005」の策定に向けて、ここにあるような提言を行い、これが「知財推進計画2005」におり込まれました。
 2ページをお開きください。
 この図はコンテンツ・ポータルサイトの一般的な形でございますけれども、コンテンツ・ポータルサイトはコンテンツの保有者がコンテンツにかかわる情報を登録して、そこで登録された情報をコンテンツの利用者、ここでいいますと左側ですが、それが閲覧するというものでございます。
 本ポータルサイトでは、コンテンツ情報の閲覧をするのみならず、コンテンツを利用する際の問合せ先、この情報がポータルサイトの中に登録されております。
 分科会での議論の中で、権利処理のための権利情報の公開については、業界ごとに商慣習も異なり、また権利の持ち方も違うということで、一律に権利情報の開示を求めることについては多くの議論を経て、これは無理であるということになり、問合せ先情報が掲載されることになりました。
 しかしながら、この図にもありますように、一部のコンテンツカテゴリーの中では、利活用のための権利情報も掲載したいという声がございましたので、本ポータルサイトから権利情報を提供するデータベースに連携するという形で、ネットの世界で、「情報のリンクを張る」と言っていますけれども、そういう形で連携ができるようになっております。
 既に、本ポータルサイトでは、写真情報に関しては連携が図られておりまして、このポータルサイトで写真を検索した後、それを利用したいということになりますと、権利者に権利許諾がとれる形がもう既にスタートしております。
 また、ほかのカテゴリーの権利者からもつなぎ込みたいという話がありまして、冒頭の資料の中の創作者団体協議会のポータルサイト、ここも現在つなぎ込む方向での検討が進んでおります。
 本ポータルサイトをコンテンツ検索の入口として利用していただき、自らの権利処理データベースに誘導する動きというのは、今後さらに広がってくるのではないかというふうに考えております。
 次のページでございますが、このポータルサイトをご利用になっている方には目新しい画面ではございませんけれども、どんな形でポータルサイトが出来ているかというのをイメージ的に示したものでございます。
 左側の上のところが、大変画面が小さくて恐縮ですけれども、本ポータルサイトの入口の画面でございます。その画面の一番左側のところを見ていただきますと、カテゴリー別にコンテンツが検索できるようになっておりまして、現在のカテゴリーとしては、映画、それから映像番組、放送番組です。それから、音楽、文芸作品、コミック、アニメ、写真、美術、イラスト、そしてゲーム、こういうような形でのカテゴリーで検索ができると同時に、検索キーワードを使うと、コンテンツのカテゴリーを越えて、横断的な網羅的な検索もできるようになっております。
 写真中央の画面は、放送番組の検索結果、つまり作品情報と言われているものでございます。
 さらに、その作品情報の中から右下にございますけれども、例えばあらすじを見ていただき、そのコンテンツを二次利用したいというときには、真ん中の絵の一番右側にある問合せ先というところをクリックしますと、連絡先情報が選べるというような形になっております。
 4ページをお開きください。
 ポータルサイトの現状について、ここでは報告しております。
 現在、カテゴリー別のコンテンツの登録数、これもデイリーで増えておりますので、現時点では、約300万件が登録されているという状況でございます。
 下の図は、今年の6月14日にスタートいたしまして、約4カ月半ぐらい経過しておりますけれども、その間で、デイリーにどのくらいのアクセスがあるかという平均値をとったものですけれども、お分かりのとおり月曜日から金曜日までアクセスが増えて、土日は減るということで、これも当初目指したBtoB、いわゆる事業用目的でこれが利用されているということがここから読み取れるかと思います。
 5ページになります。
 現状の課題、これはコンテンツの保有者とコンテンツの利用者、両方から寄せられた声をここに記述してあります。
 まずコンテンツホルダーから見た課題として、先ほどもございましたけれども、コンテンツの利活用、効率的に処理するためのコンテンツID体系の整備、これは先ほどの冒頭の資料の6ページ、あるいは9ページでも書かれておりますけれども、権利処理コードのことでございます。
 ここでは、私どものサイトでは、現在デジタル時代の著作権協議会、CCDというところですけれども、そこが策定したCCD−IDを利用しております。
 2つ目の課題としては、大手コンテンツホルダー、正会員の情報は登録されておりますが、中小のいわゆるインディーズ、独立系のコンテンツホルダーがここに入っていないというような状況がございます。これは具体的には費用の問題等でなかなか入りにくいというようなことがあります。
 それから、3つ目の課題としては、多言語化、特に海外にコンテンツを出していく上では、英語化も含めた多元語化が必要であります。コンテンツ利用者から見た課題としては、まだまだ登録されているコンテンツが少ない。あるいは登録されているコンテンツに偏りがあるというような指摘でございます。
 それから、もう1つは、登録されているコンテンツが網羅的になっていない。
 例えば、音楽ですと、220万件登録されていますけれども、インディーズ系の楽曲がまだ登録されてないというような課題もございます。
 それから、さらにコンテンツホルダーの情報だけではなくて、権利情報も載せて欲しいというような要請がございます。これは先ほどご説明した内容でございます。
 最後になりますけれども、課題整理の内容とちょっと重複するところがございますけれども、要望事項でございます。
 1つ目です。利活用を期待している中小のコンテンツホルダーの情報発信が可能になるように、インディーズ系の情報整備の支援をぜひお願いしたいというところでございます。
 2つ目でございますが、海外におけるジャパンコンテンツの利活用を進める意味で、多言語化はぜひとも進めなければいけないと。現在、放送番組の方が比較的多言語化が進んでいるんですけれども、そのほかはまだまだという状況でございます。
 3つ目でございます。特に、ジェトロさんは海外に色々な展示会の場を持って協力されていると思いますけれども、本ポータルサイトの告知にぜひ協力をお願いしたいというものでございます。
 4つ目でございます。現在登録されている情報がカテゴリーによってちょっと偏っているところがございますので、ここのところは網羅的な登録ができるように、ぜひ側面的なご支援をお願いしたいということでございます。
 最後になりますが、最後は国の支援、現在、総務省、文部科学省、経済産業省さんからの支援を得て、運用を行っておりますけれども、なかなか支援というのが直接データ整備とかそういうところに使えないというようなこともございますので、ぜひ本事業に直接的に使えるような形の支援を期待しております。
 今後とも出席委員の皆様、またご出席の皆様のご支援、ご理解、ご協力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○久保利座長 どうもありがとうございました。
 今の参考人のお二方の説明につきまして、質疑を行いたいと思います。
 ご発言のある方は、ネームプレートをお立ていただきたいと思います。
 なお、1回のご発言は3分以内ということを厳守していただきたいと思います。
 それではどうぞ。どなたかいらっしゃいませんか。
 もしいらっしゃらないようでしたらば、また後でも審議の時間をつくりたいと思いますので、先に行かせていただきたいと思います。
 次に、経済産業省における情報大航海事業について、同省情報処理振興課長の八尋様からお話を伺います。八尋様、よろしくお願いいたします。

○八尋参考人 八尋です。それでは、お手元の資料の2‐3を開けていただければと思います。
 まずそのプロジェクトの背景、問題意識というペーパーでございますが、これはもうよく皆様ご存じのとおり、ウェブにおける情報だけを取りましても、2000年までに発生してきた有史以来の情報量をはるかに越えるものが2001年以降生まれていると言われております。
 この大量な情報をどのように使っていくかということが実は、日本だけではなくて当然ながらアメリカ、それからEUとしての国家プロジェクトもございますし、フランスやドイツにも国家プロジェクトがございまして、このような問題にどう取り組んでいくかというのが非常に大きな問題になっております。
 日本の場合は、こういったウェブ空間に情報が集中しているということ以上に、この絵の右側にございますように、ICカードの普及等々が世界トップレベルでございますし、その他のさまざまな情報、世界中に情報家電を輸出している国として、視聴覚情報から位置情報までが日常的に使われていると。そういった履歴情報が個々のお使いになる方々の履歴情報として現在たまってきているわけですが、それらが有効に活用できるような仕組みづくり、技術といったものがまだこれからということになっているのではないかというのが「情報大航海研究会」というのが局長の私的研究会として2005年12月にできましたときの最初の出発点でございました。
 2番「次世代検索・解析技術」でございますが、上の左側のところですが、今後今世界の潮流としましては、次世代の検索・解析とは何かということが色々と議論されております。特に今非常にトレンドとなっておりますのが、ユーザーの状況、コンテクストを考慮した検索・解析ということでして、このときにウェブであるとか、メールであるといったものを解析するだけではなくて、日本の場合には、特に先ほどの絵でお示ししたような様々な家電機器等々でお使いになった履歴情報がそのコンテクストをベースに色々と利用できるのではないかというところが1点。
 それから、2番目にマルチメディア情報の検索・解析ということで、そのさまざまな言葉以外の文章、電子タグの情報まで含めまして、さまざまな情報が検索・解析が加わることによって、その人々のそれぞれの個別的な対応サービスにつながっていくのではないかということ。
 それから、もう1つは、現在はパソコンが中心になっておりますが、今後本当に様々な端末につながって提供されるであろうということが方向性として言えるのではないかと思っております。
 それから、我が国の強みとしては、映像技術をとってみましても、テレビを作っておられるようなメーカーの中央研究所には必ずといっていいほど、その映像を高精度にするための基本技術として世界トップレベルの技術があるほか、今の位置情報であるとか、電子タグといったような次の情報を解析する技術も極めて集積されてきております。
 それから、総務省さんであるとか、NTTさんといったようなところからつくられてきたユビキタス環境における、ブログであるとか、位置情報を使う、それからさらにはICカードで購買をする。そういったものがすべてネットワーク上で揃ってくるといったようなことでも世界トップクラスになっているということが現状として言えると思います。
 それらを踏まえて、今後の日本から世界に発信していく技術としまして、6つの次世代の検索・解析技術を規定しました。
 例えば、サービスを連携する。マルチメディア情報をリアルタイムで処理する。環境・行動情報を統合的に処理する。これは1つ1つ説明すると大変なことになりますので、今日の趣旨ではないかと思っているんですが、特に4番目にプライバシー情報を安心・安全に管理する技術というのがかなり世界に家電を輸出してきた日本にとっては、世界に次のサービスとしていくために重要ではないかというふうに考えている次第でございます。
 次に、情報大航海プロジェクトの内容・目標ということなんですが、今申し上げたようなそういう技術は各企業1つ1つでおつくりになるというよりはかなり技術を結集していくという面がありまして、今後サービスになっていくための基盤技術を共通の技術として開発し、広く多くの方に使っていただける土壌にしようということが1つございます。
 それから、もう1つは、プライバシーであるとか著作権といったような制度的課題についても手当てが必要になることがあるであろうということで、下の3つの三角関係にありますように、技術を開発するだけではなくて、それに伴って必要な制度環境、それから技術の実証といったものを連携させていくということを考えております。
 ですから、今回のプロジェクトは、技術会社は大学も含めてご一緒しておりますが、リーダーとなっておられる方は、必ずサービスを開発しようとするという方にお願いしているということでございます。
 次に、将来のIT社会におけるプラットホームということで、現在初年度の開発がようやく開始されたところではございますけれども、大きく分けまして、3つほどの方向性がございます。
 1つは、今後は情報社会に様々な情報システムが当たり前になっているような状況において、新たなソーシャルサービスというのが生まれようとしているのではないかということでございまして、例えば、日常業務段階からリスク対策ができる。医療情報をもっと活用できる。遠隔地におけるようなものも含めまして、ITを高度に利用し、活用できるような社会が実現できるのではないかという方向性がございます。
 それから、プライバシー情報、これは非常に難しい議論を含んでいると思うんですが、そのプロファイル情報とか行動履歴情報をある程度匿名化した形でみんなの共有の財産として使う部分、もしくはその人の個別化を徹底していく、カーナビ1つをとっても運転者によって表示が変わってくるといったようなことができるというのが1つの方向性でございます。
 それから、もう1つは、現在ある検索でもキーワードがなかなか思いつかない方にとってはITバリヤーがあるのではないかという話がございますけれども、今後はもっと自由な、色々な情報へのアクセスが生まれてくるのではないかと。もう少し直感的なものもあるでしょうし、映像的なものもあるであろうと。ここは、世界で最も研究開発が進んでいる部分でもあり、日本の技術が極めて多くある部分でもあり、また昨今ですと有害情報のフィルタリングとか、次の社会の安心・安全の基本技術という部分でもあるわけですが、そういった3つの部分は、基本的な共通技術として国として産官学で、共通化して用意していくということを目指しております。
 お手元には、さらにパンフレットをお配りしておりまして、1ページめくっていただきますと、現在申し上げたことがおわかりいただけるようになっておりますが、3ページ右下のところにスケジュールがついております。平成19年度から21年度の3カ年間で、技術と実証事業を行いまして、その確立された技術は共通技術として「知財バンク」というシステムで、世界的にオープンにしていくということと、この3カ年を待たずに、現在色々なプライバシーに関しましては、アメリカの商務省であるとか、イギリスの貿易産業省であるとか、OECDとかで議論がそろそろ始まりそうなところでございますので、日本からも日本的な考え方として、標準化活動に入ってまいりたいというふうに考えております。
 個別に現在の初年度のモデル事業については、次の4ページ以降に幾つか載せておりますので、ご参考までにと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。

○久保利座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、質疑を行いたいと思いますが、ご発言のある方はネームプレートをお立ていただけますでしょうか。
 よろしいですか。後でまとめてまたいたします。
 次に、総務省の放送コンテンツの取引市場形成について、同省コンテンツ振興課長の小笠原様、お見えになりましたので、ご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小笠原参考人 総務省の小笠原と申します。本日、遅刻いたしまして大変失礼いたしました。
 いただいた宿題は、コンテンツ取引市場の形成についてということでございましたが、それにつきましては、情報通信審議会デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会において、慶応義塾大学の村井純先生に主査をお努めいただき、様々な検討をしていただいていますので、そこでの検討状況を資料2−4に基づき、ごく簡単に紹介させていただきます。
 まず、資料1枚目に、大きな箱で1と2として、主としてこれまで行ってきた議論と今まさにご議論いただいているものとを分けて整理いたしました。
 今年の8月に第四次中間答申を出しておりますが、これまで、デジタル放送におけるコピー制御のあり方をどうしていくかということを議論しておりました。第4次中間答申では、今までいわゆるコピーワンスと言われていたコピー制御ルールのあり方を大幅に緩和し、いわゆるコピーナインとか、あるいはダビングテンとか、色々言われておりますが、今の制御ルールを一応緩和する方向でやってはどうかという提言をいただきました。
 本日、ご出席の皆様、特に放送事業者の方々、権利者の方々、文化庁の方々に多大なご協力をいただいた結果、一定の方向性を出すことができまして、現在は、対応機器がいつから発売可能か、その見込みも概ね発表できる段取りができつつありますので、近々審議会の場で公表していきたいと考えております。
 それから、同じ1の箱にありますデジタル・コンテンツの流通にかかわるルールにつきましては、これは相当長期間にわたる課題でございますが、いわゆるIPテレビ、それからモバイル、そういった新たなメディアについてのコンテンツの流通促進をどうやっていったらいいか、下の2の箱にまさにつながる話でございます。IPテレビとか、あるいはモバイル、あるいはワンセグ放送端末も含みますが、そういった新たなウインドウに関する技術的な実証は、引き続きどんどんやっていくということで、平成20年度につきましても予算要求や、ユビキタス特区を利用した色々なアイデアの募集といったこともやっているところでございます。
 それから、今現在ご審議いただいている審議会のテーマとして、我が国のコンテンツの競争力の強化に向けた制度のあり方について、今年6月に諮問いたしました。
 放送コンテンツをはじめとして、我が国のコンテンツ流通を促進し、その競争力を強化していくと。国の内外を問わず、今以上に流通を促進していくためには、何をしたらいいかについて、おおむね3つのテーマに沿ってご議論いただいております。
 1つは、取引に必要な情報の集約、公開を今以上に進めていくために、どういった組織、あるいはルールが必要とされるのか否か。
 それから、2点目として、取引の前提として、特にデジタル・コンテンツとなった場合、不正流通防止の実行性をどう高めていくか、技術とルールについて検討していく。これについては、いわゆるコピーワンスの見直しということで、改めて提起された問題でして、やはりコンテンツをリスペクトし、保護していくということが前提になった場合、今の不正流通防止の技術の実効性を高めるためにどういった技術や制度がさらに必要とされていくのか。これについて、どういう具体的な課題と議論をしていくのかについては、近々審議会の場で公表したいと思っております。
 最後の点でございますが、そういった取引や流通が大前提となりますが、より質の高いコンテンツの製作供給を促進していくためには、どのような環境整備が必要か、という点でございます。
 「製作」ということについては色々な課題の指摘がある中で、やはり放送事業者さんとしても、いかに積極的に製作事業者とのクリアな環境を形成し、かつ流通の促進にいかに効果を挙げているかということを検証する意味で、コンテンツトライアルという実証実験の枠組みを今ご検討いただいておりますが、その枠組みの具体像についても近々公表する段取りで進めているところでございます。
 以上、検討の課題と状況でございます。2ページ目には、どういった方々にご議論いただいているかということについて記してございます。基本的には、消費者、産業界、権利者団体、放送事業者、通信事業者、そういった方々にご参加をいただいているところでございます。
 それから、今ご議論いただいている点については、2つほど前提がございますので、4ページ、5ページに書かせていただきました。
 まずは、放送コンテンツの流通ということを言う場合、重要なプレーヤーである放送事業者の方々が基本的な方針としてどういうお考えでおられるかということについて、各放送事業者の経営計画に当たるものを抜粋させていただきました。
 それぞれ細部の説明は省きますが、NHKさんにせよ、民放さんにせよ、ネット配信を含め、コンテンツのマルチユースということが経営計画のキーワードとなっております。すなわち放送事業者さんとしては、放送コンテンツのマルチユースを促進する、流通を促進するということを基本的な経営方針とされ、かつそれをこういった形で明確化されている。そういった姿勢でいらっしゃるということを大前提として議論しているということが1つ目でございます。
 ちなみにこれは国の内外を問わずということで、5ページ目になりますが、今年、放送事業者さんが「国際ドラマフェスティバル」というものを開催されており、いわゆる国の内外を問わず、国内放送コンテンツの海外展開につきましても、積極的な展開を進めておられる。こういったところも、前提の1つとして議論を進めているところでございます。
 それから、前提の2番目は、ここには記載してはございませんが、いわゆる権利者団体の方々の基本的なスタンスでございます。権利者団体さんのスタンスとして審議会で表明されているお立場は、適正な対価が前提ということでございますが、権利者団体としても放送コンテンツを中心としたコンテンツの流通については積極的に許諾をしていくということが基本的な方針である。そういったことを再三にわたって表明していただいております。
 このような、放送事業者さん、あるいは権利者団体さんの基本的なスタンスを前提として、議論を進めているところでございます。
 それから、ご参考までに、今回の第四次答申の概要を添付しております。結論のみならず、その結論に至るまで、どのような議論があったかということについてもそれなりに抜粋しておりますので、もしお時間があれば後ほどご参考にしていただければ幸いでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○久保利座長 どうもありがとうございました。
 今のことに関連して、質疑の申出のある方はいらっしゃいませんか。
 それでは、恐縮でございますが、先へ進ませていただきます。
 次に文化庁、文化審議会著作権分科会の検討状況について、同庁著作権課長の山下様からお話を伺います。
 山下様、よろしくお願いいたします。

○山下参考人 文化庁の著作権課長でございます。
 資料2‐5に基づきましてご説明を申し上げます。
 冒頭の知財事務局の方のご説明にもありましたとおり、デジタルコンテンツの流通促進という観点で著作権法の課題は、非常に数多くございます。私の方で準備した資料にて、「知財推進計画2007」で掲げられた著作権の課題がこの文化審議会著作権分科会の方でどのように検討されているかという形で整理させていただきました。
 1ページ目の一番上の黒枠にあるとおり、現在、法制問題小委員会以下3つの小委員会をこの分科会に設けております。中山先生には、この中で法制問題小委員会と私的録音録画小委員会の2つの小委員会の主査をご担当いただいているところでして、去る10月12日に著作権分科会が開催されたところでございます。この緑色の「法制問題小委員会中間まとめ」、それから「私的録音録画小委員会中間整理」、この2つのレポートをここで公表して、11月15日までの間、意見募集を行っているという状況でございます。
 今後、国民から幅広く出た意見を踏まえまして、引き続き各小委員会で議論して、年明け1月に著作権分科会としての最終的な報告書を取りまとめていくという予定になっております。
 ちなみにこの2つのレポートのうち、私的録音録画に関しては、中間まとめではなく、中間整理となっておりますが、色々な意見がございまして、一定の結論をまとめたというよりは、色々な議論をそのまま合意形成できているものはそのように書きますし、意見が対立しているところは、そのように書くという形でまとめたということで、中間整理ということになっているわけでございます。
 以下、個別の課題に即してご説明させていただきます。
 最初に、権利処理の円滑化等ということで括っております。権利者不明の場合の裁定制度の見直しについてですが、これは右側にあるような形で、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の方で、現在ごらんのような課題について検討しております。
 また、アーカイブ事業について、更にネット上の意思表示システムの構築についても過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の場で、検討を進めているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目でございますけれども、海賊版・違法コピー対策についてでございます。
 まず、海賊版の拡大防止のための措置として、2点を検討しております。1つは、インターネットオークション上での模倣品、海賊版の取引防止ということにつきまして、右側にありますように、販売のための告知を行う行為を著作権侵害とみなすという方向で、この法制問題小委員会の中間まとめに盛り込んでいるところです。
 また、もう1点、著作権の侵害というのは、これは基本的に親告罪になっているところですが、これを非親告罪化するかどうかという課題があります。これについては、右側にありますように一律に非親告罪化することは不適当であるし、また一部の類型を切り分けて非親告罪化するかどうか、これも社会的な影響等を見て慎重に検討すべきであるというまとめになっております。
 次に、私的使用目的の複製の見直しの問題ですが、これにつきましては、私的録音録画の問題とセットで私的録音録画小委員会において議論がなされております。右側にありますように、違法録音録画物や違法サイトからの私的録音録画について著作権法第30条の私的複製の範囲から除外をすべきであるという意見が大勢ということですが、一部反対意見がございます。ここのところは今後パブリックコメントの結果を踏まえて議論を続けるということになっております。
 その下、なおとありますが、適法配信事業、いわゆるコンテンツビジネスということで、新しい形で行われておりますiTunesとかmoraとか着うたのようなものがございますけれども、こうしたものについては契約ベースでお金を払ってデジタルコピーについても一定程度制限がかかっているということですので、こういったものについては30条では除外をするという意見が大勢になっているところです。
 続きまして、その下のユーザーの利用環境の整備ということで4点挙げております。
 1点目は、先ほどの経済産業省さんのご説明とも関連しますけれども、検索エンジンにかかる法制上の課題の検討でございます。
 ここでは、基本的には今ヤフーやグーグルのように既に行われている検索エンジンサービスというものについて色々と検討をしております。
 方向としては、検察エンジンサービスというのは、いわゆる検索ロボットが世界中のパソコンからコピーをとってきて、検索できるようにするという行為でございますので、そこを著作権法の中で侵害にならないような形できちんと位置付けるということでございまして、基本的にはそうした方向で考えていくということになっておりますが、先ほど経済産業省さんの方からご説明があった、今後新しいタイプのものが色々出てくるということも予想されますし、そうしたものについてはまだ内容的に不明な部分がございますので、今後の課題と認識をしているところです。
 それから、その下が、私的録音録画補償金制度の見直しです。これは、平成4年度から実施をされているいわゆるデジタル録音録画の機器や媒体に補償金がかかっているわけですけれども、ここ数年、iPodのような携帯レコーダー、あるいはパソコンによる録音、録画というものが非常に増大してきているところでございまして、こうしたものを新たに補償金の対象にするかどうかという議論を契機といたしまして、昨年度からこの補償金制度全体のあり方を議論するということで議論を続けているところでございます。
 この部分について、こちらにございますように、そもそも補償の必要性があるのかないのかといったところを中心に権利者、メーカーさん、消費者の方の意見が非常に対立しておりまして、今回は、対立した状況をそのまま中間整理に盛り込んで、意見募集を行っているということでして、特にいわゆる著作権保護技術がかかっているデジタルコンテンツの取扱を焦点に、地上波デジタル放送のコピーワンス緩和の問題もバックグラウンドにありまして、これは先ほど総務省さんのご説明にありましたけれども、今この補償金の議論は難しい状況に立ち至っているところでございます。
 現在広く意見を募集しておりますので、その結果を踏まえて引き続き検討するということでございます。
 1枚おめくりいただきたいと思います。
 権利制限の見直しということですけれども、ここは権利者の利益と公共の利益に留意した権利制限規定の整備ということで、具体的には右側にございますように障害者福祉の関係、それから製薬企業が薬事法に基づいて行う医師等への情報提供の関係、さらには、ネット上での美術品等の画像掲載の関係について基本的には権利制限を講じる方向で中間まとめをしているところでございます。
 その下は、「間接侵害」の範囲の明確化ということですけれども、物理的な利用行為の主体でない者に対して差止を認めるという判例が過去に数多く出されておりますが、これを立法で明確化するかどうかという考え方について様々な議論を続けております。なかなか裁判例、あるいは民法の基本理論、こうしたものとの整合性を図るという難しさがございます。引き続き慎重に検討するということになっております。
 最後に著作権保護期間の問題ですけれども、これについては、保護期間を著作者の死後50年から70年に延長すべきかどうかということにつきまして、先ほど申し上げたように、利用の円滑化方策、あるいは戦後加算の問題とパッケージで過去の著作物の小委員会において議論をしているところです。これも非常に色々な議論が出ているところでございまして、すぐに近く結論が出るといったような雰囲気ではないというところでございます。
 以上が、今期の著作権分科会の主な検討状況でございます。
 4ページ以下は、今パブリックコメントを行っております2つのレポートの概要をつけております。ちょっと大部で恐縮でございますけれども、またお時間がありましたらご参照いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○久保利座長 ありがとうございました。
 それでは、各参考人から色々ご説明をちょうだいしました。そこで、全体についての意見交換にこのまま入りたいと思います。
 事務局、参考人からの説明等を踏まえまして、ご発言のある方は、ネームプレートをお立ていただきたいと思います。
 どうぞ、じっくり議論する時間が出てまいりました。よろしくお願いします。
 原田委員、どうぞ。

○原田委員 それぞれのお立場でしっかりとご検討していただいて、全体として大きな方向に進みつつあるのではないかと思います。
 末吉参考人からのご報告がありましたが、契約ルールの形成ということで関係者の間で精力的に話し合いが進んでいることにつきましては、放送番組の展開という意味でも大変心強いと考えております。
 これはひとつ、これからの課題ということで申し上げますが、国内のネット配信について様々な検討が進んでいるわけですけれども、海外への展開においても、やはりネットに関する権利、これについては大変重要になってきているということを申し上げたいと思います。
 前回、この場で久保委員からアニメのケースについて、アメリカの事情においてはアニメにネット権がついていないと何も出来ないというご紹介がありました。それと同じことが放送番組の世界でも起きております。
 この秋、フランスでMIPCOMという放送番組の大きな国際見本市が毎年開かれておりますが、その場でもネットによる同時再送信というのはもう常識になってきています。あるいはネットやオンデマンドでその放送番組を視聴できる、VODの権利ということも、これがついていると販売についてはもう圧倒的に有利になって、逆についていないとなかなか販売が難しいという状況がございます。
 そういうことでございますので、経団連で昨年合意された契約ルールのガイドラインの中でも国際共同製作の販売におけるネット権について話し合うということになっておりますが、国際展開についても、早急にルールづくりを開始するということがこの際本当に必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 あともう1点、これに関連することでございますが、コンテンツの創造ということに関しまして、事務局資料の中では、主な取組みとして、信託業法の改正や、資金調達の多様化などを挙げておられます。ファンドを組んだり、あるいはLLP(有限事業組合)という形で道筋も国によってつけられ、これまでに展開会社としては番組製作会社が出資してできたクリエイターズという会社があります。あるいはエイベックスさん・WOWOWさん等が出資し、設立されたアジアコンテンツセンターですが、これはNHKでも公共放送としてできるところで協力・支援をしております。ただ、最近ファンドは、これは不幸な事件もあって、ファンドを組むということはなかなか難しいようです。それから、政府系金融機関からの投資についてもなかなか受けにくいという状況があります。また、文化庁さんからのご支援というのは、映画ということに限られているということがやはりあるようで、実際になかなか運営が難しいという状況があると聞いております。
 コンテンツを作っていくという体制をどうつくるかということで、こういう新たなベンチャーの試みというのは大変大事なことだと思います。具体的にそういうところにも是非出来ることはやっていくということを進めていただければと思います。

○久保利座長 ありがとうございます。
 今までのところは1回目、2回目ということで、2回目は流通促進ということで、次回に今おっしゃられた優れたコンテンツの創造というのを中心的に取り上げていきたいというふうに思いますので、ご意見はよく承りました。
 それでは、南場委員、どうぞ。

○南場委員 前回のワーキングで、私どもの主力のサービスの説明をさせていただきましたけれども、携帯上の流通促進を担う事業者として、あるいはウェブでもサービスを幾つか持つ事業者として痛感しておりますのが、放送コンテンツなどをインターネットなど通信の領域で流そうとしたときに非常に手続きが煩雑であるということです。わが社の社員にも少しヒアリングをしてみますと、映像にかかわることになると、考えただけでも手を出しづらいほどの状況だというような話です。
 今日、お話をお伺いしていますと、素晴しい取組もあるのですが、1つ気になりましたのは、経団連さんの放送番組における映像実演の検討ワーキンググループのメンバーの中にも、総務省さんの中のデジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会のメンバーを見ても、バランスとして今一番困っているであろうインターネットや携帯上でコンテンツを流通させようとしている事業者が少ないのではないか、ということです。例えばポータルさんですとか、あるいは映像の流通をしようとしているサービス事業者さんなどが、どれだけ委員に入ってしっかりとものを言っていける立場におられるかというところを見ると、不十分ではないのかなというふうに思ってしまいます。
 そうするとどうしても権利を守る方とそれから既に権利をお持ちの流通業者さんが中心の議論になりますので、アクセルよりブレーキが利くような検討が中心だったのではないのかなと感じております。最終的には当事者間での調整を、というような結論が多く見られるのですが、当事者同士ではどうしようもないようなこんがらかった状況にあるというのが現場の感覚です。そこのところで本当に実効性のある枠組みをどうやって提示できるかというところが大変重要であると考えております。
 一方で権利者に連絡をとる連絡先のデータベースなどは、非常に有効な取組だと思いました。ただ、1日のアクセスが700ページビューといった程度ですと、利用しているユーザーにして100人とか200人というものではないでしょうか。そういうレベルですと、残念ながらやはりまだ存在しているかいないかというような状態だと思います。そこについての支援の要請がありましたが、前向きに取り組んで、実効のあるものにしていただけたらと思います。
 また、携帯の領域で利用者側に、違法なサイトを使ってはいけないとの意識が極めて弱いということも大きな課題といえます。例えば着うたサイトを例に取りますと、違法なサイトが氾濫している中、そういったものを使っているユーザーさんはほとんど罪の意識がないと思います。それは提供している方が違法であり、使っている方は法律を犯してないということなんでしょうけれども、しかしながらそういった部分に関する啓蒙が極めて重要になると思います。
 当社では、クリエーターというコーナーを持ちまして、一般のユーザーさんが自分の創作作品をサイトで公表して、それが例えばサイトとタイアップしているテレビ番組で使われたら、サイト内で流通する仮想通貨でお小遣いがもらえるという仕組みを導入しています。
 これは、一般の人たちも自分の創作したものの権利者となって、それから得られるコマーシャリズムによる利益の一部をもらえるという意識の喚起に役に立つのではないかという思いもあり、積極的に展開しているところです。
 最後に、今回の議題とは離れますが、前回高橋委員から私の説明に対して、カスタマーサービス、安全性、健全性の維持に対する取組の実効を示すような数値についてご質問いただいたので、お答え申し上げますと、細かく数字を公表していませんが、1カ月で最近は1万人をルール違反で退会させている状態です。
 全ユーザーさんが800万人ぐらいで、新しく月々増加しているユーザーさんが30万から50万いる中で、1万人が強制退会という状況です。マナーが悪いといった理由が大半を占めています。また、現在急速に安全性、健全性維持に対する取り組みを強化しているところで、事件を未然に防ぐということには一定の効果があるのではと思っています。そのことを申し上げておきたいと思います。

○久保利座長 ありがとうございました。
 中村委員、どうぞ。

○中村委員 中村でございます。前回欠席いたしました。申しわけありませんでした。
 先ほど少し話が出ました、カンヌのMIPCOMに行っていました。放送コンテンツの売買展でありますが、MIPCOMは行ってみますと、10年ほど前に比べて、日本はキー局のテレビだけではなくて、ローカル局、あるいはプロダクションの方々、映画会社、出版社、様々な方々がブースを出しておられて、海外展開に広がりを見せているということが分かったんですけれども、一方で、韓国、台湾、シンガポールといったアジア諸国のプレゼンスがより一層高まっているなということを感じました。
 つまり日本は国際市場でどういう顔を見せていけばいいのかなということを感じてきた次第なんですが、そういった中で、今日の説明をお聞きしていて、産官学の連携についてお話をしたいなと思ったんですけれども、先ほど来、縷々説明がありましたように、様々な制度面の整備というのに力を入れる必要があると思います。
 例えば、文化庁さんからお話があったように、検索エンジンの法制上の課題を回避するというような緊急のテーマは、国会がねじれていようがいまいが、この項目だけでもいいから解決すべく法案を出すという姿勢を見せるべきではないかと思います。
 今、総務省で議論をしている通信、放送、法体系の見直しというのもコンテンツ流通促進という方向でまとめるというようなことを希望するところなんですが、しかし、そういう制度の検討というのは時間もかかります。実際のビジネスとか、サービスの開発がどんどん現実社会で動くように、トライアルの場をつくるといったような、ソフトな施策も同時並行で力を入れていく必要があると思います。
 日本は、インフラ大国、ネットワーク大国になりましたけれども、ここ数年で、サービスやコンテンツの面では後進国になったというふうに私は認識しています。少なくとも海外では色々実現しているものが日本では実現していないという例が色々見られるようになってきておりますので、そういったことは早急に対応すべきだと思いますし、しかも同時に世界のメディア界が大きな再編のうねりを見せる中で、日本の企業の姿がなかなかそこには登場してこないという状況であって、日本は制度論ばかりに時間を費やしている余裕はないと思います。
 そういう意味で、先ほど少し話があった総務省のコンテンツ取引市場というのは、1つの重要なテーマではないかというふうに認識しています。
 放送コンテンツの流通を促進するためには、例えばアメリカがかつてやったようなフィンシンルール、あるいはプライムタイムアクセスルールですとか、イギリスや韓国が敷いているような外注規制といった規制によって推進するというやり方もありますし、また著作権のスキームを変更することで、権利関係を変えるという、そういうやり方もあるでしょう。
 しかし、またこういった制度のアプローチを取ろうとすると、実施までにまた議論をして、何年もかかるのではないかということもまた事実であって、それよりも同時に、民間の発意で取引市場のような場を形成して、コンテンツの流通を促進するということを民間でやるというのもいわば日本型のアプローチとなるかもしれませんけれども、それで成功すれば、行政目的が達成されるはずでありまして、逆にいうと、そういった民間の取組というものをやってみて、うまくいかなかったらそれこそ制度面で考えなければいけないという、そういう段階ではないかなというふうに聞いて感じております。
 申し上げたいのは、官や政府は制度論に力を入れておりますし、産業界も経団連さんを中心としてルール作りやビジネスの開発に力を入れているところで、残りは学で、日本の学、特に大学がこういった制度の規格とかビジネスの開発をするためのプラットホームといいますか、増殖炉のような機能をもっと果たすべきではないかというふうに自戒をしておりまして、政府の検討とか取引市場のトライアルの産官学のプロジェクトのようなものの受け皿として機能をもっと発揮できるように我々自身も努めていきたいなと感じた次第です。以上です。

○久保利座長 ありがとうございました。
 では、中山委員、お願いします。

○中山委員 総務省にお伺いしたいのですけれども、放送事業者のコンテンツのマルチユースというのは、これは放送事業のキーワードであるとおっしゃっておられましたし、私もそうだと思います。放送事業者のところできちんと権利処理をしておけば法的な問題、マルチユースの法的な問題は大体解決すると思うんですけれども、しかしどうも現場の放送事業者の法務関係の方に伺ってみますと、熱心ではないようです。色々聞いてみても、金がない、人がない、興味がない、あるいは法律をよく知らない、やってもあまり儲けがない、こういうことを色々言われるわけですね。
 「おしん」とか一部のドラマ、アニメのような例外はあると思うんですけれども、一般的にはどうもあまりマルチユースに熱心でないと思われるんですけれども、その本当の理由というのがどこにあるのかというのをお伺いしたいと思います。

○久保利座長 これは小笠原さんに対するご質問ですか。

○小笠原参考人 NHKさん、フジテレビさんもいらっしゃるのに、私が答えるのは若干いかがなものかと思いますが、少なくとも情報通信審議会において、いわゆるコピーワンスに関する議論においてもこういったテーマは何回も議論され、ここ2年半間に繰り返し議論が行われたわけでございますが。事務局として第四次答申をまとめ、かつ審議会を運営しております立場としては、先ほど申し上げた原則についての認識は変わっておりません。
 大きな組織になりますと色々なご意見もあるかと思います。放送事業者、製作会社、色々な現場の方々がご苦労されながら、DVD化をし、海外に番販をし、国内で番販をすると、そういった契約取引において、社内的に色々なデータを集め、色々なことを集約し、苦労されながら権利処理をやっておられるということで、そこにはご苦労がおありかと思います。
 しかし、少なくとも先ほど申し上げたとおり、当審議会の場におきましても、こういった株主に対する説明の場におきましても、明確に放送事業者としてマルチユースは基本原則であるとおっしゃっているわけであり、かつ会社によってはそういったことに関する明確な数字を提示して、ご説明された例もございます。
 したがって、私どもとしては少なくとも放送事業者さんの基本的なスタンスとして、マルチユースの促進ということが基本的な方針であり、また現実にもう取り組まれているということを前提として議論を進めることが適当であると考えているところでございます。

○久保利座長 三尾委員が前から手を挙げられておりますけれども、せっかく関連の村上委員が手を挙げられましたので、ぜひそのあたりをお願いします。

○村上委員 今、小笠原さんからお話があったように、まず全放送事業者がマルチユースに力を入れている。あるいは1つの企業としてもそれを非常に大事にしなければいけないということについて、特にどの局もそれはそうだという話だと思います。
 問題は、今日もテーマになっていますけれども、ネット配信の部分、これについて非常にやはりまだ遅いという話ではないかと思います。
 それで、なぜ遅いのかということについては、このワーキンググループでも私も何回も申し上げているように、それなりの色々な理由があるわけですけれども、それをこのままでいいというふうに思っている放送事業者は全く1つもないということです。
 じゃ、どうしたらいいかということで、今色々悩みながら、しかしながら少しずつ前進を始めているという、これも毎回私が申し上げているとおりなんですけれども。
 それで今日のテーマは流通促進ということだと思うんですけれども、それをある視点でいうと、1つは、著作権の帰属という問題があると思っております。
 今日、ATPの重延委員がご欠席なんですけれども、放送事業者と製作会社との間で問題になることでいうと、著作権の帰属が一体どっちなんだという話がありまして、先ほど事務局から配っていただいた、この放送番組著作権取扱というところで、フジテレビジョンという名前が出ていますので、申し上げますと、当社では基本的には企画製作の主体になる実質的な著作者に著作権が帰属するという考え方で、ATP契約では製作会社にその権利を帰属するという形ができております。
 もう1つ付け加えさせていただきますと、フジテレビではATP契約で製作された番組で、放送権がまだフジテレビの中、例えば2年に2回とか、フジテレビの中に放送権がある場合でも、製作会社が二次利用の案件を持ち込んできた場合は、製作会社を窓口として、二次利用のハンドリングをしていただくという形ができ上がっておりまして、収益を製作会社とシェアしていくという一応スタイルができているわけです。
 著作権の帰属ということが1つポイントとしてあろうかと思いますが、もう1つ、流通といったときに、いわゆるウインドウコントロールという問題が、テレビの番組利用についてあると思っております。
 つまりウインドウコントロールというのは、コンテンツが出ていく、その出方についてのあるコントロールをきちんとする必要があると。どういうことかといいますと、例えば番組をDVDで二次利用する。あるいはCS放送で番組コンテンツを流していったようなことをするときに、もし地上波の方でその番組を無料で出したりしましたら、これはDVDの方、あるいはCSの方のビジネスが成り立たなくなるということでございます。
 したがって、非常に多くの権利者があるとともに、その利用に関してもさまざまな利害関係があるということでございますので、特に二次利用、三次利用に当たっては、権利者が、利用者、コンテンツをどう使う人との十分な協議を行いながら、さっき行ったようなウインドウコントロールを図って必要がある。
 したがって、特にネット配信も含めて、番組の二次利用を活発に行うためには、著作権の帰属の問題だけを論じるのではなくて、民民の協議によって権利者と利用者の間の適切なバランスを実現していくことが非常に重要になってきますので、そういう観点も踏まえてこの議論を行っていただければというふうに思っております。
 いずれにしても、マルチユースをやらなくていいという考え方を今放送事業者はもっていないということは、ここで明快に申し上げておけると思います。

○久保利座長 それでは、三尾委員、お願いします。

○三尾委員 その関係があればお先に。

○久保利座長 高橋さん、関連ですか。では、お願いします。

○高橋委員 高橋でございます。私は総務省の方の委員会にも入っております。
 その前に、南場さん、ありがとうございました。非常にわかりやすい数字が出ていますので、検討させていただきます。
 南場さんのご意見の中でありました検討委員会の中でのメンバー構成が少し偏っているのではないかというのは、私もその委員として参加していて感じております。総務省の資料の2ページを見ていただければわかるように、放送事業者さんがずらっと並んで出てきていまして、私は消費者サイドから出ているわけなんですが、1人で何人も相手にしなければいけないという状況です。
 総務省からのご説明、テレビ局さんからの説明によれば、マルチユースは放送事業者が促進しているんだと。そういう姿勢にあるというスタンスをお示しいただいていますし、フジテレビさんからは資料1の10ページで、著作権を製作会社に帰属させているということで、考え方、形、いわゆるスタイルができていると。シェアすることもできるというふうにおっしゃっているんですが、現実的にはそのマルチユースが促進されていないし、権利者の方々、番組製作事業者の方に相当なご不満があるというふうに色々ヒアリングしながら感じております。
 ですので、この問題というのは、ある種構造問題みたいなところがあるということと、製作事業者の問題点、公正取引委員会の方でも下請法関連で問題にしているわけです。あちらこちらで議論をしているんですけれども、やはり進まないというところが一番大きな問題だというふうに思います。
 ビジネスモデルとして、ウインドウコントロールをしていくんだという考え方はわかりますが、どうも第三者の立場から見ていますと、放送事業者の権利が非常に大きい中でのウインドウコントロールというふうに感じまして、消費者の権利が侵害されているというふうに感じるところでございます。
 ですので、ぜひ当委員会においてもこういう問題をしっかり議論していただきたいということをお願いいたしたいと思います。以上です。

○久保利座長 当然そう考えているわけで、このメンバーは決して放送事業者に偏っているわけではありませんし、ユーザーとか流通関係者がたくさんいらっしゃいますので、どうぞ大きな声でガンガン言っていただければというふうに思います。
 では、本部員でもある三尾委員、お願いします。

○三尾委員 私も放送事業者との関係では、意見があることはあるんですけれども、今日はそれではなくて、今日のテーマでありますデジタルコンテンツの流通促進について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、流通を促進するというためには、今まで様々な議論をいただきましたけれども、やはりできるだけいいコンテンツを一極集中で管理をして、権利情報等を流して、それを流通させていくということかなというふうに思います。
 一方で、海賊版模倣品の対策をするということをしておけば、民民であれ、官が関与するということであればそれでも構わないんですが、取引市場が形成されていくのではないかというふうに考えます。
 そういう観点からいたしまして、経団連の方で検討していただいています資料2‐2のコンテンツのポータルサイトについては、非常に興味深く拝見させていただきました。
 私の意見を申し上げますと、やはりアップされるコンテンツが十分ではないんじゃないかというところがまず考えられるかと思います。
 といいますのは、いいコンテンツをつくる創作者というのは、特にこういうポータルサイトに自分自身の作品をアップしなくても、取引市場としては利用者側の方からコンタクトしてくるというような事実もあるかと思います。
 ですので、このコンテンツポータルサイトのコンテンツの量をアップさせるというためには、BtoBだけの対象ではなくて、もっと幅広く対象をユーザーニアリーイコールの創作者といったようなレベルまで下げてみてはどうかなというふうに考える次第です。
 そうすることによりまして、一般の例えば具体的に言いますと、ユーチューブなんかに投稿している、レベルの低い方つまり著作権侵害をしているような方は除外するとして、一般の投稿者たる創作者も引き込む形でコンテンツをアップさせて、それを流通させた上で、利用者に使わせるという方向性が一番いいのではないかと思う次第です。
 このコンテンツポータルサイトのターゲットは、むしろ今現在あるBtoBの事業者ではなくて、CもしくはCニアリーのような方々ではないかというふうに考えます。
 そうすることによって、取引市場が活性化して、コンテンツの広がり、さらに創作者のモチベーションも高まるのではないかというふうに考えている次第です。
 利用者の声を聞きますと、いいコンテンツはないだろうかと常に探しているようなんですね。ですので、利用者は色々なところのサイトにアクセスをして、いいコンテンツを探したいというところはあると思います。そういった場に、日ごろ日の目を見ない、弱小の創作者たちをアップさせまして、その方々に利用者とコンタクトさせるという、マーケットの場を提供する場としてポータルサイトを利用してはどうかなというふうに考える次第です。
 ですので、今のところターゲットをもう少し広げて、第一段階としては幅広いコンテンツを集約するという方向性がいいのではないかと思われます。
 この第二段階としては、さらにすでに評価を得ていて魅力的なコンテンツを作っている方々も参加しやすいようにしていく方法が必要ではないかと思います。
 そのためには、ポータルサイト自体の市場が広がって、この市場自体に自分が参加しないとマイナスであるというような意識を持ってもらえればいいのではないかというふうに思います。
 ですので、一度には無理だと思いますので、まず第一段階としては、もう少し対象の幅を広げて、ユーザーもアップしやすい、そういうサイトにしてはどうかなというふうに思います。
 そのための1つの方策としては、例えば一般の検索エンジンやユーチューブ等の利用も考えられるのではないかというふうに思う次第です。
 経済産業省さんが発表していただきましたこの情報大航海プロジェクトなんですけれども、これはグーグルをしのぐというところを目的としているというようなことを聞いたりしました。
 国がやっているプロジェクトということで、しっかりしているプロジェクトでもありますし、資料の4ページですけれども、新たなコンテンツアクセス技術が生み出す次世代Webサービスというようなコンセプトがありますが、ここの中で、こういうデジタルコンテンツの流通促進の取引のマーケットというところを設定してもいいのではないかなというふうに思います。
 もう少し使いやすい形で、色々な方がアクセスできるようなポータルサイトを考えていただければ、さらに取引市場として活性化するのではないかというふうに考えた次第です。
 もう1点だけなんですけれども、弁護士の立場として申し上げたい点があります。
 エンタメロイヤーはかなり増えてきているのかなというふうに私は思っておりまして、さらに弁護士の意欲としても高いと思います。ただ、今現在のコンテンツの市場におきましては、契約の交渉段階から弁護士を使うというような発想が非常に低いというふうに考えます。
 何か問題が起こった場合の裁判手続とか契約交渉が終わった団体での契約書の作成だけを頼むというケースがほとんどかと思います。
 弁護士が最初から交渉に参加いたしますと、交渉が有利になるということは確実だと思いますので、皆様の意識の中で、もう少し弁護士を使っていただきたいというふうに思う次第です。以上です。

○久保利座長 ありがとうございました。
 今、冒頭の方、前段階で色々おっしゃったことはポータルサイトの問題としては、田中参考人、それから大航海の関連では八尋参考人に関連すると思いますので、それぞれお答えなり、あるいは補足説明なりしていただけたらと思います。

○田中参考人 三尾先生から大変激励と励ましの言葉をいただけたということで、本当にうれしく思っております。
 今日もご報告させていただきましたけれども、実はポータルサイト大手事業者さんのコンテンツ情報というのはデータベースに整備されていますので、どんどん登録されていると。実際、先生ご指摘のごとく、大手のコンテンツというのは、ここに乗せなくても、1人でどんどん動いていくという事実がございます。
 やはり一番必要な叫びは、独立系、インディーズ系の方々で、このインディーズ系の方々だけの情報をここに載せると、このポータルサイトのバリューが出るかというと決してそうではなくて、やはり大きいコンテンツホルダーの力も必要だということで、まず一次的には大きいメジャーのコンテンツホルダーの情報を登録しているというのが今の状況でございます。
 今後の課題としては、今日もご報告しましたように、中小、この情報をどう乗せていくか。ここのところは非常に大きな課題。またそういうところが一番自分たちのコンテンツの利活用を望んでいるというところでございます。
 3番目のテーマ、まだスタートして4カ月半でございますので、そこまでちょっと検討が至ってなくて大変申しわけないんですけれども、今後についてはユーチューブのような、ああいう発想、一般のユーザーの方が登録できるような、そういうこともぜひ積極的に検討させていただきたいと思います。色々ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○久保利座長 では、八尋さん、お願いいたします。

○八尋参考人 現在技術関係に関しましては、内閣府の総合科学技術会議という枠組みの中で、関連する総務省さん、文科省さんとの三省庁連携というタスクフォースがございます。阪大の西尾先生がタスクフォース全体のコーディネーターという形で進めております。総務省さんのおやりになる情報の信憑性を探るというプロジェクトと、文科省さんがおやりになる今後ますます情報量が増えますので、データベースをもっと革新的に早く演算するというプロジェクトがございまして、そのための基盤となるプラットホームを経済産業省の情報大航海プロジェクトの中に設けることになっております。
 現在、年度内に稼動するように、そのコラボレーション・プラットホーム基盤というものを産業界の方、学会の方の知恵をお借りして、設計を進めているところです。コンテンツに関しましては、ちょっと私どもの視点が足りなかった分ですが、技術の開発をまずということになっていますので、その言い方は難しいんですけれども、技術を開発するための実験の材料という形で、ご協力をする方々が今後出てくるということになっております。
 ですから、今日のテーマのようなコンテンツ流通を目的としたプロジェクトではないのですが、結果としてそのでき上がります、税金でできる基盤は今先生がおっしゃったようなところに活用できる可能性が非常に高いものでございますので、今後放送局の方、製作会社の方でご関心を持たれるのであれば、ぜひ私どもで広くアピールをして、現在の三省庁連携の枠組みの上で、コンテンツに関しましても、協力ができればいいかなというふうに考えております。

○久保利座長 それでは、角川委員、お願いします。

○角川委員 コンテンツ促進法が2005年にできまして、国や地方公共団体の持っているコンテンツが、民間が使うことができるようにするということが規定されました。
 現実には、何年かたったのですけれども、なかなか民間が利用したということにならない状況です。
 それが、今日のテーマでありますデジタルコンテンツの流通という問題に広くかかわりあっていると思います。つまり、コンテンツの蛇口を閉めていたのを緩めなさいと決めたわけですけれども、それが流れる水道管を作ってなかったということじゃないかというふうに思うわけです。
 民間から見れば、どういうものが国とか地方が持っているかということもよくわからないですね。そういうものが公開されることで、まずそういうデジタルコンテンツの流通の促進につながるのではないか。そういった点で、せっかくコンテンツ促進法をつくったのですから、この活性化をぜひ知財で検討すべきではないかなと1つ思いました。
 それから、2番目ですけれども、これは参考資料を出しておりますので、それをごらんなっていただきたいのですけれども、前回のときにも申し上げました国会図書館に所蔵されている880万冊の著作物についてであります……。

○久保利座長 資料の4ですね。

○角川委員 資料の4でございます。
 それについて、先ほど文化庁の山下課長からお話が出ましたロボット検索によるデジタル化というものを推進したらどうかということを提案させていただきました。先日、早速、国会図書館の方からもお話を聞かせていただきました。
 国会図書館としても、ぜひそれは推進したいということでしたが、問題なのは、国会図書館法だということでした。国会図書館法の中にはデジタルコンテンツ化するということが入ってない為、障害になっているということでした。これももし知財がそういう方向で推進、支援するのであれば、非常に喜ばしいことだと思います。
 又、そこで、先ほどの情報大航海プロジェクトに含まれるかどうかですけれども、日本が持っている国会図書館のデジタルコンテンツ化というものを推進する中で、日本型の検索会社を育成するということもこのコンテンツ産業育成の中の一環ではないかなと考えます。
 著作権制度の規制の解除が進めば、新しい事業会社が生まれる、そういう方向にこの会議が進めばいいなと思いました。
 それから、総務省さんにお聞きしたいのですけれども、通信と放送の融合というテーマの中で、今までの縦割りの行政から横の串刺しをするというような話があると思います。その中で、コンテンツレイヤー、ポータルレイヤーそれからキャリアレイヤーみたいな形でのお話を聞いたことがあるんですけれども、現実に今この知財の中で、従来の放送事業者以外の、どんな形のコンテンツレイヤーのプレーヤーに期待されているのか、今日そういう関係の方もいらっしゃり、興味を持っていると思いますので、お話ししていただければありがたいと思います。

○久保利座長 はい、わかりました。
 それでは、小笠原参考人、今のレイヤー別というふうな融合の問題に関連して、コメントいただけますか。

○小笠原参考人 当省で開催しております通信・放送の総合的な法体系に関する研究会のメンバーとして中村委員にもご参加いただき、コメントもいただいたところであるかと思いますが、通信・放送融合ということについては、色々な思いがあると思います。
 ここで前提としておきたいことに、通信・放送融合の1つの側面として、先ほど中村委員がおっしゃられましたが、放送コンテンツとされたものがインターネットに流通しているということがあると思います。これは少なくとも融合の非常に重要な側面の1つであろうかと思います。
 そして、そういった側面での融合、つまり放送コンテンツをネットワークの中で配信していくということの基本的な考え方としては、先ほどの放送事業者の委員の方等のご発言にもありましたとおり、基本的な姿勢として、あくまでビジネス用の判断としては、積極的にマルチユースの一環として取り組んでいくということが、明確化されているわけでございます。
 したがって、そういった融合の、今申し上げた側面については、放送事業者においても、それから権利者団体においても、既に積極的にビジネスベースで進められている。そして、その1つの例が、先ほどご報告があったと思いますが、経団連の、ビジネスの中で今までなかなか合意が難しいといわれていた、ネットワーク配信についての契約ルール、今までなかなか具体的にならなかったミニマムギャランティかそれとも収益配分かというような面も含め、まさに今合意せんというところまで来ている、民間ベースでも相当なところまで進んでいるということだと思います。
 したがって、法体系として制度でどういうことをいじるかということについては、そういった動きを十分に踏まえなければいけないと考えているところであります。
 そして、この通信・放送融合法体系の議論、特にコンテンツレイヤー、あるいはプラットフォームレイヤーが議論されるときに、よく誤解されるところなのですが、中村委員がさきほど中身について触れていらっしゃいましたが、それは規制として果たして適切なのかどうか。果たして、官と民の役割分担の上で、そこまで踏み込むべきかどうか。こういったことで、その議論の本質が変わるものではないと思います。
 したがって、少なくとも規制として適切なものか否かという議論があって、それが縦割りであれ、横割りであれ、どういうふうな法律の形にしていくのが果たして適切なのか、という議論が展開されるものと考えているわけでございます。
 最後の角川委員のどういったコンテンツ事業者が今後出てくることを期待しているのかという点でございますが、まさに今回ユビキタス特区に公募させていただいたところがそういう点でございます。これからいわゆるIP、モバイルといったものを中心に、我々が今まで考えていなかったような様々なウインドウが今も出続けている、これはもう事実だと思います。我々行政の役割として、もしそういったウインドウについて、立ち上がり時に民ベースのみではなかなか円滑に行かないところがあるのであれば、そういったウインドウは試験的にどんどん提供をさせていただく。
 そして、その中で、放送事業者さんといった方々も含めて、そういったウインドウの活用について、どういったアイデアがあるとか、実証実験とか、そういうところにご参加いただきたいと思っています。
 したがって、まさにそういうコンテンツに対して、意欲を持って投資をし、そのリスクをとってコンテンツを製作し、流通させる方々については、むしろそういった実証実験の場ですとか、中村委員ご指摘のトライアルの場ですとか、そういったところに極力門戸を開いていきたい。むしろそういった方々とも積極的な接点を我々としては求めていきたい。そういうふうに考えている次第でございます。

○久保利座長 角川委員、いかがですか。よろしいですか。

○角川委員 よろしいと思います。

○久保利座長 浜野委員が挙手をしておられますので、浜野委員、お願いします。

○浜野委員 これまで映画や出版、放送にしても、アメリカや社会主義の国以外では、これだけ自国コンテンツの比率の高い国がないですから、大変頑張ってきたと思います。しかしユーチューブのような新しいことをやろうとしたら、日本にはサーバーは置けない。著作権やルールによって新しい試みがすべて排除されてしまいます。メディアテクノロジーは、写真にしても映画にしても、できたときは裸とかワイセツとか、隠し撮りが横行しました。
 メディアテクノロジーの最初は、いかがわしい使い方がほとんどなんですが、それを大事に人間が育てていって、産業化していくわけです。ルールをリジットに考えると、中村先生がおっしゃったように、日本で新しい試みがほとんどできない。
 日本の大手のゲーム会社はサーバーをロサンゼルスに置かざるをえず、その地域が大火事にあうということがありました。日本に置くと法律上の問題に触れるかも知れないということで、サーバーが日本から逃げていきます。
 ユーチューブなどは、著作権法とか、放送とか通信のルールから考えると問題が多いわけで、放送業界にとっては地獄です。ただ、それを育ててゆく可能性をつまないようにしていただきたいと思います。スケーラブルなデジタルメディアは変質してゆくので、現状のままであるわけがなく、いまのマスメディアと同じぐらいの広がりを持つかもしれないので、ぜひそういったことも各省庁でご検討いただければありがたいと思います。

○久保利座長 ありがとうございました。
 今、和田さんのお名前が出ましたけれども、何かコメントございますか。

○和田委員 今日は、放送の話が多かったものですから、違うポイントの質問をしたいと思います。
 さまざまな委員会で議論されているのは、要するに、デジタルネットワーク社会になったときに、データがどう取り扱われるべきかということなのだと思っています。
 プロが作っているデータは当然にコンテンツ領域なんでしょうけれども、参加する人たちがつくるものも、あるいは参加する人そのものもデータとして取り扱われるようになると(つまりCGMだとか何とか言われている部分なんでしょうが)、これもコンテンツと呼び得る。
 この専門調査会は、データの中でも特に今述べた双方のコンテンツ領域を議論するということだと思います。
 さて、先ほど、情報大航海プロジェクトの中で、同じデータではあるけれども、コンテンツと違う領域の話が出てきましたので、ちょっとだけ質問したいと思います。
 いわゆる行動履歴等のメタデータについては、プライバシーその他、現状保証されている幾つかの権利というのが何らかの形でギブアップされないと活用されないのだと思います。コンテンツ領域のやり取りというのは、経済的な解決をどのようにするかで基本的には着地していくんでしょうけれども、メタデータの取扱いということになりますと、経済的なやり取りは必ずしも発生しないので、データ提供者が対価を要求できる相手というのは、行政しかなくなると思います。従って、別途制度が必要だという気がするんです。
 この、プライバシーですとか、メタデータの取扱いについて、例えばある法律をつくる必要があるとか、要するに何らかのかなりきちんとした制度的な手当てをする必要があるのかどうか、どのようにお考えか、感触だけでも教えていただけませんでしょうか。
 割とこの手の話を真正面からとらえているところがなくて、いつも色々な議論に付随的にしか出てきませんが、本当は、ものすごく大切だと思います。ですので、あえてこの会とは直接は関係ないんですけれども、お聞きしたいんです。制度設計に関連する実情はどのようになっていますか。

○久保利座長 では、八尋参考人。

○八尋参考人 かなり客観的な情勢だけお伝え致します。今一番ようやく世界的にも動き始めた部分で、例えばこの9月にカナダのプライバシーコミッショナーといわれる方が、グーグルに対して質問状を送っていると聞いております。それはなぜかというと、グーグルがまだアメリカだけでテストをされている都市の景観を映し出す中に、要するに車のナンバーまで映ってしまうという都市型のサービスを、全米ではなくて、限られた都市だけで今試験的にやっております。その技術は実は、グーグルの技術ではなくて、カナダのベンチャーの技術でして、それがグーグルに試験的に提供されています。カナダのプライバシーコミッショナーは、それを非常に危険に感じていて、というのは、私は専門家ではないのでわからないのですが、カナダのプライバシーアクトは非常に厳しくて、そういったものがカナダで仮に提供された場合、完全にプライバシー法に触れるので、どういう展開をするつもりかということをグーグルに聞いているというようなことがございます。
 一方で、またグーグルが、EUで今色々なロビー活動をされていて、プライバシーに触れる情報を集めた方がよりよい検索サービスが提供できますし、彼らはいまや携帯電話サービスにも出る時代ですから、色々と手を打っております。
 そのときに世界的に見ると、APECがおまとめになったプライバシーガイドラインというものが一番緩やかなんだそうです。それに則って世界標準をつくったらどうかということを例えばEUに働きかけると、EU側はそんなことはあってはならんということで、現在グーグルとEUと緊張感があるんですけれども、その辺のことを含めて、今アメリカのFTC、商務省がそろそろこの辺のプライバシールールを色々話し合った方がいいんじゃないかということで、極秘裏にイギリスの貿易産業省と英米で考えませんかというような話が、9月と10月の初めぐらいに相次いで起きています。
 ですから、今ご質問があったようなことに関しては、まさに今ようやく議論が始まろうとしているというところで、法制度で考えるのか、倫理で考えるのか。産業界が結束して何らかの安心できる約款を作っていくのか。いずれもまだわからないということが言えると思うのですが、国によって多分反応が違うし、文化も違うし、EUでもまとまれるのか、EUとフランスレベルでもかなり考え方が違うのではないかと思います。特に映像の検索になりますとフランスでクエロプロジェクトというシラク前大統領のかなりの肝いりで始まったプロジェクトがございます。これは、文化侵略的なところを気にされていて、映像のランキングが検索で出てしまいますと、それですぐにストリーミングで見れてしまうということになったときに、人気ランキングのあり方とか、そういったことがハリウッドの映画等々が上位に出てしまって、フランス人の文化やものの考え方に対しても影響を与えるだろうと。テキストだけでサーチング、ランキングが出ているときとは、文化全体、ものの考え方にかかわるということで、EU以上にフランスでは、そういった点を深刻にお考えになっていたりします。
 ですから、それにさらにプライバシー情報にかかわるとどうなるのかというのは、まだまさに前哨戦が始まっているという段階です。
 一方で、日本の場合は、家電製品が、例えばカーナビを1つとっても、今全世界の7割を日本が供給していますが、次のカーナビというのは、誰にお聞きしても、運転者によって表示が変わるというものです。一度行った町についてはさらに詳しい表示が出る、あるいは赤ちゃんを乗せている主婦であればベビーケアのあるトイレまで出る。そういったことを考えていくと、その履歴サービスでどこまでやったらいいのか。前の人が乗ったものは消すべきなのか。その辺は、かなりきちんと作っていかないと、安心に家電が使えなくなる。もしくは自動車製品も含めて、使えなくなるだろうというようなことで、日本の産業界の中でも、家電業界等々を含めて、ようやく議論が始まるきっかけになっているのが、この情報大航海プロジェクトでございます。
 今回の実証実験の中に、NTTデータさんを中心として、トヨタグループが入ったカーナビのプロジェクトがございますけれども、既にそういう議論が行われつつございます。以上です。

○久保利座長 大変興味深いご報告ありがとうございました。
 まだご発言がないのが、里中委員でございますけれども、今日はいかがでございましょうか。

○里中委員 色々となかなか何もかも大変だなと思いながら聞いておりました。
 やはりこういうことを推進するには必ず出てくるのが推進したい側ととどめたい側、どちらも正論があるわけでして、その辺のバランスの取り方が大変重要かなと思います。
 ですから、幅広く色々な方の意見を聞くということはとても大切だと思いますが、やはり拙速であってはいけないと。いったん開いてしまったものは、閉じるのはなかなか難しいですから、日本は歩みが遅いように見えても、その辺きちんとやっていくのがいいのではないかなと思います。
 ただ、使う側としましては、こんなに遅い展開でしかも不自由を色々しておりますと、もう少し早く方向性だけでもはっきりと示していただければなと思いますが、身近なところで、一番ちょっとはらはらしているのは、今DVDレコーダーの新しいのは買わない方がいいのかどうかという、こういうところがやはり消費者にとっては重要な問題になると思うんです。
 これだけ技術が発達していて、どうしてコピーアットワンスかフリーかしかないのかという、消費者としては疑問に感じるところです。実際に非常に使い勝手が悪いし、コピーをとるときにもし失敗したらどうしようと、いつもすごく緊張してしまいます。
 実際に、既に入れてある番組の続きに入れたかったのに、違うメディアに入れてしまったときの焦りと悔しさというのはないわけですね。
 ですから、何のためのコピーアットワンスだったのかという、著作権を守るためだったんですが、著作物を楽しむための手足がすごく不自由になっている。日本独自の技術というのは世界に誇っていいものがいっぱいあるわけですから、遠い将来でも構わないんですけれども、みんなで協力しあって、何回と決めるよりも、著作者側、発信元がコピー可能の回数を決めて、それを送り込むとか、そういうことができれば、一番お互いに納得できるのではないかなと。創作者も納得できるし、使う側もそれが、創作者の意図であれば、仕方がないと思うでしょうし。全くフリーか一回か、それじゃないんだったら、次に家族何人かで見て、1人で何回まではコピーオッケーとか、そういうあまりにも機械的な考え方よりも、これからの時代、やはり細かいニーズに応えていくという、大変ですが、そういう技術を開発する過程で生まれてくる、新しい技術とか能力とかがあるわけですね。
 大げさになりますが、我が国が資源がないないと言われながら、ここまで来たのは、ない資源をどうやりくりするのか。ない面積をどうやりくりするかと。色々なことをどうしようかと思いながら新しい発想、新しい技術を各企業が培ってきたのだと思います。
 電子機器業界においても、日本の発想とか細かな対応というのが、ものすごい財産ですし、底力だと思いますので、欧米ではどうかよりも来世紀の土台になるような技術を支えるという意味で、各業界で頑張っていただきたいなと思います。

○久保利座長 どなたかに特にお答えを要求するということはありますか。

○里中委員 とくにありません。とにかく励ましと期待を述べさせて頂きました。

○久保利座長 応援のお話でございますね。
 高橋さん、お願いします。

○高橋委員 今の里中委員のご意見に関連してですが、本当にコピーワンスの問題というのは、消費者不在で議論が進められて、今メーカーさんは大変な状況になっていると思います。そこで感じますことは、新しい技術を誰のために使うのかということだと思います。
 コピーコントロールCDのときにも、消費者からブーイングがあって、結局撤退されたわけですけれども、消費者、利用者の方を見て進めていただきたいというふうに思っています。
 今、もう1つ地上デジタルの方で、残された課題といいますか、早急に進めなければいけないことがあります。現在地上デジタル放送を見るのに暗号がかかっておりまして、B-CASカードというものを消費者自身が負担をしています。それがないと一般の方々が普通のテレビを見られないという状況になってしまっているわけなんですよね。
 そうした技術に関する前回の質問に対し資料3で、著作権保護の技術の色々例とか、対策についてデータをいただきましてありがとうございます。
 フラグ検出型、暗号技術利用型があるということで、今どんなアプローチがあるかということを詳しく書いていただいているんですけれども、誰が何のためにするのかということが、私は非常に重要だというふうに思っております。
 ですので、この件に関しても、今後少し議論する場があるのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。

○久保利座長 ありがとうございました。
 おおむね時間になってまいりましたけれども、特にご発言を希望される方、参考人を含めていらっしゃいませんでしょうか。
 いらっしゃらないようですので、今回はこのあたりでまとめたいと思います。ご議論いただいたデジタルコンテンツの流通促進方策というのは、本当に委員の先生方、色々ご発言いただいて、参考人からも貴重なご説明をちょうだいしましたけれども、やはり関係団体、関係省庁においても検討の中身をより充実させる、より一層スピードをあげて行っていく。そして特に今、高橋委員がおっしゃったような誰のために、何のために、それをやるのかということをしっかり認識をして、特にユーザー、国民のための目線というのを押さえておく必要があるだろうというふうに思います。
 そういう点では、関係省庁等におかれましては、今後の検討において、本日の議論をその成果に反映していただくように、座長からもお願いをしたいというふうに考えております。
 また、民間中心の取組でございますが、私が会長を務める映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会、これは、私自身の責任もございますので、ここでも末吉参考人とともに、本日のご意見を踏まえまして、さらに議論を前進させていきたいというふうに考えております。
 事務局におかれましては、前回、今回を通じて、委員の皆様方からいただいたご意見について、ワーキングループの中間報告に反映させるべく政府部内で検討いただくようにぜひお願いをいたします。
 それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の会合をここで閉会いたしたいと思います。
 コンテンツ企画ワーキンググループの第3回会合、次回会合は12月4日火曜日、15時から霞が関東京會舘のゴールドスタールームで開催する予定でございます。手帳等に確認をお願いしたいと思います。
 本日は、ご多忙のところ、まことにどうもありがとうございました。
 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。