コンテンツ強化専門調査会(第10回)議事録



  1. 日 時 : 平成23年5月13日(金)14:00〜15:20
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【担当政務官】
    阿久津幸彦 内閣府大臣政務官
    【委 員】
    中村会長、久夛良木委員、末吉委員、杉山委員、谷口委員、別所委員、
    吉羽委員、中島本部員、中山本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、芝田次長、安藤参事官、奈良参事官、内藤企画官


  • ○中村会長
     では、ただいまから「コンテンツ強化専門調査会」の第10回会合を開催させていただきます。御多忙のところお集まりをいただきましてどうもありがとうございます。
     今日は、コンテンツ強化に関しまして知財計画2011に盛り込むべき事項の取りまとめの会議になります。今日が取りまとめに向けた最後の議論となりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
     では、まず近藤事務局長からごあいさつをいただきます。
  • ○近藤局長
     今日もお忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。
     今、会長からお話がございましたように、この専門調査会は今日で10回目でございます。相当突っ込んだ議論をさせていただいたことを改めて感謝をさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。
     この前々回の3月10日にかなりのところまでまとめ、その上で取りまとめをしようと思っていたところ、こういう大きな東日本の大震災があったわけでございますけれども、これにつきまして今日相当突っ込んで説明をさせていただきます。
     大分、東日本大震災の対応を含めて書き込んでまいりました。また、こういうときだからこそクールジャパンをしっかりやろうということで、世界にかがやけるように政策も盛り込んでございます。是非よろしく御審議をお願いしたいと思います。
     本当にお忙しい中、お暑い中を心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
  • ○中村会長
     ありがとうございます。
     本日、オブザーバーとして中山本部員、中島本部員にも御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いをいたします。
     では、早速議論に入りたいと思います。今回は取りまとめの回ということで、全体を通しての議論をしていただければと思っております。今日は時間を2時間ということで予定しておりますけれども、議論の進み方を見て会合の終了時間を調整させていただきたいと思います。
     では、配布資料の確認と前回の議論を踏まえて、事務局が修正した資料について説明をお願いします。
  • ○奈良参事官
     今日も暑くなってまいりましたけれども、既に御連絡させていただきましたが、今、役所の方ではクールビズを実施しておりますので、御理解をお願いしたいと思います。
     それでは、資料を確認させていただきます。議事次第の下に資料がございます。
     資料1が、本日、主に御議論いただきます「知財計画2011に盛り込むべき事項」の最終案でございます。
     それから、参考資料1が今、検討中のクールジャパンアクションプランというものでございます。ほぼまとまっておりますけれども、最終決定前のものでございますので、本日メインテーブルのみの配布とさせていただきたいと思っております。傍聴の方には大変恐縮でございます。
     それから、参考資料2が前回のこの調査会での主な意見でございます。
     このほか、これもメインテーブルのみで恐縮でございますけれども、クールジャパンの推進状況につきまして、東日本復興も含めまして先駆けて実施しているものを2点御紹介させていただきます。一つはカンヌ映画祭における取組というものと、もう一つは中小企業への復興支援というところでございます。
     最初にこちらを御紹介させていただきたいと思いますけれども、今ちょうどカンヌ映画祭をやってございます。角川委員も行かれているとお聞きしておりますし、また別所委員が声優を務められた作品も正式出品されたと伺っておりますけれども、そこでここにございますようにジャパンブースというものも出してございます。ここはJETROの支援を受けまして日本企業17社が設置をして出展しております。別添の方に概要とイメージ図が書いてございます。
     それからもう一つ、復興メッセージの発信ということで、外務省の方が復興のメッセージを盛り込んだ映像を作成いたしまして、それを会場近くの大型モニターで流しているというものでございます。これは30秒くらいのものなのでございますけれども、新幹線とか、桜とか、富士山とか、そういうものが映りまして、最後に「ディスカバー・ジャパン・アゲイン」と出てくるというもので、1日72回くらい放映しているということでございます。
     それからもう一つ、5月13日、ちょうど本日でございますけれども、ユニジャパン主催によりましたレセプションが開催されているということで、その中でも復興メッセージを発信するということでございます。
     それから、このほかフランス映画関係者も協力していただいているということで、日本への支援を呼びかけていただいているということでございます。このほか、今後いろいろな世界の映画祭におきましても検討中、あるいは実施予定と伺っているところでございます。
     それから、もう一つの方が中小企業への支援ということで、まさにクールジャパンを支える日本のものづくりの支援ということでございますけれども、チラシとパンフレットがございます。チラシの裏側の方を見ていただきたいと思いますが、左にございますように長期低金利の特別貸付でありますとか、あるいは金融機関から借り受ける場合の別枠の保証といったものを設けるということで、これは5月16日から受付を開始するというようなことで早速取り組んでいるところでございます。以上、御紹介でございました。
     それでは、今日の本題につきまして御説明をさせていただきたいと思います。資料1にお戻りいただきたいと思います。資料1と参考資料1を使いまして御説明をさせていただきたいと思います。
     資料1の方が「「知財計画2011」に盛り込むべき事項(案)」ということで、この調査会としての提言でございます。ちょうど3月10日、前々回に会議がございましたが、それから震災を踏まえたクールジャパンに関する施策を追加、あるいはそのメッセージというものを追加してございます。
     資料1の方は大くくりに記載しておりまして、より具体的な施策につきましては参考資料1のアクションプランを見ていただいた方がわかりやすいかと思いますので、そちらの方で説明をさせていただき、また後で資料1の方に戻らせていただきたいと思っております。
     それでは、参考資料1のアクションプランの方をごらんいただきたいと思います。3月に一度まとめたものでございますけれども、そこから東日本大震災関係につきまして赤字の部分のように修正をさせていただいたところでございます。
     2ページのところでございますけれども、前回この会議でも御議論がございましたとおり、自粛ムードあるいは負のイメージを打ち破る力を持っているということ。また、日本からコンテンツ、あるいはクールジャパンを海外に対して発信していくということ自体が、復興に向けて元気に立ち上がっていくというメッセージになるということでございます。
     また、このクールジャパンが未来に向けた創造的復興に大きな役割を果たす。こういう状況にある今だからこそ、知的資産としてのクールジャパンを活用し、世界でかがやけるようになっていくことが必要だということでございます。
     それから、「また」のところでございますけれども、今、再生復興に関する施策というのはまさに進行形でございます。これにつきましては追加措置を含めまして、今後状況の変化がありましたらこれで終わりということではなくて、やはり適時適切に見直して柔軟に対応してまいりたい。そういう趣旨を書き加えさせていただいております。
     それから、各論の方に入りますと、ここのところは発掘・創造、発信、人気拡大、それから基盤整備、このサイクルを確立していこうということで整理をしてございましたけれども、特に5ページのところをごらんいただきたいと思いますが、発信のところを大きく書き加えてございます。これも前回、大変御議論がございましたが、まず適時適切な情報発信が必要だということ。それから、従来のメディアに加えましてソーシャルネットワーキングサービスといったものが大きな役割を果たす。また、多言語を含む多様なチャネルを使って情報発信をすることが重要になっている。こういう趣旨を書き加えてございます。
     また、最後に重ねて、過度の自粛による悪循環によることなくということで、自粛を自粛しようというメッセージを込めてございます。
     6ページの方にまいりまして、以下クールジャパン関係はイベント等でやっていくということを書いてあるわけでございますけれども、一つ終了したものを御紹介いたしますと、6ページにジャナドリヤ祭というものがございます。これはサウジアラビアにおける唯一最大の文化祭典ということでございまして、ここに日本館というものを出展いたしました。17日間でございましたけれども、日本館には1日平均1万7,000人くらいの人が来ていただきまして、そこでも復興のメッセージを掲示したり、あるいは写真を掲示したりということで、復興のメッセージを発信したところでございます。
     それから、8ページまでいっていただけますでしょうか。特にクールジャパンに関する全体的な話でございますけれども、前回も情報発信には非常に戦略的な情報発信が重要だということがございましたので、今回これを追加してございます。クールジャパンに関するコミュニケーション戦略を担うクリエイティブ・ディレクター、これは分野ごとに複数名ということを考えておりますけれども、こういったものを置く。あるいは、海外における人財のネットワーク化を図っていく。こういうようなことによって戦略的に情報発信を行っていくということを考えてございます。
     それから、9ページでございます。復興関連の施策について赤字でございます。これは前回も書いてございましたけれども、日本の復興キャンペーンの実施、ここは国外向けには多言語ポータルサイト、あるいはロゴマーク、それからソーシャルネットワーキングサービス、こういったものを活用しよう、また、国内向けには創造的復興に向けた意識を醸成するような情報発信を行おう、というようなことを書いてございます。
     それから、国内イベントです。これも前回書いてございましたけれども、国内イベントでの発信あるいは国内イベントの被災地域での開催に配慮、こういったことをやっていこうと考えてございます。
     それから、10ページの方でございますけれども、海外イベントあるいは海外での広報文化行事での情報発信というところでございます。具体例が幾つか書いてございます。既に検討して動いているものもございます。例えばジャパン・エキスポというパリで行われるもの、これは前回は18万人も集まっていただきましたけれども、これが6月30日から開催されるということで、ここでも各省連携してブースを出し、そこで発信していこうということを考えてございます。また、メディア芸術祭海外展、これは文化庁の方でございますけれども、今年日独交流150周年ということで9月に開催をするということを今、予定しているところでございます。
     それから、Cのさまざまな機会・手段を活用した発信ということでございます。ここは、日本から文化交流使として6、7月ごろにまた新しい方を派遣するということを考えてございます。
     それから、先ほどのクリエイティブ・ディレクターの活用。それから、著名な方だけではなくて草の根的に教職員あるいは留学生、こういった方々を活用したいとか、あるいは海外に見本市、展示会、旅行博、こういったようなものを出かけていってやる。こういうことも考えているところでございます。
     それから、12ページをめくっていただけますでしょうか。人気拡大のところでございます。このところにつきましては、特に食、観光、それからものづくりの製品、この信頼性にショックを与えているということでございまして、日本ブランドを早急に回復するということが喫緊の課題でございます。
     具体的な施策として、14ページをごらんいただきたいと思います。これも前回、書いてございましたけれども、幾つか、より具体化あるいは更に追加した部分がございます。
     まず食に関してでございますけれども、ここにつきましてはやはり幾ら安全だと口で言ってもなかなか進まないので、安全ということをきちんと確立していくことが重要であろうということで、必要な検査機器あるいは検査体制の整備の充実ということでありますとか、あるいは産地証明書だとか、それから放射能基準適合証明書、こういったものも手続も利便にしながらやっていこうと考えているところでございます。
     更には、海外当局に対する働きかけをさまざまなチャネルによって行うというようなこと。
     それから、15ページの方にまいりまして輸出業者に対する支援も行う。こういうことも考えているところでございます。
     それから、Aの観光のところでございます。ここはひとえにまず正確な情報発信ということが重要かと思っておりますけれども、放射線量のモニタリングの公表も含め、適時適切な情報発信を行う。また、外国当局に働きかけるということもやっていきたいと思っておりますし、観光イベントの支援ということもやっていきたいと思っております。
     それから、Bのところで製品に関するイメージです。これにつきましても、適切な情報発信あるいは貿易の輸出業者に対する支援ということをしっかりやっていきたいと考えているところでございます。
     それから、16ページのところにまいります。これも前回から書いてございましたけれども、海外メディアとか、あるいは影響力ある著名人を招聘するといったこと、それからまた海外事業者を招聘する。それから更に、国内事業者が海外に出かけて説明をするというようなことでございます。これも外務省と協力して、北京あるいはパリでも既に説明会を開催しているというようなことでございます。
     それから、17ページをごらんいただきたいと思いますが、最後の4番目の基盤整備ということでございます。ここにつきましてはクールジャパン関連基盤、まず復旧を早急に図るということ、それとともに更なる復興に向けての施策を講じていくということが必要だと考えております。
     18ページまでいっていただけますでしょうか。まず、クールジャパン全体に関するものでございますけれども、前回、前々回、これまでこの調査会でも意見がございましたことで、日本をアジアや世界から人や情報が集まるクリエイティブ・ハブとする。これが必要ではないかという御意見がございましたけれども、そのためのクリエイティブ拠点というものを整備したいと考えております。具体的には首都東京というもののブランドを再確立するということで、イベントを集中開催するというようなことで仕掛けをつくり、更には地域のリソースを活用し、地域にも幾つか拠点をつくっていこう。こういうようなことを考えているところでございます。
     更に、復興関連といたしましては先ほど少し御紹介いたしましたが、中小企業の支援ということできめ細かく支援をしていこうじゃないか。
     あるいは19ページにまいりまして、文化資源、観光資源、更には公共図書館、情報通信基盤、この辺りを復旧していこうということでございます。
     更に復興に向けた支援といたしまして、これも先ほどのクリエイティブ拠点の再掲になりますけれども、クリエイティブ拠点につきまして被災地域におきましても地域の住民、それから内外のデザイナー、クリエーターと一緒になってプランを再生し、そして拠点をつくっていく。それを支援していこうじゃないかということでありますとか、あるいはイのところでございます。東北地方には、いろいろな伝統工芸がございます。食器あるいは工芸品とございますけれども、これを有名なデザイナー等と協力いたしまして、例えばホテルに売り込んでいく。こういったことをやろうじゃないかと考えてございます。
     そのほか、前回から書いてございましたけれども、さまざまな施策を実施する際には被災地域ということで配慮していくということ。それから、雇用維持・促進も考えていくということでございます。
     21ページ以降につきましては参考でございますが、今、申し上げたような東日本大震災を踏まえた関連施策につきまして、再度関連施策のみ取り出して列記しておりますけれども、ここにつきましては1として直ちに着手する施策、それから2として復興に向けた施策ということで、まず直近やらなければいけないことを時系列に整理させていただいております。
     アクションプランの方は以上でございますけれども、前回までの先生方の意見も踏まえ、関係省庁が何度か集まりまして議論を重ねてきて、施策を各省庁に出していただいたということでございます。
     それでは、資料1の方に戻っていただきます。今、申し上げたような具体的な施策というものをこれから講じていこうと考えておりますけれども、それを少し大くくりにこの調査会の提言としてまとめさせていただければと思っております。
     まず「情勢認識」のところですが、これは先ほどと同様でございます。自粛を打ち破って、コンテンツで日本を元気にしていこうという趣旨を加えてございます。
     それから、6ページをごらんいただきたいと思います。特にクールジャパンと直接の関連ではございませんけれども、前回も御意見がございましたが、この調査会でもやはりクラウドの検討が必要だという御提言をいただいておりましたけれども、この震災によりまして改めてクラウド型サービス、それから強靭なネットサービスの重要性というものが認識されたということを記述させていただいております。
     それから、クールジャパンの関係でございますが、飛んで10ページまでいっていただけますでしょうか。「情勢認識」のところでございますけれども、ここは先ほどと同様の趣旨を重ねて書いてございます。
     それから、12ページでございます。発信のところですが、これも情勢認識のところは先ほどと同様の趣旨を書かせていただいております。
     それから、13ページ以降が先ほどのアクションプランの施策の中で特に重要なものでありますとか、あるいは少し大くくりにして書き出してございますけれども、例えばクールジャパンの発信の仕組みということでディレクターの設置等を書いてございます。
     それから、14ページのところでございます。「東日本大震災を踏まえた情報発信」ということで、さまざまなチャネルを使いまして海外に対し発信を行うということ。それから、国内に向けて情報発信を行うということを追加してございます。
     それから、16ページで人気拡大のフェーズのところでございます。具体的な施策として、先ほどのアクションプランを少し大くくりに書いてございますけれども、食に関するイメージの回復のための施策、それから観光、ものづくり、こういったところの施策を書いてございますし、更には適切な情報発信と不適切な報道への対応というような海外への働きかけを書いてございます。
     ちなみに今、外務省等、こういった在外公館等を通じた発信あるいは働きかけということをやっているんですけれども、これまでに約1,500件以上の働きかけをやっていったり、あるいは外務省が在外公館のホームページを通じまして、在外公館のホームページで合わせますと39か国語で発信をしているということでございます。
     それから、18ページにまいりまして基盤整備のところでございますが、復旧・復興を図るとともに、更には復興に向けた施策をしていくということでございます。
     19ページにまいりまして、文化資源、観光資源、情報通信基盤、あるいはそのクリエイティブ拠点の整備をはじめとした復興に向けた施策、それから中小企業対策、それから図書館、こういったことを書いてございます。
     更に20ページでございます。繰り返しでございますけれども、またクリエイティブ・ハブとするための拠点の整備の推進ということも書いてございます。
     以上、東日本大震災を踏まえた追加修正の部分でございます。幾つか既に先駆けて実施しているものもございますけれども、これらをスピード感を持って、実際に絵にかいたもちにならないように確実に実施をしていくということが重要なことだと思っておりまして、そういう認識で我々はきちんとやっていきたいと思っておりますので、引き続き先生方に御指導あるいは御協力いただければ大変ありがたいと思います。
     では、御審議よろしくお願いいたします。
  • ○中村会長
     ありがとうございました。
     では、この専門調査会のアウトプットとなります資料1に基づいて、全体を通して議論をしていただければと思います。今、説明がありましたように、前回の議論を踏まえて事務局の方でしっかりと記述をしていただきましたのと、それから関係省庁からさまざまな施策を挙げてきてもらいましたので、施策として随分厚みのあるものになったかと思いますが、今回これが取りまとめの最後ということになりますので、何なりと御意見をいただければと思います。
     また、少なくとも今回皆さんから何らかのコメントをいただいてまいりたいと思いますので、御意見、コメントがある場合は挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
  • ○中山本部員
     前回は復興の話が中心だったので、余り細かい法律の話はしなかったのですけれども、5ページの上から2つ目のデジタル教材の問題です。これはこのとおりやってほしいと思うのですけれども、私はデジタル書籍で最も効果の大きいものは教科書だと思っております。
     国会図書館の長尾先生などはよくおっしゃっているのですけれども、例えば生物の授業で鳥が出てくる。今までは鳥の写真くらいしか載っていなかったけれども、ちょっと押せば鳥の飛んでいる姿が出てくる、鳴く姿が出てくる、あるいは分布図が出てくるというように非常に立体的な教育ができると思うのです。特に理科の科目においては、本当は実験とかフィールドワークが一番いいのですけれども全部できないですから、なるべく擬似体験させるという意味でデジタル書籍は最も効果があると思います。
     アメリカなどでは大学の教材を電子書籍化しているところもあるわけでして、このところをもうちょっと強調して大事だということでこういうふうになってもらえれば一番よろしいのではないかと思います。
     それから、同じページの知的資産のアーカイブの最初の段落です。これは国会図書館がメインだと思うのですが、ここに入ってないのは国会図書館は国会に属していて内閣でつくるこの文章には入れにくいということでよろしいですね。わかりました。
     それから、もう一つは21ページです。下から2つ目の二次創作の円滑化ですが、これもここに書いてあることはこのとおりで結構です。ただ、以前の戦略本部の方針で文化審議会の方でフェアユースを入れることになりました。もう答申は出ていて、今度の国会に通るかどうかはわかりませんけれども、一応出ております。しかし、以前申し上げましたとおり、そのフェアユースはかなり小さなフェアユースといいますか、判例に任せても余り変わらない、入れても入れなくても余り変わらないという類のフェアユースなわけです。
     したがって、これからのクラウドとかいろいろなことをにらんだフェアユースというものがまだ入っていない。これからの問題だと思うのですけれども、これを二次創作の円滑化のところで入れたらいいかどうかわかりませんが、どこかでもう一歩フェアユースを進めるということをやっていただきたいという感じがします。
     例えば、日本では判例上だめだと言われている、自分で買った音楽をアップして自分だけが聞く。だけど、聞く場所としては車の中で聞くとか、いろいろな違うところで聞くわけですが、それはだめだという判決ですけれども、グーグルなどはそれをビジネスとしてやろうとしている。もし本当にグーグルがやれば、日本人はもうアメリカのサイトを利用するだけだという状態が起きるわけです。グーグルにそんなことができるのはフェアユースがあるからでありまして、日本もやはり世界、特にアメリカの傾向をにらんでフェアユースをもう一歩進めていただきたいというところをどこかに書いていただければと思います。
  • ○中村会長
     ありがとうございます。デジタル教科書、それからフェアユース、どちらも非常に大きな課題、テーマかと思いますけれども、今の点でも結構ですし、別の件でも結構ですので、いかがでしょうか。
  • ○芝田次長
     最初のデジタル教材の話はおっしゃるとおりで、これは中村先生も随分推進されていて、どういう書き方、重要性を強調できるかというのはちょっと考えさせていただきたいと思います。
     後段の方は、7ページにもクラウドサービスで著作権制度上の課題について検討するということで、先生が前からおっしゃっていることをここに組み込んだつもりなんですけれども、この辺りで吸収できていますでしょうか。
  • ○中山本部員
     これもクラウド特有の法改正をするとかということではなくて、それも必要かもしれませんけれども、やはりフェアユースが必要だ。つまり、クラウドだけではなくて何が起きるかわからないわけですね。先ほど申し上げましたような、自分で音楽を買って自分で聞くのは、クラウドにも関係するのですけれども、フェアユースにも関係している。
     そういうわけで、フェアユースということをもう一歩進めるという言葉をどこでもいいですからどこかに加えていただければと思います。
  • ○芝田次長
     その書きぶりは工夫させていただきます。
  • ○吉羽委員
     それを加えられるのでありましたら、フェアユースの部分に加えて私的利用の話と侵害行為の話というのはいつも裏、表で出てきて、フェアユースの悪用と言うと変なんだけれども、アンフェアなフェアユースみたいなことが裏、表で出てくるので、もし追加されるのであればそこの部分の配慮はいただかないと、著作権侵害が増えるだけというような部分はやはりどうしても我々は危惧するところではあります。
  • ○奈良参事官
     御指摘ありがとうございます。
     すみませんが、今日はお持ちしていないんですけれども、前回お見せしたのですが、実は知財計画全体につきましてはこれに工程表、つまり何年度までにどこの省庁が何をやるということを書くものが追加されます。それから、知財計画2010というもののフォローアップにつきましても、また記述したものができ上がるということになってございます。
     そのフォローアップの中、あるいはその工程表の中におきましては、今後の課題あるいは指摘事項的なものを記載することにしておりますので、そこでもしっかりと、例えばフェアユースの問題につきましては決してこれで終わりということではなくて、適時適切に見直していくんだというような趣旨等をしっかりと書き込んで関係省庁にその旨、伝えたいとは思っております。
     それから1点、デジタル教科書に関することでございます。これも中村先生の方が詳しいかと思いますけれども、ちなみに今年度につきまして文科省、それから総務省が連携いたしまして、小中合わせて20校で実際に実証的な研究をやるということでございます。小学校では理科と社会、それから中学校では国語、数学、英語、ここで実際にモデルコンテンツというものをつくって、そこで実際の教室で使ってみようということでございますので、是非そういったことを早く普及して活用されるように我々としても働きかけていきたいと思っております。
  • ○芝田次長
     すみません。私、決して硬直的な抵抗勢力ではないんですけれども、フェアユースの問題については今おっしゃったように賛否両論あるところでございますので、先生のお気持ちはよくくみ取った上で、一応文章としてはこういうふうになっておりますけれども、今回の議事録にも残りますし、その辺りでここではそういう御意見があったということをよく心に受け止めさせていただきますので、文章的にはこの辺りで一応落ち着かせていただければありがたいと思う次第です。
  • ○中山本部員
     それはお任せいたしますけれども、私が一番心配しているのは、日本ではだめだ、アメリカではフェアユースでいいですよ。そうすると、ビジネスは日本ではできずに全部アメリカにいってしまう。しかも、日本人はアメリカのサイトを利用する。結局、日本の権利者にとっては何の利益もないし、日本の産業をつぶすだけという、それが一番怖いということでありまして、そういうことがわかるような文章ならば何でも結構だと思います。
  • ○芝田次長
     文章上の何かそういう工夫ができるかどうかやってみたいと思います。
  • ○久夛良木委員
     フェアユースのところはとても大事で、私も最初の段階からフェアユースに関して、特に引用紹介に関する一定のガイドラインの策定とか、盛り込むべき事項の中に具体的にこういった議論があるんだということと、場合によってはその方向性も含めて盛り込んでいただきたいと発言させていただいたわけですが、結果はここの文章だけ読むとよくわからなくなっている。つまり、そういった記述があるということはわかるのですが、どちらの方向に向かおうとしているのか、という具体的なディレクションがよくわからない。
     現実に我々がこの1年間議論している間に、特に米国の事業者を中心にさまざまな斬新なネットワークサービスが提案され、今週とか先週とかにも大きな発表がありましたが、あっという間にクラウド上でスマートフォン等に向けて、ユーセージルールのはっきりとした、使いやすいサービスが提供され始めているわけです。
     ですから、もちろん議論の中で賛成意見や反対意見があるのはわかるんですが、世界を見渡せば既に現実に動いてしまっているわけですから、それらを可能にする仕組み、もしくは我が国において阻害している要因を真剣に議論してしっかり認識する必要がある。ネットワークプラットフォームが、フェアユースのある国をベースにする事業者の方に急激に動きつつあるというか、既に移行してしまっていて、我が国としては大幅に後れをとっているのではという中で、日本のコンテンツもユーザーのコンテンツも、そういった海外のプラットフォームを使わざるを得ない状況になってしまっているわけです。そうなると、律儀にずっとこの国の中だけでやっていると、またもう一つのガラパゴスをつくるということになりかねないので、こういったところに対して極めて深刻な懸念がある、もしくは対抗意見があるのなら、それらの両論併記を是非していただきたいと思います。議論することを逃げたり、問題を先送りしたりすると、翌年にはもっとすごいことが起こってくる可能性があると思います。
  • ○芝田次長
     今、御示唆いただいたように、こういったような指摘もあるとか、御意見もあるとか、書きぶりはちょっと考えさせていただければと思います。
  • ○中村会長
     恐らく皆さんの基本認識というのはそうずれてはおらず、このデジタル・ネットワーク社会というものが非常にグローバルな波の中にさらされていて、そこで3ページ目のトップの「情勢認識」の辺りかと思うんですけれども、社会の先端を切り拓く国となると積極的に書いてありますけれども、逆にこのままだと大変だというようなことをもっときちんと書き込むということかもしれません。
     その辺りで、ここは前向きにもっと進めましょうということになっているんですけれども、逆にその意識のようなものがもっと出てもいいかもしれないです。その辺りは、恐らく施策の前の基本認識の話かと思いますので、整理をさせていただければと思います。
  • ○久夛良木委員
     両論を併記するということもできませんか。
  • ○芝田次長
     その辺りも含めて、書き方は先生と相談させていただきます。
  • ○久夛良木委員
     よろしくお願いいたします。
  • ○中村会長
     ほかにいかがでしょうか。そのような辺りでも結構です。
  • ○杉山委員
     今、「情勢認識」のところが出たので、ここに入れていただくかどうかは別としても、感覚としては日本がデジタル・ネットワーク社会の先端を切り拓く国となるというところなのですが、大抵の国と違うのは、日本国民が最も多分世界でもハイレベルで、通常のデジタル・ネットワークの中のいろいろなサービスをあっという間に使い倒して、そのリテラシーの能力が非常に高いんです。
     その割には、現実のインフラとかサービスというものが日本からは出てこない。国民はものすごく高いレベルで何でもできるし、逆に言うとプロでなくても一般の方がどんどんユーザー自体がジェネレートするようなコンテンツをすごいレベルでつくっていて、それが世界に認められるような状況ですね。そこは高いレベルにあるのに、追いついていないという感じがあるわけです。
     政策にしろ、それから日本発のこういうサービスにしろそうですから、国民を引っ張ってあげるというよりは、国民はそれを十分使いこなせるのに周りの状況が追いつかないで、しようがないからアメリカのサービスに皆いっちゃうみたいなところがあるので、そこがすごく情勢認識の最もどこかには流れてほしいなということも実はあるんですね。
  • ○中村会長
     ほかにいかがでしょうか。大体、意見としては出尽くしたという感じですか。
  • ○中島本部員
     別件でもいいですか。クールジャパンの方ですけれども、前回議論のありました風評被害自粛の抑制と、それから情報発信ということで多言語ポータルサイトという、この2つは大変美しく盛り込んでいただきまして大変よかったなと思っております。
     それで、情報発信について海外への多言語情報発信は大変重要だと思いますが、昨日も競争力専門調査会で佐々木委員の方から、中国から放射線防護服を大量に送ってきたという話がありまして、調べたらうちにも来ておりまして、今日は実は持ってきました。こんなものでございまして、本当は着て見せればいいんでしょうけれども、ちょっと時間がかかりますので。
     確かに英語でも書いてありまして、これはほかにも用途はあるようですけれども、放射線に有効であるということで、最初は悪いきつい冗談だと思ったんですが、いろいろ聞いてみますと本気で送ってきているということで、おまえたち、外に出るのは危ないんだろうというふうなことです。
     これはちょっと前でございますので今、本当にどういうふうに思っているのかはわかりませんけれども、我々もテレビとかインターネットでは現地のことを見ている。それから、こういう服を着ていらっしゃって活躍している人も見ているんですけれども、実際に我々が見ることはほとんどない。それで、こんな服は見ただけでもちょっとびっくりするわけですけれども、まして海外の人がそんな話も聞けないし、テレビのCNNニュースとかインターネットで見るしかない。しかも、それが断片的であるということで、マスコミはこぞって危ない場面ばかり流すというようなことで、これはそういう影響が大きいというのは当然だと思います。
     クールジャパンの観光にしても、阪神大震災のときは元に戻るのに5年以上かかったというふうな記事がありますけれども、その阪神大震災のときと比べると逆に今お話が出ているデジタル・ネットワークは急激に進んでいるわけでして、むしろそれをどんどん有効に活用することによって、阪神のときには5年かかったんだったら東日本の場合は1年、場合によっては半年でそれを解決するというふうなこともやり方によってはできるわけですし、せっかくこういうことで今回盛り込んでいただきましたので、今後は一刻も早くこの効果をどんどん出していただいて、まさしく早期のクールジャパンというものを是非実現していただきたいと思います。以上でございます。
  • ○中村会長
     ありがとうございます。では、どうぞ。
  • ○久夛良木委員
     この災害というのは本当に大変な災害だったわけですが、ある意味で変革の大きなチャンスであるということだと思いますので、さまざまな示唆がこの中に盛り込まれていて非常にすばらしいと思うんですが、日本というのは小さな島国で、今回の大災害で太平洋に落っこちちゃうじゃないか、国中が放射能汚染のリスクに晒されているんじゃないかというくらい小さな国だと思われている方も海外にはいらっしゃって、多分そういうふうに思われているのか、ジャパンという一語で全てがくくられてしまっているためか、皆さんがとても気遣ってくれて、私のところにも何かできることはないか、食べ物でも何でも送るぞ、水も送るぞと言ってくれたりする。皆さんとても心配してくれているのですが、この国というのは南北に3,000キロ、流氷が流れ着く北海道から、沖縄のサンゴ礁の島まであることはあまり知られていないのではないかと思います。
     こういうようなリージョンとか地方とかという出し方を、今まで多分、余りしてこなかったのかもしれない。場合によっては、東北が日本のどの辺りにあるかもわからない。でも今回の震災により、ある意味で東北という場所はここかということがわかったということはあるんですけれども、こういった機会に東京や京都だけではなくて、日本の地方というのは実はとてつもなく広くて、北海道なんてすごく大きくて、九州も温泉がたくさんあっていろいろな風光明媚なスポットも多く、植生もそれぞれに違うとか、いろいろな我が国の有する地方の多様性をもうちょっとジオグラフィカリーに紹介していくことを始める、いい機会じゃないかと思います。
     そういった中で、今被災地の東北は大変なことになっているけれども、こことここの間はこのくらいの距離がある、新幹線でもこのくらいかかってしまうんだよという話とか、東北の復興ということであれば海外の人にはやはりもっともっと来てもらいたい。そのときには、例えば東京や大阪に入るなり、我が国へのいろいろな入り方はあると思うんですが、具体的に我が国の地理というか広範な地方をイメージできるように紹介する。それが、ある意味で日本の紹介の一つの仕方になるんじゃないかと思うんです。
     我々国民ですと、そういった地方による違いとか特色というのはそれなりにわかっているんですけれども、例えばフランスだとワインが好きな人にはいろいろな地方の違いはよくわかりますね。そういった違いや多様性を更に積極的に出していくチャンスであるというふうにも思います。
     何かしらそういったことを、この報告書の中にも盛り込んでいただいて、日本をひとくくりに発信するというだけではなく、我が国の地理的な広がり、多様で文化的な広がりを紹介する良いチャンスだと思います。それには、わかりやすい記号が要ると思うんです。記号というのは、例えばプロバンスとか、アンダルシアとか、いろいろな呼び方で我々は世界の中の地方を認識していますけれども、そういった対応付けを持った状態で、全体として日本を紹介していくということを是非音頭をとってやってもらいたいものだと思います。
  • ○中村会長
     そうですね。我々がこれほどまでに東北に思いをいたしたことはなかったかと思いますが、その一方で、海外からは日本全体が危ないというふうに、日本のプレゼンスの出し方で考えなければいけないところもあろうかと思います。その辺りも何か表現できるといいと思います。あるいは、具体的な施策というものかもしれませんけれども。
     では、お願いします。
  • ○吉羽委員
     この場で話すような大きな話では全然なくて小さい話なんですけれども、ここに首都東京のブランドの再確立という話も出てきますね。それで、少しずつ海外からお客さんが仕事も含めて来るようになっている中で、短期的にでいいんですけれども、一部の観光客が行く盛り場などは今の節電のムードを少し払拭できないのかなということをちょっと感じていて、観光客の人が来て、例えば銀座とか新宿とか秋葉原の暗さを見たときに、やはり日本はだめなんじゃないのというメッセージにつながっちゃうんじゃないかと、すごく最近気になるんです。
     それで、日本人も何となく元気がないよねという話もあるんですけれども、ますますネガティブなイメージを伝達しそうな気がします。それは電力需要の状態というのも当然あるんですけれども、ピンポイントで何かやるということが、それを大きく左右するレベルまではいかないと思うんですが、それが発信するイメージの大きさというのはすごくネガティブなものがあるんじゃないかという気はするんです。
     だから、今久夛良木さんがおっしゃっていたように、元気なところもいっぱいあるんだという発信もそうですけれども、東京の中でもちゃんとして動いているというのをうまくアピールできるような場所も今から積極的につくっていっていい時期じゃないかと思ったりもしています。
  • ○中村会長
     今回、事務局が汗をかいてくれて、自粛は自粛しようとか、海外への情報発信を強化しようということをかなりたくさん盛り込んでくださいましたけれども、それはこの紙の上の文言ということではなくて、この紙から離れていただいても結構ですので、もっとこういうことをすべきじゃないかとか、こういう方向に向かおうじゃないかというようなことがあれば、皆さんからもお出しいただければと思いますし、意見もだんだん出てこないようであれば何でも結構ですので感想を言っていただければと思います。
  • ○杉山委員
     せっかく何でも結構だというので、実は多くの大学のアジア系の留学生が戻ってこないとか、新1年生が恐ろしい量、キャンセルになっているんですね。これは数%ではなくて、学校によっては60%こなかったとか、70%こなかったというすごい大きな話になっているんです。
     それで、実は私の大学は御存じのように秋葉原にありまして、1,100人ほど大学生が全員でいるんですけれども、30%近くが留学生なんです。でも、実際に完璧に辞めた人は数人で、それはどうしても親を説得できなかった。中国の沿岸部ではなくてちょっと奥の方の方々なんですが、絶対日本に行ったら死んじゃうと言われて、あとは10人ほどがやはり心配なので半年間休学させてくれということだったんです。
     なぜそれだけの率、来ているかというと、やはりクールジャパンが大好きだからなんです。うちの学校のアジアの子は、やはりアニメが好きだし、ゲームが好きだから戻ってきてくれるんです。
     それで、彼らに言っているのは、東京は全然大丈夫じゃないかということをとにかくお友達に知らせてねと。なぜかというと、今の学生は全員ほぼ毎日のように本国とやり取りをしています。フェイスブックであったり、いろいろなものを利用して、昔の留学生のイメージとは全く違って、ちょっと距離が離れているだけで家族との連絡は恐ろしく密なんです。
     だから、本当にそういうことをずっと留学生たちがやってくれればこんなに全大学で来ないということはないんじゃないか。せっかく彼らは日本に何かがあると思ってわざわざ来てくれた。日本を選んで留学してくれた人たちの発信力ももうちょっと使わないと、本当に経営ができなくなりそうな地方大学もたくさん出てきてしまっているので、そういうことは文科省も含めて少し呼びかけていただけないかということです。
  • ○芝田次長
     先ほどのアクションプランの中に、クリエイティブ・ディレクターを設定してそういう情報戦略を練って、その下でアンバサダーというものを指定してやっていこうじゃないか。アンバサダーというのは海外、日本人の著名な方だけではなくて留学生の方にも当然やってもらおうと思っていますので、まさしくおっしゃったとおりのことを我々も構想しています。
     それからクリエイティブ・ハブ、日本をアジア、世界のクリエイティブ・ハブにしようとさっき御紹介しましたけれども、その中でクリエイティブ拠点を日本全国につくっていこう。その一つとして首都東京の、まず東京自体のブランドも少し毀損したところがおっしゃるようにあると思うので、そういうところから立ち直っていこうということで、さっきございましたけれども、東京自体のブランドの回復というものもこの施策の中に入れてやっていこうということでございます。
  • ○中村会長
     ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
  • ○別所委員
     この文を読ませていただいて、実際の資料にまとめられたものは議論したものが全部入っていると思うので何をどうということではなくて、逆に恐ろしいくらい、あえて言うならばすばらしい血と汗の結晶のような作文にはなったと思うのですが、この作文がアクションプランを伴ってどういうふうに具体的に進行したか。
     先ほどあった工程表も含めてですけれども、私は今年2年目ですが、昨年の分も含めて、ではそれをだれが評価して、どうそれが国民に知らしめられたのかということが、実は私も昨年も関わってみてこの知財戦略本部のやっていることがどれだけ情報発信されているかということに非常に疑問を持って、自分も関わったんだけれども、新聞にどれぐらい出たかなとか、あるいはマスコミはどれぐらいメディアでこれを取り扱ったんだろうとか、あるいは政務官はいらっしゃいますけれども、政務官や行政に関わった方はどれだけスピークアウトしてそのことを世の中に話したのかとか、もっと言うならば総理大臣は何をこのことについて話したのかとか、要するに情報について議論したり、知財について議論しているのに、前回も日本は情報災害の国だと私は言いましたけれども、世界に対しても日本の国民に対してもやはりその義務をまず果たしていない。
     せっかくこんなにすばらしいものがあるのに、このことを有言実行しているんだ、そのことについて汗をかいている人間がこれだけ国に関わっている人間でいるんだ、ということをもっと積極的におっしゃるというか、話した方がいいと思うんです。それがないから、あるんだけれどもやっていないみたいに見える。それがあやふやなので、実際にやっていたんだか、やっていないんだかわからないままの評価軸で終わってしまう。それで、年度ごとにそれが見えない。
     私は鮮明に覚えているのですが、角川委員はこの前の年のときにも言われたんですけれども、7回やって8回やって何も変わらないような議論が何度も何度も繰り返されている。ただ、それが一歩も二歩も進み始めたと昨年度のときにおっしゃったことを記憶していて、議事録にも残っていると思います。
     もっとその部分が、今おっしゃったようなアンバサダーとか、クリエイティブ・ディレクターという方から発信されていくこと、この情報発信の部分と、それから実際に評価をどうされていってどう開示するのかということを、是非具体的にこれをお出しになったときに、私は総理大臣がどう受け止められたのか、全くそれはわからないです。私の無知でわからないのかもしれないんですが、わかりませんし、どういうステートメントをお出しになったのかも知りませんし、実際に現在の内閣がどう動かれたのか。各省庁のトップがどうされたのか。昨年の部分に関してもまだわからないというところが、せっかく関わったので非常にもったいないなと思っております。
  • ○近藤局長
     非常に励まされて怒られているような、怒られて励まされているような気持ちになっておりますが、私は私自身の気持ちとしてまず申し上げると、この知財計画はちゃんと言ったことはやる、言わなかったことはやらない、というのが私のモットーでありまして、100の総論を書くより1の各論を実行するというつもりでやっています。
     この知財計画は全ての項目が、昨年もそうでありましたけれども、いつ何省が何をやるということをはっきりと書いてあります。これは必ずしも報道に全部出ない、あるいは報道に取り上げてもらえないのは、恐らく後ろの席には報道の方もおられるので報道批判をすると怒られますが、なかなかいいことは書いてもらえないものでありまして、それはある程度はしようがない。
     ただ、例えばさっきのフェアユースの議論も中山先生からまだまだ不満だというお話もありました。私も個人的な意見を余り言ってもいけないのですが、言いたいことはいっぱいありますけれども、少しずつは進んでいると思うんです。必ずしも十分ではないけれども、方向性としては進み始めているし、このクールジャパンなどという言葉もやっと政府がクールジャパンと言い始めたというところで大分変わってきています。
     例えば、今日カンヌ映画祭の資料が出ていましたけれども、東京映画祭の報道も10年前に東京映画祭はこれだけ報道されなかったと思うんです。今、東京映画祭はこれだけ報道されるようになり、それに政府も関与しているということが大分見えるようになってきていますから、こういう努力をもう少しやりながら、そして一つひとつ実行しながら期待にこたえていかなきゃいかぬと思っています。
     それから、総理との関係も、総理自身は個人的には知的財産問題は、取り分け彼は弁理士であるということもあって非常に御関心の高い事項であります。歴代総理の中でも関心を持って聞いていただいています。
     ただ、総理がゆっくり知財戦略について語るほどの報道をさせてもらっていないというのは確かでありますが、先日私はこの調査会でもお話をしましたが、例えばアメリカのオバマ大統領が菅総理にくれたプレゼントは、日本人の花火師がアメリカで取った最初の特許証なんです。執務室の中のことを言うと本当は怒られるんですけれども、それが今、総理の執務室の上座にちゃんと置いてあるんです。あれを総理は毎日見ながら、やはりこの知財問題に意識があるものですから、3月の末に総理にレクしたときにも、この震災で本当に大変な時期の中ですけれども、総理はこれから本当にこういうことが日本にとって大事なんだ、しっかりやってくれ、と、こういうお話をいただいております。
     私は自分でやっているせいかもしれませんが、大分よくなってきているような気はします。政治の意識が若干足りないんじゃないかということは私もそう思いますけれども、きっと政務官が今からもうちょっと政治もやるよと言ってくれると思うのでマイクを渡します。
  • ○阿久津大臣政務官
     本当にありがとうございます。別所委員の御指摘は非常に重くて、大事なことなのかなと思いますし、もしかしたら今、菅内閣が一番悩んでいることはこのことだと思います。
     どういうふうに悩んでいるかというと、いいことを決める。時には一字一句こだわって、「何々が」なのか、「何々も」なのか、「何々は」なのか、それぐらいこだわって決めたにもかかわらず、まず実行されているのかどうかという部分が一つある。
     それから、今度は実行されているとして、一生懸命発信もされているんだけれども、国民の心にまで届かないし、定着しないし、報道もされないし、評価もされないという最後のところがあって、その最後のところまで行き着かないとなかなか完成したとは言えなくて、これは大きな宿題だと思うんですけれども、宿題と言ってこれで終えてしまうつもりはありません。やはり大勢の方々が発信することが大事なのかと思っていますし、大勢の方々というのは一人ひとりから始まると思いますし、何かの部分で感動を呼べるようなアクションをひとつキーとして使えたらと思っております。これからもよろしく御指導をお願いいたします。ありがとうございます。
  • ○中村会長
     私からも感想なんですけれども、去年、我々がまとめたプランの中には、例えば特区をつくろうとか、ファンドをつくろうとか、あるいは先ほど御指摘のあったデジタル教科書を進めましょうというようなことが書かれました。
     それぞれ今、動いているんですけれども、ただ、全部が結実していくのにはちょっと時間がかかるなという感じもしています。もうちょっとこのスピードを上げていきたい。
     ただ、以前、数年前に比べると、この分野の動きは早くなっただろうと思います。今、もっとスピードアップすべきことはあろうかと思いますが、以前より動いているということは事実だろうと私も思いますし、現に国全体としてみてもクールジャパンのような旗が立ちつつある。完全に立ってそれが旗頭になっているかというと、まだそこまでいっていないかもしれませんけれども、そういう旗も立つようになってきた。
     それから、先ほど中山本部員からありましたデジタル教科書の話にしても、昨年この場でさまざまな議論をしてIT本部でもやってもらって、国全体として2020年には1人1台子どもたちがデジタル端末で勉強できるようにしましょうという目標が立つところまでいった。
     ただ、それは私も民間のコンソーシアムでその活動をしていますけれども、民間から見ると遅いので、5年ぐらい前倒しをしてくださいという要望を今、政府に対して出したりしています。
     ただし、数年前にはそういうことを官民でやり取りするというのは余り考えられなかったんです。やっとそういうことができる環境になってはきたかなという感じはします。
     ただ、これも先ほど御指摘があったように、例えばこれを総理がどのように引っ張っていくと言っているんだという面では、もっともっと私も個人的にはその政策のプライオリティ、知財というものは国の政策の中でも大事だというプライオリティを上げていっていただきたいと思っておりまして、その辺りは私自身も声を外に対して上げていきたいと思いますし、委員の皆様にもこういう大事なことが議論されているんだとか、こういう方向でいこうと思っているんだということを外に対してもおっしゃっていっていただければと思います。ひとまず感想です。
     では、どうぞ。
  • ○中山本部員
     別所委員のおっしゃるとおり、ちょっと新聞に載りが悪いなということは私も感じますけれども、ただ、新聞というのはショッキングなことしか載せてくれません。この戦略本部も、最初の本部会やその前の戦略会議のときは随分新聞に大きく載せてくれましたけれども、やはり7、8年たつとだんだん小さくなってしまうのはしようがない。また、政府がマスコミにやれと言うことはできないわけですし、かといってショッキングな奇抜なことを言うこともできないというので、マスコミが小さくなってきたのはしようがないという気はいたします。
     私も、これは徐々には進んでいると思います。先ほど言いましたフェアユースについては随分批判してきましたが、一歩は進んだことは事実でして、それを第一歩にしようということを私は強調した方がいいと思います。
     ただ、人材養成のところは一番難しい問題で、これはなかなか進んでいないと私も思うのですけれども、しかし、これはそう簡単に進むはずもないので、これはねばり強く述べていくということしか仕方がないという感じはいたします。
  • ○吉羽委員
     そのマスコミの端っこにいるわけですけれども、やはりプレスリリースのされ方がお上手ではないなというのは国全体が多分、抱えている問題だろうと思うんです。
     いろいろな施策がこれから起きてきます。各省庁で具体的にやっていきますというときに、やはりどこかしらこの知財戦略の上に乗っかってやっているというのはアナウンスとして具体的なものとセットで必要なんじゃないかということは1つ感じるんです。
     それと、これは海外発信のときに話として申し上げたと思いますし、アンバサダーみたいな話が今回も出てきていますけれども、やはり顔が見えない。だれかがとりあえず知財大使とか、大使とすぐに付けられがちなんですけれども、ミスター知財みたいな方が定期的にアナウンスして、その方というのは、やはり業界の中で非常に発言が注目を浴びるような人を任命して、顔の見える中でやっていかないと伝わらないんだろうとは思うんです。
     多少政府から見ると暴走発言が起きるかもしれないけれども、やはりそういう顔の見える形というのが必要で、これは別に民間の人である必要もなくて、議員さんであったりとか、国の方でもいいんでしょうが、そちらの方がいろいろと差し障りがあるでしょうから、そうであるとすれば民間からそういう人たちを登用してオピニオンリーダーみたいな役割というのはないので、なかなかマスコミとしても取り上げにくいのかなというふうな印象はあります。
  • ○別所委員
     誤解のないようにお伝えしたいのですが、私は同じ船に乗っていると思っているので、別に反体制とか批判側にいるつもりもなくて、私もメディアの片隅にいながら俳優をやったり情報発信をしたりして、海外の方の風とか意見も聞くわけですけれども、今おっしゃったように、もっともっと発信力を高めない限りは結局作文をしたままに終わってしまう。
     私は大きな問題は、よく自分の組織でも言うんですけれども、人の生死に関係ない感じがやはり知財などはどうしてもしてしまうんですね。ですから、ゴール設定が年度ごとであれ、長期計画であれ、中期計画であれ、どこまでやったらだれの御褒美で、だれの責任でということが見えないので、私も含めて戒めで言いますけれども、結局関わった人間も責められないし、それから傷も負わないし、その代わり御褒美ももらわない。そういう国になっているような感じがするんですね。だから、サクセスストーリーのない国にあらゆる分野でこの国は今なっています。
     いいじゃないですか。100億円プレイヤーが出て、その人をうらやむような人がいて、一方でそれが不公平だという方がいるかもしれないけれども、まさにフェアユースの話もそうなんですが、一旦20世紀で硬直化した知財の権利というものも既得権者のために何か交通整理をするのではなくて、今回の議論にもあったように、ボーンデジタルな人たちが自由な発想で何かを新しく再構築して産業を興したり、夢を起こしたり、海外の人からうらやまれるような国にするという御旗を立てた上でこのアクションプランが動き出せば、当然具体的に動くと思うんですけれども、こんなにいいアイデアがそろっているけれども、結果的にそれを駆動する力がないのは、やはりそれで責任を取る人もわからないし、人も死なない。
     極論で言いますけれども、病院の医者だったら人が死ぬわけだから、必ずその命に関わって正式に何月何日まで手術をしてこういうことをやるんだと言わざるを得ない。そういう手術のプランを立てるわけなんですけれども、やはり私も関わってみてその緊張感というか、その緊張感がこのアクションを動かす方々に対して熱として伝わって、現実にサンクションを設けるかどうかは別ですが、ここまで何かをやらなければおまえはもうポジションはないと思えと、そういうことぐらい局長はおっしゃっている可能性はあります。非常にパワフルな方ですから。
     ですが、そういうところが国民に熱で伝われば、ああ、すごいことやっているなと思うと思うんですが、そこなんじゃないかなと非常に関わってみて実感で思っております。
  • ○中村会長
     今日、この盛り込むべき事項を取りまとめたとして、それをどうプレイアップしていくのか。それから、どうこれを評価していくのかというのがこの作文以上に大事だという認識で、多分これは皆さん共通しているかと思います。まさにそれはこれをまとめた後、これからどうしていくのかという課題、宿題を我々自身が負っていくということだろうと思います。いかがでしょうか、そろそろ取りまとめにいこうかと思いますが。
     では、どうぞ。
  • ○安藤参事官
     別所さん、吉羽さんがおっしゃられたことに関連してなんですが、実は今日お見せして要回収になってしまうアクションプランですけれども、一昨日、関係省庁の課長級の会合をやらせていただきまして、何と私は座長でやらなければいけないものですから冷や汗をいっぱいかいたんですが、お役所の常で、何か失敗したらどうなのかと。いや、これはむしろ皆持っているものを持ち寄ってこようよ、ポジティブなものを出し合って、そしてこういう案をつくっていこうよ、と、そういう発想でつくったんですね。
     そうしましたら、いろいろなことが起こり始めるんです。総務省はこんなものがあるから皆使わないか、とか、観光庁はフェイスブックを使ってこうやって情報発信をしているよ、とか、こんな話も出てきました。
     早速これをやっている間に一つ成果が出て驚いたんですけれども、1月のダボスのときに今まで関係なかった総務省が実はコンテンツを出しました。それが台湾の人たちの目に止まって売れました。航空会社20本にそういうものが乗っていくようになったんです。それはいいね、ではそれはまた情報発信していこうよ。そういう小さな成果でも積み上げていこうよ。
     こんな気持ちで進めさせていただいておりまして、例えば参考資料1の最後のところにカレンダーがあるんですけれども、こういういっぱいあるイベントの中で少しターゲットを決めて、皆で持ち寄って協力して何かやろうよと、こんなことを実は画策をしております。
     例えば桜の関係でいくと日米の桜寄贈100周年、こんなことが来年出てくるわけでございます。これで何ができるのか、一緒にやってみよう。まだこの段階では大っぴらにはお話できないのでございますけれども、仕込みをかけておりますので、是非お力も貸していただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • ○中村会長
     ありがとうございます。どうぞ。
  • ○末吉委員
     今日のこのアクションプランというのはすごく力強くて、私は期待したいと思います。かねて今日の資料1の13ページで出てくるアンバサダーとかクリエイティブ・ディレクターというのは、初めて顔が見えてきたような感じがして、こういう方々を盛り上げていって情報を発信していくというところにつなげていくというのはすごくいいことだと思います。
     中村先生と御一緒している総務省のある会議でも思うんですが、最近お役所の方々が何か一生懸命やっていますよね。昔やっていなかったという趣旨ではなく、震災になってコンテンツとか知財とかにはもう皆さん手が回らないのかな、もっと言うと、見捨てられてしまうのかな、と知財である私は思っていたのですが、意外に皆さんがすごく頑張ってくださっているというのはすごくうれしいと思います。ただ、もっと民間を巻き込んでいく仕掛けも必要ですね。
     例えば私は弁護士会なんですけれども、弁護士会はまだクールジャパンに関して危機感はないです。中山先生はずっと御指摘されているわけですけれども、このデジタルの時代になって著作権法をもっと何とかすべきだということをずっと先生は御指摘されているのですが、すみませんが、まだそれに呼応するような動きができていません。
     いいとか、悪いとかという問題は別として、弁護士会は民間でございますけれども、もっと民間を巻き込んで一緒にやろうよということがあってもいいし、民間をアシストしていくというか、民間人を上手に使っていくべきです。そういうことを含めてせっかく盛り上がったお役所の議論の、例えばアクションプランの議論の場から情報発信していくことは世界に対してだけではなく国内に対しても必要です。頑張っているんだと言っていただいて、おまえたちは何をやっているんだと、時として民間サイドにもはっぱをかけるぐらいの感じで言っていただいていいんじゃないでしょうか。
     このように民間を巻き込みながら、今盛り上がっている雰囲気から、これを現実を動かしていくものにしていく必要があります。さらに、評価などいろいろな形でフィードバックしていく必要もある。現実を動かし、現実の中で進めていくという、まさにアクションにつながっていくようにお互いにやっていけるような感じにしていく必要があります。よろしくお願いしたいと思います。
  • ○中村会長
     ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
  • ○久夛良木委員
     この間の震災のときに顔の見えた政治家の一人に枝野官房長官がいらっしゃったと思うんですけれども、あの人は記者会見に毎回毎回出てこられて一生懸命説明しておられて、一体いつ寝ておられるんだろうと心配になるくらいでした。その枝野さんが政府として発信されていることに釘付けになった国民とか、いろいろな国の人々は多かったと思うんです。それで被災地に行って被災された方々をできることからサポートしようとか、たとえ知人や親戚がいてもいなくても、今すぐ飛んでいこうとかという行動にも随分つながったと思うんですね。
     アメリカの場合というのは、スポークスマンがいろいろなところで政府の方針を継続的に発信する場面をよく見かけるんですが、同じように我が国の政府の方、それは枝野さんなのかどうかわかりませんが、もっといろいろな場面で、例えば今回の件も含めて、今日はこのアジェンダで皆さんにお話しします、というのをやっていただきたいと思う。いや、既にやっておられるのかもしれませんが、もうちょっと我々にわかるような形でおやりになられると、メディアの方々も記事にしなくてはいけなくなるでしょうし、我々もそういうことであれば、国を挙げてみんなで前に進めようという気になってくる。
     つまり、協働意識がそれだけわいてくると思いますので、もし私が不勉強で、そういったことを既にやっておられるとしたら、もうちょっとプロミネントに打ち出していただけるとありがたいと思います。
  • ○中村会長
     ありがとうございます。
  • ○別所委員
     先ほど政務官がいらっしゃる前に話したフェアユースの件です。私も非常にフェアユースは推し進めるべきだと思っているんですけれども、私は静岡県出身ですが、浜岡原発で議論はあるにせよ、御英断をされた総理がいるように、この知財の分野でも著作権の侵害が多少あったとしても知財において未来型の産業をつくるために、私を含めてこういうふうに具体的に1年、2年、3年以内にこういうことをやっていきたいと思うというような議論が表にもっと出れば、ノイズがたってメディアも書くでしょうし、そのときに具体的に著作権侵害者が現れたとき、侵害者というのは侵害する側もそうですけれども、される側を特にどう救済するかというのは政治と行政が具体的にすればいいことで、今、私たちは何もできない。
     先ほど、この議論の中で私は何度か言いましたけれども、電子書籍で夢を持ってやろうとしている日本人の団体はシンガポールにもう法人をつくってやった方が早い。だから、既に海外にどんどん出ています。タックスヘイブンであれ何であれ、そういったところでやり始めてしまって、やらないと負けてしまうからなんですね。結局、欧米のプラットフォームをつくった企業がやってしまう。やってしまったところに隷属的にという言葉が正しいかはわからないけれども、私たち日本はそれにフォローアップせざるを得ない。
     物を幾らつくっても、中身のそういったアイデアに関するところ、知財に関してはイニシアティブを取らない、取れないという現実があることはものすごい危機感でやはり発信しない限り、発信というよりは政治に関わるリーダーの方が言わない限り、前進しないのではないかなというのが本当に私の危機感でもあります。
     それから、今回盛り込まれなかったのかなと思うんですけれども、2度ほど前年度も言いましたが、この議論の中で結局、金融系のプロがどう入るべきかということがなかなか議論されないまま知財の話が進んでいるようにも思うんです。結局、インターネットの世界で次に動きが私などの知っている範囲であるのは、インターネット上のポイント、それからウェブマネー、ネット上でのカレンシーであるとか、お金ですよね。そういったある種のメディアですけれども、それを世界的に動かしてやろうといった革命的な考え方を持って動く金融マンというのは世界中にいっぱいいる中で、知財のプロデュースをするという財務能力がある人から具体的にこういった議論の場で意見を聞くということも大事でしょうし、今言ったような新しいインターネットマネー、ポイント制度みたいなものがどう動いていくかということを次にだれがイニシアティブを取るか。それは世界中でなんですけれども、そういったことも本当はこの知財の中の議論の一部だったのかなとは思いました。
  • ○中村会長
     ほかにいかがでしょうか。皆さんよろしいでしょうか。
     どうもありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。おおむね意見の集約が図られたのではないかと思います。私たちにとっては、これは2回目の取りまとめということになりますけれども、今回デジタル・ネット、それからクールジャパン、人財というめり張りの効いたプランになったかと思います。
     また同時に、私たちは震災への対応という大きな宿題の途中におりまして、その中で日本が世界に向けてどのようなメッセージを発していくのか、どのような復興の姿を示していくのか、というのも重要な知財政策ではないかと思います。
     これを計画としてまとめまして、昨年の計画の進行中の政策とも合わせて政府として力を入れていただくようにお願いをしたいと思います。
     今日もさまざまな御意見をいただきまして、この資料1の中に更に手を入れるところもあろうかと思いますけれども、今日の議論を踏まえた最終的な取りまとめについては会長である私に御一任いただいてよろしいでしょうか。
  • (「異議なし」と声あり)
  • ○中村会長
     ありがとうございます。では、事務局等とも相談しながら進めていきたいと思います。今日の議論を踏まえつつ、必要な修正を行いまして、その上でこの専門調査会としての報告書を取りまとめて、企画委員会として知財戦略本部に提出をするという運びとなります。
     では、今日の会合をここで閉会をしたいと思います。閉会に当たりまして、阿久津大臣政務官からごあいさつをいただきたいと思います。
  • ○阿久津大臣政務官
     本当に毎回ありがとうございます。11月8日から始まったということなので、かなりタイトな間に10回も会合をやっていただいて、しかも私はこのコンテンツ強化専門調査会の発言が非常に心に染み入るというか、面白く感じさせていただいて、実は頭の中でも先ほどの別所さんのお話がまだぐるぐる回っていて、どう消化していけばいいかなという部分が本当にありますし、この場をお借りいたしましてこれまでのさまざまな視点からの御意見にも感謝を申し上げたいと思っております。
     東日本大震災の視点も入れていただいて、取りまとめをいただきました。しっかりとクールジャパンを積極的に推進し、未来の創造的復興に活用する必要があると考えております。そのために、提言を踏まえて知財計画2011をしっかりと決定し、速やかに実行に移せるよう、取組を頑張っていきたいと考えております。
     一つ私の意見を申し上げると、やはり日本は今、よくも悪くも成熟国家なんですね。成熟国家というのはややもすると停滞国家になってしまうので、相当もがき苦しみあがかないと、しっかり伝わっていかないんだというようなことを改めて感じました。もうしばらく、これからももがき、あがき、苦しむことを一緒にお付き合いいただければありがたいなと。
     しっかり少しずつでも確実に外に向けてクールジャパンを広げていって、やはり日本と付き合って、あるいは日本のことを知ってよかったというふうに海外でも思えるような、そんな評価を得られるときがくることを期待したいと思っております。ありがとうございました。
  • ○中村会長
     それでは、本日の会合を閉会いたします。御多忙のところ、どうもありがとうございました。